学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議(令和元年度)(第4回) 議事要旨

1.日時

令和元年7月24日(水曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省 13F1会議室~13F3会議室

3.議題

  1. 関係団体からのヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

伊藤委員、上沼委員、竹内委員、玉田委員、森田委員
【ヒアリング協力者】
全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会

文部科学省

丸山審議官(初等中等教育局担当)、大濱児童生徒課長、松木児童生徒課生徒指導室長、星児童生徒課専門官、打田男女協同参画共生社会学習・安全課青少年有害環境対策専門官、佐藤情報教育・外国語教育課課長補佐、小林情報教育・外国語教育課情報教育振興室室長補佐

5.議事要旨

※事務局より資料についての説明があった。

【座長】  それでは、まず、全国連合小学校長会から御説明をよろしくお願いいたします。
【全国連合小学校長会】  では、早速資料1をごらんいただければと思います。
 先ほど参考資料としても御紹介されましたけれども、平成21年度に出されました文部科学省からの通知を受けまして、現在多くの全国の小学校では携帯電話等の持ち込みは禁止ということを原則として日々の対応を行っております。今回改めて学校への携帯電話の持込みに関する取扱いを御検討いただくということに当たりまして、現状をお話しさせていただきます。
 まず1点目の、小学校における取扱いの実態について、でございます。先ほど申し上げましたように、原則としてほとんどの学校がそうだと思われますが、持ち込みを原則禁止としています。ただ、保護者の申出によりまして、特別な事情のある場合等々、学校によってその文言は異なりますけれども、校長の判断で許可をしているというケースはあるというふうに聞いております。その数や割合につきましては、私どもの会での実態の調査、把握は、現段階ではしておりません。
 実際に持ち込みを認める理由としては、ほとんどの場合、保護者の皆様からの子供たちの登下校時の所在確認をしたいということが強い希望で述べられたケースというふうに聞いております。ですので、そういったケースについて、校長の判断で個別に許可をしている場合があるということになります。
 実際にそのお申出によって認める場合は、幾つかの約束事をさせていただいておりまして、例えば、紛失ですとか、トラブルなどがあった際には、学校は対応しないので、御家庭の責任においてしていただきたいということですとか、学校の中ではランドセル等に保管をして持ち出さないということ、また、登下校の際に持ち出さない、もちろん非常の場合は別ですけれども、原則として登下校の際には持ち出さないというようなことを約束とさせていただいていると思います。
 ただし、原則禁止ですので、違反した場合にどうするといったような、いわゆる罰則のようなものは明確に定めているかどうかということについても、私どもではちょっと把握はしておりませんので、それについては、申し訳ございませんが、ここでお話をすることができません。
 ただ、実際にこの持ち込みに関してのトラブルというのも一部起きているという話は聞いておりまして、例えば、是非持たせたいという保護者の方のお申出に対しまして、校長が、やはり原則禁止なのでこれは認められないですよというふうなお話をしたことによって、保護者の方からの学校への不信感が出てしまうケース、また、個別に認められた児童が、例えば、校内で携帯電話を持ち出して友人に指摘されたりとか、登下校の際に持ち出して動画を見ている、周りで一緒に歩いている子供たちと動画を見たことについて、翌日ほかの友達から学校の教員に報告があったりと、そういうようなケースもございます。そういったことのお話になりますと、担任を含めた教員が対応するという現状は起きているという状況でございます。
 では、実際に今後の携帯電話の持ち込み、小学校に関して認めることの是非ということでございますけれども、結論から言いますと、現段階ではちょっと課題が多いのかなというのが私どもの考えでございます。
 ただ、いろいろ昨今登下校中の子供が犯罪被害に遭うというケースが全国で発生しておりまして、保護者の方の安全に対する意識が非常に高くなっているということは私どもも承知しておりますし、大阪府教委から出されたガイドラインにもございましたが、登下校中の地震発生時等々を想定して、非常に不安があるというお声についても十分理解はしているところでございます。実際に教員がついて登下校ということは、現実にはほぼ行っていないということもございます。
 では、それでもやはり小学校ではちょっと厳しいのではないかと私どもが考える理由について、3点お話をさせていただきます。
 1点目は、携帯電話のいわゆる所有に関する点でございます。平成30年度の内閣府の調査を拝見しましたところ、小学校の携帯電話、スマートフォン、いずれかの所有率は55.5%となっておりました。同じ調査での中学生の所有率は66.7%、高校生は97.1%ということでございました。比較でございますが、小学生に関してはまだ所有率が低いなというふうな実感がございます。
 また、こちらは私どもが校長に対して行った調査ですけれども、昨年度携帯電話を所有している児童が自分の学校にどのくらいいますかという、その回答を学校の数で調査したものですけれども、所有している児童が30%以下であるというふうに学年ごとで回答を求めたところ、1年生で30%以下と答えた学校は95%でした。そして、6年生では42.1%でした。反対に、6割以上、61%以上の児童が所有していると回答した学校は、1年生では0.3%、6年生でも12.2%という割合でした。
 こういった状況から考えますと、小学生の携帯電話等の所有の実態、もちろんこれは地域や学校によっても大きく異なっているだろうと考えております。それで、安全の面で保護者の方の御心配がより高いであろうと思われる、いわゆる1年生、入学当初のお子さんについても、発達段階等を鑑みていらっしゃることもあるかと思いますが、やはり携帯電話を持たせることのリスクを重く捉えていらっしゃるのではないかなと私どもは推察しておりますが、そういった保護者の方が多いのではないかと思っております。
 もし今後携帯電話の学校への持ち込みを認めることになりますと、やはり文科省ですとか、地教委、そして、学校がこの所有を、所有していることがいいことだというふうに捉えられる保護者の方も多いのではないかというふうに考えておりまして、そうなりますと、現在所有していない児童の保護者の方が、やはり持たせなくてはというふうな思いになられるかな、これはあくまで推測ではございます。ただ、結果として恐らく所有率が上がり、保護者の方の負担も増えるのかなと考えております。
 2点目は、登下校中の安全管理の観点からでございます。持ち込みを認めた場合には、当然のことながら、やはりガイドライン等で必要なとき以外の操作を制限するということになりますけれども、発達段階からいきまして、やはり手元にある、すぐ手の届くところに携帯電話があるとなれば、子供たちが操作することもやはり起きてしまうであろうというふうに推測をしております。歩きながらの操作は、もう御承知のように、交通事故ですとか、思わぬ転倒ですとか、事故につながる可能性もありますし、そうした小学生の発達段階を考えると大きな課題になるのではないかと考えます。
 現在公立小学校に通う子供たちの登下校に掛かる時間というのは、地域や学年によってこちらも大きく異なりますけれども、一部の学校からの情報ではございますが、登下校の際に門を通ると登録先にメールが送られるといったような端末を持たせている学校があるというふうには聞いております。こちらは確かに登校しました、若しくは、確かに下校のために学校の門を出ましたという確認をするもので、実際にGPS機能がついているという、私どもが持っている情報ではそこまでではないのですが、何かそういったものも最近あるというようなお話も聞いておりますので、そういったような端末を活用するということも考えられるのかなと思っています。
 3点目が、携帯電話等の扱いに関する学校における指導について、でございます。現在も情報教育の一環として、携帯電話ですとか、ネットワーク環境等との適切な関わりについては、発達段階ですとか、実態に応じて各学校で行っております。この所有率がさらに上がった場合は、恐らくSNSに関するトラブルの増加は予想されますし、様々な事情により所有をしないという御家庭、又は、教育の場としての学校の状況を御理解いただいており、あえて持たせないという御判断を頂いている御家庭も多くある中で、そのことを理由とする子供同士のトラブルが発生しないかなと、私どもとしてはそういったことも懸念をしているところでございます。
 こういったトラブルですとか、ガイドラインの違反といいますか、守れないということについても、御家庭の責任においてと明記することにはなると思うのですけれども、実際校内で子供同士のトラブルになったり、登下校のときに発生したことにつきましては、当然学校に御相談を頂くことになります。そのあたりは現状でも起きておりますので、こちらの対応が増えるということについては、本来の学校の教育活動等々への影響が出ることも予想されることでございます。
