検討会(第1回)における各委員からの主なご意見
※本資料は、検討会(第1回)の場における委員の意見について、事務局にて要約したものです。
(男女共同参画の在り方に関するご意見)
- 日本はまだまだ男女共同参画になっていないということは事実。大抵の企業において女性管理職は、だいたい部長クラスに留まっている。
- 日本の最大の問題は、従来からの男性による均質な社会ではなく、いかに多様な活力を得て日本として、新たな成長力を得るかということ。
- この国の形として多様な能力を駆使していくことが重要。その取組の一つとして従来からの女性問題への対応がある。
- 国民の半分を占める女性の能力が発揮されず、感性が取り入れられず、また抱えている問題が提起されず、労働力としても十分に活用されず、という形で進んでいるこの国のあり様というのは相当な大きなひずみが生じてきていて、社会、経済、そして国際的な評価としても問題を抱えてきている。
- 「ワークライフケアバランス社会」においてワークの部分において女性が本当に経済的に自立できる社会をつくらないと超高齢社会を乗り切れない。
- 男女共同参画を戦略的に進めるときの鍵は次の3つ。
1.義務教育のカリキュラムの在り方。常に単一の解があるという正解主義を改め、クリティカルシンキングをいれていかないと多様性を認めようという社会はつくれず、女性の社会進出もない。
2.働く現場で時間をずらすことが必要。働く時間をずらせばもっと一人一人が尊重され、女性も働きやすい時間をとれるはず。休暇も企業の中で一斉にとらないほうが女性は働きやすくなる。
3.夫婦のあり方。日本の夫婦は、夫の価値観、妻の価値観それぞれで動いているので、夫婦の「二人主義」の価値観に編集されていない。二人の多様な価値観をすり合わせながら生きていくということを日本人のライフデザインに加えていかないといけない。
- 男性と女性の高等教育のギャップが大きいのは日本と韓国。娘より息子に教育費をかけるなど家庭の中でまだ差別意識がある。国が女性の教育にお金をかけていくことは絶対に大切。
- 以前と比べ、女性たちの意識は啓発されている。女子学生を見ても自分たちの能力が男性より落ちるというような引け目はほとんど感じていない。問題は企業、働く職場だ。経営者、中間管理職の方たち、男性に対する啓発がまだまだ足りない。
- ポジティブ・アクションの結果、逆に女性を退出させることになってしまった例もある。非常に難しいところではあるが、ポジティブ・アクションというある意味劇薬をもってやっていくという国の意思があれば、相当変わっていくと思う。
- 女性が就労によってきちんと待遇され、そのためのワークライフバランスや育児等の条件を整備することが男女共同参画に関する基本の「き」だと思っている。
- 男女共同参画に敏感でないのは政界と官界。ヌエックが「女性と仕事の未来館」(働く女性、働きたい女性の支援等)の視点を継承して広げていただきたい。企業が変われば日本は変わると思う。
(国立女性教育会館に関するご意見)
これまで果たしてきた役割について
- 婦人の勉強の場として、多くの人たちを地域のリーダーとして育ててきた実績がある。
- 地方のセンターは設置形態が様々だが、中でも民間公募の所長も増えている。これは会館で学び、活動に生かすことができる人材が出てきたからである。
- 三重県女性センターでは職員の研修に会館の研修を利用しているほか、会館のプログラムを参考にセンターの講座を開設している。また、冊子やホームページのコンテンツ作成にあたっても会館のアドバイスを受けている。
- 地域でダンスをしているグループや学習活動をしているグループもある。そのような人々が年に一回ヌエックに集い、意見交換や研究成果を発表することは、地域で活動する女性関係団体をエンパワーするものになっている。
- 地域の実態として、未だ男女共同参画に対する意識が低い部分もある。しかし、国立女性教育会館に勉強しに行くとなると大手を振って出て行ける。これは会館が国立の機関だから。
今後の役割・機能について
- 今後の進め方は強みと弱みを仕分けする必要がある。ほかの機関が力をつけてきているところについては競合せず、新しい機能をつけていくことを考える時期に来ている。
- データベース、アーカイブ、Wi-netのような情報提供機能がナショナルセンターとして大きな役割を果たしている。
- 調査研究については、大学・研究機関と立場が違うので難しい。
- 地方公共団体等の人材育成、養成、研修という分野について大変大きな役割を果たしてきたが、女性センターなど、地方の女性センターでも力をつけているので、再検討する必要がある。
