子供の読書活動推進に関する有識者会議(第2回) 議事録

1.日時

平成29年9月12日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省庁舎9階 生涯学習政策局会議室

3.出席者

委員

(座長)秋田喜代美
(委員)糸賀雅児,佐川二亮,設楽敬一,白井哲,杉原あけみ,鈴木惠治,野口武悟,濵田秀行,張替惠子,平久江祐司,福田孝子

文部科学省

常盤生涯学習政策局長、土肥生涯学習政策局青少年教育課長、新免青少年教育課課長補佐、小沢青少年教育課青少年体験活動推進専門官、ほか

4.議事録

子供の読書活動推進に関する有識者会議(第2回)

平成29年9月12日

【秋田座長】
 おはようございます。それでは、定刻でございますので、ただいまから第2回子供の読書活動推進に関する有識者会議を開催いたします。本日は、お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 なお、本日、堀川副座長はあいにく御欠席でございます。
 また、本日はヒアリングのためにベネッセホールディングスより木村様、秋田県教育庁より沢屋様に御出席いただいております。ありがとうございます。
 それでは、事務局より資料の確認をしてください。お願いいたします。

【新免青少年教育課長補佐】
 本日も、お手元のタブレットを活用しながら進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 第1回と第2回というフォルダがございます。本日の資料は第2回というフォルダに議事次第と、資料1から5がございます。参考資料として、第1回と記載のフォルダに前回の会議の資料一式を入れております。また、机上に座席表と現行の基本計画、本日ヒアリングに御対応いただきます秋田県様からパンフレットを4種類、また栃木県様からパンフレット1種類、秋田座長から児童福祉文化財年報という厚生労働省発行の資料を仰せつかっておりますので、配布させていただきました。
 フリーズやタッチパネルが反応しないなど、不具合がございましたら、電源を切らずに事務局までお声掛けをお願いします。
 また、カメラ撮影はヒアリングの開始時までとさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。本日の流れでございますが、まず株式会社ベネッセホールディングス ベネッセ教育総合研究所副所長の木村様より、子供たちの現状と読書活動について、調査研究を基に御発表いただきます。
 次に、秋田県教育庁生涯学習課長の沢屋様より、秋田県における読書活動推進の体制について御発表いただきます。
 そして続いて、栃木県教育委員会生涯学習課長の鈴木委員からも、栃木県における読書活動の取組について御発表いただきます。
 発表が終わりましたら、質疑や議論を深める時間をとりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初にベネッセ教育総合研究所の木村様から御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

【木村様】
 ただいま御紹介を頂きましたベネッセ教育総合研究所の木村と申します。座って失礼させていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
 私どもはベネッセ教育総合研究所という民間企業の中にあるシンクタンクでございますが、研究所そのものは30年以上の歴史がございまして、乳幼児から大学生まで、子供、保護者、先生方を中心に年間10本以上の調査研究を行っております。今まで累計で300から400ぐらい、様々なテーマで研究を行ってまいりました。
 きょうは、その中から読書、ないしは読書の周辺にある生活とか時間の過ごし方といったことを中心に御報告をさせていただきます。読書活動を考えるベースとなる部分のデータを提供するというのが大きな狙いでございますので、よろしくお願いいたします。
 (資料1を)めくっていただいて2ページ目に、本日の御報告の内容を簡単に記しております。本日の目的は、今申し上げたとおり、子供たちの読書の状況を少しデータから明らかにしていきたいということです。
 特に高校生が読書離れするというのが一つの大きな課題と捉えていらっしゃると伺っておりますので、高校生をはじめとする子供たちの意識や価値観、行動特性みたいなものも追っていければよいと思っております。
 さらに、発達段階に応じた読書習慣の形成や読書推進に当たってのヒントに当たるようなこと、ないしは生活の過ごし方を見てみて、この辺が課題だとか、こんなことが考えられるのではないかという提案に当たるようなことも、最後に少しだけ触れさせていただければと思います。
 内容は、ここに掲げたとおりなので、省略させていただきます。
 それから最初に留意点ですが、私ども、先ほど申し上げたように、いろいろな調査をしていて、きょうは読書を中心に複数の調査を紹介させていただきます。本来、調査研究というのは、どういう対象に行ったかとか、どういう方法で行ったかとか、この辺が極めて重要なわけではありますが、その辺について一々御報告を差し上げる時間が十分にございませんので、是非私どもの研究所のホームページをごらんいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 ということで、前段、前置きを踏まえまして、幾つか子供たちの実態を示すデータについて御紹介をさせていただきます。
 まず4ページのスライドになります。こちらは私どもがやっている生活時間調査と呼んでいるものです。24時間を15分の単位に区切りますと、1日が96のセルになります。この96のセルに、それぞれ子供に何をしたかというのを尋ねるような行動調査を行っております。この中で様々な時間の過ごし方について尋ねているわけですが、ごらんになっていただければ分かるとおり、子供たちの生活は非常に忙しいという実態がございます。本当に睡眠もこれで十分なのかという程度の睡眠時間しか、高校生はとれていなかったりします。6時間台だったりします。学校生活も忙しくて、長くなっております。
 その中で放課後の時間というのは、大体4時間40分から5時間ぐらいです。その放課後の時間も、内実は様々なものがございます。学習に費やしたりしますが、メディアの時間というのも一定程度ございます。
 この調査は、先ほど申し上げたとおり、セルに1個1個行動を書いてもらうので、ながら行動とか、5分とか10分という行動がちょっと出にくい傾向があります。そのためメディアの時間が比較的短めに出ているという留意点があることを押さえていただければと思いますが、放課後の時間の過ごし方がこんな感じです。
 じゃあ、そのメディアの時間の中身はどうかというのが一番下になります。左側に本や新聞とあって、ちょっと寂しい感じの時間になっております。それ以外にマンガや雑誌というのもございますが、全体にメディアの中で紙媒体が占める割合は、それほど高くないということが分かります。忙しい中で、このメディアの時間のやりくりみたいなことも非常にポイントになるのかなと考えております。
 続きまして、「本を読む」時間の学年推移を示したものです。これは先ほどの聞き方とは違って、その時間どれぐらいやっていますかと聞いていますので、これが少し実態に近いのかなとも思いますが、小学校1年生から高校3年生まで、このような形で推移しています。
 注目ポイント幾つかございますが、一つは、この辺の5分から10分という短い時間読書をする子が学年が上がるにつれてすごく減っていて、読まないという割合が増えるということで、割とライトに読んでいた層が減っていくというのが特徴的なポイントかなと思います。
 このグラフを少し視点を変えて折れ線グラフにしたのが6ページになります。このグラフは、先ほど言った5分から30分という短い層の読書に親しむ子が減っていく代わりに読まない層が増えていくということを示していますが、同時に長い時間読書する層は一定程度、各学年存在するのだということも分かります。
 この中で、読まないところがどこで増えるのかというところに注目しますと、「読まない」のポイントが上がるのが小6から中1にかけて、ないしは中3から高1にかけてという結果になっています。
 先ほど申し上げたとおり、子供たちの生活忙しい中で、生活の変化がここで起こります。中学生になると部活動が始まる。高校生になると、例えばですが、通学時間が長くなるみたいなことがございます。こういった生活の変わり目に読書離れをしてしまう子が少し多いのかなというところが、ポイントの一つであろうと思います。
 続きまして、「本を読む」時間の性差が7ページでございます。何となくですが、私も女の子の方が本を読むというようなイメージがございました。データでも、部分的にはそのような傾向が現れています。
 ごらんになっていただくと分かるとおり、小学生から中学生までは、女の子の方が読書時間が長いということが傾向として現れています。
 少し私、驚いたというか、意外だったのは、高校生になると、その性差が消えるという点です。その点を踏まえると、この中学校3年生まで読んでいた子が、高校1年生になると読書離れをする。特に女の子の高校にかけての読書離れというのも一つ課題なのかなというところです。
 続きまして、これは別の調査で、1990年から継続的に、例えば5年置きとか10年置きに行っているものです。その中で、我々読書を子供たちの学習の裾野を広げるものだという捉え方をしておりまして、学習についていろいろ尋ねる調査を行っているんですが、読書行動について、定点観測的に同じ学校に尋ねている調査の結果になります。
 これを見ていただくと、この辺の文学作品や小説・物語を読むというのは学年を経ても、そんなに大きくは減りません。文学は高校生以上も半数以上が読むと回答していて、例えばライトノベルのようなものが非常に広まっていますし、映画の原作とのタイアップみたいな、そういう一つマーケットがございます。文学は余り減らないという傾向が現れていますが、その下の、例えばですが歴史小説とか、自然、動物・植物の自然科学の本を読むみたいなものは、学年が上がるにつれて減少するという傾向が現れております。論理的な文章みたいなものを読む機会が、高校にかけて減るというような感じになっています。
 それから学年を追って減るのは、一番下の地域の図書館で本を読んだり借りたりするということで、図書館との関わりも学年を追うにつれて薄れていくということが傾向として現れています。
 じゃあ、こうした読書行動、経年でどう変化してきたのかということで、先ほど申し上げたとおり、1990年から尋ねている調査なので、学年別に示したのが9ページのグラフになります。
 ポイントだけ示すと、これの上の三つの本を読むというのは、必ずしも減っているというわけではありません。ただ、新聞のニュース欄を読むというのが、特に高校生で劇的に減っております。
 それから、ちょっとポイントとして注目したいのは、下から二つ目の読みたい本を本屋やインターネットで探して買うというものです。インターネットという言葉、この最後の2015年の調査だけ付け加えたので、2006年以前は読みたい本を本屋で探して買うという質問項目でしたが、この項目が2015年のデータでかなり減っています。特に小学生で減っていたりします。恐らく町の本屋が消えていて、読書環境みたいなものもきっと変化しているんだということが、このデータからはうかがえます。
 それから、どういう子が読んでいるのかという点に着目してデータを見てみたのが10ページになります。10ページは「本を読む」時間の成績差になります。
 これも、データを出してみて意外だったんですが、本を読むというと、賢い子がするものだという、何となくイメージがございますが、その傾向は小学生には比較的当てはまるんですが、中学生、高校生になると、成績差がかなり弱まります。総体的に見ると、成績上位層の子ほど読書離れをするという読み方もできるのかなということで、学年で上の方の成績をとっている子が余り小学生のようには読まないというか、成績差がなくなるという傾向が現れています。
 同様に、「本を読む」時間の希望進路による差というのを出しました。これも小学生、中学生ぐらいまでは、大学卒業まで僕は行きたい、私は行きたいという子がよく本を読んでいる傾向がありますが、高校生になると、そうした進路希望と読書時間の傾向に差が見られなくなります。むしろ、大学希望するような子の方が読書時間が短いというような傾向が出ています。
 恐らく、先ほど冒頭に述べた生活時間全体の中で、やはり学習に割く時間も、1日は24時間という限られた時間になりますので、当然バッティングするということになるわけです。この辺、生活の中でどう読書を定着させるのかは、やはり重要なのかなということを一つ示すデータになるのではないかと思います。
 成績の差が少し消えていくというのはあったんですが、ここからは読書と自己の能力評価との関連がどうなっているかというのを示した図を幾つか御紹介いたします。
 12ページ目は、「論理的に(筋道を立てて)考えること」が得意かどうかというのを読書時間の長さ別に示したものになります。これを見ると、読書時間が長い子の方が、そうした論理的な思考について得意だということを答える傾向が、小中高ともに見られます。
 こうした能力の自己評価との関係は、幾つかのデータでやはり同様に見られ、例えば13ページ目では、「分からないことや知らないことを調べること」が得意か。これはかなり大きな差になっています。やはり、こうした活字になれ親しむことが、そういう調査行動のようなものを得意だという意識につなげているのかなというところです。
 きょうは十分御紹介できませんが、このような形で、能力観と読書行動というのは幾つか関連が見られます。
 それから、将来の目標との関連みたいなものもクロスをしてみた結果、やはりそうしたことも、「将来の目標がはっきりしている」に当てはまるという割合が、読書時間が長いほど高いというような結果もあります。
 続けて、駆け足になりますが、「本を読む」時間と保護者学歴による差というデータを指し示しました。いわゆる読書のような活動は、非常に家庭の文化的な影響を受けるものだと我々は理解をしています。実は、それはお父さん、お母さんの卒業学校段階を聞いたものと読書時間をクロスさせると、小学生は当てはまったんですが、中学生、高校生は余り当てはまらないという結果になりました。そうした家庭の文化的な影響は、小学生までは何となく効くという感じはあるんですが、中学生、高校生になると、余り効いておりません。恐らく家庭以外の要因が左右するのかなと思いますし、先ほどの学習時間との関連みたいなこともあるのかなと思います。
 それから16ページ目の図は、保護者の態度との違いを示したものでございます。この調査は、親と子、同じペアで調査をしていますので、親にも調査をしているのですが、保護者が本やドラマや映画などに感動するかどうかと時間をクロスさせたものが、この図になります。そうした感動するよという保護者の子供は、比較的長い時間読書するかというと、小学生ではそういう傾向があるんですが、中学生、高校生だと、その傾向はかなり弱まる、ないしは消えてしまいます。このように家庭を巻き込んだというか、保護者の影響という観点で言うと、中学生や高校生はかなり弱まると、そういう結果になっています。
 最後に、メディアと読書の関係を考える上で、各メディアの利用時間というのを少し詳細に17ページで示しました。先ほど申し上げたとおり、読書というのは、この調査だと10分台から20分台前半ということですが、全体に携帯・スマホが高校生になるに従って、時間としては長くなります。こうした時間のコントロールという観点で、それぞれの時間をどう考えるのかということが一つのポイントであろうと。
 ただしです。インターネットも今、読書ができます。これは中高生に、少し前の2014年のデータなので、もう少し今は数値が上がっているかなと思うんですが、コミュニケーションとか、情報検索、動画を見るとか、勉強に使っているとかインターネットでどういうことをしていますかを尋ねています。そういう中で、電子書籍や電子コミックをインターネットで読みますという子供の比率を示しています。大体3割ぐらいです。
 私どもも民間事業者として、今65万人ぐらいの子供に、電子書籍をサービスするようなことをしています。こうしたメディアを使って読書を推進するというのも、やはり今日的な方法として考えなければいけないのかなというところです。
 最後、まとめと提言、簡単にポイント、五つだけまとめさせていただきました。
 一つは、読書の時間は、やはり生活時間の中で限られた時間です。その多忙な時間の中で、他の時間との関わりの中で読書をどうやって増やしていくかというのが一つポイントだろうと思います。
 二つ目は、高校生は成績や進路希望と読書との関連がかなり弱まります。恐らく、学習が忙しくなり読書の時間がなくなっている可能性が高いと推察されます。
 三つ目は、学年が上がるにつれて本を読まなくなりますが、不読率は小から中、中から高の接続期に高まります。このタイミングの働き掛けが重要ではないかと。
 四つ目は、新聞を読む習慣がなくなったり、地域に本屋がなくなったり、インターネットが普及したりという、こうした読書環境の変化を考慮した対策が必要であろうと考えられます。
 さらには、家庭の影響が見られるのは小学生まで。中高生は恐らくそれ以外の影響が強まると思いますので、中高生は、家庭に働き掛けるとか保護者に働き掛けるという以外の対策が重要なのだろうと考えます。
 以上、簡単、駆け足ではございますが、データを中心に基本的なデータを御紹介させていただきました。