 なお、今回の会議の趣旨とは少しずれるかもしれませんけれども、いわゆる子供が持っているもの、情報機器等を学校に持ち込んで学習に役立てるというようなことも一部自治体等々では始まっていると聞いておりますけれども、小学生にとってはやはり時期尚早かと考えているところでございます。
 以上、いろいろ述べさせていただきましたけれども、携帯電話等が本当に普及している中で、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しております。災害を含めた登下校の安全について、保護者の方の御心配が大きくなっていることも十分理解をしているところでございます。
 学校では、登下校の安全に関しましては、日々指導はして、繰り返しておりますし、ときには下校時に付き添ったり、登校時に安全の見守りをしたりするなどして、安全点検ですとか、指導は行っております。
 また、SNSに関するトラブルも、もちろん継続して対応してまいりますけれども、全てがすぐに解決というわけにはなかなかいかない現状もございます。
 今回こういった形で持ち込みが認められるということになれば、やはりこのあたりが教員全体での負担という意味でも、増えていくのではないかなということは懸念をしております。
 携帯電話は各御家庭でその方針の下に購入されて、保護者の方のいわゆる責任において御指導いただいていると思います。こういった意味からも、現段階では小学校への持ち込みを禁止するという従来の方針は妥当であろうと私どもでは考えておりまして、その上で、現在も行っておりますが、各学校の校長が保護者の方の心情に寄り添いながら、御相談を頂いた場合には、持ち込みを個別に状況に応じて認めていくといったようなことがよりよいのではないかなと考えております。小学生の発達段階、そして、子供たちの健全な学校生活、家庭生活を送るということを第一にお考えいただきまして、御検討いただければ大変ありがたく思っております。 私どもからは以上でございます。
【座長】  続きまして、全日本中学校長会から御説明をお願いいたします。
【全日本中学校長会】  資料2になりましょうか、全日中の方から出させていただいた資料をごらんいただきたいと思います。
 まず初めに、その資料には書いていないのですけれども、中学校における携帯電話等に関する現状といったようなことをお話しさせていただきたいと思います。
 全日中の生徒指導部では、毎年全国の公立中学校に向けて調査を行っておりまして、その中で、携帯電話等に関わってどんなトラブルが多いのか、そのトラブルを防ぐためにどんな対応をしているのか、この2点について毎年調査を掛けて、経年変化を調べているのですけれども、トラブルの内容としては、ここ毎年断トツで多いのは、無料通話アプリに関わるトラブル、いわゆる一番多いのはLINEだと思いますけれども、そのトラブルがありますよという学校が毎年90%を超えます。
 それ以外に、ネット上の書き込み。フェイスブックとか、ツイッターとか、中学生だとツイッターが多いのかもしれませんが。あとは、過度の依存。それから、周りの大人が把握し切れないほどの広域のつながりができてしまって、以前私の勤める区で、子供が1回いなくなってしまったと。ネットでつながった相手に向けて家出をしたという件がありましたけれども、大田区から出て行って、保護をされたのは名古屋でしたというような件もあるぐらい、非常に広域になって、我々が把握するのが、警察のお力を借りてもなかなか難しいと、そういう状況もあります。
 それから、最近の言葉で言うと、パパ活と言いますか、前の言葉で言うと援助交際の一形態だと思いますけれども、そのような問題がある。それから、もう一つはネットいじめの問題。そのような問題がそれぞれの学校でありますよという調査結果が出ています。
 公立の中学校では、基本的に生徒指導する場合の大原則は、学校の授業に必要のないものは持ってこないのだと。余計なものがあるとトラブルの元になるからという考えの下ですけれども、持ってこないというのが原則であるというところも、ちょっと頭の片隅に置いていただければというふうに思います。
 その携帯電話等に関するトラブルを防ぐために、それぞれの学校で行っている対策として一番多いのは、学校への持ち込みを原則禁止していますという、これがやはり9割以上の学校でトラブルを防ぐために行っている措置だと。それ以外に、情報モラル教育の推進、これは生徒向けです。それから、保護者に向けて啓発教室のようなものを毎年開いている。本校でも今年、まだ1学期しかたっていませんけれども、もう2回保護者向けの啓発教室をやりました。ある調査によると、保護者の方が携帯とか、ネット関係の危険な状況を研修するといいますか、勉強する場として、学校のそういう啓発教室で初めて聞いたという方が7割を超えるというような調査もあるぐらいで、学校が果たしている役割は大きいのかなと思っております。
 今日お配りした資料の方に目を向けていただきたいのですが、これは今年の、つい先日ですけれども、令和元年7月10日から7月17日、1週間ほどの期間ですが、全国の中学に向けて、抽出の調査になりますけれども、携帯電話の最新の状況をやはり知っておいた方がいいということで、アンケート調査を掛けた結果でございます。
 問いの1番は、携帯電話の学校への持ち込みについてどのように対応しているか、A、B、C、D、4つ選択肢がありまして、100%持ち込みを認めていない、というのが全体の44%。原則禁止だけれども理由によって一定期間認めている、これが44%。年間を通して条件付きで認めています、これは全体の12%。100%持ち込みを認めている学校が569校のうちの1校だけありました。
 その100%持ち込みを認めていない、Aを選択した学校に対して聞いた内容が2番目のグラフになりますけれども、今まで特に問題がない、これが88%。多少問題があったけれどもケースごとに対応して100%理解を得ているのが12%。課題が多くて今後変更していく予定があるというのはゼロ校でございました。
 Bの原則禁止、理由によって一定期間認めているという学校への設問では、保護者からの申出による登下校中の事故等への対応のために認めているのが、Bを選択した中の65%。全体からすると約3割ということになります。保護者からの申出によって、家庭内での課題解決のため一定期間認めているのは、Bを選択した中の30%。生徒から特別に申出があってというのが6校で、2%。その他が3%という結果になっております。
 2枚目に行って、Cの年間を通して条件付きで認めている学校の条件に関しては、朝登校したら学校に預けましょう、という決め事をしているのが約8割で79%。朝登校したら電源は切って自分で持っておきなさいと。これを答えた学校が9%。緊急時以外は使用しないという約束で持っているところが12%。その他が3校ございました。
 このCの年間を通して条件付きで認めている学校については、認める前提条件としてのルールをしっかり決めた上で認めているわけですけれども、そのルールに違反した場合、学校が預かって保護者との面接後に保護者に返却するとした学校が、そのCを選択した中で83%、8割強です。本人に確認をして、学校で預かって、一定期間後保護者へ返却するのが9%、約1割。本人に違反を確認して、説諭した後に、一定期間預かって、本人へ返却するのが3%。その他が5%という結果になっています。
 この条件付きで年間を通して認めている学校は、持ち込み条件を巡ってトラブルがあったかなかったかを聞きましたけれども、トラブルは特にありませんでしたというのが97%、ほとんどの学校がトラブルはありませんでしたという回答結果でございました。
 3枚目に、年間を通して条件付きで認めている場合に、校内での保管方法については、学校で預かるのが9割強、生徒自身が自分の責任で管理するのが8%。Cを選択した中の8%ですから、全体で言えば、自分で管理させているのは全体の1%程度の学校数だと考えられます。
 最後に、中学校に携帯電話の持ち込みを認めることの是非について、大阪府のガイドラインが示すように、防災・防犯等の観点から、今後学校への携帯電話の持ち込みを認めるべきか否か、これを聞いたところ、認めるべきだという学校が13%、認めるべきではないというのが全体の87%ということでした。今までのことを総合して、4枚目に要望事項というような形で書かせていただきましたけれども、一つは、学校に携帯の持ち込みを認めるということだとすると、やはり保護者の責任の明確化、これが非常に不足している。それから、もう一つは、持ち込みを認めるとすると、学校がやはり管理をする。例えば、朝来たら学校に預けるというような形で管理をすることになることの方が多いということですけれども、その管理責任を果たすための施設とか設備がやはり不足している状況がございます。
 3点目として、中学生の発達段階を考慮すると、持ち込みを認めたとすれば、生徒間での携帯電話の使用によるトラブルの増加は否めないという意見が多かったです。SNS等によって生徒間トラブルは激増しているという意見もございまして、やはり情報モラルの教育をもっともっと進めていって、子供たちの意識を変えていった後でないと、持ち込みを認めるというところについてはなかなか難しいだろうと。
