国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第5回) 議事録

1.日時

平成24年6月29日(金曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 国立女性教育会館をめぐる主な論点
  2. その他

4.出席者

委員

浦野光人委員、大日向雅美委員、柿沼トミ子委員、堂本暁子委員、坂東眞理子委員、樋口恵子委員、藤原和博委員、山田昌弘委員

文部科学省

合田生涯学習政策局長、杉野生涯学習総括官、笹井男女共同参画学習課長、湯澤女性政策調整官

オブザーバー

内海房子(国立女性教育会館理事長)、山根徹夫(国立女性教育会館理事)

5.議事録

【大日向座長】  それでは定刻でございますので、ただいまから国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第5回)を開催いたします。
 本日は、赤井委員と柏木委員が御欠席との連絡を受けております。また、樋口委員は遅れて御到着とのことです。
 本日は、神本文部科学大臣政務官に御出席を頂いております。どうもありがとうございます。
 それでは初めに、本日の配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【湯澤女性政策調整官】  それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。
 本日は、資料1から資料5、資料6-1から6-7、資料7と参考資料1、参考資料2を御用意させていただいております。また、6月29日現在の「国立女性教育会館の在り方に関する意見募集」に寄せられた御意見の詳細版を机上配付させていただいております。資料の欠落、その他お気づきの点がございましたら、事務局までお知らせください。
【大日向座長】  ありがとうございます。資料はよろしいでしょうか。
 これまで、「男女共同参画の在り方」から始まりまして、「会館の役割・機能」や「組織・運営」について議論してまいりましたが、本日からまとめの議論に入っていきたいと思います。委員の皆様には、既に事前に御覧いただいておりますが、本日の議論のために事務局と私で作業いたしまして、これまでの議論を踏まえた論点ごとの検討メモを作成いたしました。まず、事務局から、その御説明をしていただきたいと思います。
 なお、前回御紹介いただきました「国立女性教育会館の在り方に関する意見募集」に寄せられた御意見について、事務局にてテーマごとに再度整理をしてくださったということでございますので、それも併せて御説明を頂きまして、本日の御議論の参考にしていただければと思います。
【湯澤女性政策調整官】  それでは資料1を御覧ください。こちらは、「国立女性教育会館の在り方に関する意見募集」に寄せられた御意見でございます。1ページ目の左端にありますように、項目別に分類したものでございます。右端の備考にあります数字は、机上配付させていただいております御意見の詳細版に対応しております。
 続きまして、資料2から資料5を御覧ください。こちらは本日御議論いただく論点ごとにまとめました検討メモでございます。
 まず、資料2につきましては、論点1、NWEC創設の経緯と成果についてでございます。
 次に、資料3ですが、こちらは論点2、日本の男女共同参画の現状と課題についてまとめたものでございます。
 次に、資料4でございますが、こちらは論点3としまして、「戦略的推進機関」としてのNWECの適格性についてまとめたものでございます。なお、こちらの資料の2枚目、(4)の内容につきましては、事前にお送りさせていただいたものと変更がございまして、(4)の中身についてですが、結論的な書きぶりとも見受けられるようなものもあったことから削除させていただいております。
 次に、資料5ですが、こちらは論点4としまして、NWECの抜本的な見直しの方針についてまとめたものでございます。
 次に、資料6-1は、藤原委員から御提出いただきました資料でございます。次に、資料6-2は、本日御欠席の赤井委員から御提出いただきました資料でございます。次に、資料6-3でございますが、こちらは樋口委員から御提出いただきました資料でございます。次に、資料6-4でございますが、こちらは本日御欠席の柏木委員から御提出いただきました資料でございます。続きまして、資料6-5ですが、こちらは浦野委員から御提出いただきました資料でございます。続きまして、資料6-6ですが、こちらは山田委員から御提出いただきました資料でございます。次に、資料6-7でございますが、こちらは堂本委員から御提出いただきました資料でございます。
 資料の説明につきましては以上でございます。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 本日は、論点1から4までに関しまして御議論いただきたいと思います。1から3に関しましては、既に皆様から頂いた御意見をまとめたものでございまして、本日はまとめに入るということで、主に論点4のところに時間を多く割きたいと考えておりますが、まず最初に論点1から3、事前にお目通しいただいていると思いますが、皆様がお寄せくださいました御意見に追加、修正等ありましたら、そこに少し時間をかけてお声を頂きたいと思います。
 なお、各委員から出された資料につきまして、これも事務局から事前にお送りいただいておりますものが大半だと思いますので、お目通しいただいているかと思いますが、それについてお触れになる必要がありましたら、適宜お触れいただきながらという形で進めさせていただきたいと思います。
 それでは論点1から3、既に皆様の御意見をまとめたものでございますが、これに関して追加、修正、あるいは確認等ありましたら、しばらく御意見いただければと思います。
【浦野委員】  論点2の1ページ目、つけ加えるという言い方になりましょうか、より細かく定義するといいますか、(1)の2つ目の丸のところ、経済活性化の観点からは、これからの豊かな社会作りのためには、「眠る労働力340万人」とも指摘される女性の力が不可欠と。これは、ともすれば労働力という言葉に焦点がいってしまうんですけれども、私は、この眠るという意味を異なる視点を持った人たち、異なる視点を持った集団というふうに捉えて、それから労働力ではなくて知恵だと思うんです。異なる視点を持った人たちの知恵、340万人分という力が不可欠なんだというふうに定義をはっきりしておかないと、単に労働力ということではないだろうと思うんです。
 同じくそこの2ページの(3)の2つ目の丸のところ、「制度の改革」と改革に対する国民の理解・支持は表裏一体の関係として推進することが必要。「意識の改革」の必要性とそのためのアプローチに関しては、現段階では、女性よりも男性(特に男性管理職)に、また女性では若年層の女性に対してなされることがより重要。これはこのとおりなんですが、私はこれにもう一つ加えていただきたいことがあって、語弊を恐れずに言いますけれども、女性がこういった組織の中に入っていただいて役割を果たしていただくためには、マネジメント能力が要るんですよね。これは、例えば今こういう男女共同の中で、男性がいきなり台所に立とうと思っても包丁の持ち方も知らないとなれば、そこから勉強しなくてはめですよね。男女共同といったときに組織の中で仕事をするというのはやはり大変なことだと私は思っておりまして、マネジメント能力がないまま組織の中に入ってこられると、料理は1人まずいものを食べればいいんですけれども、組織ではみんなが迷惑してしまうのですね。なので、このマネジメントの力をきちんとつけるということが社会全体として必要だと思います。そのことを女性に身につけてから来いと私は言っているんじゃなくて、男女共同参画社会が大事ですよという意識づけと同時に、特に女性にはマネジメントの力をつけるという意味の教育を社会全体が挙げてやっていかないといけないし、そういうチャンスをつくる必要があるだろうということで、ここを少し違う表現にしていただければと思いました。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  論点2の(2)の日本の男女共同参画の現状をどう評価するかというところの丸3つ目のところで、国が中心となって改善を目指す段階というところに、どう評価ということのレベルですけれど、もう少し、民間団体との連携や推進というような、もっとウイングを広げるということを是非提起しておいていただきたいと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】  今の柿沼委員の御発言に関連してですけれども、今までも国はずっと、男女共同参画について、とても強く提唱してきたと思います。少なくとも男女共同参画社会基本法が設置され、内閣府に男女共同参画局ができて、坂東元局長がここにいらっしゃいますけど、日本中、津々浦々までそういったことの掛け声が国から出ていたと思うんですけど、なぜ変わらないのかということで考えますと、国が中心になって改善を目指す段階というのが、少し私としては、不思議な表現という気がいたします。なぜ段階なのか。むしろ国が中心になって改善を目指したが実現できなかったということではないかと思います。とすれば、その改善を目指すやり方が間違っていたのではないか。男女局からは、もう歴代の局長さんが頑張られていろいろなことをなさった。しかし、そこではなくて、今税制と社会保障の一体的な改革が今一番大きな焦点になっていますけれど、まさに税制上の在り方で決定的にもう、差ができるというか、男女共同参画社会が実現できない構造が税制の中にもあるし、社会保障の中にもあるのではないかという気がいたしますので、国が中心になって改善を目指すということは、どこが目指すのかと言えば、やはりそれは税制とか社会保障制度とか、もっと基本的な社会構造を変えない限り、男女共同参画の現状を変えることは難しいだろうと認識しております。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 坂東委員、お願いいたします。