【秋田座長】
 大変興味深いデータの数々を御提示いただきまして、ありがとうございました。それでは質疑応答を5分程度でお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どの委員からでも結構でございますが。では、お願いいたします。

【野口委員】
 野口と申します。保護者との関連というところで報告、データがあったかと思うんですけれども、保護者の家庭での読書時間と子供の読書時間との関係、あるいは家庭での読書環境と子供の読書時間との関係というのは、調査はとられていらっしゃらないんでしょうか。

【木村様】
 家庭の読書に関わるような環境については、その文化的な背景を質問する項目の中で聞いています。例えば家にどれぐらい本がありますかというのは、学歴とか経済的な指標と並んで文化的な環境を示す一つの材料なので、そうしたデータはありますので、クロスをとってみることは可能です。そのデータ、きょうはお持ちしていないんですが、恐らく同じような結果になるのではないかと推察します。
 保護者の読書時間については、実は最近の調査の中では聞いておりませんで、それについては現段階ではデータとしてはないと、そういう御回答になります。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。お願いいたします。

【糸賀委員】
 糸賀と申します。大変興味深い調査で、本当はいろいろ聞きたいんですけれども、二つばかり絞るんですが。
 一つは、これ、最初の方の生活時間で、メディアの接触とかを聞きますよね。そのときの目的というのは、ここでは問わないわけですね。というのは、ほかの選択肢の中に学習ということがあったと思うんです。そうすると、例えば、この中で調べ物をするために百科事典を使うなんていうのは一体どっちになるのか、あるいは、とにかく調べ物のためにインターネットを使うとかというのは一体どっちになっているのか。とにかく、ここでは本と新聞をメディアの中で、ここで言う読書と捉えているわけですが、そこでの目的は問わなかったのかというのが一つ。
 それからもう一つは、今の野口先生の質問とも重なるんですが、これは、子供たちがなぜ本を読む気になったのかというような動機ですよね。それが分からないと、言ってみれば、これ、私は読書の疫学的な調査みたいなもので、例えばがんにかかる人はどういう食生活をしているとか、どういうライフスタイルをとっているかというのは分かるんだけれども、では何が原因になっているのかと、因果関係が、やはりよく分からない。できれば読書についての因果関係の原因に当たるようなものが、この幾つかの変数の中から浮かび上がってきたのかどうかをお尋ねしたい。

【秋田座長】
 ありがとうございます。お願いします。

【木村様】
 大変鋭い質問で、ありがとうございます。我々、近年、こういう生活の調査をするとき、インターネットを経由したものをどう捉えるかというのは非常に難しさを感じております。つまり、このインターネットに触れるということの中で、様々なことに触れている可能性があります。この調査では端末しか聞いていません。どういうものに触れているかということを聞いております。
 御紹介したデータの最後に、そのインターネットの中で何をしているかと聞いた別の調査を紹介しました。そのような形で、インターネットの場合は、その中で何をしているかを別の形で聞かざるを得ません。

【糸賀委員】
 途中ですみません。つまり、この中の放課後の時間のメディア、遊び、学習というのは、目的とメディアが混在しているんじゃないかと。メディアを使う中にも、遊びもあれば学習もある。

【木村様】
 そのとおりです。

【糸賀委員】
 そうですよね。

【木村様】
 はい。メディアは、正にそのとおりです。メディアの調査は、そういう意味で言うと、非常に難しい調査の一つです。使っている子と使っていない子がいるという実態もあります。ここも難しい点の一つかなと思います。
 それはそのとおりで、この中でどのように使っているかというのは、別の形で聞かざるを得ない。

【糸賀委員】
 下の方もテレビ、マンガ・雑誌で、どちらかというと娯楽ですよね。だけど本と新聞は、この中では読書と扱うわけですよね。そうすると、あの中の本と新聞を使っている目的が、テレビ、マンガ・雑誌、音楽と一緒に考えていいのかということなんです。

【木村様】
 一緒と考えていないので分けて聞いています。本の中にも、探求的なものを読むケースもあれば、もう少し娯楽的なものを読むこともあると思うので。

【糸賀委員】
 学習、習い事の中でメディアを使っているケースもあるんじゃないかと。

【木村様】
 ありますね。それはそうだと思います。
 それから、なぜ本を読む気になったのか。読書を巡って幾つか聞いています。例えば感動することがあるかとか、そんなことを聞いたりしています。それから、調査の中では生活面とか意識面で様々な項目をとっているので。先ほど能力との関係みたいなのをデータでお示ししましたが、幾つかの観点で、どういう子が読むのかというところから、本を読む動機みたいなものを推察することは可能かなと思っております。

【秋田座長】
 ありがとうございます。では、平久江委員で一応質疑を、このところでは終わりにさせていただきます。お願いいたします。

【平久江委員】
 では、マイクを使わないで。

【秋田座長】
 お願いいたします。

【平久江委員】
 大変興味深い発表、ありがとうございました。話をお聞きしていますと、やはり学習の中の読書とか、いろいろな情報メディアを使った読書とか、そういったような何か顕在的な読書に対して潜在的な読書といいますか、そういったものが非常に増えてきているという印象を受けております。
 潜在的読書という言い方が適切かどうか分からないんですけれども。こうした読書というのは、多分リテラシーというような観点から捉え直せば、果たして読書が減ったのか、あるいは、ひょっとしたら読書というものが、ほかの形にシフトしたのかというような捉え方もできると思うんですけれども、そういった観点から、今回の発表で読書というものをどう定義されて捉えられているか教えていただければと思います。

【秋田座長】
 お願いいたします。

【木村様】
 少し読書環境の変化について触れさせていただきましたが、私も同様のことを思います。先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、パソコンを使うという行動の中に読書的なものが含まれていたり、そうした情報の中から、いかに自分の必要なものを読み取るかというところは、読書的な要素をたくさん多分に含んでいると思われるので、恐らくそういったものも含めて考える必要があるのかなと思います。
 ただ、やはり子供に対して、どういうことをしていますかというのは、大人の抽象的な感覚では聞きづらい。そこのところはいろいろ工夫する必要はあるとは感じますが、やはり、その行動をしたのか、しないのか、そのデバイスはどうなのかという形が、子供に尋ねる際の限界ですので、その辺の限界は踏まえる必要はあるだろうとは思います。
 先ほど申し上げたように、幾つか類似の質問の中で、言語活動に関わるようなこと。例えば調べるようなことをどれぐらいしているかとか、どれぐらい得意かとか、そういったことを尋ねていますので、広義の意味で、そういうことを読書的な活動だと捉えて考えることはできますし、情報としても提供することはできるかなとは思っております。

