平成28年11月21日(月曜日) 14時40分~16時15分
学校法人麻生塾 麻生情報ビジネス専門学校(福岡キャンパス10号館)
(福岡県福岡市博多区博多駅南1ー14)
浦部 ひとみ 東京都立青井高等学校主幹教諭、東京都高等学校進路指導協議会事務局長 河原 成紀 学校法人河原学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事 黒田 壽二 金沢工業大学学園長・総長、日本高等教育評価機構理事長 小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構特任フェロー 小林 光俊 学校法人敬心学園理事長、日本児童教育専門学校校長、全国専修学校各種学校総連合会会長 清水 信一 武蔵野東高等専修学校校長、全国高等専修学校協会会長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事 寺田 盛紀 岡山理科大学教授、名古屋大学名誉教授 吉本 馨 大阪府教育庁私学課長 前鼻 英蔵 学校法人西野学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事・全国専門学校青年懇話会会長 専修学校ヒアリング 岩本 仁 一般社団法人福岡県専修学校・各種学校協会 会長 中村 哲 学校法人中村専修学園理事長 福澤 仁志 学校法人麻生塾常務理事 森山 泰行 学校法人麻生塾専務理事 オブザーバー 古閑 雅博 福岡県人づくり・県民生活部私学振興・青少年育成局私学振興課長
岸本 哲哉 生涯学習推進課長 白鳥 綱重 専修学校教育振興室長 星川 正樹 専修学校教育振興室室長補佐
【黒田座長】 それでは定刻になりましたので、ただいまより、これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議、第7回の会議でありますが、始めたいと思います。
本日は専修学校ヒアリングを開催しております。
なお、本日は、報道関係者より写真撮影と録音の申し出がございましたので、許可をしております。皆さん方、ご承知おきいただきたいと思います。
初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【白鳥専修学校教育振興室長】 議事次第をごらんいただけますでしょうか。議事次第2の下に配付資料の一覧がございます。資料の1、そして資料の2-1、2-2。2-1と2-2が事例紹介にかかわるものです。資料の3が今後の予定について。そして参考資マル1、マル2とございます。参考資料のマル2でございますけれども、本年の9月28日に文部科学省で開催をいたしました専修学校教育研究協議会におきまして、各都道府県による専修学校振興策取り組み事例の紹介を抜粋したものでございます。適宜ご参照をいただければと思います。
以上です。
【黒田座長】 それでは、最初の議題といたしまして、福岡県専修学校の概況説明を一般社団法人福岡県専修学校各種学校協会の岩本会長よりお願いいたします。全体で15分程度と短いんですが、よろしくお願いいたします。
【福専各協会岩本会長】 皆さん、こんにちは。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、本日、これからの専修学校教育振興のあり方検討会をこの福岡の地で開催していただきまして、ほんとうにありがとうございます。
それでは私のほうから、福岡県の専修学校の概況を少し説明させていただきたいと思います。
まず、福岡の簡単な説明なんですけれども、ご存じのとおり、福岡県は九州経済の中心ということでございます。自動車関連産業の工場が多数集積しておりまして、カーアイランド九州とも呼ばれております。自動車関連の人材のニーズから、当福岡の専門学校にも6校ほどの専門学校があり、東京は7校、大阪が5校ということで、それに比べても福岡は自動車関係の専門学校が多いと思います。ただ、今後、人材不足等も懸念される中、今後は留学生も何らかの形でこういう産業に入っていけるように法律等が緩和されたらいいんじゃないかと思っております。
福岡県の人口は約500万人で、九州の4割の数字を占めております。特に学生数は、大学、短大、専門学校のいずれをとっても九州全体の過半数の学生がこの福岡にいるということでございます。
福岡は、皆さん何回も来られたかと思いますけれども、とにかく福岡はコンパクトなまちで、アジアの玄関口ということでございます。最近は訪日外国人、インバウンドの数もかなり増えていまして、平成27年は200万人ということで、去年は日本一のクルーズ船の寄港の数でございます。また、このインバウンドに比例して、外国人の留学生がアルバイトで通訳をするとか、そういうニーズもかなり出てきております。
この表は、学校数と学生数をあらわした数なんですけれども、先ほど言いましたように、九州ではほぼ福岡の学校に集中しているというのが事実でございます。
福岡県の専修学校各種学校協会についてですけれども、福岡に約160校の学校がありますが、今、会員校が104校ということでございます。主な事業としましては、研修事業、就職支援事業、留学生支援事業、表彰事業、学校評価関連事業、スポーツ振興事業、出版事業、委託事業ということでございます。平成25年度から始まりました職業実践専門課程の認定校におきましても、最初は36校の127学科、平成26年度は47校の161学科、平成27年度は55校の180学科ということで、東京、大阪に次いで全国で3番目に多い数でございます。全てこれは福専各の会員校ということでございます。
職業実践専門課程の認定を目指しての研修を協会としてもいろいろ力を入れていまして、まず平成25年度は、説明会の開催から始まりまして、申請手続のための勉強会をメーンに行ってまいりました。平成26年度は新規申請の希望者への認定校実務担当者による個別相談会ということでさせていただきまして、平成27年度は、既に2年たっておりますので、研修会も事例紹介及びパネルディスカッション等を開催しまして、より多くの学科の申請の推進を目指しました。
その他の主な取り組みといたしましては、特にここに赤で書いていますように、専門学校生を対象とした合同企業説明会の自主運営をしております。どちらかというと、大学中心の企業説明会が多い中、先生方から、専門学校生も参加できるような企画をしていただけないかということで、このような背景で、我々も手づくりで専門学校生だけの合同企業説明会の取り組みを始めまして、かなり盛況になってきております。平成27年度は約72社の企業が出展し、約900名の専門学校生が参加いたしております。
それと、福岡地域業団体との連携ということで、平成27年8月に一般社団法人福岡県中小企業経営者協会連合会との覚書を締結いたしまして、地域の活性化、人材育成に関してのさまざまな取り組みを行っています。これをやった一つの背景としては、まず、福岡で学んだ学生を福岡で活かすということです。二つ目に、留学生支援に向けた新しい構想ということで、この福岡はグローバル創業・雇用創出特区に指定されたまちでございまして、これを利用して留学生がよりスムーズに福岡の企業に就職できないかということで、今、内閣府の国家戦略特区の申請等を考えております。最後に、グローカル人材の育成ということで、今年の夏ですけれども、シリコンバレーの世界トップレベルの学生ということで、カリフォルニア大学バークレー校の学生を福岡に呼びまして、サマーキャンプを行いました。
