高校生等への修学支援に関する協力者会議(第1回) 議事録

1.日時

平成29年5月18日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 文部科学省庁舎13階 13F1会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 本会議の運営について
  2. 高校生等への修学支援について
  3. 都道府県からのヒアリング
  4. その他

4.出席者

委員

大橋弘委員,小河光治委員,小川正人委員,小林雅之委員,柴田悠委員,濱中淳子委員(敬称略・五十音順)

文部科学省

藤原誠初等中等局長,瀧本寛大臣官房審議官,伊藤学司財務課長,塩田剛志高校修学支援室長

5.議事録

高校生等への修学支援に関する協力者会議(第1回)


平成29年5月18日

事務局から、高校生等への修学支援に関する協力者会議設置要綱について資料1により説明があった。
座長については、小川委員が指名された。
高校生等への修学支援に関する協力者会議の公開ついて資料2の説明があり,原案のとおり決定された。公開に関する規則に基づき,この時点から会議が公開された。


【小川座長】  それでは、会議を再開させていただきたいと思います。
 最初に座長の私から、本会議の趣旨とこれからの進め方等について簡単に御挨拶させていただきたいと思います。
 御案内のように平成26年度にスタートした、いわゆる所得制限付きの高校の修学支援金制度に関しては、国会における改正法の附帯決議で、本法施行後3年を経過した後に政策の効果を検証した上で必要な措置を講ずるものとされておりましたことから、本会議はその政策の効果検証に資する目的で設置されました。同時に、皆さん御承知のとおり2013年に子供の貧困対策の推進に関する法律が成立した以降、この高校の修学支援金制度のほかにも、今日御出席の小林先生等に御尽力いただいて、例えば大学の進学とか修学を支援する給付型奨学金をはじめ様々な支援制度の創設というのが国レベルでも進みましたし、当然自治体レベルでも様々な取組が進められています。本会議では、現在高校の修学支援金、また奨学給付金の効果検証は当然するとしても、今お話ししたような近年の国レベルまた自治体レベルでの様々な制度や取組との整合性もきちんと点検しながら、現在の修学支援金、また奨学給付金が教育の機会均等保障の充実に対してどのように貢献してきたのか、また問題が生じていないのか、さらなる改革の課題があるかどうかということを実証的に検証していければと思います。
 事務局からすると、できれば年内にこの会議のまとめてしていただければという御意向も若干伺っておりますけれども、その辺のところはかなり流動的かと思いますけれども、ただ、半年ぐらいをおよその目処にしてかなり集中した検討が要請されると思います。委員の皆様におかれましては、非常に厳しいタイトなスケジュールになるかと思いますけども、どうぞこれからよろしくお願いいたします。
 それでは、今日は初回ですので事務局から、文部科学省を代表いたしまして瀧本審議官から一言御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

