生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会(第6回) 議事要旨

生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会(第6回)が、以下のとおり開催されました。

1.日時

平成24年4月24日(火曜日)13時15分~16時30分

2.場所

金融庁905C会議室

3.議題

  1. 社会教育調査の見直しについて
  2. その他

4.出席者

委員

小泉委員、笹井委員、澤野委員、田中委員、土屋委員、益川委員

文部科学省

生涯学習政策局
西澤調査企画課長、土山調査企画課長補佐、新木社会教育課企画官、高井生涯学習推進課長補佐

5.議事要旨

事務局より配付資料の確認及び資料の説明が行われた。

(1)社会教育調査の見直しについて

前回会議での議論を踏まえて事務局にて作成した社会教育行政調査票、公民館調査票、図書館調査票、博物館調査票、生涯学習センター調査票及び学習分類の改正案について、委員による議論が行われた。

各委員からの主な意見等は以下のとおり。

社会教育行政調査票の「関係法人数」について

  • 法人の設置目的の分類を増やす際に特定非営利活動促進法の別表を参考にするのであれば、中心の活動分野が何かで調査してはどうか。マルチアンサーで聞くのであれば、「社会教育」のほかに「環境の保全」も入れてよいのでは。
  • 特定非営利活動促進法の別表は17の分類となっており、6割以上は福祉を目的とした活動であるが、社会教育調査では教育委員会が所管する一般社団・財団法人の話なので、社会教育と福祉の両方を目的としている場合、福祉部局などが担当している。したがって、分野横断的な分類の方がよいのではないか。
  • 人権問題は社会教育の中で一定の位置を占めてきたが、関係法人に入れるべき分野としては違う気がする。
  • ESD(Education for Sustainable Development)との関係で「環境」をいれることになったため、人権や環境、国際協力も入っているとのことだが、大枠にしておく方がよいのではないか。
  • 知事部局で、届出の際に分野が登録されるのであれば、集計は可能である。わざわざ調べる必要はあるのか。
  • 生涯学習や社会教育の振興を目的として設置されている一般社団・財団法人について聞いているのであれば、「社会教育の推進を図る活動」は削除し、生涯学習や社会教育の振興の中身を聞く選択肢にしなければならないのではないか。
  • 選択肢の案にある「環境の保全を図る活動」は、指す範囲が狭くなるのでワーディングを工夫してほしい。

公民館調査票の「民間社会教育事業者との連携・協力」及び「諸集会及び学級・講座の共催相手」について

  • 「連携協力」はあいまいな概念で、記入する担当者によってとらえ方が異なるので、統計調査で使う言葉としては「共催」の方が定義が明確であり、わかりやすい。
  • カルチャーセンターが行っている講座情報などを生涯学習センターがまとめて情報提供することは結構行われており、有料・無料の講座の情報をまとめて提供することは住民にとってもメリットがあるので有用な連携協力と考える。このような連携協力の形態がたくさんあることは認識していただきたいが、調査の必要はない。

図書館調査票の「コンピュータの導入状況」について

  • 「外部データベース」という選択肢は動詞がないので分かりづらいため、「外部データベースの利用」としてはどうか。また、「ウェブページ検索」は、「検索」とすると検索以外を制限している印象を受けるので、「閲覧」がよいのではないか。
  • 最近は余り「ウェブページ」という言葉を使わないので、ウェブページの集合体と考えて「ウェブサイト」を使ってはどうか。

生涯学習センター調査票について

  • 生涯学習という概念そのものがあいまいなので、「生涯学習センター」の定義付けは難しいのではないか。
  • 「生涯学習センター」という名称にこだわらずに、機能面に注目すればよいのではないか。生涯学習センターといった場合、そもそも県レベルで作るという答申だったと思う。
  • 社会教育実践研究センターなどがどのように生涯学習センターを捉えているか聞いてみてはどうか。
  • 調査票をまとめて、公民館類似施設として包括的に調査してはどうか。

学習分類区分について

  • 中分類に「その他」がないので設けてはどうか。また、小項目がないと記入者もイメージしづらいのではないか。
  • 人文科学や社会科学の「科学」をとり、「系」としてはどうか。テーマとして区分した方が分類しやすいのではないか。また、「人材養成」という言葉が分かりづらい。
  • 小項目を残すのであれば、調査の継続性からも特段問題ないと考える。別集計すれば従来の分類の数字も担保される。

