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子供の読書活動推進に関する有識者会議(第3回) 議事録

1.日時

平成29年10月12日(木曜日)午前9時30分~12時

2.場所

文部科学省庁舎15階15F特別会議室(東館15階)

3.議題

  1. 子供の読書推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

(座長)秋田喜代美
(委員)糸賀雅児,佐川二亮,設楽敬一,白井哲,杉原あけみ,鈴木惠治,野口武悟,張替惠子,平久江祐司,福田孝子

文部科学省

常盤豊生涯学習政策局長,土肥克己生涯学習政策局 青少年教育課長,小沢文雄青少年教育課 青少年体験活動推進専門官

5.議事録

子供の読書活動推進に関する有識者会議(第3回)

平成29年10月12日

【秋田座長】
 おはようございます。定刻でございますので、ただいまから第3回子供の読書活動推進に関する有識者会議を開催いたします。
 本日はお忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 なお、本日は堀川副座長、濱田委員は御欠席でございます。
 また、本日はヒアリングのために、長野県茅野市教育委員会より藤森様、有限会社BACHより幅様、子ども司書推進プロジェクトよりデュアー様、高校生直木賞実行委員会より伊藤様に御出席いただいております。ありがとうございます。
 それでは、事務局より資料の確認をお願いいたします。

【小沢青少年教育課体験活動推進体験活動推進専門官】
 本日もお手元のタブレットを活用しながら進めさせていただきたいと思います。
 お手元のタブレット、本日の資料、資料0の議事次第から資料5まで掲載されている状態になっているかと思います。適宜、該当する資料を開いていただいて、御覧いただければと思います。
 また、机上に座席表と、念のために端末のクイックガイドを用意させていただいております。
 また、併せて張替委員から、東京子ども図書館のパンフレットなど、資料配布の御希望がございましたので、同じく配布しております。
 また、後ほどヒアリングの際にも御発表があるかと思いますが、子ども司書推進プロジェクトのアンドリュー・デュアー様から、子ども司書マニュアル配布の御希望がありましたので、それも併せて配布させていただいております。
 あと、フリーズやタッチパネルが反応しないなど、不具合がございましたら、電源を切らずに事務局までお声掛けをお願いいたします。電源を切りますと資料が全部消えてしますので、御注意ください。
 以上でございます。

【秋田座長】
 本日の流れでございますが、まず、長野県茅野市教育委員会の藤森様より、基礎自治体における読書活動推進の体制について御発表いただきます。
 次に、有限会社BACHの幅様より、本と出合うための環境作りについて御発表いただきます。
 そして続いて、子ども司書推進プロジェクトのデュアー様より、子ども司書養成を通した読書活動推進の取組について御発表いただきます。
 最後に、高校生直木賞実行委員会の伊藤様より、高校生が本について議論し、自分たちなりの一作を選ぶという取材について御発表いただきます。
 各発表の終了後に質疑応答の時間を設けますが、全ての発表が終わった段階で、まとめて質疑や議論を深める時間をとりたいと思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それではまず最初に、長野県茅野市教育委員会生涯学習課長の藤森様から御発表いただきます。
 藤森様、よろしくお願いいたします。

【藤森様】
 おはようございます。長野県茅野市教育委員会生涯学習課長の藤森と申します。こども読書活動応援センター長も兼務しております。
 現在、茅野市も第3次こども読書活動推進計画を策定中ということで、来年3月までに策定しなければいけないという状況になっています。
 それでは、茅野市の子供読書活動について発表いたします。資料(1-2)を基に、パワーポイントで要約したもの(資料1-1)で説明いたしますので、よろしくお願いいたします。
 読書と茅野市教育大綱の関係ですが、茅野市の教育理念は「21世紀を切り開く心豊かでたくましく、やさしい、夢のあるひと育ち」を目指して、全ての教育活動の基盤に読書・図書館教育を据えております。
 基本方針ですが、四つ柱がございますが、こちらにつきましては資料(1-1)を御確認していただきたいと思います。
 続きまして、子供読書活動推進のための施策ということですが、子供の発達段階別施策の推進ということで、茅野市では発達段階別に各期の特徴とその時期に大切なこと及び具体的な施策を決め出して進めております。
 胎児期の関係ですが、こちらについては別資料(資料1-2)の2ページを御覧いただきたいと思うんですが、「おなかの中の赤ちゃんに優しく肉声で語りかけたり、本の読み聞かせをしたりすることにより、心地よい思いや安心感を与えます」ということで、具体的な施策については、また資料を御覧いただきたいと思いますが、その中の2番目に書いてあります「おなかの赤ちゃんおはなし会」については、市立図書館で毎月第3土曜日、午後1時30分から2時まで読書ボランティア「おはなしくれよん」さんの協力によって、おなかの赤ちゃん向けのおはなし会を開催しています。
 おはなし会に参加した妊婦さんの感想なんですが、お話を聞いている間、ずっと赤ちゃんが動いていて、お話に反応して楽しんでいたようだったので、家でもおなかの赤ちゃんに絵本の読み聞かせをしたいなどと感想を話していただきました。
 それから、乳児期の関係、0歳から2歳につきましては、資料(1-2)2から4ページで見ていただきたいと思いますが、「肌のぬくもりを感じながら肉声での語りかけや歌、読み聞かせなどによる絵本との出会いを楽しみ、親子のきずなを深めます」ということで、具体的施策の1番目にあります「読書の森 読(ど)りーむinちの」によるファーストブックプレゼントになりますが、茅野市では2000年、平成12年ですが、全国に先駆けて赤ちゃんに絵本を贈るファーストブックプレゼントを、公民協働による読りーむinちのが主体となって始め、現在までに1万8,800冊、プレゼントいたしました。
 赤ちゃんに2冊の絵本が贈られます。1冊目は出生届けを出しにきた市民課の窓口でまず渡し、2冊目は健康管理センターでの4か月健診のときに渡しております。また、4か月健診では、スタッフがまず読んで聞かせて、その後、おうちの人に読んでもらっております。
 こちらにつきましては4か月健診時に行われたファーストブックプレゼントでの感想なんですが、「直接本を渡されたとき、とてもうれしく温かさを感じていました。まだ4か月の赤ちゃんですが、1ページずつ広げて見せていただいたときは、とても興味深げにじっと見ていました。私も感動しました」というお母さんからの感想を頂いております。
 続きまして、幼児期、2歳から6歳、保育園・幼稚園期ですが、こちらは資料(1-2)の4から5ページを見ていただきたいと思います。「語りかけや読み聞かせなど、耳からの言葉を十分に楽しみながら、ことばの力や感性を伸ばし、友達との遊びの中で様々な体験を広げます」ということで、具体的施策の1番にあります保育園による朝の絵本の時間ということで、暮らしの中に本があるということ、大人が読んでやること、子供を本好きにするのに、これ以外の、そしてこれ以上の手立てはない。そんな思いで絵本の読み聞かせを毎日行っています。
 昨年度、早稲田大学教授の森山先生が視察にこられまして、次のようなお話をされました。絵本の時間が来ると、「おはなしジュウタン」の上に園児が座り、先生の後ろに紺色の「おはなしカーテン」が引かれます。正にお話を聞く空間ができています。その先生は職員会議の折にも研修しているとのことで、見事な読み聞かせに、子供たちはすっかり集中していました。日頃の取組を感じましたとの感想を頂いております。
 続きまして、児童前期ということで、6歳から8歳、小学校低学年時、資料(1-2)5から6ページを見ていただきたいのですが、「聞く読書から読む読書へと関心を広げ、自らの読書活動を楽しみます」ということで、具体的施策の1番目にあります小学校におけるセカンドブックプレゼントについて話します。
 小学校入学時に全ての1年生に本を贈るセカンドブックプレゼントですが、2005年にスタートしました。これも読りーむinちのを中心に、教育委員会生涯学習課と連携して行ってきました。市長、教育長などの行政関係者、民生児童委員、地域の役員、地域ボランティア、読りーむinちの等、多くの皆さんによる手渡し会を行っております。現在までに6,834冊、子供たちに渡っております。
 この場面は市長が読み聞かせをしているところです。
 次のページは、行政、地域役員、ボランティアによる手渡し会が行われたときの写真です。手渡し会に参加した民生児童委員の方の感想では、きらきらと輝く子供たちの姿に感動いたしました。手渡しのときに子供たちが家庭で本を読んでもらっていると聞き、読書が定着していると感じました。親が全員そろっていて、親の読み聞かせを熱心に聞く姿に感動しました。先生が注意してもなかなか聞けない子供が、親の前では熱心に聞く姿はすばらしかったです。この活動の旨を十分PRして、市民が更に理解、協力していくことを期待しますという感想を頂いております。
 続きまして、児童後期、8歳から12歳、小学校中高学年、資料(1-2)は6ページから7ページになりますが、「幅広い読書活動をし、最後まで読み通す力をつけ、考えを広げ深めます」ということで、具体的施策4番目にあります読書参観日についてですが、小中学校ともに年1回の読書参観日を行っています。保護者、家族や地域の方々が読書参観を参観することによって、子供の読書活動の様子を観察し、茅野市が読書を大切にしていることを理解するとともに、家庭や地域での読書の在り方を考える場としています。
 読書参観日の内容につきましては、パワーポイント(資料1-1)を見ていただきたいのですが、このように、各学校では工夫して読書参観日を実施し、その後、学級懇談会等で話題にしております。
 これは、とある小学校の3年生の親子読書の様子です。出席したお母さんの感想ですが、今日は親子読書でした。うちの子は『いいことがありました』という本を読んでくれました。家では私に読んでくれることが余りなかったので、どうなるか心配しました。最初は緊張気味であったのですが、本の中でネズミの子が何度も練習してやっと逆上がりができたところは、何かうれしそうな表現でしたので、思わずすごいと思いました。家でも今度は私が読んであげたいという感想を頂いております。
 続きまして、思春期、12歳から15歳になります。資料(1-2)7から8ページをお願いしますが、「目的をもって読書活動をし、知識を広げ、考えを深めたり、読書活動による感動を体験したりすることを通して、これからの人生をより豊かに生きるための力を付けます」ということで、具体的施策の2番目にあります学校図書館を利用した調べ学習ですが、茅野市では、各学校に教科等で利用する学校図書館年間利用計画を作成させて、その実践を通じて、次年度への修正等を行っています。
 とある中学校における総合的な学習の時間の単元「残食について考えよう」では、図書館を活用して、世界の食糧問題への対策や、そこに関わる人たちについて調べることを通して、地球規模に視野を広げて考える授業を展開しました。感想については御覧いただきたいと思います。
 続きまして、活動の場ごとの施策の推進ということで、資料(1-2)8から9ページをお願いします。子供の読書活動を推進するに当たって、それぞれの行動する場所ごとの具体的施策を示すことにより、それぞれの場所でやるべき施策を確認し、推進することとしています。
 今回は、小中学校の読書活動、読りーむinちの、こども読書活動応援センターについて紹介いたします。
 まず、小中学校の読書活動の要になる学校図書館についてですが、学校図書館長に学校長を任命することについて、説明いたします。まず、その経過についてですが、2011年、平成23年ですが、泉野小学校で読書教育研究会のシンポジウムがありました。その最後に、前の牛山教育長から提案がされ、その後、教育委員会で検討され、翌年2012年4月に任命することになりました。学校長を学校図書館長に任命するために至った主な内容ということで、学校における読書推進をするためには、学校ぐるみでやらなくてはいけない。司書教諭、学校司書、担当者に任せてはいけない。全ての先生が学校図書館に興味を持ってほしい。自分の教科の基盤は学校図書館にあると思ってほしい。学校図書館は学校教育における総合的な学習センターでなければならない。学校図書館は読書によって子供を育む場にしてほしい。学校図書館は教育課程と深く関連があるので、それをつかさどるのは学校長であるというような経緯があります。
 学校長が図書館長となっての読書活動の関係ですが、校長が学校図書館経営方針を作成し、具現化している。また、図書館運営委員会、図書選定委員会の設置。読書センター、情報センター、学習センターを生かした読書。例外なく毎朝行う朝の10分間読書。保護者や地域の人に見学してもらう朝の読書見学会。家庭読書を促すセカンドブックプレゼント。それから読書研修の充実と実践ということで、転入教職員の読書教育研修会、読書教育研究指定校による読書教育公開研究会、中学校区における読書教育研究会、各校による読書研修会等を行っております。
 それから、各場における読書活動の実際ということで、資料(1-2)10ページを見ていただきたいんですが、読りーむinちのの関係になりますけれども、2000年7月に行政とパートナーを組んで活動する公民協働の読書活動推進組織「読書の森 読りーむinちの」が設立しました。読書活動の楽しみを生かし、子育てや家庭、保育園、幼稚園、学校、図書館などの読書教育活動に実際に関わりながら、全ての子供が将来にわたって豊かな読書生活ができるように応援を続けています。
 市民と行政が一体となった工夫ということで、行政とパートナーシップを組んで活動する公民協働による読書推進組織を作る。読りーむinちのの活動費を補助する。ファーストブック、セカンドブックイコール家庭読書への種まきになってきます。また、事務局を教育委員会の生涯学習課、こども読書活動応援センターに置く。また、読りーむinちののメンバーが他の読書ボランティアに所属している。地域の方々と一緒に行う読書ということで、例えば月夜のおはなし会ですとか、地域での読み聞かせ、お寺等を利用したおはなし会も行っております。
 こども読書活動応援センターの関係ですが、(資料1‐2)10ページから11ページを見ていただきたいのですけれども、2012年、平成24年に子供の読書活動推進に関する総合的な連携推進及び連絡調整に係る事務に携わるセンターとして設置いたしました。読りーむinちのなどと連携しながら、保育園、幼稚園、学校、家庭、地域などでの子供のための読書推進活動の応援をしております。
 保育園、幼稚園の朝の絵本の時間や小中学校での朝読書の時間の応援、助言。それから学校図書館の運営・研修に関する支援・相談。学校図書館利用の促進と調べ学習の研修。また、読りーむinちのの事務局を置き、連携と調整をしております。
 読書活動の成果・効果ということで、資料(1-2)の11ページですが、子供たちの集中力が高まってきた。人の話を集中して真剣に聞く姿が多くなってきた。読書することが好きで、不読者という方はいない。子供たちの表現力や発言力が高まった。家庭読書が比較的望ましい環境になりつつある。家庭での読書、小学校81%、中学校68%。家庭で本を話題にするが、小学校51%、中学校42%というデータが出ております。それから、ブックプレゼントによって、保護者の読書意識の関心が高まってきた。また、本を読む学校ほど学力が高い傾向にあるという成果・効果が出ております。
 最後に、子供読書活動推進での課題と方向についてお話しします。
 一つとして、茅野市こども読書活動推進計画の理念と方法及び経緯の確認ということ。
 それから、読りーむinちの、読書ボランティアグループのメンバーの高齢化と新鮮さが若干薄れてきておりますので、若いメンバーの勧誘と組織の若返りを図る。
 それから(3)として、発達段階における読書活動の一体化を図るために、幼保小連携と小中一貫を見据えた読書活動を行っていく。園から中学校までの読書カリキュラムの作成。
 それから(4)として、こども読書活動応援センターが機能的に働くように、茅野市読書グランドデザインを作成し、読書で目指す姿、3か年重点目標、他の機関等との連携をまとめるということが、現在での課題と今後の方向ということになっております。
 説明につきましては以上です。よろしくお願いします。