それと、中経協――一般社団法人福岡県中小企業経営者協会連合会ですけれども、地元中小企業とのマッチング事業ということで、ただ単に企業説明会に来るんじゃなく、ここにありますように、会社の経営者と学生が普段着で山に登って、お互いに気軽な話をしてコミュニケーションを図るというような取り組みも行っております。これも今後、こういうことを留学生にもしていったらいいんじゃないかと。ただ単に堅苦しく企業ブースで会社の説明を聞いて意見交換するよりも、時間をゆっくりとって、普段着で社長と山登りしながら気軽な話をして、そういう環境づくりも役立たせたいと思っています。
ここから、留学生の課題の件で、事務局のほうから少し説明させていただきたいと思います。
【福専各協会若杉事務局長】 福岡県専修学校各種学校協会事務局長をしております若杉と申します。私自身が今年の3月まで、実は福岡中小企業経営者協会というところにおりまして、企業と専門学校の連携を進めるという形で、今、取り組んでいる、また構想している件をお話しさせていただきたいと思います。
まず、この留学生、専門学校生の課題解決ということで、福岡は今、東京、大阪に次いで2番手、3番手という形で、留学生が非常に多い都市でございますが、残念ながら、専門学校に来ている留学生の就職率はまだまだ高まっておりません。そこで、福岡としましては今後新しい取り組みを考えているということをご紹介いたします。
まず現状、多くの留学生がアルバイトにいそしんでおります。週28時間という原則があるんですけれども、学業とアルバイトで非常に忙しいということと、あと、そのアルバイトの内容なんですけれども、実際にそのアルバイトをして就職に結びつけたということを考えますと、実践型のビジネスの能力をつけるような職種には残念ながらついておりません。
また、留学生をとりたいという企業は福岡も結構いるんですけれども、どうやって留学生の力を見きわめたらいいのかわからないという企業さんも結構います。通常の場合ですと、合同説明会ですね、日本人の学生と一緒に就職活動をするんですけれども、エントリーシートも含めて、留学生の場合、なかなか難しいという点がございます。
また、実際に採用しても、留学生の場合、結構、何でもできますとか頑張りますとは言うんですけれども、実際に入った後に、じゃあ、ほんとうにその期待に応えて頑張ってくれるかというと、また難しい。また、文化の違いもございまして、入ってもすぐやめるというケースもございます。
そこで、私どもの構想としましては、専門学校留学生の就職能力を高めて、採用したい企業のリスクを減らすということで、これは福岡県中小企業経営者協会連合会との構想なんですけれども、まず、留学生が在学中に、福岡県産業人材振興センターというような実践型インターンシップを行う受け皿をつくって、在学中に実践型のインターンシップを積んでもらいます。
留学生にとってのメリットとありますように、単なるアルバイトではなく、将来の就職可能なビジネス実践に向かって高めるということと、あとは有償インターンシップ中、専門のコーディネーターの伴走による、ビジネスパーソンとしてのスキルもトレーニングする予定でございます。
企業側のメリットとしましては、実際留学生を採用する際に、ほんとうにこの留学生が自社に入って一生懸命頑張ってくれるかどうかというところはわからないんですけれども、その部分を、在学中のインターンシップ、その留学生がちゃんと出席したか、また遅刻もせずに、ミッションとして与えた業務について真剣に取り組んだかということを、我々がワークシートをつくって評価していく。そのことによって、実際に採用の段階に、もちろん就労ビザ等の問題もありますけれども、なるほど、今回の就職の機会だけじゃなくて、彼はこの2年間このようなことに取り組んできたんだということがわかるものをつくって提供していくということを想定しております。
今申し上げましたことがこちらのほうに書いてありまして、福岡中小企業経営者協会連合会は、福岡県下約1,100社の中小企業がございますし、福専各との構想で、産学連携という形でこのような取り組みを行うことによって、一番下にありますように、留学生版のキャリアシートをつくって、実際に、企業の担当者の、採用したいけれども、果たして頑張ってもらえるかどうかわからないという不安を解消し、なおかつ、留学生にも実践型インターンシップという実際のビジネスの部分に取り組んでもらうことにより、双方の理解を進めて就業、地場への就職を進めていきたいという構想でございます。
あと、地方発グローバル人材育成の取り組みを一つ紹介させていただきます。
福岡は非常に大きな地方都市ではありますけれども、実際の情報というのは限られているという声がありまして、やはり情報という分野では、東京一極集中はまだまだ続いていると思います。
そこで、私ども福岡側としましては、地方からでも世界のトップとつながるということを目標に、今年の8月17日から21日まで、4泊5日なんですけれども、カリフォルニア大学バークレー校の学生と福岡の地場の若者が交流するサマーキャンプを実施いたしました。
カリフォルニア大学バークレー校は、公立大学としましては世界大学ランキングナンバー1で、ノーベル賞受賞者も70人ほど出しています。世界トップレベルの大学でございます。ここの学生と、福岡という地方で日本の若者のために新しくチャレンジする企画をやろうということを、私どものほうで、バークレーの学生とずっと打ち合わせをしてきまして、今年の夏に実現いたしました。
これにつきましては、英語のサマーキャンプをやるところは結構全国どこにでもあるんですけれども、これは英語を最終目的としていません。新聞の記事に「TOKIHAサマーキャンプ」とありますけれども、日本の若者は自分自身のチャンス、可能性を抑えているんじゃないか、もっともっと解き放とうということで、もとは「解き放つサマーキャンプ」だったのを、アメリカ側の学生からの要望で、だったら「TOKIHAサマーキャンプ」にしましょうとなったんですが、チャレンジしていく若者を地方から育成しようということで実施したキャンプでございます。
【福専各協会岩本会長】 最後に、お手元にありますこの冊子ですが、高校のほうから、専門学校の広報に偏らない、信頼できる冊子が欲しいということで、1988年から発行を始めて、今、我々は毎年つくっています。最初はここに学校の情報をあまり載せてくれない学校も多々あったんですが、平成14年版から69%、15年は88%、16年は91%、17年は95%と、多くの学校が協力していただくようになりまして、こういうものを使って、高校の先生方とのコミュニケーションを図らせていただいております。
早足で進めさせていただきましたけれども、簡単に福岡県の専修学校の状況を説明させていただきました。ありがとうございました。
【黒田座長】 どうもありがとうございました。短時間で説明をいただきまして、申しわけありません。
それでは、ただいまから質疑応答に入りたいと思いますが、どなたか、福岡県の専修学校各種学校の取り組みについてご質問ございませんでしょうか。
浦部委員、どうぞ。
【浦部委員】 東京から参りました、東京都立青井高等学校の進路指導部主任の浦部と申します。ご説明ありがとうございました。
先ほどご紹介いただきました「福岡県専門学校案内」で、福岡県の進路協議会の先生方のご確認をいただいているとお話しいただきましたけれども、一緒につくっていらっしゃるという形でございましょうか。
【福専各協会岩本会長】 いや、一緒にはつくっていません。我々のほうで広報委員会がありまして、そこでつくってお渡しするということで、コメントなんかはいただくようにはしてないですね。
【浦部委員】 そして、最後のところで、95%の学校様がこちらのほうに記載されてらっしゃるとお話しされていまして、かなり掲載率が高いかなと思うんですが、どういった形でこちらのほうは。
【福専各協会若杉事務局長】 95%というのは就職率ですね。もともと就職率を載せてくれる学校さんが少なかったんですけれども、今では掲載する学校の95%が学校の就職率も記載してくれるようになったということです。