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは、議論は尽きませんけれども、後ほどまたディスカッションの時間はございますので、まず次に移らせていただきたいと思います。
 次に、秋田県教育庁の沢屋様から御発表いただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【沢屋様】
 皆さん、こんにちは。秋田県教育庁生涯学習課の沢屋でございます。今日は本県の取組について事例発表させていただきます。
 資料(資料2)ですが、私どもの一番の特徴は、都道府県で唯一、読書条例を制定しているというところでございます。平成22年の4月1日付けで、条例が制定され、その背景につきましても、この後、また話していきたいと思います。
 つまり、この条例が全ての、秋田県の推進体制の基本となっているというところです。あわせて、11月1日を「県民読書の日」とし、これを含めて啓発しているということでございます。
 秋田県の読書活動の推進の特徴でありますが、簡単に申しますと、県全体で読書活動の推進を進めていること、首長部局と教育委員会が連携・協働で進めていること、また、プロスポーツや民間企業及び書店商業組合等、市町村も含めてですが、連携・協働のスタイルを構築していること、この三つでございます。子供の読書に係る施策については、この中に含めて進めているという形でございます。
 一つ目の県全体での読書活動の推進についてでございます。平成22年4月1日に「秋田県読書推進議員連盟」が議員提案を受けて「秋田県民の読書活動の推進に関する条例」を制定しております。この背景として、国会における2008年の国民読書年の決議が、ちょうど2年前、平成20年に決議されております。平成22年から国民読書年ということで、国会でこれを定めていることを受けまして、本県の議会議員の読書・図書活動に熱心な議員の方々で超党派として、この読書議員連盟をつくりました。そして本県でも、一層読書活動を推進していかなければならないということで、条例を制定したということでございます。
 これを受けまして、この条例の中で、県の読書活動推進基本計画を、第1次、それから第2次と策定し、今現在、進めてきているところでございます。
 今までの流れをこの表(5枚目)にまとめています。国では、平成13年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」ができました。それを受けまして、全国的にかなり早い方だと思いますが、本県でも平成14年に、この、子供の読書に係る計画ということで、県民の読書活動推進計画を、私どもの教育庁生涯学習課で策定しております。その中に、図書館の利用促進についても施策の柱として大きく組み入れ、当時策定したものでした。
 このように、教育委員会で施策を運営してまいりましたけれども、やはり、予算も含めて、県全体での取組としてはなかなか厳しいという現状もございました。それを受けて、平成22年度、県のこの読書の推進に関する条例を受けまして、推進本部を設置するということになりました。推進本部は、知事が本部長、各部局長が全て本部員という形です。生涯学習推進本部という、もともとあった推進本部をベースとして、秋田県読書活動推進本部というものを当時作りました。事務局として進行管理するのは企画振興部総合政策課です。県の全体の企画振興をする課が、この事務局をもつということで進めております。従いまして、県の読書活動推進基本計画は、企画政策を担う、この総合政策課が全て担当して制作していくということで、教育委員会のみならず、全庁部局を挙げて、全体計画で進めていくということで、今、進めてきております。
 この中には、推進の基本計画や振興に関することを議会に報告するなど、様々なことも含まれておりますので、進捗状況等については毎年度、議員連盟と企画振興部の委員会の中で、子細に報告されております。
 また、1次の県の読書推進基本計画の反省を生かして、県の推進体制だけでは弱いため、市町村も巻き込まなければならないということで、昨年度、市町村との協働による推進ということで、全市町村、25市町村の企画調整の課と、読書活動を推進する主に教育委員会の担当2課の課長さん方から成る委員会、推進連絡協議会を立ち上げております。
 これ(6枚目)が、その組織でございます。会長は県の読書活動推進本部事務局、企画振興部の総合政策課長。私どもも入っております。県と市町村、また市町村においては、正直申し上げて、実際の読書活動推進体制については非常に差があり、何とかその格差を埋めるべく、県として支援し、県民全体の底上げを図っております。
 ただ、県だけでは、なかなか厳しいということで、市町村長の読書に関する意識を少し変えていただきたいという意見も出まして、全市町村長がお薦めする本ということで、市町村長をブックリーダーとして県からお願いして、私のお薦めする一冊ということで全市町村から出していただきましたし、また、図書購入費、図書館の方は非常に脆弱(ぜいじゃく)な市町村がたくさんございますので、これもまた差があるわけです。一生懸命な市町村もあれば、なかなか公民館図書室の域を脱し切れないで、極端に申しますと、年間の図書購入費が20万や30万しかないという図書館もございます。何とかそれに対して支援していただきたいという声もございましたので、図書購入費の2割アップなどの提言も、この会の中で出されております。様々な市町村の実態を踏まえて、県としても、何とかこれを支援できないかという体制、連絡協議会をつくったということでございます。
 第1期目の、この第1次の最初の基本計画の主な成果としては、県全体の推進本部をつくったということで、体制整備、読書環境の土台づくりは相応にできたのではないかと考えております。また、全市町村で子供読書活動推進計画の策定100%を目指すという目標も、これも1期目のところで、ほぼ達成されました。一番の課題は、県民全体として考えた場合に、読書の時間の確保が難しいという実態があるということでございました。
 この2期計画をつくるに当たりまして、「生活の場に根付いた読書活動による人づくり」という大きいテーマを今回入れましたけれども、その中で県民意識調査ということで、県政のモニターを毎年、県全体で4,400人選んで、こちらから送る形の調査ですけれども、その中に県民の読書に係る内容の調査も入れていただいております。雑誌や新聞も含む読書の時間についてということで調査しています。
 2期の計画では日本一の読書県を目指すというように大きなスローガンも付いていますけれども、何をもって日本一かということです。読書を30分以上している割合という調査項目を見たときに、県民の調査では、20代、30代、40代から70代に幅広く聞いていますが、約54.4%の県民が、「30分程度」であるとデータとして出ております。これは年々データをとってきていますが、最近の傾向としては、やはり30代、40代の子育て世代の読書の時間が確保されていないということが課題としてあがってきております。30代については「30分程度」の割合が35.2%に下がってしまいます。40代は32.4%で、その理由も聞いたところ、仕事が忙しい、家事・育児が大変だといったデータが出ております。
 ちなみに、男女差ですけれども、男性の方が読書の時間が長い、触れている時間は長いというデータが出ております。ただ、最近、男性の方が、トータルして減ってきていますが、これは、60歳代以降の男性の読書の時間が減ってきていることによるものであります。要因は、生活勤務形態が変わって、今まで60代になるとぐんと増える傾向でございましたけれども、ここ最近1年は、やはり雇用形態の変化による減少ではないかという形で今、分析しているところでございます。
 「生活の場に根付いた読書」ということで、もう少し県民協働で推進し、それから企業も巻き込まないとなかなか読書環境は整わないということで、今回、第2期計画では、そこに少し大きくターゲットを絞ったということで、先ほど申しましたように市町村も巻き込む形で進めてきております。
 お手元にパンフレットもございますけれども、第2次の秋田県読書推進基本計画では、日本一の読書県を目指してということで、現在の54.4%を何とか70%まで上げていきたいということです。何をもって日本一かというのは分かりませんけれども、根拠のない数字ですけれども、自分たちで、70%も読むのであれば恐らく日本一だろうと思って、県民運動として今進めてきているところでございます。
 推進体制でございますが、先ほど申しましたとおり、首長部局と教育委員会、2本柱ということです。首長部局の企画振興部総合政策課内に「県民読書推進班」という担当セクションの班を設置しております。また、教育委員会の方でも、子供の読書を中心に推進するということで、教育庁生涯学習課内に「社会教育・読書推進班」を設置しております。このように、読書に関する班が本県では二つあるというのが特徴でございます。
 その、推進体制の役割分担ということですが、企画振興部総合政策課の役割としては、県全体の読書体制・環境づくりの気運の醸成ということで、会議の開催や、環境整備を行っております。また、教育庁生涯学習課の役割は、どちらかというと人材の育成並びに読書基盤の整備ということで、学校図書館、市町村の図書館、県立図書館も含めて、図書館への支援を通した基盤体制の整備というように、それぞれ役割分担をして進めてきております。
 細かいところの事業等については、次にまた御説明申し上げます。
 これまでの成果として、読書活動推進に関する施策を総合的・計画的に推進することにより、課題がまず一つ明らかになったということでございます。つまり、読書環境、職場環境、様々なことを含めて考えていかないと、なかなか読書の推進は進まないということです。それから市町村のこの差を、県として何とかして埋めていく施策が必要だということです。
 先ほど書店の話も出ましたが、書店も全部の市町村にはない状況です。本県は、25市町村のうち九つの市町村に書店がございません。それから、図書館についても、16が図書館で、あと残りの九つは公民館図書室という形で、先ほども申したように、市町村によって非常に差があるというところでございます。
 それをどうにかして埋めていくということで、2割アップと打ち出して市町村に依頼しております。これは企画振興部長名で市町村長宛てに図書購入費の2割アップを検討していただきたい旨の文書を出しております。
 それから、県立図書館についてですが、私どもの教育委員会の施策であってでも、知事のところで、特別に5割アップをしていただきました。市町村に2割アップを打ち出している中で、県も率先していかなければならないということで、これは総合政策課の課長から財政課長に申入れしていただきまして、5割アップをお願いしたところです。
 このように、県と市町村が連携・強化を図り、先ほどのような推進会議を開きながら、様々な課題について進めてきておりますし、学校図書館への支援ということで、本来、県立図書館でもっている役割を幅広く進めてきているということでございます。
 先ほど申しましたように、市町村へのアプローチということで、市町村長の意識を高めるために作成したリーフレットの市町村への配置をお願いしました。あわせて、これを見て、市町村の図書館では、地域のブックリーダーとして、駅長さんや郵便局長さんのお薦めの本を紹介するコーナーを設けるなど、様々な工夫をしており波及効果として広がりつつあります。
 先ほど申しました2割アップの検証ですが、全てが2割アップしたわけではなく、25市町村のうち11市町村が、2割とまでいかなくても図書購入費をアップしていただけたということでございます。
 図書館は、先ほど申しましたように、知事枠ということで上げていただきました。
 それから、高校生ですが、本県でも、高校生の段階のところでなかなか進んでいかないという状況です。高校生についての施策は、高校教育課がメインで推進しております。秋田県では、県北、中央、県南と3地区持ち回りで「ふるさとの文学と読書のつどい」という会を開催していますが、今年は、県南の横手市でイベントを開きます。この会に今、高校生を何とか巻き込めないかということで、高校生の実態調査を実施しているところです。今ちょうどまとめているところですけれども、どんなときに本を読むかというと、回答として割と上位のところに、苦しいときとか、不満なときなど悩み等があるときに読みたいというデータが出てきております。
 あと、どんな本を最近読みましたかとなると、やはり、映画の影響を受けて、映画化した本を読んでいるといった安易なものも結構ありました。
 また、高校生のビブリオバトルということで、これはきめ細かにやっておりまして、今年度から高校生大会に加え、中学生大会、それから一般大会も私どもの方で行います。
 これは、今年の全県大会は、イオンコートを借りて行うということと、10月には、毎週日曜、高校生等が語るビブリオバトルに関する5分間のラジオ放送をやりますということでございます。
 高齢者に向けてでありますが、本県は御存じのとおり、高齢化が進んでおりまして、高齢者へのアプローチも非常に大事だろうということで、東京都の健康長寿医療センターの「りぷりんと」というプログラムを今年度うちの方で導入しまして、認知症予防につながる高齢者健康づくりということで、これは福祉部局と連携しながら、今、進めています。自殺予防対策にもつながるのではないかということで、福祉の方も巻き込んで続けていこうと思っています。
 障害者については、県立図書館等で様々進めているということです。
 次に、民間との連携についてです。本県の特徴は、プロスポーツの方々からの読書アプローチということで、プロスポーツと連携し、試合会場における選手のお薦め本の展示、それから、マスコットキャラクターの市町村図書館のイベントへの派遣、選手の学校訪問によるお薦め本の紹介等を行っています。このように、スポーツの持つ集客力や情報発信力を活用し、プロスポーツ等との連携読書推進事業に取り組んでいます。ブラウブリッツは、J3のサッカーチームです。それから、ノーザンハピネッツは、プロバスケットボールチームです。
 特に、このノーザンハピネッツの社長さんは、非常に読書活動に熱心な方で、会社の中でも社員に読書購入費を出しています。社長さん自ら、そういう取組をしているということで、これもまた企業の取組ということで紹介させていただきました。
 また、民間企業との連携ということで、今年度から地方創生の応援税制を使いまして、企業ふるさと納税を活用して、読書活動推進パートナー支援事業を総合政策課が展開しています。寄附金20万をベースにしながら、本がなかなか買えない市町村にパートナーである県の方で買って、市町村に設置するというような取組も今、やり始めております。
 それからもう一つ、私の方でやっているふるさと納税は、人材育成を中心にということで、これは500万の寄附を頂きまして、この人材育成に係る相当な事業として、子供たち向けの事業を進めております。
 過日、文字・活字文化振興機構と連携して講演会兼シンポジウムを開催しました。こういうときにも、実は、議員連盟の方々が来てくださいまして、応援を頂いております。
 様々な活動の中には、例えば、調べ学習講座というものもございます。学校図書館の活用につながる事業として、子どもたちと先生方が一緒に研修する講座を夏休み中に展開しました。
 最後に、書店商業組合との連携です。今、書店がどんどん潰れてきています。何とか地元の書店を残さなければならないという、これは見えない部分ですけれども、優良図書の無料展示会です。他にも、様々なおはなし会の会場で図書販売を行ってもらうという形で連携しました。書店がない場所もありますので、読書の環境を提供するということで、今、進めていることです。
 今後もオール秋田ということで、県民も含めて、企業も含めて、本県では読書活動を推進する取組を続けていくということでございますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【秋田座長】
 ありがとうございました。それでは質疑応答をお願いいたします。

