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高大接続システム改革会議(第7回) 議事録

1.日時

平成27年10月28日(水曜日)10時~13時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 関係団体ヒアリングについて
  2. その他

4.出席者

委員

(座長)安西祐一郎委員
(副座長)片峰茂委員
(委員)五十嵐俊子,乾 健太郎,浦野光人, 岡本和夫,恩藏直人,香山真一,小林 浩,佐野元彦,関根郁夫,長崎榮三,長塚篤夫,南風原 朝和,羽入 佐和子,日比谷 潤子,宮本久也,山極壽一,山本廣基,吉田研作の各委員

文部科学省

(文部科学省)土屋事務次官,前川文部科学審議官,伊藤総括審議官,関政策評価審議官,河村生涯学習政策局長,德田生涯学習政策局審議官,小松初等中等教育局長,杉野私学部長, 佐野高等教育局審議官,瀧本総務課長,今井初等中等教育局主任視学官,新田高等教育局主任大学改革官,塩見大学振興課長,橋田大学入試室長,他

5.議事録

(1)関係団体からのヒアリングについて
9団体から,資料1から7に基づき説明があり,質疑応答が行われた後,意見交換が行われた。

【安西座長】  おはようございます。時間でございますので,ただいまから第7回高大接続システム改革会議を開催させていただきます。
  御多用の中,皆様,お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
  まず,事務局から配付資料について確認をお願いします。
【新田主任大学改革官】  失礼いたします。それでは,議事次第1枚目にございますとおり,本日は配付資料1から7,それから参考資料1と2と一括で配付してございます。
  それから,委員の席上の方でございますが,座席表と本委員会の名簿,それから,本日,関係団体ヒアリングを行いますので,御対応いただける各団体の方々のお名前と,ヒアリングの進め方,タイムスケジュール表を併せてお配りさせていただいておりますので,御確認いただければと思います。
  以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
  よろしいでしょうか。
  それでは,議事に沿って進行させていただければと思います。
  本日は,前回8月27日,取りまとめの審議を行いました。9月15日に中間まとめをまとめさせていただきましたけれども,それを受けて,関係団体の皆様からのヒアリングを行わせていただきます。関係団体の皆様におかれましては,御多忙の中,お越しくださいまして誠にありがとうございます。
本日の流れは, 1団体ないし3団体を一つのグループにさせていただきまして,一つのグループ当たり,団体の数は大分違いますので,15分から50分を目安にヒアリングを行わせていただきます。それぞれのグループが終わりましたごとに質疑応答をとらせていただければと思っております。かなりの数の団体の皆様にいらして頂くことになります。大変申し訳ありませんけれども,それぞれの団体,5分で御意見の発表を頂くということでございます。グループごとにまとめて質疑応答を行わせていただければと思います。延べ5グループございます。合わせて9団体から御意見を賜る予定でございます。
  よろしいでしょうか。
  それでは,議事に入らせていただきます。
  最初の第1グループにおきましては,全国高等学校長協会,それから日本私立中学高等学校連合会の二つの団体からヒアリングを行わせていただきます。
  今申し上げましたとおり,1団体5分ということでございます。御協力のほど,よろしくお願い申し上げます。
  それでは,まず,全国高等学校長協会からお願い申し上げます。よろしくお願いします。
【全国高等学校長協会】  失礼いたします。全国高等学校長協会から中間まとめに対する意見を述べさせていただきます。本日,資料1という形で,事前に中間まとめに対する意見についてはまとめさせていただいておりますが,限られた時間でありますので,その中で特にということで何点かお話をさせていただきたいと思います。
  まずは,全体の方向性については本協会の認識も全く同じでございます。高等学校教育改革についてということで,1枚目の資料の(2)「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入について,意見を述べさせていただきます。
このテストの目的は,高校生の学習の改善及び高等学校における指導改善に生かすことが主目的であり,副次的な目的として,進学時等に活用するということも書かれております。つまり,一つのテストで二つの目的が入っている。このことによりまして,ア,イ,ウと書いてありますように,三つの課題があるというふうに考えます。
  一つは,実施の時期です。指導改善を図るということであれば,当然その後の改善に要する時間を確保する必要がありますから試験は早い方が望ましい。しかし,進学時に活用するのであれば,これは十分準備をしてからということで,実施時期が遅い方が望ましい。目的によって適切な実施時期が異なると思います。
  二つ目は,受検料についてです。進学時に活用するということでは理解が得られると思いますけれども,指導改善のためのテストの受検料を払って受検をするということについて,なかなか理解を得るのは難しいのではないかと考えます。
  三つ目は,実施の場所です。指導改善のためのテストを学校で行うことは,問題はないと思いますが,進学時に活用するテストを各学校で行うということであれば,公正性の確保というところで心配が出るのではないかと思います。
  また,学校単位での参加が基本となりましたので,結果公表についての不安が高まっています。中間まとめでは歯止めの文言が入っていますけれども,やはりこのあたり,慎重に対応していただけたらと思います。
  続きまして2枚目です。大学教育改革についてということで,まずは個別大学における入学者選抜改革についてです。
  今回の答申では,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の結果以外に,小論文,プレゼンテーション,様々な角度から評価をするというふうにうたわれております。方向性については賛成であります。しかしながら,現状でも学習指導要領で定められた知識をしっかり定着させるだけで時間的に精いっぱいの学校が非常に多いわけです。それに加えて,こういう能力を付けるということ,高等学校としてはかなり時間的に厳しい状況があります。もしこういう方向で進められるのであれば,現在,学習指導要領の改訂作業が行われていますけれども,求める知識の量,質の再検討を是非お願いしたいというふうに考えます。
  また,中間まとめの36ページの脚注44では,各大学において学力検査を行うことが可能のような文言が入ってございます。ここの部分を根拠に多くの大学が現行と同じような学力検査を行うような形になったのでは,今回の改革の趣旨が生かされなくなると考えますので,何らかの対策をお願いしたいと思います。
  また,一般入試,推薦入試,AO入試の区分を廃止して新たなルールを作る,方向としては賛成でございますけれども,その前にまず現行のAO入試の課題をしっかりと整理をしていただきたい。そうでなければ,また同じ結果になるのではないかという懸念を考えています。
最後に,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入について意見を述べます。
  2のところに書いてありますように,やはり複数回の1回目の実施に関する時期でございます。現在でも多くの高等学校では,3年生から初めて学習する科目を大学入試センター試験で受けるというケースが結構ございます。本来,1年でやるべきところを9か月でやって,そして何とか間に合わせているのが現状です。これがもっと早くなるとなれば,これはもう甚大な影響が起きます。学習指導要領で定められた内容を学習指導要領で定められた単位時間で学習したのでは試験に間に合わないということは,いかがなものかというふうに思います。是非このあたりを考慮して,実施の時期あるいは出題範囲を決めていただきたいと思います。
  最後に,英語による民間の知見の活用についてです。現行の英語の資格・検定試験は受検料が高額でございます。また,学習指導要領で示された内容を必ずしも包括したものではありませんなどの課題があります。新たな資格・検定試験を開発するなど,高等学校で学習した英語の能力を適正にはかるための方策をとっていただきたいと思います。
  全国高等学校長協会からの意見は以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
  それでは,続けまして,日本私立中学高等学校連合会にお願いいたします。
【日本私立中学高等学校連合会】  本日は,機会を頂きましてありがとうございます。日本私立中学高等学校連合会の常任理事をしております實吉でございます。
  それでは,意見を申し上げます。
  このたびの高大接続システム改革会議中間まとめでございますが,実施年限を定めて改革を余りにも急いでいるのではないかと思います。知性と感性をともに育むという学校教育の基本的な視点が欠落したままで審議が進んでいると私どもは見させていただいています。
【安西座長】  途中で申し訳ありません。資料は提出されておりませんので。
【日本私立中学高等学校連合会】  申し訳ありません。
  多くの課題をはらんでいるにも関わらず,決められた実施年限に向けて検討していくというプロセスは,国の教育政策として,私どもとしては無責任と言わざるを得ないのではないかと考えております。
  私どもとしては,単に東京オリンピック・パラリンピック開催年をターゲットにして,2020年の改革実施にこだわることなく,まず,現在,中央教育審議会で審議中の次期学習指導要領の改訂を待ち,その教育内容を反映した新たなシステムと,その評価方法を確立してから新制度に移行していただければと思います。
  改革案では,導入される予定の二つのテストは,IRT-CBTでの実施を検討されているようですが,作問のストックの量,記述式回答の評価など,課題が山積していると考えます。中でも「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,2019年から2022年までを試行実施と位置付け,導入時点では信頼性が低いことを自ら示しているとしか受け取れません。あえて言えば,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,制度設計が不十分のまま,このように試行しながら検討するのであれば,実施の時期を延期していただきたく提案をさせていただきます。
  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」でありますが,高校2年から年2回実施,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」も複数回開始となれば,生徒はいやおうなく日常的にテストを意識した学校生活を送ることになると考えます。行事や部活動等に悪影響を与えることは否めませんし,そうなれば,高等学校教育の目的の一つである人間性の形成あるいは内面の育成を図る機会がおろそかになりかねません。それでは何のための改革なのか問い直さざるを得ないと考えます。
  結局,テストという圧力によって生徒に学習を強いるのであれば,能動的あるいは主体的な学習をうたいながらも,外圧によって学びを促すということになりかねません。大学側が入試改革において全面的に改革案に移行するのであれば,高等学校以下の教育も対応しやすいのでありますが,しかし,大学側の動向は現時点では明らかではありません。改革案により,知識偏重と言われている現行入試と改革された新しい入試の混在は高等学校教育現場の混乱を招くことになります。
  大学個別テストでは,面接,集団討論,小論文等により人物評価をする方針であるようですが,これらの選抜において,公平性をどのように担保するのか,方策が示されておりません。受験生は大いに不安を抱くことになります。受験生が大学入試に求めているのは,学んできたことを公平な条件の下で明確にかつ正確に評価されることであります。
  大学入試センター試験は,高等学校教育と大学教育をつなぐテストとして,教育関係者からの評価が高いと考えます。聞いたところによりますと,大学入試センター試験は,本来,別のベクトルである高等学校教育と大学教育に対し,高等学校教育の学習内容を基礎にして,大学教育に向けた試験をするところに独自の工夫があったと言われています。しかし,大学入試センター試験は,何ら総括されることもなく廃止となり,検証不十分な新テストに安易に移行するよりも,大学入試センター試験のノウハウを活用し,実現可能な取組を目指す方が実効性は高いのではないかと考えます。
  大学入試は,子供たちの将来を大きく左右する可能性が高く,その制度を大きく変更するのであれば,様々な検証を経て,具体案を示してから実行すべきであると考え,将来の国を担う子供たちのための改革をうたうのであれば,拙速な制度変更は避けるべきであると考えます。
最後に,高等学校教育にアクティブ・ラーニンクを導入するとの方針が示されていますが,実は試案として,昭和26年の学習指導要領に単元の学習の特色として既にアクティブ・ラーニングを想起させる文面がありました。
  1,教師によって一方的に課せられる課題の学習ではなくて,児童生徒の必要,関心,目的,問題などに基づいた意味ある問題解決の学習である。したがって,目的が意識され,いきいきした学習であること。
  2,教師と児童生徒との協力によって計画が立てられるような弾力性を持った学習であること。
  3,単元の目標を達成するために,単に教師の話を聞き,教科書を読むというだけではなく,必要な資料を集めたり,それを基にして討論したり,まとめたり,批評し合ったり,その結果をいろいろに表現したりするような多様な学習活動が行われること。
  4,単元学習によって単に目標に照らして価値ある理解が深められるだけでなく,望ましい態度が身に付けられる能力が得られる。
アクティブ・ラーニングを導入するにしても,事前に十分な検証や教員研修を経ないと,かつてその本質を理解されないまま導入された前の学習指導要領にある総合的な学習の時間と同じてつを踏むのではないかと危惧をいたします。
  実効性ある教育改革を求めるのであれば,教員研修など,新たに保護者負担を生じさせないためにも,学校種を超えて設置者に対し同水準の支援が必要と考えられますが,いかがでありましょうか。
  ありがとうございました。
【安西座長】  ありがとうございました。
  それでは,今からこの第1グループについての質疑応答に入らせていただきます。10時40分ぐらいまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。どなたでも結構でございます。
  片峰副座長,お願いします。
【片峰副座長】  宮本先生にお伺いしたいと思います。
  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」には,現時点で二つの要素が入っているということです。それで様々な課題があるということですけれども,高等学校としては,この二つの要素をというよりも,明確にどちらか一つに絞った方が対応しやすいのではないかという考え方もあると思いますけれども,今の中間まとめの方向性から言うと,基本的には大学進学には使わない。ボリュームゾーンの学習意欲の喚起であったり,基盤的な力のアップであったり,教育改善であったり,そういうところに絞った方がいいのではないかという議論もあるかと思いますが,そこら辺はいかがですか。
【全国高等学校長協会】  やはり高校生にきちんとした学力を付けるということが非常に大事だと思いますので,今,片峰副座長がおっしゃったように,私どもとしては,しっかりと高校生の学力を付けるためのテストという性格にしていただいた方がむしろよろしいのではないかと思っています。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。
  学力の定義というのが,いわゆる知識の量だけではないということになっておりますので,一言申し上げさせていただければと思います。
  ほかにはいかがでしょうか。
  よろしいですか。時間はまだ多少ありますので,それでは,私の方から伺わせていただきます。