【浦部委員】 95%の就職……。
【福専各協会若杉事務局長】 やはりなかなか就職率を記載してくれない学校さんが多かったんですけれども、今では掲載する学校の95%にその情報を提供いただいているという話でございます。
【浦部委員】 失礼いたしました。就職率を載せている学校が95%にまで上がったということですね。
こちらに専修学校の情報が入っていますけれども、こちらには福岡県のどのぐらいの割合の学校が載っているんでしょうか。
【福専各協会岩本会長】 まず、先ほどの95%ですが、右端の下に、卒業、就職、進学率という箱があると思うんですけれども、ここをなかなか書かない学校が多くて、これが95%の学校に書いていただくようになったということが一つです。
それと、今年は58校のうち55校が載せてくれるということです。
【浦部委員】 ありがとうございます。東京都のほうにも東専各という専各がありまして、このような形で専門学校の情報の冊子がございますけれども、なかなか掲載する学校が増えないということをちょっと聞いたものですから、かなり高い掲載率かなというふうに。もちろん地方都市ということもありますけれども、ちょっとそういう印象を持ちました。
以上です。
【福専各協会岩本会長】 ありがとうございます。
【黒田座長】 よろしいですか。ほかにございませんか。
寺田委員、どうぞ。
【寺田委員】 岡山理科大学の寺田といいます。
スライドでページ数は入ってないですけれども、実践型インターンシップ、それからインターンシップ推進協議会についてお伺いします。
まず、インターンシップ推進協議会ですけれども、これは中小企業連合会か何か、そういう方たちの集まり、そこでのインターンシップの協議会なんでしょうけれども、質問は、その推進協議会が協議をするだけではなくて、学校と企業の紹介といいますか、生徒一人一人のインターンシップ先のあっせんではなくて、そういう企業と学校をつなぐような役割を果たされているかどうかということを一つ聞きたいのと、もう一つ、実践型インターンシップ、有償型ですけれども、現在では、これは高等教育全体で一つのテーマになっているんですが、専門学校関係でどの程度普及しているか、ちょっとお聞きしてみたいと思います。
【福専各協会若杉事務局長】 まず1問目ですけれども、インターンシップ推進協議会は、昨年度、九州インターンシップ推進協議会の事務局長をやっている者が福岡県中小企業経営者協会におりまして、そこと今回連携しまして協議をしております。実際には、学生と大学をつなぐとか専各学校をつなぐという形ではなくて、このスキームを中小企業経営者協会連合会と一緒につくって、我々が主体的に動かしていくということを検討しています。
それで、2番目の有償型の件なんですけれども、実際、有償となった場合、28時間という枠がございます。ですから、留学生をもし28時間という枠で有償型にした場合は、いわゆる労働基準法が適用される労働者という形になってしまいますので、どうしても28時間という枠がございます。一方で、インターンシップという形で、労働者でないというスキームをとった場合には、福岡県産業人材振興センターもしくは福専各のほうで、企業側から奨学金という形で一旦いただきまして、何らかの形で還元するという、以上二つのスキームを今現在検討しております。
現在、福岡県で専門学校生の有償型インターンシップというのは、まだまだケースとしてはほとんどないかというふうに理解しております。
【寺田委員】 ほとんどないということは、二、三ということですか。
【福専各協会若杉事務局長】 私が知る限りでは、福専各が絡んだ形で有償型実践型インターンシップというのは、まだまだないというふうに聞いております。
【寺田委員】 はい。
【黒田座長】 よろしいでしょうか。
【小杉委員】 よろしいですか。
【黒田座長】 小杉委員、どうぞ。
【小杉委員】 職業実践専門課程についてお伺いしたいと思います。こちらでは積極的に認定を目指してということで、後押しをする事業をされているなと思ったんですが、職業実践専門課程についてはどのようにお考えでしょうか。どういう学校にメリットがあって、どういう学校がこれに関心を持っているのかとか、そういうことがおわかりでしたら教えていただければと思います。
【福専各協会岩本会長】 職業実践専門課程、これは3年前に始まりまして、当然、これは就職につなげていくということも大切なんですけれども、私から言うと、やはり一つの文科省のお墨つきをもらったと。やはり福岡でも専門学校がまだはっきり、言い方は悪いんですけれども、どういう実態かわからない中で、しっかり文部科学大臣から交付された職業実践専門課程の認定をとったということであれば、かなり社会的な信用が出てくるということで進めている学校も多いと思います。実は私の学校もまだ今はやっていませんで、留学生が多いということもあるんですけれども。理事会で話をすると、まず社会的信用をとるためにもこれをとって、やることによって、第三者評価であったり、いろいろな企業との連携が入ってくるので、先生たちの勉強にもすごくなりますし、そういう形で、いろいろな学校には、そういうメリットがありますよということを広報して進めている状態です。
【小杉委員】 ありがとうございます。
【黒田座長】 ほか、よろしいでしょうか。
それでは、時間の関係もありますので、これで岩本会長のお話を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
【福専各協会岩本会長】 ありがとうございました。
【黒田座長】 続きまして、福岡県における専修学校と地域や企業との連携事例を紹介していただくことにしたいと思いますが、学校法人麻生塾麻生情報ビジネス専門学校北九州校の髙橋校長代理様、それから、麻生建築&デザイン専門学校の熊野校長代行様よりご発表をいただきたいと思います。お二人合わせて15分程度でお願いしたいと思います。
【麻生塾髙橋校長代行】 麻生情報ビジネス専門学校北九州校の髙橋と申します。よろしくお願いいたします。
資料2-1になります。「まち・ひと・しごと創生における自治体との連携」ということで発表させていただきます。
私ども麻生情報ビジネス専門学校北九州校は、北九州市が株式会社メンバーズを誘致するに当たって、北九州市と連携して、また株式会社メンバーズとも連携して、誘致の成功に寄与いたしました。さらに、誘致成功後も両社と密に連携することによって、継続的な、まち・ひと・しごと創生の一端を担っていると考えております。
次の資料が、株式会社メンバーズの概要です。企業ウェブサイト、それからソーシャルメディアの制作・運用を主に手がけておられます。
では、北九州市がこの企業誘致に至った背景をご説明いたします。
北九州市は、ご存じのとおり、高度経済成長期には鉄のまち、ものづくりのまちとして確固たる地位を築いておりました。しかし、その後も産業構造がなかなか変化せず、現在では経済力の低下を招いております。国内総生産に占める北九州市内総生産の割合が、1979年1.19%、これがピークだったのですが、それが2014年には0.70%まで下がっております。人口も、1979年の106万8,415人をピークとして、現在は96万516人まで減少しております。これを福岡市の人口増加と比較すると非常に顕著な差がございます。
そこで、北九州市は情報関連産業の集積促進を図ることといたしました。IT企業は雇用創出効果が高く、所得水準も高いことから、市民所得の向上が図れるということで、これに取り組むこととなりました。
では、北九州市に進出する企業のメリットは何かと申しますと、北九州市内には理工系の大学、高専、それから情報系の専門学校等がたくさん存在しているため、優秀な人材を確保しやすいということです。北九州市はそれを誘致の際のセールスポイントとして売り込みをかけたということです。