【秋田座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、質疑応答を5分ほど時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【張替委員】
 どなたもいらっしゃらないなら。

【秋田座長】
 張替委員、お願いします。

【張替委員】
 本のプレゼントに関しては、どのような本を、どのような選考過程で決めて、選ばれているんでしょうか。子供の希望に沿ったようなものなのか、ある一定のリストがあるのか。

【藤森様】
 リストは、今、手元にないもので、申し訳ないんですが、読りーむinちのという公民協働の組織の中に、ファーストブックプレゼント及びセカンドブックプレゼントという部会が当然ありまして、その中に選書委員会がございます。その選書委員会にいろいろなメンバー、知識を持った方がおられますので、そういった方々とどういった本を渡すのがいいのかということで、選書委員会において決定しております。
 ただ、現在、セカンドブックの関係は多分30冊程度あると思うんですけど、そうそう変わるものではございませんので、現在、欠品になっている本が若干出つつあると聞いていますので、それについては、来年度、また選書委員会においてどのような本を選定するかということで進めたいと思っているわけですが、今のところはそのような形で本の選定を行っております。

【張替委員】
 ということは、最終的に幾つかの中から、子供が選べるということですか。

【藤森様】
 子供が手にするためにはということですか。

【張替委員】
 はい。

【藤森様】
 それは、当然、リストの中から選んでもらう形で、リストを提示しておりますので、そこから選んでもらっております。

【張替委員】
 分かりました。ありがとうございます。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木委員】
 学童期の取組についてなんですが、2点ほどお聞きします。
 一つは、朝の読書の時間についてなんですが、最近、学力向上という一つの課題もある中で、例えば教職員の中に、もっと学習の時間に朝の時間を使いたいとか、そういった声は上がってきたりはしていないかということと、もう一つ、家庭読書の日を設定しておりますが、本県でも会議のときに、低学年ではよく取り組まれているが、だんだん学年が進むにつれて、そのあたりの取組が少なくなってきているというお声がありました。茅野市さんではそのあたりはどうなのか。また、継続してそれが取り組めるように何か手立てがあれば、お聞かせいただければと思います。

【秋田座長】
 お願いいたします。

【藤森様】
 まず1点目は、朝の読書の関係で、教職員の方の意識ということですかね。現段階においては、茅野市ではほとんど、異動してきた方も研修等を通じて周知されておりますので、その辺、問題はないと今のところ聞いておりますが、ただ、懸念しているのが、今後、カリキュラムの中に英語教育だとか、そういうものがどんどん取り入れられてくるということで、それについて、読書との関係がどうなるかというのは、今後、見ていかなければいけないかなと思っておりますが、現段階では教職員からそのような声は聞いておりません。
 それからあと、だんだんと年齢を重ねるごとということなんですが、茅野市の場合、中学生程度まではまだ、家庭読書とか、そういうものは順調に進んでいると私は理解していますが、その後の高校生の段階になるとちょっと弱いのかなと、私もそのように感じております。
 お答えになったか分かりませんが、そのような状況です。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。
 よろしいでしょうか。それでは、藤森様、ありがとうございます。
 次に、有限会社BACH代表取締役の幅允孝様から御発表いただきます。
 幅様、よろしくお願いいたします。