【佐川委員】
 よろしいですか。

【秋田座長】
 はい、お願いいたします。

【佐川委員】
 佐川です。県民の読書条例設定、ちょっとお尋ねしたいんですが。平成22年に施行されまして、そのときからずっと関心を持たせていただいてきておりましたが、条例の中で、その県民の読書活動がどうなのか、年度末に議会で進捗状況を報告するというものがあったと思うんですね。これは実際に行われているんでしょうか。例えば推進計画的なものですと、まずその進捗状況が公開されないというところもあるんですが、これはやはり条例ですので、その辺のところはお聞かせいただければ有り難いんですが。

【沢屋様】
 ちょうど手元にあるのですが、こういう冊子にして、年度ごとの報告をしております。実はもっと細かい計画にのっとって、全て数値目標の設定をしております。全部で64項目の目標の指数も設定しております。27年度から32年度の5年間の目標を立てていまして、それについて現在の進捗状況は、例えば28年度ではどうだったかということの報告もしております。
 ですから、議員の方々には是非参画していただきたいということで、情報提供も私どもの大きな役割だと思っておりますので議員の方々には、これを全てお示しすることで、応援いただくという体制だと考えています。

【秋田座長】
 ありがとうございます。ほかにいかがでございますでしょうか。お願いいたします。

【糸賀委員】
 いいですか。

【秋田座長】
 では糸賀委員、お願いします。

【糸賀委員】
 糸賀と申します。大変優れた実践で、これ多分、ほかの都道府県にとっても大きな参考のモデルというかな、読書振興していく上でも、いいモデルになるんだろうと思います。
 それで、質問は二つばかりなんですが、一つは。これ、特に知事部局の企画振興部が中心になってやっているというところは画期的だと思うんですね。県内の市町村に対する財政的支援というのはあったんですかね。そこ、私、聞き漏らしたような気もするんですが。さっきのように市町村に図書費2割アップという声は掛けるけれども、何かお金は県から行ったのかどうか。そういう意味での財政的支援が何かあったのかというのが一つ。
 それから2番目は、今のような話を聞いていると、我々この会議は、国としての子供読書推進計画、立てるんですね。秋田県さんとして、国の子供読書推進計画に何か期待するものだとか、国はこうあってほしいというようなことがあれば、是非お聞かせいただきたいと思います。

【秋田座長】
 お願いします。

【沢屋様】
 一つ目ですが、先ほど紹介したふるさと納税を活用した読書パートナーの事業において、実は、最初に呼び掛けの文書は発出しているのですが、実際に全てが希望を上げたわけではなかったです。市町村の財政事情がなかなか厳しい中であっても、直接補助するということもかなわないため、ふるさと納税を活用した形で、パートナーシップという連携の中でわずか15万ぐらいではありますが、15万を6市町村に県から支援するという体制で今年度からやっております。
 あともう一点は。

【糸賀委員】
 国に対して、どういう・・・・・・。

【沢屋様】
 国に対してですが、本部長の知事が、やはり幼少期からの読書環境が大事だと思うと、よく話されます。やはり、子供のときに、本の楽しさをしっかり伝えてほしいということは、よく言われます。ですから、やはり、子供たちには、様々な視点で幅広く本を読むような機会をたくさんつくってほしいというのは、よく知事には言われております。
 私どもとしては、やはり、子供の読書の部分で、一度読書から離れても、子育て世代にもまた、本との対話や作家との対話を楽しむ中に、読書の大切さや意義深さがあるのだということを、様々な楽しみ方を提案していく中で伝えていくべきだと思います。
 ですから、子供読書の推進に係る環境整備として、子供自身が読書好きになっていくようなことを、様々な角度からやっていかなくてはならないと考えております。
 また、学校図書館の整備に関しても、決して全てが充実しているところではございません。新しい学習指導要領の中で、確かに学校図書館の重要性は一生懸命言われておりますが、その裏付けとなるところの部分をもう少し強く後押ししていただきたいというのが、恐らく学校現場の考え方ではないかと考えております。

【糸賀委員】
 ありがとうございました。

【秋田座長】
 ありがとうございます。では設楽委員、お願いします。

【設楽委員】
 設楽と言います。よろしくお願いします。先ほどもありましたが、大変先進的な取組をされているということに敬意を表します。やはり子供が読書に親しむという点で、書店がなくなっているということについては設楽も非常に憂いています。そこで、地域の人たちが本と触れ合う場としての学校図書館の地域開放についてのお考えをお聞かせください。また、先ほど学校図書館の整備がまだ充実していないとの御発言がありました。今年から第5次の「学校図書館図書整備等5か年計画」がスタートし、その実現に必要な地方財政措置が決定されました。このことについて、予算措置の状況など、お聞かせください。よろしくお願いします。