そこで北九州市は誘致活動として、まず一つに、各学校との連携関係づくりを行いました。それから、人材育成支援も行いました。今回の例で言いますと、2011年10月に北九州市の方がメンバーズの常務を本校にお連れになり、双方の紹介、教職員との意見交換会を実施したというのが今回の連携の始まりになります。
人材育成支援に関しましても、北九州市が主催して技術セミナーが行われました。こういうものに関して、本校は全面的に協力をしてまいりました。
では、本校が期待された役割は何なのかということですけれども、やはり、企業ニーズに合わせた柔軟な人材育成ができるという点であろうと思います。専修学校は、企業のニーズに合わせて柔軟にカリキュラムを変えることができますので、時とともに変化する企業ニーズに対して柔軟にカリキュラムを対応させて行ける、ということで期待されていると考えております。
本校におきましても、メンバーズのニーズ、それから北九州市が誘致している他の企業のニーズ、それらをタイムリーに、またストレートにカリキュラムに反映できるよう、職業実践専門課程の教育過程編成委員をメンバーズの常務と北九州市の企業立地支援課長に委嘱いたしました。
ここからは、北九州市と本校が連携してきた内容を列挙しておりますけれども、この1、2は、今申し上げたところです。
3、4の北九州市主催の技術セミナーにつきましても、本校の学生の育成のためにも、またメンバーズの人材確保のためにも、本校の学生を積極的に参加させております。
それから、6番にあります北九州市と地方自治研究機構の調査研究ですけれども、これは、情報IT企業人材採用育成支援に関する調査研究というものです。こちらには、私が委員として参加しました。また、本校の学生や保護者に対してアンケートをとったり、本校の学生に直接ヒアリングを行われたりしております。その結果、専門学校の学生や保護者、あるいは学校の意見をこの調査研究結果に盛り込むことができました。今後、北九州市がいろいろな施策を立てる際に反映していただけるものと期待しております。
次に、これはメンバーズ様との連携ですけれども、1番は本校において会社説明会、入社試験を実施しているというものです。その成果として、2013年以降、毎年本校からメンバーズに入社しております。既に11名が入社しておりますけれども、今のところ、誰も退職していないという、いい状況が続いております。やはりこれは、2番、3番、4番、こういう連携をやることによって、ヒューマンスキル及びテクニカルスキル両面で企業が求める人材育成を行えた成果だろうと考えております。
2015年4月に、いよいよメンバーズの北九州オフィスがオープンいたしました。オープンした後も、さらに密に連携をしております。例えば5番は、高校生などに対して、メンバーズの北九州オフィスの見学や業界説明などを実施しているというものですけれども、ここ数年、IT業界は人材不足が続いているにもかかわらず、高校生のIT業界希望者というのが減っております。今後、継続的に人材を確保していくためには裾野を広げる必要がある。そういうことで、この5番の活動というのは、裾野を広げる効果を大いに期待できると考えております。
最後に、今回の連携のメリットをまとめてみました。
まず、北九州市にとってのメリット。当然、企業誘致の成功というあたりになります。
それから、企業にとってのメリット。これも当然、人の確保ということです。
最後に、本校にとってのメリットですけれども、まずは当然、地元での優良な就職先が増加したと。それから二つ目、これが非常に大きなところですけれども、これまで北九州市では難しかった先端の企業との連携ができるようになったということです。なおかつ、その先端の企業とともに人材を育成することができるようになったこと。これは非常に大きな効果であったし、今回、北九州市と連携して初めてなし得たことだろうと考えております。
それから、3番目としては、先ほど申し上げたような高校生等に対する業界説明等によって、裾野を広げる活動を企業とともにできるようになったこと。そのことは、本校の入学者増にもつながるでしょうし、ひいてはIT業界やウェブ業界に安定的に人材を供給できるということにつながると考えております。
本校は、今後も北九州市やメンバーズをはじめ、もっとたくさんの企業と連携することによって、北九州市の仕事やまちの創生につながる人の育成をできるよう努力してまいりたいと考えております。
ご清聴ありがとうございました。
【黒田座長】 ありがとうございました。それでは、続いてお願いいたします。
【麻生塾熊野校長代行】 麻生建築&デザイン専門学校の熊野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
資料は2-2になります。地域・団体・企業との連携事例といたしまして、シバタハウスプロジェクトをご紹介させていただきます。
まず、プロジェクトの概要でございます。築40年の古いアパートをリノベーションし、難病と闘う子供とご家族のために、新たな病院隣接型ゲストハウスをつくるプロジェクトでございます。このプロジェクトには地元の工務店、塗装業、あるいはインテリアコーディネーターなど、プロの団体が参加しております。
続きまして、本校からの参加状況でございます。約6カ月間、学生40名、延べ110人工の参加をしております。
活動の様子でございます。下地づくり、左官、ペンキ塗り、床張り。右下は、わかりづらいですけれども、図面で確認作業をしている様子でございます。
プロジェクト参加の経緯についてご説明いたします。教育課程編成委員会のメンバーよりご提案いただきました。教育方針に照らし、使う人、住む人の気持ちを理解し、企画から設計、制作全てを実際に経験できる。また、社会への貢献が実感できる場であるということで、学校全体で取り組むことにいたしました。
期待する教育効果といたしましては、主に三つございます。一つ目は、自己成長を実感する場であること。二つ目は、本校の校訓であります「無私」、この精神を実践し、さらに理解を深めるということでございます。三つ目に、一連のプロセスを経験することで、知識を連結させ、総合力を強化させるということでございます。
続きまして、取り組みに対する評価についてでございます。右の円グラフは参加依頼の人数でございます。他校よりも多くの要請をいただき、大変光栄に思っております。また、ボランティア学生の代表として本校学生をご推薦いただき、メディアへのインタビュー、あるいは内覧での登壇発表をいたしました。
具体的な評価のコメントを幾つかご紹介いたします。まず、こちらの主催者団体からでございますけれども、「とにかく挨拶がいい」「明るく元気よく礼儀正しい」「このおかげで現場全体の雰囲気が非常によくなりました」というコメントをいただいております。また、職人さんからは、「図面が読めて、しかも材料も理解している」「ポイントを一つ教えるだけで、あとは自分たちでどんどんできる」と。また、清掃や整理整頓につきましても、「今の若い人たちは、なかなか言われてもやらないけども、自主的にきちんとできる」というようなコメントをいただきました。
学生自身からは、「仕事の奥深さを知りました」「今勉強していることが、将来いろいろな人たちや地域のために貢献できるんだということを確信いたしました」という感想をいただいております。
続きまして、専門学校の教育が発揮された点についてでございます。2点ございます。まず一つは、建築に関する幅広い知識でございます。大学の研究と異なり、計画であったり、法規であったり、CADであったり、幅広く偏りなく勉強をしております。だからこそ、今回、図面が読めるとか、あるいは材料の扱い方など、実践で発揮することができました。二つ目は、職業人としての基礎教育でございます。挨拶や時間を守るといった社会人としてのマナーの重要性、これを改めて認識いたしました。