【坂東委員】  初めに、とても小さな数字ですが、論点2の(2)の最初のところで、「企業部長13.7%」というのは、これは係長の間違いだと思います。部長は4.2%です。
 それから、(4)の国が果たすべき役割や留意すべき点の中で、国際的な視点、国際的なネットワークの推進ということを是非入れていただきたいと思います。北欧に比べて日本の女性の参画が低調であるということがしばしば言われますけれども、アジアの国々が政策的に大変積極的な取組をしているという現状も十分には知られておりませんし、そういったことも含めて、国立ナショナルセンターというのは、やはり日本を代表して外国との比較、交流、ネットワークを結ぶ焦点であるべきだと思いますので、是非その機能を加えていただきたいと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】  遅れて申し訳ございません。男女共同参画、日本の社会にとってどのような意義を持つのかといいますと、1、2、3そのとおりなんですけど、その他の中に、日本はまさに人生100年社会で、数日中に私、ESCAPの会議で、持続可能な高齢化創造という会議に出掛けるので、そちらに向いているせいか知りませんけれど、世界一の、特に女性は世界一の寿命であり、そして世界でもまれに見る勢いで今少子高齢化が進んでいる国であって、そのあたりを、その他のところでもいいのですけど、だからこそ女性が力を持って一緒に社会を形成していかないと日本社会は絶対もたないという、その少子高齢化の人口構造から見た視点をちょっと入れていただければと存じます。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。堂本委員、どうぞ。
【堂本委員】  今、私、自分の発言の続きなんですけれども、論点2の2ページ目に盛んに、「意識の改革」って出てくるんですね。それから、先日、6月22日に「女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議」、そこの働く「なでしこ」大作戦というペーパーを今日お配りくださいましたけども、これの1ページに具体的施策として「男性の意識改革(社会全体の意識改革を含む)」というふうに、意識改革をすれば男女共同参画が実現するような書き方が比較的多いのですけれども、意識改革は大変大事なんですけれども、根底は意識改革ではなくて、(4)の一番上の丸、「制度の改革」、これが一番大事だろうと思うんです。この「制度の改革」の中身、かぎ括弧してあるのは何のかぎ括弧なのかわからないですが、それから「意識の改革」、が3つ続きますけれども、「制度の改革」については、どういう制度をどう改革することが大事なのかというところまで本当は踏み込む必要があるだろうと考えます。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 柿沼委員、どうぞ。
【柿沼委員】  論点2の(4)の「制度の改革」というものをもう少し具体的に、ここのところは最終的には国立女性教育会館に特化するのでしょうが、男女共同参画を進める上で国が果たすべき役割ということで、例えば三号適用とか、実際に制度自体が今の状況の中では目に見えないというか、見えるというか、形で縛っているという状況を打破するためにそういったことを明記しておくということも大事なのではないかと思いますが。それは男女共同参画を進める上で、まさに国が果たすべき役割だと思いますが、そういうものはいかがでしょうか。
【大日向座長】  ありがとうございます。
【樋口委員】  今の点で一言よろしゅうございますか。
 国立女性教育会館が果たすべき役割は、それはやはり教育でございますから、意識の改革だろうと思います。ただ、大前提として、ここに余り冠をつけないで、男女共同参画を進める上で国が果たすべき役割という見出しで考えてよろしいのだとすれば、私は今皆様おっしゃいましたとおり制度の改革というのがとても大事なことだと思います。もちろん意識変革は前提なんですけれど、例えば今から150年前に黒船が来たときに開国をして、封建体制から近代化にしようするときに世論調査をしたら、恐らく10%も賛成しなかったと思います。何が必要か先駆的に考える政治のリーダーシップとか社会のリーダーシップというものがあって、国の方針をこちらへ持っていく人たちがいて、その中で制度がつくられたり変えられたりして、このごろ私は「制度が変われば意識が変わる」と思っています。ただしその制度はいいかげんに、恣意につくってはいけないのであって、社会全体の動き、世界全体の動き、そしてどっちにいけば国民に幸せになっていくか、ある意味では政治的決断であったりするんだと思いますけれど、是非この制度の変革につながる意識の変革のためにどういう学習・教育があるかと考えたいと思います。やっぱり雇用の構造とか税・社会保障制度というのはとても大きな男女共同参画にかかわる制度だと思っております。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございます。このあたりでよろしいでしょうか。
 それでは、論点の1、2、3につきまして、修正、あるいは追加をしていただいた上で、これらをお認めいただいたということといたします。次に論点4は国立女性教育会館(NWEC)の抜本的な見直しの方針、本日のメーンテーマでございますが、資料5をお手元に置いていただきながら、どうぞ御議論をお願いしたいと思います。
【堂本委員】  論点1にNWECの創設された経緯がございますけれども、私も詳しくは存じませんでしたけれども、国際婦人年が定められた昭和50年、そして女性の地位向上ということで国連の方針に呼応して日本政府がシンボリックな事業の1つ、こうしたことを考えましたときに、そのときからもう30年以上の歳月がたっているわけですけども、1995年に世界女性会議が開かれ、そして99年には先ほど申し上げた基本法ができ、そしてNWECはそれに沿って相当考え方が更に昇華してきたと申しますか、充実してきたと申しますか、今実際にやっている仕事を拝見すればするほど、それに沿った形で日本の女性の男女共同参画と申しますか、もっと男女共同参画を超えて、浦野委員のおっしゃるダイバーシティ的な、もう少し21世紀のダイナミックな社会の在り方に向かっての方向性を模索する、そういった研究をしているというふうに思っています。
 また、それを土台として、最近になって私は何度か伺うチャンスを得たんですけども、一つ一つの研修の組み立て方とかそういうのを見ましても、そういう工夫がいろいろつくられております。
 ですので、ここで、論点4の中の使命・目的をどう見直すのかというふうにいきなり出てきているんですけど、NWECの見直しの基本的方針、所期の使命、あるいは目的を更に進化させたり時代に合うように進めていくことはいいのでしょうけれども、最初から見直しと、今のこのNWECの目的を見直す必要があるのかどうか、国として男女共同参画を推進するという方針を出し、そして本当にこれは熱心に、聞くところによると、その当時は文科省よりも財務省の方が熱心で、たくさん予算をつけてくれたという話も伺いましたけど、そうであるとすればそれを見直す必要があるのかというふうに思います。機能とか業務の基本的な在り方は見直す必要があるんだろうと思いますけれども、そこのところの基本的な方針、使命・目的ということは、見直しよりも、むしろどうあるべきかを検討すべきと思います。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  NWECの名前について、国立女性教育会館ということですけれど、私はやはり、文科省の範疇にあった方がいいと思いますし、男女共同参画の実現のためということは、もういまや単なる女性の地位向上を超えてやらなければならない国の重要な政策だと思います。教育学習という中で雇用の分野、あるいは啓発など、様々な学習支援のウイングは広げられるだろうと思います。
 ですから、今までの女性の地位とか女性だけなどということではなくて、男女共同参画ということで、男性、特に一般の方々、高齢者、若年者、企業などから取り込むような方法論をもっと深める必要があるんだろうと思います。
 以上です。
【大日向座長】  名称も変えてということですか。