【秋田座長】
 お願いします。

【沢屋様】
 実は私どもの方でも、学校の図書購入費等については、教育委員会からはっきりしたデータは出していただけておりません。恐らくSLAでは、学校図書館に係る独自の調査をなさっているので、私どもより、もっとシビアなデータをお持ちだと思います。
 実際のところ、学校図書館と図書館の司書の研修会の場で、次のような意見がございました。今、市町村図書館に対して2割アップの要望書を出したということであれば、学校に対しても2割アップを打ち出してほしいとの意見です。さすがに、この意見に対して、部局から依頼するという形は難しいと感じております。
 つまり、市町村図書館の相互貸借や、学校図書館との連携の部分でもカバーできるというのが私どもの考え方でもありますので、市町村全体での図書購入費をまず上げていくことが先だろうと思います。その中で、子供の読書に関する部分の比重を高めていって、学校図書館の充実も図っていただきたいというのが私どもの考えです。県教委では財源があるわけではありませんので、そういう依頼をしていく方向にしております。
 また、県立図書館の相互貸借等の、市町村の図書館への支援についても、例えば、調べ学習で事典が足らなければ、県立図書館から何セットでも貸し出すなど、様々なことを学校に向けての直接サービスとして展開する中で対応したいと思っているところでございます。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 それでは時間の関係もございますので、続きまして鈴木委員から御発表いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【鈴木委員】
 栃木県教育委員会生涯学習課の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いします。
 本県の子供の読書活動の推進について、特に高校生を対象にした不読率改善に向けた取組を中心に、事例紹介ということで御紹介させていただきたいと思います。
 本県では、国の法整備を受けて平成16年度から読書活動推進計画を策定しております。現在3期目の4年目となっております。
 3期計画では三つの基本方針と二つの推進指標を掲げております。各市町の推進計画の策定100%ということと、不読率の改善を指標としております。
 市町における計画策定の状況についてですが、今年度4月の時点で、25市町中24市町が策定を終えております。策定率96%ということです。また、未策定の市町についても今年度中には策定される予定で、目標が達成される見通しとなっております。
 また、二つ目の指標でございます不読率についてですが、平成30年度の目標値である小学生8%、中学生18%、高校生45%に対し、平成28年度調査で、小学生が4.1%、中学生が、前年度までは達成していたんですが、その平成28年度、ちょっと上がってしまって19.8%、高校生が39.9%となっております。
 この調査は、小中学校は県内の20校、高校は16校の1クラスを抽出して行っております。小学校、高校では目標達成しておりますが、今後も推移を注視しているところでございます。
 本県の読書活動推進の事業が、ここ(資料3)に載っているものです。生涯学習課予算において実施しているものでございます。本日は、これらの中から事業2の読書活動推進のネットワークづくり、それから6の高校生読書活動推進事業、これについて詳しく説明させていただきたいと思っております。
 まず読書活動推進のネットワークづくりについてですが、本県では計画推進の基盤として、関係者同士の連携・協力体制の整備、充実に努めております。特に県域全体を対象とした関係者間のネットワークづくりを、県の役割として取り組んでおります。
 一つとして、市町・学校等子どもの読書活動推進担当者会議を実施しております。市町の行政や学校、公共図書館等の担当者を対象として、読書推進に関する県内外の最新動向の事例発表、また推進方策に関するグループ協議等を行って、市町の読書推進計画策定や体制整備の促進に努めているところでございます。
 二つ目として、読書ボランティア等活動交流会を実施しております。講演会や事例発表、情報交換を通して、全県的な読書ボランティア同士の交流を深め、活動の活性化とネットワークづくりを進めているところでございます。
 では、本日のメーンのテーマになるかと思うんですが、二つ目の指標でございます、高校生を対象とした不読率の改善を目指した事業でございます。平成26年度から実施しております高校生読書活動推進事業について説明させていただきます。
 高校生につきましては、県教委が毎年実施しております「子どもの読書活動に関する実態調査」からも本離れの状況、傾向が見受けられます。その一方で、高校生が本を読まない理由として、本を読むのが嫌いと答えている生徒は、平成28年度調査では3.4%だったんですね。また部活、勉強や漫画、テレビ、スマホに時間を費やしているという結果のほか、読みたい本がないという回答も見受けられました。魅力的な本との出会いが必要なのではないかと考えております。
 また高校生世代では、同世代同士のコミュニケーションから新しい世界への興味や関心を高め、価値観や趣味が多様化し、自我を形成する時期でもあります。そのようなことから、この世代の特徴に着目しまして、読書活動の推進役として「読書コンシェルジュ」を育成し、同世代間の働き掛けを通して、読書活動の推進を図ることを目的とした事業が本事業でございます。なお、この事業で読書コンシェルジュとは、案内人の意味で使っております。
 具体的には、ごらんの3事業です。一つが読書コンシェルジュの育成事業、二つ目が高校生読書ふれあい交流事業、三つ目が読書コンシェルジュおすすめ本普及・啓発事業でございます。
 まず1の読書コンシェルジュ育成事業についてですが、高校や公共図書館等を通じて生徒たちに周知し、学校の取りまとめによって参加者の申込みを受け付けております。申し込んだ生徒は7月から8月にかけて、三日ほど研修を受けることになっております。
 内容につきましては、読書コンシェルジュの活動内容の理解、本や読書についての基礎的な理解、活動に必要な技術の習得、活動計画の立案等に関するものとなっております。なお、この事業には県立図書館の司書が、本の専門家としての専門性を生かして、年間を通して指導者あるいは支援者として関わっております。
 この研修の修了者が読書コンシェルジュとして任命され、先ほどごらんいただいた2の高校生読書ふれあい交流事業と読書コンシェルジュおすすめ本普及・啓発事業を企画、実施する2班に分かれて、企画会議の中で事業の立案準備を行うことになっております。
 読書コンシェルジュの育成状況についてなんですが、これまで4年間で197名を任命しております。人数の少ない年もありましたが、昨年度からは五十数名の人数で推移しております。事業が定着してきた感がございます。
 また、読書コンシェルジュの任期については、その研修を受けた年度限りとなりますが、活動には過去の経験者の参加も受け入れておりまして、これまで毎年10名前後の、その前年度にコンシェルジュとして活動した生徒、それが活動に参加しております。
 今年度の育成研修、任命式、企画会議の1回目の様子です。研修や会議の和やかな様子がごらんいただけると思いますが、こういったところに参加する生徒は、割と物静かな生徒が多く、研修なんかではアイスブレイクを取り入れるなど、積極的に仲間づくりとか、こういったものを取り入れております。
 高校生読書ふれあい交流事業は、読書コンシェルジュが高校生や中学生、その保護者等との交流を通して読書活動を推進するものです。自分たちで企画・運営を行って、県内2か所で読書交流会として開催しております。一つは、読書の楽しさを広く県民に伝えるためのフェスティバル的な地区交流会、それからもう一つは、全国高等学校ビブリオバトル栃木県大会を兼ねた県央地区交流会です。
 読書交流会のうち地区交流会は、企画により毎年内容は若干変わってきますが、活動紹介とか、読書コンシェルジュが選んだおすすめ本の紹介などを必ず盛り込むようにはしております。それ以外では、しおりやブックカバーづくり、展示や読み聞かせなどにより参加者との交流を図っております。
 地区交流会の会場は、市町との連携によって、読書コンシェルジュの活動の広がりを考え、公共図書館内の集会室等を使わせていただいています。昨年度は、市の生涯学習フェスティバルに合わせて行いました。ごらんいただいている写真のうち、左上のしおりづくりは、そのときのものでございます。
 県央地区交流会につきましては、先ほどもお話ししましたが、全国高等学校ビブリオバトル栃木県大会を兼ねて行っておりますが、読書コンシェルジュは開会行事や展示を企画します。読書コンシェルジュの中には、もちろんバトラーとして参加する生徒もいますが、県大会の運営を高校生が担うというスタイルは、他県でも余り例のないものと思っております。
 読書交流会の参加状況ですが、初年度の平成26年度が180名、27年度が191名、昨年度が288名と、年々増加傾向にございます。
 読書コンシェルジュおすすめ本普及・啓発事業は、30タイトルのおすすめ本を選定して、更にコメントや執筆やデザインについても読書コンシェルジュがアイデアを出して啓発用リーフレットを作成して、県内の全ての高校生へ配付してまいりました。きょう、お手元にお配りしたのは、昨年度作成した、ちょうど3年目のものです。これを皆様のお手元に配付してございます。こちらにお示ししているものが、過去3年間で作成したリーフレットです。
 今年度は、このリーフレットの作成は行わずに、これまで選んできたおすすめ本の合計90タイトルを有効に活用して、リーフレット増刷、配付、ネット上での情報発信、ポスターでの周知、交流会での展示等を通して、より多くの高校生に対して広報し、読書のきっかけづくりにしていきたいと考えております。また、この90タイトルのおすすめ本は、貸出用セットを県立図書館が所蔵して、希望する学校へ貸出しを行っております。
 読書コンシェルジュの学校や地域における活動状況についての調査、これは十分、現在行っておりませんが、アンケート結果などから、在籍校の学校図書館での活動事例などは把握しております。その一つですが、県立鹿沼高校では、図書館のディスプレイ変更や読書コンシェルジュが選んだおすすめ本の紹介などを行って、貸出冊数が平成27年度に前年度比約1.5倍になったという報告を受けております。そのほか、平成28年度のアンケートでは、学校や地域において、資料にお示ししましたような活動に携わったとの回答がございました。また、地域での活動につきましては、公共図書館主催のビブリオバトルへの参加とか、ビブリオバトルの実践団体に参加した事例がございます。今後更に力を入れていきたいところと考えております。
 この事業では、同世代への働き掛けを通した高校生の不読率の改善、さらには読書活動を通じた子供たちの豊かな心の育成が期待されます。また一方で、青少年教育の一環としてのリーダー育成という側面では、コミュニケーション能力、情報発信力の向上が読書コンシェルジュに期待できると考えてございます。アンケートには、その一端が表れております。
 御紹介しますが、この読書コンシェルジュの企画会議などで出た意見が自分とは違う視点からのものばかりで大変参考になったとか、よりよいものを作るために互いの意見を尊重することの大切さを学んだ、他者と読書の楽しみを共有し交流することの楽しさ、互いを尊重しながら意見を出し合うコミュニケーションの高まりなどを感じている高校生が多くおりました。
 また、そういった力があいまってのことかと思いますが、本の魅力を伝えるためのコツをより学んでみたいとか、30冊の枠を超えて本を友人に紹介してみたいとか、友人から話題の本について尋ねられるようになったなど、同世代への働き掛けにつながる周囲とのやりとりがあることも、アンケート結果から見られました。
 最後に課題と今後の展望についてなんですが。昨年度までは、これまで御紹介しました研修や事業を通じて育成したコンシェルジュの自主的な活動を促してきたところなんですが、本事業の本来の趣旨は、研修に参加した高校生が自主的に同世代の人に対して本の紹介や読書の楽しさ、すばらしさを伝えていくものです。そのため、育成したコンシェルジュが、この研修で終わることなく、いかに学校や地域での主体的な活動につなげていくか、それが課題になっております。
 そこで今年度、研修内容を若干見直しまして、これまでの読書に関するノウハウを学んで、事業の企画、実施、体験をする内容に、更に学校や地域で自分が行う活動、これを考えるプログラムを加えました。具体的には、高校生が学校や――自分の所属する学校ですね――あるいは地元の地域で、高校生に本を読んでもらうために、どこでどんな働き掛けをしたらいいか、それを計画するものです。
 そこで作成されたプログラム、計画についてなんですが、これはまだ今年度取り組んだものなので検討段階なんですが、生徒が在籍する学校に送付して活動支援を依頼したり、また地域での活動については、県内で7か所、教育事務所がございますので、そこを通じて市町の公立図書館等との活動をコーディネートしていければ、何か実際の活動につながるのではないかなと今、考えているところでございます。
 また、参加した高校生、年明けになるんですが、ある程度の活動が終わってから再度集まっていただきまして、この事業を振り返って、事例発表とか、それを共有することで、更なる活動を促すような交流の場を設けたいと考えております。
 最後になりますが、今後、3期計画全体の評価と併せまして、高校生読書活動推進事業についても、推進指標からの分析と読書コンシェルジュを対象とするアンケートにとどまらず、学校や地域における活動状況、これを広く収集しまして、事業評価に結び付けたいと考えているところでございます。
 本県の発表については以上でございます。

【秋田座長】
 どうもありがとうございました。それでは質疑応答をお願いいたします。

【佐川委員】
 いいですか。

【秋田座長】
 はい、どうぞ。お願いいたします。

【佐川委員】
 すみません、この読書コンシェルジュなんですけれども、3日間の研修になりますね。これは、その研修の内容というか、カリキュラムだとか、そういうものは公開はされていないんでしょうか。

【鈴木委員】
 ネット上、今上がっているかどうか確認はできないんですが。具体的にお話しした方がいいですか。御紹介ということで。

【佐川委員】
 できれば、ちょっと簡単に御説明いただければと。

【鈴木委員】
 はい。三日間なんですが、初日は仲間づくりということで、まず初めて会う子ばかりなので、午前中いっぱいぐらいかけて仲間づくりを行います。それから県立図書館司書による講話ですね。本と読書をもっと楽しむためにという講話。それから事例発表研究ということで、読書コンシェルジュの学校での取組と地域での取組の事例発表を行っていただきました。それから、スキルを学ぶということで、初日はポップを作ろうということで行っております。それから二日目なんですが、二日目は、午前中がビブリオバトル体験ですね。これを行って、午後は学校、地域での活動の立案。自分で何かこんなことをやってみたいというのを計画を立ててみようということを行っております。それから三日目は、今度は読書交流会の企画立案ですね。これをグループで立案をして、終わって任命式ということになっております。
 任命された後、今度、交流会の企画ということで、その後も何度か集まって、ビブリオバトル大会の企画と計画と運営の役割分担とか準備、それを今行っているところでございます。