今回の事例を踏まえまして、学校教育へ反映していることといたしましては、系統立てて教える前に、なぜそれが必要なのかということを、現場の事例といたしまして在校生に発信しております。また、相手の気持ちまで理解するという日本が世界に評価されている点を、ただ単に何々ができるとか、何々を知っているというような人材だけを育成するのではなく、相手の気持ちまでも理解できるような教育にさらに力を入れていきたいと思っております。今後の専門学校は、この点に視点を置くことも必要だと思っております。
その他の取り組みについてご紹介いたします。シバタハウスプロジェクトでご一緒いたしました「俺たち工務店ズ」からお声かけをいただき、「住まいるフェア福岡」において、くぎ打ち、かんながけ、木工製作などの子供たち向けワークショップに参加いたしました。教育効果は、子供たちの気持ちを理解するということとリーダーシップの発揮でございます。
事例の二つ目といたしまして、地域の魅力を発信するツールといたしまして、福岡県建築士会の助成を得て、「HAKATA WOOD MAP」を作成いたしました。今後は留学生等に日本文化を知ってもらうための企画として計画をしております。教育的効果といたしましては、貢献志向、建築分野とデザイン分野の学科を超えた知識、技術の融合でございます。
最後に、課題といたしましては、単発の連携ではなく、将来的に連携の継続性を図り、教育のプログラム化していくことや、連携による地域・企業・団体からの評価は定性的なものが中心となっておりますが、教育プログラム化に当たり、客観性のある定量的な評価も取り入れる必要があると感じております。
以上で発表を終わらせていただきます。ご清聴どうもありがとうございました。
【黒田座長】 どうもありがとうございました。
ただいまの髙橋様、熊野様からの発表について、何かご意見ございましたら、よろしくお願いします。
小杉委員、どうぞ。
【小杉委員】 質問なんですが、どちらのプロジェクトも大変すばらしいものだと思ったんですが、教育プログラムとしては、単位といいますか、これから教育プログラム化というお話だったと思うので、多分、現在はボランティアベースで、学生にとっては学習したことが卒業にかかわるようなものではないという状況なんでしょうか。
それから、教員がこの中でどんな役割を果たしていたかということをお聞きしたいと思います。学習プログラムにまだなってないとしたら、今、教員はどうかかわっているか。
それから、前半のほうのプログラムは、技術セミナーとかなんとかは、これも学校の教育プログラムではないわけですよね。あるいは、この技術セミナーで、例えばメンバーズさんの会社の方が講師をしているのか、学校の教員がセミナーの講師をやっているのか、その辺の教員のかかわり方みたいな話を教えていただければと思います。
【麻生塾髙橋校長代行】 後半から先にお答えいたします。まず、北九州市が主催した技術セミナー、7ページの下のほうにございますけれども、こちらは北九州市が主催しまして、メンバーズさんと打ち合わせの上、メンバーズさんと北九州市のほうで講師を用意して行ったということで、これは本校学生のみではなく、ほかの大学生、高専生も対象にしております。ただ、本校としては会場を提供したり、事前の環境整備などで協力していて、本校の学生が一番たくさん参加したという形になっております。
それから、メンバーズさんの連携で、11ページの2番。これはヒューマンスキルのことになりますけれども、こちらにつきましては、授業外、カリキュラム外で、土曜日等にメンバーズの常務に来ていただいて、特定の学科と、プラス希望者で受講しております。そのときに担任も同席して、常務といろいろ意見交換しながら、学生をどうヒューマンスキル的に育てていくかということは、担任がかかわってやっております。
4番の連携授業につきましては、いわゆる職業実践専門課程における連携授業ですので、カリキュラムとして入っておりますし、当然、単位等にも関係しております。こちらは本校教員とメンバーズさんの技術者の方と協力してカリキュラムをつくって、授業を実施し、メンバーズ様は最初と最後とか、ポイントポイントで来ていただいて、途中の授業を本校教員が、メンバーズ様の技術者との打ち合わせの上、実行していくという形になっております。
【小杉委員】 ありがとうございます。
【麻生塾熊野校長代行】 シバタハウスプロジェクトの教員のかかわり方でございますけれども、始まる前に主催者団体と綿密な打ち合わせをいたしました。その中で一つ、安全教育というところがございます。安全教育につきましては、学校関係者評価委員会の中で、保護者から、自分の娘も施工関係に進みたいと考えているけれども、ぜひ安全のほうをしっかりやってほしいという依頼も受けておりました。安全教育につきましては、事前に連携企業から教育を受ける機会をつくらせていただいております。
また、6カ月間の長期にわたるボランティアでございますので、学校の通常の授業と両立できるかスケジュールを組んで、学生にとりましては十分満足できるような段取りを組みました。
【小杉委員】 ありがとうございます。
【黒田座長】 それでは、これで髙橋様、熊野様への質疑終わりたいと思います。
続いて、全体の意見交換をしたいと思います。
ただいま福岡県における専修学校の紹介と地域における連携事業例をご紹介いただきました。また、本日はこのほかに、学校視察として中村専修学園と麻生塾、それぞれの教育現場を拝見させていただきました。人材養成の取り組みについても両学園から説明をいただいたところでありますが、その際、専門的な教育ばかりじゃなくして、人間教育が非常に重要であるということも説明を受けたわけであります。
この件に関して、専修学校の強みについてどのように考えられていらっしゃるのか、まず中村理事長、福澤理事のほうから、それぞれ一言ずつご意見をいただいて、その後、続いて麻生塾の福澤理事からも簡単に説明をいただいて、その後、議論に入りたいと思います。
まず、中村理事長さんからよろしくお願いします。
【中村専修学園中村理事長】 私どもでは、中村調理製菓専門学校、そして中村国際ホテル専門学校という二つの専門学校を福岡市で教育を行っているわけでございますけれども、その人間教育ということで、まず専門学校は、即戦力となる、すぐに使える専門技術・専門知識の教育が大事とよく言われるんですけれども、私どもでは即戦力の教育ではなく、もっと基本となる人間教育が重要と考えております。
私どもが対象とする調理・製菓・ホテル業界、このような産業界が求めている基本というのは、まず早期の離職をしない、あるいは社会人としての基本である挨拶・礼儀、あるいは時間を守るといったこと、そして、仕事への意欲・姿勢、こういったものが大事と。あくまでも、これらの社会人としての基本ができた上での専門技術・専門知識でなければいけないというわけですけれども、こういうような人間力を磨くために、さまざまな実践的な実習授業を通して、あるいは学園祭や運動会など、授業外の学習活動を通して、このような力をつけさせております。
以上でございます。
【黒田座長】 ありがとうございました。お願いします。
【麻生塾福澤常務理事】 どうもありがとうございます。麻生塾の福澤でございます。
人間力教育に関する取り組みについて、それに関して専修学校の強みというお尋ねをいただいていますけれども、私は専修学校の強みは、職業実践専門課程でも実証できているように、教職員の多くが企業の方々と関係が近く、また環境の変化に対してもスピーディーにフレキシブルな対応ができることだと考えております。なおかつ、それが徹底できることというのも専修学校の強みかなと。