【柿沼委員】  文科省の範疇にあった方がいいと思いますけれど、男女共同参画ということで考えれば、国立女性教育会館でいいのかどうなのかということは論議の対象ですし、それでできるかどうかというところは、少し法的なことも含めて伺ってみたいと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 坂東委員、お願いいたします。
【坂東委員】  私も現在の女性教育ということに限定するのではなくて、男女共同参画社会をつくるために、男女共同参画を推進するための学習・研究、そして戦略を行う、立案するという機能を明確に打ち出した方がよろしいのではないかなと考えております。
 それから、ここにあります「(参考)」ということで、論点1ないし3を踏まえた考え方の例という形で出ておりますけれども、これについてそれぞれ皆様いろいろな御意見があると思うんですけれども、絞り込み、ここでコンセンサスを得るということは必要ないのでしょうか。今のところは並列的に例として並べておくということでよろしいのでしょうか。
【大日向座長】  今日の議論のために並列的に並べたものです。
【坂東委員】  絞り込みはしないと。
【大日向座長】  いえ、ある程度まとめにおいては、いろいろ御議論は戦わせていただければ有り難いと思います。
【坂東委員】  私は主催事業中心の運営からハブ機能を持つ、ネットワークの中心となるということを是非新しい機能としてつけ加えることが必要なのではないかなと思います。従来の研修、交流、そうした機能はほかにも代替する、あるいは地方のセンター、民間団体等々でも行うことは可能かと思いますけれども、ネットワークの中心という機能については是非強調したいなと思います。例えば、国立の大学だけではなしに、私立の大学も含めて、例えば昭和女子大も女性文化研究所というのを持っておりますけれども、全国にジェンダー研究所とかそういった研究機関を持っている大学は大変多いと思うんですけれども、そうした大学が一種の共用施設という形で利用できるセンターも今までは余り十分でなかったような気がしますので、更に強化していただければいいなと思いますし、先ほども申しましたように海外との連携、交流、そして研究者の方たちに来ていただいて滞在していただくというときにはああした宿泊施設があるというのも強みになるのではないかなと考えます。
【大日向座長】  ありがとうございます。今、坂東委員から、これは並列状態のままで終わっていいんですかというお尋ねを頂きまして、そうではなくて、まとめる上では、ある程度違いは明確にすることも必要だと思いますが、御意見はしっかりいただければ有り難いと思います。そういう意味で論点4は検討視点が4つございますので、よろしければ1から順に御意見を頂いた方が進みやすいかと思いますので、論点4のペーパーの(1)NWECの見直しの基本方針をどう考えるか、この点に関して先ほど堂本委員から、また今、坂東委員から御意見を頂きました。ほかにこのページに関して御意見があれば頂きたいと思います。
【堂本委員】  追加してよろしゅうございますか。私、最初に使命・目的を見直す必要がないと申し上げたのは、あくまでも国際婦人年絡みのことで、前回座長が御指摘になりました女性の教育だけの文言では狭いのではないかという点については、もっと広げたり、基本的なところを踏まえた上でここは改善していった方がいいと思いましたので、今回はちゃんと法律の改正案を書くというお話だったので、改正案を私の資料の一番最後につけさせていただいてございます。
 ということで、今、坂東委員が言われたこととも重なりますけれども、少しだけ法律の文言を変えることによって、より男女共同参画を明確にすることができるかと思います。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございます。堂本委員のお出しくださいましたペーパーに会館の目的法に関した改正案をお書きいただきました。大変な作業をしていただいたことを改めて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。これは具体的には内閣法制局の方で検討していただけると思いますが、大変有り難いご提案だと思います。
 ほかに。浦野委員、お願いいたします。
【浦野委員】  (1)の基本方針のところだけ、まず意見を申し上げたいと思います。
 今の男女共同参画社会基本法なんかを見ても、その先にあるものが明快な定義にはなってないんですよね。男女共同参画社会が実現できればそれでおしまいみたいなことがあって、私はその先の本当の目的、それをはっきりした上で、手段としての男女共同参画推進なり、あるいはもっと、ダイバーシティかもしれませんが、そういうことを強化していくんだという書き方の方がいいと思います。そういう意味では、食品の関係なんかですと、食育基本法というのがあるんですね。これは食の教育ということなんですけれども、この場合は、食育そのものは目的規定にはなってなくて、健康な生活といいますか、そういったようなことを含めて目的のところが書いてあるんですけれども、どうも男女共同参画そのものが目的みたいなことがずっと出てきますので、それは少し変えていただければなと思います。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  今、資料5の(1)に限って議論を深めようとしているわけですよね。まず、それを私は述べますが、資料2、論点1にあります当初の使命に関して最初に確認したいんですが、女性の地位向上のためには、まず女性が社会に参加・参画することが目標とされた時代があったわけですよね。だからこそ女性の教育が大事だと、重要だということで女性教育会館ができたんだと思います。これについては相当程度、意識は変わったというふうに言っていいんですよね。僕は相当変わったのではないかと思います。ですから、この使命はもうある程度達成されたと。だから、男女共同参画という話が出てくるのだと思うんですね。
 ところが、第2段階の男女共同参画の現状というのを評価しますと、資料3の論点2の下に明示されていますように、データを見てみても評価は低い。これはいいですよね。実際なぜこのようなデータになっているのか、つまり評価が低いままになっているのかということについてはっきりと、これを宣言として出す場合、僕は、意識の改革に戦略的に失敗したとはっきり書くべきだと思います。もう一回言います。第2段階については、意識の改革は戦略的に失敗したと。そういうふうにしないと、この戦略を改めるというふうになりませんので、今まで全部よかったと、だからもっと拡充しましょうみたいな話ではないと思うんです。実際にこの結果が上がっていませんので。これを是非上げたいわけですよね。それが総意だとすれば、戦略が失敗しているのですよ。戦略を組みかえなくてはいけない。そうじゃないと意識も変わりませんと、こういう話をきっちりした上で、この話にしなくてはいけないのだと思うんです。
 私の感じとしましては、資料5の論点4の(1)の本題になりますが、これをざっと見させていただいたときに、一番下、その他の上にありますよね。宿泊施設等の「ハード」部門の管理運営をNWECから民間事業者等に分離し、効率的な運営とサービス水準の向上を図りつつ、資源を「ソフト」部門に集中的に投入できる構造に転換すべきではないかと。これは非常に的を射ていると思っています。つまり、ハード部門の運営を抱えてしまっているからこそ戦略的な動きができない。予算も少ないし、20人か30人のスタッフしかいない、そういう限られた資源であれば、この重い部分を分離してしまって、思い切って資源をソフト部門に集中的に投入するというのは非常にいい案だと思います。
 その上でですが、では、その資源を、ソフトと書いてありますが、一体だれに向かってどのようなソフトに集中するのか、お客様はだれなのかということを僕はこだわりたいんです。日本人の半分、つまり女性ですと、これは恐らく大き過ぎて、例えば5億円ぐらいの予算で20人ぐらいでやる相手としてはとてもじゃないけれども、何度も言いますが、太平洋戦争に必ずなってしまいます。ですから、もっと集中して、だれをお客様として、何をどのようにサービスするとどんな結果が出るのか、どんな結果を期待してそれをやるのかということをもっともっと煮詰めると。これが多分(2)以降の話になるのかもしれないと思うのですが、まずとにかくハードの部分を分離して、ソフトを、だれに向かって、どのお客様に向かって、どのように投入した結果、どのような結果を出すのか。ここからはこれをもっと詳しく議論すべきかなと。そのように私は思います。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 ほかにこのページ、1に関して御意見いただければと思います。
 浦野委員、お願いいたします。
【浦野委員】  今の藤原さんの意見にそのままのって表明させていただきますと、流れとしてはいいと思います。私は、顧客は、あえて絞り込めば、日本の全体を動かしている大企業とお役所、ここの男性、これがまず顧客ですね。それから、そこの女性も顧客なんですよ。先ほど来言っていますように、戦略的にこれ失敗したとしたら、単にマインドの変化ということではなくて、何を武器にしたら女性は戦えるのかと。この組織社会というものを動かしていく上で。それはさっき触れたんですけれども、やはりマネジメントの原則というのは絶対あるわけで、その武器を持たずして組織の中に入ってこられても、あえてもう一度言いますけど、迷惑なんですね。これはやはり男性もそういうことを知った上で女性にそのことを学んでいただく機会をしっかり設けないと駄目だと思っています。
