青少年の体験活動の推進方策に関する検討委員会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成28年9月29日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省生涯学習政策局会議室(東館9階)

3.出席者

委員

青山鉄兵、明石要一、興梠寛、齋藤芳尚、平岩国泰、松村純子、安田公一

文部科学省

有松生涯学習政策局長、神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、里見政策課長、土肥青少年教育課長、鴨志田青少年教育課課長補佐

4.議事要旨

(1)主査に明石委員、副主査に青山委員を選任。本検討委員会の公開について、資料2のとおり決定。

(2)有松生涯学習政策局長挨拶。続いて明石主査、青山副主査挨拶。

(3)事務局より、資料3、資料4、資料5及び資料6に基づき、青少年の体験活動に関する現状について説明。また、資料7に基づき、主な論点について説明。

以下、討議。

○ 長期宿泊が重要と思う。2泊3泊では、用意されたメニューをやって終わりになるが、4泊以上になると子供たちが生活のいろいろについて自分でやる時間が増えてきて、工夫が出てくる。全ての学校で4、5泊の宿泊体験をマストにするぐらいの感じがあると良い。先生は大変だと思うが、中長期の宿泊体験が夏休みなどにあると良い。

○ 体験という言葉が良くないかもしれないが、ちょっとかじってみておしまい、というのが非常に多い。もっと子供たちが主体的にやると良いと思う。例えば放課後子供教室で料理のプログラムをするとき、大人が準備をして、さあどうぞといいところだけやらせる。何を作るか、どんな材料を買うか、どこで買ったら安いか,作り方を教わってみよう、とやっていくと一つの料理を何か月もかけて学んでいくことになるが、そのようにもう少し時間をかけて深いところまで子供たちが全部自分でやってみる体験や経験が、非常に不足している。もう少し身近なところにある体験をもっと子供たちに任せてやってみるのが良い。

○ 自然体験だけでなく、生活体験をどう長期でやってもらうかというのも大事。生活体験の中の典型で、全国に広まりつつあるものに、ほぼ一週間子供たちが生活体験をする、通学合宿がある。放課後のことを全て自分たちでする。子供たちを掃除、食事、フリーのグループと分けて、ローテーションで朝ご飯と夕ご飯を作らせる。そうすると、自分たちで衣食住の生活を作る体験をさせることになる。ネックになるのが、誰がサポートをするのかということ。社会教育主事が一人担当して、後は放課後の大学生に世話をしてもらう仕組み作りをやっているところもある。

○ 学校・地域・家庭の融合協働の中で、社会教育のアイデンティティとは何かが更に問われてくる。特に、社会教育における青少年教育の位置づけが不明確になりつつある。特に全国の都道府県、市町村でそのあたりが意識化されていないと感じる。

○ 体験活動を生活文化、自然、社会体験と分けるのはわかりやすくて良いが、この3つの要素を複合させていくことによって、非常に大きな教育的効果が上げられる。一方で、青少年教育施設の提供するサービス、プログラムなどは自然体験が中心になっている。これからは、生活文化の体験や社会体験プログラムを強化していくことが大切だ。また、多様な世代の生活者や地域社会の行政・企業・NPO・地縁組織と連携を持ってプログラムを提供していくべきだ。子供や若者が地域社会の課題を解決する活動をするために、どれだけの情報や学習素材が提供できるか。専門職員を始め、それを取り巻く地域社会のボランティアやコーディネーターが、そのための指導者養成を受けているか。青少年教育施設や職員、指導者の役割について、人材育成を含めて見直す必要がある。

○ 少年期から青年期への移行期こそが重要な教育的課題である。若者は、一見社会に対して無関心などと、しらけムードの中にあるように見えるが、ボランティアには80%くらいの若者が関心を持っている。国立青少年教育振興機構が『学生ボランティアフォーラム』を企画して、全国の学生に呼びかけると、2015年度で627人、147大学から集まってくる。若者たちの間では、実はボランティアの風が吹いている。ボランティアという、一見学生にとって辛気くさいものが、なぜ彼らのハートをつかみ、集まって、つながり、思いを共有したいものとなるのか、きちんと分析して整理する必要がある。

○ 理論を積んで指導者養成していくのも結構だが、コミュニティをキャンパスにして体験できる魅力的なメニューが提供できなければ意味がない。具体的な社会参加、体験活動プログラムを作り、それを若者たちの主体性を生かしながらサポートできる指導者像を再構築するべきだ。

○ イギリスのような諸外国の例も含めて検討しながら、抜本的な青少年教育に関する振興法のようなものを考えるべきだ。

○ 京都市教育委員会では、長期宿泊体験授業ということで、平成25年には全市の小学校が4泊5日以上やっている。自然体験とはいいながら、地域によってお寺に泊まるなど社会体験も文化体験もしている。課題は、学校が先生方を中心に指導していくということで教員の負担が非常に大きくなっている。校長会からも、4泊5日以上を3泊4日以上に変更してほしいと要望があった。この一泊の差は大きいのだが、校長が保護者に対して、一泊削った分は体験に勝る学習をしますと説明すると、保護者も納得してしまう。この3泊への流れを止められないので、子供たちに負荷をかけ、失敗体験から成功体験に、あるいはみんなで励まし合いながら山を登り切るような体験をさせ、3泊でも4泊の効果が生み出せるようなプログラムを開発しようとしている。

○ 2泊目で教員が交代できるシステムを作っているが、担任の先生からすると子供を置いて家に帰って休むことはし難く、最後までいたいという先生が多い。その辺りが、4泊から3泊にしてほしいという理由か。