【幅様】
 有限会社BACH代表取締役の幅允孝と申します。今日はよろしくお願いします。
 僕が今日、なぜ呼ばれたのか、ちょっと分からないところもあるんですけれど、ふだんどういう仕事をやっているのかから説明させてください。
 BACHという会社をやっております。いろいろなところに図書館や本屋さんを作る仕事、それのプロデュースというとありていなんですけれど、そこを使うであろうユーザーにインタビューをして、どんな本がいいのかの選書をして、本を仕入れて、持っていって、並べるまでというものをやっております。
 ちまたではブックディレクターと呼ばれる職業でして、名刺には書いていないんですけれど、昔、「情熱大陸」という番組で取り上げていただいたときに、職業名がないから放送できませんと言われまして、毎日放送のプロデューサーがその場所で、じゃあ、本でいろいろやっているからブックディレクターねと言ったら、あたかもそういう職業が存在するかのようになってしまってテレビの恐ろしさを感じております。
 でも、何をやりたいかというと、最近は検索型の世の中なので、人は知っている本しかなかなか手にとらないんですけれど、知らない本を手にとるオポチュニティー、機会をいろいろな場所に点在させようと思って仕事はさせていただいております。
 例えばなんですけど、今年はJAPAN HOUSE SAO PAULOというサンパウロに外務省が作った日本の文化を紹介する施設にライブラリーを作らせていただいたりとか、志摩観光ホテルザクラシックのラウンジにライブラリーを作ったり、トヨタ博物館のCARS & BOOKSという、愛知県長久手にありますトヨタさんがやっている博物館の中にブックアンドカフェみたいなものを作らせていただいたり、Panasonic Wonder LAB Osakaという大阪の門真にあるパナソニックという会社のAIの研究所の中に、そこの研究所の所員の方が使うようなライブラリーを作ったりしています。
 先ほども言ったように、今はどうしても知っている本しか手にとらないというときに、知らない本をどうやったら手にとってもらえるのか。もちろん選書というものもすごく大事なんですけれども、選んだ本の差し出し方というのが、脇を丁寧にしてやらないと、なかなか届かないのではないかなと思っています。
 僕たちの場合は、例えばこういうところのサインをどういうふうにするかとか、あと、本の並べ方もNDCの分類にはよらず、かなりシャッフルといいますか、編集型の本棚をやるんですけれども、都度、サイトスペシフィックに工夫をしながら、とにかくまず手にとってもらう、そういうモチベーションというんですかね、好奇心みたいなものをどうやって誘発するのかということで仕事はさせていただいています。
 ですから、実は私は特に子供の本に特化して仕事をやっているわけではないので、果たして今日のお話が似つかわしいかどうかは分からないんですが、とはいえ、幾つか御依頼があった中で、子供たちのための選書というものもやってきました。
 例えば左上にあるギンザのサエグサという銀座で続く老舗の洋服屋さんの中に本を売るようなコーナーを作ったり、わかば塾という広島の福山にあります学習塾。これはすごくユニークな学習塾で、本屋さんの中に学習塾がテナントして入っているんですけれども、そういう場所のライブラリースペースを作ったりなど、いろいろなところをやっております。
 私たちが子供たちに向けて本を選書するときに、どういう骨子、どういう考え方でやっているかというと、一言でいうと、子供だからといって、子供をなめないというんですかね、それをすごく大切にしています。
 そもそも自分の子供が生まれたときに、この1冊の本が家に置いてあったことが、実は子供の選書に関する自分にとってのエポックメイキングな出来事でした。これは、アンリ・マティスの『JAZZ』という作品集です。
 こんな形で、マティスが晩年に絵筆を捨てまして切り絵を始めたときの作品です。彼は晩年、輪郭の問題にすごく悩むんですけれど、絵筆を作ったり、輪郭をどういうふうにきれいに表せるかというときに、色紙を切っていくという切り絵をすることによって、彼なりの作品表現ができた。ジャズ的即興でどんどん切っていって、こういうものができたんですけれど、これをどんどん見ていくと、とにかくすごく鮮烈な色の連なりなんです。こんな感じで、すごく色鮮やかできれい。
 そうすると、うちの子供は、赤という色をちょうど覚えたあたりだったんですけれども、赤のところを指して……、こういうときに都合よく赤が出てこないんですけれど、要はこうやってぱらぱらめくっていくうちに、赤、赤と、赤という色が来るたびに赤を指して、大喜びで、これ、赤だみたいな感じで興奮しながら、やっと出ました、赤。赤、赤という感じで、めくってめくって、赤という色を指差すゲーム用に急に使い出したんですね。
 それが本人的にもすごく面白かったのか、どんどんページを繰っていくにしたがって、赤じゃない色まで赤とか言い出しまして、紫っぽいのを赤とか言い出して、最後は、赤、赤といって、興奮して自分の道具箱をすたすたと持ってくると、赤いクレヨンを取り出して、赤の上に赤をぐっと急に塗り始めたんですよ。
 おいおい、これ、高い本だぞと言ったら負けだなと思いまして、うーんとちょっと複雑な思いで、塗り絵、面白いよなみたいな感じで、今ではそれが宝物になっているんですが、要は、言いたいことは何かというと、彼はマティスの晩年の輪郭の問題がどうこうとか美術の文脈は全く知らなかったんですけれど、やはり鮮烈な色の連なりとしてこの本にすごく感銘を受けた、面白かった。その彼の感覚みたいなのを見たときに、自分たちはどちらかと言うと、企業図書館だったりとか病院の中のライブラリー、大人に向けて選書することが多かったのですが、同じような目線で子供たちにも接することができるんじゃないかと思った次第です。
 ですから、これらの子供の本の仕事も、もちろん絵本を中心にしながら、それ以外の本もすごく大切に、子供って付き合うと分かるんですけど、子供扱いされるのをすごく嫌いますので、あえてそうではない本も入れるようにします。
 例えばこの丘の上保育園というところにも、ある本を持っていきました。これはティム・ウォーカーというイギリスのファッション写真家のファッション写真です。丘の上保育園というのは静岡県沼津にあります保育園なんですけれど、ここを新設されるときに、理事長さんがすごく本が好きな方なので、子供たちのためのライブラリーを作ってほしいという依頼を受けました。
 僕たちは、いろいろ選書をする段、要は好きな本を持っていってもおせっかいにしかならないので、とにかくそこを使うであろうユーザーとなる人にインタビューをするんですね。インタビューするときも、アンケートとかでどの絵本が好きですかとか、そういうのをとるのではなく、いろいろな本をとにかくランダムに持っていって、そこでこんな本があるよ、こんな本があるよと説明しながら、つまり、答えを聞くというよりは、いろいろなキーブックの感触を探りながら選書を進めていきます。
 と言ったときに、実は前から聞いていたんですけれど、とにかく今の女の子、特に年中、年長さんぐらいから、ファッションにものすごく興味があると聞きました。昔、僕が幼稚園とかに通っていた時代はなかったんですが、今はおもちゃ箱にドレスとかが入っていて、お休みの時間とかにそれに着替えてコスプレをするとか、そういうのが本当に好きなんです。要は、プリキュアのそういう変身のドレスとか、そういうのでは飽き足らず、とにかく自分がきれいに見えるということ、新しく変貌するということにすごく興味があるんだなと思いました。
 そういう意味では、例えば『わたしのワンピース』のような昔から長く読み継がれているようなウサギとワンピースの絵本などもいいと思ったんですが、一方で、じゃあ、子供たちにあえてこういう大人が見るようなファッション写真を見せてみたらどうなるかと思って、それでインタビューのときに持っていきました。
 このティム・ウォーカーを選んだのはなぜかというと、実は彼は、ファッション写真の最前線を張っているというだけではなくて、ちょっと見ていただくと分かるんですが、寓話(ぐうわ)を元にしたファッションストーリーを作るんです。例えばリンゴが1個落っこちていて、小人みたいなのが倒れているとすると、これ、白雪姫を元にしたファッションストーリーなんじゃない? とか、例えばトランプの兵隊みたいなのが現れると、これってひょっとしたら『アリス・イン・ワンダーランド』なんじゃない? であるとか、つまり、子供たちにとって親和性があるような物語がファッション化されているというところが、このティム・ウォーカーという写真家の作品を選んだ理由です。
 持っていくと、当然のことながら保育士さんとか、どん引きなんです。ちょっと英語は苦手ですとか、こんな高そうな本はよく分かりませんとか、そんな感じで言われてしまったんですが、このページかな、そうです、この辺のページを5歳、6歳の女の子がわーっと見ていたときに、保育士さんとかはどん引きなんですけど、子供たちは本当に熱狂して、これを着てお嫁にいくみたいなことをすごく話していた、もう叫んでいたに近いんですけれど、それがすごく私は印象的だったんです。
 というのも、これはクリスチャン・ディオールというメゾンのドレスで、多分値段にするとすごく高い、だけど、彼女らはそれも特に知らずに、とにかく美しい白いドレスをしていっている。ひょっとしたら、クリスチャン・ディオールのメゾンの歴史とか値段とかお母さんが何か言っていたとか、そういう情報がどんどん文脈が入ってくると、そんな素直にこれを着てお嫁にいくって言えなくなるかもしれないんですが、今だからこそ、純粋無垢(むく)に物を見られるそのタイミングだからこそ、これというものがその人にすごく素直に染み込んだんじゃないのかなって僕は思えたんです。
 そういう意味で、実はあるものをものすごく曇りなき眼みたいなので見られるタイミングって、そんなに長くないんですね。そういったときに本物をちゃんと見せてあげることがすごく大事なのではなかろうかということで、それで、もちろんこういうものは高価ではあるので家ではなかなか買えないんですけど、例えば保育園に置いておいてはどうだろうかと。
 例えば同じ丘の上保育園ではウルトラ怪獣の本とかも置いてあるんですが、ウルトラ怪獣、どうしても子供用のボードブックだと怪獣が10体、12体ぐらいで終わってしまうんですが、ちょうどその頃、円谷プロが50周年記念か何かでウルトラQからウルトラセブンの息子のウルトラマンゼロまでの全ての怪獣を、オールカラーで、ちゃんとキャプションを付けて紹介するような本を出した。7,000円もするから家では絶対買えない、だけど、保育園にその本が置いてあると、やっぱりあるだけ覚えてしまうんです。本当に怪獣の驚異的な博士みたいなものが誕生したりしましたと。
 何をやっているかというと、自分たちは本をお勧めするときに、すごく結び目というものを大切にしたいなと思っています。例えばですが、児童文学のワークショップで、私がスティーブンソンの『宝島』をリコメンドしたいと。もともと僕、水泳部でしたし、海が好きなんで、海洋冒険譚(たん)としてすごく何度も読んだんですが、残念ながら、今の小学生にスティーブンソンをぱっと見せて、これはこういうお話だよと言っても、まあまあ、好きな子はちょっとあれかなと思うんですけれど、なかなか興味を持ってくれないんですよね。それはまだ僕のレコメンデーションがおせっかいでしかない段階。
 だけど、そのおせっかいが親切に変わる境界みたいなのが自分はあると思っているんですけど、そういうときに何が重要かというと、子供たちが両手の中にあるものと自分が勧めたいものを結び付けてあげることがすごく重要だと思っています。
 スティーブンソンを読みたい人って子供に直接手を挙げさせても、うーんっていう感じでほとんどいない。ある子とか、退屈そうに鼻くそとかほじくっているんですけど、だけど、分かった、スティーブンソンの話はやめて、海賊の話として『ONE PIECE』の話をしましょう、『ONE PIECE』、好きですかというと、はいはいとみんな手を挙げる。やっぱりだてに日本で一番売れている本じゃないといいますか、ほとんどの子供たちは『ONE PIECE』を好んで読んでいるんです。
 だけど、『ONE PIECE』もスティーブンソンの『宝島』も、史実の海賊史に基づいているので、登場人物の造形といいますか、そういうものは実は近いものがある。例えばですが、『宝島』に出てくるジョン・シルバーという片足のコックをやっていた海賊がいるんですが、ジョン・シルバーというのは『ONE PIECE』の中でいうと、麦わら海賊団の黒足のサンジの師匠に当たる人が実は同じ造形で出てくる。そうすると、ほら、これ、同じ、ジョン・シルバーみたいな人がここにも出てくるよというと、なるほど、なるほどとか、ほかにも、要は共通項みたいなものを少しずつ子供たちに開示していくことによって、今まで全く関係がないと思っていたものが、少しずつ関係を結んでくるのではないのかなと思います。
 あとほかに、『ONE PIECE』の作者の尾田栄一郎さんという方が、あるイベントで自身が影響を受けた本としてこの『宝島』を挙げていたというエピソードを話すと、急に子供たちも、今までふふんと鼻くそほじくっていたのが、あの尾田っちがとか何とかいって、すごくまた親和性を感じてくる。
 やっぱり今の時代、習い事が忙しい、忙しいと子供は時間もなければ、これだけ情報、物がある中で、時間の奪い合いが激しい中で、この1冊を関係あるものと思ってもらうのってどうしたらいいかといったら、自身が好きなものとの結び目みたいなものをしっかり作ってあげることが大切なのじゃないかなと思いながら、やっています。
 ですから、先ほどのティム・ウォーカーであれマティスであれ、別にそれがよい本かどうかは分からないんですけど、少なくともいろいろな本の可能性みたいなものを広げていくという意味で、結び目を作りながら本をレコメンデーションしていくことは大事だと思っています。
 あと幾つかの事例をお話しさせてください。これは高木学園女子高等学校という菊名にある女子校の図書館のリニューアルを依頼されたときのお話です。理事長が本が好きな方なんですけど、やはり女子高生が本を読まない。じゃあ、どうしましょうと図書館を見にいったんですが、実は図書館が旧校舎にありまして、生徒たちは今、新校舎にいる。そうすると、旧校舎まで5分くらい、ちょうど節電中なんですけれど、暗い廊下をたどっていかないと図書館にたどり着かないんですね。
 やはり図書館にわざわざ行く習慣がない人たちがこれだけ多いのに、図書館をきれいにしても駄目なんじゃないでしょうかと。そういうわけで、図書館の本を新校舎に持ってくるようなことをしてはいかがでしょうかということをやりました。本に向かっていく人がいない場合は、本の方から人がいる場所に寄っていくことがすごく重要なんじゃないかなと思います。
 これはそういう意味で、エレベーターに入るラック、下に滑車が付いているんですけれど、そういうラックを作りまして、イメージとしてはアジアの屋台的な感じで、これらもNDCに分類されず、ワンテーマでいろいろな本を紹介します。
 例えば猫みたいなテーマがあると、じゃあ、岩合光昭さんの写真集もあれば、内田百間の『ノラや』もありますし、『熊谷守一の猫』の本みたいなものもある、様々なオールアバウト猫みたいなものでいろいろなジャンルのものを集めてみたり、あとは一番人気があったのはお肉の本でした。最近の女子高生はお肉が大好きらしくて、お肉の図鑑的なものもあれば、食育的なものもあれば、いろいろなジャンルで、でも、その辺のテーマの対話をしながら、肉本を今回は集めようとか、犬本を集めようとか、旅に関する本を集めようとか、そんな調子で選書は進めていきました。
 時間がなくなっちゃったので、これぐらいで大丈夫ですかね。
 あともう一つ、最後にお話しさせてください。これは毎年、ゴールデンウイークに東京ミッドタウンという商業施設でやっているパークライブラリーというイベントです。これは商業施設で本をピクニックバスケットに入れて貸し出すというサービスをやっております。東京ミッドタウンのタウンマネジメントとしては、とにかくお客さんの滞留時間をのばしたいということで依頼があって、私たちが企画したものです。
 これはパークライブラリーという名前なんですけど、本棚があるわけではなくて、本当にピクニックバスケットの中に本が3冊と敷物が入っておりまして、名前と電話番号を書くと貸し出して、フリーで本を楽しんでいただけるという施策です。芝生広場にばっと敷物を広げて、本を楽しんでもらえる。
 このバスケットには1個1個名札が付いています。中に入っている本を示唆する。例えばこんなところに行きたいなだったら、次の旅先を探すための本が幾つか入っていたり、庭作りみたいな本があったら、例えばいとうせいこうさんのベランダで植物を育てる本があれば、デレク・ジャーマンの庭の本もあるし、辰巳芳子さんの庭でとれたもので御飯を食べようみたいな、やわらかい本、難しい本、もっとやわらかい本という3種類ぐらい、かなりバリエーションを付けて選書しています。
 これが面白いのは、本好きの方は借りていっていただけるんですけれど、そうじゃない方も借りていってくれます。それはなぜかというと、敷物がただだからという理由で借りていくんです。向こうで500円で売っているんですけど、敷物がただだといって借りていく。そういう方、結構男性の一人とか、でも、子供も結構いるんですけど、ばっと広げます。ばっと広げると、まず何をするかというと、皆さんから言わせるととても不届きだと思うんですけど、本を3冊、三隅に置いて、最後、四隅目にピクニックバスケットを置いて、場所を確保するんです。
 近くにすごくおいしそうなカレーの屋台とか、そういうのが出ているので、そういうものをやったり、大人の方はワールドハイボールバーとかにハイボールを買いにいったりとかして、要は5月の陽光のきれいなときにピクニックをしている。
 それだけで終わってしまっては残念過ぎるお話なんですけど、一方で、ものすごく寝ている方もいらっしゃれば、それですごく気持ちよさそうにしている方もいるんですね。5月の陽光が気持ちいい、芝生もよく調整されている。例えば男性の大人の一人の方だと、奥様とか子供はきっと買物中でいない。すごいふわっとしていると、どうするかというと、目の前の重しを開くみたいなことが起こるんです。
 数年前にやったときに僕がお話しした方は、ぱっとそれを開かれて、本を開いたのは四、五年ぶりだなとか言いながら開く方がいました。やっぱり本に携わる者としては、四、五年本を開かない方がいることにも驚きだったんですけれど、でも一方で、四、五年ぶりに開く機会ができたということはすごく大きいと思いましたし、50個のバスケットが1日大体8回転するので、3冊×50×8で、1日1,200回、人が知らない本をとる機会みたいなものを作っている。
 あともう一つ思うのは、確かに屋外で本を扱うことに対して、ダメージだったりとか、その辺のリスクは当然ありながら、やっぱり僕がこういうことをやって思ったのは、身体的に楽な状態を作らないと精神的な余白って生まれなくて、新しい本に手を伸ばそうというのはなかなか思ってくれないんじゃないか。要は、いつも本を読むということは、デスクに向かって学ぼうとか何かを吸収しようみたいなモチベーションが多い中、もう少しいろいろな種類の読書体験というか、いろいろな種類の読書のやり方、その多様性みたいなのが可能になってもいいのかなと思ったりしております。
 すいません、長々となっちゃったんですけど、こんな感じで終わらせていただきます。

【秋田座長】
 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答をお願いいたします。
 よろしゅうございますでしょうか。そうしましたら、後でたっぷり時間が、また御議論や質疑のところで取り上げて御議論いただければと思います。
 幅様、ありがとうございます。
 それでは続いて、子ども司書推進プロジェクト代表である東海学院大学教授のアンドリュー・デュアー様から御発表いただきます。
 デュアー様、よろしくお願いいたします。