【瀧本審議官】  おはようございます。本日は御多用の中、各界第一線の先生方にお集まりいただきまして、ありがとうございました。会議の開催に当たりまして、局長の藤原は国会へ出席しておりますので、途中から参加させていただきますが、代わりまして審議官の瀧本から御挨拶をさせていただきます。
 先ほど小川座長からもお話がありましたとおり、国による高校生への修学支援は平成22年度にスタートしております。形態としては、公立学校については授業料の不徴収と、私立学校、私立高校等につきましては修学支援金制度ということで創設されて、経済的負担の軽減というものが一定程度図られたということと認識しておりますが、残念ながら制度創設後も低所得世帯の方々の授業料以外の教育費の負担が大きいこと、あるいは公私間の教育格差といったような課題が従来指摘されてきたところであります。このため、平成25年の法改正によりまして所得制限を設けまして、捻出された財源によって、1つは私立高校等に通う生徒への加算措置の拡充をし、2つ目として授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金事業の創設ということをさせていただいて、特に低所得世帯に対する支援を充実させたところであります。
 この法改正の際、先ほど冒頭、小川座長からも御指摘がございましたが、施行から3年経過後に本制度の効果あるいは影響を様々な角度から検証した上で、さらなる教育の機会均等等を確保する観点から必要な措置を講ずるべしという旨の国会におきます附帯決議を私どもは頂いているところでございます。文科省といたしましては、この25年あるいは施行26年の制度見直しによって一定程度教育の機会均等が進展したものとは考えておりますが、この附帯決議も踏まえまして、この協力者会議におきまして高校生等への修学支援に関する現行制度について、具体的な効果あるいは制度的な課題の検証を専門的見地から行っていただければありがたいと考えております。
 誰もが家庭の経済状況に左右されることなく希望する質の高い教育を受けられる、これが重要であるということは言をまたないところであります。現在、与党内におきましてもとりわけ高等教育とか幼児教育を中心に教育財源の在り方について様々な議論がちょうど進められているところではございます。本協力者会議におきましては、先生方の専門的見地から、教育の機会均等の観点はもちろんでございますが、少子化対策でありますとか、あるいは子供の貧困対策といった観点からも制度の在り方を御議論、御検討いただきたいと思っております。その上で、この高校生等への修学支援をよりよい制度に見直していくための方向性をお示しいただければありがたいと考えているところであります。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中ではございますが、是非大所高所から活発な御意見、御議論をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川座長】  ありがとうございました。
 それでは、議題2にこれから入っていきたいと思います。議題2については、高校生等への修学支援について様々な資料に基づいて現行制度の現状、問題等について、これは塩田室長から御説明をお願いいたします。