 結論としては、携帯電話等の学校への持ち込みについて、今の時点でオーケーをするのは時期尚早であるというのが全日中としての意見でございます。
 原則禁止と言われている今でも、結局保護者等から申出があれば、多くの学校で、一定期間なのか、年間を通してなのか、条件もついているでしょうけれども、持ち込みを許可しているという実態もございますし、あと、一番初めの文科大臣の話の中で、携帯電話の所持率が物すごく上がってきたから、実態に合わないので持ち込みを認める、そこのところの関係がやはりいまひとつ見えないといいますか、理解ができないというか、というようなこともございます。
 もう一つの理由として、災害時のことがありましたけれども、災害時に携帯、スマホを持っていたとして、助けを呼べる可能性というのはどれくらいあるのだろうか。在校時間に災害が発生した場合に、自治体によるガイドラインの違いがあると思いますけれども、例えば、私が勤めている大田区では、震度5弱程度の地震で保護者への引き渡しということになります。生徒を勝手に帰すということはいたしません。
 登下校中というのは、公立の学校の場合は、大体登校、下校、合わせて1日のうちの1時間ぐらいの時間なのかなと思っていますけれども、そこで、SNSによってトラブルが激増していて、ネットいじめのようなこともあって、子供が自殺するというようなケースも多く見られる状況を考えると、有事に迫られる対応数よりはるかに多いのではないかという指摘も、アンケート結果の中にはございました。
 今の段階で携帯の持ち込みを認めるということになると、教員は日常的に紛失や盗難等への対応に苦慮する。盗撮とか、SNSの投稿に注意を払わなきゃいけない。スマホをいじって授業妨害とか、テスト中のメール交換とかという対応に、非常に疲労困憊することとなって、今の働き方改革の流れに逆行するばかりでなく、教職がブラックと言われていますけれども、そのブラックの風評にますます磨きが掛かって大変だなという感想を持ちました。全日中からは以上でございます。
【座長】  続きまして、全国高等学校長協会から御説明をお願いいたします。
【全国高等学校長協会】  それでは、今まで着任してきた学校と本校の現状、幾つかの学校から聞いた内容で話をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 持ち込み可の場合ということですが、私は今まで赴任した学校で持ち込み禁止という学校はありませんでした。持ち込み可という理由としましては、やはり保護者等との緊急連絡のためということです。高校になりますと、学校と家というのはかなり広範囲になります。通学にも時間が掛かります。電車、自転車、いろいろな公共交通機関を使って学校に来ます。そういう中で、やはり本校の場合は電車が1時間に1本程度しかありません。実際電車が止まってしまうと、3時半に放課になっても帰れません。学校で生徒はどうしようかというと、携帯を使って自宅にいるおじいちゃん、おばあちゃんに連絡を取って、軽トラで自転車ごと家まで連れて帰ってもらっているのが現状です。
 あと、やはり学校への登下校で交通事故もゼロではありません。そういうときに、一緒に登校している子供たちが警察へ連絡したり、場合によっては学校にすぐ連絡したり、あと、不審者も実際にいます。そういうのが出た場合、やはり110番をしなさいという指導を行っているのが現状ということで、緊急連絡のために持ち込みを許している状況です。
 条件、ルール等です。やはり持ち込むに当たって、フリーに使っていいということは決してありません。これは大人の社会と同じように、やはり授業中に許可なく利用しない。授業中ということで、授業に集中してほしいということです。最近では、若い先生は授業中に実際にその場での調べ学習で、調べてごらんという場合もあります。あと、休み時間のみ利用をオーケーしています。一番の課題は、校内で勝手に充電してしまうということです。学校の電源を取ってしまうというのは実際あります。
 他校では、登校時に担任に預けるという学校が、千葉県内私学で1校だけ、私の聞いた中ではありました。朝のホームルームのときに、大きいかばんにクラス分全部がきれいに入るようになっていまして、そうしたかばんを2つ担任が持っていって、所定の場所に置いて、帰りのホームルームでまた返す。あとは、ルールとしては、校内でWi-Fi環境がある学校が今増えてきています。Wi-Fiにつなげてしまわないということです。昼休みに実際つなげてしまって、子供たちが自由にゲームを使い出すと環境がパンクしてしまいます。やはりルールということで、各学校でそれぞれいろいろなルールは、そこの学校の状況に応じて作られているということです。
 違反した場合ということです。本校の場合ですが、授業中等での無断使用ということで、1回目は担任による一時預かり、保護者への連絡、2回目以降ですと、担任預かり、保護者が取りにくるということ。ただ、今のところこれはまだ、古くからいる先生に聞いてもないということです。
 やはり現在の課題は、ネットへの書き込み、ネットへの無断画像投稿ということです。これらについては学校でもいろいろ指導の方をしておりますが、トラブルが起きないようにということで、学校として利用方法について指導を行っています。先日も本校では外部講師による携帯教室を開催しました。生徒のアンケートを取ったところ、中学校のときも同じような話は聞いています。じゃあ、今自分は守れていますかというと、クエスチョンという子も若干います。
 利用について一番協力してほしいのは、保護者かなということです。学校として見えないのが、保護者がどこまで子供たちに指導してくれているのかが、私個人的には一番見えづらいところかなと思います。
 それと、機器の進化が速く、学校側の先生方が対応し切れないということが一番の課題かなと思います。今若い人たちはキャッシュレスということで、いろいろスマホを使って支払いしているようです。生徒の中にもそれを使っている生徒が実際います。じゃあ、学校の先生はどうかというと、クレジットカード、キャッシュレスでやっている程度で、スマホを使っているという人は本校では少ないです。トラブルが起きないようにいろいろ指導は行っていますが、携帯の環境がどんどん進化して、それに追い付くのが今やっとかなというところです。
 条件、ルール等で、保護者等のトラブルというのも、私のところでは余り聞いたことはありません。
 持ち込み可の場合の保管方法です。原則生徒がかばん等に入れて、生徒自身が保管するということです。体育の授業のときなどはロッカーに鍵がついていますので、ロッカーに入れて移動授業の方を行っています。他校では、先ほども言いましたけれども、担任に預けて下校時に返却というところもあります。以上です。
【座長】  これまでの3団体の発表について、御質問ございましたらどうぞよろしくお願いしたいと思います。
【委員】  小中学校においては時期尚早であるというような御説明を頂いたところではあるのですけれども、その中で、原則禁止しているけれども理由があれば持ち込ませているというところが半分程度あるということですけれども、どのような理由付けで許可しているのか教えていただけたらと思います。中学校からお願いしたいと思います。
【全日本中学校長会】  持ち込み許可の条件としては、保護者の方からの申出で、学校の行き帰りの事故等がとても心配なので是非持たせてほしいというようなケースや、あとは、特別な期間ですけれども、家族の方が御病気で、何かのときに緊急に連絡をする必要があるというようなケース。多いのは、行き帰りが心配なので、という場合。学区域制を取っている自治体では、行き帰りといってもそんなに距離は長くありませんが、中には、例えば、本校でもそうですけれども、別の地域から通っていて、バスや電車を使うような子が、500人の中に1人、2人はいますので、そういうような場合は、保護者の方は心配されるケースが多いというふうには思っています。
【委員】  持ち込みをオーケーにするときは、何か学校の方で条件といいますか、決まりみたいなものというのはあるでしょうか。
【全日本中学校長会】  多くの学校では、そう数的に多くありませんので、私の今までの経験で言うと、学校に朝来たら担任に預けてくださいねと。帰るときにまた担任のところからそれを引き取って帰りましょう。行き帰りの中で、例えば、電車に乗っていても、バスに乗っていても、歩きながらでも、用がなければ使うようなことはしないようにしましょうねという程度の約束で持ち込みを許可する、そういうことは多いと思います。
【委員】  今のような部分については、基本的に口頭でやり取りをするという形になるのでしょうか。
【全日本中学校長会】  口頭でのやり取りが多いと思います。
【委員】  同じ質問を、小学校にもお聞きしてよろしいでしょうか。
【全国連合小学校長会】  小学校でも、恐らく許可をしているというケースについては、今の中学校のようなお話と同様かなというふうに思います。一番の保護者の方のお申出の理由は、登下校が不安だからということです。ただ、ほとんどの小学校の場合、私がおりますところも歩いて30分以内という条件での学校選択ですので、さほど長い距離、時間ではないということを鑑みて、それによって許可するかどうかというのは、各校長の判断によるというのが現状だと思います。