 だから、NWECの今後のソフト部門に集中と言っているのは、単に男女共同参画社会に対するマインドの問題ではなくて、そこにどういう武器を持って入っていくかということを考えたら、女性の方々にはこのマネジメントというところを男女共同参画という視点から教育し直してみる。今まで男性陣はそういう視点ではなくてマネジメントの勉強をしてきましたけれども、即効性を高めるためには男女共同参画社会という視点からマネジメントの在り方というのは、私は何か知恵がありそうな気がするんですね。藤原さんの意見にのっかることが大切だと思いましたので。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 今の御意見を伺いますと、次のページの機能・業務にも大分かかわって御議論いただくとより深まるかなと思いますので、よろしければNWECの機能・業務の方にも触れた御意見をいただければと思います。
 山田委員、どうぞ。
【山田委員】  1と2に関連しますけれども、箱から出発するか機能から出発するかという点では、私もここに書かれている箱と機能を分離して、どこに置くかはともかくとして、機能中心に議論していくという点では賛成です。箱の部分を軽くして機能に集中するということに関しては私も同意いたします。
 あと、機能なんですけれども、教育と女性というところから離れられないだろうというのが私の、男女共同参画に関するすべてをやるわけにはいかないので、私もそう思っております。
 あと、ほとんどの皆さんが教育についておっしゃっているのは、私が整理すると2点で、仕事能力をつける、つまり今まで差別されてきた、また教育から排除されてきた女性に仕事能力をつける。ただ、これはあらゆるところがやっているわけですから、女性の仕事能力をつけるという目的のために女性教育会館は何ができるのかというところを絞らなくてはいけないというのが1点です。
 あと第2に、これも大きい話ですけれども、国民に、男性も含めて、男女共同参画はすばらしいということを広めるための教育活動ですよね。それの一種の意識改革というのを教育と言いかえればそれをどうするのかということに関する機能があって、それは内閣府の男女局でも啓発事業ってありますけれども、啓発のセンターとしてやる中で、何を担うかというのをしなくてはいけない。
 あと、この単位に関してはいつも私は少数なんですけれども、教育というのは単に仕事能力をつけたり、意識を変えたりするということだけではなくて、教育の中には学ぶこと自体が喜びだという、いわゆる教養的な機能というのは必ず果たさなくてはいけないと思っていまして、私のペーパーで述べましたけれども、それは国が推進していくべき課題だと思っています。最近の議論というのは、ペーパーにも書きましたけれども、とにかく何か無駄だとか、金もうけのためにとか、そういう議論が多いので、今まで女性教育会館が果たしてきたのは、むしろ地方も含めた教養レベルの底上げというような、すぐお金になるかどうかわからないような部分も非常に大きかったと思うので、是非それはそういう機能も含めて保ち続けていただきたいなというのが私の望みでございます。もちろん新しい機能とか女性参加によって日本社会が豊かになるというのは反対しませんし、私も別のところではそれを声を大にして言っているわけですけれども、女性教育会館というもう既に存在しているもの、その蓄積してきたものを考えると、是非是非教養のための教育という面も盛り込んでいただけたらと思っております。
 以上です。
【藤原委員】  今ので質問よろしいですか。その議論、山田さんの意図するところは非常によくわかるんです。要するに学ぶこと自体の喜び、教養ということはよくわかるんですが、その部分についてはなぜ大学ではいけないんでしょうか。なぜ国立でわざわざ女性教育会館と、今も、35年たってもそれを温存する必要があるんでしょうか。役割はもう終えているのに。
【山田委員】  役割を終えているかどうかは議論があると思いますけれども、私は、今の日本の制度のもとだと、いわゆる学校教育、家庭教育、社会教育が3本柱だとすると、ほかの国の例だと大学が社会教育の機能を果たしている国も多数ありますけれども、やはり日本においては大学というのは非常に敷居が高い。そういう意味で社会教育として私はそういうことを行う必要があると思っておりまして、特に高齢者関係、むしろ高齢者が多いということがマイナスに書かれていましたけれども、高齢者を逆に顧客と考えれば、そういう人たちの教養レベルを高めるということは日本社会にとって決してマイナスではないと私は考えているところでございます。
 ですから、藤原委員への答えとしては、大学ではいけないというのは、今の大学ではちょっと無理ではないか。むしろ社会教育のセンターとして国が推進する機関があってもいいのではないかと思っている次第でございます。
【大日向座長】  浦野委員、柿沼委員、坂東委員の順でお願いいたします。
【浦野委員】  今の山田委員の意見に私も大賛成でして、自然な知的欲求というのは人間にとって一番大事なことで、よく企業は金もうけのために存在する、利益のために存在すると言われますが、私は明快に否定していまして、私も現役の経営者ですからその私が否定するんです。企業はやはり、知的欲求のもとに人間の暮らしを見つめていくと、そこに様々な課題があって、その様々な課題をその企業が得意としている範囲の技術なり考え方の中で解決していくのが企業なんですね。そういうことをずっと続けてやっていこうとすれば、利益というよりは次の投資のためのお金が要るんですよね。利益ゼロでは次の投資なんかできませんから。そういう繰り返しが企業なので、金もうけというふうに言われると、それは違うと。企業は生活者の課題解決のために動いていますから。その課題を見つけることが、山田先生がおっしゃった教養というものがベースにないと絶対見つけられないんですよ。そうでないと20年前の日本と一緒で、世界で売れるとわかっているものをただ能率よくつくることだけが日本の得意技になってしまうのですね。先ほど樋口さんもおっしゃいましたけれども、そうではなくて今の少子高齢化の中で何が課題になっているのか、そのことをきっちり見極めていこうと思うと、教養から始まる知的欲求に対する教育というのはものすごく大事なのですね。その上に今問題となっているこういう男女共同参画に対する意識を変えるような教育も要るだろうし、先ほど来言っていますように武器としてのマネジメント能力も女性の方々に持っていただきたいということを申し上げているわけなんです。だから、本当に教育というのはベースだと思っていますので、山田委員のおっしゃったことがどういうふうに皆さんのベースとして持っていただくか。そこがベースでないと極めて浅薄な議論になってしまうと思っています。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 柿沼委員、どうぞ。
【柿沼委員】  私も山田委員の意見に全く賛同する立場です。例えば全地婦連では、みんなで1円募金を2年分集めて、みどりの基金として植林をして、そして管理もしながら今まで育ててきたということは重要な事実です。東日本大震災で流されてしまった松の木をもう一回、植えようとか、いろいろありますが、やはり人間の心は効率、能率だけではないと思います。
 そこで、この歴史の中にもありますように、あそこが民間の総意と国の動きと、そういったドッキングの中で、ソフトやハードの部分をこれからどうするかということはまだありますけれども、あそこの場で寝食を共にし、世代を超えて、男女を超えて、お互いに啓発して、また新たな切り口を見つけて地域に帰って活躍することを、私も主催者として何回も実施してきております。これからのことについては、今年はロンドンがオリンピックですけれども、イギリスのダーウィンという生物学者が、進化論の中で「最も強い者が生き残るのでもないし、最も頭のよい者が生き残るのでもない。自己変革できる者が残る」と述べています。この言葉は、今、ちょうどこのNWECの見直しに当てはまるのかなと思います。NWEC自体が、嵐山で、あの施設とあの建物と、これからソフトを高度化して世界の中で注目や尊敬を集めながら行くことはとても大事なことになるんだろうと思っておりまして、教養という部分はその前提にあると思っております。ですから、NWEC自体のソフトの分野では、世界的な視点あるいは重要な情報の集積を強めながらも、あそこでもう一つ、底辺の拡大、国民に対する広がりも堅持していただきたい施設として持っていっていただきたいという思いを持っております。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 坂東委員、お願いいたします。
