「熟議」に基づく教育政策形成の在り方に関する懇談会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成22年2月10 日(水曜日) 10時半~12時

2.場所

文部科学省東館16F特別会議室

3.議題

  1. 「熟議」に基づく教育政策形成の在り方について
  2. その他

4.議事要旨

○鈴木副大臣、高井政務官からの挨拶の後、意見交換が行われた。

(与良委員)

○若い人たちも、政治や経済、自分たちの将来について真剣に考えているが、そういうことを語り合う場があまりにもないと感じている。

○全国各地のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんたちは、知識が豊富で熱く議論する。その場をどのように提供するか、ネットワークをどうつなげるかということが今一番求められていることではないか。

(金子座長)

○主役は国民であり、色々なところで色々な議論が始まってほしい。

○コミュニティ・スクールの検討は、実はネットの会議室から始まり、その議論を力にして、教育改革国民会議で提案した。

○ネット上での議論は、きちんと計画をして、モニターしていけば、必ず成功すると思っている。

○この取組は、現場の人が普段話すことをどんどん話していただいて、その中から汲み上げようというものであり、これこそが「新しい公共」だと思う。

(城山委員)

○「熟議」の場に集まっていただく関係者は広くした方が良いが、ただオープンにということではなく、多様性を理解する、差異を理解するというのが第一のポイントであり、良い意味で同床異夢を作っていくということが大事。

○色々な関係者が可能な限り自主的に連携できるようなものを作っていき、社会として決めるとよいものについては政治決定していくというように、順々に上がっていくようなプロセスができればよい。

(粉川委員)

○藤沢市市民電子会議室の目的は、1.インターネット上で、地域の方々が議論することで人のつながりを作る、2.その議論を市政に反映していく、の2つである。

○電子会議室は、運営委員会が中心となって行政、大学等が協力して運営していく仕組みを作っており、こうした準備が重要だった。

○進行役と呼ばれるファシリテーターが掲示板のコミュニケーションをフォローしている点がポイント。

○全てが順調というわけではなく、特に、参加者の固定化等の問題がある。

(田村副座長)

○渋谷教育学園幕張中学校・高等学校において、地域ボランティアを組織化し、「熟議」をしながら、外国人生徒に対して日本語教育を行ってきた。

○外国人に渡す学校案内の翻訳版を作っている市があるにも関わらず、それを知らずに翻訳版の作成に苦労している市があったが、議論することによってそれを知ることができた。

○学校の中でやるというときに、学校の教員や教育委員会の人だけではなく、学校と関係ないようなボランティア等の方が集まって、色々意見を言うことで非常に変わる。

(塩見委員)

○大きなショッピングモールに机と椅子を持っていって、そこにホワイトボードを置いて授業をする。周りにはたくさんの人たちが買い物をしたり、通ったりしている。また、周りの人がすぐ入って来られる。そのようなものがコミュニティ・スクールのイメージではないかと思っている。

○地域・教職員・保護者、さらには生徒も含めて、4者で広い場でやっていくのがコミュニティだと思う。

○当初我々は学校に地域の人たちを小学校に連れてくるのが新しい教育だと思っていたが、逆に学校の方から地域の中に出て行くべきではないかと思った。そのような考え方が「熟議」に一番近いのではないか。

(貝ノ瀬委員)

○学校の閉鎖性や一元的なものの考え方、地域社会の人間関係の希薄化、子どもの活力の低下等の連立方程式を解くためには、教師がもち得ないような、地域、保護者、市民の方の良識や専門性を、教師の専門性とコラボレーションし、地域ぐるみで子どもを育てるというのが最善ではないか。

○このような取組は、日々見直しをすると同時に、問題意識を相当持って当たらないと持続していくのが難しい。

(日渡委員)

○学校や教育の在り方が明らかに変わってきているが、学校や地方教育行政がその変わりようについてきていないというのが悩み。

○中短期の色々な政策は出るが、超長期の政策がこの国にないような気がする。短いところをフラフラしながら行っているので、超長期の統合の政策を立てるような場所が、この場ではないと思うが、あってしかるべき。

○全く違う言語で、教師が子どもたちに話しかけており、両者の間で言語のイメージが一致していないため、授業の理解度の認識が教師と子どもで違ってしまう。それを一致させるために、地域コミュニティにまず学校側が出て行かなくてはいけないと考えている。

(佐々田委員)