クラス担任制、私どもの学校の場合、1クラス15人から、多くても40人までに、必ず1人の担任はついております。例えば人間力教育にしても、その担任が共通の認識のもとに指導していくという形でかかわってまいります。ということになりますと、徹底が実践できているところが強みかなと思います。
お尋ねいただいた人間力教育で言いますと、専修学校では単なる科目、私どものほうではGCB教育ということで、90分を8コマ、1年生、2年生で行っていますけれども、その科目だけで完結することはないわけで、その科目に関連して、ホームルームであっても、日常の生活指導であっても、それから他の科目を教えている先生方に対しても、その科目で授業を行う際にはどうあってほしいのか、どうあるべきかというのを、この人間力教育というものを理解していただいた上でかかわっていただくと。ということは、これは全てがリンクして一体化しているというものが最大の強みかと思っています。
麻生塾では、グローバル・シチズン・ベーシックと称する人間力教育というものを12校全体で、これはごく一部の教員が担当するのではなくて、全教員が担当できるという研修もあり、そして授業のテキスト、教育プログラム、マニュアルというものもございます。
その中の志の教育というのは、社会人スキルや人間性といったマインドを高める教育ですけれども、やはりみずから志を立てて、そして、そこに向かってみずから考え判断し、みずから動くことのできる職業人の育成を行っています。この基本的なところは、周囲への感謝と思いやりの心を持つことから始まって、そして自立して、そして志を持って、どういった場合でも自分自身で解決していく能力をということで、社会に貢献できるようにといった実践をしているところでございます。
以上でございます。
【黒田座長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまから全体を通じてのご意見、ご質問を受けたいと思います。今日は特に、大阪府の私学担当課長の吉本さんも来ていらっしゃるので、福岡県の話をお聞きしたんですが、何かご感想等もあったらお願いします。
【吉本委員】 専門学校の先生方の話で、人間教育ということにすごく熱心に取り組まれておられるというのはすごいなと思いました。あと、協会のほうも、全体として、講座した分は県からお金出てないですよね。これを自主的につくられているのですごいなと思いました。さらに言うと、卒業生の就職率、出口というところ。やっぱり入学される保護者、生徒にしたら、そこを一番気にされる方が多いのかなと思います。なかなか大阪でも、こういう冊子をつくろうとはするんです、つくったりもしているんですけれども、毎年はなかなかお金が続けへんということで、できていないという状況ですし、こういう就職状況までは、多分載せてなかったと思います。今日こういうお話もお聞きしましたので、我々も大阪の団体と一度話をして、こういうのができないのかというようなこともやりたいと思いました。
【黒田座長】 ありがとうございました。
それでは、本題の地方創生の観点から、地域人材養成のプラットフォームと言われる専修学校の価値・役割というものを今後どういうふうに構築していったらいいか。皆さんからご意見をお聞きしたいと思います。どなたからでも結構です。
小林委員。
【小林(光)委員】 地方と申しましても、福岡というのは地方の大都市であります。その大都市で、全国でもモデルになるような学校二つの事例を今日は見学させていただきました。いろいろご説明いただき、ほんとうにありがたいと思っております。
最初に見学させていただいた中村専修学園と午後に見学させていただいた麻生学園は、それぞれ学校の成り立ちと性格が違います。
中村専修学園さんは、学校の設立そのものが、自分たちの生活から、学ぶことの重要性というものを考えられ、学校が成り立ってきたということをお聞きしました。そして発展されて、大学と専門学校に分かれて、教育ニーズに対応した学習制度への取り組み等、それぞれの特徴を際立たせた教育をされていらっしゃいます。また、まさにローカルからグローバルへという流れをつくろうとされていらっしゃるとも感じました。全国的にもすぐれた事例だと感じております。
麻生グループさんは、まさに企業とか産業界、業界が求めている人材育成を基本として学校を創立されたということです。まず病院が求めている看護学校から始められたということをお聞きして、企業が何を求めているか、常に企業が求めている人材育成ということに視点を置いて学校をつくってこられたと伺いました。社会や産業界、産業社会が求める人材育成ということで広げられて、今、12校で78学科104コースと、ほとんど全ての分野を網羅されるようになったとお話いただきました。特色としては、常に企業ニーズを調査され、そして教育カリキュラムにも反映されていらっしゃるとのこと。先ほどの二つの例もそうですし、最初にお聞きしたGCBプログラム等についても、全校に広げていらっしゃる。
双方とも、産業界そして社会が求めている人材養成ということでは一致されていると思いました。ほんとうにすばらしいご報告、どうもありがとうございました。
【黒田座長】 ありがとうございます。
ほかにございませんか。前鼻委員、ありますか。
【前鼻委員】 意見を言う前に1点質問があるんですが、中村理事長、福澤常務理事、今日は見学、それと大変詳しいお話をいただきまして、ほんとうにありがとうございました。
質問は岩本会長になんですが、こういった人材育成にお金とマンパワーを相当かけている学校がある一方、やはりそこまでかけられない会員校は多くあると思うんですが、福岡県専各として、そういった部分を補うような研修というのは何かされているんでしょうか。
【福専各協会岩本会長】 うちの副会長からいいですか。
【麻生塾福澤常務理事】 私は福専各で研修委員長もしているものですから。
前会長の中村会長のときからそうなんですけれども、やはり教育というのは、そこで教える人材をいかに育てていくかだろうと。学校の経営とか学生募集とかではなくて、やはりどういう人材を育成していくか。そして、専門職であっても、いざ教壇に立って教えるというのは、相手に伝える、ほんとうにそれが伝わったかどうかというのは全く別だというところで、アクティブラーニングも含めて企画しています。それから、今、学生たちの内面、精神的なところも変化が大きいというところで、先日は、アドラー心理学の研修会を行いました。これは応募者があまりにも多くて、春先にもう一遍追加して行います。これについては県のほうから補助をいただいて実施をしております。
こういったものの講師を1回東京からお呼びすると、40万、50万かかるので、単科校では実施が無理だというところで、積極的に計画立てて、県専各のほうでこういった研修会をどんどん実施していくということで、今、四、五年前の3倍ぐらいのパワーアップした形での研修というのを実施しているというのが実情かなと思います。
【前鼻委員】 ありがとうございました。前の検討会議のとき、職業実践専門課程の中で私が報告はしたんですが、ある程度規模があるような県の中ですと、今あったように県からお金をいただいて研修会をするというところがありますが、お金がないから出せないという県もすごく多いわけです。専門学校の教員は、どちらかというと職業から来ていて、先生になりたくてその職業についたわけじゃありません。学校に来て先生になったわけですから、先生のための教員研修をしなきゃいけない。これに対して、相当我々は投入しなきゃいけないし、時間もかけなきゃいけないというのは、今、より振り返りになっていると思うんですが、各都道府県、全国的に見ても、そこのところが喫緊の課題であり、その予算組みをどうするかということをすごく求められていると思います。