【塩田室長】  それでは、御説明させていただきます。資料3でございます。これは修学支援につきまして、経緯、論点例等をお示ししたものでございます。資料3の1の(1)でございますが、これは先ほど来ございましたようにこの法律が22年4月1日から施行されまして、公立高校、私立高校の2本立ての制度であったということでございます。矢印にございますようにこの法の目的は教育の機会均等に寄与するということでございましたが、先ほど審議官が御説明しましたように、低所得世帯の生徒等についての課題というのが従来よりあったということでございます。
 よって(2)では、この改正法によりまして最初の丸にありますように高所得世帯に対して所得制限を設けて財源を捻出しまして、2つ目の丸にありますように私立高校へ加算措置ですとか、授業料以外の給付金事業と、また3番目のポツにありますように特別支援教育就学奨励費ですとか学び直し、家計急変世帯への支援等々の施策に充てたという経緯がございます。
 ここで資料4の資料集を見ていただければと思います。
 資料4の4ページが旧制度の法律の概要でございまして、その下の5ページがこの法律を提案したときの理由になっております。冒頭にございますように進学率が98%に達して国民的な教育機関となっているというようなことから、費用については社会全体で負担していくことが要請されるというような点。また、3段落目でございますが、諸外国では多くの国で後期中等教育(高校)は無償だということと、国際規約におきましても無償教育の漸進的な導入が規定されていると、このような説明がされておりまして、これはすなわち所得制限を設けずに全ての方を対象とすると、こういったことの理由にもなっていたということでございます。
 続きまして6ページをごらんいただければと思います。6ページが扶養控除の見直しについての資料です。これが枠囲いの2つ目の丸にありますように、本制度と政策効果が共通するということで16~18歳までの特定扶養親族に対する扶養控除の上乗せ部分はこれに連動して廃止されているということと、その1つ上の丸でございますけれども、本制度とは直接関係ございませんけれども子供手当の創設、当時の手当の創設とあいまって15歳までの扶養控除も廃止されているという税制上の改正が同時に行われていたということでございます。
 続いて、10ページをごらんいただければと思います。10ページが所得制限によって導入した財源をどう使ったかということを図示したものでございます。赤の斜線部分が拡充した部分でございます。大きいのが私立に通う生徒への加算措置でございまして、250万円までは従来2倍であったのを2.5倍にと、350万円世帯は1.5倍だったのを2倍にしていると、590万円世帯は1.5倍にしているという加算措置と同時に、授業料以外の教育費ということで高校生等奨学給付金というものを設けたというものになっております。
 11ページに所得の考え方というのを示しております。ちなみに、所得といいましても実際判定するのは市町村民税所得割額でございまして、ここにおいて年収で910万円等と申し上げているのはあくまで目安でございます。910万円の目安を設定した考え方としては、右側にございますようにマル1 大体全世帯の2割程度を高所得世帯とみなして、それで設定しようということ。マル2 当時京都府が年収900万円世帯まで御支援されていたということで、それを上回る水準が適当ではないかという判断があったということ。マル3 中間所得層まで加算措置を拡充したいということで、そのための財源を捻出する必要を考えたということで、この3つの理由から910万円というのが導かれているということでございます。次に590万円と、ここからは加算措置が付くのですけれども、これは世帯収入の中央値を参考に設定されているということでございます。350万円と、これは義務教育段階の就学援助の準要保護世帯相当ということで設定されています。250万円が生活保護世帯相当ということ設定されて、それでも若干これは非課税世帯なので少し生活保護世帯よりは範囲が広いのかもしれませんが、当時はそういう考え方でこの基準を設定したというものでございます。
 続きまして、12ページが衆参の附帯決議の実物でございまして、右側が参議院の方で、こちらの方が詳しいので、参議院の1ポツでございますが、ここに書いておりますように「学校現場や地方公共団体等に対する本制度の影響、低所得世帯への経済的支援の拡充や公私間の教育費負担格差是正の状況等、本制度の具体的効果や影響を様々な角度から検証した上で~教育の機会均等を確保する観点から、速やかに必要な措置を講ずる」と、このような附帯決議がされているということでございます。
 続きまして、14ページをごらんいただければと思います。これは高校生の修学支援の全体像をお示ししたものでございます。下の絵にございますように、授業料の国の支援は先ほど御説明いたしましたが、それに加えまして青いところ、都道府県による独自の支援というものがされているところでございます。また、授業料以外の教育費支援ということで都道府県による貸与型の奨学金、これに加えまして奨学給付金と国庫補助が入った制度が設けられていると、このような現状になっているということでございます。
 15ページが修学支援金の一般の方向けの説明資料でございます。3ポツの支給方法にございますように、これは直接生徒や保護者が受け取るのではなくて学校が代理受領するものであるということと、4ポツにありますように申請するということで申請書と課税証明書を出す必要があるということでございます。
 ページをめくっていただきまして16ページですが、6ポツにありますように課税証明書は基本的には親権者全員の課税証明書を出していただくということですが、例えば米印の2つ目のポツにありますように海外に在住しており住民税が課されていない場合は課税証明書の提出は不要ということになっております。これは海外在住の場合は所得の把握が困難であるためでありまして、両親が海外に在住している場合は実際の所得に関わらず、現行としては基準額である11万8,000円を支給しているということになっておりますが、これについては会計検査院から指摘を頂いておりまして、これは後ほど資料として御説明させていただきます。
 続きまして、17ページが支援金の制度の対象校の範囲でございまして、一条校に加えまして専修学校、各種学校が対象になっております。特に各種学校につきましてはマル1 マル2 とございまして、マル2 の外国人学校としてはイとロということで、民族系外国人学校、インターナショナルスクールとなってございます。実際の指定されたリストが18ページでございまして、これが指定された外国人学校一覧ということで、告示、いつ指定されたかというのも併せてここに書いております。
 続きまして、19ページが支給期間と支給限度額です。支給期間は全日制の課程では36月と、定時制では48月ということになっております。また、枠囲いの中に単位制というのが出てくるかと思いますけど、単位制の場合は通算で74単位、年間30単位までと、一応このような上限が設定されているということでございます。
 続きまして、20ページをごらんください。これは所得の判定基準で使います所得割額、市町村民税所得割の算出方法であります。枠囲いにありますようにこの所得割を使っている理由といたしましては、配偶者控除や扶養控除等によりまして家族構成がある程度は反映されるということと、所得確認に係る事務負担、生徒、保護者にとって分かりやすいものであること、課税証明書にこれは出てきますので分かりやすいと、このようなことを考慮してこれを使っているということであります。
 ただ扶養控除につきましては、先ほど6ページでも御説明いたしましたが、例えば15歳までの控除は廃止されておりますので、15歳までの子供がいたとしてもここの判定には反映されないというような状況になっております。また、最後に税額控除というのがあるかと思いますけども、これは例えばふるさと納税などをした場合は寄附金税額控除という扱いになりまして、ふるさと納税をした分控除を受けるということになりますので、例えば所得基準ぎりぎりの方がふるさと納税することによって対象になるというようなケースもあり得るだろうと思います。これについてはメディア等からも指摘を受けておりまして、論点の1つであろうかと考えております。
 続きまして、21ページでございます。これは奨学給付金の概要です。奨学給付金は、生活保護世帯及び非課税世帯が対象でございます。右の方に棒グラフがございます。第1子、第2子で右側の方が第2子の金額で、第1子の給付額が26年の開始当初はかなり低めに設定されておりましたので、年々第2子に近づけるように拡充してきているという状況でございます。また、ここで言う第2子というのが若干限定付きでございまして、一番上の施策内容の下の黒ポツに書いておりますが15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合ということで、単純に第1子、第2子というわけではなくて、こういった場合は第2子という形で増額されると、現行ではこのような制度になっているということでございます。
 23ページをごらんください。これが奨学給付金の積算単価になっております。一応予算の積算上はこういった費目を積み上げて計算しているということでございますが、生活保護受給世帯は、生活保護で出される分については割愛されているということになっております。