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは杉原委員で、次、糸賀委員で、次に進ませていただきます。

【杉原委員】
 失礼します。杉原と申します。中高生で大事な読書推進につきましては、やはり仲間とつながりながら、いろいろな活動を通してということが鍵になるのかなと思いまして、非常に読書コンシェルジュの取組、ビブリオバトルなど、本当に参考になる事例を挙げていただきまして、是非取り組みたいなというような思いに至っておりますが。
 一つ、非常に難しいのが、やはり学校とか、それから関係機関との連携という言葉で示してありましたけれども、具体的に学校にどのように働き掛けをされたのかとか、関係機関と申しますと、あと学校以外にどういうところと連携をされたのか、そういうところをお聞かせいただけたらと思います。

【鈴木委員】
 まず募集につきましては、4月当初に県の校長会等がございますので、そういった場で、生涯学習課の施策の一つとして校長先生方に直接、私の方から依頼もします。当然、あとは一般的な文書での依頼とか、そういったことも上げたりとか、それから県の会議の委員として、県立学校の、栃木県の学校図書館部会長が入っておりますので、そういったところにも働き掛けをお願いしたりとかしております。
 それから地域においては、やはり高校生、実際の活動につなげるといっても、やはり多少の支援も必要かなと。今年1年目なので、取りあえず学校と図書館あたりでということで、イメージとして思っているのは学校での活動と、地域においては公立の地元の図書館。そこで、県に七つのそれぞれの地区に教育事務所で読書担当の社会教育主事がおりますので、そういったところにプログラムの紹介をしておりまして、うまく地元の図書館と、その子供たちが活動したい内容と、それをコーディネートしてもらえればなということで、実践に結び付けられればなと今、考えているところでございます。

【杉原委員】
 教育事務所とか、市町の教育委員会とも連携と。

【鈴木委員】
 はい、そうです。公的なところが、今のところは多いですね。研修については県立図書館。

【秋田座長】
 ありがとうございます。糸賀委員、お願いします。

【糸賀委員】
 糸賀です。よろしくお願いします。この高校生読書コンシェルジュ、なかなか面白いと思うんですけれども、私が関心あるのは、この高校生コンシェルジュは、どうやって選ばれたんだろうかというところなんです。つまりこれは、高校生自身が手を挙げてやりたいと言ったのか、ある程度学校の方で選抜をしたんじゃないか。つまり、先ほど4年間で197名と言われて。そうすると大体1年間50名前後ですね。これ、どう考えても、一つの高校から10人、20人になるよりは、各校に一人、二人ずつぐらいいた方が、全県的な高校生読書の推進には役に立つんじゃないかと思うんです。そうしますと、これ、どういうふうにして、この人たち、高校生は選ばれたのか。自主性もあるし、ある程度学校の方で選抜しているのかどうかというところと、どう考えても、こういうことをやるのであれば、私、各学校に、もともと図書委員会があったと思うんです。その図書委員の生徒の中で、これはと思うような男子生徒一人と女子生徒一人とかというのは、よくあるパターンなんですが、一体どういうふうにして選ばれたのか。特に図書委員会との関係についてお尋ねしたいのが一つ。
 2番目は、先ほど秋田県にもお尋ねしたことと同じなんです。これ、秋田県は秋田県で独自の取組をやっている。栃木県さんは栃木県さんでやっている。すごくいいと思うんです。さて、それぞれの県が独自に取り組んでいくときに、国は、どういう子供読書推進計画が求められるのか。国に対して何か、是非こういうことをということが栃木県さんとしてあれば、お聞かせいただきたいと思います。

【鈴木委員】
 まず参加する高校生につきましては、原則は自主的な参加ということで行っております。ただ2年目に二十数名と、がくっと、ちょっと数字が落ちたんですね。そのときには、知っている職員に高校の教員もおりますので、学校を通して教頭先生等に連絡をして、是非どなたか御推薦を頂けないですか、そういったことは行いました。学校で選抜しているということは聞いてはいませんが、ただ、来ている子供は図書委員の子が多いです。ただ、図書委員でない子もおりますので、様々な子が来ているかと思います。
 ただ、今年度は、県立高校61校あるんですが、そのうち30校から52名ですかね、参加しております。やはり悉皆(しっかい)というわけにはいかないので、飽くまでも自主的な参加ということで行っておりますが、行って面白かったよというのがだんだん口伝えで伝わって、同じ学校から、継続して来るようには今なっております。基本的には自主的な参加でお願いしているということでございます。
 それから国に対してのことなんですが、先ほど秋田県さんの方からもありましたが、私は読書推進においては、やはり学校の教員の意識とか、あるいは社会教育の指導者とか、そういった方の意識付けも必要だと思います。そういったところで、まず、なぜ読書なのか。先ほどの意義ですね。いろいろ読書の効果とか、そこのお話、ベネッセさんの方からもありましたが、そういった効果。そのあたりをなぜ、読書の意義とかそういったものを十分に伝えていけるようにしていただきたいなということが一つと、やはり県としての立場で言えば、国としての方向性が出れば、県としては予算付けとかそういったことは非常にやりやすいというところはございます。今後の方向性ということで示していただければと思います。
 あとは、いかに情報をたくさん発信していただけるか。各県の取組ですね。こういったところで、今回も秋田県さんの事例なども私も知ることもできましたので、何かどこか行くと各県の事例がたくさん見られるとか、そういったことも国としてやっていただければ有り難いのかなと、このように考えております。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 それでは、ここで次に進めさせていただきまして、前回会議の主な意見等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【新免青少年教育課長補佐】
 事務局の青少年教育課新免と申します。第2回というフォルダの資料5をお開きいただければと思います。前回の本会議の主な意見を分類し、まとめた資料になります。
 全部で4ページございまして、1ページ目が総論とまとめております。2ページ目から3ページ目にかけては、発達段階に応じた読書習慣の形成。3ページ目には、高校生自身に対する直接の取組でありますとか、地方公共団体における推進体制と国が実施すべき取組について。4ページ目にその他という形でまとめております。
 始めのページから簡単に概要を御説明させていただきます。まず総論については、読書の定義・概念・範囲について、読書の新たな位置付けについて、主体的・能動的な読書、読書の質、読書の目的について、また御意見を頂戴いたしました。
 例えば2番目の読書の新たな位置付けについては、本を読むことをどのように次期計画の中で考えていくかが一つの鍵となる。「分かち合う」ことが重要ではないか。シェアということで、重苦しい、課題があるような読書から、緩やかな楽しいひとときをもたらす読書といった御意見を頂いているところです。
 続きまして2ページ目から3ページ目です。発達段階に応じた読書習慣の形成について項目ごとにまとめました。読書のきっかけづくりについては、発達段階に応じた読書、特に中学生までの取組・子供司書について、朝の読書活動(朝読)について、次のページには、家庭での読書活動(家読)について、御意見を頂きました。
 例えば子供司書についてです。子供自身が専門の読書の知識を学び、地域や学校の読書推進力になってもらう「子ども司書制度」を推進しているという自治体さんは、名称は様々あると思いますが、これらが増加しているといった御紹介を頂戴したところです。
 続きまして3ページ目になります。高校生が読書をする工夫について(高校生自身に対する直接の取組)ということでまとめさせていただきました。特に高校生の不読率が課題と考えておりますけれども、例えば高校生が図書館を活用することでありますとか、スマートフォンの保有率の向上等、様々な状況の変化があることを踏まえて議論すべきではないかということ、またSNS等のインターネットを読書推進に活用できないかということを御意見を頂きました。
 続きまして4番目、地方公共団体における推進体制と国が実施すべき取組についてです。上から二つ目のポツです、全国の自治体が定めている読書条例や読書宣言、読書に関する取組、事務局が各自治体にどこが取りまとめているかといったようなことを見て役に立つ情報を整理すべきではないかという御意見頂戴しました。また、下から二つ目ですけれども、読書の現場は家庭、学校、地域。国や県はモデル事業やベストプラクティスを奨励し、市町村の自主的な取組を支援するだけでも良いのではないかという御意見頂戴しております。
 この項目の上から二つ目のポツで御説明させていただきました、各自治体さんの取組を、分かりやすい形で、国として紹介すべきでないかという部分についてです。少し分かりにくいのですが、文科省のホームページから入っていただきますと、子ども読書の情報館というサイトがあり、そこで御紹介させていただいております。
 最後に、4ページ目になります。障害のある子供の読書をどう支援していくかについて、本のある暮らしを支える専門家の育成、子供が本の面白さを理解し、何かのきっかけでまた本に戻るために、大人自身が何ができるのかといったお話を頂戴しました。
 本日も子供の読書活動推進のために。忌憚(きたん)のない御意見を、自由討議で頂ければと思います。
 以上でございます。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。それでは、ただいま、今日は3件の御提示を頂きまして、また事務局から説明のありました前回会議における御意見等を踏まえて、委員の先生方から御意見を頂ければと思っておりますが、もう時間は20分ぐらいしか残されておりません。ですので、お一人2分ぐらいですが、まず前回会議に御欠席をされました糸賀委員と、それから資料も出していただいております張替委員から御発言を頂ければと思っております。その後、福田委員から順に御発言を頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では糸賀委員、お願いいたします。