  宮本先生に,学習指導要領の改訂で求められる知識の量を大幅に削減する等を行わざるを得ないのではないかと。高等学校の先生方の労働問題というのは確かにあるかというふうに思いますけれども,知識の量といわゆる学習の方法,それを分離して考える必要があるのかどうかということについては,どう思われますでしょうか。
【全国高等学校長協会】  やはり各教科の学習をする上で,一定の知識をしっかりと理解するということが,これは前提だと思います。その上で,その知識をどう活用するかというふうなところだと思うので,そこは分離すべきではないというふうに思っています。ただ,必要となる知識の量がどれぐらいなのかというところをもう少し見直していただけるといいかなと思います。
  現在でも,例えば本当に教科書も様々ですし,大学受験に対応するためには膨大な知識の量を理解しないと受験に対応できないという側面も現実あるわけで,そうすると,それだけの知識を理解させるために,かなりの時間が掛かっているということもあります。ですから,そのあたり,どの程度までが本当に高等学校の生徒として必要な知識なのかというところをもう1回見直しをしていただいて,その上で,それをいかに活用するかというところで我々としては指導の時間を使わせていただけるのが一番有り難いというふうに考えています。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。よろしければ,次のグループに行かせていただきますがよろしいでしょうか。
  それでは,第1グループの先生方,お忙しい中,誠にありがとうございました。
  第2グループの先生方はいらしておられますか。
【日本私立中学高等学校連合会】  失礼します。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
  第2グループにつきましては,1団体ということになっております。全国都道府県教育長協議会からお願いいたしたいと思います。よろしいでしょうか。
  それでは,全国都道府県教育長協議会にお願いいたします。
【全国都道府県教育長協議会】  では,よろしくお願いいたします。
  それでは,説明させていただきます。
  まず1番目,改革全体の基本的な考え方についてでございます。
  今回の高大接続システム改革については,これまでの義務教育における主体的・協働的な学習,いわゆるアクティブ・ラーニングの推進や,高等学校教育における生徒の興味・関心,能力・適性等の多様化に対応した学校や学科,教育課程の多様化などの「良さ」については継続をしながら,全国的に共通して対応すべき課題を解決するための抜本的な改革となるよう,大学入学者選抜,大学教育の改革と併せて,その改善方策を具体的に示していただければと思います。
  2枚目になりますが,2番の改革の方向性についての(1)番,「教育課程の見直し」についてでございます。
幅広い学習ニーズに対応した教育課程を編成・実施できるよう,必履修科目に関する見直しと併せて,選択科目や専門教科・科目についても,それぞれ現状の課題を踏まえた改善方策について明示をお願いいたします。
  各高等学校がそれぞれの学校や学科の特色に応じた魅力ある教育課程を編成・実施できるように,その具体を新学習指導要領として,できる限り早期に示していただければと存じます。
  2番目,「学習・指導方法の改善と教員の指導力の向上」についてでございます。
  学習・指導方法の改善については,まずは高等学校の教員が主体的・協働的な学習(アクティブ・ラーニング)を重視した授業を展開することができるよう,教員の資質や指導力の向上に向けた「養成」,「採用」,「研修」の各段階における抜本的な改革が必要であるとともに,教員として身に付けるべき能力については,全国的な「教員育成指標」として国が明確に示す必要があると考えます。その「教員育成指標」に基づきながら,各段階における取組の具体については,中央教育審議会教員養成部会等において確実に検討をお願いいたしたいと思います。
  また,各都道府県において,「教員育成指標」や研修計画の策定等を行うための「教員育成協議会(仮称)」を設置することについては効果的であると考えますが,地域の実態に応じた運営の在り方,あるいは取組方法については,国から具体的に示していただければと思います。
  3点目,「多面的な評価の充実」についてでございます。
  「学力の3要素」について,バランスよく評価が行われるよう,学習評価の在り方や,あるいは指導要録の改善など,学習成果を適切に評価するための仕組みを明確に構築して示していただければと存じます。
  続きまして,三つ目です。「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入についてでございます。
  こちらについては,学校での指導改善や,都道府県等における教育施策の改善に生かすことができるよう,学校単位や教育委員会単位での参加を基本としながら,参加する生徒個人の受検も可能となるようにしていただきますようお願いいたします。
  また,各学校が,教育課程の特色化や多様化に向けて努力してきたことを踏まえ,実施教科・科目の検討をお願いいたします。
  そして,できるだけ多くの学校や生徒が参加できるよう,仕組を構築していただきたいと考えます。
  また,問題の作成等に当たりましては,学力面で課題のある層の学習意欲を高めることを念頭に置いて,難易度や問題設定,出題範囲の在り方について,特段の配慮をお願いいたします。科目ごとのテスト問題のイメージをでき得る限り早い段階でお示しいただければと存じます。
   CBT-IRT導入に当たりましては,各学校等のICT機器の整備状況に左右されるため,マンパワーの確保及びハード整備の両面から慎重に検討頂くとともに,シミュレーションを入念に行い,十分な検討を経て実施をお願いいたします。
  大学等の入学試験や就職試験における活用につきましては,本テストの結果に過度の比重を置いて選抜が行われることが懸念されることから,実施回数や実施時期,テストの結果を大学進学や就職等に活用することについては慎重に行って頂くとともに,検討の際には,高等学校教育関係者の意見を十分に考慮していただき,全国の高等学校に対する分かりやすい説明,十分な周知期間を設けるよう配慮をお願いいたします。
  4点目,「大学入学者選抜改革」についての1番,「個別大学における入学者選抜改革」についてでございます。
  各大学の入学者選抜方法については,各大学のアドミッション・ポリシーを明確化するとともに,そのアドミッション・ポリシーを実現するための入学者選抜方法を具現化していくよう,国が大学に対してガイドラインを明確に示すことによって,個別大学による入学者選抜方法の多面的・総合的な評価への転換を後押しするようにしていただければと思います。
  2番目,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入についてでございます。
こちらについては,でき得る限り早い段階で,国が試験問題例を作成しながら,CBT-IRTといった試験方法の導入も含めた検討内容を具体的にお示しいただきたい。
  CBT-IRT導入に当たっては,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と同様の配慮をお願いいたします。
  最後に,その他といたしまして,改革を支えるものといたしましては,校内研修体制の整備や,教育委員会と大学との連携・協力体制の構築,独立行政法人教員研修センターの機能強化,また,アクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善等に必要な教職員定数の拡充,研修リーダーの養成など,改革を推進する上での基盤整備を確実にして頂くようお願いいたします。
  以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
  それでは,ただいまの御意見表明について,質疑応答させていただければと思います。
  委員の皆様,いかがでしょうか。
  佐野委員,お願いします。
【佐野委員】  ありがとうございます。
  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」のいわゆる受検の範囲といいますか,受検について,学校単位や教育委員会単位での参加を基本としながら,希望する生徒個人の受検も可能とするようにというようなお話がありましたけれども,これ,教育委員会とすれば,基本的に都道府県あるいは市町村にある高等学校全てが受検をして頂くというのが教育行政推進の上ではやはりやりやすいということなのか,その辺の感触をお聞かせいただきたいと思います。私の質問の底には,悉皆(しっかい)にすべきという御意見なのかなという期待を含めての質問であります。
【全国都道府県教育長協議会】  どういった趣旨でこれがやられるかというところが一番大事になってくるかと考えます。その趣旨が学力を,例えば序列につながるですとか,そういったような使い方がされていったりですとか,そういったものになるのであれば,そういったことは厳しいのかなというふうに考えます。ただ,その内容について,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」がどういう意味を持っているのかということがきちんと周知され,その目的に応じて使われるということであれば,教育委員会としての対応も考えられる一つの方法かというふうには思っております。
【安西座長】  よろしいでしょうか。
【佐野委員】  はい。
【安西座長】  ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。
  岡本委員,お願いします。
【岡本委員】  発表ありがとうございました。
  非常に伺いにくいことを伺うことになりますけれども,実際,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」がどういう形にしろ,テストというか診断が行われて,それを教育現場で高等学校教育の改善に資していこうというときに,やはり一番肝腎なのは教育委員会,これは教育委員会単位になると思いますけれども,先生方の研修であるとか,あるいは学校の中における体制とかが必要になってくる。そこのときに恐らく教育委員会が持っている役割は非常に大きなものになるのではないかと素人ながら考えるのですけれども,その辺について何か御意見があれば伺いたいと思います。
【全国都道府県教育長協議会】  先ほどの質問と関連するようなところもありますけれども,まずはこのテストの趣旨をきちんと定めていただいて,それを国の方からきちんと出していただいたことを教育委員会として各学校の方にお示しをして頂くというようなことはあると思います。ただ,それはやはり学校の方でそれをどう受け止めて,どう活用するのかについては,やはり学校の対応になってくると思いますので,そのあたりをきちんと教育委員会としても説明ができるようにしていきたいというふうには考えております。
【安西座長】  よろしいですか。
   ほかにはいかがでしょうか。
  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,かなり理念は明確になってはきているというふうに思いますので,これからの具体的な作問の方針等も含めて,やはり教育委員会あるいは教育現場とコミュニケーションをとっていくことは非常に大事だというふうに思います。
  ほかによろしければ,ここまでにさせていただきます。
  それでは,お忙しいところ,ありがとうございました。
【全国都道府県教育長協議会】  ありがとうございました。
【安西座長】  それでは,続けまして,第3グループに移らせていただきます。第3グループも1団体ということでございます。全国高等学校PTA連合会からお願いしたいと思います。これは佐野会長にお願いします。
【全国高等学校PTA連合会】  ありがとうございます。お手元の資料3をお願いしております。
  全部で四つあるのですけれども,まず一つは,少しちゃぶ台返し的なことになりますが,二つの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」,これがこの会議で議論,検討が深まるにつれて,両者の趣旨や方法論が似てきている部分もあるということで,両者を系統的で連続的なものと捉えることが可能になってきたということで,下の方に並べてありますが,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」では,基礎的な「知識・技能」を問う問題を中心としながらも,「思考力・判断力・表現力」を問う問題をバランスよく出題をする。一方で,「大学入学希望者評価テスト(仮称)」では,「知識・技能」を十分に有しているかの評価を行うことに加え,「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する。それから,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は10段階以上の多段階で本人に結果の提供を行う。一方で,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では,問題の難易度をできるだけ広範囲に設定をして,結果の多段階による表示をして提供する。そして最後には,44ページの実施体制,実施場所等について,連携体制あるいは統合的体制が必要なことという一文があるということで,それらを考えてきたときに,学校現場であるとか,生徒,保護者の負担,迷いなどを総合的に考えて,また,学力間の統一性を担保して議論の焦点化を図るためにも両者を一体化して単一のテストにするのが望ましいのではないかということがまず一つの大きな意見であります。
  特に高校2年次あるいは3年次当初の段階では,まだまだ進路志望先を絞り切れないという子供たちが多いというのが実態であります。また,親もそうであります。また,専門学校等においても,大学進学率が5割を超えている学校もある。あるいは,就職希望者にとっても生涯学習の視点に立てば,この二つのテストのどちらを受検するのかというのは更に悩ましい状況になってくる。そしてまた,学校としても二つの異なったものへの対応と進路指導をどう関係付けるかというのは非常に難しい課題を抱えてくることになりますので,二つの種類のテストを併存させるということは,非常に現場としては難しいのではないかというふうに考えているところです。
  ただ,先ほど,片峰副座長から御指摘があったとおり,例えば,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,完全にもう指導改善に使用するものなのだと。そして,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は,大学入試のために使用するものだという目的,性格が明確に二つに分かれているのであれば併存ということもあろうかと思いますけれども,現状の議論の中では,どうも混在をしていて,判断に迷うという,逆に混乱を招くのではないかというようなおそれがあるというのが不安でございます。
  2番目が,受検料負担の軽減を望むということで,特に最近話題になっております経済的に困難を抱えている家庭が16%,子供たち6人に1人はそういう世帯であるということでありますけれども,それもいわゆる経済的困難,この指標に出てくるのは,標準的な世帯年収の半分ということですから,どの辺までが困窮,教育に掛けるお金に困っているのかというのは,それ自体も難しい捉え方になると思いますが,特にそういう家庭にとっては数千円の受検料負担といっても,非常に心理的にも経済的にも負担感が強い。したがって,学習機会からの脱落になりかねないというふうに考えています。学力の確保は社会の要請でありますし,生徒自らの意思と責任で学力保証するという,この形に関しては,やはり疑問を禁じ得ないところであります。
  特に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に関しましては,本来の学力保証の観点からすれば,悉皆(しっかい)で行うべきだということであろうと思います。また,悉皆(しっかい),希望制に関わらず,費用は国あるいは自治体が全額負担すべきであろうというふうに考えているところであります。
特に英語等で言われている外部の検定試験の活用につきましても,やはり受検料の負担が,特に経済的困難家庭にとっては非常に負担でありますので,この辺についても特段の御配慮をお願いしたいというふうに考えております。