【デュアー様】
 では、よろしくお願いします。子ども司書制度について、結構話す内容が多く、私も忘れっぽいので、かなり文字の多いパワーポイントになりましたけれども、頑張って時間内に話します。
 まず、子ども司書とは何なんでしょうか。子供同士の読書リーダーと考えています。しっかりした養成講座をした上で、司書の仕事とか図書館の仕組みとか魅力的な本の紹介の仕方とかをどういうふうにすればいいかということを教えておいて、子供たちが自分の生活の中でほかの子供に触れるということを考えています。
 講座を開くことはかなり簡単です。実際にほとんど予算の掛からないものです。しかし、参加する子供たちにとって、講座でまず自分が読書が好きということがすごく強く肯定されて、やった上で自信がかなり与えられますので、そこから読書が好きな子供を通して生活していくというのはとてもいい体験になります。
 その子供は、認定書を握って、自分の学校とか学童クラブ、子供会とか街ライブラリーとか家庭、いろいろなところで読書の流行の起爆剤という感じになっていくというのがコンセプトです。
 友達が読んでいれば、自分も読みたくなります。興味を持ちます。読む友達の輪が波紋のように広がっていくと考えています。多くの子供がその波に乗って、一緒に読む子になっていきますけれど、その波紋を最初に起こす投げ込まれた小石というのが、子ども司書と。
 子ども司書制度の誕生は、2009年にさかのぼって、福島県矢祭町です。「もったいない図書館」ができたところで、どうやって生かすか、子供をもうちょっと中心にしていく方法がないのかということを考えているときに、当時の教育長の高信由美子さんと、そっちにいらっしゃる家読推進プロジェクトの佐川さんがこれを考えました。
 子供同士の力を生かして読書への関心を高めるために、その当時の講座は1年を掛けて、実は40時間ぐらいの講座になりましたけれども、子ども司書を養成しました。まちの関心が非常に大きかったのと、当時、新聞などの報道もかなりあって、その結果、たちまち全国でそれをまねする自治体がたくさん出てきて、次の年には六、七ぐらいのところで始まって、そこからどんどん広がっていって、今は、インターネットで確認できるところでは少なくとも100か所あって、実際には公表していないところもほかにたくさんあると思っています。
 現在、子ども司書という名称のほかに、ジュニア司書とか小学生読書リーダーとか図書館マスターとか、様々な名前でやっていますけれども、私たちとしては、子ども司書というのは、聞いた瞬間にこういう意味だなというのが察知できるもので、広く知られるようになってきましたので、これを進めています。
 制度の狙いとしては、まず、私の考えになりますけれども、子供が読みたくなるには三つの条件があって、一つは、環境があること。次に、読むきっかけがあること。そして、読みたい本に出合うことです。
 環境については、学校とか図書館とか家庭というふうに、今まで大分整備してきています。行きやすい図書館とか本のある教室、読みたい子供のための時間と場所が用意してあれば、あとは家庭ではテレビのない時間とか寝る前の読書タイムが用意してあって、食事しながら会話をするとか、家の中にいつでも使える本棚があるとか、自分だけの図書館カードを持っているとか、こういうことは環境の整備になって、これは非常に重要ですけれども、読むきっかけとなりますと、そして、読みたい本に出合うというのは、大人として手掛けるところもありますけれども、子供同士の力をかりることが非常に効果的です。それが子ども司書の目的になります。
 具体的に言いますと、文化人類学とか社会心理学で、子供たちが発達する中で、社会化のプロセスとして、特に思春期、10代ぐらいになると、大人の影響よりは、自分の仲間、周りの同じ年代の子供たちの影響がはるかに大きいです。
 昔の社会でしたら大人は30代ぐらいで亡くなってしまうので、自分の親は長く期待できなく、自分が一緒に暮らしていくのは仲間ですから、その人たちとのきずなを作っていきます。そのために、親と先生の助言よりも、子供たちは友達の意見とか行動の方が基準になっていて、それに合わせようとする願望が極めて強いと。私たちは一生懸命それを取り壊そうとするときがよくあるんですけれど、子ども司書は使いましょうと考えています。
 実際にこれはデータにも表れていますけれども、文部科学省の委託研究、タイトルは長いので読みません、こういう調査報告書の中で、読むきっかけとか本の選定とかをどういうふうにしているのかという質問に対して、高校生の本の選択についての研究調査では、まず、友達の推薦が非常に重視されることが分かりました。兄弟とか保護者とか先生などよりも、友達の影響が4倍もあると報告されています。全ての子供の年齢の対象になるものでしたら、本を読むきっかけは、一番多かったのは家に本があったとかということですけれども、先生が読んでとか学校司書が読んでとか言うよりも、友達の影響の方が小学生では2倍以上あって、中高生になると、何と6~7倍もあります。
 従来の読書推進活動の中では、図書館とか学校とか家庭とかでどういうふうに工夫すればいいのかと考えていましたけれども、これも非常に大事なんですが、子供同士の影響は無視できないことは非常に明らかです。子ども司書制度というのは、少しずつですけれども、それを生かそうとしています。
 すみません、また私の絵です。
 養成講座のカリキュラムはどんなものなのかということを説明させていただきます。
 まず、子ども司書推進プロジェクトは、小学校高学年と中学生を想定してカリキュラムを考えています。各地で講座を開くときに、どういう年齢設定にするかというのは自由なんですけれど、先ほどのデータから見れば、高学年から中学生というのは、最もお互いに影響力があって、しかも理解する力があるので、妥当な年齢ではないかなと思っています。
 募集するときは、これはそれぞれですけれど、図書館、学校、校長会、学校の中ですね、市政だより、ネットなどで子供を集めて、大抵の講座は10人から20人ぐらいを対象にして、非常に子供に近い距離で講座を開いています。
 9年目にして、これは推定ですけれども、7,000人ぐらいは今まで養成されてきました。
 一つ問題としては、小学校、中学校の子供ですから、高校に入って、その後、社会に出ると、子ども司書といえるのかどうかということですけれども、私としては、一生、子ども司書という、その原理をずっと生かしていけばいいかなと思います。
 考えている内容は、まず図書館の仕組みについての内容と、本を効果的に紹介するとか読み語りをするということと、本がどういうふうにできてくるかということを考えていただくのと、そして、どのように活動をやればいいのかということを総合的にやって、具体的な例を言いますと、これは私自身が岐阜市立図書館で実施している講座のカリキュラムになります。それぞれの場所で独自の工夫をしていますけれども、これは私が必要かなと思った内容です。
 ちなみに岐阜では、夏休みの初めに4日間の集中講座をやります。月1回の土曜日に続けて1年掛けてやるところもありますけれども、子供にとっては、集中というのは通いやすいし、中身が非常に浸透するという感じがします。
 1日目はオリエンテーションで、子ども司書は何をするか。図書館を見学して、お昼を挟んで、その後は、司書とは何かとか読書は何のためにやるのか、そのメリットは何かということを話して、実際に司書の仕事、カウンター、レファレンスなどを少し体験します。2日目に、今度は分類の話を聞いてから、実際にやってみる。おはなし会の見学と、実際に自分たちで演習をします。手作り絵本を作り、その絵本を作るというのはまた、本を作る作家の気持ちは何かということを察知するために、これは子供にとって非常に印象的みたいです。
 3日目にインターネットの利用と生涯学習という話を少しした上で、絵本を完成して、今度は本作りの話とスクラップブック、ファイリングとかの話をして、ブックトークの研修を受けて、実際に自分の好きな本を紹介する。
 最後の日に、司書の仕事として、選書とか、修理を実際に体験してみます。ポップを作って、ディスプレーを作ります。そして、子ども司書はどういう仕事をすれば、どういう活動をすればいいかという話をした後に、認定式、子供が授与され、そして、どういう夢を持っているのかなどということを語ります。
 ちょっとだけ写真を見せましょう。初めて会うときは、子供はかちんかちんという感じです。全然違う学校から集まっているので、知り合っていない、年齢が6歳も離れています。
 でも、次の時間でこれだけ近距離になっています。図書館全体を見てから、簡単ですけれども、本の分類作業を実際にやってみます。これはきのうまで知らなかった人たちの体の寄せ方ではないですよね。どれほどすぐ距離が縮まるかが分かります。
 絵本と紙芝居の練習をして、自分の好きな本のポップを作って、それを最後に展示してみんなが見ます。
 手作り絵本は90分ぐらいで完成しちゃいますけれども、みんながすごく熱心に読み合っているということがよく分かります。
 最後に認定式があって、認定証も授与されます。
 このほかに、俳句教室とか図書館ツアーとか選書ツアーとかをやっているところもあります。本当に工夫次第です。
 講師になるのは、それなりの知識を持っている人は誰でもいいんですけれども、多くの場合は図書館のスタッフがやります。しかし、読書ボランティアとか、私みたいな人が頼まれることもあります。
 ちなみに、図書館のスタッフにとってこれを実際にやるというのは、最初は非常に不安があるんですけれども、自分の研修になります。自分がどういう仕事をしているかというのを人に説明することだけでも、意識が変わっていきます。
 養成講座を修了した子供には認定証がありまして、現物を持ってきましたので、回してみますけれども、よかったら見てください。
 保護者とか講師とかに同席していただいて、その資格の重みを感じてもらおうということです。
 認定をするのは、これもまたそれぞれですけれども、図書館が開催していれば館長のときと、教育長の場合とかがあります。市長のときもあります。
 ただ、一つ課題としては、学校がそれを認めるかということがまだ残っています。
 余り時間はないけれども、最近、分担講座というのも見えてきて、三重県の例にしますと、県図書館が中心になって、全体会でまず全員が集まって、そこから各地で演習的な部分をやって、最後にまた認定式で集まると。
 これは何がいいかというと、子供ももちろんですけれども、講師も一堂に集まって、それで交流すると、おのずとネットワークができてくるのと、講師自身がほかの人と交流しながら、自分がどういうふうに教えれば、どういうことが効果的だったかという情報交換ができます。最近は福岡とか大分とか、いろいろなところでこういう形でやっています。
 子ども司書推進プロジェクトという組織を2011年に立ち上げて、幹部と一般のメンバーで構成されていますけれども、そのほとんどは実践している人たちで、目的はネットワーク作りとアイデア交換です。
 主な活動としては、今まで御覧の4回の全国研究大会を開催したり、子ども司書マニュアルの発行です。この会議はペーパーレスということをかなり言われましたので、皆さんへの配布の希望というよりは、お土産だと思ってください。お土産は食べてなくなるものがいいんでしょうけど。マニュアルの中に今の内容が非常に細かく書かれていますので、後で是非御覧ください。
 子ども司書はどんな活動をしますかということになります。実際には子供の自主性に任せたいところなんですけれど、多くの図書館はある程度手助けしていきます。幾つかの事例をここにちらっと書いてあります。マニュアルにも書かれていますけれども、例えば学級文庫の整理をするとか、自分の学校の図書館のリフォームに関わったりする。老人ホームとか被災地で読み聞かせ活動をする。ボランティアで本の修理をしたり、読書クラブを営んだり、最近はやりの本の福袋とかを用意して、図書館の利用者あるいは学校の中の人たちと交流するということです。
 ジュニア司書マイスターというのはこれから話します。
 あとは最後に、これは岐阜なんですけれど、子ども司書は自分のラジオ番組を持っています。月1回ぐらいのFMの番組を実際に自分で作って放送しています。
 これから期待するのは、図書館ではないまちライブラリーというような場所も、子供の活動として自然な場所かなと。
 自分の学校で図書委員としての活動、それよりちょっと超えていくと、図書リストやポップ、ディスプレーを作ったりする、読み聞かせ、下級生の子供と話したり、朝の読書、調べ学習とか、ふれあいタイムとかでいろいろな活動をする。リーダーとなっていくというのは考えていますけれど、非常に単純に、単にほかの子供の前で座って本を読んでいるだけでも効果は大きいと考えています。
 先ほどのマイスターというのは、八街市の面白い試みというか、自然にできたことなんですけれど、高校を終えて大学生になった子ども司書が、子ども司書としての活動の場が余りなくなったと感じて、さらなる後輩の養成に関わりたく、戻って、講師として講座に関わっているということです。これは、ある意味で自然な発展ではありますけれど、すごいなと思います。
 多くの図書館と教育委員会が養成講座を開いているということは、誰にも言われないでやっているということは、子ども司書の効果と価値に対する理解と期待があるというあかしではないかなと思っています。
 そして、子ども司書が数多くの地域でほぼ同じようなカリキュラムで養成されている、認定されていっているということは、子ども司書が制度化されつつあるという意味でもあると思います。
 これからも認定された子供たちの活動を支援して、もっともっと数を増やして、子供同士の特有のパワーを生かして、子供読書文化の発展に寄与したいなと思っています。
 ありがとうございます。

【秋田座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、質疑をお願いいたします。

【糸賀委員】
 大変興味深く聞いていたんですけれども、最初に言われた子供同士の方が同じ子供に対して大きな影響力を持っているんだと。これは多分そのとおりだと思うんですよね。仲間がいろいろ読んだり調べたりすることによって触発されるというところがあると思うんです。その目的はすごくいいし、ネーミングもすごくすっきりしていて分かりやすいと思います。
 そのときに、カリキュラムの内容を見ると、図書館の仕組みとか図書館の分類だとかのウエートがすごく大きくて、もっと世の中にいろいろな本があるとか、物語だけじゃないとか、伝記、人について書かれたものもあれば事実に基づいたノンフィクションもあるんだとかというように、狙いとカリキュラムの内容にややギャップがあるようにも私は感じたんですけれども、図書館の仕事や仕組みよりも、もっといろいろな本があったり、読書することの楽しさを伝えた方が、子供同士の影響力という意味ではいいんじゃないかなとも感じたんですが、実際に全国で実践されていて、そのあたり、カリキュラムの内容と子ども司書の目的の関係について、これでいいとお考えでしょうか。

【デュアー様】
 出発点としてだと思うんです。まず、子供自身が自主的に活動するということと、単に自分が本を読むのが好きですよということを自信を持って友達に言えるという自信を与えるという目的でもあります。
 一つの講座をやってもらうというふうになって、私たち組織としては、組織しかない、アイデアしか持っていないんですね。図書館とか学校にお願いして、開いてくださいねというふうにしないといけないので、多分、実施してもらえる内容の講座であるのと、読書が好きということは、実際に応募する子供たちの一つの期待できる条件かなと思いますので、読書の楽しさについて話さなくても、既にわかっている。
 一番最初に実際に講座を開いたときに面白かったのは、お昼時間に入ったら、みんな、すぐ携帯を出して何かやるかなと思ったら、全員が本を出して読んでいました。この光景は学校では見られないなと思いました。
 そもそも本を読むのが好きということに開いている子供だから、自信を与えるとか、図書館が自分の居場所だと感じるよう、そういうことというのがまず最初かなと思います。
 行く行くは先生おっしゃるようにやっていけたらと思いますけれど、基本的に最初から本が好きという子供たちが集まっているから、楽しさは分かっています。どうやって伝えるかということですよね。そっちの方はこれからもっと深めていかないといけないかなと思います。

【糸賀委員】
 カリキュラムとして、例として16時間とありましたよね。そのうち半分以上が図書館の仕組みの話になっているので、もっと読むことの楽しさとか、いろいろな本が世の中にあるということを伝える部分ももう少しウエートとしてあった方がいいんじゃないかと感じたんです。

【デュアー様】
 課題として。

【糸賀委員】
 これで十分効果があることは分かりました。ありがとうございました。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、あと二人で質疑は終わらせていただきます。

【平久江委員】
 すばらしい取組の御紹介、ありがとうございました。
 1点お伺いしたいんですけれども、子ども司書の認定証を受けた子供たちの、その後のフォローアップといいますか、そういったようなことはやられているんでしょうか。1度認定証を受けたその後の働きかけについてです。

