生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会(第7回) 議事要旨
生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会(第7回)が、以下のとおり開催されました。
1.日時
平成24年6月26日(火曜日)13時15分~16時15分
2.場所
文部科学省生涯学習政策局会議室
3.議題
- 「学び」に関する意識調査について
- 社会教育調査の見直しについて
4.出席者
委員
小泉委員、笹井委員、澤野委員、田中委員、土屋委員、益川委員
文部科学省
生涯学習政策局
西澤調査企画課長、土山調査企画課長補佐、森友教育改革推進室長
5.議事要旨
(1)「学び」に関する意識調査について
前回会議での議論を踏まえ、事務局にて作成した「学び」に関する意識調査の調査票案について、委員による議論が行われた。
各委員からの主な意見等は以下のとおり。
調査設計について
(政策立案との関係)
- 政策立案にいかすための調査では、アクセスの阻害要因を調べるのが一般的だが、この調査は政策立案にどういかすのか。
- この調査は、政策評価のためのデータが得るというよりも、今後の学習に対する客観的な調査の枠組みや尺度の参考となるのではないか。
(調査の位置づけ)
- 一般的な世論調査や研究者が行う学術研究ともレベルが異なるので、先行研究を参考にしながら政策研究として実践的な内容でやっていくのがよいのではないか。
(「学び」について)
- 調査対象者によって「学び」のイメージが異なるので、「学び」の定義が必要。
(調査対象年齢)
- 調査対象者は25歳以上となっているが、初等中等教育段階についても、子供たちが本来の「学び」についてどう考えているかを知りたい。
- 調査対象を20歳以上とすれば、「日本人の成人の学びに関する意識調査」ということができるが、25歳以上というと説明しづらいのではないか。
各質問について
(中学3年生時の成績について)
- 「成績はどうでしたか」と聞くと、「学び」から「生涯学習」ではなく「勉強」を連想するが、この調査における勉強とラーニングの枠組みを決める必要がある。
- 成績について各々が主観的に答えると得られるデータにばらつきが生じる恐れがあるので、聞き方の工夫が必要。
- 学校に対する本人の達成度や好き嫌い、学校以外の人生の適用度という両面をおさえたい。
(子供の頃の学校体験について)
- 家庭に関する内容を加えてはどうか。
- 地域での外遊び経験や友達との関係について、質問項目を検討してみてはどうか。
- 稽古事など、学校以外のところで学べたかどうかが、社会に出た後のインセンティブにつながることもある。学校教育以外の学びについても聞いて、その後の学びに影響を与えているかどうかがわかればいいと思う。
- 「スポーツ活動や習い事(部活動を含む)」は「学校外の学びの場」と整理してはどうか。
(子供の頃の家庭環境について)
- 家庭の雰囲気は「暖かい」だけでよいのか。規律に関すること、家族で一緒に行動すること、についても必要ではないか。
(年齢について)
- 年齢の区切りについて、他の調査との比較が可能となるよう、もう少し細かい区切りにした方がよい。
(就労状況について)
- パートタイムかフルタイムかが区別できるような項目にしてはどうか。
- 職業の分類はこれが適切か。仕事の中身に着目して、サービス系か労務系かを聞く方法もある。他の調査等を参考にしてほしい。
- 労働時間については、労働基準法上基準となる時間がわかるようにしてもよいと思う。
(家族について)
- 家族については様々なケースがあり、そこから得られたデータを他のデータと関係づけることは難しく、問う必要はないのではないか。
- 家族関係よりも、親しい友達の有無といった友人関係の方が学習には関わりが深いため、家族について細かく聞く必要はないのではないか。
- 回収率が6割程度と想定されるので、回答してくれた人が単身世帯か二人以上世帯なのか、ということを記録する必要はある。
(仕事と余暇について)
- 家事育児などのアンペイドワーク、ボランティア活動も入れて、生活全体をおさえられるようにしたい。
- 余暇がなくても学ぶということはあるので、「学びにあてる時間がない」という項目は考え直した方がよい。
- 社会生活や職業生活の中に学びが内在していることもあるので、ここでは学びを入れない方がよいのでは。
(仕事に必要と考える能力について)
- 仕事の有無に関わらず答えられる形にしてはどうか。
- 仕事に関わる専門的な力と、genericな力の両方が聞けるとよい。
- 仕事に関する力を聞くのであれば、どのような仕事をしているかも詳しく聞かなければならない。
- やっている仕事をうまくやっていくために必要なことだけでなく、これからいい仕事につくためにどのような能力が必要と考えるかについても聞いておく必要がある。
- 管理職の人に求められるリーダーシップやマネージメント等、社会人のコンピテンシーについての選択肢を増やすべきである。
(学校教育の成果について)