  3番目でありますが,これはどちらかというと,PTAのPよりもTの方の,私どもの団体の方からの意見が強いわけでありますけれども,実は最近,ある社会経済学者が本を発表して,その中で一番投資効果の良好な投資は何かというと,教員の指導力を高めることが最も投資効果が高い公的投資であるというようなことを述べられている社会経済学者もいらっしゃいますけれども,特に高等学校教育改革の推進には教員の指導力向上が不可欠である,それがポイントであるというふうに思っております。
  現状,OJTによる研修制度が中心になっているわけですけれども,今臨まれている高等学校教育改革等々を考えますと,OJTではなくて,Off-JTの研修をきちんと根本に据えて教員の指導力向上に努めていただきたいということを強く望むところでございます。
  4番目には,これは各団体もおっしゃっておりますが,できるだけ早くサンプルテストを提示していただきたいということでありまして,最後に書いておりますが,教育研究諸機関が既にこれまで取り組んできた様々な蓄積がございますので,なるべく早くサンプルテストを提供して,議論の土台に上げていただきたいということが4番目でございます。
  以上であります。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
  それでは,質疑応答とさせていただければと思います。御意見,御質問をいただければと思います。
【関根委員】  よろしいですか。
【安西座長】  関根委員,どうぞ,お願いします。
【関根委員】  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の一体化という御提案があったのですが,PTA連合会の方では,小中学校の全国学力・学習状況調査との関係ではどのようにお考えでしょうか。
【全国高等学校PTA連合会】  基本的に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に関しては,やはり高等学校卒業時点の,特に高等学校進学率が98%,99%という状況を鑑みたときに,もう高等学校自体が義務教育化しつつあるという,そこでこの卒業時点でどれだけのいわゆる学力,それは知識・技能だけではなくて,今言われている三つの能力を踏まえた学力を身に付けて社会に送り出すのかということを考えたときに,当然,高等学校だけではなくて,小中高の連携の教育あるいは学びということが重要だというふうに思っております。そういう意味で,小中の全国学力・学習状況調査との連携も当然踏まえていかなければいけないものだというふうに思っております。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。
  恩藏委員,お願いします。
【恩藏委員】  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が非常に類似してきているという御指摘があって,私も同感です。もう少し性格を分けていただいた方がいいのではないかと私も思っています。そのときに,全国高等学校PTA連合会のお考えだと,一体化してはどうかと提案されているのですが,後半で少しおっしゃっていたように,むしろ性格をもっと明確に分けて,二本化していきましょうという,流れにはならないのでしょうか。
【全国高等学校PTA連合会】  たまたま今回は中間まとめに対するヒアリングということですので,基本的に今の段階の中間まとめでは,どうも混然一体としているということで,安西座長が「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に対しては意義が大分明確化してきているということですので,私はそれは今,指導改善,入試活用ではなくて指導改善に重きをという,いわゆる高等学校卒業時の学力保証というところに重きをということだというふうに受け取っておりますので,もしそこが今後の議論の中で明確に分かれてくるのであれば,これは二つの併存もあろうかと思います。現時点の中間まとめの時点では,どうもまとめの文章を読んでも,これは二つ別々ではなくて,一つでやることで,あるいは多段階評価の段階を多数にすることで両方が活用できるという可能性があるのではないかというふうに考えているということであります。
【恩藏委員】  一本化してしまうと,国民というか,高校生の学力の質をきちんと保証できなくなってしまうのではないかと思います。今のままだと,高等学校を卒業しても十分な学習を得ていない人たちが増えてしまう。それを何とか歯止めをしたいというのが,多分,今回の改革の一つの大きな意味ではないかと思う。そうすると,今回御提案のような一本化にしてしまうと,また同じような繰り返しになってしまうのではないか,そんな気がしました。
【安西座長】  ありがとうございました。
  長塚委員,お願いします。
【長塚委員】  Pの関係の方が心配していないのかなと思って少しお尋ねしたいのですけれども,小中学校の全国学力・学習状況調査は,公立の小中学校を中心に考えれば,その学校には成績の低い生徒から高い生徒までほぼ均一にいるわけですけれども,高等学校というのは,高等学校の入学試験によって,学校によって,学校単位でいわばランキングのようなことが既にあるわけです。ですから,もしほぼ全員に,一つのテストで行ったときに,ますます全国の中で学校単位の序列のようなものがより鮮明になってきはしないか,そういうことに対して,保護者は心配していないのだろうかという点です。一方で生徒にとっては,日本の生徒は3割ぐらいしか自信を持っていないというデータがよく我々の会議でも出るわけですけれども,高等学校に入る段階でどこの高等学校に入れそうかというようなことで,自分はできないのではないかという,そういう心配をしながら,実はそれをずっと引きずってしまう傾向があるように思うわけです。そういうことも含めて,この教育改革は打破していきたいということがあるのですが,98%,ほぼ入っているけれども,マスとしてはそうですけれども,実は高等学校は小中学校と違って既に階層化してしまっている。そういうことに対する心配,御懸念というのはいかがでしょうか。
【全国高等学校PTA連合会】  よろしいですか。
【安西座長】  はい,お願いします。
【全国高等学校PTA連合会】  私は,これは連合会の意見ではなくて私個人の意見ですけれども,階層化してきていることは,今の学力というものの捉え方の範囲が狭いから階層化してきている。いわゆる知識という量を判断をしての階層化だというふうに思っています。今回の場合は,多様な人材を認める,多様な能力を認めるという中での評価ということで考えると,そこは多分大きく変わってくるのだろうというふうに思います。そういう意味では,いわゆる子供たちの有用感といいますか,自己肯定感,自分は社会に対してこういう部分で貢献ができるのだ,存在意義があるのだというふうに考えてくることが,僕は今回の教育改革,学力の定義を大きく変えるということを基本にした改革だと思っていますので,逆にそういう意味では,いわゆる序列化,もしかすると序列化は起きるかもしれないけれども,その序列化の中で中程度あるいは下の方の高等学校に入った子供たちが,それによって疎外感を味わう,あるいは自己有用感,自己肯定感をなくすというようなことがないようにするというのが今回の改革だというふうに私自身は思っているところです。
【長塚委員】  全くそのとおりだと思うのですが,高等学校卒業時の出口では是非,あるいはアクティブ・ラーニングなどのプロセスの段階では,是非そういう方向に持っていきたいものだと思うのですが,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,最初は3教科といういわゆる知識のところを問う問題として構築されようとしているわけです。ですから,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」だけでは多様な面ははかれない。一体化しようとするところの意義とは少し違いますけれども,このテストだけではいけないという部分はあるのだろうと,そこは押さえなくてはいけないという思いがいたします。そこは共感しています。
【安西座長】  ありがとうございました。
  ほかにはよろしいでしょうか。
  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学者希望者学力評価テスト(仮称)」の関係につきまして,いろいろ今,御意見を頂きましたけれども,私の理解では,いわゆる学力の3要素,今言われたように,やはり知識の量だけではない。ところが,一方で知識もベースとして本当に大事だと,そういうことを全部総合的に考えたときに,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が,いわばそういう意味で連続的になるということは,我々としては共有しているように思います。
  一方で,高等学校の卒業生がみんな大学に行くわけではないので,そういう意味で,また「高等学校基礎学力テスト(仮称)」はやはり生徒個人の学習改善,また学校の指導改善に使われるということは,やはり趣旨だと思いますし,高等学校の生徒の基礎的な知識・技能のレベルをきちんと上げるということも大事でございますので,そういったことを全部見込んだ上で,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の理念といいましょうか,目的がある意味が違う。一方で,学力の3要素ということから見ると,連続的であるのは当然だという見方もあると思います。多少複雑ではありますけれども,今申し上げたのは私の個人的な見方でございます。恐らく皆様とそれほど異なるところはないというふうに思いますが。
  ほかによろしゅうございますか。
  それでは,この第3グループにつきましてはここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。
  時間的に非常に早く進んでおりまして,休憩をとりまして,11時10分から始めさせていただきます。それでも全体としては約20分早めに進んでおりますので,また後ほどいろいろ御意見がおありの方はおっしゃっていただければというふうに思います。
  それでは,11時10分まで休憩とさせていただきます。

( 休憩 )

【安西座長】  それでは,時間でございますので,再開させていただきます。
  第4グループのヒアリングに入らせていただきます。
  第4グループ以降は,大学関係団体ということになります。第4グループにおかれましては,国立大学協会,公立大学協会,日本私立大学団体連合会の3団体からヒアリングを頂くことになっております。
  それでは,国立大学協会からお願いいたします。片峰先生,お願いします。
【国立大学協会】  それでは,本日は,国立大学協会入試委員長の立場で発言させていただきます。お配りしております資料と若干異なることをしゃべりますので,御了承いただきたいと思います。異なるというのは追加です。
  国立大学協会は,高大接続改革実行ブランの問題意識,あるいは改革の基本的方向性は共有しております。したがいまして,今後,国立大学が責任をもって高大接続システム改革を担い,推進する観点から,現在,中間まとめで明らかになった課題についての見解,あるいは最終報告に向けての提言,これを公表するということで準備を進めてございます。本日は,その一部を御説明するということにしたいと思います。
  まず,3ポリシーと認証評価の見直しでございます。
  各国立大学は,これまでも3ポリシーの制定・公表に努めてまいりましたが,内容につきましては抽象的な文言にとどまるもの,あるいはアドミッション・ポリシーと入学者選抜方法との関係が不明なものがあることも事実であります。全国立大学を始めオールジャパンで高大接続システム改革を実現する観点からも,3ポリシーの一体的策定と公表を省令で義務付ける,そして認証評価を見直して各ポリシーと教育や入学者選抜の実態の整合性を評価の観点とするということは妥当であると考えます。
  ただ,中間まとめは国が3ポリシーの策定・運用に関するガイドラインを策定するとしておりますけれども,ガイドラインが余りにも細かく規定することになれば,各大学の自由度,個性,あるいは創造性を阻害し,国立大学個性化の方向性に水を差すものとなりかねず,注意が必要であると考えます。
  大学認証評価の見直し及びその実施にあっても,各大学の多様性や個性,そして創造性,新規性の高い取組にも十分な配慮がなされるべきであると考えます。
  次に,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について申し上げます。
  中間まとめが示す新テストの具体的制度設計は,考え方及び検討課題の記述にとどまっており,多くの課題が未解決のまま残されてございます。できるだけ早期に新テストの具体的イメージが示されるべきだと思います。
  特に重要な評価要素である「思考力・判断力・表現力」につきましては,もともと不明確性のあるこれらの能力のうち何をこのテストで把握しようとしているのかを明確に定義する作業,これが全てに優先されると考えます。
  また,現在,新テストの実現可能性の判断を困難にしている大きな理由の一つが,学力・能力を適切に評価する手法がCBTという特定の技術に大きく依拠していることにあるのではないかと思います。問題が複雑となっております。技術的な課題は新テストの在り方,つまり,目的・内容,その成果の議論とは切り離していった方がよいのではないかというふうに考えます。
  大学進学希望者の学力の把握の重要性は今後も変わりません。現時点では,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の実施に向け,不確定要素が多く,32年度の実施以降もその評価が定着するには相当の時間を要すると想定されます。したがいまして,国立大学の多くは,当面,個別大学入学者選抜における学科科目試験の継続を選択すると予想しております。
  したがいまして,個別テストにおきましても,従前に増して知識のみならず思考力・判断力・表現力に重点を置いた出題が要求されるというふうに考えております。
  また,高等学校教育改革と連携して,個々の受験生の高等学校における学習あるいは活動の履歴をいかに入学者選抜に生かすことができるか,これも重要な観点であると思います。現在考えられております新しい調査書の創成とともに,高等学校と大学の情報交換が重要でございまして,高大連携の緊密化,それとともに,高等学校には指導内容等に関する適切な情報公開を望みたいというふうに考えます。
  中間まとめは,大学入学者選抜を多面的・総合的評価による選抜へ転換するため,一般入試,推薦入試,AO入試の区分を廃止することを含めて,大学入学者選抜実施要項の抜本的な見直し,新たなルールを構築することを明記しております。
  現行のルールの下で国立大学協会は入学者選抜に関する基本方針を定め,全国立大学が一致し,一般入試の期日を前期・後期に分離し,入学定員を分割する分離分割方式を採用することで,受験生に複数受験機会を提供し,更に推薦入試,AO入試等,多様性のある入学者選抜を実現してまいりました。新ルールの内容次第では,現行の入学者選抜に関する国立大学協会の基本方針は極めて重大な変更を迫られることになります。ルールの見直しに当たりましては,受検生にいかに複数回の受検機会を提供するのか,多様性のある人材の選抜をどのような仕組みで担保するのか等,見直し時期の検討とともに,十分なシミュレーションと丁寧な議論がなされるべきであると考えます。
  現在進行形の各国立大学の入学者選抜改革の最大の眼目は,推薦入試,AO入試,あるいは国際バカロレア入試の充実拡大,さらには,留学生,あるいは特定の分野で高い能力や資質を持つ者など,多様性のある人材を適切に受け入れるところにあります。多くの国立大学の学長が3ポリシーのガイドライン,あるいは新ルールなど,今回の改革を通して多様な入試による多様性のある人材の確保という観点から,制約が出るのではないかという心配をしていることも申し添えたいと思います。
  最後に,重要な点ですが,最終報告に向けての本日述べた様々な課題の解決のプロセスに,国立大学協会として,今後,積極的かつ実質的に関わる用意があることを申し上げて発言といたします。ありがとうございます。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