【デュアー様】
 認定証を発行するのが図書館だったり教育委員会だったりするので、その地域内でそれがどういうふうに認識されているかということなんですね。その辺はちょっと温度差があると。
 いろいろなグッズを持ってきましたので、会議が終わった後にでも見ればいいんですけれども、そのほかに札があって、例えば図書館に行くときはバックヤードにも行けるとか、学校の中で活動するためのものと。
 講座を開くときに、地域によって先ほど言ったように温度差がありますけれども、非常に細かく教育委員会と話したり、校長会にうたったり、子ども司書の活動をやらせてくださいねとやっているところもあれば、自主性に任せているということです。取りあえずは認定証を出しますけれども、自治体の中での使い方。
 その延長で、私たちに望みがあるとすれば、子ども司書がもうちょっと広く知られるようになって、図書館の活動、学校の活動として認められれば、認定証を持っている子供たちがそれでもっと活動しやすくなるということなので、今度の計画の中に、子ども司書という効果が期待できるので生かすようにという、特に学校側に認定証を認めるような方向に持っていけたら、大変助かるかなと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 福田委員。

【福田委員】
 三郷市でも子ども司書の取組を行っております。始めて6年目になります。講座を修了した子供たちは約150名近くになります。今年度の募集は35名程度ということでした。学校に割り当てているわけではないのですが、平均すると学校に一人、2人という感じです。今年度は61名の希望がありましたので、抽選ではなく、全員受け入れております。
 希望人数も多くなり、広く受け入れていくためには講座内容の見直しが必要だという段階に入ってきております。ですから、講座内容は、各自治体に任せられてよいと思います。
 また、中には、おとなしいお子さんもいて、必ずしもリーダー的な存在になれるかというと、そうではなく、やはり本が好き、図書館が心の支えという子たちも入っております。
 現在、生涯学習部の中にある日本一の読書のまち推進室が社会教育の一環という形で管轄し取り組んでおります。
 学校には学習指導要領に明記されました特別活動の中の図書委員会が存在して、それらの活動を中心に、読書活動が学校の中では展開されております。子ども司書が必ずしも図書委員とは限らないという状況です。
 子ども司書養成講座は7月に開講し、12月に認定証を受け取ります。6年生に限定しておりますので、ほぼ活動が養成講座の最中と中学校に行ってからとなります。できるだけ子供たちが活動できる場をということで、教育委員会としても工夫をしているところですが、一番の活動基盤はやはり図書館にあるというところです。デュアー先生がおっしゃったように、子ども司書養成講座に参加した子供たちは、学校を超えた形で、読書を通してすぐに仲よくなれておりますし、子供たち自身にとって、とても有意義な活動になっていると思っております。
 ただ、それが市の読書推進の起爆剤になっているかどうかということとはまた別で、一人一人の価値としてはとても大きいものがあると思っております。
 そして、今年1期、2期目の子ども司書が高校生に2学年にわたってなったということで、昨年度末に高校生の会を発足いたしました。31名いますけれども、なかなか集まりにくい状況にあります。と言いますのは、通学の高校も幾つかの県にまたがって存在していますし、高校生としての活動の場所を、高校に基盤を持っている子たちはなかなか参加できない状況にあります。ふだん大体3名から5名という形の参加です。活動できる場が広がるように、今、一生懸命サポートしているところです。
 実は子供たちの中から、自分たちは子ども司書とは名乗れないという意見が出てきました。それはなぜかと言いますと、図書館司書という職業が存在し、自分たちはそれほどの知識も立場もない中で、司書というのはおこがましいという感覚です。それから、大学に進学して、将来、司書になりたいという同級生も存在している中で、子ども司書といえど、司書と名乗りにくいという意見が出てきまして、読書リーダーという名称に落ち着いて、高校生に活動してもらっているところです。
 それと、先ほど御質問がありました子ども司書養成講座のカリキュラムですが、司書という名称で動いていますので、どうしても、大人の司書の資格に、学んでといいますか、近い形での講座カリキュラムが中心に組まれてきていると思います。
 三郷でもそうです。講座内容は、受付付近のテーブルにチラシを置かせていただきましたので、参考に見ていただければと思います。
 以上です。

【秋田座長】
 どうもありがとうございました。
 それではまた後で議論もございますでしょうから、次に進ませていただきたいと思います。
 続いて、高校生直木賞実行委員会代表である明治大学准教授、伊藤氏貴様から御発表いただきます。
 伊藤様、よろしくお願いいたします。

【伊藤様】
 よろしくお願いいたします。
 高校生直木賞という取組なんですが、初めて聞かれる方もいらっしゃるかと思います。これにはモデルがございます。フランスに高校生ゴンクール賞というのがありまして、これを完全にまねただけで、私が創意工夫をしたところはほとんどありません。
 この賞の説明をまず簡単にさせていただきたいと思いますが、高校生ゴンクール賞については、御存じかもしれませんが、みすず書房から出ている『読書教育』という辻由美さんという方が書かれた本の中に詳しく書いてございます。私も同僚からこの本を渡されて、これを日本でもやらなきゃいけないと思って、どうやってやるかということをそこから考えたわけです。
 と申しますのも、大学に勤めておりますと、大学じゃ遅いな、手遅れだなと思うことが、しばしばというか、日々というか、毎時間というか、ございます。ゼミの自己紹介なんかで、自分は余り本を読んでいないですという子がいて、私も大学に勤めて20年になりますけども、初めはみんな謙虚だなと思っていたんですけど、2か月ぐらいすると、それは全然謙虚じゃなくて本当だったということに気付くんです。だから、早いうちからじゃないと間に合わないと。
 高校生ゴンクール賞ですけれども、フランスのある中学の先生が発起人となって、1988年に創設されました。ゴンクール賞、有名な、日本でいえば芥川賞に当たるような賞ですけれども、候補となった作品、候補そのものを毎年高校生たちが選考し、これは本賞と同時に発表します。同じ日に、本賞はパリで、高校生ゴンクール賞はレンヌかな、もうちょっと田舎でなんですけれども、同日発表ということになります。
 これに当たっては、本家のゴンクール賞が融通を利かせてくれて、高校生たちが十分審査の時間をとれるように、高校生ゴンクール賞ができた年から、候補作が発表されてから本賞発表まで2か月というかなり長い期間をあけて、高校生に合わせてくれたんですね。
 参加するためには、高校の先生が手を挙げます。自分のクラスでこれをやらせてくれと。ホームクラス単位ということになります。その2か月間は、フランス語の授業を使って、その間、ずっとこれだけやるんです。だから、ほかのクラスとカリキュラムが変わっちゃうんですね。これは日本ではなかなか難しいかなと思いますが、フランスでは教育省に公認されているので、その2か月は、そのクラスだけこれをやっていいよということになります。
 そのためには本を生徒たちに配らなきゃいけないわけですし、あるいは地域の大会とか全国大会のために旅費なども掛かりますけれども、それはFnacというフランス最大の書店チェーンがほぼ全額負担するという、強力なバックアップがあります。
 やり方ですけれども、各クラスで候補作から1位を決めます。そして、地域でまた2次予選があって、最終的には国内12校、海外のフランス語学校から1校の代表13名が一堂に会して、最終的に1位を決めるというやり方です。
 これは後でまた申し上げますが、その選考過程で、作者を呼んで、作者と対話するという試みもなされていると聞きます。
 参加生徒は毎年1,500人から2,000人程度だということです。
 これが高校生ゴンクール賞で、今では本家のゴンクール賞と高校生ゴンクール賞が同時に発表されて、高校生ゴンクール賞の方がよく売れるということもあるようです。
 だから、何を申し上げたいかというと、高校生が選ぶものだから、どうせ信用ならないんじゃないかというのが最初はあったわけです。委員会でも、高校生に選ばせるなんていうのはおこがましいという意見が委員の中からも出たそうですけれども、でも、1,500人、2,000人が議論を詰めて選んだ1冊というのはやっぱりすばらしいというのが世間の方の意見にもなっているようです。
 これを日本にいかに取り込むかということですけれども、今、高校生直木賞はどうやっているかということで、まず私は、ある学校の総合の時間をおかりして、テストでやってみました。総合の時間というのは、無学年で、希望者、カルチャーセンター方式で、100ぐらい講座があって、生徒が好きなのをとっていいという不思議な学校なんですけど、そこに一つの講座として設けさせていただいて、無学年でそれをやりたい人がやるという形でやってみました。
 ゴンクール賞とは違って、まず自分たちに、ほかの人に読んでもらいたい作品を挙げてもらいました。
 その作品のプレゼン、ビブリオバトルをするわけです。
 全員分は無理なので、ビブリオバトルの結果によって、どれを選考の対象にするかということを選びます。翻訳物は遠慮してもらって、あと余りに長いものですとか手に入らないものは省くように、そこだけは助言いたします。逆に言うと、教員側として何か言うのはここだけなんです。これ以外は一切口を挟まないというのが、高校生ゴンクール賞であったり、高校生直木賞の一番の特徴だと。
 デュアー先生がおっしゃったように、先生がこれ、読んだ方がいいよとか、私自身もそうでしたけど、ここで言うのも何ですけど、自分の学生時代、文部省推薦ほど面白くなかったものはないというですね。上から言われると、面白いものも面白くなく感じてしまうところがあると思うんですが、お互いに、これ、面白いよというのは違いますね。
 それで、それを全員読んできて、議論して1位を決めるということをやってみました。
 これは後から知ったんですが、静岡県のある高校の先生がやはり高校生ゴンクール賞をうちの学校でもできないかということで、天竜文学賞というのを設けておられたんです。私、後から知りましたけれども、それを校長先生が、その地域の三つの高校の校長先生を兼務しておられて、そこでほぼ同じように、こういう経緯で1位を選ぶということをやっていたんですが、校長先生に後からお伺いしたら、そこは商業高校とか林業高校が入っているんですね、その三つのうちに。それで、全く本なんか読まないと。背表紙なんか付いた本、生まれてこの方読んだことないというような子に、ちょっと無理にでも読ませると。
 それは何のためかというと、これは差別ということではないと思いますけど、女の子が高校を卒業したらそのまま結婚して子供を産むような子が多いというんですね。その子たちが、自分たちの子供に読み聞かせがきちんとできるようにしたいと。そのためには、自分が読む喜びを知らなきゃいけないと。そのためにこの天竜文学賞を作ったんだということで、残念ながら、校長先生が辞めて、終わっちゃったようですけれども、意図は一緒だと思います。
 私はいろいろな高校とかにネットワークも何もありませんので、まずいきなり、最初は芥川賞でやろうと思ったんですね、それで文藝春秋社に打診してみました。芥川賞というのは日本文藝振興会という、文藝春秋とは別団体が主催しているんですけど、実質的には文藝春秋がやっていまして、そこで打診をしてみました。
 いろいろあって、1年か2年掛けて、ずっと社内で議論があって、直木賞でということになりました。
 結果的にそれはよかったなと思っているんです。実は、芥川賞の方が作品の長さは非常に短いですし、読む負担、物理的な負担は少ないんですけれども、ちょうどその頃の芥川賞受賞作というのが、これが難解な作品ばかりで、これを高校生に読ませたら本が嫌いになるなというタイプの作品ばかりだったので、直木賞の方が読みやすくていいと。ただし、長いです。1作が長い。下手すると上下2巻とか、そこはちょっと不安ではありましたけれども、直木賞でどうかということで、直木賞で実施してみました。
 静岡県の学校と、あと岩手県の学校に、岩手県の方はこちらから、私は高校の文芸雑誌の全国コンクールの委員をしていたものですから、そこで毎年必ず1位か2位になる高校の文芸部の先生にお願いして、やってみてもらえませんかということで、岩手県にはこちらからお願いして、静岡県の先生は、この取組を知って、向こうから申し込んでくださいました。というのは、この高校の先生は天竜文学賞に関わっていた先生だったので、全国でやるなら是非こっちに参加したいということで、来てくださいました。
 2014年に初めて、全国の四つの高校ですけれども、集まって、東京で、四つの高校なので1校2名ずつ、計8名で議論するということを行いました。
 後のことは、高校生直木賞のホームページがございますので、その後、2017年までは見ていただければと思います。
 来年、第5回になりますけれども、5月6日に開催予定ですが、参加校を募集しているところでございます。
 少しずつですけれども、拡大しています。大体ここ一、二年は20校で、延べでいうと200人ほどなんですが、フランスに比べればまだ10分の1しかないということです。
 もともと高校生ゴンクール賞も読書教育の一環として始められたもので、私ももちろんそのつもりでおります。ただ、問題は文藝春秋はやっぱり私企業なので、そこがなかなか調整の難しいところではあるんですけれども、教育としての利点は幾つかあると思います。
 多くの人にとって、限られた時間の中でそれだけたくさん読むということはほとんどないわけですね。さっきも申し上げたように、これぐらいの厚みの上下2巻とかを、平積みにしてこれぐらいの厚さになるんです。1回当たりの候補作の長さがですね。それを読まないと議論に参加できないわけですから、それをものすごく言われますね。参加した生徒から、それがしんどかったと言われます。
 しかも、ただ読めばいいんじゃないんですね。ただ読んでだけだと議論が結局できないわけですから、ちゃんと深く読むこともある程度必要だということです。
 さらにですけれども、私は高校の国語教科書の代表編集をやっているんですけれども、その中でディベートをカリキュラムの中に入れていくのですが、現場の先生に聞くと、結局ここは使わないと。もしやったとしても、議論が盛り上がらないので、やっぱりディベートってものすごく難しいというんでしょうかね。
 あとは、教室を半分に割って、あるテーマに関して、こっちは賛成でこっちは反対というふうに分けるといって、自分の意見と関係ないことで、自分はイエスと思っているのにノーの側でディベートしなくちゃいけない、それは論理的に、論を組み立てるという意味では大事な作業なのかもしれませんけれども、自分の考えていることとは違うことを言わなきゃいけない。それとは違って、高校生直木賞の場合は基本的に自分の言いたいことが言えるということなんですね。
 さらに、同じ題材に関する議論ですから、知識の差が余りないというんでしょうか。例えば臓器移植についてどう思うか、いきなりぼーんと言われても、臓器移植も、調べている子と、そんなこと、今日初めて考える子だと、議論にならないわけですけれども、高校生直木賞は共通の土台がありますので、議論しやすいということです。これはビブリオバトルと比べても、こちらの方が利点だと思います。
 ビブリオバトルは、私、大学でもやりますけれども、要は弁の立つ子が勝つというですね。仮にそんな本はこの世に存在しない、そんな本について語っても、弁の立つ人が勝っちゃうわけです。一方、同じ本を読んで議論する場合は、ちゃんとみんな、その論に納得できるかどうかということは、自分も読んでいるから、きちんと自分で吟味できるということがあると思います。
 もう一つ、これはやってみて気付いたことですけれども、やっぱり大学生でも議論がなかなかできない。それはなぜかというと、何も考えていないわけじゃないんですけど、今の子は心が折れるんですね。昔はなかった言葉ですね、心が折れるって。心って丸いんじゃないのって私は思うんですけど、すぐ折れるっていうんです、心が。
 結局、傷付いちゃう。自分が意見を言って何か反論されるとぺしゃんこになっちゃうんで、だからお互い何も言わないようにするというのが現状なんですけれども、このときは皆さん、生徒たちみんな、口に泡をためて激論になっても、あとくされがない。実は岩手の高校でやったときも、ものすごい激論になってしまって、この2人はきっとこの後、永遠に口がきけないんじゃないかと思って、雪の日だったんですけど、帰るとき、その2人で仲良く肩を並べて帰っていましたから、大丈夫なんだと。
 なぜかと考えたときに、この目の前の作品のよしあしを言うわけですね。自分の意見そのものというより、この作品のよしあし、ワンクッション置いているので、かなりきついことをお互いに言っても、そこにクッションがあるので、それほど傷付かないというメリットがあるのかなと思いました。
 さらにはもちろん、1回自分で読んで書くよりも、議論を経て書いた感想文の方がより深いということがあります。
 ですから、教育的に言えば、4技能が全て、読む、書く、聞く、話すということができると思います。今言われている、新指導要領に言葉としては載りませんでしたが、アクティブラーニングということに関して言えば、これほどアクティブなことはないと思います。
 というのは、さっきも言いましたけれども、先生は何もしないんです、この間。議論には絶対に口を出さない。見ていると、口を出したくてしようがない。それは違うだろみたいなことを言いたくてしようがない、そこをぐっとこらえて、ただ聞いている。私も教科書を作っていて、じくじたる思いがあるのは、教科書の作品は多分自分で読んでも面白くないだろうなと思います。でも、それは、先生がいて教室で読むからその面白さに気付くというような高度な作品を選ぶので、でも、高校生直木賞のときは、自分で読んで素直に面白いと言うことができます。
 さっき、上から勧められたのは面白くないと言いましたけれども、小学校の感想文で文部省推薦とかだと、絶対に面白いと書かなきゃならないじゃないですか。高校生直木賞では、上から候補作をぼーんと出されても、面白くないと言っていいんです。これは面白くなかったと。理由は言わなきゃならないですけど、ここがこういう点で人物造形が甘いとか、時代考証が狂っているとか、言うんです、生意気なことを高校生が言うんですけれども、そういう意味で、教科書で扱えないような作品、例えば暴力的な場面があったりとか、多少セクシャルな場面があったりということですね。
 去年は時代小説が選ばれたんですけれども、おととしかな、かなりグロテスクな小説なんですが、女の子が選びますね。男は腰が引けちゃって、血が出てくると怖いみたいなことを言うんですけど、女の子の方が意外と選ぶということですね。
 ちょっと難しいのもありますが、多少背伸びをするという経験ができると思います。
 これが、芥川賞なり直木賞自体と違うところなんですけれども、芥川賞や直木賞は2作同時受賞があったり、年によっては受賞なしということがありますけれども、これは1位を1本だけ決めるという決まりにして、これは本賞と違うところです。そうすることで真剣な議論になるということなんですね。
 これは後で、実際参加された生徒さんたちの感想を見ていただければ分かると思いますけれども、必ず発見があります。自分はここまで深く読んだんだから、自分の意見は間違いないだろうと思って議論の場に臨んでも、他人が必ず自分が気付かなかったことを言うと。そこで、それが間違っているというんじゃなく、そういう見方があるんだという気付きがあるということです。
 議論の途中で、たまに質問されます。何を尺度にして1位を決めたらいいんですかと言われることがあります。それは感動なのか、他人に伝えたい、高校生である仲間に読ませたいということを基準に選ぶべきなのか、純粋に自分が面白かった、あるいは人間について考えさせるものを選ぶべきなのか。
 それも考えてほしいんです。その尺度を決めることが一番難しいことなんですけれども、どの物差しで作品のよしあしを測るかというのは、実はというのもおかしいんですが、教科書だと読み筋が大体決まっていて、これはエゴイズムについて書かれている作品なので、そこで読むというのが決まっているんですけれども、我々が本に限らず何か物を選ぶときというのは、例えば椅子1個選ぶのでも、値段とデザインと色と大きさと、どの尺度で選ぶかというのは1個じゃないわけですね。いろいろな尺度を兼ね合わせて、その中で、でも一つ選ばなきゃいけないという、そこで自分の価値観の違いだけじゃなくて、価値観の中の優先順位みたいなものも決める経験というのを彼らはしています。
 時間だということなので、すいません。
 この後に、今回参加した21人の生徒たちの反応があるので、御覧いただきたいと思います。これは抜粋です。ホームページから入って見ていただけると、生徒たち全員分のが見られると思います。
 参加してくださった学校の図書館とか、あと近隣の本屋さんで、ここの高校の生徒が選んだ本ってポップを付けてくださったりとか、図書館の中で先輩が選んだ本みたいなふうにしていただくと、後輩がそれを見て、こんなことやっているんだと思って参加してくれるとか、あとはお兄さんが参加していて、すごく楽しそうだから私も参加してみたとかいう生徒さんの感想もありますので、御覧いただければと思います。
 あとは、これは最初から言うつもりもなかったんですが、新聞なんかの反応も資料として付けてあるので、もしよろしかったら御覧いただければと思います。
 すいません、ちょっと早口になりましたが、御清聴ありがとうございました。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。
 それでは質疑があれば、頂きたいと思います。

