これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議(第8回) 議事録

1.日時

平成28年12月19日(月曜日)10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. 職業実践専門課程の今後の在り方等について
  2. その他

4.出席者

委員

大井川 智明 日本商工会議所企画調査部担当部長
河原 成紀  学校法人河原学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
黒田 壽二  金沢工業大学学園長・総長、日本高等教育評価機構理事長
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構特任フェロー
小林 浩   リクルート進学総研所長、リクルート「カレッジマネジメント」編集長
小林 光俊  学校法人敬心学園理事長、日本児童教育専門学校校長、全国専修学校各種学校総連合会会長
今野 雅裕  政策研究大学院大学教授
清水 信一  武蔵野東高等専修学校校長、全国高等専修学校協会会長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
寺田 盛紀  岡山理科大学教授、名古屋大学名誉教授
前鼻 英蔵  学校法人西野学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事・全国専門学校青年懇話会会長
吉本 馨   大阪府教育庁私学課長 

文部科学省

有松 育子  生涯学習政策局長
佐藤 安紀  生涯学習総括官
里見 朋香  生涯学習政策局 政策課長
岸本 哲哉  生涯学習推進課長
白鳥 綱重  専修学校教育振興室長
星川 正樹  専修学校教育振興室室長補佐	
牧野 浩司  専修学校教育振興室専門官

5.議事録

【黒田座長】 それでは皆さん、おはようございます。
 所定の時間になりましたのでこれからの専修学校教育の振興のあり方検討会議(第8回)の会議を開催いたします。
 大井川先生は30分ほどおくれるということでありますので会を開かせていただきます。
  本日も報道関係者より写真撮影と録音の申出がありますので委員の皆様におかれましてはご承知おきいただきたいと思います。
  また本日はこれまで3回にわたってヒアリングを開催し専修学校の価値・役割の質保証のあり方などを取り上げてまいりましたが、これらと密接に関係する、残されている大きな課題であります職業実践専門課程の今後のあり方についてその方向性を本日はご議論いただくという予定をしておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【白鳥専修学校教育振興室長】 議事次第に引き続きまして資料1から資料3が本体資料となっております。資料1が「職業実践専門課程」の実態調査結果の中間報告、資料2が本日の論点メモ、資料3が今後の予定の案でございます。参考資料については1から4までございます。過不足ありましたらご連絡いただきますようお願いいたします。
【黒田座長】 よろしいでしょうか。
 それでは最初の議事に入りますが、まず文部科学省より職業実践専門課程に関する実態調査を行っておりますので最新の調査結果について事務局より説明をお願いいたします。
【白鳥専修学校教育振興室長】 資料1をお手元にご用意いただければと思います。
 職業実践専門課程の実態調査ということで、今年度,三菱総合研究所におきまして実施を頂いております。その中間報告となります。
 ページをお開きいただきますと調査概要ということで幾つか調査の種類についての一覧などもございます。本日はその中でも赤線を引いております卒業生調査、そして高校調査というものにピックアップをして概略ご説明申し上げます。特に職業実践専門課程につきましては今年の3月に初めて職業実践専門課程の卒業生が出たという状況もありまして、また高校調査については初めての調査ということでございます。
 卒業生調査結果をごらんいただきたいと思います。その次のページになります。
 まず5ページのところにございますけれども職業実践専門課程の卒業生が今現在ついている職業、そしてまた各学校で学んだこととの関係などをこちらでお示しをしております。特に認定課程の卒業生につきましては、やはり学校での学びと今の職業というのがとても関係するといった方々が多い状況であります。
 その右側の図になりますけれども現在の職場に対する評価ということで認定学科の卒業生ほど、特に赤い矢印で示しておりますのは3ポイント以上の差が認定学科との関係であった部分でありますけれども、やりがいのある仕事、成長できる仕事など、特にやりたい仕事に実際について生き生きと活躍をしている姿というのが見られるといった結果も出ているというふうに考えられます。
 次のページをごらんいただきますと2-2ということで伸びたと思う能力ということでございます。認定学科の卒業生ほど比較的、非認定学科に比べて伸びたと思う分が多いんですけれども特に赤い矢印、6ポイント以上の差の部分ですけれども、そのやりたい仕事につくための必要な知識・技能というものを身につけることができているというところがございます。
 その次の7ページ2-3でございますが「企業等と連携した実践的な教育」の受講経験ということです。大きく3つの区分に沿って整理されておりますけれども企業等の中での実習、専門現場実習、それから学校の中での実習・演習、これは企業と連携したということですけれども学内での実習・演習、そして職場体験型インターンシップ、この3つの区分になっておりますけれども認定学科の卒業生につきましては、いずれについても非認定学科についても多いことに加えまして特に学区内での実習・演習だけではなくて企業等の中での実習なども非認定学科の卒業生に比べて多く学校では経験していたというところが見られます。
 それからその最後のところになりますけれども、8ページ2-4になります。専門学校卒業生による学校への要望項目ということでございます。
 学区内での実習など実習・演習のところは比較的少ないというところはあります。要望事項として少ないということは、ある程度学校で実現できているところともいえると思いますが特に要望項目が多かったのは上の2つでございます。働く上で必要となる能力そして学科で学ぶ内容と実際に働くことの結びつきについて理解できるように説明するといったことでございます。やはり特に出口、このような意味での出口を意識した部分についての教育の充実を求めるといった声が多いというふうにも言えるのではないかと思います。また併せて学科の卒業生と交流の場をふやすといったところも多く要望としてございました。
 次に高校調査結果の方です。
 更にもう1枚おめくりいただきますと,高校調査につきましても初めての調査ということでありますが、多くご回答を頂いております。特にこの回答としては公立、そしてまた普通科、またより多く専門学校の方に送り出しをしていただいているような学校、特にここでは30名以上というところの学科が比較的多く回答いただいているという状況であります。
 3-2が具体的な中身でございますけれども職業実践専門課程の認知度についてでございます。制度の認知度については大体名称まで知っているということを含めますと約半数ということでありますし、特に専門学校へ進学している生徒さんが多い学校ほどそうした知っているという割合がふえているという状況でございます。
 またこの制度を知る機会ということにつきましては右側の図表でございますけれども特に専門学校からの情報提供というものが非常に多いというところが特色としてございますし、また一番上には自治体、そして教育委員会からの連絡というところも多くなっております。
 その次の3-3になりますけれども職業実践専門課程に対する高校からの評価ということです。「やや役に立つ」を含めると8割強がこれは役に立つというふうにご回答を頂いております。
 その右側の図表になりますけれども、より進路指導などに役立たせるための方法としてということでありますけれども特に高校に対する、そしてまた高校生保護者に対する制度の周知というものが非常に重要だということでのご回答でありますし、また併せて効果の周知というものを期待されているところでございます。
 次の3-4ですけれども専門学校への期待・情報公開ニーズということでございます。これは広く専門学校についてということにかかわっての問いになりますけれども特に高校現場としては専門学校に対しては就職実績そして資格・検定の取得実績、これをより広く提示してほしいといった声が多くなっております。この調査自体は高校調査なんですけれども併せて在学生調査もとっておりますところ、これに関連するものとして進学選択時に今の専門学校生がこの学校を選択するときにどういう点を重視したかといった項目がその右側のところに並んでおりますが、ここでの一番多かったのが今出ておりました就職実績、資格・検定の取得実績だということであります。この辺リンクをしているところというふうにも見えると思います。
 その次の3-5でございます。専門学校に関する情報収集方法・不足情報ということです。ここにおきましても先ほどの職業実践専門課程制度についての情報収集方法と同じ傾向がありまして、やはり専門学校からの発信というところが大変多く実際見られるということでございます。他方でその進学相談、進路指導などに高校が対応するときに、やはりこの辺がもう少し情報としてほしいという部分についての項目が右側の図表になりますけれども一番多かったのが就職支援等に対して専門学校がどういうふうに取り組んでいるかといった取り組み支援の状況ということでございました。
 それで専門学校が提供する情報に関する評価ということで最後の項目になりますけれども左側の表にありますのは現在も十分な情報量があるかどうか、そして知りたい種類の情報量があるか。そして併せて情報が信頼できるものかといった項目についての図表ですけれども、その中でそうした観点が不十分だというふうにご回答いただいているものについて自由回答をしていただいております。
 代表例として右側に若干付記させていただいておりますけれども、1つは基本的な情報がないということで定員充足率、正規教員数などの情報そして併せて赤字のところになりますけれども最新情報に更新されていないものが多いというご指摘がございました。
 また情報に統一性がないといったことにかかわりましては各学校独自にそれぞれ発信いただいているわけですけれども、逆に共通した記載事項というものが定められているわけでは必ずしもないのでお互い比較検討するときに不便だといったような高校の現場の声がございます。併せて先ほど就職実績などの情報についての重要性などもありましたけれども、その集計方法というのが学校によって様々であるということについての指摘がございます。
