家庭教育部会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成23年8月22日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省9階生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 家庭教育部会の検討内容について
  2. 親子で学ぶ消費者教育ワークショップについて
  3. その他

4.出席者

委員

荒木委員、あんびる委員、柿野委員、須黒委員、萩原委員、早川委員

文部科学省

板東生涯学習政策局長、笹井男女共同参画学習課長、小沢課長補佐ほか

オブザーバー

西村委員長、原嶋委員、生方氏(独立行政法人国民生活センター)

5.議事要旨

 (1)部会長の選任について

 議事に入る前に、部会長の選任について事務局から説明があり、昨年度に引き続き委員に就任された萩原委員を部会長とすることが了承された。

(2)家庭教育部会の検討内容について

 事務局から、資料1、資料2及び資料3に基づき、家庭における消費者教育推進のための検討等方向性(案)について説明が、また資料5に基づき、家庭における消費者教育の実態把握のためのアンケート調査概要(案)について説明があり、その後、意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。

  • アンケート調査に関する説明の中で、対象が小学校低学年であるという発言があったが、今回の家庭における消費者教育は、小学生という前提で議論をすすめていくのか、あるいはもう少し幼い年代や中学生まで検討していくのか。

     (事務局)前回の合同会議で、早いうちに消費者教育に触れさせることが大事であるという議論があったが、その点もふまえると、小学校低学年又は中学年ぐらいを想定している。
  • アンケート調査は大事であるが、家庭教育部会を進めていくにあたって、対象年齢とテーマを限定するのかしないのかという点を、まず初めに決めなければならないのではないか。最初に決めた方が話を進めやすいのではないか。

(3)親子で学ぶ消費者教育ワークショップについて

 事務局から、資料4―1及び資料4―2に基づき、親子を対象にした消費者教育ワークショップ及び実施方法の検討について説明があり、その後、意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。

  • ワークショップを行う中で、最も反応が良い対象は、小学校低学年又は中学年である。小学校高学年になると、親子で参加するのを嫌がる傾向にあり、また、幼稚園児は、発達差が大きい年頃である。
  • 今日この部会に臨むまでは、家庭の概念をどのように整理するか、例えば三世代家族や共働きなど、そのような組み分けも必要なのではないかというイメージがあった。それが今の話の流れでは、親子ということを強く意識しているようである。神戸市でも親子で学ぶ消費者教育の実施例として、幼稚園児に対しては塗り絵を配布している。また、小・中学校及び高校に対しては、副教材を作成及び配布し、さらにゲストティーチャーも派遣して、携帯電話をテーマに保護者を交えた授業なども行っている。
  • 学校が持つ情報を家庭に伝える際に、本当に情報を届けたいところには届かないという面もあるが、情報伝達に学校を使うことは、有効性が高い。小学校低学年や幼稚園児という意見は、カルタ作りなどのロールプレイングをイメージしていると思う。中学校だと、親子での討論形式は有効であり、また、高校では実際の被害について副読本で教えるなど、それらについて考えると、どの学年でも相応に消費者教育ができると思う。
  • 確かに対象年齢ごとに題材を変更すると、もちろん対象者により教育の形は変わるのだが、その前に、どの年代に対しても必要な消費者教育の柱を決めるべきである。文部科学省あるいは部会が考える親子の消費者教育のテーマを決めるべきである。
  • 今回は、ある種モデル的なものを作るということになる。核になる部分は今回しっかりと作っておき、今後改良を加え、来年度以降展開していけるとよい。
  • これまで作られてきた親子向けの教材には、かるたや紙芝居、絵本などがある。以前、三重大学の学生が授業の一環で、様々な消費者トラブルなどを題材としたカルタを作成した。このカルタは、県の消費生活部局において印刷され、県内に配布されている。また、当時の文部省において、女性の社会参加支援特別推進事業の中で、財団法人消費者教育支援センターが環境教育についての紙芝居「へんしんランドへGO!GO!」を作成している。
  • 子ども向け講座の一つに「カレー作りゲーム」がある。これは、おはじきをお金に見立て、限られた予算及び条件の中でカレーの材料を購入するというものである。経済学の基礎概念となる希少性やトレードオフといった考え方にもつながるゲームである。また、「キャンディーゲーム」は、限られた物品や資源をどのように使うかという環境教育にもつながる内容となっている。
  • 社団法人全国消費生活相談員協会において、平成20年及び21年に作成された幼児向けの小冊子がある。これは、物を買う概念や現状調査、他の家庭との違い、そして物を買うということに対する欲望の抑制といった、親子で消費者教育を学ぶことができる内容となっている。