【糸賀委員】
 一つだけ。この中で、今、読書教育としての利点というページがありましたよね。読むものの幅が広がるとかというような、これですね、ここに挙げられているようなことは、私もそうだと思うんですけれども、つまり、これは読書の質的な深み、深化だとか、読書の範囲の広がりを意味していると思うんです。
 私、気になるのは、これは、じゃあ、その周辺の生徒に読書という行為が広がっていくんだろうかというところだけなんです。
 これに参加する生徒たちがこういうふうに読書の質が変わっていくということは確かにあると思うんです。それがどれだけ周りの生徒に広がっていくんだろうか。というのは、推測ですが、これに参加するのって、大体文芸部とか読書クラブとかの生徒さんが手を挙げてくるんじゃないかと。一般の生徒には、余りこういうものに広がっていかないんじゃないかというところが気になるので、質的な深みだけじゃなくて、読書の量的な広がりがこれでもたらされるのかどうかを補足していただきたいと思います。

【伊藤様】
 おっしゃるとおりなんです。私が個人的に悩んでいる一番の問題はそこで、フランスの場合は高校の先生が、その先生のクラスに当たっちゃうと、有無を言わさず読まされる。うわー、何でそんなことするって、みんな最初はものすごく嫌がるらしいんですね。でも、実際に2か月参加してみると、本を読むって面白いじゃないかと。
 私もそこを是非やってほしいんですが、今おっしゃっていただいたように、今の段階では、ほとんどのところが希望者であったり、あるいは図書委員会であったり文芸部であったりということで、そもそもある程度読書に興味がある子しか集まっていないというのが現状なんです。
 それを、例えばクラスでやって、どこかの先生が自主的に無理やりにでもやるようなシステムを開発できないかなというのが悩みですが、高校生直木賞では厳しいかもしれない。
 一番最後の問題点というところですけれども、実は時間がなくて飛ばしたレジュメの最後に今後の課題として書いておきました(資料4-1、スライド13参照)。文芸部や希望者の参加にとどまる。授業を使うのは難しいということなんですね。あとの二つは運営上の問題なので、あるんですけれども、一番最後のところで、例えば直木賞とか関係なく、クラス単位で無理に、無理にというとあれですけれども、クラス単位でそういうことをやるということは、例えば高校じゃなくても、中学でも小学校でも、作品の数を減らすとか、自分たちで作品を持ち寄って、その中から候補作を選んで自分たちで決めるというのは、是非希望者じゃないところに広げてほしいと私も思っております。

【秋田座長】
 伊藤様、ありがとうございました。
 発表された4人の皆様、どうもありがとうございます。
 ここからは、ヒアリングでお聞きした内容を含め、全体で意見交換会をしたいと思います。
 その前に、これまでの会議での意見を踏まえるため、前回会議までの主な意見について、事務局からお願いいたします。

【小沢青少年教育課体験活動推進専門官】
 事務局の青少年教育課の小沢でございます。
 資料5を御覧いただければと思います。子供の読書活動推進に関する有識者会議(第1、2回)における主な御意見になります。前回の会議でも第1回における主な御意見という形でまとめさせていただきましたけれども、それに第2回の会議の内容を加えさせていただいたものです。
 分かりやすいように、第2回における主な御意見を赤字で表示させていただいております。まず総論の部分ですと、読書の定義・概念・範囲のところでは、インターネットでの読書など、潜在的読書というべきものがあると考えられるが、なかなかこれを切り分けて把握することは難しいといったことでありますとか、読書の新たな位置付けという点では、今日もBACHの幅様、高校生直木賞の伊藤先生あるいは茅野市からもありましたけれども、そういったコミュニティー的な読書であるとか、本のある暮らし、本に触れるような様々な経験といったものが大切であること等を記載しております。
 次に、主体的・能動的な読書、読書の質、読書の目的についてという点では、これについても、まとめさせていただいておりますが、今日の発表でも御意見が出たところだと思います。
 続きまして、発達段階に応じた読書習慣の形成という点では、2番のところで発達段階に応じた読書ということで、例えば子供は多忙であるということ、前回ベネッセの研究所の発表もありましたけれども、そういった読書時間とほかの時間との関わりを考える必要があるのではないかと。特に高校生は忙しいという中で、どのような形で読書の時間を確保するかというのが課題ということでございます。
 3番目として、本日も発表がございましたけれども、子ども司書の取組部分。
 あと、読書コンシェルジュ、これは栃木県の取組ということで前回御発表いただきましたが、高校生について、同世代同士のコミュニケーションから興味、関心を高める特徴の世代であるということ、そのような中で、読書活動推進リーダーを育成する「読書コンシェルジュ」といった取組も考えられるのではないかと。本日も関連した御意見があったかと思います。
 4番目につきましては、朝の読書活動、5番目は、家庭での読書活動を取り上げております。
 続いて、高校生が読書をする工夫についてという部分では、スマートフォンやSNSを活用した取組なども考えられるのではないか、あるいは中高生に対して読書あるいは図書館に足を運べるような取組が重要ではないかという点で、本日のヒアリングでも話があったかと思います。
 最後に、地方公共団体における推進体制と国が実施すべき取組という点については、地方の書店の減少という課題が挙げられ、本日も基礎自治体である茅野市からも御発表いただきましたが、地方での推進体制についても今後議論が必要かと思っております。
 その他として、図書館関係者の労働環境の話についても御意見が出ておりました。
 説明は以上でございます。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 それでは、各委員の皆様方から御意見を頂ければと思います。いかがでしょう。どなたからでもと思います。
 じゃあ、福田委員、お願いします。