【坂東委員】  私は本当に教養教育はとても大事だと思いますし、大学も今、リベラルアーツをもう一度、見直そうということで力を入れておりますが、その教養を構成する要素は、本当にいろいろ多面的ですよね。そして、私は、それぞれの教育機関あるいは社会教育機関、図書館や博物館、公民館等も含めて、それぞれいろいろな場でそうした多面的な教養をつけるための活動をすることが、これからもっともっと進んでいくべきだと思いますが、そうしたいろいろな多面的な教育機関の横並びで、ワンオブゼムとして、ちょっと色違いですという形で教育そのものを実施する機関としてNWECを考えるよりは、いろいろな教養機関、大学や社会教育機関が行っている教育、企業において行われている教育に対して、こういう視点を是非取り入れてください、こういう方向へ行かなければいけませんよということを説得力を持って提示できる機能が今、ナショナルセンターとして求められているのではないかなと思います。横並びで同じような、大学がやっているようなことをする必要はない。企業の研修は企業の研修に任せておけばいいのであって、そうしたものに対して方向性を与える。ここが欠けているじゃないか、ここを押せば効果が上がりますよと言える機能を、是非持ってほしいなと思います。
【山田委員】  まさに私もそういう話をしたいわけで、仕事能力をつけるための、女性が仕事をするためのナショナルセンターとしての機能、そして男女共同参画の意識を全国に広げるためのナショナルセンター、そして女性を中心とした教養をつけるためのいろんな機関がある中でのナショナルセンターの機能、その3つ目もお忘れないようにという念のためのお話でございましたので、そういうふうに理解していただければと思います。また、藤原委員のペーパーの一番最後にもありましたとおり、地方のNPO、主婦には限らないと思うんですけれども、退職者なり主婦なりの様々な活動を支援するセンターとしての機能も教養の一環として考えてもいいのではないかと思っております。
 以上です。
【浦野委員】  委員長、議事運営でちょっと提案があります。今日、皆さんが出していただいたペーパーは読み込んでいることは前提ではありますけれども、今、この議論をやっている中で、それぞれがペーパーの中にあることも含めて少しずつ小出しになっていますので、皆さんの意見を一貫して聞こうと思うと、一人四、五分でいいんですけれども、皆さんに提出していただいたこのペーパーの説明をしていただいてもいいのではないでしょうか。その方が、私はわかりやすい気がするんですね。藤原さんも山田さんも、私ももちろん読んでいますけれども、その中で具体的に触れられていることを一貫性を持って言っていただいた方が、それぞれ小出しにされるよりはと思うのですけれども、いかがでしょうか。
【大日向座長】  いかがでしょうか。皆様にお諮りいたします。私は、事前にお読みいただいていると思いましたので、今回は柱を分けて、1番、2番、3番、4番というところで御意見をいただければと思ったわけですが……。
【柿沼委員】  それでよろしいのではないかと思います。
【大日向座長】  もし浦野委員が一貫した御意見をおっしゃりたかったら、どうぞおっしゃっていただいた方がいいかと思います。
【浦野委員】  いや、自分が言いたいから言ったわけではないのですけれども、やはり小出しにしていると一貫性に欠けますので。
 では、すいません。私のペーパー、6-5を3分で御説明いたします。
 めくっていただいて、私は、基本的に男女共同参画社会は、ダイバーシティという面から見たら一つの論点、まして女性の地位向上、女性の教育というのは本当に細かな一つの論点だと思うんですね。そういう意味で、ダイバーシティで考えたときにいろんな論点があることを是非わかっていただきたいし、左下に「学術の尊重」と書きましたけれども、やはり今、必要なのはここなんですね。大学の果たす役割、アカデミックスキルでもう一回、暮らしを見つめて見直すとか、様々な専門の分野からということを強調したいと思っているんですね。
 次に行きまして、その多様化の行き着く目的は、やはり暮らしの課題、生活者の課題が新たに発見されて、解決方法にもイノベーションが起こるというところに持っていくべきだと思うんですね。そうすれば、そういった幸せなということにつながっていくと思います。
 3枚目に行って、ここが具体的に今の4のところなんですけれども、私は、NWECはもう完全にソフトだけの機関にしていいと思っています。ダイバーシティまで行くかどうかは別として、今までのベースを持って、国の本当に中心のこういった問題についての調査・研究機関として充実してほしいなと。その上で、具体的にはダイバーシティ研修プログラムの開発・実施をしていただく。これは、eラーニングも含めていろんなやり方があると思いますけれども、例えば人権問題や反社会的勢力に対する教育というのは、法務局なり警察からそれなりの、行政指導というのか何かわかりませんが、その中で企業は毎年、必ずやっているんですね。そういったことを、この問題についても企業が普通にやれる状態をつくり出すことが、私は大事だと思うんですよ。そのプログラムを是非つくってほしい。そうなると、収入面でも、核たる研究機関ですから、当然、科研費の獲得を大きく目指して、受託研究もあるでしょうし、こういった研修プログラムを有償提供していく中で機能を純化していくのではないかなと。ハードは、先ほどから出ていますように、民間に分離して競争にしてもいいと思うんですけれども、そのときに、民間風に言うと特別損失が出ると思うんです。それを国としてどういう形で容認できるかは議論があると思いますけれども、民間も損する事業はできませんので、簡単に分離といっても、そこをきちんと国として容認できるかどうかが問題になると思います。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 今の浦野委員の御発言を伺いまして改めて思いましたのは、NWECの機能、業務を見直す、考えるということは、同時に組織、運営にも言及をされた方が話がされやすいということかと思います。そういう意味で、今、NWECの機能、業務についてお話しいただきまして、そこでは大体、男女共同参画を推進する、あるいは教養教育を推進するためのCenter of Centersだというところでほぼ皆様の御意見が出たかと思いますが、この後はそれに追加するものを含めて、どうぞ3枚目の組織運営にも触れて御意見をいただければ有り難いと思いますので、少しそういう形で進めさせていただきます。
 堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】  今の浦野委員の御説明を受けてと、そうではない部分とがあるのですけれども、一番最後の紙にお書きになっている「ハードは民間へ分離(特別損失は容認)」というところがございます。なかなかそのことが可能かどうかわかりませんが、赤井委員のペーパーにも、PFIでということがございます。私は、たまたま知事のときに日本で初めて警察の庁舎をPFIでやったんですね。これはやはり相当難しくて、何十億というお金がもちろんかかるわけですが、建設しました以後の維持管理を同じ会社がする形をとりました。NWECの規模のものをPFIでやることが可能なのかどうかもわからないんですけれども、民間に移行する場合に、幾つかの点があると思います。
 1つは、先ほどの教養の面と関係があるんですけれども、NWECが嵐山にあることの最大の価値は、その土台となる教養、みんなが勉強したり、あるいは知的刺激を受けるためのいろいろな情報の発信、あるいはその素材となる本、図書やアーカイブが、あれだけの広さがあり、これこそは今までに蓄積されたもので、国会図書館にもないと何度も申し上げていますけれども、そのことがとても大事である。それが、ハードを民間に移管した場合に出てくる問題をどう解決するかを厳密にこの検討会でお詰めいただいた上で、ハードとソフトということをおっしゃっていただきたいという気がします。
 伺うところによると、何か研修事業の支障になったケースがあるという形を聞きました。というのは、民間が入ってしまったら、どんどんお客様を入れてしまうために、宿泊施設で、いざNWECが主催した全国の研修をしようと思っても、もう使えなかったとか、今はNWEC主催の場合は非常に安いお金でやっていますから、地方から旅費だけで来られる。それが来られなくなるようなことになりはしないか。今はNWECがいろいろお客様を自分のところで募集しているので、比較的、女性団体や何かが多いわけですね。いろんな形で企業も使っていらっしゃいますけれども、目的が大体統一しているんですけれども、全然違った形でそういうことが行われると、大変問題がある。
 したがって、NWEC主催の事業については優先させることを前提にしておくとか、ハードの運営については、研修に支障を来さない、今後、今、理想として皆様がおっしゃっている形の、本当にNWECが果たすべき役割の支障にならない形で運営するにはどうしたらいいのか。民間にただ分離すればいいという問題ではなくて、そこの分離の仕方について十分研究し、同時にこの検討会として、そこに一つの試案をつけた方がいいんじゃないかと思っております。