 また、25ページに義務教育段階の就学援助を参考までに付けております。2にございますように義務教育段階の就学援助の場合は要保護者と準要保護者と御存じのようにございまして、準要保護につきましては市町村、自治体が定める基準に基づきまして要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者は支援しているということで、対象人数を見ていただけると準要保護の方が格段に対象としては数が多いという状況でございます。ただ、高校段階の奨学給付金につきましては基本的には非課税世帯に対象が限定されているので、ここで言う準要保護者の対象範囲よりは狭まっているということが考えられます。
 続きまして、その上の24ページですけれども、学習費の推移を書いております。一応事務局で気になる点といたしましては、枠囲いに書いてございますように学校外学習費、例えば塾ですとか家庭教師ですとかそういった学校外の学習費というのが公立、私立で22年に比べてもこのように上がっているというような状況が見てとれるかと思います。
 続きまして、26ページ、27ページあたりは捻出財源で新たに拡充したものの概要でございます。特別支援教育就学奨励費ですとか、学び直しですとか、27ページにございますが家計急変世帯への支援、また28ページでございますが海外の日本人高校生への支援と、このようなものも併せて支援しているというものであります。
 ここでまた資料3に戻っていただければと思うのですが、2ポツの考えられる論点例ということで、(1)低所得世帯への支援の拡充状況や公私間の教育費負担軽減の格差是正の状況等を踏まえた支援対象や支給額の在り方ということで、現行制度によって機会均等は進展したのか、また支援の拡充は必要だという場合は当然財政が必要でございますので、優先順位の高い支援は何なのかと、また少子化対策、貧困対策等の観点から見直すべき点はないのかということを挙げさせていただいております。
 (2)は御説明いたしました市町村民税取得割額を用いることにつきまして、この現在の判定基準は支援の必要性が高い者を適切に判断できているのか、ふるさと納税等をどのように考えるのかと、また海外在住保護者の収入状況をどう把握するのかということを挙げております。
 (3)が事務負担の軽減ということで、マイナンバーが導入されますので、そういうものを活用して例えば一層の事務負担の軽減を図ることが可能かと、このような論点例を挙げてございます。
 それに資する資料として、資料4に戻っていただきまして31ページでございます。31ページが進学率の推移でございます。旧制度開始の22年の時点では98%と、現行制度開始が98.4%と、現在では98.7%ということで順調に進学率は上がってきているという状況でございます。
 32ページが生活保護世帯の進学率と全世帯の進学率の差を折れ線グラフで示しております。22年4月の時点では10.5ポイントの差があったところを、27年4月では6.9ポイントに格差が縮まってきているという状況であります。
 33ページが経済的理由による高校中退者数ということで、近年は随分と数は減ってきているという状況が見てとれるかと思います。
 続きまして、34ページでございます。これは中退者の割合でございます。この割合の方も減少してきているということでございます。
 35ページが中退者数と長期欠席者数ということで、長期欠席者数の推移が灰色の棒グラフでございますが、このように近年は減ってきているという状況でございます。
 続きまして37ページでございますが、これは私立、公立に通う生徒数・生徒割合ということですが、私立に通う生徒数・生徒割合が増えてきているという状況が分かるかと思います。
 続きまして、38ページが私立高校の平均授業料ということで、都道府県によって差があるということでございます。枠囲いの2つ目の丸にございますように、うち10県では平均授業料が2.5倍加算の支援限度額を下回っているというような状況だということでございます。
 39ページが授業料の推移でございます。青い部分が授業料ですが、旧制度開始時の平成22年に少し上がりまして、それ以降も微増してきているということかと思います。
 続きまして、41ページをごらんください。修学支援金の受給率でございます。全国平均で77%ということでございますが、枠囲いの2つ目の丸のとおり、これも都道府県ではばらつきがございまして、青森では89%でありますが、一方、東京では58%ということになっております。
 42ページが公立についての受給率で同じような傾向と、43ページが私立の受給率ということでございます。私立だと全国平均で66%の受給率ということです。
 続きまして、44ページが各都道府県の公立と私立の受給率の差を見たものでございますが、1つ目の丸のとおり、本日お越しいただいております山形県など7県については私立に通う生徒の方が受給率が高いという現状が見てとれるかと思います。
 45ページが、今度は奨学給付金、授業料以外の支援の状況でございます。2つ目の丸にございますように沖縄は全国平均13%のところが31%ということでかなり高い数字になっていて、東京が7.7%と、なってございます。
 46ページが国公立と私立別に示したものになってございます。2つ目の丸にありますように27団体で私立の方が高いというようなことになっております。
 また47ページが貸与型奨学金事業ということで、都道府県が実施する貸与型奨学金事業の状況でございます。左側に折れ線グラフで貸与率の推移が見えますが、貸与率も減ってきているということと、右側で貸与金額、1人当たりの貸与額も少しずつ減っているというような状況でございます。
 続きまして、53ページでございますが、これは先ほど国の修学支援制度に上乗せして都道府県でも独自支援しているという御説明をいたしましたが、独自支援の概要になっております。ここにありますようにかなり自治体によって対象範囲も違いますし、対象範囲の中でどこまで支援するかというのも違ってきていると、このような現状でございます。
 続きまして、54ページには都道府県からこれまで頂いた要望書等から抜粋したものでございます。たくさんございますのでかいつまんで御説明いたしますが、要望例マル1 ということで最初の枠囲いの1つ目でございますが、十分な財源を確保して支給限度額の撤廃や受給資格要件の緩和を図ってほしいですとか、2つ目でございますが、36月という支給期間とか74という単位数の上限を撤廃してほしいというようなことですとか、5つ目ですが、複数の子が高校に在学する世帯の負担を軽減するために、所得割額が超えていても2人目からは対象とするなど多子世帯向けの制度改善を図ってはどうかというような御要望であります。
 また支援の拡充に関するものということにつきましては、最初のポツにございますように低所得世帯への支援拡充がいいのではないかというようなことと、一方では、その枠囲いの4つ目の将来的には所得制限を撤廃してはどうかというような御提言も頂いてございます。また、事務負担・事務費に関するものということでは、申請者の負担軽減を図るべきではないかとか事務負担が重いと、このような御指摘を頂いているところでございます。
 55ページでございますが、5奨学給付金についての御要望であります。支給額の拡充に関するものということで、第1子の支給額を増額して第2子以降との差を解消するための見直しを行うべきではないかというようなことであります。また、財源の確保ということで、この奨学給付金は国の3分の1補助になっておりますので全額国庫負担でやってほしいというような御要望もあるということと、事務負担・事務費に関するものということでは、先ほどと共通いたしますけれども手続の簡素化が望ましいと、このような御指摘を頂いているところであります。
 続きまして、56ページは修学支援金制度の実施状況に関する調査をした際に御記載いただいたものを紹介しているものでございますけれども、これも同じような御指摘でございますが、例えば3つ目の枠囲いでリーフレットについて多言語化対応してほしいですとか、このような御指摘も頂いているところでございます。
 続きまして、58ページでございます。58ページは奨学給付金の支給対象につきまして、これは27年の地方分権提案ということで愛知県から御提案いただいているものでございます。今奨学給付金につきましては保護者が在住している都道府県が保護者に対して支給するということになっておりますけれども、これは下の枠囲いの下線を引いているところですが、生徒が他県の学校に行っている場合は分かりにくいのではないかということで、そのやり方を改めるべきではないかということを御提案いただいております。
 続きまして、59ページが先ほども簡単に御説明した会計検査院からの指摘であります。先ほど、海外に在住している場合は所得割額が分からないので基準額を出しているということでございますが、それが公平性を欠く場合があるのではないかと。海外で御勤務されて、もしかすると高い収入を得られているにも関わらず、所得が分からないということで基準額を得られるということになっていますので、何らかの形で海外に在住している場合でも所得の把握に努めるべきじゃないかと、このような御指摘を頂いております。
 また、60ページはマイナンバーを用いた事務のイメージということで、枠囲いの2つ目の丸にございますように平成31年4月からのマイナンバーを利用したシステムの稼働に向けて、現在システム開発をしているところでございます。事務の変更点のイメージということで、マイナンバーを利用すると市役所等で行う手続、手数料が不要になるといったような手続の簡素化が図られるということでございます。
 説明は以上です。よろしくお願いいたします。