  それでは,委員の皆様,何か御質問,御意見があれば,いただければと思います。
  小林委員,お願いします。
【小林委員】  ありがとうございました。
  今,ここには書かれていないですが,お言葉の中で,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の難易度に若干不安があるということで,各個別大学の試験で学科型,学部型の試験を行う可能性が高いのではないかというようなお話をされていました。一方,最初の資料1のところの全国高等学校長会,宮本委員がお話になった中で,2ページ目の2に,中間まとめの36ページ脚注で,特定の教科・科目の「知識・技能」を評価する方法もという逃げ道があるので,これで,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に加えて,また学科・学力試験を上積みする懸念があります,という懸念を出していただいたのですが,その辺に対しての国立大学協会の中での議論は,どのようなお話があったのか教えていただければと思います。
【国立大学協会】  やはり基本的に最も大きな問題は,新しいテストのイメージが,難易度の問題も含めまして全然つかめない。それが最大の問題であると思います。
  それから,これまで国立大学は,基本的な入学者選抜方針として,先ほどの分離分割制度は申し上げましたけれども,もう一つは,学力・能力を2段階,共通試験と個別試験で見るのだということでずっとやってきたわけです。その中で当然共通試験は基盤的な学力・能力,個別試験でアドミッション・ポリシーに基づいた学力・能力,あるいは態度等を見ましょうということでやってきたわけで,その意味では,新テストが開始された後も,個別試験で学科・学力試験を課すということは当然ではないかという意識があります。もちろん個別試験に現在言われているような,いわゆるもっと多面的な力を見るようなものを導入しましょうということは当然やります。だから,その点から,要するに,今考えられている新しいテストがすばらしいものとして出来上がって,世の中の評価が定着する,それまでの移行期は,アドミッション・ポリシーに基づいた学力を検定するには,やらざるを得ないというのが多くの国立大学の学長はやらざるを得ないであろうというふうに考えられているということです。
【小林委員】  ありがとうございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
  申し訳ございません。グループごとに話をお聞きしてから質疑応答ということのはずです。休憩が入りまして少しずれまして,誠に申し訳ありません。後ほど,国立大学協会への御質問も改めて受けたいと思います。
  それでは,申し訳ありませんでしたが,公立大学協会からお願いを申し上げます。よろしくお願いいたします。
【公立大学協会】  公立大学協会の柴田でございます。それでは,公立大学協会での高大接続に対する意見等,現状について御説明させていただきます。
  公立大学協会加盟校は,現在,86大学を数えておりまして,御承知のように,各大学の設置形態,規模等は,極めて多様でございまして,今回のこの高大接続に対する取組,課題も一様ではございません。このため,本協会では,8月にアンケートをとりまして,その回答結果を今回御紹介するということで,公立大学加盟校のスタンスを御意見として御提示できればと思っております。何分にも5ページ,6ページにわたる資料ですから,かいつまんで御紹介させていただきます。
  まず,現状の取組,積極的な大学もかなりございまして,1ページにございますように,公立はこだて未来大学等では,アドミッション・ポリシーは極めて具体的に科目別に提示しているという状況がございました。それ以外にも特定分野での卓越した能力等を測定するというバカロレア,あるいはグローバル人材というようなものもございます。
  それから,公立大学の特色といたしまして,やはり地域の自治体等での設立でございますので,2ページの下の方にございますように,地域枠の導入におきまして,独自の選抜を行っている大学もございます。
  3ページに移りますと,その他として,国際教養大学のギャップイヤー入試,それから,奈良県立医科大学のトリアージ方式,これは医学で用いる用語でございまして,優先順位を付けて回答させるというようなものでございます。
  それから,自治体,行政と連携した取組といたしましては,名古屋市立大学におきまして,市立高校と総合的な連携を図って入学者選抜に資しているというところもございます。
  1枚おめくりいただきまして,そういう特色ある取組をやっているところでございますけれども,そういう取組から分かってきた課題として挙げられておりますのが,4ページにございますように,入学者選抜につきましては,3番目のぽちを御紹介しますと,受験生のモチベーションを高等学校と大学で連携して持ち上げられないかという,かなりこれは単科大学の特色として挙げられることではないかと思います。
  それから,5番目でございますが,入試業務は専門職を配置した専門部署が行うべきであるというのは各大学から出ているわけでございますけれども,現行の学校教育法等々では,教授会の意見を聴取するというところがございますので,これをどうクリアするかというのが今後の課題であろうと思っております。
  それから,その下に,先ほどの国立大学協会からの御意見にもございましたけれども,再チャレンジとか,複数受検の機会を増す,あるいはそれを担保するということも重要であるというところでございます。
  その他,高大接続全般の経験からは,4ページ目の下の方についておりますように,SSHや出前授業などの取組が各大学で行われているのでございますけれども,それが決してこういう個別の大学への入学にはつながっていないという現状があるということでございます。
  それから,5ページ目に入りまして,今回もアドミッション・ポリシーの明示というのが前提条件になっているわけでございますけれども,これまでの現状では,推薦入試,AO入試ではそれが有効に働いているようでございますけれども,一般入試においては,どうも受験生の間でそれが有効に働いているかどうかというのは大きな課題であろうというようなところが述べられております。
  それから,3番目に,公立大学からの要望でございますが,まず,選抜に関しましては,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,それから「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」,複数回の実施が想定されているようでございますが,これにつきましては,大学がテスト会場となるというようなことであれば,現状でもかなり負担が大きいものが更に増大するということでございますので,この点,CBT等の構想もあるようでございますけれども,是非適切な方法を開発していただきたいというところでございます。
  それから,民間テストの導入につきましても,費用負担あるいは経済的な格差,教育機会均等の不平等につながらないような配慮をお願いしたいということでございます。
  それから,その要望の最後の項目で,アドミッション・ポリシーに関するガイドラインの提供,これは是非明示していただきたいですけれども,あらかじめの時期等も明確にしていただきたい。また,先ほど御意見もございましたけれども,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシーの策定に関するガイドラインも併せて御提示いただければ大変有り難いという意見がございます。
  それから,5ページの下にございます財政支援に関する要望,これは公立大学制度に特有の課題でございますけれども,総務省を通じての財政支援が公立大学に対する支援でございまして,今回の国立大学に対しては文部科学省から直接の補助金が想定されておりますけれども,公立大学に対しては地方交付税の中での配置ということになるのであれば,非常に間接式なものになって効果がなかなか現れにくいというところでございますので,是非御配慮いただきたいと思います。
  それから,その他のところ,これも既に言われたところでございますけれども,中間まとめにおきまして,この改革,段階を踏まえた着実な実施ということが明記されているところでございまして,是非その中に個別大学における入学者選抜改革の検討,事前予告の期間を含めて十分な御配慮の上,進めていただきたいということでございます。
  それから,実施に係る新たなルールの構築ということで,先ほど,国立大学の方でも言及されましたけれども,従来の一般入試,推薦入試,AO入試という区分に変わる新たなルールの構築ということがございまして,中間まとめでは,具体的な評価ごとに日程等を設定するなど,御検討されているようでございますけれども,この改定に当たっては,大学間及び大学団体間の調整,結果的には入学者のアロケーションに帰着するわけでございますので,そういう調整を含めた余裕のある,また幅のある検討期間及び内容を設定して,混乱のないようにお願いしたいということ。同時に,現行の過密な選抜日程,それから厳格な入学定員に伴います合格査定数管理というような種々の制約が入っておりますので,これらが今後の入試改善の障害にならないように,今回の改革に併せて,それらの緩和,弾力化を御検討いただければとお願いする次第でございます。
最後に,これ,多様な意見の一環として,私の個人的な意見も許していただければ,今後の改革で,これまでの我が国の入試風土に大変革が起こるということを期待しているわけでございまして,あわせて我が国の学校教育におけます履修主義から,今後,各国で行われている習得主義への移行が図られればと大きく期待する次第でございます。
  公立大学は多様でございますので意見も多様でございますが,その一端の御紹介をさせていただいて,意見提出とさせていただきました。以上でございます。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
  質疑応答は後ほどにさせていただきます。
  それでは,続けまして,日本私立大学団体連合会にお願いをいたします。
【日本私立大学団体連合会】 日本私立大学団体連合会の松本でございます。それでは,日本私立大学団体連合会の意見を具申させていただきたいと思います。資料6でございます。3ページ半ほどございますので,時間の関係で要点にのみ限らせていただきます。
  最初に,本改革会議が非常に精力的な協議を続けられまして,中間まとめを公表されたことについて敬意を表したいと思います。
  高大の教育改革の必要性といいますのは,私立大学としても認めるところでございます。しかし一方,現在,大学生の約80%が在籍しております私立大学は,それぞれ建学の理念に依拠して,各大学が考える望ましい学生像に見合った教育と入学者選抜を実施してきているところでございます。私立大学の多様な個性が尊重されるような制度設計に期待するところでございます。
  具体的な問題に入ってまいります。
  まず第1に,高等学校の教育改革ということに関してでございますが,中間まとめでは,特にアクティブ・ラーニングの必要性が主張されております。しかし,学力の3要素のうち,知識・技能の習得は,これら3要素の全ての前提となっているものであることを明記されるのが望ましく,また,アクティブ・ラーニング実施に当たっては,新しい教育指標の実現を支援する制度,環境の整備が求められることも検討していただきたいと思います。
  そして,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について,これは2ページ目にございますけれども,平成35年度から多様な科目の中から選択受検できる形で実施を目指すという記述が中間まとめにございます。基礎学力の確実な育成という目的がこのテストにはあるはずでございますので,少なくとも主要教科においては,全ての生徒が同一の教科・科目を受検して,高校生の基礎学力一般を保証する仕組みとすべきではないかと私どもは考えております。
  その次の2番目,大学の教育改革についてでございますが,平成27年度中を目途に策定が予定されている三つのポリシーに関するガイドラインにつきまして,これも私立大学の多様な個性を尊重していただき,画一的な内容とならないようにしていただきたいとお願い申し上げます。
また,高等学校のアクティブ・ラーニングと同じように,能動的学習への転換の必要性が指摘されております。しかし,大学において更に高度な知識・技能の学習も必要であることも同様に強調すべきではないかと考えております。既にこうした能動的学習は私立大学においても取り組んでおります。
  それから,能動的学習実現のための環境整備に関して,大学や国の財政支出が必要であることについても御検討いただきたいと思います。
  3番目の大学入学者選抜改革,これは3ページにございますけれども,ここで様々な提言がなされておりますが,まず,調査書については,客観性が保たれるように記載内容に関する抜本的な再検討が必要であることを申し上げたいと思います。
  また,私立大学においては,建学の理念に即して多様な入学者選抜を展開してきております。この入試に関する新たなルールがそれを妨げないように配慮して頂くとともに,入試区分の相対化,具体的な評価方法,日程の設定に当たっては,更に現実的で具体的な提言をお願いしたいと思います。特に一般入試で総合的な評価をする場合,現行の日程では非常に困難でございますので,この辺の具体的な考え方を御提示いただきたい。 
  それから,入学者選抜における今後の学力評価については,公平性から公正性への考え方の転換も必要であることも明記していただきたいと思います。
  さらに,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入に当たり,英語については民間の知見の活用がうたわれておりますが,他の科目についても民間の知見の活用を考慮していただきたいと思っております。
  その他の留意すべき事項として,2点ばかり挙げております。これが3ページから4ページになりますが,これは中間まとめには書いてないことですが,私どもが今の入学制度を検討してまいりましたときに,現行の国公立大学の欠員補充第2次募集では,国公立大学の既合格者は出願資格がないとされている一方で,私立大学の既合格者は募集対象から排除されておりません。これは妥当性に欠けていると思いますので,再考されることを強く望みたいと思います。
  そして,中間報告で提言されている改革を実行するためには,財政支出が必要であることは言うまでもございません。それを誰が,どのようにして支出するのか,これも明確にしていただきたいと思っております。
  最後に,教育改革は,まさに国家百年の計でございます。現在,その策定は焦眉の急でございますが,拙速は戒めるべきであろうと思います。約80%の大学生が私立大学に在籍しているという事実とともに,本意見具申を重く受け止めていただき,諸改革が私立大学の多様性及び独自性を尊重して進められるように特段の配慮をお願い申し上げる次第です。
  以上でございます。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
  それでは,国立大学協会,公立大学協会,日本私立大学団体連合会の御意見表明を受けまして,質疑応答とさせていただきます。委員の皆様,どなたでも結構でございます。
  浦野委員,お願いします。
【浦野委員】  二つお聞きしたいと思います。
  一つは,たまたま公立大学協会の方から,5ページに,アドミッション・ポリシーに共感して受験する大学を決めているかどうかというような表現がございました。この三つのポリシーについて,今後,法制化されていくという過程の中で,これを大学と高等学校側がどのように双方向で共有していくかというのは物すごく大事な課題だと思います。そのことに初めて触れていただいた文章だと思います。
そういう意味で,今,具体的なものはないかもしれませんが,例えば,大学側から見たら,それをどのように高校生にお話ししていくか。それが単に大学のポートレートか何かに書いてあるからそれを見てくださいということではないような気がします。その辺,逆に宮本先生も高等学校の立場から見たときに,どういうふうに考えられるか,これが一つです。