【委員】  その中で、校長が判断するときに、先ほど中学校の方では、申出に対して口頭でやり取りをするという形になるのですが、小学校の場合、そのあたりどのようなことを守っていただくのかということについては、これはやはり同じように口頭でやり取りするのでしょうか。
【全国連合小学校長会】  文書でやり取りをしたというケースは、私どもが把握している限りでは聞いたことがないですね。恐らくほぼ口頭であろうと思われます。約束事としては、やはり校内で持ち出さない。例えば、学校、小学生ですので、ランドセルの一番下、若しくは、チャックのできるポケットに入れておいて、校内では出さないといったような約束事になるかと思います。小学校で登校したら預かりますという対応をしているところも、これもほとんど聞いたことがなく、もしかしたら事例としてはあるかもしれませんが、把握していません。恐らく中学校よりも数は少ないのではないかと。先ほど申し上げた所有率の面からいっても少ないのではないかなというふうに想像します。
 以上です。
【委員】  先ほどの発表の中で、責任の所在とか、保護者の意識というようなところに課題があるというお話があったのですけれども、今のような形で、口頭でやり取りしたときに、かなり保護者という部分での責任はより曖昧になってしまうのではないのかと思ったのですが、このあたりはいかがでしょうか。
【全日本中学校長会】  原則持ってきてもいいよという話での保護者の意識と、原則禁止だけれどもどうしてもお願いをしたいので、という保護者の意識というのは、やはり違うのではないかなと思っております。
 ですから、持ってきてもいいよという話になったときには、例えば、大阪の資料を見ると、文書でやり取りをするようになっていますよね。そこら辺をよりはっきりさせるために、文書でのやり取りというようなことが必要になってくるのかと思いますけれども、現状、公立の小中学校はどこでも原則禁止ですので。
【委員】  そうすると、一つは、原則禁止という文科の21年の通知にのっとっているところであるので、今のような形の、ある意味信頼関係といいますか、保護者とのやり取りの中での持ち込み、原則の中での許可をするのは、それで初めて成立をするということになるのでしょうか。
【全日本中学校長会】  そういうふうに考えております。
【委員】  原則禁止で、持ってきた学校については、トラブルは割と少なかったというところがあったのですが、一番危惧するところは、そのような流れの中で、たとえ現状原則禁止でも、持ち込んだ状況の中では、先生方の心配なところはその先のトラブルなのかなと思うところですけれども、どうでしょうか。ペーパーベースできちんとやっていくというところがベターになるということでしょうか。
【全日本中学校長会】  年度初めの保護者会で、学校の決まりで授業に関係ないものは持ってきません、ですから、もちろん携帯、スマホのようなものも持ってきてはいけないですよというところをしっかり確認をさせていただいた上で、それでも何かあったら学校に御相談くださいという話ですので、現状でそのペーパーでやり取りをするというところまですると、かえって関係がおかしくなってしまうのかなという気はいたします。
【委員】 中学校は預かるところが多いよという先ほどの話と、小学校の方では自己管理が多いよというようなお話があったのですが、その辺の違いというのはどのような理由で生じているのでしょうか。
 特に小学校の方で自己管理というところですけれども。
【全国連合小学校長会】  やはり中学校と比べると、恐らく許可をされているお子さんが少ないのだろうと思います。ですので、実際に預かっているケースもあるかもしれないですけれども、基本、持ってきていない体で、ほかの児童の手前もありますので、持ってきていない原則を学校としては貫いていますよということで、預かるということをあえてしないということになっているのかなとは思います。
 結局毎日預かるということは、朝、例えば、担任のところに来たり、職員室に来て預けたりして、帰りにまたそこに行って返してもらって帰るという手間も増えますので、ほかの子供たちの目に留まる率も高まりますので、そうなると、あの子は持ってきているのか、ねえねえ、お母さんということは当然起こり得るだろうと。そう考えると、あえて預からないというふうに小学校はしているかなという印象はございます。
【全日本中学校長会】  発達段階の問題で、小学生は、自分でかばんの一番下に入れておきなさいよと言われると、はいと言って、言うことを聞いてくれる。そこら辺が、中学生になるといまひとつ信頼感が薄れるというか、自分で持っているといじるよねという感覚がやはりあるというふうに思います。ですから、多くの学校では自分で管理というところはさせないのが普通。自分で管理していて、取られてなくなっちゃうというようなこともなきにしもあらずですので、そこら辺のところかなと思います。
【委員】  分かりました。事情としてはよく理解できるところであるのですが、一方で、小学生が自己管理をしているという結果にはなっているという部分のところは、今後また考えていかなければいけないところなのかなと思い、御質問させていただきました。
【座長】  今の課題として、一応持ち込みを許可する、事情によって、相談事で。これは信頼関係に基づくわけですけれども、その判断について、それは校長によってまちまちというところが出てくる可能性もないではない。学校によって異なった対応になる。同じような状況の理由が、片方では拒否される、片方にはそういうことが起こらない。このあたりについての配慮はまだそれほどケースとしては多くはないだろうとは思いますので、今のところはこの段階で終わっているのだろうと思いますし、適切に処理されているのだろうと思いますが、今後ますます所有率等も上がり、あるいは、保護者のそういう危機管理意識、あるいは、地域によっては、先ほどおっしゃったように、いろいろな災害の、高等学校でも同じような状況がある、その中学校の方でも出てくることは十分考えられるという状況の中で、許可というものに関して、校長会なり、あるいは、教育委員会なりがガイドラインのようなものを作る動きというのは全国の中に全くないわけですか。
 つまり、公平性を担保しながら、なおかつそれによって不公平が起こることのトラブルを回避し、一応災害時の安全を最低限確保していくために、認める理由といいますか、そういうものの一定のガイドライン作りのようなものは、全く今動きとしてはないところですか。
【全日本中学校長会】  ガイドラインというところまでは余り聞いたことがないですね。ただ、例えば、大田区の話で言うと、中学校の校長会が28校あって、3つの地区ごとに分かれています。毎月その地区の校長会があり、全体の校長会があり、特に地区の校長会の方で、例えば、特別な携帯を持ち込む理由がどうのとか、学校ごとに違いが出ては困るようなことに関しては情報交換をして、うちの地区としてはこういう方向でいきましょうという意思の統一はしています。あと、校長だけじゃなくて、生活指導主任が集まる生活指導主任会も同時に月に1回ずつ開かれていますので、その中でも、校長も参加するのですが、担当の校長主導で、学校間でしっかりと条件を合わせておいた方がいいことに関しては条件をできるだけ合わせて、という方向で動きは作っているつもりです。
【座長】  明確なガイドラインというのは、そういう文書化されたものではなくても、やはりそういうことは作業として必要だろうなというふうに思って、それがどこまで全国の中で行われていくのかというところもこれからの一つの課題かと思っています。
【委員】  いいか悪いかを学校側で決めてよいとされるのが一番困る、という話を聞きました。要するに、何らかの基準を決めていただかないと困る、学校側で決めてくれといわれるのが一番困るということを聞いたのですが、今のお話だと、学校側にバッファとして選択の幅があった方がいいとおっしゃっていたので、実態としてはどういう決め方が望ましいという御希望なのかを伺いたいと思います。
【全日本中学校長会】  私の個人的なイメージとして聞いていただきたいのですけれども、原則禁止という話があって、原則禁止だけれども、保護者の方から、こういうことがあるのでと相談があったときに、それはやはり原則禁止ですけれども、あった方が安心ですよねと、保護者の気持ちに寄り添ってという形で許可をしていくという方が、僕たちとしては一番やりやすい。
 例えば、今回東京都も認める方向でという話がありましたけれども、都立高校に関しては校長が決めるのだと。区市町村の小中学校に関しては、区市町村の教育委員会が決めるのだと。我々の立場で言えば、教育委員会が決めてくれるだろうから、そこのところで一つのラインができて、そこに基づいて僕らは判断すればいいことだと思うのですけれども、何もなしに、都立高校の校長先生たちは、持ち込んでも何でもいいけれども高校毎に決めてねと言われるのは、多分一番困るだろうなというふうには思います。
 原則禁止のラインがあって、その中で保護者の方のお話を聞いて、それは、じゃあ、こういう取り決めで持ってくることにしましょうねという話をするのは、我々校長にとってはそんなに負担になるような話ではないです。
【委員】  ちなみに高校はどうでしょうか。
【全国高等学校長協会】  高校の場合は、ほとんど各学校で決めていることになります。ですので、やはりその学校の実情に合わせて、生徒の状況とかも一つの判断材料になるかなと思います。また、公共交通機関のいいところ、悪いところと、いろいろな条件を加味しながら、各学校で考えているのが現状だとは思っています。