【小川座長】  ありがとうございました。
 本会議でこれから検討していく制度のこれまでの経緯と、実情と、国レベル、地方レベルのこれまでの取組、またこれまでこの制度に関わって各方面から指摘されてきた幾つかの問題について、事務局から御報告がありました。また、資料3の2枚目には事務局から本会議で考えられる論点例ということで、幾つかの論点についても例示していただいております。
 今日は初めてですので、考えられる論点、もう少しこういうふうなことが必要でないかというような各委員からの御提案等々があれば出していただきたいし、また資料4の内容について、これはこれから本会議で検討していく上での前提的な理解に関わることですので、少し時間をとりましてこの資料4の中身について確認しておきたいこととか質問しておきたいことがあれば委員から御意見、御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。これに基づいた意見交換については後で30~40分のまとまった時間を設けますので、できればここの場では質問とか確認の事項に限定していただければと思います。柴田委員も御遠慮されないで御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 小林委員、どうぞ。

【小林委員】  幾つか質問があるのですけど、これは事務局にお聞きしたいのですけど、まず「しゅうがく」という言葉が修学と就学の2通りに使われておりまして、これについては使い分けをしっかりとされていると思うのですけれど、共通理解としてこの2つをどういうふうに使い分けているかということをお聞きしたいと思います。