○ 京都市では、目の前の担任が子供たちを見る方向。議論はあったが、午前中は先生が、午後はボランティアや社会教育主事、専門職が子供たちの世話をするという方式はとっていない。代休については、これがなければ続かないので、管理職とも申し合わせ、きちっとした決まりを設けて確実にとってもらっている。

○ 千葉県では、担任だけでは大変なので、小学校、中学校の新任教員の研修をかねて夏休みに4泊の体験をしている。中学の先生にとっては、来年あがってくる6年生の様子を見ることができるメリットもある。

○ 長期体験がなかなかできない理由として、財政や法的な支援の面があげられる。また、長期の概念が3泊以上の人もいれば一週間以上の人もいて、人それぞれ感じ方が違う。家庭の事情等を含め全体で見ないと、長期は広がらない。加えて、教員が全体として高齢化しているので、新任の先生が率先して引き受けてくれるように、県や市教委のシステムを作っていく必要がある。

○ 通学合宿では、地域を担う社会教育施設である公民館を活用すべき。

○ 社会教育主事を市町村に必ず置いて、社会教育主事の資格を取ると活用場所があり、地域の指導者になれることが理想。

○ SNSを活用した情報提供も大事。

○ 長期宿泊体験をするには、大学でもボランティアを単位として認めるなど、整備を進めて、学校現場に先生だけではなくもっと多くの大人、若しくは子供たちに年齢の近い大学生ボランティアに入ってほしい。

○ 体験活動に取り組むときは大手を振って会社の休みが取れるような法制度ができると良い。

○ 大学生が体験活動のボランティアをすることは、子供の体験活動プログラムを推進していく上で重要な要素であるだけでなく、大学生自身にとっても重要な体験活動である。しかし、近年大学生の夏休みが劇的に短くなり、小学生と夏休みが重なるのが実質2週間強くらいとなっている。通学合宿のように小学生の学期中に行うプログラムを実施したり、サービスラーニングのような形で大学の授業に組み込んだり、教員養成課程に組み込んだりして、大学生がボランティアとして子供に関わる仕組みが作れないか。

○ 体験活動が低年齢化していて、一度やったからもう良いという保護者もいる。しかし、思春期以降の青少年にとっても様々な体験が重要であるから、中学・高校、それ以降の時期についても、年齢ごとに体験ができる仕組みを学校の内外で用意する必要がある。

○ 指導者・支援者の養成において、活動やプログラムに対する専門性が大事にされがちであるが、「インストラクター」ではなくて「ワーカー」のように、青少年との「関わり」に重点をおいた指導者像が強調されて良い。

○ ボランティア先を探している大学生、会社から奨励されて有休取得のきっかけを探している社会人など、そういう人を巻き込んで手伝ってもらうべき。そのためには地域コーディネーターを有償で、職業として就けるものとして位置づけ、地域を継続してみてもらえると良い。行政だけではできないので、NPO等にお金を出してお願いする仕組みを作るべき。

○ 公民館だけでなく、空き家を利用して通学合宿なども良いと思う。神社仏閣、農家のホームステイなど、そういう場を体験活動の場として提供する多元的な地域ネットワーク作りをすべき。

○ コーディネーターはPTA役員を経験している方が多い。PTAの方で、役員のアフターケアというか、コーディネーター育成に一役買っていただければ。

○ 青少年教育施設と地域との連携をどうするか。施設の職員が余り地域に出向いていない。首長さんのところに出向き、施設を小学校中学校の子供たちだけでなく、閑散期には企業や役所の皆さん、保護者にも使ってほしいという話をしている。また、半年くらいで離職してしまう若者の対策に、入社半年後くらいにコミュニケーションを向上する研修で利用してほしいというと、首長さんはすぐ人事課に話をつないでくれたりする。

○ 地域で活躍している人のところにも出向かなければならない。来てくれるのを待っているだけでは遅い。社会教育は人と人とのつながりで成り立っている。

○ 青少年教育施設において、青年層向けの事業が少ない。

○ 教員以外の協力で学生ボランティアの話を主にしたが、お母さん方が虫や日焼けを嫌がるところを、若いお父さん方、地域のお年寄り来てもらったりして、地域の方を巻き込んでやっている印象。もちろんしてはいけないことの条件はつけてお願いしている。

○ 教員側にも体験が不足している。マッチをすれない先生など、先生の方も時代が変わってきているから、子供たちに教える立場として先生方にも体験をしてもらいたい。

○ 命の大切さ、多様性理解を伝える体験活動をしていきたい。

○ 体験活動を、授業のコマ数のような形にするとわかりやすいのでは。

○ 困難な状況にある子供たちを対象とした事業は子供への配慮や対応をきちっと書き留めて、職員が変わっても引き継ぐ必要がある。

○ 体験活動をしたい子たちに、必要な情報がうまく伝わるような情報発信の仕方を考えるべき。

○ 指導者・保護者が楽しめる体験を増やし、それを広めていけば良い。同じプログラムではあるけれども、保護者は大人流にプログラムをこなして楽しむというのをやったところ、大人気。大人自身が楽しめる体験でなければならない。

○ 長期の体験が大事なのは、同じメンバーが集まって関係が深まるから。1回は短くても同じメンバーが定期的に集まれば、同じ効果があるのではないか。必ずしも連続で宿泊しなければいけないという話にしないで、濃い人間関係をどう提供できるかということも含めて考えるべき。

○ 子供たちの人間関係の幅が狭まっている状況では、体験活動を通じて子供たちに多元的な人間関係を提供できることが大事。クラスの人間関係がうまくいかなくても、地域や別の関係が居場所として機能することが重要。

○ 小中学校での義務の体験活動もやるけれども、高校生以上や男性などにも対象を広げていく。

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総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室

(総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室)