 もう一つ、浦野委員に申し上げたいんですが、先ほど男女共同参画にどうも集中しているような気がするとおっしゃったんですが、私がどこかで男女共同参画というときには、たまたま女性が多かったりすると、わかりやすいから「男女共同参画」という言葉を使っているけれども、これは女性と男性だけではない、必ず障害者や高齢者、外国人など多様な人たち、多様な価値観を包括して男女共同参画と言っているのだ。なぜならば、英語でgenderといった場合に、かつてgenderは男女平等的なニュアンスがありましたけれども、今、国連で使っているgenderはもっと非常に多角的で、Boys and GirlsとかMan and Womanというふうにgenderを使っていまして、それを直訳した言葉が日本に他にないので、つい男女共同参画と言ってしまうんです。でも、その辺は多様性とほとんど同じ意味で使ってしまっているので、今、お話を伺いながら、これからは「男女共同参画」のかわりに「もっと多様な価値観」という言い方に変えようかなとすら思ったりしております。
 それから、先ほど企業と官庁の教育をしたらいいとおっしゃったんですが、もう一つ是非入れていただきたいのが大学でございます。さっき坂東委員からも出まして、出すのが非常に遅かったので読んでいただいていないと思いますけれども、私の紙にも書いている全国約780ある大学との連携、そして、さっきおっしゃったように細かいことをやるのではなくて、本当にそこに対しての視点を出していくということでよろしいのではないかと思います。
 最後に、今日、柏木委員はお休みなんですけれども、地方の形で一つ申し上げたいのは、先週、私は室蘭に初めて行ったんですね。災害の話をしに行ったんですけれども、実際にはNWEC村でございまして、周りのところからも少し集まっていらして、NWEC、NWECなんですね。7つの女性団体が集まって主催された会だったんですけれども、みんな余りにNWECの話をなさるので、私の方がとても驚いた。それは、遠いので、なかなか自分たちで行けない。代表の人間が、登別とか、周りに幾つかあるところからみんなでチームを組んでNWECへ行って、そこで学んできたことをみんなにこうやって広げて、「見てください」と、この5年間につくられたポスターを見させられたんですね。「NWECで学んだことが、ここまで花開きましたよ」と言われて、私は別にNWECの理事長ではないのだけどと思いながら聞いたんです。
 そういう意味で申しますと、藤原委員がおっしゃったように、本当に意識改革に失敗したのか。むしろ種をまいているのではないかと思うんですね。たった1人か2人が来て、もらった資料を持って帰って、それを題材にして、寒いところですから冬でもやるんでしょうが、それが「こういうふうにして花開いたんですよ」と見せられたので、確かにどこかに絞らなければいけないのかもしれないけれども、ある意味ではオールジャパンが対象だということが成功しているのかなという印象をちょっと受けました。それは佐賀県でも同じようなことを感じたし、このごろ、私は、NWECのことで回るのではなくて災害のことで全国を歩くと、そこで逆にNWECを見てくるような経験をしております。そういうことで申しますと、先ほどどなたかがおっしゃったように、種をまく、一番高いレベルでのアウトプットをすればいいんではないか。細かい具体的な事業を教えるところではない。企業の指導者にとっても、どういう視点でこれから指導を展開してくださいと。大学についても同じことが言えると思いますし、官公庁についても、特に地方自治体、地方の女性団体に種をまく役目だと考えますと、実際、回ってみていただきたいんですけれども、ある一部の人たちが何かを学んでいるというよりは、学んだ人たちが種の役を果たしていると思いますので、意識改革がじわじわと日本の中で進むのに、NWECは一つお役を果たしたのではないかと考えました。
 どうもありがとうございました。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  藤原委員の意見に2つ賛成なんです。
 1つは戦略的失敗があったのではないかということ。男女共同参画を進めたときに、男性への意識改革が進められなかったのが失敗だったのではないかと思います。ですから、男性に対して、企業も含めてそういうことを重点的にしていく必要があるだろうと思います。
 それから、宿泊施設を分離していくことについては、一つの方法論だろうと思います。私が前に県で仕事をさせていただいたときに、寄居町というところで資源循環でリサイクルの工業団地をどうするかといったときに、官の信用と民の資金力ということでPFI手法を取り込みまして、権利として30年設定をして、今、順調に拡大して、回っております。このPFI手法は、もともとイギリスから発祥したものですけれども、これもここの国立の建物と、あそこのロケーションのよさ、広げてみればリゾートっぽいところもありますし、スポーツ基本法のあらゆる分野の人たちがスポーツを楽しみにする権利もある、これが長寿社会への一つの柱になるということで見ると、テニスコートやプール、散策コース、隣の川、都幾川のロケーション、バーベキューをする場所と、様々な活用方法があると思います。そこで、ここの国立女性教育会館と、その請け負ったところと、きちっとした協定を結んで、絶えず国立女性教育会館が優位的に宿泊を確保して使うことを設定するとか、相当知恵を使った経営をしていく必要があると思います。そういった方法も考慮される余地はあるのではないかと思います。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 坂東委員、その次に樋口委員、どうぞ。
【坂東委員】  私はまだ全体的ではないんですけれども、国立の大学の教養機関がございますよね。これは高等教育局よりは学術政策局の方が所管されているのかもしれないですけれども、あの場合は国立の大学が一つの大学だけでは買えない大変高額な機器あるいは特別な分野の研究に集中して人を集めるということで活動していらっしゃいまして、例えば国際日本文化研究センターなんかもその中の一つだったのではないかなと思いますが、ああいった形で、名前はいろいろあり得るだろうと思いますけれども、国際日本男女共同参画企画推進センターとかいった形で大学のネットワークの中心になり得るというのが一つあります。
 もう一つは、私が被害者だと言ったらいけないですね、大変手間暇がかかって、大変だなと音を上げているんですが、大学基準協会という第三者評価をする機関があります。大学は自分たちでその協会にお金を払って、ちゃんと基準を満たした、いい教育をしているかどうかをチェックしていただくんですけれども、例えばいろいろな企業や自治体、団体が本当に女性を活用、登用していらっしゃるかどうかをチェックして公表するということは、だれかがやらなきゃいけないのではないかとかねがね思っておりました。例えば、実は私も昭和女子大学の研究所で、公表された資料から、例えばダイヤモンド四季報だとか女性就職四季報だとかいうデータでチェックしようかなと思うんですが、公表されていないデータが山のようにあるんですね。自分でデータを出しておられるのはいいところだけで、悪いところはお出しにならない。実は、同じように『日経WOMAN』という雑誌が女性活躍のランキングを発表されていますが、やはり公表資料がないので、アンケート調査をされているそうです。回収率は十数%ということで、いいところしかお返事がない。
 そういった状況を見ますと、第三者評価、厳正なる評価をするということで、自分のところは優良な企業ですよ、すてきな、女性にとって働きやすい企業ですよとアピールしたい企業は、お金を払って、評価してくださいといってお願いするという機能を持って、少し自主財源を確保することも含めて、新しい機能をどんどんお持ちになるといいんじゃないかなと思います。第三者評価される方は余りハッピーではないので、企業のうちでどの程度、手を挙げて評価してくださいとおっしゃるかどうかわかりませんけれども、マル優じゃないですけれども、自分のところはいい企業ですよとアピールなさりたいところは、お金を払ってもチェックしてくださいと。男性管理職に研修をしていますかとか、単に数がどうかこうかだけではなしに、制度の充実の度合いや研修の度合いといった幾つもの項目をチェックする。それは、もちろんチームをつくって、よそからいろんな人たちを集めて、そのチームが評価なさればいいのであって、全部フルタイムの方がなさる必要はないと思うんです。先ほどから何度も繰り返しておりますような外国、特に開発途上国なんていうと何か日本が教えてあげるように思いがちですけれども、そちらから学ぶこともたくさんありますし、そういったことを含めて、是非新しい機能を充実させていかれるのが、NWECが21世紀に重要な施設として活動水準を上げていく上で大事なのではないかなと考えております。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 お待たせいたしました。樋口委員、どうぞ。
【樋口委員】  話をそもそも論に戻すようで恐縮でございます。私は今回の報告は、2つの課題に応えなければならないと思っています。
  1つはこの会議の出発点が、独立行政法人のいわゆる「仕分け」に答える必要がある、ということ。35年前の出発以来の活動や社会的貢献について、私も概ね皆様と同じ意見ですが、今の仕切りの視点に立てば、見直すこと仕切り直しすることもあって当然と思います。人間も時代も、国内も世界も、時々刻々変化し私たちはそれへの対応と同時に、自己変革を求められています。よりよく自己変革できた組織・団体が時代を超えて生き残り発展することができるのではないでしょうか。その意味で「これでよかった」という肯定だけでなく、未来へ向けての問題点を自ら提起する力が求められると思います。