 これにも関連しますけれども、その次データの根拠が不明確ということで結局就職率などの母数が何によっているのかというところが明記されていないというところがございました。それと併せて同じように実数が示されていないというところも関連のものになりますし、あと就職先の実績など企業名などもずらっと列記されている事例も直近の年度での実績なのか、過去何年分かの実績なのかというところも不明確だといった声もございました。
 最後ですけれども情報について教育内容等についての情報ということで、どのように学校で課題を抱える生徒さん学生さんに対する支援を行っているかといった、要は入学した後に高校としては送り出す学生、生徒さんがどのような学生生活を歩んでいけるかといったところについてのサポートについての情報も不足しているといったようなところがございました。
 概略、以上でございます。
【黒田座長】 ありがとうございます。
 それではただいまの説明について何かご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
【小林(光)委員】 専門学校はわかりにくいという評価が多い。いろいろな分野が幅広いのです。これは分野によってかなり違いがあるということを前提として考えていただきたいと思います。
 職業実践専門課程でも、いろいろな分野で認定を頂いております。例えば芸術的な分野と資格に類する分野の違いはあります。厚生労働省の指定学科でありますと、合格率等をちゃんと発表しております。これは間違いで提供するわけにはいきません。そういうところに関しては、はっきりしていますが芸術関係などは就職についてはかなり自由度が高いところも特色かと思います。ただし高校の評価及びデータの評価としては参考になり、大変有り難いと思っております。
 以上です。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 ほかに。どうぞ。
【小林(浩)委員】 2点ありまして、この高校の先生への調査のN数は高校の学校の数でしょうか、それとも先生の数でしょうかというのが1点ですね。1つの学校から複数の先生が答えられているのか、学校の数なのかというところが1点。
 もう一つは3-3までと3-4からの表記がちょっと違っていまして、3-3までは「職業実践専門課程への」というのが入っているんですけれども3-4からは「専門学校への」というふうになっておりまして、これは3-4からは「職業実践専門課程への」ではなくて専門学校全体についてのということをおっしゃっているのかどうか。この2点教えていただければと思います。
【星川専修学校教育振興室室長補佐】 まず高校に対して1つIDを振っておりますので高校の数というのが回答数になります。またご指摘のとおりで3-3までは職業実践専門課程に関する調査また3-4については専門学校全体という形になっておりますので、その点は記載を変えております。
【黒田座長】 よろしいでしょうか。どうぞ。
【清水委員】 1点だけ質問させてください。
 3-5の専門学校に関する情報収集の方法・不足情報のところですが、この中に高校の先生からの情報収集という項がないのですが、その他に含まれているのでしょうか。
【黒田座長】 わかりますか。
【清水委員】 ほとんどの情報の収集が専門学校の教職員からの説明、専門学校の案内資料で実際に高校の進路指導の先生から情報提供というのはないのかなと、ちょっと疑問に思ったものですから。
【白鳥専修学校教育振興室長】 今の項目については入り得るとするとその他に入り得ると思われますけれども、今自由記述という形でとっておりますので、そういった情報が実際に入るかどうかというところもあわせて、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。またこれは中間報告という状況なので必要に応じてその辺はまた配慮していきたいと思います。
【黒田座長】 何かありますか。
【小杉委員】 ありがとうございます。中間報告ということですので、これからの方向として先ほど小林委員がおっしゃったような学科別の特徴とか、そうしたことはこれから分析されるという予定なんでしょうか。その際にやっぱり認定課程と非認定課程のような比較をされていますので、その比較がもっともな比較であるということがわかるような認定課程の選んだサンプルも全然違うということにならないような配慮はしていただけるんでしょうか。
【白鳥専修学校教育振興室長】 これは三菱総合研究所さんの方に委託をさせていただいて今こういった中間報告ということで上げていただいております。具体的な詳細の分析などにつきましては、そちらの方でまた今日頂いたご意見なども踏まえながら検討を進めていただいて、より対外的にも明確になるような形で進めていければというふうに考えております。
【黒田座長】 寺田委員。
【寺田委員】 この段階で気づいたことを1つ。
 その前に感想的には2-2在学時代に伸びたと思う能力、これが回答者として傾向としては上の方から順番にいい答えを出すという習性がなくはないのでありますけれども職業実践課程に関して専攻分野にかかわる知識・技能ということがすごく肯定的に評価されたと、これが非常によかったなというふうに思っています。
 ところで先ほどの説明で例えばこの2-2の図表に関して矢印、統計的にはいわゆる有意差を思わせるようなところを表示していただいているんですが、この場合は6%以上の差がある。それから前のページの2-1のところでは3%以上の差だというふうになっておりまして、その辺は最終報告ではもう少しきちんと説明できるようにした方がいいのかなと、こういうふうに思っています。どれかに統一するとか研究発表のように有意差検定とかは要りませんが、それは意図して統一的に扱った方がいいと、こういうふうに思いますけれども結果として大変いいんじゃないかと思っております。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 中間報告でありますので、これを今度は本報告に直すときに今それぞれの委員の方から出ました意見を加味しながら集計をとっていただくということにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 それでは、きょうは具体的な意見交換に入りたいと思うんですが論点の土台として論点メモをつくっておりますので事務局から説明をお願いいたします。
【白鳥専修学校教育振興室長】 資料2をごらんいただきたいと思います。
 座長から冒頭にご説明いただきましたとおり、職業実践専門課程の今後のあり方等についてということにかかわりまして論点メモの準備をさせていただいております。
 1ページ目のところにありますとおり、これまでヒアリングなどを通じまして専修学校の価値・役割等についてご議論を頂いております。大きく2つここに書いてありますけれども、専修学校の価値・役割ということ、そしてまた質の保証ということにかかわりまして、おおむねここに書かせていただいたような意見・方向性などがお示しを頂いたところでございます。
 価値・役割のところにつきましては専修学校についてはいわゆる自由度の高さということを背景に、それぞれの地域におきまして企業等と連携をしながらこの産業界、そして社会からのいろいろな多様なニーズに即応した教育を実践し、実践的な専門人材、専門職業人材、これは人間力の部分も含めた部分でのプロフェッショナル人材というのを育成していただいているということでございます。
 そして質保証ということにかかわりましては、学校の質を自ら保証するもの、これをいわゆる内部質保証システムと言われておりましたけれども、こちらを専修学校におきましては構築をして、そして機能化をしていくとともに学習成果というものを各学校がそれぞれの目的・目標において発信をしてその達成状況の評価などを行うことで、それぞれの学校の個性化を進めることが必要だといったようなこともお話しいただいたわけでございます。
 ヒアリングの概要については必要に応じて3ページ以降にこれまでのヒアリングの概要をお示ししておりますのでまた必要に応じてご参照いただきたいと思います。
 こうしたことを踏まえつつ1ページ目のところにお戻りいただきますと、この専修学校の教育の振興の方向性につきましては8月におまとめいただきました審議経過報告で引き続き検討課題とされている職業実践専門課程のあり方につきましてどういうふうに考えていくかといったところも、今、これまでご紹介したところと深くかかわりのある論点になります。特にこの職業実践専門課程につきましては新しく高等教育段階で職業教育についてより特化した枠組みをつくっていくといったことを目指して、その目指していくということについての、それを目指す際の趣旨を現在の専門学校の中で生かしていく先導的な思考という形でスタートしたものでございます。今実践的な職業教育を行う新しい高等教育機関の制度化の方向性というものが今年の5月30日の中教審の答申でも方向性が出されたところでありまして、こうした状況の中この職業実践専門課程については、それではどういうふうに位置づけをしていくべきかというところがこれからの更に議論を詰めていく大きな論点となります。
 本日はこの資料と併せて参考資料の幾つかをお示ししております。先ほどのページの次に行く前に、こちら参考資料で簡単にちょっとおさらいだけで恐縮ですけれどもさせていただきますと、参考資料の1に基本データ集というものがございます。1枚おめくりいただきますと職業実践専門課程の制度概要がございます。右下のところにありますとおり企業等との組織的な連携、そしてまたそうした取り組みを「見える化」していくというのがこちらの職業実践専門課程の特色となっており、現在は3分の1ぐらいの学科で認定されているというところでございます。その後幾つか効果、そして課題などが続いております。ここに書いてある効果・課題などについては昨年の実態調査結果を載せているものであります。
 課題のところで1つだけご紹介をさせていただきます。19ページをごらんいただきますと課題の2というのがございます。19ページになります。課題の2は、これは認定後の取り組み充実ということに関しての課題でございます。各認定学科ほどより効果について上がったという回答が多い傾向が見られるとともに、初期に認定をされた学科ほどその効果実感がその後に認定された学科であったり、またこれから認定に向けて準備中だといった学科に比べて効果についてわからないという回答が比較的目立っているといったところがございます。このところにつきましては、やはり認定後についていかにその取り組みを充実・改善できているかといったところにも深く関係し得る課題ではないかなというふうにも思われるわけであります。このような観点で職業実践専門課程は認定時の実績を認定するものでありますけれども、その後の取り組みの充実というところも一つ課題になっております。