- 学校教育の成果は、特定の教科の勉強による成果というよりも、教育活動全体の結果である。「学び」というと勉強だけを想像する人もいるので、学校生活全体がイメージできるような言葉で質問を考え直すとよいのでは。
- 「学校」というと一般的には高校までを想像するが、大学についても聞いているのか。高校までと大学では違うことが多いので、高校までに限ってもよいかもしれない。
(「学び」から連想することについて)
- 「学び」という言葉からの連想について、「学び」という言葉と自分が見聞きしている学習活動は異なると思うが、回答は変わらないという想定でよいか。
- 選択肢は名詞形でそろえるべきではないか。
- 選択肢には「真面目」「堅い」というのもあってよいのでは。
- 「安定」は、精神的安定と経済的安定の両方に使うが、どちらを想定しているか。
- 「生きていてうれしいなあ」という意味合いの「生きがい」も必要ではないか。
- 安心して生活できる、広い視野が得られる、自信がつく、といった選択肢も必要ではないか。
(「学び」から得られるものについて)
- 成人教育の世界では、学びの目的は、目標思考、学びそのものが目的、退屈を紛らわすため、の三つの分類があると言われているので、この三つを網羅して問うべき。
- よりよい自分になるため、社会的課題を解決するために学んでいる人もカウントできるような選択肢にしてほしい。
- 職業生活、家庭生活、社会生活を分けて聞いてもよいのではないか。
(「学び」への認識の変化について)
- 大人の学びの場合、気づき、意識の変化、人と関わる力、も重要である。
- 学ぶ目的、学びの結果、学ぶこと自体で大切なこと、のうちどれを問いたいのかわからない。
- 年齢によって学ぶことは変わってくるので、学びに何を含めるかを整理する必要がある。また、「学び」に学校外の学びも含むと認識してもらえるかどうかは、最初にどんな項目を持ってくるかで変わってくるので、質問の順序を工夫する。
(利用する「学び」の場について)
- 生涯学習の場面で利用する施設については、限定的に聞くのではなく、網羅的に聞いた方がよい。
- 生涯学習に対する取り組み方が、個人学習型か集合学習型かというのを聞いてはどうか。
- 属性として分析可能な形にしておくべきである。
- 学びの意識を聞くのであれば、学びの実態について基本的な部分はおさえる必要がある。
(自己肯定感について)
- 「大体満足」「結構長所がある」「強く感じる」という場合、形容詞はない方がよいのでは。内容と程度を一緒にすると回答が偏る可能性がある。
(社会意識について)
- 豊かな教養を身につけて自分の世界観を作っていくという内容についての項目がない。
- 「意見についてどう思うか」という質問なので、メッセージ性のない項目は見直した方がよい。
- 「将来のために節約・努力するよりも、今の自分の人生を楽しむ方がよい」は、「学び」観の影響を受ける意識というより、属性的なものではないか。
(地域への愛着について)
- 地域に対する意識を聞くのであれば、グローバルなところまでを含めた日常生活圏以外での社会に対するイメージや、社会と自分の関係を聞く必要があるのではないか。
- 広い意味での市民意識や社会参加意識も関係してくると思う。ソーシャルキャピタルの観点でいえば、コミュニケーション、互酬性、信頼関係なども影響を受けるのではないか。
(2)社会教育調査の見直しについて
前回会議での議論を踏まえ、事務局にて作成した社会教育行政調査票、公民館調査票、図書館調査票、博物館調査票、生涯学習センター調査票の改正案について、委員による議論が行われた。
各委員からの主な意見等は以下のとおり。
社会教育行政調査票について
「9(1) 指導者研修」
- 選択肢を統合した場合、「指導者」が何を示すのかわからなくなるのではないか。
- 社会教育主事「等」として主事以外も対象とし、行政職員と民間団体等の職員を併せて研修を行っているところもあるので、選択肢を統合する。
「9(6) 社会教育学級・講座」における男女別の表記
- 託児サービスなどの数値とも関わりがあるので、男女別での集計がよいのではないか。男女別の集計をやめるべきというのが少数意見であれば、変更はやめた方がよいのではないか。
- 実際にどれぐらい男女別のデータがとれないのか、全県に聞いて確認した上でどのようにするか決めることとする。
図書館調査票について
「15(8)の1 情報システムネットワーク」
- 今後新たなサービスが出てくることを想定して、選択肢に「その他」を追加してはどうか。メールでのやり取り(問合せ対応)等が想定される。
- 3年ごとに見直しの機会があること、本来、他の項目に入れるべきものが「その他」に記入されるおそれもあるため、「その他」は追加しないこととする。
「12(8) コンピュータの導入状況の無線LANのアクセスポイントの有無」
- 図書館の規模感について把握する必要があるので、無線LANのアクセスポイントの有無に加えて、有の場合、箇所数を入れてはどうか。
「13 資料の状況」
- 児童用図書の分類については、図書館によって方法が異なるので、図書館の専門家に確認した上でどのようにするか決めることとする。