教育バウチャーに関する研究会(第9回) 議事要旨

1.日時

平成19年4月24日(火曜日)10時~12時

2.場所

丸の内仲通りビルK1会議室(地下1階)

3.出席者

委員

小川座長、金子郁容委員、金子元久委員、新美委員、渡邉委員

文部科学省

金森総括審議官、清木生涯学習総括官、大槻生涯学習政策課長、佐久間調査企画課長、高橋行政改革推進室長、その他関係官

オブザーバー

赤林慶応大学経済学部教授、株式会社日本総合研究所志水主任研究員

4.議事要旨

  • 昨年12月の「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」及びそれに伴う「教育バウチャーに関する研究会」の設置の延長について事務局から説明
  • 学校選択と教育バウチャーに関して赤林慶応大学経済学部教授から説明

(以下、主な発言内容)

  •  教育分野においては、政策と効果の因果関係を証明するのが極めて難しいため、コントロールされた実証研究の結果を用いて、現実の教育を論ずることにどれだけの意味があるか疑問。
  •  なかなか100パーセント因果関係が説明できるようなものは存在しないが、バウチャーに関しては、これまでアバウトな議論が先行していたため、わずかだが、実証研究の結果が役に立つのではないか。
  •  (私立学校について)例えば、アメリカでは、教員採用の自由を持っているし、オランダは宗教による選抜の自由を持っている。一方、我が国は、学費の徴収と学生の選抜の自由は持っているが、カリキュラムの自由度はない。このように、そもそも私立学校が持っている自由度が文化的・歴史的にそれぞれ異なっている。
  •  (公立学校において)学校予算を児童生徒数に比例した形で積算すること自体はあまり意味がなく、それぞれの学校が努力できる自由度を学校に持たせることが重要なのではないか。しかしながら、学校制度のどの辺りの自由度をどの程度増やせば良いのかは慎重な検討が必要である。
  •  米国のように、特定の地域で実験をしてみるのも方法の一つとして考えられる。仮に実験が可能なのであれば、小学生を対象に行った方が結果を分析しやすいだろうが、結果が出せるまで相当の時間がかかるはずである。しかしながら、我が国の社会風土の中で、国(行政)が実験を行うことは極めて困難であり、本来は、私的な財団等が私財で実験するのが一番良い。
  •  選択により効率化が図られるとの議論があるが、良い生徒がいる学校により生徒が集まるようになり、そこに通う生徒の学力は向上するかもしれないが、全員の平均的な学力が向上するわけではないのではないか。
  •  教育の質について議論するとき、本来、教育自体から起因する付加的な影響をみるべきなのに、結果だけで判断されることが多い。そのような議論は教育の質そのものの議論では無い。例えば、私立高校は、教育そのものの質を高めるよりも、優秀な生徒を選抜して入学させることの方が効率的なため、選抜により力を入れる傾向にある。
  •  ピア効果については経済学でもはっきり検証されておらず、まだまだ研究を続けていかなければならない。
  •  そもそも規制緩和とバウチャーは関係ないのではないか。バウチャーは、外国では、むしろ私立学校の規制につながっている。
  •  今後、もう少し本研究会としての方向性を考えながら政策的にどのようなことが実現可能なのか議論すべきでないか。
  • 海外の教育バウチャーの事例について日本総合研究所から報告。

以上

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生涯学習政策局政策課