また、これも報告でお話ししましたように、TCE財団でやっている中堅教員研修という、すごく教員の底上げになるためのプログラムがあるんですけれども、1回の人数が20名で、全国の教員が全部押しなべて研修を受けられるような体制ではないということを鑑みても、この部分に関するものも、これからこの専門学校業界を底上げしていくためにも、非常に重要なところであり、また、これお金の話ばっかりになっちゃいますけれども、予算組みなり、全国で押しなべて実施できるような体制を構築するのが重要ではないかなと思いました。
【黒田座長】 ありがとうございます。
河原委員、何かありますか。
【河原委員】 今日は中村専修学園様、麻生塾様、ご訪問をさせて頂きありがとうございます。今日、中村専修学園の学校を見学させていただき、実習を拝見させて頂きますと、学生は学ぶスタンスでなく、職業人としてお客様に製品をお届けする意識をもち実習に望んでいる姿を強く感じました。
麻生塾様では、大きな専門学校グループとして、地元九州の企業や東京の企業と密接に連携して、様々な人材育成プログラムの開発をされ、職業教育や人間性の育成をされており両法人から多くのことを学ばせていただき、誠にありがとうございます。
愛媛県の産業はサービス業と製造業が中心になっていますが、2005年から2013年にかけて、売上高ベースで、製造業が20%ぐらい落ち、それに対して飲食サービス業が伸びてきている状況があります。
専門学校は、高校や地元企業と距離が近く、いろいろな意見をお伺いします。いいお話も聞き、そうでないお話も聞きます。そういった意見に対して、組織的に2年間卒業までのカリキュラムの良い面を生かしながら、悪い部分を修正していくことを常日ごろから行って、地元の高校や企業から評価をいただいていると思っています。
愛媛県でも産業構造が変わってきています。私どもは、どういった人材を体系的なカリキュラムの元、育成していくか、先を見越した人材をどう育成していくのかを課題にしており、ですがカリキュラム開発がなかなか難しい部分もあります。そういう意味では、県、市、そして地元の産業界、もしくは、高専連携や高大連携をして、その様な連携の結果を地元の個々の企業の活動に結びつける構造をつくっていく必要があるとは思います。それを、1校ずつやっていくと、手間暇と時間がかかるので、それを組織的に県ベースで実施することも重要になってこようと思います。先を見越した人材を地域が組織的にどうつくっていくのかという意味では、九州では今後どのように取り組み、分野ごとにどうされるのか、もしよろしければいかがですか。
【黒田座長】 専各協会がどう考えるかということ。それと、産業が変わる中で、各学校がそれぞれの地域との連携、どういうふうな対応をとっているかということについて。中村理事長、いいですか。
【中村専修学園中村理事長】 高専連携、高大連携のほうは、正直言って、私はちょっと答える材料がないんですけれども、産業の変化ということで申し上げますと、先ほどから申します、私どもの調理とか製菓というのは、はっきり言って、今までは頭でっかちの人材を育てるなという傾向が強かったんです。実は今でもそういう傾向は強いんですけれども。
今週も製菓業界と教育関係との話し合いがあるんですけれども、地方において、特にこういう分野においては、人材がどんどん足りなくなってきている。ものすごい勢いで人材が足りない。日本中の平均の有効求人倍率が1.幾つといわれておりますけれども、この分野に関しては、3を超えてるんじゃないかという数字もございます。そのくらい人手が足りない。そういう人手が足りない中で、ただ単に今までのような頭でっかちじゃない、つまり、ただ単に労働力としてたくさんくれという時代は完全に終わったわけですね。
ところが、非常に難しいのが、それでも頭でっかちなものを養成すると、非常に嫌われるという業界の体質があるんですね。その中で、10年後、20年後を見据えていった中で、これからの時代の変化、例えばさまざまなロボットであったり、あるいは人工知能であったり、これらを駆使していく人材、あるいは課題解決能力がある人材を、頭でっかちじゃないようにつくっていく。ここが非常に悩ましい問題で、それをどのようなカリキュラムをつくっていくかということを教職員と議論しております。結論になりませんけれども、そういったところで悩んでおります。
【河原委員】 ありがとうございます。愛媛県は非常に規模が小さくて、各学校の各学科の規模もなかなか小さいのですが、そういった意味で、カリキュラム等を産業界と連携をしながら、また、諸官庁と連携をしながら醸成していく構造ができると助かるかなと思います。ありがとうございました。
【黒田座長】 はい、どうぞ。
【清水委員】 まず、本日は中村専修学園、麻生塾の皆さん、本当にありがとうございました。
特に職業実践専門課程における企業また地域との連携のすばらしい事例を見せていただきました。そして、両法人でおっしゃっていたところで、本校も特に重点を置いているところが人間教育であります。それと、両法人とも卒業後の離職率に注視をされているのも印象深く見せていただき、職業教育の実践者としては常に心に留めておかなければならないテーマであるとも思いました。本当にありがとうございました。
私は全国高等専修学校協会の会長を務めておりますので、目先を専門学校から高等専修学校に変えさせていただいて少しお話をさせていただきます。
残念ながら、今日の資料の中には高等専修学校の資料がないのですが、平成27年度の学校基本調査で福岡県は、全国高等専修学校協会の中でも実員数が上から4番目です。今、高等専修学校には、全国で約4万人の生徒が学んでいます。専門学校は59万人弱学んでいますから、なかなか比較はできないですけれども、この4万人の中で一番多い都道府県は愛知県で7,393人。次が大阪府の5,439人。次が東京の3,102人。次が福岡の2,772人です。次が神奈川県の1,801人。次が兵庫県の1,652人と、おそらく驚かれる先生方は多いと思います。
私どもの協会に、福岡県から4校が会員校になっていただいております。ここで補助金という視点でお話をさせていただきます。これは中村理事長先生に東京でお会いしたときに、どうやったら補助金が出るのか何度か質問されたことがあり、その時にもお話しさせていただいたことですが、一番は、大阪府で、私立高校と同額です。次が宮崎県の26万3,300円。次が千葉県の16万9,220円。次が東京の15万8,600円です。参考までに東京の私立高校の場合は約39万円ですので、大きな格差があります。
私はこの検討会議の中でも何回か発言させていただいていますが、やはり専修学校の中には中卒の高等専修学校もあるわけですから、この検討会議に関して、私どもとしては高等専修学校の振興についてもしっかり対応していただきたいし、今こうやって福岡でも4校の学校中心に2,772人の子供たちが学んでいるわけなので、しっかりと国また都道府県は担保していただきたい。
今日は福岡の行政の方もいらっしゃいますが、福岡に特化した話だけでなく、全国的にこのような格差の中で高等専修学校は学校運営をしていることを知っていただきたい。なんとかこの格差を埋めていただきたい。高等専修学校を助けていただけるよう、どうぞよろしくお願いします。
【黒田座長】 今のは大変重要なことで、所轄長が各都道府県になっていますから、それぞれの財政事情によって支援の仕方が違っているということです。これはできるだけ、国家プロジェクトみたいなところをあわせていく必要が今後出てくるんじゃないかと思っています。
そこで、寺田委員にお聞きをしたいんですが、地域における職業教育機関としての専修学校の価値と、海外のこういう職業教育の学校との比較をお聞かせいただけるとありがたいんですが。