【委員】  実際に持ち込むことに対する御懸念について、それが持ち込むことに対する懸念なのか、携帯を使っていることに関する懸念なのかということを分けて整理したいので、伺いたいと思います。先ほど、例えば、LINEとか、SNS系のトラブルが実際に結構多いというお話なのですけれども、それは持ち込みを認めている、例えば、条件付きでもいいのですが、持ち込んだことを認めていることとの相関関係というのは何かあるのでしょうか。
【全日本中学校長会】  そこのところは関係ないと思います。今の段階では、公立の小中学校は、文科省の通知のとおり、基本持ち込み禁止ですよという形で、学校には、学校の状況にもよりますから何とも言えませんけれども、一応いつでも自由に使える形で持ち込んでいるということはないという前提で話は進めておりますけれども、学校の表でやっていることでこれだけトラブルが多いとなると、持ち込みオーケーですよということで、学校にいる間も子供たちの作業が続くとすると、多分そこら辺のトラブルはもっと増えるだろうと。そこのところを非常に危惧する声が、今回のアンケートの結果の中でも結構出ています。高校生の感覚は、やはり中学生とはまた違いますので、発達段階を考えると、中学生については、まだまだやはりそこら辺は難しいだろうと。
 今各校でさかんに情報モラルの教育をやっていますけれども、それをもっともっと進めて、子供たちの気持ちがというか、心がもっと成熟したところで初めて何でもいいよと、そういう感じになるのかなというふうには思いますけれども、今の段階ではなかなかやはり難しいかなというふうに思っています。
【委員】  例えば管理するという話で対応する、持ってきた後に電話を管理するという方向で対応するという話ではないのですか。
【全日本中学校長会】  管理するのも、担任に預けるというのも、数が少ないから預かれるということで、例えば、うちの学校で言うと、全校生徒が500人ぐらいいて、500人のうちの300人が持ってきて、朝担任の先生に預けようとすると、1台10万円のスマホが300台ですから、3,000万円を保管するための設備もありませんし、そのための道具もありませんし、管理している間に、返したときに、何かおかしくなっている、それはどうなんだとか、スマホだとすると中に膨大な情報が入っていると思いますけれども、個人情報の扱いはどうなるのか、というあたりのところは、現状ではやはり学校では抗し切れないというか、対応し切れない部分かなとは思っています。ほんのちょっとだから担任が預かって、帰りに返してということができていますよということです。
【全国連合小学校長会】  例えば、小学校の場合に、授業でスマートフォンを何らか活用する。スマートフォンとか携帯を活用した授業が非常に有効で、ちょいちょいやるよというのであれば、持ち込んで何かをするということのメリットは感じるんですね。ただ、もし学校にスマートフォンを持ってきて、全部預かって、帰りに渡すのであれば、預かる意味もないし、持ち込ませる意味もないと思います。基本的に登下校の間にスマートフォンを使うことは非常に危険なので、そういうことであれば、禁止というか、持ち込まないのが当たり前だよね。だけれども、何かこう、公共の交通機関を使わないと学校に来れないような、そういう特別な場合は、親と面接をして、特別に許可して持たせようね、そういうことだったら分かる。だから、学校で全部預かって管理するということは、そのメリットを感じないというところです。
【委員】  デジタル教科書の話なども進んでいると思うのですが、そのような機器の持ち込みが今後学校でも普通になってくるということについての検討はされていないのですか。
【全日本中学校長会】  東京の区によっては、例えば、渋谷区なんかはもう全部の中学校で1人1台のタブレットPCが導入されていますし、大田区でも、1人1台とはいかないですけれども、全校で80台タブレットのPCを配備していますので、授業の中で、例えば、デジタル教科書を使ってとか、全ての教室に電子黒板がついていて、それで授業をするというようなときに、そのタブレットPCを使って授業をするということは、全部一斉にはなかなか難しいですけれども、学校の中では行っているところではあります。
 そこら辺の条件整備は是非、設置者、また、もっと文科省の上の方から予算をいっぱい取っていただいて、整備していただくといいかなというふうには思っております。
【委員】  管理の話は結局そこと同じ話なのではないかと思ったので、伺いました。今後そういうものが学校の中にたくさん入ってくると、その段階で結局たくさんのものを管理しなくてはいけないという点では、同じお話になるのではないかなと思ったのですけれども。
【全国連合小学校長会】  今のお話をこちらからお話しさせていただいたのは、あくまで、例えば、小中学校に関してのICTに関する機器等については、基本設置者の方で準備をしていただいている、いわゆる公のものであるというふうに考えています。ですので、当然高価なものもありますけれども、学校の方できちんと取られないように管理しているという現状はあります。ただ、私物のスマホですとか、携帯電話を学校で預かるとなったときには、先ほどもお話が出ておりましたけれども、本当に1台数万円、10万円程度するものを預かるということになりますので、そういった意味での、やはり預かる側としての不安というのも当然出てくるかなと。絶対的な準備が整うかどうかということももちろんありますけれども、あくまで個人が所有するものを学校として預かるということが果たしてどうなのかというところは、やはり学校としては非常に不安はあります。
 全国的にも、東京とか、この近郊に関しては所有率も非常に高い状況というのはあると思うのですけれども、全国的に見てみると、実際に所有しているお子さんの数というのはやはりまだまだ、そのいわゆる平均が、先ほど小学校でも御説明したような数字ですので、全体的で見るとまだまだそこまでも行っていないだろうと思いますし、そういったものを小学校、中学校で、ちょっとお話も出ておりましたが、授業で実際に活用する、子供たちが自分のものを持ち込んで活用するという状況には、まだしばらくはないのではないかなと感じています。
【委員】  私は情報モラル教育をずっとここ20年専門やっておりますので、小、中、高の学校の先生方を全国で見させていただいております。そこで、先生方の悩みとしては、今回いただいたヒアリングのように、小学校では災害時のメリットの面と、それに反してそれより多大になる、リスクの面、危険性の面が大きいというのが非常に分かります。中学校の置かれている状況と、高校になると、本人の責任においてできるだろうという発達段階の問題が異なります。機器の活用に慣れて、5年ぐらいたたないと自分のものとして活用して、自己責任で持ち歩くというのは難しいのではないか思ってお話を伺っておりました。
 今回は現状として原則は禁止で、どういう場合には許可をするか、許可をしないかというところで、小学校の方で、親が許可を求めるけれども、先生とのやり取りの中で、校長先生の不信感が発生するのはどういう場合かと、どういうタイプの親御さんがこのような許可を求めていらっしゃるのかという現状のお話を今回はちょっと伺ってみたいと思うのですが。
【全国連合小学校長会】  失礼いたします。校長のところに相談に行ったけれども、認めてもらえないというケースもゼロではないというふうに思います。それはあくまで、その校長先生は原則禁止なのでというところも基本にしておっしゃっていると思います。
 ただ、次の質問に関わりますけれども、保護者の方としては本当に心配でというケースでの御希望、御相談だと思います。
 実際に私が経験をしたケースでは、入学前の3月に御相談に見えた新1年生の保護者の方のお話ですけれども、両親とも働いているので、夕方学童クラブから帰った後に、ちゃんと家に帰ったかどうかを知りたいので携帯電話を持たせていいでしょうかという御相談がありました。
 私が申し上げたのは、お母さん、子供は携帯電話を持っていたら使いたくなります。どこにいても今おうちに帰ってきたよと言いたくなっちゃうかもしれませんね。そのあたりはどうですかとお話ししたところ、そうですね、じゃあ、学校に持たせるのはしばらく待つことにします、様子を見ますとおっしゃってくださいました。
 つまり、その子がきちんと家に帰ったら、家の電話から職場のお母さんの携帯に、今帰ってきたよと連絡をする、そういったその御家庭では約束事をして、今1年、2年たったところですけれども、そういった御相談を頂く。でも、その保護者の方は本当に一生懸命で、心配で、やはり夕方、夜7時、8時までお子さんの顔を見ることができないケースもあって、その間心配なのです。習い事からちゃんと帰ったかなということを確認したいというケースが、大変多いかなというふうに感じています。
【委員】  中学校の方は、許可の方で何か不信感というようなことはございますでしょうか。