○秋田県は人口減少が激しいため、教育の根本的な基軸を地域に置き、ふるさとを学び、ふるさとに自信と誇りをもたせる「ふるさと教育」を標榜しながら、全県一丸となって、小中高とも取り組んできたところ。

○地域から学校に出かけたり、学校も地域に出かけたりして、学校、地域、教育委員会の3者が相互・連携して、総合的に活発化することが大事。

○「みんなの登校日」を各学校が一定期間設定し、地域の方々が学校訪問をして、感想等も含め評価をしている。また、保護者が家庭における子どもの様子から、学校に対する要望・意見等を「学校活性化アンケート」に自由に書き、それを県で取りまとめ、学校にフィードバックしている。そのような取組が「熟議」に結びつくのではないかと思う。

(別所委員)

○文部科学省に限らず、政策決定のプロセスの中になかなか現場の力が反映されていないという課題意識があり、オープンガバメントや「熟議」にかなり期待している。

○インターネットは双方向のコミュニケーションのツールではあるが、そのツールを議論する場として十分に活かしきれているかというと、課題は多いと思う。

○インターネットを使った「熟議」の取組は、世界で最初の試みではないかと思っており、それがうまくいくように、できるだけ力をお貸しすることができればよいと思う。

(村上委員)

○地域や保護者の方々から学校教育について意見をいただくに当たっては、学校教育のことをよく分かってもらうことが大事である。地域や保護者の方々に子どもの活動を企画運営していただき、子どもの様子や学校の教育を知り、意見をいただくという取組を行った。

○このような取組の結果、地域の方々から、「意見を聞いてもらう場があるということは大変良かった」、「学校の教育がよくわかった」、「地域の人に何ができるかを考えることができた」等と言って頂いている。

○ネット上の「熟議」の在り方ということで、今までやってきたことが顔の見えないところでどのようにやっていくのか、勉強させていただき、考えていけたらと思う。

(鎌田委員)

○携帯に関するインターネットの使い方の指導等のために学校現場に行くことが多くなり、先生方とのお付き合いが多くなり、学校現場が非常に身近になってきている。そのようなところからお話できることがあると思う。

(竹原委員)

○「コミュニティカレンダー」という学校情報を4校の学校と地域情報が全て入ったカレンダーを日本で初めて作った。

○現場対話の事例として、中学生のキャリア教育を3年間やっている。1年生は29人のプロに学ぶ会で話を聞き、2年生は100箇所の事業所に3日間行く。事業所に行った後は、リクルート社のご協力によって、タウンワークを作成している。3年生は地域の人が30人ほどいらして、模擬面接をしてくださる。これらのコーディネートを全て地域がやっている。

○地域の取組が、単なる下請けやイベントにならず、先生とのイコールパートナーとして一つの授業をやっていけるようになってきている。

○地域のコーディネーターと学校だけでは硬直状態になるときもあるので、外部からファシリテーターを読んで、新しい意味で評価をしてもらって、アドバイスをもらうようにもしている。

○先生と地域の方と出会い、横のつながりができ、達成感や、「子どもに関わる人がこんなにいるんだ」、「こんなに関心を持って色々やってくださり、温かい目でやってくださるんだ」、ということを実感できた。

(小林委員)

○高等教育における政策の優先順位は何か、真ん中に据えられる政策は何かというところについて、大きな方向性を一つ出していってよいのではないかと思う。

○世代によって教育についてイメージが違うため、「熟議」をする際には、情報公開、ベース揃えというものが重要である。

(柏谷委員)

○青森県横浜町の人口は5,188人。地域の中でどのような教育環境がよいのかということを5,000人で考えようということを始めている。

○食べ物、エネルギー、ケアの部分でも、自給できる地域の仕組みづくり、そのために教育に何が出来るかということを考えることが重要ではないかと思っている。雇用等も含めて教育を統合的に考えていかなければいかないときに来ている。

○青森県の片田舎で、いいモデルをみんなが考えたらできるというような何か成功例を作っていかなければいけないと思っている。

(田中委員)

○インターネットを使う上で色々な課題はあるが、一番重要なのは、インターネットを使っている先には、必ず人間がいるという大前提である。人間をどう信じていくのか、人間をどういうふうに変えていくのかということがインターネットの活用と大きく関連する点から逃げてはいけない。

○インターネットを活用していく中では、人間の可能性を広げていくことが社会一般のためになるのだ、多くの人が議論することで世の中が変わるのだ、という根本的なところを誤ってはいけない。

○事務局より、欠席の委員からのメッセージ(小松委員、佐々木委員)が読み上げられた。

(以上)

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