(2)その他

事務局による新たな調査の構成案についての説明後、委員による議論が行われた。

各委員からの主な意見等は以下のとおり。

調査方法について

  • 社会生活基本調査の調査方法を参考に、食事や睡眠、仕事以外の自由時間の行動について、新聞やテレビなどの選択肢から選び、どのような形態や時間、場所かを聞く形で調査してはどうか。この方法であれば、生涯学習をしていない人が、何をしているかというデータも取ることができる。
  • 生涯学習の定義がはっきりしない中で、何を学びたいかなどを聞いてもうまくデータがとれるかわからないので、意識調査ではなく、事実を把握する調査がいいのではないか。生涯学習を阻害する要因(一般的に時間とお金と空間)は、意識調査で聞くのがよいのでは。
  • 社会生活基本調査や、NHKの生活時間調査と内容が重ならない、目的の焦点化された調査ができればいいと思う。

「生涯学習」「学習」について

  • 「学習」というとラーニングという意味合いで捉えるべきだが、日本の場合スタディであり、学びの楽しさが阻害されているため、若者の学びに対する意識が低下しているのではないか。
  • 現状では学びがジョブになっていることから、「学習」というキーワードを出すと、勘違いされるのではないか。丁寧に「学習」を説明できればよいが、まして「生涯学習」となると更にわかりづらい。
  • 「生涯学習」という言葉を聞いたとたんに、「私は関係ない」という人もいる。学びからの阻害要因を分析するのも興味深いと思う。
  • 学習の意味を文科省が政策的にアピールしていくためには、ソーシャルキャピタル、ボランティアやまちづくり活動、社会貢献活動と学習との関係をとらえるような意識調査又は個人調査にすると有用ではないか。ソーシャルキャピタルについては内閣府の調査もあるが、学習面からの調査がないので、文科省で調査できるといい。
  • 学習活動として意図的に行われるものと、偶発的学習や状況的学習と言われる生活や活動の中で行われる学習がまざって「生涯学習」の定義になっているが、学習の社会的な意味を考えるに当たりこれらを整理すれば、文科省の学習へのアプローチが見えてくるのではないか。

既存調査とのすみ分けについて

  • 内閣府の世論調査と内容的に重なる部分も多く、既存の調査を改善することで何とかなるのであれば、そちらの改善のみで十分である。新たな調査を考えるのであれば、抜本的な違いが必要である。研究的にやるのであれば、国立教育政策研究所でやってもよいのではないか。
  • 今までの世論調査では、属性と人生観を絡めるというのは出てこないが、学歴や所得をとれれば、格差や階層との関係で学習を分析することができる。
  • 学びに当たり、時間資源がどう使われているかというのは重要。その意味では内閣府の世論調査との差別化を図ることができる。時間がどのように使われているかという観点になると、インフォーマル・インシデンタル学習も対象になるので、どのような活動をしているのかということがわかってくるのではないか。

調査内容について

  • 学校卒業後の20代から死ぬまでの間、年齢ごとに身につけるべき事柄は異なってくるが、それを描けるような調査にすれば、生涯学習の調査といえるのではないか。
  • 学習というと知識を身につけるイメージがあり、その観点から調査が設計されているように思うが、生涯に亘って学ぶ上では、知識や技術よりも適切な判断力を身につけることの方が大事なのではと思う。人として成長するということはどういうことか、というのを示せるような調査の内容にできれば、調査の目的も説明しやすくなる。
  • 学習内容について聞くのであれば、現在の学習活動率とともに必要認知度について併せて聞くとよいと思う。
  • 学習の後押しがうまくいっていない要因や、学習したくてもできない人の要因を見つけて政策課題を把握していくことは意味がある。学習からの阻害要因の分析と、阻害とまではいわないがその人の行動様式にマッチした学習の機会を生み出すような分析が可能になればよい。
  • 生涯学習であれば、学ぶということに対する動機付けがあるからそれに価値観を見いだしてチャレンジする人がいて、そのときにインセンティブが動くと思うが、それをはかることは難しい。国としてインセンティブを高められるような環境作りが何らかの形で可能であれば、生涯学習をしていない半数の人たちへの施策が考えられるのではないか。
  • 過去の学習経験を聞いて、人生観や価値観を聞くとソーシャルキャピタルのある程度の傾向がわかると思う。学習経験と人生観の中に、「仲間を増やしたい」や「出会いを求めている」といった選択肢を入れておくと、学習経験がそれに寄与しているのでは、という仮説が立てられる。
  • 自分の意識や行動を変える、ということを意識して調査設計をするのであれば、学ぶことで視野が広まった、友達が増えた、というのがデータとして出てくればよい。調査項目を工夫すれば、学んだ経験の量、意識の変容にどうあらわれたかをデータで示すことが可能だろう。

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生涯学習政策局調査企画課