【全日本中学校長会】  基本保護者の方がそれなりの理由を言ってこられたときに、いや、だめですという話はしないと思うのですけれども、一番最近あった例で、よそから転校してきた子で、3年生から転校してきたのですが、男の子なのですけれども、お母さんの話では、この子の行動は信用ができないと。信用はできないけれども、とてもかわいいのだと。歩いて帰って30分掛からないのですけれども、心配で心配でしようがないので、携帯を持たせてほしい。それだけの理由でしたけれども、保護者の方と糸がもつれるような関係になるよりも、分かりましたと言った方がいいだろうという判断で、許可をいたしました。
 あと、子供の中には芸能活動をしているような子がいて、学校帰りにそのまま仕事場に行かなければいけない、だから、携帯を持たせてほしい、そういう場合は持たせております。あと、家庭の状況が複雑でというような場合も、携帯を持たせてほしいというケースが、ここ二、三年の中で一、二件ありましたけれども、それも余り深く入っていくわけにもいかないので、分かりましたと。
 基本、ちゃんと保護者の方がお話ししていただければ、分かりましたという形で許可をするようにはしていますけれども。
【委員】  安全確認の面でという、先ほどの学校に入ったら保護者の方に連絡が行くというお話がありました。例えば、GPS付きの名札とか、そういうものでお子さんの居場所が確認できるということであれば、御心配をされている小学校の保護者の方は、そういうことで子供さんの居場所が分かれば、特に携帯電話、スマートフォンというのでなくても大丈夫なものなのでしょうか。
【全国連合小学校長会】  本校は、世田谷区の学校ですけれども、実際に登下校のときに校門を通過すると、親に通ったよとメールが行く、そういうのをPTAが中心になってやっています。それも、加入は、原則保護者の方の御希望でどうぞということで、今4割ぐらいの加入です。多い学校はもう9割を超えている学校もあるというのは聞いているのですけれども、無料です、その機械を持つだけなら。さらにプラス有料で、GPS機能が付いているものがあるので、それは保護者の判断でGPS機能付きのものを持たせれば、今どこにいるかも全部分かるので、かなり安心してくれます。ただ、本校の場合は、700人ぐらいいても年間1ケースあるかないかです、持ち込ませていいですかというのは。今みたいな説明を全部保護者会でしますので、そういう学校もあるということです。
【座長】  先ほど委員の方からの、よし悪しを学校が決められることは困るという、保護者からの御意見があるというお話がありました。今先ほどお話を伺っていると、中学校長会の方も、学校の責任は責任としてある。しかし、保護者の責任を明確に位置付けた上で、このいろいろな許す判断をしていただきたいというお願いがある。小学校は小学校で、恐らく自己管理ということになりますと、保護者の責任というのを非常に重く受け止められている。文科省は文科省の方で、原則禁止という、ある意味では、保護者の責任というよりは、どこに責任があるのか、どうお考えなのかはちょっと事務局にそれに当たって聞きたいのですが、今非常に根本的な、もう少し表面の現象じゃなくて、これを禁止するか禁止しないか、原則禁止にするかしないかというところの、もう一つ背後にある責任の問題、それをどういうぐあいに考えていくのか。
 つまり、保護者の責任を強調しながら、よし悪しは国と学校が決めるよということが、果たして両立可能なのか。アンビバラントなままでいいのかと。このアンビバラントなままで行くからこそ、いろいろな複雑な問題がそこに出てくるということも当然あるわけですね、現実の処理として。ここの原則論といいますか、そこのところをどういうぐあいに考えていくか。今のところ、中学校会の方もちゃんと保護者の責任ということを明確にしようと、こちらが自己管理でよろしいという形でやってらっしゃる。台数が多い、少ないじゃなくて、原則として、その責任の主体というものをどういうぐあいに設定していけばいいとお考えなのか。今の状況の中でのお考え、御提言の趣旨をもう一度改めてお伺いしたいと私は思います。
【全日本中学校長会】  要望の中に、保護者の責任云々の話を書かせていただいていますけれども、持ち込みを認めるという、そのことができる前提条件として、持たせているのは保護者で、スマホなりを買い与えているのか、自分で買ったものを貸しているのか、そこら辺の形態は様々だと思いますけれども、それも保護者の責任で子供に持たせていて、何が起ころうとも責任は保護者にありますよということを、保護者の方がしっかりと認識していただけるのであれば。
 現状はそうじゃないですね。言葉は悪いのですけれども、自分で持たせているのに、何かあると全部学校が学校がと来るところが、やはり学校がもう受け止め切れないというところなので、何があろうとも、保護者として子どもに持たせている以上、この責任は私にありますというふうに、全ての保護者の方がしっかりと思ってくださるのならば、持ち込もうと何しようといいのかもしれないかなというふうには思いますけれども、現状そこまでの状況ではないので、持ち込んでいただくとトラブルが増えて、そこのところを保護者の方が責任を取っていただけないので、学校で処理しなければいけない。
 そうすると、もう教員の方はますます大変になります。ちょっと前の中学校の生活指導の主戦場は、例えば、たばこを吸っている子供を追い掛け回すとか、暴れ回っている者を捕まえるとか、学校間抗争がどうのとか、バイクを乗り回してしまってどうのとかというところに対応するのが生活指導、東京で言うと、生活指導主任と言いますが、生活指導主任の主な仕事だったのが、もう今はスマホ、SNSのトラブルのもつれた糸をどうやってほぐせばいいのかと、そこのところがもう主戦場になってしまっているので、そういう意味では、保護者の方がもっともっとしっかりとお考えを持っていただかないと、学校としてはなかなかやり切れないというのは本音の部分かなというふうには思います。
【全国連合小学校長会】  小学校としても、今のお話とほぼ同じ思いでございます。小学校の原則禁止という現在の基本線があるからこそ、現在の対応で、有り体に言えば、済んでいるというふうに感じています。ですので、やはりこの状況が変わるとなると、書かせていただいておりますけれども、トラブルですとか、課題はもっと増えるだろうなというふうに思いますし、先ほど御紹介したように、保護者の方が心配なんですと言ってくださる、おっしゃる思いは本当によく分かるんですけれども、それを超えた先に、やはりそれをよしとしてしまったときに、こういったリスクもありますよというふうに説明をしていくと、まだそこまでは考えていませんでしたというケースも中にはあります。そういったことを、きちんと今は御説明することができるのですね。原則禁止という路線があるからです。それが変わると、じゃあ、うちは親の責任で持たせますというふうになってしまうと、先ほど最初に出ておりましたけれども、やはり口頭ではなくて、文書できっちりということも出てきてしまいますし、そうすると、約束違反をしたじゃないですか、みたいなやり取りが今後増えてくる可能性もあると。そういったことを考えると、やはり小学校としては非常に厳しいかなと。教員が対応に追われることが増えるというのも、中学校とそれは同じような状況かなというふうに思います。
【委員】  学校側の責任は学校の施設内での責任で、児童生徒の登下校時の安全確保の責任は保護者にあるという切り分けだと思います。そうすると、本来であれば、登下校時に子供にどのような形で安全確保をさせるのかというのは、保護者に選択権があるはずですが、携帯電話などの持ち物については、学校の施設管理の責任においてその持ち込みを制限させるということで、結果として、本来保護者が決められるべき、登下校時の安全をどうやってはかるかということを制限している面があるのだと思います。
 今はまだ余りその点が明確に認識されてないとは思うのですけれども、その点を認識していくと、学校で禁止するのだったら、その代わりの連絡手段をどうやって確保するのか、その場合どう責任をとってくれるのか、という話が今後出てくる可能性があると思います。特に、前も申し上げたとおり、公衆電話が今余りないという現状で、実際にほかの手段がありますよというふうにお伝えして、それで納得いただける方はいいと思いますが、そうではないときに、今後そういう話が出てきたときに、どのようなお話をするのかという点について、もし何かお考えがあったら教えていただければと思うのですけれども。
【全国連合小学校長会】  登下校の安全管理については保護者に責任があるという今の御指摘はもっともだと思います。ただ、先ほど来お話しさせていただいているように、現状としては、小学校に関しましては、やはり本校なども登下校の際には、近くの交差点まで教員が行って、朝は安全確認の旗振りもいたしますし、月に一度は学年ごとに集団下校をさせながら、引率して安全の指導もしております。
 では、登下校の際に、例えば、携帯電話を出して、動画を見て楽しんでしまったというようなケースを聞いたことがあるのですが、そういったときに保護者の方がどうなさるかというと、見てしまった子は、持ってきた子の御自宅に連絡をするのではなく、学校に連絡が来るわけです。これが現状です。となると、やはり先ほど来お話ししているように、いかに責任主体は御家庭ですよと申し上げていても、保護者の方の感覚としたら、相手のお家に連絡をするよりはまずは学校に伝えて、例えば、指導してほしいとか、こういうことがないようにしてほしいというふうに言いたいという思いも分かります。ですから、そういう御連絡があれば、私どもは受けて、対応をしています。