  それからもう一つは,これは文部科学省にお聞きした方がいいのかもしれませんが,全体的に私立大学連合会も公立大学協会も費用のことについて出てきました。今回の問題は,もちろんこれ,お金なしではできないことでございまして,全般的にかかる費用と,各大学が,例えばアドミッション・オフィサーを置くとか何とかといったときにかかる費用等について,文部科学省として,例えば年度を区切って5年間援助しようとか,そういったような考え方が今あるのかないのか,その辺も含めてお聞きしたいと思います。我々はこれだけの改革をやるのにどのぐらいのお金がかかるのかということを全く抜きで今後議論していくわけにもいかないと思いますので,よろしくお願いします。
【公立大学協会】  それでは,先ほどの3ポリシーの徹底ということでございますけれども,確かに我々,大学案内等には文字として記載しておりますけれども,公立大学の特色としまして,地域に根ざしたというのがございますので,かなりの大学で高等学校訪問をやっております。その機会には必ずそういうことでアドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,それから策定されている大学におきましてはディプロマ・ポリシーを含めて御説明してやっているように努めておりまして,この記述の中にもそういうものを高等学校と共有するような仕組みが今後望ましいのではないかというような希望を出している大学もございますので,それは進めていきたいと思っている次第でございます。
  お答えになったかどうか分かりませんけれども。
【安西座長】  ありがとうございました。
  宮本委員,お願いします。
【全国高等学校長協会】  高等学校でも,最近,受験者の多くは,夏休みなどにキャンパス見学をかなり進めている高等学校が多いと思います。本校でも1年からもう既に夏には関心のあるところには行きなさいと。各大学もかなりそういうふうな広報が今進んでいると思いますので,そういうところに行って,実際に直接いろいろな話を聞くという機会もあると思います。ただ,中学生が高等学校を選ぶのと違って,選択の幅が物すごく広いので,全部の学校の三つのポリシーをしっかり理解するということはなかなか難しいと思うのですけれども,何らかそういうものを分かりやすく提示していただけるような,そういうものを作っていただけると,よりそういうポリシーをしっかり理解した上での大学選びというふうなことに進んでいくのではないかというふうに思っております。
【安西座長】  ありがとうございました。
  文部科学省,お願いします。
【新田主任大学改革官】  最後のところの御質問でございます。現在の概算要求におきましては,これとは別に二つの新テストについての検証・開発にかかる経費と並びまして,個別選抜改革につきましては,先進的評価指標の共同開発に係る事業と並びまして,個別大学での多面的・総合的選抜の推進という観点で,国立大学運営費交付金,私立大学等経常費補助で所要の要求を今しているというところでございます。
【浦野委員】  現段階では,額は発表できないということですか。
【新田主任大学改革官】  概算要求の段階では,国立大学20億円,私立大学10億円で要求をしているというところでございます。
【安西座長】  よろしいでしょうか。
  それでは,吉田委員,それから山極委員,お願いします。
【吉田委員】  公立大学協会の方の4ページのところに,英語の評価について少し書いてございますが,従来の二技能から四技能へ変化する,そのときに外部試験を活用する場合に,何か教育の現場において資格試験対策が必要になってしまうのではないか,そういう懸念が示されていると思います。先ほど,宮本委員の方からも,高等学校の方でもたしか学習指導要領との関係で懸念を示されたと思うのですけれども,現在の学習指導要領自体,四つの技能を統合して総合的に教えるというふうになっているわけです。ですから,基本的に四技能を教えるということは,もう既に今の学習指導要領の根幹にあるわけですから,それをやることによって,逆に指導要領に沿ったより正規の教え方に変わるのではないかと私などは思うのですが,その辺はいかがでしょうか。
【公立大学協会】  おっしゃるとおりだと私も思いますが,現場においてこういう受け止め方もあろうということでございます。
それから,御承知のように,大学入試センター試験でリスニングを導入しましたけれども,これが反映として高等学校現場にどう受け止められ,影響を出しているかというところも結果としてまだ定かでないところがあるように感じております。だから,この四技能の徹底というのも,今後,試験の改善だけでは決して達成できるものではない。やはり教育現場でしっかりと教えて頂く,徹底するということが本質的なものではないかということは感じているところでございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
  山極委員,お願いします。
【山極委員】  日本私立大学連合会にお聞きしたいのですけれども,公立と違って私立は,例えば小中高一貫,複数の高等学校を持っていらっしゃるとか,あるいは幼稚園からずっとエレベーター式というところがあります。そうすると,やはりいろいろなカリキュラムもかなり自在に組めるということがありまして,今考えられている高大接続というだけではなくて,例えば大学として三つのポリシーから高等学校教育を考えるというわけではなくて,むしろボトムアップ式に,どういう順番で教育をやっていくかというようなことも一方ではお考えだと思います。この高大接続,特に入試改革と二つのテストによって高校生の実力を測るという計画と私立の考え方の整合性,あるいは私立大学として本当にこの制度をきちんと取り入れられるのかということについて,少し御意見を伺いたいのですけれども。
【日本私立大学団体連合会】  おっしゃるとおり,附属高等学校あるいは系列高等学校を持っていて,そこでいわゆる一貫教育を実施している学校法人もかなりございます。そうしたことのない私立大学ももちろんありますので,なかなかその全てを私立大学団体連合会として議論ができているわけではありません。
  私の所属している大学等の例で考えてみますと,こうした「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に類したものは既に行っています。高等学校の段階までにきちんと全ての科目について学習ができているかどうか押さえた上で,そして大学へという道を選んでいる。これは一つの例でございます。
  個々の私立大学として,どういうふうな決定をするのかということは今後の課題ではございますけれども,必ずしも高大接続システム改革と別の形をしているというわけではない。基本的な理念としてはそういうところをもう既に持っていっている。我々もそうでございますし,そうした大学も多いだろうと思います。
  一貫教育と言いますけれども,一貫教育というのは,例えば,小中学校,高等学校,大学を通して全く同じ道を通って全て教えていく,全体的なカリキュラム構成を図っていくということではないと私は思っております。つまり,小学校,中学校,高等学校それぞれの段階において責任ある教育を行っていく。そして,それが修了した段階で大学へつないでいく。こうしたそれぞれの学校種に応じた教育を全うしてこそ一貫するのだろうというふうに考えております。
  ただ,今言いましたのは,もちろん私の私見でございまして,日本私立大学団体連合会としてこうした議論を今しているわけではありません。そのことだけは言っておきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
【山極委員】  既に高大接続ができているわけです。きちんとできているという大学もあるわけです。そういう中で改めて,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」をする必要性は余りないのではないかというような意見はないのですか。
【日本私立大学団体連合会】  「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」というよりも,私立大学の附属高等学校等で行っているのは高等学校段階での学力を測るものですから,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に相当するものだというふうに考えています。
それに加えて,更にこの新しい「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施するのかどうかというのは,各私立大学の多様性に応じた判断でなされることであろうと思いますので,そのことに関するコメントは控えさせていただきたいと思います。
【安西座長】  ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。
  私立大学,いわゆる附属高等学校を持っているところも大部分は大学受験で入ってくる学生という大学が多いのではないかというふうに思いますけれども。
  関根委員,お願いします。
【関根委員】  片峰副座長から,個別大学の入学者選抜については,学科・科目試験は継続される,現状と変わらないだろうというようなお話がありまして,これは公立大学,私立大学にも当てはまるのかなとは思いますが,そうであるとすれば,高等学校の教育というのはほとんど変わりません。現状と変わらないと思います。
  片峰副座長のお話の中に,高等学校の指導内容の公開を求めるというようなお話があったのですが,これを高等学校に求めていくとなれば,高等学校は対応するということで変わらざるを得ないと思います。指導内容の公開を求めるということは,具体的にどんなイメージを持たれているのでしょうか。
【国立大学協会】  最初の御質問から。先ほどの質問と同じだと思いますけれども,当面の間という条件付で,やはり学科・科目に関する試験を個別入試に課す国立大学が多く出るだろうと予想されます。しかしながら,最初にも申し上げましたように,国立大学として今回の改革の方向性というのは共有しておりますので,今回の改革で高等学校教育が大きく変わります。現在,大学教育改革自体もアクティブ・ラーニングを中心に新しい人材を育成するために大きく今変えている最中です。そういった意味では,教育改革の方向性が高等学校と大学が同じ方向を向くということで大きな改革になると思います。その間に入試があるということですから,先ほどから申していますのは,大学としては,共通テストの評価がまだできないです。その段階でやはり学力,能力,それから態度の中で,学力をアドミッション・ポリシーの下できちんと入学生には要求していかないと,大学の教育にうまく連結できないというところがございます。そういった意味で,ある程度の期間はやはり残すべきというふうに考えられている学長が多いということです。
  ただ,先ほどの観点から言いますと,今までどおりの個別入試における学力テストを課すということになると,確かに言われるように変わらないです。そこはやはり先ほど申しましたけれども,知識だけではなくて,いわゆる判断力等々の能力にシフトしていくような次第になると思いますし,学力テストと言っても,いろいろなやり方があると思います。ここは各大学が恐らく工夫を重ねてやるのだろうと思います。そういう条件付だということを御理解いただきたいと思います。
  それから,高等学校に対するということなのですけれども,設計されている調査書がどのようなものとして上がってくるかというのは非常に興味がありますし,それを策定するための基本的なデータベースみたいなものができるのかできないのか,基準ができるのかできないか,様々な問題がありますけれども,そういった高等学校における高校生たちの日々の活動,学習の履歴を大学入学の選抜のときに点数として評価しようと思うと,物すごく困難が伴うと思います。基本的に高等学校によってやはり格差がある,要するに取組。その中で出てくる情報ですから,そういった意味では,そういったところの高等学校の指導力みたいなもの,指導体制みたいなもの,そういったものの情報がある程度大学に入ってこないと,正確な評価ができないのではないかということなのです。だから,高等学校の情報公開の仕組みをどうするかというのはなかなか難しいのだと思いますけれども,地域の大学においては,常に交流して行き来するということが非常に大事だろうと思いますし,そこは少し考えなければいけないと思います。
【安西座長】  よろしいでしょうか。
  それでは,恩藏委員,お願いします。
【恩藏委員】  質問と,あとコメントですけれども,日本私立大学連合会の方の御意見に対して少し補足したいと思います。
私の大学には附属も系属もありまして,実は入試というと,10種類くらいの入試を行っています。例えば,一般入試に加えて大学入試センター試験を利用した入試も行っていますし,指定校推薦入試もあるし,附属,系属入試もあります。さらには外国生入試とか帰国生入試とか様々あります。その中で,それぞれの入試で学部として求める人材像が少し違っています。ですので,もし厳密にアドミッション・ポリシーを我々が導入して,それを全て入試に反映して連動させるということになると,恐らく入試ごとのポリシーが出てきて,非常に複雑になるかもしれないという点がまず一つです。
大学として早稲田大学は多様性を以前から重視しておりまして,実は学部の中でも多様性を重視しています。ですので,今後,このアドミッション・ポリシーが実際に動いていくときに,各大学,各学部でどのような形で受け入れていくかは非常に大きな問題になるのではないかと思っています。
その一方で,学部には創設以来の理念があります。それは非常に抽象的なもので,我々の学部ではこんな学生を受け入れたい,こんなふうに育てたい,世の中でこんなふうに活躍してほしいと示されている。それだと多分,今後,不十分であろうということで,私たちも私学の一つで連合会と同じような思いを持っている。画一化を招くようにはならないようにしたいと思う一方で,ただ,厳密にやるとばらばらになってしまうという,そういう可能性もあるということを述べておきたいと思います。
  以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
  よろしいでしょうか。
今のポリシーにつきましては,私の理解では,アドミッション・ポリシーだけではなく,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーまで含めてガイドラインを出していくという,文部科学省側ではそういうふうに考えているというふうに理解しておりますけれども,特に今,恩藏委員が言われた点については,やはり大学に入学した後のカリキュラムが多様な入学の入口というのでしょうか,それに対して多様なカリキュラムをしっかり構築して頂くかどうかということが一つの鍵だと思いますし,更にディプロマ・ポリシーがそれにどういうふうに対応しているのかということももう一つの鍵になるというふうに思いますので,三つのポリシーはみんな関連があるというふうに思っていただいた方がいいのではないか,個人的な見方が含まれますけれども,そういうふうに思っております。
  ほかにはいかがでしょうか。
  よろしゅうございますか。
  それでは,第4グループのヒアリングにつきましては,ここまでにさせていただきます。
意見表明をしていただきました先生方,誠にありがとうございました。
それでは,続きまして,第5グループに移らせていただきます。第5グループは2団体,全国公立短期大学協会,それから日本私立短期大学協会の皆様から意見表明を頂くことになっております。
  よろしゅうございますか。
  それでは,まず,全国公立短期大学協会からお願いをいたします。よろしくお願いします。
【全国公立短期大学協会】  失礼いたします。
  当協会は,会員校全てで17校ございまして,今回の中間まとめにつきまして,全17校から意見を聴取するということを行いました。その結果をお手元の資料7の方にまとめさせていただいております。17校と数が少のうございますので,各会員校から出された意見を,若干の文言の修正はございますけれども,全て掲載させていただいております。したがいまして,そこをよくお読みいただければ,我々公立短期大学が考えていることがお分かりいただけるかと思っております。ここでその中で主立った点だけを申し上げたいと思います。
まず,全体的な方向性といたしましては,おおむね賛成,是とするという御意見があったように思います。ただし,その中で幾つかの懸念なり,あるいは疑問なども提示されましたので,その辺をかいつまんで御紹介をしたいと思います。
  中間まとめの背景と目的のところでございますけれども,まず一つとして,教育の改革だけに負荷を掛けるのではなくて,日本の社会の改革の中でこの改革を考えていくべきではないかということがございます。