第2は、別な角度からですが、今回の報告書は、いわゆる「攻め」の姿勢を強く打ち出してよろしいのではないでしょうか。ここ1~2か月の間に、社会も政策も男女共同参画に関して潮目が変わりつつあるのを感じます。ヌエックの活動を含め私たち女性、心ある男性は意識を変え実態を変えようとそれなりに働きかけてきました。しかし実態は思うとおりに変わらず、御存じのような世界で周回遅れの女性の地位。それが日本の閉塞感と共にあります。意識変革が十分でなかったせいもありますが、職場の雇用風土が変わらなければ、実態の変革は難しいものがありました。それが浦野委員がおっしゃるように、企業の側が変わり始めています。経済界の動きに応えて、日本経済発展の必須要件として、職場における女性の活躍に取り組み始めました。私個人の意見を言えば、もう少し「多様性」「男女共同参画」「ワーク・ライフ・ケア・バランス」の視点を入れてほしいと思いますが、政府としてここまで具体策を出したのは初めてでしょう。この機会をよい意味で生かして、今回の報告が男女共同参画社会の実現とさらなる理想に向けて、積極的な内容になることを心から願っています。
【堂本委員】  よろしいでしょうか。論点4を見ると、積極的なレポートに、ある程度、なっていると私は思います。例えば、論点4の中で「女性教育から、『男女共同参画の実現』のための教育・学習支援のための機関に発展」させるというところにしても、「ターゲットを絞り込み、男女共同参画社会の実現を戦略的・プロジェクト的に推進する機関に転換」、そして、ここに書いてあるCenter of Centersといったこと、「主催事業中心の運営から、官庁・地方自治体・男女共同参画センター・企業・大学・学校・NPO・海外の諸機関などとの幅広いネットワークを活用した運営に転換(ハブ機能への転換)」、ハブ機能的なものを持たせると。だから、論点4は、座長が御整理くださったのかもしれませんけれども、今までの議論のどちらかといえば攻撃的、戦略的、前向きなところを書いてくださっているのではないかと思いますので、これを土台にして是非進んでいただきたいと思います。
 
【大日向座長】  ありがとうございました。
 論点4のペーパー、あるいはその後のその他も含めまして、残り時間もそろそろ少なくなってまいりましたので、次回あたりは文言にして出していきたいと思いますので、引き続き御意見をお願いできればと思います。
 いかがでしょうか。
【藤原委員】  では、もう一回。大きな方向性として、あえて言いますが、もし山田委員が提言されたような教養で、生涯学習でという感じで行くのであれば、私や浦野さんがずっと言っているような変革は起きない、若しくはNWECがその変革の主体者にはなれないと思います。そういう道もあるということはもうわかりましたし、僕は、それでもやっぱりなぜそれを大学ができないかという、今度は大学の方の問題、なぜそれをつなげてくれないと大学自体ができないのか、大学自体がつながっていくべきなんじゃないかと思うので、つなげてくれる役割がここにないと約780の大学がつながりませんというのは納得がいかないですね。
 それはそれで、大学の問題なので、一たん置いておいて、もし本当に「戦略的」というワードを使われるのであれば、是非絞っていただきたいんです。ついつい「拡充、充実」とか「一層の強化」という言葉が各所に使われまして、恐らく35年の歴史でもこういう言葉が続々と使われたんじゃないかなと思うんです。そうすると、どんどん薄まってきちゃいまして、もちろん予算がどんどん増えて、人員配置がどんどん増えるなら、そうやってもいいと思います。でも、そういう時代ではないですよね。実際に、国が集金する税金が40兆円以下で、それに対して使っている額が、3.11の震災や放射能の問題をのけても80兆円近くあるわけです。倍ですよね。そういう中で、残さなくてはならないものはこれ以外にもいっぱいある。ということは、「戦略的」という言葉を使われるのであれば、相当絞っていくべきだと思うんです。それが、一つの案として、やっぱり企業を変えないと駄目、掛けるダイバーシティということなのか、そうではないのかは明確にすべきじゃないかなと思います。僕は、それぐらい絞ってやることが「戦略的」という言葉に合うことだと思うんですね。
 でも、もう一方で、もし企業を変えないと駄目だ、ダイバーシティだといった場合、それが文部科学省なのかというのはちょっとクエスチョンもあるんです。もしかしたら、それは、本当に政府の中で首相直属のプロジェクト、特命としてそういうセクションを置いて、各省の予算を徹底的に使って、そこを叩(たた)くぐらいのことをやらないと、文部科学省で生涯学習政策局の横にありますというのでは、多分、なし遂げられないのではないかなという気もしちゃうんですね。これが正直なところです。
【大日向座長】  今の御意見に、どなたか、いかがですか。
 堂本委員。
【堂本委員】  文科省にあっても、総理直属に特別に持っていくような方法はあるのではないかと思うんですね。なぜなら、内閣府にNWECが移行されることがいいのではないかという議論は随分前、3年前にも出たんですけれども、これは坂東委員の方がお詳しいんですけれども、結局、内閣府が事業化することは非常に難しい。でも、例えば今度できました女性と経済の関係閣僚会議みたいなところ、この間、たまたま男女共同参画担当大臣に会ったものですから、22日にあれだけ立派なレポートをお出しになったなら、それのシンクタンクとして、あるいはそこでもってこれからいろいろやっていかなくてはならないキャリアアップが、今日、ここに配られています紙にはいっぱい出ていますよね。それのためにNWECを活用なさるのが一番早道ではございませんかと申し上げました。だから、一言、あの閣僚会議でそういうふうに位置づけてくだされば、所管が文科省のままでもやっていけると思います。
【坂東委員】  恐らく、どのように位置づけるかという仕掛けの問題だけだと思います。それよりも、どういう機能を果たすかがより重要なのであって、どこに属するかとかいう20世紀の役所的な発想は藤原さんらしくないと思います。
【藤原委員】  それが戦略的な失敗だったのではないかとさえ思うからなのです。本当にやるのだったら、首相が「絶対こうする」と言わないと。
【坂東委員】  それはそうです。
【藤原委員】  要するに、「政府を挙げて、すべての予算を使ってやる」と言わないと。厚労省の予算も使います。経産省の予算も使います。文科省に5億円では、この目標達成はできないということを僕は言いたいのです。目標達成は要らない、そうじゃなくて教養で、ネットワークでということであれば、それは別です。
【大日向座長】  どうぞ、山田委員。
【山田委員】  私は、教養、ネットワークというのは、今までのせっかくの財産だから、これを少なくとも残してほしいという形で、多分、少数意見になるんだろうなと思って言ったまでですので、藤原委員が言うように、若しくはほかの委員が言うように、いろんな意味での戦略的な機能を果たすことが必要だと思っています。企業に関しても、多分、生涯教育の中での教育というところに企業の教育も含まれる。別に企業の男女共同参画を全部やれというわけではないので、少なくとも企業人における男女共同参画教育はきちんとここで統括して指導したりしてやりますよという形にすれば、特に所管は関係ないような気もします。あとは、それをどうやって浸透させるかは、また役所間の関係があるとは思いますけれども、それを教育という点で押していってやるのが非常に現実的ではないかなと思います。
【大日向座長】  多分、浦野委員が御意見がおありかと思います。どうぞ。
【浦野委員】  今、皆さんのおっしゃったことは、それぞれうなずける部分があるんですけれども、この問題は今、典型的にお役所の縦割りの中にあるんですよ。内閣府があって、文科省があって、経産省があって、厚労省があって、経産省なんかは今、女性が加わると、こんなにパワーアップしますよねという実例を本当に一生懸命、集めにかかったり、学界で見たときも、この問題は本当に政治学から経済学、経営学、社会学、あらゆる分野であるんですね。そういった部分で行くと、文科省の場合に、本当に学者の良心に任せた知的誘発の中で科研費を出していく部分と、政策誘導的に、この部分はやはりやらなきゃいけないからという出し方と、いろいろあるじゃないですか。我々が今、論じている問題は、まさに政策誘導的にそういう教育研究をやっていかないといけないという認識では、多分、皆さん一致したんですよね。