 ですから、それは保護者の方の責任で、必要なので持たせたいという御判断を頂いた保護者の方が全て、こうなのよ、きちんとするのよというふうに、それぞれのお家でお話をしていただいて、きちんと全て対応ができるかということだと思います。原則論は御指摘のとおりだなというふうには思いました。
【全日本中学校長会】  登下校の安全のために、保護者の責任を持って携帯、スマホを持たせますとなったら、持たせたスマホに関しては、保護者の方が100%責任を持っていただけるのであればいいですけれども、そういう状況には、今残念ながら多分ないと思います。例えば、安全のためにスマホを持たせる。持たせることに関しては保護者の方が100%責任を取る。けれども、学校にいる間に、例えば、そのスマホがなくなりました、そのスマホが何かいたずらされて壊れました、そうすると、学校の管理責任を問われることになります。そこら辺の対応を、教員の方でし切れるかどうか。
 そういう意味での責任をしっかりと保護者の方に持っていただけるのであれば、それはもう持ち込もうが、何しようが、持ってきたことによって何かトラブルが起きたら、それは持たせた保護者が責任を持ちますということであれば、学校としては何も言うことはないですけれども、現状そういうことではありませんので、そういう意味で、今の状態を続けることができると、中学校、公立の学校としてはありがたいというか、それが一番いいのではないかなというふうに判断はしております。
【座長】  文科省にお伺いしたいのですが、私がさっき提起させていただいたのは、ある意味では、そんな学校の責任がゼロだとか、それから、保護者の責任がゼロだ、100だとか、こういう極論の話じゃなくて、要するに、国の教育政策のガバナンス論として、パターナリズムと言われるものをどういうぐあいに位置付けながら問題提起をされているのかというところについて、お考えを頂きたい。
 つまり、ある意味ではパターナリズムというのは国親といいますか、親代わりに国が国民に対して、あるいは、様々な制度、仕組みに対して、お節介といいますか、それが例えば、過剰なお節介になる場合もあるし、それが管理になる場合もあるし、あるいは、過剰な、教育に逆行するような、つまり、自立性なり、主体性なりというものを奪っていく、そういう端緒にもなり得るという、非常に際どい政策である。しかし、これは用いざるを得ない、一つの国の行政として、あるいは、治安とか、いろいろな秩序とか、あるいは、規範、あるいは、それがアナーキズムに陥らないというところを、ある意味では守る一つの砦のようなものですね。だから、パターナリズムの運用の面で、具体的な御提案のような、あるいは、御説明をしていただいたような事柄が様々起こってきている。このあたりは当初からどういうぐあいの想定でお考えだったのかという、基本的なことについて、哲学論にも入りますけれども、それをお聞かせいただきたいというのが私の質問の趣旨です。1かゼロかではありません。ガバナンスとして当然必要なこと。そうすると、その必要なことの理屈、理由、根拠付けといいますか、それは当然政策の、今の場合は100%原則持ち込み禁止というような政策を、国としてやる根拠、理由というのが必要になってくる。
 これは我々有識者会議が最後に結論を出すときにも、その辺の勘案といいますか、考え方をしっかりと位置付けながら、最後は結論へ持っていかざるを得ないという状況があること、そのあたりについてどういうぐあいに当初お考えであったのかということに関して、何かあればお聞かせいただきたい。
【事務局】  もともと、今の原則は持ち込みできませんというルールとか、高校では持ち込んでいいけれども、学校では使用しないといったような仕組みができたときというのは、平成20年、21年あたりの議論ですけれども、その当時まだスマートフォンが日本に上陸しておりませんから、ガラケーの時代ではありましたが、当時から、例えば、学校裏サイトですとか、2ちゃんねるの不用意な書き込みで人を傷付けるとか、インターネットいじめですとか、今現に起こっているような問題が当時も起こっていて、そういった状況から子供たちを守るためにはどうすればいいかということを、文部科学省というよりは、政府全体の検討といったような、教育再生懇談会というところで議論をしました。子供たちを有害情報から守ったり、そういった不適切な使用から来るいろいろな弊害から守ったりするためにはどうすればいいかというふうに考えたときに、やはりそれは各学校に任せるということではなくて、国としても一つの方針を示して、それを守っていただくと。それをどこまで現場で拘束するかという、どこまで主体性を完全になくすというのは不適切かもしれませんけれども、そのバランスも考慮しながら、当時検討した結果、一応原則持ち込み禁止、ただし、必要があれば例外的に認めてよいというような仕組みができたというふうに理解しております。
 その姿勢というのは、ガラケーからスマホに変わっても、本質的なところというのは変わっていないではないかというのが私たちの考え方でして、大きな違いというのは、アプリのダウンロードができるかどうかとか、インターネット検索もガラケーに比べると、スマホは小型のパソコンのようなものですから、非常に有益でございますが、要するに、正しく使ったときの得られる利益がガラケーに比べれば非常に大きい反面、間違って使ったときに被る不利益も、ガラケーと比較にならないくらい大きくなっているというのが現状かと思っています。ただ、基本的にはパターナリズムという観点のレベルで言うと、当時と今とでは大きく違いがないのではないかというふうに考えております。
 ただ、やはり皆さんを今日お呼びしてお話をお聞きしているわけですけれども、関係者がどのように考えているかといったような現状を踏まえて、そもそも今の在り方をどうするかということを考えることが必要だという考え方を持っておりまして、平成21年の通知を出した当時のいろいろな関係者の御意見を踏まえて作ったもの、実態調査とかもいたしまして、それを踏まえて制度設計をしたところでございます。今はいろいろな犯罪被害も増えていますし、災害も最近多くなったと感じております。子供たちを取り巻く環境がいろいろと変わってくる中で、かつ、スマホの所有率といったものも年々上がってくる中で、今この時点でどうルールがあるべきかということを考えているということではございますけれども、基本的なパターナリズムというのでしょうか、そういったところの考え方は、当時と今とで変わっていないというのが我々の立場でございます。
【座長】  委員の方からも少し質問事項が出ておりますので、それを御紹介しながら、お答えできる範囲でお願いしたいと思います。
 問1の例で、100%認めているというところが1校ございます。それはどういう理由か、もしも御存じでしたらお教えいただきたいというのが1点。
 もう1点は、朝登校したら学校に預けるというのが65校中59校でございます。把握されている範囲で結構です。先ほど、大きな入れ物だとか、具体的なことはおっしゃいましたけれども、回収方法と保管方法というのを、実態としてどういうぐあいにされているのかというところ、数値的な、あるいは、おおむねの比率でも結構でございますから、それがあればお教えいただきたい。今のは中学校長会への御質問でございます。
【全日本中学校長会】  100%認めている学校が1校ある。これが何でそうなのかと、そこまでの調査をしていないものですから、その御質問にはちょっとお答えできかねます。
 それから、保管方法に関しては、そんなに数的には多くありませんので、1クラスに1人いるかいないか程度です、私の知る限り。そうすると、朝担任が預かって、担任の職員室の机の鍵の掛かるところにしまって、鍵を閉めて、1日中そこで保管をする。帰りに子供が担任のところに来て、担任は返すという、そういう保管の方法でございます。
【座長】  高等学校に関してですが、質問でお答えになれればという範囲でお考えいただきたいと思います。高校でのルール違反の場合には、懲罰規定があります。小中学校ではそれがないので不安だという声が多いですけれども、それに関して、高等学校はどういうぐあいにお考えになられますかという質問でございます。多校種に関して、高等学校から眺めておられて。
【全国高等学校長協会】  小中学校を見て、いわゆる罰則、子供たちに対してというのは、何かやはり保護者が見ているという意識は私の方はかなりあります。保護者がやはり後ろにしっかりいて、子供たちを見ているので、保護者にある程度任せてもいいのかなという気もしないでもないです。高校になりますと、18歳で成人というのがもう数年後に来ます。やはり大人としての自覚を持たせるために、いろいろ特別な指導は本人たちにさせていますが、やはり小、中の子供たちに、果たしてそれが適用できるのか。私が小学生を呼んで、注意して、あなた何日間こうしなさいというのは、ちょっと言いづらい感じはします。高校生ですので、話はできるのかな、また、その意味合いも分かってもらえているのかなとは思います。
【座長】  これはもう小中学校、お聞きするまでもなく、今のお答えの中に集約されているだろうというぐあいに思っておりますけれども、先ほどの御説明について、これは委員の御質問とは関係ないのですが、小学校1年生から6年生まで、おしなべて同じルールでいいのかどうか。もちろん所持率も変わってまいりますけれども、こういういろいろなルール違反等に関しては、やはり小学校の5、6年生あたり、高学年というのと、それから、中学校とがかなり似通った特性を持っているところも随分出てきているだろうと思います。これはどういうぐあいにお考えになりますか。