  それからまた,学力の3要素が重視されているわけでございますけれども,その中で小中高における総合的な学習の時間,これが学力の3要素を育むのに極めて重要な役割を果たしていると考えられるわけですけれども,その時間が減少したことについての疑念が提示されております。
続きまして,高大接続システム改革の基本的な内容,実施方法のところでございますけれども,まずここでは一つ,高等学校には様々な地域高等学校が存在するので,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を画一的なものにしないでほしいという御意見。
  また,下の方になりますけれども,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,多様な学習成果を測定するツールの一つと位置付けられているが,結果的に唯一のツールとなるおそれがあるという御意見が出ております。
  また,その次の段階を踏まえた着実な実施のところでございますが,新テストをIRT-CBT方式で実施するならば,インフラ整備や作問に時間がかかるので,高等学校と大学の現場に混乱や過大な負担が生じないよう,段階を追って実施されることを望むということでございます。
そしてまた,3ページの上の方になりますけれども,全体的に移行期における心配,懸念が示されているように考えられます。
続きまして,3の高大接続システム改革の実現のための具体的方策のところでございますけれども,高等学校教育改革につきましては,こちらは大学でございますので,高等教育改革につきましては,よく高等学校の関係者の意見を聴取した上で実施されたいということでございます。
続きまして,5ページ目,大学教育改革についてでございます。
  こちらにつきましては,いろいろと御指摘もいただいているわけですけれども,そうしたことは私たちも意識して取り組んでいるところであるということですが,ただ,特に公立短期大学の学生を見てみますと,非常に経済的に苦しい状況の中で入学し,そして学修している学生が多うございます。そういう若者たちが今後も修学し続けられる,そのような改革であることを期待したいということでございます。
また,三つのポリシーにつきましては,その重要性については全ての会員校におきまして認識をしており,賛成であるということでございますけれども,ただ,平成32年度の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入までに時間が少ないという実感があるということでございます。
また,その次の3番の大学入学者選抜改革につきましてですけれども,一つの懸念としましては,受験者が多数に上る大学では実施が本当に可能なのかというところがございます。
  また,先ほどの御議論の中でも出ていたように思いますけれども,アドミッション・オフィスの整備・強化や,アドミッション・オフィサーの育成・確立などは,財政的基盤なしでは実現できないので,この辺の配慮をお願いしたいということでございます。
  また,高等学校の調査様式についてもしっかりと構築をしていただきたいという御意見がございました。
  続いて,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入につきましては,IRT-CBT方式による実施が不可欠なことから,本格実施まで時間を掛け段階的に進む必要があるということ。
  また,三つの学力要素のうち何を試すための出題なのか,出題者はその説明責任を果たす必要があるのではないかという御意見がございます。
  また,その回数につきましては,年2回ぐらいまでが妥当ではないかという御意見。
  それから,「試行実施期間」が教育現場を混乱させないことを期待したいということでございます。
  最後に,9ページのところでございますけれども,ここに中間まとめに対する総合的な所見を掲載させていただきました。
ここに各大学の意見が集約されているように思いますので,少し詳しく申し上げますけれども,最初に申し上げましたように,基本的な方向性には賛成であるということでございます。ただ,学力の3要素を身に付けるためには,特に教師の指導力がポイントになるのではないかということでございます。
  それから,多くの大学から寄せられているのが,具体性に欠けているので,少し分かりづらいところがある,イメージ化しづらいところがあるというところが多いように思います。したがいまして,余り性急にならずに,じっくりと各関係者の意見を聴取しながら慎重に進めていただきたいということが示されていると思います。
  また,関係省庁間での調整も行っていただきたいということでございます。
  大体以上でございますけれども,一番の懸念といいますのは,まだこれまでのところでは具体的なイメージがつかみにくいというところが大きな懸念であり,その辺が示されることによって,公立短期大学協会としても,どのように対応していくべきなのか,その辺の具体的な方向性が見えてくるであろうというふうに考えております。
私からは以上でございます。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
  それでは,次に,日本私立短期大学協会からお願いをいたします。その後で質疑応答とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【日本私立短期大学協会】  私は,東京の青山学院女子短期大学の学長で,日本私立短期大学協会の副会長を務めております八耳と申します。
  短期大学は,文部科学省の学校基本調査でも出ておりますように,全国で345校,公立短期大学は17校,私立短期大学は328校ということで,短期大学のうち私立が約95%を占めております。短期大学は修業年限が2年ないし3年と,修業年限が4年の大学よりは短いですけれども,全国地方都市にまで設置されており,戦後の日本の高等教育を担ってきましたし,現在も担っていると思っています。
【安西座長】  すみません,資料は提出されていないと思いますので,よろしくお願いします。
【日本私立短期大学協会】  そうです。資料を提出しなかったので申し訳ありません。口頭にて説明させていただきます。
  本日は,私立短期大学の一人として,また,個人の立場より意見を述べさせていただきます。
  高大接続システム改革は,高等学校の教育改革,大学の教育改革,大学入学者選抜方法の改革から成り立っていると理解しておりますが,入試について申しますと,現在,大学入試センター試験への私立短大の参加数は144校で(平成27年度),私立短大の44%に当たります。現在,全国の短期大学は,この大学入試センター試験のほか,AO入試,推薦入試,そして一般入試で合否を決めております。
  短期大学の特徴といたしましては,関係学科別の学生数を見ますと(平成27年度学校基本調査速報値),教育が37.8%,家政が18.5%,保健が9.8%になっており,これらで66.1%と3分の2を占めています。教育とは,保育士や幼稚園教諭の養成を目指すものであり,家政は栄養士ほかの養成を,保健とは看護師ほかの養成となりますが,これらの分野は「適性」が将来にわたって重要であり,学力を見る一般入試より,求める学生像を示し,面接を行い,AO入試や推薦入試で合否を決めているケースが多いです。したがって,大学の三つのポリシー,特にアドミッション・ポリシーは認証評価と連動するまでもなく,社会に公表して学生募集を行っているのが短期大学であります。日本私立短期大学協会の平成26年度の学生生活調査委員会の調査によれば,短期大学に進学した理由のトップは,「取りたい資格が取得できる」でありました。各校でもこの目的のため,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーを定めており,授業も一方的な教育でなく,アクティブ・ラーニングを取り入れ,学生にこたえているのが現状であります。
  今回,学力の3要素として,知識・技能,思考力・判断力・表現力,主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度が,これからの全く質的に新しい社会にとって必要で,これらの力を高等学校教育から大学教育まで一貫して育成を目指し,それを評価する新テストとして,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を実施するというならば,最初に述べたいのは受検料のことであります。本日の配布資料3で,全国高等学校PTA連合会からもお話があったようですけれども,低廉に設定するよう「中間まとめ」で提言されておりますけれども,より積極的に導入しようとするならば,受検料については大いに考慮してほしいということをお願いしたいところであります。短期大学に来る学生は,4年制の大学も同じかと思いますけれども,現在,経済的に困窮する学生がたくさんおります。それは高等学校にも見ることができます。そういう中で,今回の試験は,今まで特別な受験というものから,複数にわたって,決してステップアップへのための試験ではないということを考えるならば,受検料について特段の配慮をお願いしたいということであります。
  高等学校は義務教育ではありませんけれども,「中間まとめ」の9ページでも,「高等学校については,中学校卒業後のほぼ全ての者が,社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付けることのできる最後の教育機関」と位置付けられており,この学力の3要素を全国の高校生が身に付けることを目指すならば,低所得者への支援というものを超えて,より大きく広く定着するような制度設計を考えていただきたいところであります。
さらに,高等教育へと生徒たちを誘導するというならば,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」についても,現在,様々利用を考えているというふうに承知しておりますけれども,これについても受検料について御配慮を願いたいです。
  受検する高校生を応援し,チャンスを増やすというのは,社会とっても望ましいことと考えます。高大接続改革答申において,大学入学希望者に挑戦の機会を与えるとともに,資格試験的利用を促進する観点から,年複数回実施することが提言されており,できるだけ受検しやすい環境整備の方策に努めていただきたいと思います。
  他方,学力の3要素とされた知識・技能,思考力・判断力・表現力,主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度が今後の新しい社会に必要なことは理解いたしますけれども,これを日本の教育機関の共通の目標とされることにあっては,慎重であってほしいと願います。
例えば,芸術系の短期大学がありますけれども,在学生や卒業生に望まれる力は,この3要素に収斂されるものではありません。学力と言った場合,様々な方向性を持っており,社会がそれを認めないならば,それは社会の可能性を減じることになります。
  以上,簡単ですけれども,私立短期大学といたしましては,現在,高大接続について積極的に受け止める一方,今,議論を進めているところであり,本日は簡単ですけれども以上の報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【安西座長】  ありがとうございました。
  それでは,質疑応答とさせていただきます。
  委員の方々,何か御質問等あれば,頂ければと思います。
【小林委員】  それでは,いいですか。
【安西座長】  小林委員,お願いします。
【小林委員】  どうもありがとうございました。
  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けについて,先ほど来,全国高等学校校長会の方から,あるいは全国高等学校日本PTA連合会の方から,主たる目的が生徒の学習意欲の喚起と学習の改善及び高等学校における指導改善に生かすことというのが主たる目的であって,副次的な活用策として進学時の活用というのが言われていて,これが二つあることがどうかというような意見が出されました。どちらかというと,聞いていた感じでは,やはり高等学校の質の保証の方に力を置くべきではないかというような議論が先ほど来されていたと思います。先ほど,公立短期大学協会の方の中に,例えば,2ページのところに,上から三つ目の四角では,「「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を画一的なものとしないでほしい」とか,あるいは,(1)の上の星の方ですが,「「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,「多様な学習成果を測定するツールの一つ」と位置付けられているが,結果的には唯一のツールとなる恐れがある」とか,あるいは6ページ目の下に,「本学の推薦入学試験でも将来,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を活用できればと期待している」というような表現が書かれていました。短期大学の方では,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けは,どのように議論がされていたのかということを教えていただければというふうに思います。
【全国公立短期大学協会】  特にここについて,私どもの協会で議論しているということではないのですけれども,こうした意見が出てきた背景には,そもそも「高等学校基礎学力テスト(仮称)」がどういうものなのか,その辺がまだよく理解されていないというふうに思いますので,その辺を明確にしていただければ,私どもの誤解もとけていくというふうに思っております。
【小林委員】  ありがとうございました。
【安西座長】  ありがとうございました。
【日本私立短期大学協会】  よろしいでしょうか。
  本日の問題になっています「中間まとめ」でも,AO入試や推薦入試というのは学力不問であるとされているというような状況が書かれておりました。先ほど,短期大学を選ぶ学生の意識を述べましたが,かつては高等教育を担ったわけですけれども,今や特定分野での,資格を目指したものになっており,その学生集めということで,ともすれば高等学校の基礎学力が十分確認されないまま,面接等で合格させている現実があります。そういう意味で言いますと,今回の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」というのは,本当は高等学校での教育の改善に貢献するというふうに考えられますけれども,質保証というのでしょうか,そちらの方に注目しているというところがあることは否定できないところであります。
【小林委員】  ありがとうございます。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。
  山極委員,お願いします。
【山極委員】  先ほど御説明がありましたが,保育士さんとか,看護師さんとか,教育の方に半分近くの学生が資格を取ることを目標に入ってくると思います。そうすると,2年という短期ということもあって,現状としては,試験の内容がそれほど多岐にわたるものではないのではないかという気がするのですが,私も現状を把握しているわけではないですけれども,今回行われることになっている「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,それから「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」というのは,かなり総合的な判断をします。そういうことが短期大学に入る際にも非常に有効である,必要であるというふうにお考えなのか,今,現状で,例えば保育士さんになりたいと言っておられる方々が,入学する際に,それほど広い学力をきちんと確かめる必要があるとお考えなのか,その辺をお聞きしたいのですけれども。