【糸賀委員】
 度々すみません。2分ですね。

【秋田座長】
 はい。

【糸賀委員】
 はい、分かりました。

【秋田座長】
 それぐらいだと全員が発言できると思います。

【糸賀委員】
 はい。前回、私、欠席したので、そのとき資料だけはお出ししました。そのときの資料がきょう、お手元にも見られると思いますが。(第1回糸賀委員提出資料)
 私は、1番のところの読書の範囲について、今更定義は必要ないと考えております。ただし、この会議の場で、やはり共通理解はあった方がいいのではないか。これ、読書の定義をし出すと、実は大変なんです。もうそれだけで堂々巡りになりますから、それはしないんだけれども、共通理解はあった方がいい。
 ちょうどここ出ましたけれども、私どもの研究室でやったのは。先ほどのベネッセさんのように、子供たちに本を読んでいますかみたいな調査はすごく多いんです。そうじゃなくて、私どもがやったのは、何を読むのをあなたは読書と考えますかという調査なんです。だから、この本を読んだかじゃないんです。この本を読むのをあなたは読書と言いますか、あるいは読書と考えますかということを、世代を問わずやったわけです。
 そうしましたら、一番上の方の世界の中心……。当時、これ調査やったのが平成17年で、もう10年以上前で、その頃はやっていた本なんですが、上の方に来るのは皆さんも、それは読書と言うでしょう。でも下の方では、例えば一番下はスポーツ新聞で前日の試合結果を読むのは、それは皆さん、読書とは言わないと考えます。注目してほしいのは、下の方に、例えば新聞の社説を読む。これ、読書と言う人、18.1%。その二つ下に、百科事典でフランス革命の項目を読む。これを読書と考える人は14.5で少ないんです。
 だけども、先ほど来の話で、調べ学習だとか、子供たちがいろいろと学習の目的で百科事典使ったり辞書を使うのは、やはり、この場では奨励されるんだと思います。だけど、それは、世の中では余り読書とは言われていないんです。それで私、さっきお尋ねしたのは、いや、学習とかいっても、その中で十分、本を使ったり、参考書を使ったり、場合によっては教科書を読んだりしているということもあるのではないかと。
 この調査では、ちょうど真ん中あたりに『体を温めると病気は必ず治る』、ここがちょうど51.8%で、この辺がボーダーラインだと。これを読むのを読書と考えるのか、考えないあたりかが、ちょうど分かれ目だということなんです。
 それを下の方の図で。これは今度は、それを年代別。10から19は年齢です。一番下は60歳以上、これが見事に年代によって、この『体を温めると病気は必ず治る』を読書と考える人の割合が明らかに違うんです。年齢が上がるほど、それは読書とは言わないという人が多く、若い人たちほど。本人は読んでいないんですよ。だけども、そういうのを読むのは読書だろうとみなしているんです。したがって、一概に読書が少ない、多いとかと言うけれども、多分、年齢によって読書の範囲は違うんですよということが、これで分かります。
 それから下の方。これは先ほど来、私、お尋ねしている2番のところは、国の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」と都道府県の関係。今日のところで大体、私、分かってきました。つまり、やはり読書の意義だとか効用、そういったことは読書の疫学的な調査。先ほどベネッセさんがおやりになったのは、そうかもしれません。全国的なそういう、医療で言うなら疫学的な調査をやっていくと、どういう効用があるかが分かってくる。これは私、国の大事な役割だと思います。
 一方で、国や県はモデル事業やベストプラクティス。正に今日の秋田県さんや栃木県さんの発表は、そういう意味でのベストプラクティスなんだろうと思います。こういうのを、ほかの他県に対しても知らせていくというのは、やはり国の大事な役割なんだと思います。
 あとは、それぞれの県や市町村が、それぞれの地域に合った読書推進を考えればいいのであって、国が一律にこうやりなさい、こういうのが優れているというやり方は、私は地方創生の観点からも、なじまないんだろうと考えております。
 以上です。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。それでは次に張替委員、お願いいたします。

【張替委員】
 張替でございます。私は東京子ども図書館で二十数年、子供の図書館サービスに携わってきました。その前には都下の日野市で十数年、同じようなことに関わってきましたので、官と民の立場で子供と本に関わってきたのと、それから大学の司書課程で20年ほど児童サービス論を講じてきましたので、高校生のその次の段階である、昨今の若者の読書体験ということを肌で感じております。
 子供と本を結ぶ仕事というのは、とても楽しくて、実りがあります。それを普及するために講演、講座などの人材育成を、東京子ども図書館では長らくやってきました。
 (資料4)1ページ、2ページあたりに具体例をいろいろ一覧に示しましたけれども、ひしひしと感じるのは、うちに集まってくる人たちというのは、休暇をとったり、自腹でお金を払ったりして学びに来ている人たちなんですね。なぜかといったら、自分たちが今向き合っている公共図書館や学校図書館での仕事に行き詰まりを感じたり、もっと学びたいと思っている方たちが、たくさんいらっしゃるんですね。でも、そういう人たちから聞こえてくるのは、非常に厳しい労働環境だったりするわけなんです。
 私たちの私立の図書館を始めたのが、皆さんもよく御存じの石井桃子さんで、1965年には、かつら文庫の活動をまとめた、この『子どもの図書館』がベストセラーになりまして、全国で民間の読書活動が野火のように広がったということを御存じだと思いますけれども、ここで石井桃子さんは別に民間が頑張りましょうと言ったわけではなくて、公共の図書館を充実してほしい、それからそれを実践的に進める児童図書館員の専門性を確立してほしいということを訴えたわけなんです。
 この間に、公共図書館の数とか利便性というのは飛躍的に伸びたんですけれども、ちょうどその本の返し歌のようにして、50年後の2015年に現名誉理事長をしている松岡享子が『子どもと本』という岩波新書で、残念ながら明るいことが述べられないと言って、やはり、いまだに「人」の問題は残っているということに触れています。実際に図書館に関わっている人たちは、氷河期に入ったとか、それから官製ワーキングプアの代表職種だということを言っているわけですね。
 とにかく子供の読書推進という意味では、今世紀に入ってから、本当に様々な取組がされて、注目を集めて、今もあるように様々な成果が報告されていて、すばらしいなと思う一方、こういうイベントだったり、いろいろな取組を、ずっと日常的に底支えしていかなくちゃいけないとしたら、やはり、それは図書館という組織の充実ということがあるんじゃないかと思うんですね。
 なぜかというと、究極のところは、読書というのは最終的には個人的な営みであって、それをどれだけ豊かにしていくかといったら、やはりブックスタートから始まって、乳幼児期からずっと、そのときそのときを一貫して寄り添ってくれる人がいるということがとても大事だと思うんですね。とにかく、もちろん幼少期のときに、楽しみのうちに読書に親しむということが、まず一番大事だと思いますし、それから電子書籍のようなものも、いろいろなきっかけづくりには役立つと思います。けれども、やはり、ほかのメディアに勝つだけの質の高い読書を支える本を身近に用意することが必要です。
 実を言うと、日本は高度成長期に、本当に先人たちがたくさんの子供の本を出してくれました。ただ、それが、何がベーシックで、どれだけの力を持った魅力的なものかというのが、つかみどころがない状態が続いていたんです。それはなぜかといったら、図書館が子供の読み方をきちんと作り手に返し切れていなかったということもあると思うんですが。
 戦後出された珠玉のような作品が子供の手の届かないところに葬られるのではないかという危機感から、うちは民間ながら、長年一緒に楽しんできた子供の反応を反映した、この『絵本の庭へ』とか、それから『物語の森へ』という基本蔵書目録と言われるものにまとめ上げました。これ、ちょっと回覧させていただきますので、どうぞごらんください。
 それから、もちろん幼少期には耳からの読書が大事だということで、ストーリーテリングをずっと長らく推奨してきました。また、読書推進の中で忘れてはならないのは、日本語を母語としない子供たちが今はどんどん増えているということで、うちでは豊橋の日系ブラジル人の子供たちが少しでも自分の文化に誇りを持って日々を送れるように、『ブラジルのむかしばなし』という、日本語とポルトガル語が併記されている、こういう冊子を作って、全校に配付するということをしました。というようなことで、出版で私たちの実践を広げるようなこともしてきました。
 前回の話合いの中でも量から質への転換ということが話されていたと思うんですけれども、やはり、その鍵になるのは「人」だと思います。とにかく私たちの周辺を見ていて、意欲があって、学ぶ気持ちがたくさんある有能な人材というのが、日本には豊富にいるんです。それをどう有効活用していくかという意味では、先ほどから財政難の話がたくさん出ているんですけれども、何とか、その人たちが安定して働けるような仕組みづくりということも、この会議の中で目標の一つに入れていただけたらなと思っております。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 それでは、本来、鈴木委員も一言頂くべきところですが、きょう、ちょっと時間の関係があるので、福田委員、平久江委員、濵田委員と順にお願いできればと思います。

【福田委員】
 福田です。きょう、いろいろ報告を受けまして、まずベネッセさんの報告を聞きながら思ったことは、中高生の学習内容がテスト対策、受験対策になりがちで、そのため、今まで小学校で培った力が、読書で培われた思考力、想像力などが発揮されるものになっていないのではないかと。それがいろいろな形で出てきているなと思いました。
 例えば大学生以上を希望する中高生の読書時間が減少しているとか、本を読む時間の保護者の学歴の関連がなくなるとか、それら全て、何か受験対策に追われているのだということを、とても印象深く受け取りました。
 それで今、世界の先進国でも、それから日本でも、未来に向けて、どう子供たちの考える力を伸ばしていくのか、次期学習指導要領でも、どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るのか、学びに向かう力をどう育成していくのかということとも関連をしながら、やはり小学校で培った読書活動、それから探究型学習等の取組などの力が、もっと発揮できる形になっていけばいいなと感じました。
 それから、今現在、社会でも社員研修の一環として読書感想文を書かせるとか、それから野球の、まずプロ野球の寄宿舎というか合宿でも朝読があるとか、そういうような読書が非常に重要視されている、読書の意義といいますか、その辺からも考えていく必要があると思います。別に読書が、学生だけのものではありませんし、一生を見通した上で、どういう意義を持っているのかということを、保護者に対しても、もちろん中高生本人に対しても、教師に対しても、もっと働き掛けていく必要があると思います。
 一番身近にいる学校の教師に読書を勧められるかという、全国学校図書館協議会、SLAが調査したものでは、よく勧められる、時々勧められるというのは、小学校では、5割は行きません。それから中学生では35%ぐらいなんですね。教師が読書を勧める。その辺を、やはり、もっと重要に捉えていく必要があるのではないかなと、一つは思っています。
 時間がないので、また次回のときに。それから三郷市のことも照会させていただきたいと思います。これも次回にさせていただきます。

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは平久江委員、お願いします。

【平久江委員】
 筑波大の平久江です。本日の発表で大変思ったことは2点ほどありまして、一つは、先ほど質問もしたんですけれども、学習の中の読書とか、情報メディアを利用した読書というような、こういった潜在的な読書をどう把握していくかが大きな課題になってきているなということを改めて思いました。
 もう一点は、地方における図書の入手手段というのは非常に減少していると。例えば本屋が減少していると。これは非常に重要な問題だなと改めて思いました。
 それに対して図書館というのは非常に重要な役割を果たしていて、貸出しの多様化を図っているというような対応はとられているんですけれども、またそういった対策ですと反面、やればやるほど本屋が減少していくというような、そういったジレンマもあるんじゃないかなと感じまして。思い付きですけれども、例えば公共図書館のリクエストのページから地域の書店の本が買えるような、そういったワンクリックで本が買えるような、そんなことも工夫として図書館がやっていってもいいのかなと思いまして、これはできる工夫ではないかなと思っております。