【福田委員】
 先ほどフランスの高校生ゴンクール賞について御説明がありましたが、実は辻さんと一緒にフランスの視察に行かせていただいたりしたんですけれども、高校生だけではなくて、高校生ゴンクール賞発祥の地レンヌ市などでは、同様に中学生も夏休みの間に100冊ぐらい提示された本から読んで投票して10冊ぐらいに絞り、それらの本について、皆で読んで、討論してということが中学生でも行われています。また、全国的にも15万人ぐらい参加するという、アンコリュプティブル賞は、子供たちを審査員という形で、幼児から高校1年生ぐらいまで七つのセッションに分けて参加するという取組があります。それは、学級単位だけではなくて、地域のグループとか数人のグループでも登録して参加できるということです。ですから、授業でなくても参加できるという形です。
 そして、もう一つ御紹介したいのは、日本でも杉並区では中学生書評座談会が56年続いているということです。課題の1冊の本を各自が読んで、クラス、学校で討論した後、希望の中学生が杉並のホールに集まって、学校を超えて討論をし合うのです。その場には著者も招待されています。時間を掛けて1冊の本を読み合い、話し合うという活動が日本でも行われているのです。
 ですから、ビブリオバトルのすばらしさだけでなく、読書会等も重視して考えていく必要が、読み深めるという点ではあると思います。私も大学で講義を、両方経験させますと、読書会が興味深く次の読書意欲につながるという学生の方が多い感じです。
 それから、朝日新聞と全国学校図書館協議会で5年間やられていた読書甲子園も、秋田先生も関わっておやりいただいていたのですが、読んだ本のテーマ、キャッチコピーなどを考え、それらを絵と本で表現するという面白い取組でした。
 ですから、本そのものを読んで取り組んでいくことを大切に、広げていくというか、特化したところだけではなくて、本そのものの楽しさを横にどんどん広げていくというところを大切に、先ほどの高校生直木賞のようなみんなで読み合う活動を大事にしていっていただければと思います。前回、栃木の読書コンシェルジュの皆さんの活動の報告や、茅野市さんの先ほどとてもすばらしい報告がありました。私どもも茅野市さんから学んで、セカンドブックとして小学校入学時に本を1冊、らんどせるブックよもよもという形でプレゼントさせていただき、市の図書館の利用券を持っていない児童には、そのとき同時に図書館活動を促すための利用券を渡しています。この施策によって、入学時から家庭でも読書がかなり意識されるようになってきました。
 茅野市さんのすばらしいところは、教育活動の基盤に読書・図書館教育を据えていらして、それを市民と行政が一体になって、全ての子供たちを対象になさっているところだと思います。
 こども読書活動応援センターを設置されたり、それから前回、秋田県の報告がありましたけれども、読書活動推進本部に知事が本部長に就かれてという、自治体ぐるみでやっていらっしゃる活動、そしてそこに予算をきちんと付けていただくことが更に大きな推進になっていくと思います。
 これらの活動と先ほどおっしゃっていただいた高校生直木賞のような活動を結び付けていければ、もっと質的に、読書の内容の深まり、楽しいということが横に広がっていくのではないかと考えます。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。いかがでしょう。
 お一人二、三分でお願いできると有り難いです。
 じゃあ、どうぞ、張替委員。

【張替委員】
 今日もいろいろ新しい取組を具体的に知ることができて、大変刺激的でした。
 ただ、私としては長らく図書館の立場から子供に接してきて、いろいろな読書の刺激を与える取組を、そのときそのとき、新しいものを考えながらやってきた人間としては、そういうことって本来的にちゃんと基盤があれば、どこでも広く、日常的に行えることだよなということも、改めて確認したところなんです。
 今、子供の本の業界でも、新しいかたかな語――例えばコンシェルジュという呼び名等が増えています。その中で、子ども司書ってきっぱり日本語を使ってくださる語感というのは、すごく潔くて気持ちよかったんですけども、子ども司書の研修が充実するとともに、やはりいろいろな公共なり学校なりの大人の司書たちの力量も上げていかなくちゃいけないだろうなと思いました。そこの部分にも、今、現実的にどういうふうに目を向けられているかなということとか、あるいは、茅野市の場合は本当に行政全体で進められているというところがとても力強くてすばらしいと思ったんですけれども、司書さんの雇用の待遇などはどんなふうになっているのかなということが少し気になったんですが、よろしければ教えていただきたいなと思いました。
 それから、新しい直木賞のような、深化に向けての注目喚起というのも大切なんですけど、とにかく子供は日々成長していますので、過去に出たすばらしい作品に、そのときそのとき出会わなければ、そのまま通り過ぎていってしまうので、今までに出た本にも親しませるという取組が同時並行で進んでいくようにしてほしい。そのためにも、そういうことに見識のある司書の専門性を高めていくことをずっと続けていただきたいと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。

【平久江委員】
 流れで話しちゃって大丈夫ですか。この会議というのは大きく三つぐらいのポイントがあるかなと思っておりまして、1点目は、デジタル社会に対応した読書はどうあるべきかというところを議論していると。これは前回だったと思うんですね。
 今回は、高校生を含めて、どんな効果的な指導法があるかということをいろいろ御紹介いただいて、大変理解を深めることができて、いい経験だったなと思っておりまして、あと1点は、どう組織的に取り組むかということ、この三つぐらいの中で大きく流れていっているのかなと思っておりまして、私としましては、1回目、2回目ぐらいのところでいろいろ話をさせていただいたので、今日の趣旨とは少しずれるんですけども、組織的にどう取り組むかということを1点発言させていただければと思います。
 私は学校図書館を専門に研究しておりまして、特にこうした読書指導、今回にも関わるかと思うんですけれども、学校の司書さんがすごく大きな読書指導の役割を果たしていると思っておりまして、ただ、残念なことに、こうした学校司書さんが全国的にどういう状況にあるかということが把握できない状況にあるんですね。
 ですから、やっぱりそこは何とかならないかなと考えておりまして、例えばこうした学校司書さんの現状に関しましては、「学校図書館の現状調査」ですか、文科省でやっていただいていて、全国的にはある程度分かってきたんですけども、ただ、その数字を見ますと、例えばある市町村に一人学校司書さんがいても、そこに入るというような形でカウントされてしまいますので、県でまとめられてしまうとその実態がなかなか分からないので、できれば学校司書さんの実態がより分かるように、市町村レベルでの雇用状況なんかが分かるような配慮をしていただければ有り難いかなと思っております。
 以上、ありがとうございます。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、野口委員、お願いいたします。

【野口委員】
 まず、茅野市の非常に示唆に富む取組の御報告、ありがとうございました。
 その中で一つ、今の平久江委員の話にも関わる部分ですけれども、昨年11月に文部科学省から通知で出された学校図書館ガイドラインの中で学校長を学校図書館の館長にということが示されています。そのことを、いち早く茅野市では取り組まれているということが今日の御報告でよくわかりました。ただ、学校の校長先生といっても、学校図書館に対しての意識であるとか、あるいはこれまで司書教諭の経験があるのかどうかとか、そこで随分差があると思うんです。
 そのあたりを考えたときに、学校図書館の館長研修のようなものは、市の教育委員会として取り組まれているのかどうかということが気になりました。これはお時間があればで結構なんですけれども、教えていただければと思います。
 それから、幅さんの御報告を伺っていて、高校での取組のお話がありましたけれども、正にアウトリーチの取組だと思うんですね。アウトリーチ、つまり、子供の身近なところに読書環境の方が出向いていくということですね。すごくそういう取組って必要だなと思います。
 つまり、図書館に来るのを待っているだけではなくて、図書館の側がどういうふうに子供の方により接近していくのか、アプローチしていくのかということが重要ではないか。
 公共図書館ではアウトリーチというのは以前から言われ、取り組まれていることではあるんですが、学校図書館でのアウトリーチというのはなかなか実践できていないところだと思うんですね。そういう意味で、今回の幅さんの御報告は非常に参考になる取組だなと聞かせていただきました。
 それから、子ども司書と高校生直木賞の取組です。子供同士が友達に勧められると本を読むようになるというデータもありましたけれども、同年代の子供同士で本を勧め合うとか、あるいは読書について語り合うような機会というのは、子供の読書を考える上で非常に重要なんだなということを、今日のお話、御報告を伺って納得いたしました。
 同年代で本について語ったりとか、読書をお互いし合っていくようなきっかけ作りとして、非常に有効な取組ではないかなと聞かせていただきました。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木委員】
 子供の読書を推進するということで、今日、考えさせられた三つのことについてお話ししたいと思います。
 まず一つ目なんですが、茅野市さんの発表にありましたように、教育の基盤として読書活動を位置付けているということ。これを学校の教職員と指導者、それから地域の方々、保護者が同じような認識に立てるということ、読書の必要性、大切さをまずみんなが共通理解することの大事さがあるのではないかなと思いました。
 先ほど学力のことも質問させていただきましたが、やはり何もないところに種をまいても育たないし、そこで畑を耕して肥料をまく、これが読書なのかなと私は個人的に考えるところもあるんですが、そういった読書の大切さが皆さんに伝わっていくことが大事なのかなということを感じました。
 それから二つ目なんですが、前回、栃木県の読書コンシェルジュの発表をさせていただきました。今日も子ども司書のお話を伺ったんですが、こういった読書リーダー養成、研修等を行われているかと思うんですが、研修をした後、いかにこの成果をアウトプットするか、その支援までを見通した施策が今後は必要になってくるんではないかなと考えております。
 それから3点目なんですが、今日、それぞれのお立場で子供たちが本を手にとる取組を発表いただきましたが、子供の家庭環境や経済状況によって差を生まないことが大事なのかなという気がします。先ほど野口先生からアウトリーチというお話がありましたが、例えば茅野市さんで、子供が生まれたとき、健診のときにプレゼントしていますように、こちらから手を差し伸べて、いかに子供が周りの環境に影響されないで読書に親しめるようにするか、そんな視点も必要なのではないかなと感じました。
 以上でございます。

【秋田座長】
 ありがとうございました。
 それでは、杉原委員、お願いいたします。

【杉原委員】
 では、失礼します。今日、私が一番楽しみだったのは、茅野市さんの報告とデュアーさんのお話が聞けることでした。実は先ほどから出ております文科省から出ました学校図書館ガイドラインの中の校長の学校図書館長任命ということを、うちの市議会議員さんが6月の一般質問で取り上げられまして、教育委員会の中でも話合いが行われ、実は9月22日に伊万里市でも学校長を学校図書館の館長として任命するということを行ったばかりであります。
 校長は学校の教育活動全体の責任者でもありますので、学校図書館においてもリーダーシップを発揮するということは当然のことであると考えておられる校長先生もいらっしゃいます。読書は大事だけど、ほかにもやることがいっぱいあるというお考えの校長先生もいらっしゃるという中で、反発もあるのかなと考えておりましたけれども、本市でも家読の取組を進めておりましたので、特にそういうことも起こりませんでした。この機会を捉えまして、私たちの公共図書館と学校図書館の連携ということについて、私の方で少々お話をさせていただきました。
 実は私も小学校の教諭をしておりました経験上、国語の教科書に読書に発展していくような教材が、近年、教科書会社、どこを見ましても、手厚い資料などが提示されているのを目にしてきました。ただ、これを先生方がどれだけ子供たちの読書につなげようという努力をされるかというところについては、やはり温度差があるというのを非常に感じているところでした。
 ですから、校長先生のリーダーシップによって、国語だけではなくて、全教科において教育課程を組むときにも、その視点を忘れず、それを校長先生に日々の授業の中で見ていただくというところもであると思います。茅野市さんの取組は、今回のうちの任命に当たっても参考にさせていただいたところです。
 それから、高校生の、この前のコンシェルジュにしても、今日のいろいろな読書リーダーというようなお話にしても、関わった子供たちは非常に有意義な体験ができるんですが、ほかの高校生に広げていくという点では、やはり小学校の頃からの一つの読解指導というところにもしっかり目を向けていく必要があります。読書の下支えとなる力をしっかり付けていくことによって、リーダー的な子供たちの読書がほかの高校生にも広がっていくというところになっていくのではないかなと思います。
 最後に、子供の成長するそれぞれの、身の回りといいましょうか、環境の中に、いつでも読書、図書館につながる何かを大人が用意しておくということは、非常に大事な視点ではないかなと思っております。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 それでは、白井委員、お願いします。

【白井委員】
 今日伺いました4名からのヒアリングで、思いましたことは、アイデアがそれぞれ非常にすぐれていて、工夫と実践がされていて、こうした実践につながるようなことというのは、やはりそれぞれの地域で工夫されていく、それを国とか県とか、そういうところがどういうふうにサポートしていくのかという重要さを考えました。
 こうしたサポートは、地域では例えば市民ボランティアの方々とか読書関係のボランティアの方、子育て支援のボランティアもブックスタートの場合には集まってきますし、それぞれ様々な専門職の方々も集まってくると。そこでつながっていって、またいろいろなプロジェクトやイベントが生まれてくると。そういう人が集まる、つながる、そこにはやはり場が必要なんだなとすごく思います。
 ブックスタートの場合には、ゼロ歳児健診の保健センターがその場になっているんですが、子供の読書全体を高校生まで含めて考えますと、やはり図書館が大きな役割を果たすのではないかなと。学校図書館であり公共図書館であり。人が集まり、その場ができる、それをリーダーとして率いていく、導いていく司書の方の役割も、大変あるんじゃないかなと。
 最近、私が読んだ本の中に、北欧、デンマークの図書館に、単に静かで本を読むだけではなくて、人が集まる、みんなでわいわいにぎやかに討論をするような場所があると。つまり、静寂な場所と静寂ではない、わいわいにぎやかにする場所ですね。
ふさわしい言葉かどうか分からないんですけど、例えばラウンジのようなものが図書館の中にあって、その場を利用して、今日伺ったようないろいろなアイデアがそこで展開される。それは、これまでもお話のあったようなブックトークであれ、ビブリオバトルであれ、子ども司書の活動であれ、高校生直木賞であれ、いろいろな活動がそういうラウンジを使って展開されるというような、つまり、図書館の利用のされ方を工夫できるのではないかということを、今日、発想しました。
 図書館が一番思い当たるんですけど、それ以外にも、例えば町なかに商店街があって、なかなか利用されていない場所もある、そういうようなところの利用とか、それから先ほどのサポートのことと結び付くんですけど、例えば伊藤さんから、フランスでは、高校生ゴンクール賞のときにFnac社がサポートしているというお話がありましたけれど、こうした読書推進のいろいろな活動に、いわゆる民間の出版界も参画できるのではないかと。
 私は出版界に身を置いていたこともありますので、例えばブックスタートにおいても出版界は非常に協力していますし、そういういろいろなサポーターの中に、民間の出版社、それから書店、販売会社とか、そういう出版界の方も考えてはいいのではないかと思いました。
 長くなりますので、この辺で終わります。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 それでは、設楽委員、お願いいたします。