     (事務局)最終的な成果物を考えた場合、ワークショップで教材的なものを作成する取組があってもよいのではないか。また、それらをホームページなどに掲載することにより、各家庭でも活用されていくという道筋を作っていきたい。一方、学校やPTAなどの組織を活用することにより、家庭へとつながっていくというワークショップもあってよいのではないかと思う。
     
  • 消費者教育のテーマあるいは対象を絞らないと、散漫になり、ただ教材作りを行ったということで終わってしまう気がする。
  • 学校側からみると、消費者教育やキャリア教育などの重要性は理解しているが、それらを一つのつながりの中でとらえていくという理解を、まず学校の先生方が持たなければ動かない。そのためには、やはりテーマ性は重要である。
  • 講座では、親に対して、二つの意思選択ができるようにしてほしいと話す。一つは私的な意思決定で、自分にとって良いものを選択できる力。もう一つは公的な意思決定で、みんなにとって良いものを選ぶ力である。例えば、矯正のための消費者教育を念頭に置くと、だまされない、だまさないということを柱に据えて教材を作ることを考えていくというのがよいのではないかと思う。
  • 今の時代は大量生産、大量消費社会を背景に浪費的な傾向にある人が多い。そこに、クレジットという仕組みができ、それを経済も後押ししている社会構造的な面もある。消費者問題の解決にあたっては、単に時代の流れに逆らうのではなく、現実に目を向けた教育も必要ということで、今の時代に合った消費者教育の体系化の柱を神戸市で作ろうとしている。その中では、消費者の基本行動という概念をベースに置いたうえで、ライフステージや消費活動の様々な分野をマトリックスにして整理しようとしている。また、子どもが学校で教育を受けて、家に帰って親に伝えることで、若い親の教育にもつながると思う。ただ、親と子が一緒に学ぶことに対して、親の満足感が得られるような仕組みが必要なのではと思う。

    (オブザーバー)昨年度作成した指針の中で、消費者教育の目的を自身の消費生活の安定向上のため、消費者の権利を実現するという記述がある。要は、知識を習得するというところに力点があるという点、二つ目の点としては他者や社会の関わり、さらに三つ目の点としては、そのためにライフスタイルをどのように主体的につくっていくのかという点があげられる。これらは、基本のベースに置いた方がよいと思う。その上で、指針にある社会教育というのが高齢消費者に絞っているということで、可能であれば、家庭における消費者教育の進め方のガイドラインのようなものが出来るといいのではないか。
  • 学校において、消費者教育に関する道徳の教材があって、それを親子で学ぶことが出来ればいいと思う。また、岐阜県ではPTAで家庭教育学級を行うが、そういうものの中に消費者教育が入る余地はいくらでもあると思う

    (事務局)ガイドラインというのは、最後の成果物となるもののことで、消費者教育における大事な観点などを集めたものを作っていきたいと考えている。
  • 同じ地域でも、都会に近いところと周辺部では温度差があるのではないかと思うので、数箇所でワークショップを行うのであれば、それぞれ全く違う環境を選んだ方がよいのではないかと思う。
  • 大都市から少し離れたショッピングセンターが建設されているようなエリアが、一番消費者教育を必要とするような問題が起こりやすい傾向がある。

その後、各委員からのワークショップ候補地の推薦や、役割分担などについて話し合われた。

(4)その他

 事務局から、本日委員から出された意見については、事務局で整理のうえ、資料などを提示することとし、適宜メールなどで連絡を行う旨説明があった。また、アンケートについても、後日各委員に対して照会を行う旨説明があった。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課

(生涯学習政策局男女共同参画学習課)