 あともう一つでありますけれども、社会人の学び直しというものが今政府におきまして大きなトピックになっております。最後の26ページの資料がその社会人の学び直しの推進についてということにかかわりまして、今政府で動いております働き方改革実現会議におきまして文部科学大臣より説明をした資料ということになっております。真ん中のところにステップ1、2、3などが書いてありますけれども、この学び直しの強化を図るといったステップ2におきまして大学・専修学校の役割というものも重要だということで取り上げられているところであります。短期で学べるプログラムの認定制度の創設ということでショートBPとありますけれどもBPというのは大学における社会人の学び直しにかかわっての文部科学大臣認定制度であります。その短期でより学べるプログラムについても広げていってはどうかといったことであったり、また専修学校・大学等におけるe-ラーニングの活用強化、それから学び直しという書き方にはなっておりませんけれども教育内容・体制の拡充ということで現在も進めておりますけれども産学と連携した教育課程の編成と、こんな体制の推進などもこの中で言われております。このように働き方改革といった関連の中で、この社会人の学び直しといったことが大きなテーマになっており、その中で専修学校においても大きく期待されているといった状況が1つございます。
 こうした状況を背景に踏まえつつ考えられる論点ということで、先ほどの資料の2にお戻りいただきまして資料2の2ページのところに論点の概略をお示しさせていただきました。
 その1番目のところですけれども、この職業実践専門課程の位置づけということでございます。マル1ですけれども、これまで特に専修学校の中でも企業との連携であったり、取り組みをより積極的に「見える化」するといったところを文部科学大臣が認定をして、それを後押ししていくといった形で進められておりますが、今後この性格につきましてどのように捉えるかということです。
 1つ目のマル1ですけれども、この認定課程制度についてはよりすぐれた専門学校による取り組みの標準というふうに位置づけていくか、あるいは全ての100%の専門学校において最低条件としてどれぐらい取り組んでいるべきだといったものとして捉えるべきかということであります。先導的試行ということでスタートしたこの制度をどのようにこれからその位置づけを考えていくかということがマル1の論点になります。
 マル2ですけれども、先ほど申し上げました社会人の学び直しということにかかわりまして、この職業実践専門課程への活用ということがどのようにリンクしているのかどうかといったことでございます。論点としては、具体的には2年以上の課程がこの職業実践専門課程の現在の認定要件になっておりますけれども、2年未満の短期プログラムというものをどのように考えていくかといったことであります。
 その次、大きな項目として2つ目のところにありますけれども質保証・向上ということに関係しての論点になります。
 1つは短期的課題ということでマル3になりますけれども、現在も情報公開、これは職業実践専門課程の認定要件になっております。この情報公開というものを充実・強化していく際にこの公開についてどういうふうに考えていくかということがこちらの問いなんですけれども、1つは認定後の公開様式の根拠規定を告示に定めることとしてはどうかといったことがございます。
 これはどういうことかといいますと、本日の参考資料の、ページでいいますと24ページからごらんいただきたいんですけれども24ページから27ページにかけて、これは別紙様式4という書式になっております。これは職業実践専門課程の認定後の公開様式になっておりまして、認定を受けた後にはこの様式で公開しないといけないというものであります。参考資料の3の24ページになります。
 こちらは位置づけとしましてはこの職業実践専門課程についての要綱というものを私どもでお示しをしておりまして、その中で位置づけをしております。実施要綱の中でお示しをしておりますけれども、これは更に一段引き上げて認定後にはこういった形で公開するようにといったことをより積極的に位置づけていくといったことも検討課題となり得るんではないかということで書いてあります。また今ごらんいただいております別紙様式4については認定要件ごとにいろいろな取り組み状況を書く欄があるんですけれども、最初の24ページに書いてありますのが学校の基本情報と言うべきものを併せて書いていただくこととしております。その中には就職の状況それから主な資格・検定等の状況、そしてまた中途退学の現状なども書いていただくこととしておりますけれども先ほどのいろいろ高校からのアンケート結果、調査結果の状況なども踏まえつつ、ここの項目内容についてより改善・充実していくべきところはないのかどうか、こうしたところもご意見をいただければというふうに考えております。
 また、その次の中・長期的課題の方に移らせていただきます。資料の2の2ページになりますけれども、中・長期的課題のマル4になりますが、1つは取り組み水準の維持・向上に向けてPDCAサイクルをより機能化するための仕組みの工夫というのをどういうふうに考えるかということでございます。現在教育課程編成委員会というものを設けながら企業と連携した取り組みをするということになっていますけれども、その取り組みをより効果的に機能させるための工夫ということで改善の余地はないかということであります。
 マル5ですけれども、この職業実践専門課程について認定後の取り組み充実の状況を確認する枠組みとして、例えば今検証を進めておりますけれども、第三者評価を活用していくといったことについても検討の余地があるのかどうかということでございます。現在この第三者評価につきましては、このヒアリングの中で川口先生から2回目のヒアリングのときにお話しいただきましたけれども学習成果というものを評価対象の基軸に据えていくべきだといったことで途上ではありますけれども検討がされているところでございます。こうした観点も踏まえて専修学校に合ったより効果的な枠組みということで第三者評価ということも考えていくべきではないかといったご指摘があるわけですけれども、どういうふうに考えるかということがこちらの問いであります。
 最後ですけれども職業実践専門課程におきまして先ほど出ておりました教育課程編成委員会と、あとは学校関係者評価、この関係をどういうふうに捉えていくかということであります。学校関係者評価は自己評価というものを基軸にしながら、そのチェックを外部の目でしっかり見ていくという取り組みでありますけれども、それはある意味PDCAサイクルをしっかり回していくという枠組みの中で機能するものでありますが、その話とこの教育課程編成委員会というものをどういうふうに捉えていくかということが1つ。そしてまた、学校関係者評価と先ほど出ておりますマル5にあります第三者評価、これも取り入れていくとした場合に、どのようにその関係性を捉えていくべきかといったことも併せて論点になり得ると考えております。
 こちらの資料についての説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 それでは今説明のあった資料についてご議論を進めていきたいと思いますが、まず論点の1つ目であります職業実践専門課程の位置づけについて、マル1ですぐれた専門学校による取り組みのスタンダードとしての位置づけをするか、あるいは全ての専門学校についてこれを最低基準として位置づけするかということについて、まず議論をしたいと思いますがどなたからでも結構ですがいかがですか。
  河原委員、どうぞ。
【河原委員】 河原です。よろしくお願いいたします。
 私どもの学校、専門学校が9校ありますが職業実践専門課程が創設と同時に認定を受けて現在に至っている状況です。先ほど三菱総研の調査の中間報告もありましたように、評価的にポイントは高くなってきているのかなと改めて感じました。そういったところから職業実践専門課程が職業教育の高度化の観点から実効性を持った制度とするためには企業連携においてカリキュラムと教材群の共同開発が含まれたり、私どもはコマシラバスという授業管理手法を採用していますが、コマシラバスとはコマ単位で授業目標を明確にした授業計画のことですけど、これの導入等を図ることによって高度的な教育的取り組みが行われるのではないかと個人的には考えております。
 そのためには職業実践専門課程は企業連携と情報公開が柱になっておりますが、教材開発やコマシラバスの活用等の教育方法論についても議論していったらどうかと思います。それを実施していくためには学校単独ではやはり限界もありますが業界の標準的で有用な企業、業界団体、関連諸団体と連携したり、カリキュラム、コマシラバス、教材群の共同開発を実現したりするために企業からの多大な協力が必要になるのではないかと考えております。そういった仕組みづくりができると更に効果的な制度になっていけるのではないかと、ここ数年の実績から踏まえて感じている状況です。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 今のは具体の話だったんですが、この実践課程というものをすぐれた専門学校の取り組みのスタンダード化にするか、それとも専修学校全体にかける本当に基本的なものにするかということなんですが、それはどちらがいいと思われますか。
【河原委員】 そうですね。そういう意味ではスタンダードの方向で進んでいってはどうかなと感じております。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 小林委員、どうぞ。
【小林(光)委員】 結論から申しますと、今30%の学校に取り組んでいただいているということですし、成果がそれぞれ上がっているという先ほどの調査報告も出ております。制度発足3年目ですが社会的評価としては上がりつつありますから今後だんだん社会に知られていき確立されていくことになるだろうと感じています。そういった意味でも、よりすぐれた専門学校による取り組みのスタンダード化という位置づけの方が私としてはしっくりくるんではないかと思っております。