 そうなると、NWECの今の研究教育体制は限りなく寂しいですよね。お二人、専任の方がいらっしゃって、もちろん補助者の方もいらっしゃるでしょうけれども、今まで35年かかってためこんだ貴重な資料があるけれども、それを生かし切れるか、と言えばというのはありますよね。政策誘導的にがちっと広げた研究機関にしますといったときに、各大学から手を挙げて、では、私はそこに行きたいという社会学者がいたり、政治学者がいたりというのを私は期待しているんですよ。もちろん大学というところで、それぞれ知的欲求のもとに研究するのも結構なんですけれども、政策誘導的にこの問題はやってみたらどうかなというのがあって、そうだとすると、経産省や厚労省ではなくて、もしかしたら、そこに文科省の役割があるかなと私は思っています。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【柿沼委員】  私は、文科省の中にあっても、教育といっても雇用もありますし、経済もありますので、バリアフリーを、もう少し政策的な根本的な柱があれば取り込めるんではないかと考えますので、文科省でもいいのではないかと思います。
【堂本委員】  今、藤原委員がおっしゃったようなことが理想なんですよね。それこそ50億の予算をつけて、そういうのが総理大臣直属に、どこかにビルも借りてやるようなことでもあれば、それがもう前提としてあるけれども、この際、やるけれども、NWECはどうするのかというなら、またNWECの考え方も変わってくると思うのですが、これだけ予算が厳しい中、消費者庁が借りたビルがいいの、悪いのと言われるようなときに、今、嵐山にあるあれだけの膨大な資料をどこへ運ぶのか。もう大変な量です。すると、やはりあれはあそこに置かざるを得ないのではないかと思うんですね。そういうことを前提に考えると、現実論ですけれども、ものすごくプラクティカルな物の言い方をすれば、今、理想論を書いたところで、そのようにいかないとすれば、どうやっておっしゃったことを一番手っ取り早く実現できるかということになりますね。すると、NWECはNWECで残しながら、この検討会で書くことの中に、今後、日本の国是として何をやるべきなのか、おっしゃったことをきちっと書いて、判断を政府に仰ぐ。
 ですから、私が座長にお願いしたいのは、これは、行革の大臣だけではなくて、きちっと総理大臣にも見せる必要があると思います。なぜならば、先日、総理が、「今、日本の男性社会のために、日本は行き詰まってしまった。これから、もし日本の国を開くことができるとすれば、女性の活躍以外にない」という演説をされたんですね。それは、総理大臣だけではなくて、経団連もああいう発表をしていらっしゃるし、至る所でそういうことが言われています。国全体として、そのひずみが国の存亡にまでかかわると、大げさではなく思っている人が多い。とすれば、きっかけは仕分けから出たかもしれないけれども、やはりそういうものをきちっと上げて初めて検討会としての価値のある議論が展開されたんだということになるのではないかと思うんですね。
 ですから、最初から藤原委員がおっしゃっているように、本当は50億、もしかしたら500億かもしれないですが、その規模はとにかくとして、総理大臣が言うように日本の国が滅びるのか、滅びないのかというところまで言うのであれば、それは5億ではできないことです。文科省の独立行政法人を見ますと、25か26ある中の最下位ですね。特に科学関係のところは、何千万、何千億という、ものすごい額のものが出ています。それなのに、国の存亡にまでかかることに5億でいいのかという逆の理屈もあるのではないかと思うんですね。そこまでの議論が展開できるということが、この検討会の結論になるべきではないかと、お話を伺いながら思っておりますが、いかがでしょうか。
【藤原委員】  何かいつも50億円というのが僕のキャッチフレーズみたいに出てくるので。いいですけれども、それは一応、例えで言った話なので。
 そのとおりだと思います。一方、文科省の科研側の費用で行けば、もう皆さん、御存じだと思います。例えば「もんじゅ」がありますよね。動いていないのに、年間に200億円、かかっているんですね。17年間。それで、僕が仕分けに加わったときに「翌年から動くんだ。そのために今までずっとやってきたんだ」という説明をされて、そしたら、普通、黙りますよね。だけど、動かなかった。それでも、稼働しないでというか、動かせないで年間に200億円かかるというのが一方にあるわけです。そういう意味では、戦略的に動くのは非常にいいかと思いますし、あるいは、皆さん御存じのように、文部科学省というのは予備費を持っていますよね。それから、復興にかこつけて、各省が復興という理由をつけて駆け込みでいろいろ突っ込んだものなんかもあるんですよ。
 だから、本当にやるなら、そういうところからひっぺがしてきて投資をする。そのかわり、これは戦略的な投資ですから、結果に対して責任をとらなくてはなりません。これが今までなかったですね。省庁がやりますと、必ず予算主義だから、決算はないので、責任をとらない。どうせ、その担当は2年から3年でかわる。おまけに、初中局と大学関係と生涯学習政策局と違いますので、お互いに口を出さないようにしようねという縦割り。そこを超えていかなくてはならないので、超えていく提言を、やるなら出すべきですね、それが拒否されたとしたら、拒否されたということがはっきり出るような形で。
【浦野委員】  先ほど来のお金のことについて、一言だけ申し上げますと、本当に有用なものには、国からお金が支出されなくても、民間は自分で負担しますよ。ただ、そこに行くまでの体制が、今、みんなには整っていないでしょう。先ほど堂本さんが経団連が、首相がとおっしゃったようなことは、一人一人の男性社員には伝わっていないのですよ。多分、首相も経団連の会長も事務局がつくったペーパーを読んでいるだけですから、本当にそう思っているかどうかは全然別問題です。だから、今、本当に必要なことは、それぞれの企業が新しい商品・サービスを創り出そうと思ったら、戦略的にダイバーシティを実現することが必要だということにみんなが気づくことなんです。そしたら、民間はそのためには自分でお金を出しますよ。「政府からお金をくれなきゃやらない」なんて、絶対言いませんから。そこだけは誤解のないように。
【大日向座長】  そろそろ時間が尽きかけております。本日も大変貴重な御意見をたくさんいただけました。ありがとうございます。
 次回は、今までの皆様の御意見を文言としてまとめてペーパーに出せる形のものを、事務局と私とで御相談して準備させていただいて、御審議いただくことになろうかと思います。あと2回ほどあったかと思いますが、スケジュールに関して、事務局の方で御説明をいただけますでしょうか。
【堂本委員】  1つだけ。今、浦野委員が民間は出しますとおっしゃいましたけれども、それの受皿が今、NWECにないんですね。ですので、私は自分のペーパーには書きましたけれども、発言でもしいろいろ検討なさるのであれば、財政的なことで、今の独法の制度でいいますと、なかなか自己資金を……、つくればつくるほど、また予算が減ってしまうという構造ですから、これではどうすることもできません。ですから、NWECのほかに、NWEC基金とかNWEC財団というところに、今、おっしゃった民間の基金あるいは大学の科研費から出していく、それから、この前、柿沼委員が500万人いるから50万とおっしゃったように、みんな女性たちが出すにしても、そういった財源あるいはそこで独立した事業を展開できる組織があると、今、浦野委員がおっしゃいました、まだ準備ができないというプロセスで……。
【浦野委員】  私が言ったのは、NWECに寄附するという意味じゃないです。要するに、NWECが立派な商品を提供してくれたら、企業はそのプログラムをいっぱい買うでしょう。
【藤原委員】  受託研究で払ってという意味。
【堂本委員】  そういう意味ね。さっきの第三者評価だって、その一つですよ。
【浦野委員】  受託研究で払ったり、あるいはそういう研修プログラムをつくっていただいたら、企業はそれをばんばん買うわけです。そういう市場原理で言っているわけで、NWECにこのお金で寄附しますと言っているわけではないです。
【藤原委員】  価値を生んでほしいということを言っているんです。
【堂本委員】  わかりました。でも、それをするにしても、資金が要る場合には、その方法も考えておく必要があるかと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 それでは、事務局、お願いいたします。
【湯澤女性政策調整官】  資料7を御覧ください。
 次回の会議、第6回目は7月18日水曜日10時半から12時半までとなります。場所は、こちらの会議室のお隣、3F2特別会議室となります。
 なお、当初、予定しておりました7月6日金曜日の開催につきましては、委員の皆様に事前に御連絡させていただきましたとおり、委員の出欠状況等の理由により、中止とさせていただきます。そして、最終回、第7回は8月10日金曜日4時から6時にて開催させていただきたいと思います。議題は、いずれも報告書取りまとめに向けての審議とさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【藤原委員】  8月10日だけ、場所が決まっていないんでしょうか。
【湯澤女性政策調整官】  そうです。後日、御案内させていただきます。
【大日向座長】  よろしいでしょうか。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係

(生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係)