【日本私立短期大学協会】  現在,保育士あるいは幼稚園教諭の養成校は,かつて短期大学が主流でありましたけれども,ここ数年のうち4年制大学が伸びており,専門学校,短期大学,4年制大学,それぞれで保育士あるいは幼稚園教諭になっているという現状があります。今後ますます4年制大学で学んだ幼稚園教諭あるいは保育士の方が増えていくのだと思いますけれども,例えば,専門学校と4年制大学卒業の保育士さんとどう違うかと言ったときに,やはり総合性,保育士になられた後,どういうふうに育っていかれたと考えたときに,やはり4年制の方がいろいろといろいろな分野に応用できる,総合的に力を持っているというふうに評価されている現状があります。それを考えますと,短期大学であったとしても,高校時代に幅広く物事を考えていくという力を本来持っていないと,短期大学で2年間,集中的に専門的な教育を受けたとしても,より発展しないのではないかと考えると,短期大学の本来の在り方としては,実務だけに終わるのではなくて,総合的に子供の未来も考えることができる学生を育てるのが本務であり,総合性というものを重視しているというのは事実だと思います。
【全国公立短期大学協会】  公立短期大学協会で申しますと,人文社会系の学科が多うございまして,学生数で見ましても,半数以上がそういう学科に所属しております。ですから,特に資格を目的に入学していない学生が結構多いということでございます。そういう学生につきましては,やはり総合的な判断力・思考力などが要求されると思いますので,今回の改革については大いに関係があるというふうに思っておりますし,また,中には資格を目指す,保育士,看護師,あるいは栄養士が多うございますけれども,そういう資格関係の学科もございますが,高等教育機関であるということから,ここで言われているような三つの学力については,入学時に是非アドミッション・ポリシーの中にも加えていきたいというふうに考えております。
以上です。
【安西座長】  よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。
  よろしゅうございますか。
  それでは,第5グループのヒアリングはここまでにさせていただきます。お忙しい中,先生方,ありがとうございました。
  それでは,5つのグループのヒアリングが終わりましたけれども,全体的に委員の皆様から御意見を更に伺えればと思います。特にきょうのヒアリングの内容につきまして,御意見,御質問等おありの方はお願いできればと思います。
  羽入委員,お願いします。
【羽入委員】  ありがとうございます。
  皆さんの報告,御意見を伺っておりまして,この会議が開かれた最初の頃のことを少し思い出していました。全体に共通して言えることは,私だけかもしれませんけれども,具体的なイメージがまだつかみにくい状況にあるのかなという気がいたします。それに対するある程度のスケジュール感で何らかのものを提示することが必要ではないかと思いました。
  それからもう一つは,これまで長い期間行われてきました大学入試センター入試の実績はある程度評価をされているのではないかと思います。可能かどうかは分かりませんが,大学入試センター入試の検証が何らかの形でなされると,それによっても少しイメージが付きやすいのではないかと思います。
同時に, AO入試は,私立大学の方でも,あるいは国立大学でもかなり力を入れて大学改革として行ってきたところがあると思いますので,それについての検証といいますか,そういったことが少し明らかになると,新しい入試改革の姿もより現実的で身近なものになってくるのではないかという印象を持ちました。ありがとうございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
  具体的なイメージのことは全くおっしゃるとおりで,これにつきましては,今,文部科学省の方で,また新テストワーキンググループの方で相当の具体的な検討をしていただいているところだというふうに理解しております。
  岡本委員,よろしいですか。岡本委員がワーキンググループの座長でいらっしゃいますので。
【岡本委員】  おっしゃるとおりで,そのことは十分理解しております。確かにそういうことは必要だということですけれども,多面的に議論を,もう少し時間をくださいということになろうと思います。
  ただ,私としては,出来得れば完成形ではなくても,サンプルというか,こんな感じですよというようなものができてくれば,皆さんに分かりやすいのではないかとは思っています。
  発言したついで少しよろしいでしょうか。いろいろ御意見を伺っていて,入試が多様であるということが議論に出てきたのですけれども,実際に大学が入学試験を行っている個別入試,いわゆる一般入試です。この中身を高等学校の先生方は重々御存じのとおり,これまた多種多様でございまして,非常に大勢の学生の人を短期間で見なければならない超大規模な大学と,ある程度大きくても,時間を掛けてじっくりと見る大学では,当然,出てくる問題が同じ教科の名前がついていても,もちろん入試だから基本は教科型でやらないと指導要領にもありますから,だけど,中身は全然,同じ教科型でも違うということは当然なことはあると思います。
  学力も,過去にいろいろな考え方があろうと思いますけれども,私はこれだけは一言申し上げておきたいのは,ある非常にハードな仕事があって,それをやり遂げなければいけない。それをやったことによって力を付けてその次にまた進んでいくという力というのは当然あろうと思います。これは高等学校だったら学力と言ってもいいのですけれども,それと同時に,そのある仕事にかかるために身に付けておかなければならない,多分高等学校だったら基礎的な知識とか何とかということがあって,両方大事だということは,もう皆さん重々御存じだと思うのですけれども,ただ,学力の議論のときにときどきそれがあっちへ行ったりこっちへ行ったりで,こっちが軽視されるのではないか,こっちが軽視されるのではないかというようなことがあるという,本日,私の印象を持っていたので,ここで一言明確にしておいた方がいいのではないですかということで発言しました。
  羽入委員のおっしゃるとおり,頑張りますということで。
【羽入委員】  そういうつもりで申し上げたわけではないのですが。
【岡本委員】  いやいや,いいです。
【羽入委員】  大変だと思っております。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。
  今,羽入委員が言われた大学入学センター試験の検証ということにつきましても,本当に自分から考えて行動していける力を本当にしっかりした知識の上で身に付けていくという,そういう時代の方向性にマッチしているかどうかという,そういう非常に大きな命題から,一方でマークシート方式がどういう影響を与えているのか。あるいは,出題者あるいは大学の先生,高等学校の先生方から見たときに良問だと言われている大学入学センター試験の問題が,受験生の方で一体そういうふうに解いているのかどうかということです。そういうことを非常にいろいろなレベルで評価の仕方はあるのではないかというふうに思います。これは検証していくべきだというのはおっしゃるとおりだというふうに思いますけれども,並行して走っていかなければいけないのではないかというのが,個人的な,感覚で申し上げるといけないかもしれませんけれども,そういうふうに考えているところでございます。
【羽入委員】  検証してから次の段階というふうに思って申し上げたのではなくて,やはり当時進行が必要かと。
【安西座長】  それから,AO入試につきましても,AO入試を早期に学生を確保するために実施をしているところがなきにしもあらずという一方で,羽入委員がおっしゃるように,やはりAO入試を積極的に使っている大学も,それはおありになりますので,そういうことについては,文部科学省の方でもいろいろ調べて,いろいろなところでアピールはしていただいておりますけれども,まだまだ足りないかもしれないなというふうに,アピールはもっと積極的に入学者選抜あるいは教育についても積極的に進めている大学も多々ありますので,そういうところをバックアップしていかなければいけないということもそのとおりだというふうに思います。
  では,関根委員,それから山極委員,お願いします。
【関根委員】  本日の御説明の中で,履修主義から習得主義に変えていくべきではないかという御意見がたしか2回出てきたのかなと思っているのですが,私どもが小中高の現場を抱えていて,履修主義から習得主義,簡単には変えられないと思っています。ただ,感覚としては大事だなと思っています。
そういう中で今回の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,私の理解では高等学校の基礎学力テストなのですけれども,小中も含めてきちんと学力を付けていく,保証していくという中での基礎学力テストだと思っています。そういった意味では,全国学力・学習状況調査もこの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」につなげていくような形で変えていくべきではないかと思っています。そういう中で,力をきちんと付けていく。ただ,小学校段階,中学校段階で全部一定程度の到達度というのでは無理だと思います。無理ですけれども,それを例えば高等学校はできていない子も引き受けながら,その子たちをまた力を伸ばしていく。そういう小中高全体で子供たちの力を付けていこうと,そういうふうな流れを作っていくものが「高等学校基礎学力テスト(仮称)」なのではないかと思っています。これが履修主義と習得主義の中間に当たるといいますか,単純な履修主義でもないし,完全に習得で,これができなければ進級できないということではないのですけれども,小中高でそれぞれの子たちを伸ばしながら見ていこうと,その見るテストとして「高等学校基礎学力テスト(仮称)」があるというふうに考えることができます。今後,単純な履修主義と習得主義ではなくて,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をそういう観点から見て,そういうことを大事にしていくということを国民全体にもアピールしていくということが大事なのではないかと思っております。
【安西座長】  ありがとうございました。
  小学校,中学校,特に中学校,高等学校の接続等々については,先ほどのヒアリングでも幾つか出ておりましたけれども,このあたりのところについては,中央教育審議会でもいろいろ議論はされているかと思いますけれども,文部科学省からはいかがでしょうか。
【今井主任視学官】  失礼いたします。ただいまの御質問で,義務段階と高等学校段階の件につきましては,高大接続の中間まとめの中では,特に「高校学校基礎学力テスト(仮称)」については義務教育段階の学び直しもしっかり見られるようなテストに作り込んでいこうということまでは現在いただいておりますので,我々としては,まず「高等学校基礎学力テスト(仮称)」で義務の学び直しも含めて,それから高校生として必要とされる基礎的な知識・技能等々を見ていける,そういったものを制度設計していくことをまず目指していきたいと思います。
  その上で,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と「高等学校基礎テスト(仮称)」については,その性格がある意味悉皆(しっかい)で公費を投入して全国一律でやっていただいている小中学校のテストと,それから,学校単位もしくは希望であれば受けられるというかなりフレキシブルなテストとして基礎テストを設計しようとしておりますので,この接続についても常に意識しながら,それぞれの役割,目的も念頭に置きながら,更に事務局としても検討・検証を進めさせていただきたいと考えております。
【安西座長】  よろしいですか。
【関根委員】  こちらで議論することではないのですけれども,全国学力・学習状況調査も変えていかないと,正直申し上げて,あれは個別の子供たちの学力保証には使えません。あのテストは悉皆(しっかい)でやるのは非常に無駄をしているかなと思います。悉皆(しっかい)でやっている以上,個別に子供たちを把握できれば,その子たちの学力を伸ばしていくことでの調査に使えます。高等学校での「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は悉皆(しっかい)ではありませんので,直接は結び付かなくても,基本的な考え方として,子供たちにきちんとした学力を付けていこうという部分では同じ形で作れるのではないかというふうには思っております。
【安西座長】  その目的とは別にいたしまして,いわゆる全国学力・学習状況調査のやり方というのでしょうか,それは参考になるのではないかというふうに見ておりますけれども。
  山極委員,お願いいたします。
【山極委員】  本日,朝に別の会議があって,高等学校の方の御説明は聞き逃しました。今おっしゃられたことは非常に重要だと思っているのですが,一方で,私は大学の教員として大学生を見ていますと,親からの自立がまだ悪いです。自分で考える力はあまり付いていない。自分の将来を自分で見付けるということもなかなかできないという状態です。この二つの学力テストは,高等学校の段階でやはりきちんと自分の学力を見つめ直すいい機会になる可能性がある。ただし,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」というのは,個人評価をしないわけです。つまり,教育の改善につながるためのテストであって,個人に還元しないわけですから。ただ,総合的な評価をこれからしていこうという姿勢なわけですから,高校生が自分が何に向いているか,あるいはどういう能力を高めていきたいのかということを自覚的に納得できるような仕組みをどこかで推進しないといけない。せっかく「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施したとしても,自分で自分というものをきちんと見つめ直す契機にならない。
  今年度,私の大学では特色入試を始めました。これはそれぞれの学部が高校生の「学びの設計書」というのを出してもらって,高校生が大学で何を学びたいかということをきちんと捉えてくれた上で特色入試を通して高校生の実力を判定し,入学させようという試みです。これは入学試験を多様にしましょうという呼びかけに応じて,国立大学でも各大学がいろいろ工夫をしているところです。それとうまく,この二つの一斉テストが連動していければと考えています。
ですから,先ほど,片峰副座長がおっしゃったように,国立大学の方で一般入試をまだ当分の間継続したいと言っているのは,今いろいろな努力をして多様化している大学独自のテストと,この一斉テストがどうかみ合うか,まだよく分からないからないからです。大学側として高等学校の質保証と質改革で申し上げたいのは,やはり考える力,自分を見つめる力をきちんと付けてほしいということです。実際,選挙権が18歳からになりますし,だんだんと高校生が自立的な考え方を身に付けなくてはならない時代に差しかかっています。ですから,そういうところをきちんと見据えながら,教育の質保証を教育者の面から見るのではなくて,学生の目線に立って,自覚的な自分の学力を見つめ直すような機会をどんどん増やしていくという形につながっていってほしいと思っていますが,高等学校の先生方はどう思っていらっしゃるのでしょうかということをお聞きしたいと思いました。
【安西座長】  今の山極委員の言われたことは,全くおっしゃるとおりだと思います。むしろ今言われたことを進めるために,この改革をやっているのだというふうに認識しておりまして,特に大学へ入学するとき,あるいは高等学校を卒業したときには,一人一人が一人前であってもらいたいと,そういうふうに見ておりますので,これはどうもテストということで一本化,日本の今までの文化だったと思うのですけれども,一本の尺度でそこをどうするかという議論に集中しがちで,やはり多様な力を持ったそれぞれの若い人たちが多様に伸びていくということをどうすれば応援できるのかということが,この改革の一番基本だというふうに見ております。その中でそれぞれの大学がそういう意味で入学者を選抜していただけるということを,そういうふうに一生懸命やってきた高校生を見ていただけるということを念頭に置いた上で,それと双方的な意味でこの大学のテストをどうしようかということを検討しているというふうに見ているわけでございます。少し長くなりまして申し訳ありません。
【安西座長】  それでは,順番に香山委員,乾委員,それから片峰委員にお願いします。