 そうしますと今ノミネートしていない専門学校についてもノミネートが一つの努力目標にもなりますし、職業教育全体あるいは専修学校全体についても向上していく道筋の一つという位置づけにもなると思います。以上のことから私としてはよりすぐれた専門学校のスタンダード化ということに賛成をいたします。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 ほか、ございませんか。
 小杉委員何か企業から見てどちらがいいと思われますか。
【小杉委員】 ちょっと一言だけ。私も皆さんのおっしゃるとおりスタンダードという方向がよろしいかと思います。先生がおっしゃるスタンダードの基準をもっと上げるべきだみたいなご意見だったんですが、それは追い追い必要ではないかと思います。本当に効果的な仕組みとするためにこれからも更に研究が必要だと思うということで効果を高めるという方向がいいかと思います。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 それじゃ、前鼻委員。
【前鼻委員】 ちょうど先週北海道の専各でこの職業実践専門課程の講習会をしたところでして、その中で話したことはこの議論の最初のころにも言われました、進路指導の先生から専門学校に進学するのがいいのか大学に進学するのがいいのかというような話になったときに、まず大学だよねという話になってきている。その一つの現況として専門学校が質的保証をどんな学校になっているかわからないよという話が根底にありますということがいろいろなアンケートの中でもありました。公的にも言われているということから鑑みまして少なくとも私たちは高等教育機関の位置づけの中で頑張っているんだという自負があるのであれば、最低限ここはやらなければいけないというところでこの文言にちょっと基本的にはスタンダードというふうに考えているんですが、よりすぐれたということ自体が逆に言うとそういう位置づけをしなければいけないのがおかしい話で、そもそもこれがスタンダードなんだというラインに立ってやっていかなければならないんだろうというふうに思います。そういう意味では学校の最低基準として少なくともこれはまずやりましょうというところでのスタートラインの方が私はいいと思っております。
 以上です。
【黒田座長】 ありがとうございます。
 小林委員。
【小林(浩)委員】 これは教えていただきたいんですが、先ほど分野という話がありましたけれども分野によって、例えば音楽のような分野のところにもこういう基準というのは適用し得るものなんでしょうか。いわゆる職業的な資格を取るとか見える化できるものと、そうではなくて割とこうやって生きて行きたいという風な好きなことを学ぶために専門学校に行くという学生もいると思います。この辺のところはちょっとイメージがわかないんですが、スタンダードにできるものなのでしょうかというところを教えていただければと思うんですが。
【小林(光)委員】 私は今厚生労働省の資格・指定養成課程が中心の学校を経営しています。全国の会長という立場もありますが、いずれにしても私は教育の質の担保面から今度の大臣認定の職業実践専門課程は効果があると感じています。公表や評価といった、いろいろなことへの取り組みは、国民あるいは学びたい人たちへの一つの指標として定義できると思っております。8分野あり、それぞれ目的は違いますが認定を受けることは情報開示という点からも効果はあると思っております。
 よろしいでしょうか。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。ありますか。
【小林(光)委員】 先ほど北海道の例をおっしゃっていただきました。よりすぐれたというのは言い過ぎかもしれないと私も思います。しかし職業実践専門課程は先ほどの幾つかの仕組みにきちんと取り組んで、そして更に高度化していくあるいは精度を上げていく努力をしていくことが求められています。そういった面から見ても職業実践専門課程は専修学校の最低条件ではなくて大臣認定でありますので専門学校のよい方のスタンダードだという位置づけを許していただけるのではないかと思っているのですが、いかがでしょう。
【黒田座長】 大変難しいですね。前鼻委員どうぞ。
【前鼻委員】 先生がおっしゃるとおりの部分はあるんですが先ほどの小林委員のことと関連すると思うんですが国家資格系というのはどちらかというとこの職業実践専門課程が最低限レベルだと私は思います。ただもちろんそうではない分野、文系芸術分野ですとか教養系の方でいけばアニメの勉強をしたことがイコールそのまま職業として勤務できるかというと、そうではない部分というのは非常に多くあるわけです。そういう場合にもちろん関連する業界としてはいけなかったかもしれませんが少なくとも社会人としての第一歩を踏めるだけの基本的な部分を学ぶことができた、そして卒業していくんだという形で就職ができるのであれば僕はそれでオーケーではないのかなというふうに思います。
   それが基本情報の中に入ってくるデータの中で数字がひとり歩きしてしまうと非常に問題はあることは確かですから、それはそれなりにきちんとその学校自体が、後のほうにも入ってきますけれども、学習成果としてどのように学生を育てているのかということがきちんと述べられればその数字に対する根拠、説明責任が出てくると思うのです。けれどもそうでないところがあるところは、これにはある程度淘汰(とうた)という自浄という部分を絡めていかなければならないと思うのです。それは一体何になるのかといったときには少なくともやっぱりここのところは最低基準になってくるんじゃないのかなというのが私の意見です。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 では、今野委員。
【今野副座長】 職業実践専門課程ですけれども、経過的には今、制度化されつつある新しい職業大学構想への専門学校からの移行ということが念頭に置かれていたわけで、その意味ではかなりレベルの高いところを指向する専門学校が認定をされてその上に更に新しい制度にというふうな流れが当然想定されていると思うんですね。ぜひこういう課程をステップにして新しい大学構想をやっていただくような学校がたくさん出てきてほしいなと思いますし、一方で職業実践専門課程は職業に即した実践的な専門教育で専門学校自体が社会的に高い評価を得てきたわけですけれども、それを背景として一般の専門学校の基準も高めよう更に専門学校全体の教育水準を高めようということで職業の分野については特により高いハードルを課しながら大臣認定制度の中でレベルアップをしようというふうなことですので、専門学校全体の中で質向上においての先導的な役割というふうなことになっていると思うんですね。そういう意味では実態に応じて指定の基準そのものも少しずつ上がっていくようなことで見直していく必要があるんだろうと思っております。
 さっきお話がありましたように職業を目的にしたい、いろいろなタイプの趣味、文化、教養、専門学校の場合には非常に多様な学校がありますので認定制度を特に意識しない学校もたくさんあると思います。それらはこの枠とは別に従来どおりの自由な専修学校の基準の中でやるべきではないかなと思っております。
【黒田座長】 どうぞ。
【小杉委員】 基本的にはご意見に賛成なんですけれども最低基準とした場合には最低基準に達しないところは専門学校からおりてもらうことになりますよね。それでいいのかという話なんです。ある意味ではいろいろな専門学校にこれを目標にしてほしいということでやって最低基準にしてしまうとその途端に40人とか30人とかという、そういう規模のところは全部落ちろという話になってしまう。むしろ長期的にはここまでいってほしいというので、ある意味では段階的に最低基準までしていく、そういう時間軸の中で考えるべきではないかと思いますけれども。
【黒田座長】 ありがとうございます。寺田委員。
【寺田委員】 ちょっとはみ出した話もするかもしれませんけれども、結論的には小杉さんの意見と割と近い意見です。
 最低条件ミニマムとする場合は、これは既存の専門課程との関係がたちまち問題になるので恐らく短期的にはそれはできないんだろうというふうに思いますし、それから小林先生がおっしゃったように私も思いますが産学連携など必要のない分野というのはいっぱいリベラルアーツ的な分野というのも専門学校の中にありますから、やっぱりそれは機能として維持するというふうに考えればどちらかと問われればスタンダードだけれども、このスタンダードの中にも2つあって、いわゆる標準的タイプと、それから小林先生がおっしゃったようにうんとすぐれたエクセレントな職業実践課程と2つあって、したがって全体では残り得る専門課程と合わせれば今後専門学校のあり方として、あるいは専門課程のあり方として3つぐらいがあるんだろうと思います。
 はみ出した話というのはこの1番目のエクセレントな職業実践課程についてです。これが恐らく今佳境に入っているんだろうと思います。先ほども話題に出ましたというよりこの論点メモの1枚目直接の議論課題には出ていませんけれども、高等教育における職業実践的な教育に特化した枠組みとの関係でという部分をどう考えていくのかということは当然あるわけで、恐らく現時点では専門学校関係者の最大の関心事かもしれませんね。そのエクセレントな部分というのをできるだけそれに将来的に近づけていくというか発展していくという部分として位置づけたらいいのかなというふうに思っています。
 そのためと、それからスタンダードタイプの職業実践課程、これを強化していくというために幾つか僕は課題があると思っていまして、これは後の議論になるかもしれませんけれども白鳥室長が比較的強調して課題の部分を挙げられましたよね。何年かたったんだけれどもそれほど満足感がない。学校関係者は比較的自己評価は高いんですけれどもという部分があったと思うんですが特徴は産学連携による教育課程編成という、ここが外せないわけですけれどもそこが当初からやや私は感じていましたが、やや教育方法的な側面に傾斜し過ぎているというか教育方法的というかカリキュラム編成、手続論的なところに傾斜していて産学連携による教育課程編成がきちんと結果として出てくるという、そこをもう少し定量化していく必要があるんじゃないか。要するに新大学の場合は2年間の場合ですと企業等実習等300時間以上、4年間で600時間以上というふうにはっきり比較的定量化したわけですよね。そういうふうにはっきりと数字で表すかどうかという議論はあると思うんですけれども、もう少し産学連携の実質化をすると言いますか先ほど認定後の公開資料のところで連携による科目がどういうものなんだというのがありましたけれども、3段ぐらいしかないのでこれは編集上そうなったのかどうか知りませんけれどもまだ何か少ないのかなという気が私はしているわけです。職業実践課程というには、ややまだまだ少ない。そこをうんと定量化し質的にも充実したものにして新大学との相互移動みたいなものが可能になるような教育課程編成をつくると、そういうものとしてエクセレントな職業実践課程は位置づければどうか。