【秋田座長】
 ありがとうございます。では続きまして濵田委員、お願いします。

【濵田委員】
 濵田でございます。きょうもお話を伺っておりまして二つ感じたことを申し述べたいと思います。
 一つは、読むという活動の広がりというんでしょうか、そのことについて、やはり今までどおりではないというんでしょうか、変わっていっているところがあるのだなと思いました。例えばベネッセさんの調査のところで、新聞のニュース欄を読むことが大分減っているということがありましたけれども、小中学校に行って子供たちに話を聞くと、かなり自分の持っている端末で、ニュースのヘッドラインというんですかね、あれは読んでいて、きょうは何が起こったのかみたいなことは、かなりよく知っていたりすると思うんですね。でも彼らは恐らく、新聞のニュース欄は読んでいないとアンケートでは答えているんじゃないかなと思うんです。
 何が起こったのか。要するに、彼らが持っている端末というのも、ただ親が与えているわけではなくて、恐らくほとんどはペアレンタルコントロールみたいなものがされていて、最初は、このポータルページから入っていきましょうみたいなことになっていると思うんですね。そこには様々なニュースが書かれていて、そういったものを彼らは見ている。それを実際に、例えば新聞であるとか、より詳しいところに、どうやってつないでいくのかということを考えていく必要があるのかなと一つ思いました。
 また、これに関わってですけれども、教科の学習授業を見せていただきますと、先生が出す課題で本を読んで調べましょうというのがあったりするわけですけれども。でも、子供の実際としては、その先生の課題について、まずインターネットで調べてみたいというか、もうちょっと言うと、インターネットのYahoo!の取りまとめで、もう問いと答えが出ていたりする課題が出るということも、ままあったりするんですね。子供たちが読んでいるものの実態を踏まえて課題を作っていくというようなことを、またその学校の教科の授業の中でも考えていく。だから、読むというものも、これとこれと限るのではなくて、そうつなげていくというんでしょうか、現実と今までとをつなげていくことが一つ必要かなと思いました。
 もう一つだけ、すみません。高校生のコンシェルジュのところで思ったことですけれども、すごくすてきな取組だなと思いました。一方で、全体の不読率につなげていくと考えると、これってもしかしてコンシェルジュで、その周囲の人たちのつながりでみんなを読むようにしていくというのであれば、一人のコンシェルジュが何人のほかの子たちを支えなければならないのだろうかということを思いました。どのぐらいの規模で、こういった人材を育てていくのかということが考えられなければならないのかなと思いました。
 秋田県さんの発表でもありましたけれども、県の図書館が学校を支えるということ。当然、今までもやられていると思いますけれども、市町村の図書館が学校を支えるということも当然あるわけだと思うんですね。だからこれも、学校というもの、そして子供たちを支えるといったときに、何人の人が何人を支えるのかという、その人数比というんでしょうか、そういったことをもう少し考えていく必要があるのかなということを感じたところであります。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは野口委員、お願いいたします。

【野口委員】
 先ほど糸賀委員からも、読書というものをどう捉えるのかという話もありましたし、前回もそういう話があったんですけれども、それとの関連で、不読をどう捉えるのかというところもあるかと思うんですね。この点は、また次回以降に話合いができればと思います。
 ベネッセさんの報告の中で、ちょうど学校の変わり目というんでしょうか、小から中、中から高という接続期に不読の割合が上がっているというようなデータがあったかと思うんですね。実は高校から大学とか、高校から社会人という接続の問題も、実は重要なポイントじゃないかと思っていまして。やはり子供の読書の推進という観点から見たときに、大人になってからも読書を楽しめるような子供をどう育てるかという視点が重要かと思います。また、大人の5割は不読だというデータもあるわけで、読まない大人が子供に読め読めと言っても、全く説得力がないと思うんですね。子供も大人も読む、大人が子供に読む姿を見せる、その実現を目指した取組が必要かと思います。
 そういう意味では、今日の話の中での秋田県の取組は、正に全年齢層をカバーした取組ということで、非常に有効なものとして話を聞かせていただきました。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは杉原委員、お願いいたします。

【杉原委員】
 失礼します。杉原です。私は公立図書館の方に勤務しておりますので、やはり公立図書館からの視点ということでいろいろ考えておりますけれども。公立図書館ですので、赤ちゃんからお年寄りまで人生に寄り添う図書館ということで、選書なども、それぞれの年代に、ふと、日頃図書館に来られない方が、たまたま図書館に来て目にした本、それで出会いがあって、また図書館に足が向くというようなことも想定して、やはり魅力ある選書というのを考えております。
 それで、この会議で非常に問題になっておりますヤングアダルトですね。高校生の、どう読書に向かせるかということでは、直接本ということもありますけれども、まず図書館に立ち寄ってもらおうというような。図書館で謎解きをしようとか、ちょっとイラストを描いて、学校帰りに寄ってみようとか、そういうところから、ふと図書館に来て、棚に置いてある本が目に入るようにという、図書館としての、そういうようなことを地道に図書館としては続けていくことが、まず大事かなと思っております。
 それから、きょうは秋田県さんとか栃木県さんの方からいろいろな取組の紹介がありましたけれども、やはり読書ということについて県全体で共有することは非常に大事ではないかなと思います。
 そういう面で、伊万里市では家読をやっておりますけれども、誰に聞いても、家読って何ぞやというのが分かる。高校生に聞いても、お年寄りに聞いても分かるという、そういう一つの柱になるような取組が、やはり県とか市町で一つあるというのは、遠いようで割と近い読書へのいざないになるのではないかなと。そういう情報をどう共有する工夫をしていくか。今まで読書と余り縁がなかった方でも、あっ、そういう読み物も読書になるんだなという。
 先ほどの糸賀先生のデータにありましたような、高齢者になれば、ちょっとした健康づくりのものでも、それはそれで読書と言えるのではないかと私自身は考えておりますけれども、人生のそれぞれのステージで出会った本、それが人生を豊かにしてくれたり、そういうことにつながっていくことを考えれば、いろいろな世代に応じた本との出会いを仕組ませていくということが一つの鍵になるのかなと思います。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは白井委員、お願いします。

【白井委員】
 白井です。きょう、いろいろお話を伺いまして大変刺激を受けました。
 すごく印象的だったのは、張替さんのお話にもありましたが、読書に寄り添ってくれる人というんですか。私自身もブックスタートの活動を思いますと、絵本を赤ちゃんに手渡す、お母さんに手渡す、それから一緒に開く。そのときに、いろいろな方が、そこにいてくれるんですね。もちろん本の専門家の方もいれば、保健師さんもいれば、ボランティアの方もいます。そういう方々が、本を通じて、共有する時間があるんですね。恐らく保護者の方も、手渡された本によって、自分の子供のときのことも含めて、また本につながっていくと。つまり、本を介して時間を共有する人たちのつながりみたいなものが非常に大事で、それは広く大人を巻き込んでいます。
 高校生のコンシェルジュのお話もありましたけれども、私はコンシェルジュを更に広めて、大人を巻き込んでいくような方向もあるのではないかと。そこにもちろん専門家でもある司書の方を支えていくことも、またすごく大事なことだと思います。例えば司書の方が一歩踏み込んで、本を探している人、あるいは本を読みたい人たちに向かって、時間を作って会話をしていくというようなこと。もちろんそういうことはこれまでにもされているんだと思うんですけれども、その大事さというのも、お話を伺っていて思いました。
 次回に向けていろいろ、きょう伺ったことを消化して、また意見も出したいと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。私の時間のオーガナイズが悪くて既に終了予定時間になっております。でも、あと五、六分掛かるかもしれません。もうちょっと掛かるかもしれませんが、進めさせていただければと思います。では設楽委員。

【設楽委員】
 それでは、私から2点お話ししたいと思います。
 まず、糸賀委員や平久江委員から、読むということについて、もっと精査する必要があるという御意見がありました。学校現場では探究型学習や調べ学習等で資料を正確に読み解くという読解力が求められています。それと同時に、長いストーリーを読んで感動したり楽しんだりする読書力も求められています。この読解力と読書力をどのようにバランスよく指導していくかが課題です。読むことに対する感覚が、ストーリーを読むことを読書といいニュースなどを読み解くことは読書ではないのではないかという問題が出ています。こうした課題をどう両立していくかということについては、学校現場での実践を通して、更に研究が必要だと感じました。
 次に、「読書コンシェルジュ」の取組は、生涯学習という観点から非常にすばらしいものだと考えています。ただ、このことと学校教育における図書委員会の活動を分けて考える必要があると感じました。学校での委員会活動は、特別活動に当たり「心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的、実践的な態度を育てる」という目標があります。こうした観点から「読書コンシェルジュ」と図書委員の役割は生涯学習と学校教育の両面からすみわけをきちっと精査する必要があると感じました。
 この2点です。以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは佐川委員、お願いいたします。

【佐川委員】
 佐川です。きょうの事例発表も伺いながら、まず私たちは考えなくちゃいけないことは、生活の中に読書をどう定着させるか、そのための対策は何があるかということに尽きるだろうと思うんですけれども。
 きょう、高校生の不読率が大きなテーマになっておりましたが、これも大事なことです。しかし私は、自分の読書活動を通しながら、高校生以前に、やはり幼児、それから小学生、中学生、この読書対策の方が、先決だなという感じがします。
 いずれにしましても、全国で今、様々な読書活動が広がりを見せております。そういう読書活動を、どうネットワークでつないでいくかというのが、やはり、これも大きな課題だろうと思います。
 以上で終わります。

【秋田座長】
 ありがとうございます。私の方も個人的には2点でございます。
 今日の三つの御発表を伺いまして、一つは、いかに地域が、学校だけではなくて政策として、秋田県さんの御報告、栃木県の御報告にもありましたが、やはり広く、学校教育にとどまらず、連携をしながら政策として打っていく支援が非常に効果的であり、必要であるのかと感じました。そこに産官学校が、やはり連携をとっていくことの必要性を思いました。
 また、もう一つは、高校生のコンシェルジュにありますように、高校生が読まないのでどうするかではなく、高校生は機会を与えられることによって読書推進の、これからの地域創生の核になり得ると、そういう可能性を見せていただいております。また大学教員として考えると、高校生が学習のために本を読まなくなっているというのは、大学教育を担う者から見ると大変ゆゆしき問題でございます。高大接続、それから今後の社会に開かれた教育課程などを考えましても、やはりこのあたり、きょうベネッセさんから出していただいたデータでも、接続期が一つのはざまになるというようなところもポイントを置きながら施策を考えていく必要があろうかと思っております。
 それでは最後に、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたします。

【新免青少年教育課長補佐】
 ありがとうございました。今後の会議は、次回の第3回が10月12日、第4回が11月2日、第5回が12月12日、全て10時から12時で、文科省内での開催を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

【秋田座長】
 ありがとうございます。本日はちょっと時間が押してしまいまして申し訳ございませんでした。次回以降も2時間で、本当にうまく進むんだろうかと、案じておりますけれども、本日はこれで閉会とさせていただきます。
 皆様、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。以上でございます。御協力ありがとうございました。

―― 了 ――

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総合教育政策局地域学習推進課

(総合教育政策局地域学習推進課)