【設楽委員】
 ほぼ皆さんの意見と同じなので、2点お話しいたします。学校では、読書推進の観点から、本を楽しく読むことと、読解力を育む指導を続けております。茅野市の取組は、各学校の取組を、点ではなく、市全体に、面として広げていくという観点からすばらしい取組だと思います。これからも学校図書館の機能の活用面から注目していきたいと思います。是非よろしくお願いします。
 2点目です。子ども司書の取組は非常にすばらしいものだと考えております。御発表の中に、「学校との連携がなかなか難しい」ということがありました。確かに、生涯学習の取組ということと、学校教育での取組の違いがあると思います。先ほど福田委員から図書委員会は特別活動だとの御発言がありました。その特別活動の目標である「心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる」をきちんと踏まえた上で活動していくことが大切になると思います。その点も踏まえて、学校での役割と生涯にわたる読書活動の意義について、更に研究が必要かと感じました。
 どうもありがとうございました。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 佐川委員、お願いします。

【佐川委員】
 佐川です。私はアンドリュー・デュアー先生と一緒に、家読と子ども司書の全国運動に取り組んでいる者ですけれども、家読は既に全国約500の町々で取り組まれております。子ども司書も、先ほどデュアー先生からの報告にもありましたけれども、恐らく200団体ぐらいで取り組んでいるだろうと思うんですね。子ども司書の講座をやっているところは公共図書館になりますが、それで、先ほど糸賀先生から、子ども司書講座の内容で、子供たちがもっと本の楽しさ、そういうものを身に付ける、それから推進できるようなカリキュラムが少ないんじゃないかというような御指摘もありまして、正にそのとおりなんですね。
 それで、この子ども司書というのは、子ども司書になるのが目的ではなくて、子ども司書になってから、学校や地域でどのように友達関係に本の楽しさや面白さや、そういうものを伝えていけるか、そういう子供の読書指導者養成の目的なんですね。
 それで、子ども司書講座というのは一つの基礎的な知識の学習だという位置付けになりますけれども、現在、全国で取り組んでいる団体さんの子ども司書のカリキュラムや認定証関係も、それぞれがそれぞれの独自の考え方、やり方でやっているところなものですから、これをこれから全国的にもっとネットワークを密にして、全国的な標準、スタンダードともいいますけれども、そういう制度化は可能なのか。これからどういう制度化が可能なのか、それが一番大きな課題だと思うんですけども、これはデュアー先生のお考えもお伺いしてみたいと思うんですが、子ども司書をこれから社会の中でどう制度化していくのか、何が必要なのか、何が課題なのか、デュアー先生のお考えをお聞きしたいと思っているのですが。

【秋田座長】
 ありがとうございます。質問の最後に、茅野市さんとデュアー先生にということで、委員の意見に対する返答を頂きます。

【糸賀委員】
 じゃあ、よろしいですか。私から、感想を一つと、それから提案を一つさせていただきたいと思います。それも、これまでのほかの委員の方と重ならないようにいたします。
 今日の皆さんのプレゼンを聞いていての感想の中で、特に最後に高校生直木賞の発表があったんですけども、あのときに私が感じたことは、あれはフランスがお手本になっていますよね。フランスの大学入試がバカロレアですよね。あれがそもそも読書を相当してこないと答えられないような入試といいますかね、なっているんですよね。特にあれ、哲学みたいなものが選択できて、それを選ぶためにはかなり長文の文章を書いてこなくちゃいけないという。
 日本と比べたときに、私はやっぱり大学入試の在り方が高校あたりの国語教育とか読書の在り方に相当影響しちゃっているように感じました。それをまず、私、伊藤さんのプレゼンを聞きながらずっと感じていたんですね。
 一方、今、日本でも大学入試の在り方というのは全然違うところで検討されていますよね。そういうところで、やっぱりもっと読解力とか、それから文章力が求められるような入試制度に変わっていったら、私は高校生も自主的に本を読むようになるんじゃないかと感じました。
 これはこの会議体でやることじゃないんですけども、やはり私は、実は大学入試というのは結構高校生、特に中学生にも影響しているんじゃないかと感じたのが一つです。これは感想です。
 もう一つ、提案というのは、今日の発表を聞いていると、子供同士の影響力がすごく強いという話がありましたよね。それから茅野市さんでやっているような学校図書館長に校長先生がなると。こういう実践例は、各地でいろいろ取り組まれているわけです。私は、国の役割としては、いろいろと紹介をし、あとは個々の市町村や県が、じゃあ、うちの市町村にとっていいのはどういうやり方があるのか、うちの市町村のこれまでの学校図書館の体制や、それから地域の中での読書の在り方から考えて、うちはこういう取組でいこうと考えればいいわけですから、こういうすぐれたベストプラクティスを紹介していくことが国の大事な役割だと思います。
 それからもう一つは、子供同士の影響力が高いということで、私はかねがね考えていたことがありまして、それは何かというと、ということは、中学生、高校生の同年代の有名人が、実は読書するとすごくいいよということを言ってもらえるようなポスターを作ることだと思いますね。
 それでは、今、全国の図書館を私、ほぼ回っているんですが、方々の図書館で、今、中学生、高校生が、こういう本はないか、こういう本を読みたい、こういう本はうちの図書館にないかって聞いてくるテーマが一つあるんですよ。それは何かというと、北海道でも東京でも沖縄でもそうなんですが、将棋なんです。中学生でも高校生でもみんな、女の子までが将棋の本はないかと言ってくるんです。
 私は藤井聡太くんがポスターに出てきて、私は本は読むし、将棋も強いみたいなことを言ってくれたら、中学生、高校生は本の方に本当に向きますよ、これ。
 それから今度は女の子で、芦田愛菜ちゃんなんです。あの子もやっぱり小学校時代から物すごい、月に何十冊と読んでいるんですよね。
 ああいう全国的な、中学生、高校生、小学生でも知っているような子を、やはり国としては読書推進のポスターで、申し訳ないけど、使わせていただいて、多くの中学生、高校生に呼び掛けたら、私は間違いなく効果があると思います。これは私は国の大事な役割だと思っています。
 別に今取り上げた固有名詞の2人を使わなくてもいいですけど、やっぱりそういう読書を推進するような働き掛けを国としてやっていく。あとは市町村がそれぞれの地域の在り方に応じて、読書推進の方策に取り組んでいけばいいんだと思う。そのメニューが、今日や前回の発表の中でいろいろ出てきたんだろうと感じています。
 以上です。

【秋田座長】
 どうもありがとうございました。
 私個人としても3点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 今の糸賀委員とつなげれば、1点目は、今日もまたいろいろなよいプラクティスを出していただきました。私自身は学校現場に関わっているだけに、忙しい先生たちが、高校の先生がこういう実践の取組をどれだけ知っているだろうかと思うと、例えば今日の伊藤先生の取組でも、学校の先生が知っていれば参加したいと思うかもしれない。けれども、いい実践と、やっぱり多く、広くのところとはまだつながっていないと思います。子ども司書でもそうだと思うんですけれど、ハブというか、どのようにつないでいく必要があるのか。そこに自治体や公共の施設等の役割もあるだろうと思いながら、聞かせていただきました。
 2点目として、今日、幅さんが子供は子供っぽい本とか、子供をなめないで、ある種、本当に奥行きのあるものを与えるべきというお話がありました。伊藤先生の直木賞もそうだと思うんですけど、普通の学校教育とか園の方針では出会えないような本の選書だったり、別に高いものではなくても、必然性があり、社会で価値があることが大事だと思います。その子供にとって生活上どうしても意味があるものと本とのつながりをどうやって作っていくかというところがポイントだろうと思います。それぞれの御発表は、ある意味で、先ほど白井委員が言われたように、産官学というんでしょうか、みんなが協働して、今まで割と社会教育、学校教育といっても、自治体と学校という枠組みだったんですけど、もう少しそこに新しい発想や人が現れることで、イノベーションが起こると思いました。ラウンジという話がありましたけれども、共通の物語、出来事を共有する場が増えていくことがとても大事なことなんだろうなと思ったことが2点目です。
 3点目としては、茅野市の学校長が学校図書館長であるとか、教育長が読書に理解を持つとか、そういうところの自治体の事例を、是非、全国のいろいろな自治体の首長さんとか教育長さんにも知っていただけるような働き掛けをしていただきたいと思います。それによって、前回からのお話でもあったと思いますけど、今日の子ども司書の話もそうだと思うんですが、取組にはそれぞれ独自の文脈もカリキュラムも考えながらやっていくというようなことができると有り難いなと思いました。
 そういう意味で、とても刺激的な御報告は有り難いと思いました。
 今日、茅野市に張替委員と野口委員から、それからデュアー先生に佐川委員から御質問があったので、ごく簡単に補足いただけたらと思います。よろしくお願いします。

【藤森様】
 張替委員さんの質問は、司書の待遇ということですか。学校司書の関係ですかね。

【張替委員】
 両方知りたいです。

【藤森様】
 まず、市立図書館の方ですけれど、茅野市の場合は、正規職員が5人と、あと臨時職員が5人くらいで回しているんですが、運営に関しては正直言って、いっぱいいっぱいの状況です。
 今、来年度より開館時間の延長も検討しておりますので、そこでまた臨時職員の増加ということも財政当局と話している段階ですので、いっぱいいっぱいの状況があります。
 それからあと、学校司書の関係ですが、こちらは学校教育課で採用しているんですが、臨時職員が各小中学校に1名配置されているということになりますが、そのような状況ですので、茅野市は13校あるものですから、13校に一人ずつは配置している形になりますが、これでお答えになっていますか。

【張替委員】
 じゃあ、直雇いになるということですか。

【藤森様】
 はい?

【張替委員】
 市が直接雇っているという形なんですね。

【藤森様】
 そうです。学校司書ですね。

【張替委員】
 学校司書さんは、週に何日とか、あるいは雇い止めがあるかとかいうことがもし分かれば。

【藤森様】
 7時間勤務の方と6時間勤務の方がいます。勤務日数は週5日です。
 あと、もう一人の委員さん、学校図書館長が校長先生ということで、その方に対しての研修という御質問でしたか。
 これにつきましては、毎月、校長会を開いております。それは学校長たちの会合になるんですが、4月に赴任してくる先生もおられますし、いずれにしても、学校図書館長となったからには学校図書館経営方針を作成してもらっております。
 そういったこともありますので、市内13校の校長先生が集まる学校長の会議のときに、その中のひとこまで、研修といいますか、知識を与えるといいますか、そういうようなことはやっております。
 ですから、年度当初、4月の学校長会でそういうことはやっておりますし、それに加えまして、茅野市に新しく転任されてきた先生に対しては一律、読書関係の職員研修ということで、4月中に行わせていただいております。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 それでは、デュアー先生、制度化のことでお願いします。

【デュアー様】
 すいません、覚えている質問は、制度化についてのことですよね。

【秋田座長】
 はい、そうです。

【デュアー様】
 実は、ここの辺はかなり苦しいところなんですけれど、制度化の度合いによりますが、非常にかちんとした制度にしてしまうと、法律が必要だったり、基準が必要だったり、評価が必要だったりするという、自主性がなくなっていくということになりますが、今までの話の中でも出てきている子ども司書の問題点は、まず、認定後、子供たちがどこまでそれが認められるかとか、学校の中での活動ということなんですね。
 それについて、制度までいかなくても、こういう活動がありますよと。国としてはそれを推進、推薦しているということになれば、学校にとってはもう少し受入れがよくなるかなという感じがします。
 様々な活動の中で、私たちが実際に岐阜市の中でも何回か言われましたのは、図書委員がいますから間に合っていますとか、特別扱いにはできませんということと、あとは実際には、小学校の数の子ども司書がいるわけでもないので、全ての学校に配置されているわけでもないので、どこでどういうふうに活動しているかというのは、今、余り見えていないところが一つなんです。
 数が増えていって、そして学校の中で活動の場が保障されれば、それは制度化ということなんですけど、もっと発展していくかなという感じがします。それが一つですね。
 カリキュラムをどうするかということは、それぞれの自治体の事情があるわけですから、それに伴って多少工夫する余地は置きたいと思いますけれど、糸賀先生がおっしゃったように、図書館中心に考えるというのは多分やりやすいんですけれど、ここまで来て、少し考え直すというか、考えをもうちょっと深めていく転換期でもあるかなと思います。これから研究を深めていきたいと。
 話の中で出てきたもう一つは、国としていろいろな事例を取り上げて話すということ。例えばかつて大学に対してよくやったGPの募集みたいなこと、そういった感じのことができれば、たくさんのアイデアを集めて、それを交換とか広げていくこともできますので、そういうことが可能であれば、是非やっていただきたいと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございました。
 それでは最後に、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたします。

【小沢青少年教育課体験活動推進専門官】
 本日の会議、お疲れさまでございました。
 次回の会議ですが、第4回、11月2日木曜日10時から12時ということで、文部科学省内で行う予定でございます。
 ちなみに、その次の第5回の会議も決まっておりまして、こちらが12月12日火曜日の10時から12時という形で予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【秋田座長】
 それでは、皆様、活発な御議論、ありがとうございました。
 今日は2時間半だったんですが、それでもちょっと延びてしまいましたが、本日はこれで閉会とさせていただきます。
 本当に皆様、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございました。


―― 了 ――

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-- 登録:平成29年11月 --