 あと恐らく大多数になるんでしょうけれども専門課程における一つのこれからのミニマムに近いスタンダードみたいなものとして、この職業実践課程を位置づけていけばいいのかなというふうに思います。
 以上です。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 ほかに何かありますか。清水委員。
【清水委員】 ありがとうございます。私は、スタンダードでいくという方向性のお話を伺っていて、学校規模の差がしっかり背景にはあると思っています。大規模校であれば事務手続の問題とか何の問題もありませんが、小規模校の場合は果たしてスタンダードで持っていったときに事務能力がそこまで伴っているかと考えると疑問に思います。スタンダードでいくのであれば事務手続の問題について小規模校が十分に対応できるような方向性も一緒に議論していただきたいと思いました。我々高等専修学校はどちらかと言うと小規模校ばかりなので、いつもこういう話になるとなかなか手がないという話にどうしてもなることが多いですから同様にこの件についても小規模校の現状を踏まえてご検討いただきたいと思いました。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 この問題は大方の意見としては、よりすぐれた専門学校による取り組みのスタンダード化ということになるわけですけれども専門学校の多様性というのを無視しては駄目だと思うんですね。都道府県で認定されている専修学校、専門学校というのは本当に多様な立場で振る舞いをしているわけでありますから、それを生かしながら文部科学大臣が認定する課程においては、ここの最低基準としてのスタンダードを求めるという程度のものだろうと思うんです。その中で今寺田委員が言われたようなある程度のランクづけが出てくるんだろうというふうに思いますが、そういう方向性でよろしいですか。これを専門学校の最低基準のような取扱いはしない方が良いと、そういうふうに思うんですがいかがでしょうか。とにかく多様性をなくしちゃ困るわけですから。
【小林(光)委員】 ただいま座長にまとめていただいた方向でと私は思います。
【黒田座長】 それでは、このマル1についてはそういうことで事務局の方で処理をしていただくということになると思います。
 次にマル2でありますが社会人の学び直しのことであります。これに関して2年課程を今認めているわけですが、社会人学び直しは短期プログラムというのが非常に最近重要になっているということが言われているんですが、この辺の扱いについて職業実践専門課程をどういうふうに改革していったらいいかということについてご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。今野委員。
【今野副座長】 前にも一度同じ発言をしたことがあるんですけれども、今は2年以上の課程だけ対象になっていると思いますけれども私は是非2年未満のものについても広げていく必要があるかなと思っております。
 先ほどご説明の中にも政府全体として社会人の学び直しというのを進めているという話がありましたけれども、学校の中でやっぱり一つ大きな受け皿になり得るのが専門学校だと思うんです。非常に大きな期待をされておりますし、実績も上がっているということで更に専門学校での受け皿を幅広くしていく。そのためにはニーズに応えるように学習内容だとか形態だとか、いろいろ多様なデザインをこれからも更にやっていく必要があると思います。特に修業年限についてですけれども社会人の場合にはなかなか長い期間勉強にということが難しいわけですので特に正規課程の場合には2年以上だけですとなかなかそれに応えることができないと思います。大学院などでも修士2年ですけれども1年でそれに応えるというところは随分ありますし、専門学校でも2年未満特に1年制の課程が多いと思うんですけれども、1年制の課程もこの職業実践専門課程の対象にしてほしいなと思っております。
 修業年限が長いほど教育水準が高くなるということももちろんあるわけですけれども、少ない修業年限でもやりようによってレベルの高い集中的な教育課程をまとめるということは十分可能ですし、現にいろいろ努力もされています。水準が高くて短い期間の課程も職業実践専門課程として位置づけてレベルアップを図っていただきたいと思います。
 以上です。
【黒田座長】 ありがとうございます。
 小杉委員、どうぞ。
【小杉委員】 私は短期化には慎重であるべきだという意見を持っています。河原さんが前におっしゃったんですがモジュール化の方向、この方が社会人に対してはプラスだというふうに思います。それぞれ必要な部分をモジュール化してある程度まとまれば、それが専門士につながる。専門士自体の価値を下げてはいけないのでモジュール化してナンバリングしてというお話がありましたが、目指すべき方向はそっちなんじゃないかなと思うんですよね。場合によっては社会人に対しては職務経験をある意味では単位として認める形で2年制課程を1年で卒業できるような、それぞれに個々に判断してこの方がこういう経験があるから、これはこの単位に当てられるというような発想の中で対応すべきで全体として専門士の質を下げるような方向というのは、ちょっと考えられないんじゃないかなと思うんですがいかがでしょうか。
【寺田委員】 反対とかいうよりアイデアなんですが、また小杉さんと意見が一致しましたけれども例えば先生方、大学関係者はご存じのように大学院の特に修士課程、博士課程の場合も今何条になっているかわかりませんが、大学院設置基準の14条特例がということがあって必要に応じて今おっしゃったように個々の審査・評価ということが伴うんでしょうけれども14条特例で1年で修士課程を終えることができるという規定がありますよね。そういうものを置くということも可能ですし、それから特に優秀な場合、もうちょっとその概念を拡張して優秀かどうか経験があるとか、いろいろな場合年限を短縮することができるということですね。例えば博士論文でも極端にいうと1年間で出す人もたまにあるんですよね。そういう扱いの方がいいだろうという気はします。
 もうちょっと言うと専門課程、あるいは職業実践課程の中の短期コースといいますか社会人コースみたいなものを置けば良い。これ以上やっぱり課程をつくっては増々またいろいろな問題が出てくる。結局学位に至らないであるとか専門士に至らないであるとかという問題が出てくるので、大きくは専門士の資格称号付与課程あるいは大学との兼ね合いでいうと学士的なレベルと相応するような課程の中で扱っていった方がいいんじゃないか。方法的には小杉さんがおっしゃったようにモジュール制だとかポイント制であるとか、いろいろな考え方がありますので社会人経験を含めて従来の学習成果を積み上げて、最終的に専門士なりに到達するということが多分国際的な動きとしてあります。この夏にオーストラリアのTAFE、アメリカのコミュニティーカレッジとほぼやり方は一緒だなと思いましたけれども、アメリカのコミュニティーカレッジについても原則バチェラーアソシエートという2年課程があって、その上で更にクオリフィケーションが必要な場合は半年だとか1年だとか、あるいはクオリフィケーションだけの場合で2年間とか、いろいろな組み合わせ方があると思いますので全体の基本的枠組みの中で部分的に進めていくという扱いの方が将来的にいろいろ新たな問題を抱えないで済むのではないかという気がいたします。
【小林(光)委員】 高校卒業以上で2年課程以上が「専門士」を取れる、そして4年課程には「高度専門士」という制度がある。私もこの制度は崩さない方がいいと思います。
  しかし今、国民の学び直し機関としては大卒生が50%以上になっているという実情があります。これは東京にある学校の特色かもしれませんが、私どもの学校では学ぶ学生の7割以上が大卒生です。どうしてそうなったかは中教審のヒアリングでも申し上げました。日本では今まで大卒生の3割が就職できない、あるいは就職しない人が3割いる、さらに一回就職しても3年以内にやめる人が3割いると言われてきました。このような状態がもう20年以上続いています。近年は社会状況が人不足ということで少し変わってきているとは思いますが、今まで20年以上大学を卒業して3年間たつと6割の人たちが再就職をしなければいけない事態が続いてきたという背景があります。そういった人たちの学び直し機関ということで言えば、私どもの学校にも大卒者向けの1年コースがございます。このコースは厚生労働省の指定養成課程になっています。具体的に申し上げますと社会福祉士精神保健福祉士の課程です。そして大卒以上2年間の言語聴覚士の課程もあります。このような大卒生の学び直し機関としての機能も今、専門学校の一つの大きな役割になっているという現実があります。
  先ほど今野委員からおっしゃっていただいた中で大学院、特に専門職大学院等では1年課程も現にあるということですし、寺田先生がおっしゃいましたように大卒1年で修士が取れる課程も国際社会の中にあることも踏まえて、専門学校を国民の学び直し機関としてきちんと位置づけていくことが必要だと考えています。1年課程を何らかの評価のできる仕組みに組み込むための知恵を、文科省を初めとする方々に考えていただけると有り難いと思います。そうすることで専門学校は国民の学び直し機関としての役割が広がり、評価もできるようになるのではないかと思っております。
 以上です。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。
 私自身もこの基本的な2年課程というのは堅持しなければならないと思うんですね。実践専門課程の質を下げないというのが大前提ですね。その中で先ほど寺田委員、小杉委員が言われたように、社会人が学ぼうとする分野によっては1年で済む場合あるいは半年で済む場合もあるんですね。だからそういうシステムをつくっていくという、これは先ほどのコアのカリキュラムですけれどもコアをつなぎ合わせていって社会人がちゃんと学べるシステムをつくるという、そういうことが私は必要だろうと思うんですね。そうしないと一般の学生と同じように社会人を扱うこと自身が私は不合理だろうと思うんです。そういう中でどういう制度にしたら一番いいのか、これは文科省の法的な制度もあるわけですが、その一つの法律体系の中で社会人に対してはこういう制度を使ってよろしいよというふうなことがあれば私はスムーズにいくのではないかと。絶対に質を下げないというのが大前提にあると思うんです。1年だから半分しか習わないんじゃ困るわけで、全てをちゃんと学習できるようにしておくということが必要だと思うんです。
