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4章  図書館関係者による検討・対応が必要と思われる事項

  第3章では,個々の公立図書館が地方自治体の関係者との交渉等を通じて検討・実施すべき事項を挙げてきたが,ここでは,図書館関係団体など我が国の図書館関係者が,「図書館界」全体として検討・対応する必要があると思われる事項を挙げることとする。

1  電子図書館の職員に必要な資質

  地域電子図書館の機能の充実に向けて重要なことは,公立図書館がこうした機能を果たすことの意義と必要性を職員自身が十分に理解し,その実現のために必要とされる知識・技能等を,実務と各種の研修そして自らの研鐙等により修得することである。
  そのためには,現行の図書館職員研修の在り方を見直し,コンピュータ等の情報機器を実際に使用する機会や運営の方針・実態を公表し互いに討議する機会等を増やす工夫を検討することが求められる。また,地域電子図書館の運営と各種サービスの提供に必要な知識・技能等の検討・特定も必要である。さらに,これらを定着させ,実質的なものとしていくためには,こうした知識・技能等に関する民間による新たな検定制度等を図書館関係団体が創設することについても検討が必要である。
2  電子図書館間の連携,情報交換等の場
  デジタル資料(有用なサイトを含む)の全国的な整備の観点から,不必要な重複等を回避することが望ましく,分担収集や共同保存について検討することが必要である。また,電子メールによるレファレンス・サービス等のノウハウの共有化等も有効であると考えられる。さらに,次世代の検索システムの開発やデジタル資料の収集に当たっての考え方に関する共同研究,デジタル資料の提供者・利用者の倫理やモラル等の在り方についての学校等との情報交換なども考えられる。これらの点等について,役割分担等の検討,調整,共同研究や情報交換のための組織体制等の創設を検討することが必要である。
3  メタデータ作成・導入の普及
  我が国の図書館界全体として,メタデータ作成に係る標準化・規格化の推進が必要であるが,これについては,国際的な動向への対応と他国や国際組織等との連絡・調整も必要となることに配慮し,特に出版者,情報通信関連企業等への働きかけを行い,連絡・調整の機会を設けることが必要となる。ネットワーク上で提供されるデジタル情報のメタデータの作成について,全国的な役割分担等について検討,調整する必要があり,そのための組織等の創設も検討する必要がある。
  また,作成したメタデータの共有化(相互利用),統合化に関する検討・調整も必要であり,横断検索技術の開発への取組や,連絡・協議のための組織体制の整備等も検討する必要がある。
4  著作権契約システム等
  また,著作権法等の規定について改正すべきであると図書館関係者が考える部分がある場合には,図書館関係者自身がこれを具体的に検討して改正案を作成するとともに,その実現に向けた働きかけを権利者や国民一般などに対して行っていくことが必要である。また,できる限り広範な資料や情報をデジタル化して提供していくためには,著作者等の権利者側の協力を得て,簡便で包括的な契約システムを構築していくことが不可欠である。

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