- 女性の人材育成を必要とするのは日本だけではない。開発途上国、特にアジアの国で活躍できる人材を育てるべき。
- 新しい機能としては、国際的な見地からも高度で専門的な力を持った人材の育成を視野にいれた、研修ではなく体系的な教育で、人材育成をしていく機関となる必要がある。
- 今までの機能をそのまま保持するのではなく、新しい機能を付け加えることを検討すべき。(国際的な部分、企業で活躍できる人材の養成など)
- 日本が成長していくためには男女共同参画だけではだめだと思っている。いろいろな意味での多様化のための施策の一つとして、会館を位置づけるのが望ましい。
- 時代の要請を考えれば、経済、雇用、労働の分野も巻き込んで納税者を育てていく教育をしていくといった範疇の広さが求められている。
- アジア地域との連携が先進国のみならず強く求められているときに、日本がこの男女共同参画の拠点である会館をアジアの拠点とすることでリーダーシップをとることが重要。
- 地方で男女共同参画センターができたのは1999年以降である。数は増えてきているが、質、中身ではまだまだバラつきが大きいのではないか。男女センターは、様々であり、そこへの支援はまだまだ必要。地域に出向いて、地域のニーズを把握したうえで、センターに対する支援を強化してほしい。
- 地方のセンターの職員には男女共同参画についての幅広く、高い専門性が求められるようになっている。会館からの情報やプログラム、講師派遣などに期待している。また、悩んだときに相談できるパートナーシップもますます重要。
- 今後の在り方としては、あらゆるところ、あらゆる主体との連携が重要。例えば、女性会館協議会とのパートナーシップ。地域の女性センターとの協働による新たな展開を検討してほしい。
- 男女共同参画を始めとした多様性の時代を捉え、その中で会館の位置づけを考えるべき。
- 会館のやるべき研修などの事業の在り方を検討すべき。また、35年間の歴史の中で積み重ねてきたネットワークの拡大も考えるべき。
- 中央と地方の格差是正のためには、会館の果たす役割は限りなく大きいのではないか。
- 長い歴史の中で女性が背負ってきたものが文化の土台にならないと日本の発展はおぼつかない。ワークライフケアバランス、人生のバランスをとれた社会をつくっていくための拠点としてヌエックがあってほしい。
- 国際社会に通用する人材の要請は喫緊の課題である。
- 平和構築に貢献できるとか途上国の開発に具体的なリーダーシップを発揮できるといった専門的な人材を送り出す。イメージとしては30歳前後の社会人の方たちに教育をしていく。今、現在の日本に欠けている機能だと思う。これを会館の新しい機能として期待する。
- ダイバーシティ社会の実現に向けて、分野を超えて政策提言していくような研究機関として会館を考え直すのは一つの手。
- リーディング大学院で養成された女性が社会に出て、活躍できるために女性にどういうような教育をしていくべきなのかは大学でも考える必要があり、会館と連携として世界のリーダーを養成する時に女性が活躍しやすいための教育プログラムはどうあるべきか考えるのも面白いのでは。
運営について
- 国立女性教育会館の目標に関しては問題なく、重要である。しかし、会館についてのお金の使い方については、最も望ましく効率的なお金の使い方をどうすればよいのかが課題だ。
- 会館の距離(立地)の問題をどう克服したら展望が開けるのか。
- 利用者の20%が60代以上でいいのだろうか。
(その他)
- 日本の社会のビジョンは「ワーク・ライフ・アンド・ケア・バランス社会」「三位一体の社会」。人生百年社会、少子高齢社会では人間に対するサービス、人を育てる、人を支えるということが大変大きな命題となってくる。
- 成長社会はみんな一緒の社会だった。それが成熟社会に入って一人一人が尊重される社会に分解していっているが、意識と実態が追いついていない。
- 成果は目には見えないが、まさに国が地方で活動する女性達のためにお金を使うことは、関係者を大切にしていくということのメッセージとなる。
- ダイバーシティの問題を推進するためには、様々な分野が協力する必要がある。文科省としては、高等教育の場をどうやっていくべきか。主体的に学ぶ学生が少なくなっているということは30年後がだめだということであり、潜在能力すら無くし始めている。高等教育、産業界の中でも戦略的にダイバーシティを考えないといけない。
生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係