 どうぞ。
【小林(浩)委員】 今の議論の方向性で私は賛成なんですが、加えてこちらの資料の参考資料1、基本データ集の21ページにあります課題4の社会事務系の講座開設というところで下の方にグラフが載っております。社会人でいうとやはりお金と時間というのが大きな2大ハードルになりますが、そこで見るとやはり夜間の課程とか土日課程というのがほとんど開講されていないというのがあります。ただ一つ気になるのは、企業との協働とか実習をどのぐらいやるかというところが一つこの土日とか夜間のハードルになる部分はあると思います。ただ、やはり時間とお金のうちの時間はどうにか今働き方改革も同時に行われていますので、そういったプログラム開発が柔軟に進むような制度設計というのを同時に考える必要があるんじゃないかというふうに思います。
【黒田座長】 ありがとうございます。そういうことも含めて制度設計をしていただくと、それが重要だろうというふうに思います。
 それでは、このことについては、今皆さんから出た意見を踏まえて制度設計をしていただくということにしたいと思います。
 それでは次、論点の2つ目であります。これは質保証・向上に向けた方策でありますが、短期的と中・長期的に分かれているわけですが情報公開のあり方なんですね。これはもう大学においてもポートレートが実施されているんですが、非常にまだ不備なところが多いわけであります。この公開様式をどのように設定していくかということになろうかと思うんですが、この辺について議論を進めたいと思います。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。先ほども、なかなか情報公開で欲しいデータが出てこないということがあるんですが。
【小杉委員】 そうですね。本当に情報公開は肝になる大事なことだと思うんですが、大学の方が先行しているんですが大学が果たして成功しているかということをちゃんと考えた方がいいと思うんですよね。第三者評価は必ずやらなければいけなくて、ホームページ上で公開なんですが、ずっと深く入らなければ見えないところに置いてあるんですよね。あれで本当にいいのか。後からやるんだから、あれよりいいものにしましょうよという話なんですね。どうやったらあれよりいいものになるか。
 福岡で見せていただいたのは大変にいい事例だと思います。ある意味ではボランタリーな意識、各学校の方は参加しなければ損だというような雰囲気をどんどんつくっていって公開していく、そういう仕掛け、福岡はよくやっていらっしゃるなと思いました。ああいう方向できちんと公開する高校生とか保護者とか、あるいは高校自体にちゃんと届くような形で提供していく。基本的に情報公開の強化というのは大事だと思うんですが、それがちゃんと効果を持つような効果というのを大学を他山の石として是非考えていただきたいと思います。
【黒田座長】 非常に重要なことでありますけれども、なかなか難しいですね、寺田先生。
【寺田委員】 うまくいっていないと言われてちょっと困っております。そうでもないと思うんですけれども、うまくいっていないというのはどういう部分をおっしゃっているのか、ちょっとよくわかりませんけれども一応それに寄り添ったコメントをすると、例えば学校評議会であるとか外部評価、認証評価に入る前の外部評価などでこれは専門学校では学校関係者評価と言っているんでしょうかね。そういうものがやや形式に流れるという点は確かにあると思います。だけれども特に学校関係者評価に関しては、あれは学部ごとにやりますけれども、すごく大層な仕事で黒田先生はよく御存じだと思いますけれども結構真面目に大学は取り組んでいますね。
 それで問題はその後どういうふうにフィードバックするかという、そこのプロセスが欠けているというふうには思います。一応自己評価、外部評価をやりますと、その結果を各教員に返したり各委員会に返したりするというプロセスがありますけれども、その後のチェックは確かにないですね。PDCAサイクルに完全になっていないというところが確かにあると思います。
 専門学校の実践課程に関して言いますと中教審の特別部会でも再三言っているんですけれども、さっき言ったこととも関連しますが産学連携の教育課程編成というのを形式に流れてはいけないので手順として関係者の方に入ってもらって年1回か2回ぐらい挨拶程度の会議をやって、それで意見はもらってそれっきりになるという、これがあるわけですね。韓国だとかアメリカだとか、いろいろなところでも取材しましたが実践課程がどうなのかわかりませんけれども、そういう危険性があるので連携して教育課程をつくったら、それを学内が了承したら是非これは実践する。その実践した結果をちゃんと委員会なり外部に対して公開するという、こう意見を取り入れましたよというところを見えるようにする必要があるのかなというふうに私は思っています。
 そんなことぐらいしか今のところは思いつかないんですけれども産業界の意見の取り入れ方と、それの実質化ということでしょうかね。それが重要ではないかと思います。
【黒田座長】 ありがとうございます。どうぞ。
【河原委員】 寺田先生の言われたように教育課程編成委員会も学校関係者評価委員会も行っているのですが、その成果物がどんなものかやはり示す必要があるのではないかと感じています。
 あと別の件ですが、先ほど三菱総研の資料で資格取得がわかりづらいということがあったのですが、主要な検定なり国家資格で看護師試験とかそういう合格率等はわかると思うのですが、専門学校が取得目標とする資格に関しては民間資格も含めていろいろな資格があります。それがどのようなものかというのが多分一般に伝え切れていないのかなというところがありますので目標資格の意味を明確にして公開していければと先ほどのデータを見て感じた次第です。
【黒田座長】 ありがとうございます。どうぞ。
【小林(浩)委員】 情報の公開については先ほどの三菱総研のアンケートにもありましたけれども2点だと思っていまして、1点は横並びでデータが比較できないという学校さんごとに基準が違ったりとか分子は同じですけれども分母が違っていたりとかいうようなことで多分見る側からすると横並びで比較できないというのが1点ですね。
 もう一つは最新の情報になっていないというのが非常に大きくて、職業実践専門課程のデータを見ようとすると申請をして認可されたときは新しくなっているんですけれども2年目以降が新しくなっていなかったりとか、そうなるとちょっとやはり信用というのが一気に失われてしまうということになりますので、やはり同じ基準で見えているか、それをきちんと最新のものに更新しているかどうかというところ、あと単年度か複数年度かというところも含めて、きちんと整備して見る側の立場で情報を整備していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
【黒田座長】 ありがとうございます。
 ほか、よろしいですか。
 この情報公開、今言われたように本当に見ていると古いままというのが結構あるんですね。更新されていないという、これはもう少人数でやっておられるところは特にそうですね。一遍入れてしまうとなかなか更新できないというのがあるんでしょうけれども、それぞれの学校が生き残るためには、それを公開して更新していかないと、その学校の価値がわからないわけですからね。これからますます重要になってくると思うんですね。
 もう一つ、ここで先ほど事務局から話がありましたが公開様式の項目を告示に定めるかどうかということがあるんですが、これはいかがですか。もう少し具体的にということですが。
 前鼻委員。
【前鼻委員】 数字の捉え方がすごくばらつきがあると思うんですね。例えば定員充足率一つとっても定員までしか入れられない学科と定員を超えてもお咎(とが)めがない学科とあるわけです。それから在籍数が定員を大幅に下回っている学科というところがあるわけですね。これを一つの定員充足率で大学と併せて同じような形で定員充足率という言葉の定義にしていいのかという問題があると思います。ここのところを項目はもちろん見直しますけれども、その辺のところも併せて検討しなければ公開したときの意味がないんじゃないかなと思います。
【黒田座長】 ありがとうございます。大変重要なことだと思うんですね。
 告示で定めるかどうかなんですが、小林先生、何かありますか。
【小林(光)委員】 先導的試行として職業実践専門課程をスタートしたわけですが、信頼性を高めることを考えていく必要があります。今、公開に関しては不十分という意見も頂きました。既に3年たちましたので、今後認定後の公開様式の根拠規定をきちんと示していくためにも告示に定めるという取り組みに入っていっていいのではないかと思っています。そのことによって職業実践専門課程の社会的評価が更に確立していくことにつながると考えております。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 まとめをしていただいたんですが、そういうことでよろしいですか。
 それでは、告示の規定をつくるという方向で事務局で作業をしていただくと。今出ましたいろいろな意見がありますけれども、それも加味しながら大きい規模の学校と小規模のあり方、それと母数となる数字をどこへ定めるかというのが比較するときに困るわけですから、そういうものもしっかりと例示していただくというふうなことで積極的に情報公開をする内容として告示で規定をつくっていくという、そういうことにしたいというふうに思います。
 それでは最後に中・長期的な課題でありますけれども、論点マル4で教育課程編成委員会の効果的機能これをどうさせるかという工夫、それから第三者評価をどう位置づけて活用するかということ、それから論点マル6は学校関係評価、教育課程編成委員会、第三者評価の関係、こういうものをどういうふうにしたらいいかということ。これはすぐにはならないと思いますが中・長期的には学校関係者評価と第三者評価がダブるようなシステムになるような状態に今なっているわけですが、それをどういうふうに切り分けていくかということ。本当に第三者評価というのは必要かどうかということですね。そういうことも併せてご議論を頂きたい。その中には学習成果をどこでどういうふうに見ていくかということも含まれてくると思いますので教育課程編成委員会やら学校関係者評価、そういうところでどのように取り扱っていったらいいかということについて、まずご意見をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。大変内容が複雑でわかりにくいと思うんですが。