【寺田委員】 後半のほうのご質問は、ちょっと今、お答えするほどの整理が頭の中でできておりませんので、前半の地域における専修学校等の問題だけでよろしいでしょうか。
【黒田座長】 はい。
【寺田委員】 質問的な要素も若干入りますけれども、とりあえず今日、見学させていただいたことを含めて、改めて感じましたのは、一つは、大学とのかかわりについてです。それで、中村専修学園のほうで、新機関、専門職業大学(仮称)とのかかわりで、1年制課程を含んでいるので、そのまま移行ということはなかなかあり得ないというような話、文章をお書きいただいたと思うんですけれども、そのとおりだと思うんですが、一つの形として、現在の専修学校の法人の中で、専修学校もしくは中村学園、兄弟学園で二つ、大学と専修学校をお持ちで、専修学校関連の法人の中の枠の中で大学との関連を考えるということが一つあり得ると思うんですよね。その点では、お答えいただかなくて結構ですけれども、すごく興味を持ちましたのは、主に夜間課程なんでしょうか、大学の学生が専修学校のほうに学びにくるという方々が相当いらっしゃるというふうに報告を受けましたけれども、あのパターンというのは非常におもしろいなと思っています。それで、やっぱり質問です。主として夜間課程でしょうか。それだけで結構です。
【中村専修学園中村理事長】 現在、私どもがやっておりますのは、今のところは夜間課程だけです。
これがなぜ大事かというと、今、私どもの大学では、管理栄養士の養成施設の大学の学科から来ている学生が多いんですけれども、管理栄養士の教育が、どうしても管理栄養士の国家試験の合格、あるいはカリキュラムも非常にアカデミックな科目が中心になってきて、管理栄養士、料理ができなきゃいけないのに料理ができないと。そういった教育をうちのほうの夜間で、これはプラスアルファの授業として補完しているんですけれども、例えば単位の互換でやれば、昼間の学科で、単位の互換でダブルスクールということは可能かと思っております。今は夜間だけをやっております。
【寺田委員】 わかりました。そうですよね。私も4月以降、私学におりまして、傘下に専修学校が幾つかあるんですけれども、ほとんどそういう試みがないというふうに今のところ認識しておりまして、専修学校関連の法人が持ち得る資源というのが、大いにこれから活用されていいのかなというのが一つと、あともう一つは、これはやっぱりこの専修学校関係の組織なり、あるいは行政の後押しもあることが必要かと思うんですけれども、幾つかの専修学校と大学が連携する試みが、地域おこしなどとの関係で多分あると思うんですが、そういうパターンもこれから広げていく中で、今後の専修学校のあり方というものが、一つ選択肢としてあるのかなと思いました。
それから三つ目ですけれども、なんか総括で発言しているようで、大変恐縮です。非常におもしろいと思ったのは、麻生塾のインドネシア事業、教育事業への関与ということ。すごく福岡県というのがグローカルで、そう言われれば、韓国の留学生が非常に多いとか、インドネシアに進出されているとか、西日本の、それこそ私がおります岡山から向こうのほうで、留学生がこんなに韓国の人が多いというのはあまりないので。大学もそうですけれども、中国人がほとんどだと思います。そういう中で、今日お聞きして、あ、違うんだと。半島であるとか、大陸だとか、東南アジアに非常に近いという、そういう地の利といいますかね。実際、飛行機で移動しても、ほんとうに近いですよね。
それで、麻生塾がやられたような、今後の専修学校の海外展開というんでしょうかね。日本は、国内では高等教育としての職業教育の制度化が今まさに真っ最中、これからというところで十分確立されてない中で、だけど専修学校が資源をたくさん持っているので、それを海外の高等教育段階の職業教育に生かすという可能性が非常にあるのかなと改めて思いました。
以上でございます。
【黒田座長】 ありがとうございます。今日は寺田先生にまとめていただきまして、ありがとうございます。
帰りの時間があるので延長するわけにいきませんので、ここで一応切りたいと思います。これでヒアリングを終了したいと思います。皆さんの貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。
事務局から、今後の予定についてご連絡をお願いいたします。
【白鳥専修学校教育振興室長】 今後の予定でございます。資料の3をごらんください。次回以降の日程についてお知らせいたします。
次回第8回は12月19日月曜日、朝の10時半から開始を予定しております。会場は、今度は文部科学省内の会議室を予定しております。あわせまして、3月までの日程も記載しておりますので、ご確認をお願いいたします。会場等の詳細は別途ご連絡いたします。
続きまして、連絡事項でございます。本日配付しております資料ですが、机上に置いていただければ、別途郵送させていただきます。
それから、もう一つの連絡事項としまして、この後の動きでございますけれども、会場からの移動につきまして、空港そして博多駅に向かう車についてご用意をいたしておりますので、お帰りの支度ができた委員の皆様は事務局までお声がけをいただければと思います。
以上、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【黒田座長】 ありがとうございました。
それでは、最後になりましたけれども、文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課の岸本課長さんからご挨拶をお願いいたします。
【岸本生涯学習推進課長】 本日、受け入れをご快諾いただきました学校の皆様、午前中は中村専修学園におきまして、生徒さんたちの熱心なお取り組みと、そのすばらしい学習成果を拝見させていただきました。また、午後は麻生塾様におきまして、非常に充実したお取り組み、また施設の数々をご説明いただきました。また、福岡県の専修学校各種学校協会の皆様には、地域連携、留学生また教員研修などにつきまして、熱心なお取り組みについてお話を伺うことができました。これらの成果は、今後のこのあり方検討会議の最終報告に向けて、大変大きな糧となっていくと思います。引き続き、皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
また、委員の皆様も、本日遠路はるばる、大変タイトな日程の中ではございましたけれども、熱心にご視察をいただき、ご議論をいただき、まことにありがとうございました。ご関係の皆様に深く御礼を申し上げます。
【黒田座長】 ありがとうございました。
それでは、本日の会議はこれで閉会させていただきますが、特に福岡県の専修学校各種学校協会の皆さん方、中村専修学園の皆さん方、麻生塾の皆さん方、また、ほか関係の皆さん方に多大のご協力をいただきまして、ありがとうございます。厚くご礼を申し上げます。また、委員の皆さん方には遠路福岡までお越しいただきまして、ありがとうございます。
今日の議題というのは、地方で、なおかつ都市化された中での専修学校のあり方というのをつぶさに見せていただくことができて、ほんとうに今後の議論の糧になると思います。東京だけにいますと東京の中のことしか考えないというのが一般的でありますので、地方からも発信するというのが非常に重要であります。そういう意味において、地方の実態を把握しながら、この会議も進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれで散会とさせていただきます。ありがとうございました。
―― 了 ――
総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室