【全国連合小学校長会】  発達段階的には、今お話のような状況であると考えます。また、所有率が高くなっていくという時期であるという点については、6年間の中でも大きな違いは当然あるだろうというふうに思います。
 ただ、例えば、一つの学校の中で、同じ課題について、何年生はこうというふうにルールを分けるということについては、余り現実的ではないかなと。ルールを作るとすればですけれども、どの学年でもそれは同じですよというふうに指導していくのが、小学校6年間の指導としては一般的かなというふうに思います。
【委員】  参考資料2のところについて、先ほども少し話題になったんですが、ページ数で言うと7ページに当たるかなと思うのですけれども、ここに保護者の同意確認書の一つの例が載っているのですけれども、御意見いただけたらなと思っています。
 一つは、先ほど中学校長会では、許可を求められたらだめとは言えないよねというようなお話もありました。そのようなときの、一つ言えていることとしては、保護者の責任の確認という意味で、確認事項というような形での活用も一つは考えられるのかなということ。また、場合によっては、これは小学校でも一緒になるのかなと思うのですけれども、保護者全体の理解の促進という意味での活用の在り方もあり得るかな。これは一つの考え方ですけれども、ここで確認書と出ているのですけれども、こういったものの在り方、あるいは、これを見たときに感じたものでもいいのですが、そのあたりについて御意見を教えていただけたらなと思います。
【全国連合小学校長会】  私が読ませていただいての思いということで、会として特に共有化されたものではないということで御承知おきいただければと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まず文書にする時点で、非常にどうしても固い印象にはなるだろうというふうに思います。現在はやはり信頼関係ということで、口頭で確認をさせていただいている現状があるという前提をまずお伝えさせていただきます。
 そして、さらにこの文書を読んだときに、保護者の方にきちんと理解をしていただくという意味で、一つ効果はあるだろうと思うのですが、やはり3点目にありますように、学校のルール等が守れない場合、学校が預かり、保護者に返却すると書いてあるということは、やはり学校が関わるのだなと。たとえ登下校の時間に持たせるということについても、これも先ほど来お話ししていますが、学校が預かるということになっていくのだなという、そのあたりの、やはり負担ではないですけれども、当たり前として今もやってはおりますが、やはり学校と家庭の連携というところでこれを理解していくことになるのかなという疑問は持ちました。
【全日本中学校長会】  これを見ての私の感想ですけれども、とても今風にと言うと言葉は適当ではないかもしれないですけれども、何かあると、学校対保護者という、その構図になってしまって、トラブルがあると弁護士さんが出てきたりするとかいう、その感覚をこの文書のやり取りからは感じるなと。だから、学校と保護者と一緒になって子供を育てるという感じではないなというのが、私の正直なところの感想でございます。
【全国連合小学校長会】  書かれる内容はまさに守ってほしい、そういう思いで、これが保護者の手に渡って、こういうことはしっかりと家でやらなければいけないのだなということを意識してもらうのはとてもいいと思いますが、やはり携帯が本当に学校に必要で、持ち込ませるかどうかという話は、その家庭と腹を割って、校長なり何なりが話をして、そこにある不安であるとか、一体お母さんはどこにつまずいているのかとか、一体何が不安なのか、登下校のどこがそんなに不安なのか、そこを学校がちゃんと説明するよという、生のやり取りがあって初めて親や子供の成長につながるのかなという思いはあります。紙を出して、はい、オーケーというのは、ちょっと学校教育としてはどうかなと。
【委員】  今、小中学校の校長会の方がお話しいただいたところで言うと、教育的な観点で考えたときに、やはりこれだと一律的な意味合いが強く持たれてしまうので、やはり現状では個別にしっかりと確実に話をしていくのが、現状には即しているというような御意見になるのでしょうか。
【委員】  私も弁護士なので、その対立構造というのは分からないでもないのですが、ただ、やはり日本の場合の一番の問題点は自己責任の観点がちょっと弱いというのはすごく感じているところではあって、その自己責任をきちんと自覚してもらおうと思うと、やはり何らかの証拠を残しておかないとなかなか厳しいというところが正直あります。今伺っていると、もしかして自己責任の徹底と、学校の教育的な信頼関係というのが、余り両立しないということで。そこがうまく両立できないと、やはりいつまでたっても学校側は、本来学校の責任でないことを保護者さんから言われることになってしまいます。
 先ほど登下校時の話を心配したのは、本来登下校時、親の責任であるものを、学校側が、例えば、原則禁止ですと言っていると、今度は登下校時についても学校側で責任を取ってくれとかいう話になっていく可能性とかもあるのかなというのもあって、伺った次第です。
 なので、その辺のうまいバランスというのを、今後学校としてはどういうふうに進めていかれたらいいのかなというのを、まさにその現場にいらっしゃる方に伺いたいと思う次第です。
【座長】  今の論点は、先ほどのパターナリズムの問題と全く同じ、それを具体化して御質問いただいたという点になってきます。
【全日本中学校長会】 登下校の保護者の責任の話ですけれども、登校時とか下校時に子供が何かけがしたとか、事故に遭ったとかというときに、保険が出ますよね。ということは、学校の中で生活しているのとある程度同じような管理責任という感覚だとすれば、登校時も下校時も学校の責任も入っているのかなということは思います。保護者の方の責任ももちろんあるけれども、学校もやはりそこのところは責任を持つという部分も、何か相互乗り入れみたいな感じの、しっかりとすみ分けはできていないのかな、そういう気はします。
 書面でしっかりというのは、確かに書面でしっかり確認をすれば、とても事ははっきりすると思うのですけれども、何というのか、これは私の全く個人的な考え方ですけれども、日本人のメンタリティにそれがしっくりいくのかどうか。しっくりいく方もいらっしゃると思うのですけれども、特に最近の若い人なんかはそれがしっくりいっているようなところは見受けられますけれども、我々ぐらいの年だといまひとつしっくりいかないなというところもなきにしもあらず。でも、そういうふうにきちんとした形で確認をすることというのは必要だとは思うのですけれども、さっきも言ったように、学校対保護者の構図ではなくて、子供が真ん中にいて、学校対保護者じゃなくて、学校と保護者が同じ側にいて、子供に対して同じ目線で子供を育てていきましょうという感覚だとすると、余りにも確認書のような形のものを出し過ぎると、そこのところを一緒にやっていますよというのはなかなか出ないのかなという気はいたします。私の感想でございます。
【座長】  今の論点、非常に複雑な問題を含んでおりまして、これは我々も考えなければいけないところですが、先ほど出たように、要するに、保護者のニーズや、あるいは、気持ちに寄り添いながら、お互いに信頼関係を作りながら子供の成長を願っていくというのも、一つの教育の機能でございます。
 一方、委員の方から出ました質問、これもある意味ではその通りであり、国民全体、それから、保護者も、児童生徒も含めて、日本の社会というのは主体性というのがもうひとつ欠けている、自立性といいますか、あるいは、個我といいますか、こういうものの成長、発達がいまひとつ足りない。主体性の形成として糸口になるような、何でもかんでも書類でいけというわけではなくて、そういう導入口のようなものを、この仕掛けの中でやっていくのも、これも教育の一つの在り方、方向性だろうというぐあいに考えています。
 いずれも、教育としては間違った方向ではなかろうというぐあいに思っております。先ほど、保護者の方々もちゃんとしてくれれば、そうしたら保護者もその責任の中で解消できることは随分あるのだけれども、それがなかなかそうはならないから、学校が全てやらなければいけない、こういう現状のままですと、いたちごっこになる。そこの一つの風穴といいますか、そういうところに保護者も児童生徒も主体を形成し、自立した個人として、人格として、社会的に自立した人格形成をやっていくという、社会に開かれた人格形成といいますか、こういうものを行っていくという。新しい新学習指導要領の中の理念にもある、それに沿うという、その方向性もないではないというところを我々としてもどう考えていくか。今日は非常に重たい議論が一つ出てきたような気がいたします。これは今後我々も考えさせていただかなければいけないし、先生方も何かいい御意見があればお寄せいただきたいと思っています。
 それでは、今日はこれをもちまして、今年度第4回の会議を閉会させていただきます。

―― 了 ――

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