【小杉委員】 プリミティブな案ですけれども私も大学の認証評価の評価委員としていろいろな大学に伺ったこともございまして、あれがどれだけコストをかけて、どれだけ大変なことかというのはわかっているつもりです。それを専門学校でどれだけやるのかという意味では第三者評価のあり方というのは専門学校の規模で対応できるあり方というのはどうか。そうすると、やっぱり学校関係者評価等とうまく連携するとか何らかの形で大学の認証評価よりはコストパフォーマンスがいい形のものにしていかなければならないんじゃないかなと思います。
【黒田座長】 確かにそうですね。
 寺田委員、どうぞ。
【寺田委員】 今度は小杉さんとちょっと違うんですけれどもコストパフォーマンスだけを考えますと、分野別評価の観点というのがちょっと薄まっていくのではないかなという気がしているんですよね。機関別評価、いわゆる制度設置基準絡みの項目が中心になると思うんですけれども、それのいわゆる大学で言えば機関別の評価と、それからあと分野別評価これは主たる狙いというのは本来はそれぞれの学部だとか専攻分野に関する教育内容だとかアウトプットがどうなっているかというプログラム評価ですよね。文科省としては何となくそれを一体として扱うという方向にあるんですけれども、一体として扱うというふうになっていますけれども、分野別評価のところがまだこれからの課題ということなので、一体として扱うのがなかなか難しい事情にあるのかなと思います。特に職業教育系の専修学校、あるいは今度の新機関についてもそうだと思います。
 他方、現在、専修学校教育振興室関係の別の委員会で、この第三者評価、外部評価の検討を進めていますよね。あるいは委員会ですか。予算をつけて3か年計画ぐらいで11分野ですか、やっています。さて、こういうふうに専門学校等、短大だとか高専だとか大学だとか別々ばらばらに分野別評価をやっていいのかなという疑問は僕は基本的にあるのですけれども、まず基礎から積み上げていくという点ではそのプロジェクトもちゃんと追求していかないといけませんけれども、まだ保健関係ぐらいですかね。1つか2つぐらいしか十分動けていないという状況なんでしょうか。
 あと9分野とか8分野ぐらいの今後の見通し、分野別評価の見通しがどうかというのも1つ。
  これは質問としてですけれども、それに加えて意見を言えば、分野別評価の機構をきちんとつくっていってほしいなというふうに思っています。それに対する専修学校教育振興室としての見通しみたいなものをちょっとお聞かせいただければと思います。
【黒田座長】 今、寺田委員からいろいろ質問が事務局に出たんですが、何か。
【白鳥専修学校教育振興室長】 ご質問いただきましたとおり、今職業実践専門課程の認定校におきまして第三者評価の検証を進めていただいております。合計で今11の分野で実施をしていただいておりまして、今寺田先生からご指摘いただいたことの関係で言いますと、独立の団体、第三者評価の認証評価団体としての取り組み、ある意味大学を設置していただいているような法人さんもいらっしゃるということも含めましてありますと、1つは理学作業療法、そしてもう一つは理美容の分野、ここでは独立にそうした機関があります。ただ、そのほかの分野につきましては分野によって当然と言うとちょっと語弊がありますけれども、いろいろ温度差はあるところでありますけれども、この第三者評価というものの取り組みに向けて団体をつくっていこうといったような意気込みを持っていただいているところも当然あります。ただ、その辺どこまでできるかということは、今まさに現実的な対応策も含めて模索中だというふうに聞いています。
 いわゆる機関別評価とか分野別評価といったようなお話がありましたけれども、これはあくまで大学における評価の用語でありますので、我々、今それこそ小杉先生からお話しいただいたところにもかかわりますけれども専門学校のいろいろな規模感といったところも含めつつではありますが、より効果的、実質的な第三者評価のあり方、どんなあり方が適当なのかといった観点で今検証を進めていただいている中で、このヒアリングの中でもありましたけれども川口先生からお話しいただいたような学習成果というもの、要は出口の部分ということですけれども、そこにより着目したこの評価のあり方というのがあり得ないのかというところをまさに検証いただいております。
 そういう意味であまりボリューム感が多くなっても、多くなり過ぎるとある意味今、外部評価という意味合いの中で自己評価と併せて学校関係者評価をやっていただいておりますので、それにまた屋上屋を重ねるのかといった議論も当然あります。そういう意味も論点の中には入っているんですけれども第三者評価を仮にやるとすると、どういった観点がより実質的な意味のある評価となるのか。そこは大学における、いわゆる全部ある意味で機関別評価的な観点を前提とすると本当に全部見なければいけないのかといったところは当然あると思いますので、専修学校、特に職業教育を行っているという観点からどういったあり方が適当なのかということで今検証いただいている。まだ途中でありますので何か結論をというところはありませんけれども、より社会的な評価を高めていくためにこの評価のあり方ということで充実していく方策としてあり得るのではないかという観点から、今検討いただいているということです。
【黒田座長】 どうぞ、河原委員。
【河原委員】 私ども専門学校9校で一番小さいペットの学校ですが、実はまさに先週、分野別で第三者評価を受けてまいりました。非常に受けてよかったと感じております。
 何がよかったかというと、私どもはシラバス、コマシラバスを作成し、1コマ1コマの授業の学習目標を明確にすることに取り組んでおります。それで教員に負担を強いたわけでありますけれど、そこが一番評価をしていただきました。それが教職員の教育能力、そしてやる気につながっていくのかなと感じた次第です。
 分野別評価についてはカリキュラム評価をしっかりやっていければその専門学校の特徴を明確化することができると感じております。逆に教育の方を注視し過ぎて、ちょっと他の面で取組が浅いところもあったかなと感じております。そういう意味では第三者評価PDCAサイクルが組織的にどこまで回っているかというところが顕在化するため、逆に取り組んでいきやすいというのも強く感じた次第です。
【黒田座長】 ありがとうございます。
 今野委員、どうぞ。
【今野副座長】 専修学校の評価ですけれども、専修学校の場合には自己評価が大きな課題になって、これをどう一般的に進めていくのかというのが課題ですけれども是非自己評価自体を更に社会の信頼性を高めるというようにする必要がありますし、それから個々の学校で個別に行われている自己評価を更に改善させる、あるいは活性化させるというふうな意味で第三者評価が役に立つ可能性は大いにあると思うんですね。第三者評価を導入したとしても基本はやっぱり自己評価ですので、それとの関係で第三者評価の可能性はあるだろうと思っております。
 ただし先ほど来話にも出ていますように、大学の場合を考えてみるとどうなんだというふうなことだったわけなんですけれども、大学の場合には私もずっと担当しておりましたけれども、世界でもまれに見るような総合的で、かつ詳細な緻密な体系立てになっておりますので実際にやっている方からするとなかなか大変だと。最近は大分なれてきたので手抜きができるようになっているんですけれども、評価の場合には当然アウトカムでやらなければいけないというふうな思いがあるわけで、あるいはそういう枠組みになっていますけれども、実際にはなかなかアウトカムでやるというのは難しいということで勢い、できるだけそれに関連のあるようなアウトプットレベルでしっかりというふうなことにどうしても現実にはなる。しかも国立なんかの場合ですと中期目標期間の評価なんていうものもあるわけですけれども、そういうものは予算にも非常にかかわってくるので、しっかりと実施できた形にしなければいけないということで緻密なアウトプットの作業を物すごくやるということで、小杉先生もさっき言われましたけれども、本当に役に立っているのかというふうなことにもなるわけです。それらも踏まえながら専門学校でやる場合にはそういうことにならないように、できるだけ実質的な形骸化しないような中身をいかに考えていくのか。この知恵の出しどころで、そういうものができるかどうかということと併せて導入も考えていかなければいけないんじゃないかなと思っております。
【小林(光)委員】 まず、この中・長期的課題マル4の教育課程編成委員会、この効果的な機能も少し検討が必要ではないかと思っております。先ほど寺田先生よりまさに形式的にならないように実践的なものとして公開できるようにした方がいいというお話を頂きましたが、私もそこは工夫を考えた方がいいと思っております。
 それからマル5の第三者評価として「学習成果」を評価対象の基軸に据え専修学校に合った効果的枠組みを考えるべきということ、これはまさにそのとおりであり、是非考えていくべきです。中・長期ということで言えば今野先生からもおっしゃっていただきましたように、第三者評価はまさに自己評価が基本であり専門学校としては内部質保証につながる評価であると思っております。私は、これは第三者評価とは別だという認識です。第三者評価はあくまでも外部の評価ですので、これは分けて考えるべきです。第三者評価はまさに学校が第三者にお願いして教育の内部質保証がきちんとできているかを評価するという認識です。
 そして第三者評価はあくまでも今の大学等がやっていらっしゃるように、まさに外部の人たちの客観的な評価です。評価方法は各先生方におっしゃっていただいたように今11の分野別で検証をさせていただいています。私どもは介護に関して今進めさせていただいているのですが、分野別にきちんとつくっていく努力をすべきです。その上で、わかりやすい外部評価方法を構築していく努力をすべきだと考えています。
 以上です。
【黒田座長】 ありがとうございました。
   ほかにございませんか。どうぞ。
【前鼻委員】 これも先週ちょうど私の話の前にやったものなんですが、道の学事課の方から学校評価制度についての説明がありまして、自己評価、それから学校関係者評価をきちんとやりましょうというような話だったんですね。しかしながら、実施率は増えたとはいえ公表率が増えていない。まだそんなに多くはないというような現状からしても職業実践専門課程でのお話もそうですし、第三者評価はもちろん重要なことなんですが、それ以前の段階のところにおいて専門学校として個々の学校がやらなければいけないことがまだ十分なされていないところもあります。少なくともまず最低限そこのところを実施している次元の数に持っていかないと、先ほど来、職業実践専門課程のより高度な、よりすぐれたというようなところが、きちんとよりすぐれたものにならなくなってしまうという問題点が1つあると思います。