【香山委員】  山極委員が先ほどおっしゃったことですが,たまたま手元に京都大学の教育学部の推薦入試の要項があるのですが,高く評価していまして,特に「学びの報告書」と「学びの設計書」を第一次選考で課すという中で,「学びの報告書」の中で,活動の中で最も重点を置いた三つの活動について,その名称や種別,具体的内容,関与の程度,1回の活動時間,週当たりの日数,継続時間等,あなたがその活動で生み出した成果やあなた自身にとっての意義を記述してくださいというふうに「学びの報告書」にはあるのですけれども,高校生にとって,自分がやってきたことを単に書くだけではなくて,それがどういう意義があったのかということを振り返らせて,まさに自己評価をさせていく,こういった機会を,入試はもちろんですけれども,高等学校でも大切にしていきたいなというふうに思っておりますので,この学力の3要素を小中高大で貫いていくというこの改革は,非常に期待感を持っています。
  本日,関連して「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について,悉皆(しっかい)とか,いろいろ出ましたけれども,やはり「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の方は,質の保証,そこの部分にしっかり軸足を置いて,入試で利用するというのは本当に先のこととして考えていただいて,まずは基礎のプラットフォームをしっかり保証していく,そういう体制を急いで作るということが我々の任務かなというふうにも思っております。
  一方,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の方は,学力の3要素のうちの思考力・判断力・表現力の部分をしっかり見ていただいて,ある程度そこの部分を把握できるような入試にしていく。さらに個別の入試においては,先ほどの「学びの報告書」とか「学びの設計書」に見られるように,本当に多様な入試を各大学でやっていただけたらなと,子供たちが自分の適性・能力に合う大学はどこだろうとわくわくしながら探して挑戦できる,そういった入試になっていけば,これまで発掘できなかった才能を発掘する機会が増えていくのではないかというふうに期待感を持っております。よろしくお願いします。
【安西座長】  ありがとうございます。
  毎回個人的にで申し訳ありませんけれども,やはりそういう方向に向けてこの改革をやっているのだというふうに私も理解しております。
  乾委員,お願いします。
【乾委員】  ありがとうございます。
  私は,専門が情報科学でございまして,その観点から,記述式の試験の実施方法等に関して,別途検討をお手伝いさせていただいているところです。
その観点からですけれども,本日いろいろなヒアリングの中で,CBT-IRTについては何回か言及がありましたけれども,余り記述式については言及がそれほどなかったように感じます。今回の新テストの大きな,外形的なことだけではないのだと思いますけれども,大きな柱の一つがCBT-IRT,それからもう一つが記述式ということで,知識・技能に加えて思考力・判断力・表現力を問う方法として記述式というのが上がっているのだと思いますが,一方で,記述式を実際にやるとなりますと,評価,採点のコストは本当にかなり大きくなる,実際にそれをどれだけの期間でできるか,たくさん検討しなければいけない項目があるのですけれども,そのコストを払ってでもやる価値があるのだということを常に何度も確認していく必要がやっぱりあるのかなというふうに感じておりまして,質問は,高等学校の教育の関係の方々に,記述式,これもフィギュアスケートで言いますと芸術点のようなものを,主観的なものを聞くような問題と,それからもう少し客観的なことなんだけれども,選択式ではなく記述でそれを聞いていく,そうした技術点を聞くというような,そこにもまた大きな違いがあるのだと思いますけれども,当面は芸術点を評価するのはなかなか客観的には難しいですので,技術点を評価するような問題になっていくのだと思います。その上で,そうしたことを前提としたときに,高等学校教育に新テストの中に記述式の問題が入っていくということは,高等学校教育のやり方等について,どういうインパクトが起こっていくか,どういう影響があり得るか,それは我々,ポジティブな影響を期待するのですけれども,それはどれぐらい大きいのかということ。それから,逆に言いますと,記述式の問題にどういう期待をするかということにつきまして,もちろん新テストワーキンググループの方でも検討されていると思いますけれども,この場で先生方,関係されている方に少しお伺いできればと思います。
【安西座長】  ありがとうございました。
  今の件についてはいかがでしょうか。長塚委員,お願いします。
【長塚委員】  記述のテストができるということは,もちろん歓迎です。思考力・判断力・表現力を付ける指導の結果を見るということのために,テストがそのように変わっていくというのは,それを意識した指導につながっていきますから,できればそうしてほしいと思うのですけれども,複数回の試験をやるというようなことを考えていったときに,あるいはIRT化するというときに,そういうことが本当に可能なのだろうかと,むしろ現場としては心配をしています。ただ,英語については外部の検定試験が先行して今取り組もうとしています。あれはアルファベット文化の諸外国で実践されておりますので,英語については記述,ライティングも,あるいはスピーキングも時間を掛けて外部検定でやれるのだろうとみています。それが今回,英語だけが先行している理由だと思うのですが,しかもCBTでもできるわけです。IRTも成立している。しかし,他教科においては,本当にできるのだろうかと,そういうある意味懸念と,新たな問題作りの負担というものに高等学校現場も,あるいは大学の先生も巻き込まれるわけでございますので,そういう懸念をむしろ持っているという状況かと私は思っておりますが。
【安西座長】  宮本委員,今の件についてお願いします。
【宮本委員】  やはり記述の試験が導入されてくると,当然それに対する教え方も変わってくると思います。表現力とか,考えをまとめる力とか,それこそこれからの時代に必要な力をしっかり持っていないと,やはりきちんと書けないですから。私は,入試はヒドゥン・カリキュラムだと思っています。つまり,陰の教育課程だと思っていますので,そういう方向に流れていけば,当然やはりそういうふうに教育も,教える側も意識をせざるを得ないと思うし,それはむしろいい方向ではないか。ただ,今,長塚委員がおっしゃったように,それを限られた入試の時間の中できちんとできるかどうか,また,技術的な問題ではありますけれども,方向性としては,私はむしろ歓迎すべきだというふうに思っています。
【安西座長】  ありがとうございました。
  香山委員,お願いします。
【香山委員】  私も記述式は非常に効果があるなというふうに思っていまして,それによってはかれる学力が全体の学力のどの程度のものなのかというのは,もちろん数が少なかったら程度はしれているかもしれませんが,やることに非常に意味がある。
我々現場では,記述式を採点するときには,基本的にルーブリックを作って,この要素が満ちておれば3とか,あるいは,更に加わっておれば4とかという形で記述式は評価していきますので,公正なルーブリックがあるならば,それも数値化しやすいでしょうし,勉強する指針も出てくるのではないかと思いますし,何よりも生徒が評価眼を鍛えていけるチャンスが広がってくるのではないか。つまり,どういう答案を書いていく,という表現にすれば,より相手に伝わるものになるのかということを考える機会が恐らく現場でどんどん広がっていくのではないかと思いますので,記述式には期待しております。
【安西座長】  ありがとうございました。
  山本委員,いかがでしょうか。
【山本委員】  高等学校現場の先生方から言うことは,私もそう思います。これは先ほど乾委員も御発言されたことと関連するのですけれども,全国共通50万人が受ける統一テストでそれを導入するコスト,金銭的なものだけではないですけれども,人的なものも含めてですけれども,そういう方向で本当にできるのかということについては,よほど工夫をしないといけないと思います。入学者選抜に導入するというのは非常にいいことだと思います。
ただ,この委員会でも中央教育審議会でもそうなのですけれども,入学者選抜と言ったときに,それぞれの個別大学でやられる試験,これと現在で言いますと大学入試センター試験,この両輪で入学者の選抜だと思います。ですから,50万人を対象にした試験で,現在のような選抜のスケジュールの中でやっていこうということになりますと,どうしても今までやってきたような多肢選択式で,その中で思考力・判断力,表現力を問うような問題を随分作題の先生方に工夫をしていただいています。先ほど,検証という話が羽入委員から出ましたけれども,検証は毎年高等学校の先生方も含めた形で,試験が済んだ後,2か月ぐらいかけて出していただいて,これも公表もしております。このぐらいの分厚い,先生方は見られたと思いますが,設問ごとにやっておって,そういったことがどうも我々の力不足もあって,十分にそれを周知できていないというところもあったかもしれません。
  そういう意味で,記述でいろいろな力を見ていくということは非常に大事なことだというふうに私も思うのですけれども,今の共通テストのスケジュールの中でこれを入れていくということは,どの程度までできるのかというように思っております。ただしかし,そうは言っても,我々としてもいろいろなそれに向けた研究開発も現在やっておりますし,これは乾委員にワーキングの方でいろいろ御苦労いただいていると思うのですけれども,何か工夫をしないといけないということはあると思います。ただ,もう一度個別大学の試験の在り方を,それぞれその中にそういうものをもう既に随分入れておられる大学もあるのですけれども,もっともっと入れていくというようなことについての提言というか,この委員会からの発信というものがあっていいのではないかというふうに思います。
いくらかまだまだ言いたいことはあるのですけれども,時間もございませんので,特に記述のことに関してはそういうことです。
【安西座長】  ありがとうございました。
  今の記述式の問題について,私の現状の理解を申し上げますと,今,多くの方がおっしゃったように,やはり必要だろうと。また,個別大学の入学者選抜では,例えば小論文でありますとか,いろいろな形で非常に大きくそのことは取り上げられていくだろう。ただ一方で,思考力・判断力・表現力等々を,ある意味,国の方のテストでも見ていくためには,ある程度,記述式の問題を入れていく必要があるだろうという現状の理解ですけれども,その中で,技術的に難しいというのはおっしゃるとおりでございまして,それがどこまでクリアしていけるのかどうかということを,やる必要があるという立場に立って,どうすれば技術的な課題をクリアできるかということの検討を,今, 文部科学省側でも進めていただいているという,そういうことが現状ではないかというふうに思います。
【山本委員】  今,安西座長が言われたことは十分理解しているつもりでございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
   大学入試センター試験につきましても,やはり先生側がいい問題だというふうに言われているものと,受験生の側がどういうふうに解いているかということの間に,本当にそれが一致しているのかどうかということは大事なポイントではないかというふうに思っておりまして,大学入試センター入試が駄目だとか,そういうことを申し上げているわけではございませんので,今まで本当に大学入試センター試験のおかげでといいましょうか,今まで日本の教育がここまで来たということは紛れもない事実だと思います。むしろこれからどうすればいいのかということだというふうに見ております。
ありがとうございました。
それでは,片峰委員,お願いします。
【片峰副座長】  今後,最終報告に向けてということになると思うのですけれども,やはり改革の実現,実施を見据えて,課題を一つ一つ解決していく非常に重要なプロセスに入ると思います。さっき私が発言したときに,国立大学協会としては,そのプロセスに積極的に関与する用意がありますということを申し上げました。そろそろその制度設計のところにステークホルダーが適切に関わるという形を作った方がいいのではないかというのが私の提案です。もちろんこの会議に上ってくる前の検討段階ということです。
  国立大学協会で言いますと,まずはやはり3ポリシーのガイドラインは非常に気になります。最も重要なポイントは,新ルールというものです。この新ルールの制度設計。先ほどから少し御議論がありますけれども,国立大学がなかなか一般入試,個別入試での評価テストを捨て切れないのは,やはり今,制度設計されている「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」なるものが全然見えないからです。
なかなか事務的にもオープンにしてやるというのは難しい部分もあるのかも分かりませんが,やはり国立大学協会のそういった部分に関する組織的な関与も含めまして,適切にステークホルダーが関わっていくというプロセスを考えていただいた方が,改革の実現,実施に向けてはいいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
【安西座長】  文部科学省はいかがでしょうか。
  現状のいろいろな作業,議論が進んでいる中で,今,片峰副座長がおっしゃったことについて。
【塩見大学振興課長】  ありがとうございます。
御指摘のとおりでございまして,国立大学協会をはじめとするステークホルダーの皆様の御意見を十分に伺いながら検討する必要があるというのは当然のことだと思っております。
  先ほど来,少し御紹介頂いておりますように,現在,この中間まとめを踏まえて具体的に「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」等々を実現していく際の制度設計あるいは実施方法等について,どういうことであればできるだろうかという実現可能性の部分を含めてシミュレーションしましたり,議論している中でございます。その際にもいろいろな形で実は国立大学の関係の皆様のお力もおかりしたりしながら進めているところではございますけれども,今後,本システム改革会議での議論はもちろん,これを大前提としながら,多くの方々に関わっていただいて,多様な観点を含めた形で関係者の皆様が御納得できるような制度設計ができるように,我々事務局としても留意して取り組んでまいりたいと思いますので,どうぞまたよろしくお願いいたします。
【安西座長】  できればオフラインで相談して頂くようにしたいと思いますが。
【片峰副座長】  国立大学に所属する個人としての有識者の教員が関わっているのは私はよく知っています。だけど,やはりその情報が国立大学全体に出てこないです。だから,どのポイントからがいいかというのはなかなか難しいこともあるし,どの部分というのもあるのですけれども,やはり実現可能性とスムーズな改革の実施等々ということを考えられるのであれば,ステークホルダーとしてきちんと参画して物を言って,その制度設計の中で,悪い言葉で言うと,一蓮托生(いちれんたくしょう)になって頑張るというのが僕はやっぱりいいのだと思います。そういったことを考えてくださいということです。
【安西座長】  そろそろそういう時期に来つつあるということは,そのとおりだと思いますので,御検討頂ければというふうに思います。
ほかにはいかがでしょうか。
  今,片峰副座長が言われたこと,それぞれの国立大学協会あるいは私学もそうですけれども,いろいろ現実の課題は抱えておりますので,そういう方々と一緒に改革をどうやったら進められるかということを一緒にやっていくということ自体は非常に大事だというふうに理解しております。
よろしければ,このあたりまでにさせていただきますが。
  それでは,本日も大変貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。ヒアリングについても生かさせていただければというふうに思います。
  それでは,次回の日程について,事務局からお願いします。
【新田主任大学改革官】  次回につきましては,調整の上,追って御連絡させていただきますので,よろしくお願いいたします。
  また,本日は長丁場でどうもありがとうございました。本日は,御昼食を御用意させていただいておりますので,お時間ある方はお召し上がりいただきますようよろしくお願いいたします。
【安西座長】  それでは,よろしゅうございますか。
  それでは,ここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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