 それで学習成果に関しましても、やはり大学の方で今3つのポリシーを策定するという形になって、それぞれの入学、それからカリキュラムと出口の部分に関してどういう方向でやるのかというのを定めなさいという話になっています。先週私が話をした、北海道の研修参加者が教員100名ちょっとぐらいいるわけですけれども、そういうお話をしても、やはりぴんと来ていないというのが現状です。ですので、自分たちの教育がアウトカムとして何をしているのかというのがまだ個々の学校の中においても、ちょっと各論になってしまってあれなんですが、まだでき上がっていないところが非常に多いのかなという感じを受けております。ここのところに対する啓発というんでしょうか、底上げを図らなければ職業実践専門課程というのが非常に重要だということに直結はしてこないという問題点が僕はあると思いますので、この辺、短期的課題の中にも盛り込んでもらえればなというふうに思った次第です。
 第三者評価につきましては私も今年小林先生のところから函館の学校をリハビリの方では福田学園さんのところからと2つ受けました。さっき河原委員が言ったように、どういうことを具体的にカリキュラムの中に盛り込んで、それをどういう形で何ができるかという観点の中で卒業生を出そうとしているのか。こういう教育をしているんですということをはっきりと相手方、評価委員の方に伝えられる、それが評価されたということに対しては、やはり教員としては非常にうれしいことですし、この方向性でいいんだという確認にもなる。自分たちが何をやってきているのか、本当に評価されているのかというのが内部の中でも理事長は「やれ、やれ」としか言いませんけれども、果たしてそれが教員個々自身の中ではやっていることが正しいのか正しくないのかというような観点の中での評価もあわせてほしい。単純に就職率だとか国家試験の合格率だけではなくて、きちんとそれをやっていることが認められるんだということをお墨付きをいただけるのは非常に有り難いことだなというふうに思っております。そのような観点からしても職業実践専門課程があり、今後第三者評価が出てくるということの流れは必然的ではないかなと思っております。
【黒田座長】 ありがとうございました。
【小林(浩)委員】 先ほど前の議論で寺田委員がおっしゃったとおり、もし職業実践専門課程がスタンダードで、その上にエクセレントみたいな課程をつくるのであれば、やはり普通の専門課程と違った課程の認証だったりとか、あるいは第三者評価というのをきちんと受けて公表していくということが価値につながるんじゃないかというふうに思います。要は学校内で質の向上をさせる仕組みづくりと、それを内在化していくというのが、やはり基本的な外から言われてではなくて中から変えていって向上していく仕組みをどうつくっていくかが多分今の職業実践専門課程の課題だろうと思います。これが先ほどご説明の参考資料1の基本データ集の課題2の認定後の取り組みを充実というところに大きくかかわってきますので、その上で課程の教育の目的があって、それに対しての学習成果として何を求めるのかというのを学校自体が課程でつくっていって、それをきちんと評価をしていくというような仕組みをいかに簡潔な形でやっていくかというのが一つの大きな課題じゃないかというふうに思います。
【黒田座長】 ありがとうございます。大変重要なことですね。いろいろな評価のシステムがあるんですが、自己点検評価が最大の基本だと思うんですね。自分たちで自分の学校の中をしっかり評価して、それをちゃんとPDCAサイクルを回していくという、これが回らなかったら何の効果もないわけですから、そういうことをするというのが大前提で、先ほど寺田委員が言われた教育課程編成委員会がただ単に開いているだけで形骸化しているんじゃないかという話がありましたが、そういうことも起きないように、そこでやられていることがちゃんと学校関係者評価の対象としてそこで評価していただくというふうなことも考えなければならないというふうに思います。
 また先ほど話がありましたように、第三者評価と学校関係者評価との仕組みの取り合いといいますか、その環境をどうつくるかということが非常に重要になってくると思うんですが、とにかく外に対して学校の評価をPRするためには、この第三者評価で学習成果をちゃんと評価していただく。それで出口の管理がしっかりしていないと専門学校というのはやはり第三者から見て評価されないということになりますので、その辺のこともちゃんとあわせてやっていくということが必要になってくると思うんです。
 ですから職業実践専門課程認定後のあり方というのは、今小林委員が言われたように、これからが非常に重要ですね。認定はしたけれども全然変わらんのじゃないかと言われたのでは困るわけでありますから、エクセレントの部分についてどう社会的に評価を受けるのか、その仕組みづくり、これをやはりきっちり認定をした側で保証できるようなシステムづくりというのが必要になってくるというふうに思うんです。認定をしたということは文部科学省が認定しているわけですから、都道府県じゃなくて文部科学省がその仕組みづくりをしなければならないというふうなことだろうと思うんです。そういうことをあわせながら、今後最終的な方向性を探っていきたいというふうに思っているわけですが、今日こうして活発な意見を頂いたので、これをもとにして大体方向性を打ち出していきたい。それで論点の整理を次回からは進めていきたいというふうに思っているんですが、そういう方向でもう1月、2月、3月で終わりですから、そういう結論の方向性を求めていきたいというふうに思うんですが、そういう段取りでよろしいですか。事務局から何かありますか。今の方向性。
 何かこの際、落ちていることがあったら言ってください。
【小林(光)委員】 私個人の考え方としては、このマル6にある職業実践専門課程における学校関係者評価と教育課程編成委員会との関係、それから第三者評価との関係等についてどう考えるかが重要だと思っています。
 先ほども申しましたが、この学校関係者評価は、あくまでも内部質保証を評価する内部評価の一つです。自己評価から更に進んだ内部評価になりますし、教育課程編成委員会も関連をしていますから、これを含めて、いわば職業実践専門課程の大きな一つの特色だという位置づけでいいのではないかと思っています。第三者評価は、あくまでも第三者評価、これからの課題ということです。先ほど各委員から頂いたいろいろなご意見を含めて第三者評価システムをきちんと構築し、実施できるような環境づくりをしていくためにも職業実践専門課程の特色として、学校関係者及び教育課程編成委員会というものを維持すべきだと思っています。
 以上です。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 ほか、誰か手が挙がっていましたね。河原委員。
【河原委員】 別の話になりますが、専修学校の方で高度専門士の称号の付与に関する規程が10年ほど前に制定されました。4年制以上で卒業後大学院等に接続ができますが、この高度専門士について「高度」の意味するところの実態の調査や、また国際通用性に関してもご議論いただくことは可能かなと感じております。
【黒田座長】 これは大変重要なことですね。称号を与えておいて、それが全然通用しないんじゃ困るわけですから、その実態調査をちょっとする必要があると思うんですね。文科省の方でやりますか。どうぞ。
【寺田委員】 連携による教育課程編成の実質化という絡みで今出ました教育課程編成委員会の位置づけなんですが、こういうふうに言うと抽象的なニュアンスになるんですが、これをもうちょっと具体的に言いますと教育課程編成委員会というものを職業実践課程の設置認可の基準というだけに見るのか、あるいは─「あるいは」というところに私の意見があるんですけれども校内機構として位置づけるのかという、この問題があると思っていまして、恐らくさっき大学の評価の問題も出ましたけれども、きちんとした校内のメカニズムの一つとして位置づいていない可能性がある。もし校内の機構だとなれば、一つの委員会ですから委員会が教務委員会なり教員会議、そこへきちんと諮って基本的に自らの委員会の意向を踏まえて実践するというふうになるはずなので、そこの踏み込みができるかどうかということを検討してもよろしいんじゃないでしょうかという、そういう意見です。
【黒田座長】 ありがとうございました。大変重要なことなんですね。外部の人が入ってきた委員会というのは本当に形骸化しちゃうんですね。学内で決めたことをそこで発表するだけで終わっちゃうという、外部のせっかく入っている人の意見があまり反映されないということが多いんですね。企業の方が入っておられても大学で示されたことが「それでいいや」ということになる可能性があるものですから、今、寺田委員の言われたように内部でちゃんとその位置づけをして常にそこの意見が反映されるシステムづくり、そういうことが必要であろうと思うんですね。そういうことをやっておられる学校は多いと思うんですけれどもね。
 今、極端な例を言っているだけですけれども、そういうことのないようにしていきたいというふうに思いますが、あと何かございますか。
 ないようでしたら、この辺できょうの議論は終わりたいと思うんですが、今まで出ました意見についていろいろ事務局の方で検討いただいて論点の整理をしていただく。次回からはそれについて議論をするということにしたいというふうに思います。
 今後の予定などについて事務局より説明をお願いいたします。
【白鳥専修学校教育振興室長】 資料3をごらんいただきたいと思います。次回は年明け、1月30日月曜日10時半から12時半までを予定しております。会場はこの隣のお部屋になりますけれども、この文部科学省の15階の15F1会議室ということになります。詳細につきましては改めてご連絡をさせていただきます。
 また本日の資料につきましては、机上に置いていただけましたら郵送をいたします。
 連絡事項は以上でございます。
【黒田座長】 ありがとうございました。
 1月30日、その次が2月16日、3月14日と資料3に載っていますけれども、これで本会議が終了することになりますので、あと3回でまとめ上げるということになろうかと思いますのでよろしくお願いいたしたいと思います。
 では、本日はこれで終了いたします。どうもご協力ありがとうございました。

―― 了 ――

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