【小川座長】  その1点でよろしいですか。

【小林委員】  いえ、すみません、ほかにもありますけど順番にお伺いして……。

【小川座長】  どうぞ、まとめていただけた方が。

【小林委員】  いいですか。では、次に国際人権規約についてですけれど、これは少々大きい問題ですが、これは初中等教育については留保しているということなのですが、御存じのように高等教育については2012年に批准されております。それで、高等教育の方がはるかに私立の割合が大きいわけですね。今まで批准しなかった理由として私立が多いからということが1つの理由にあったと思うのですけれど、初中の場合は私立の割合が低いのに批准を留保しているというのはどういうことかということです。
 それから、これは少し細かい話になるのですが、就学支援金については国で、生活保護については国がそれに準じてやっているということなのですが、準要保護世帯の場合は地方で行っているということで、これは就学支援金の話ではなくて奨学金の方になるのですけれど、これは基準が違っているわけですよね。そうすると、つまり就学支援金の方の基準と奨学金の方の基準が違っているということになるのですが、準保護世帯が数としては物すごく多く、これは市町村によって違うということなのですが、大体どのような所得、年収のレベルの人が対象になっていると考えればいいのでしょうか。
 それ以外に幾つかの点がありますけど、それは後でまた。

【小川座長】  じゃあ、とりあえず。
 今の時点で何か答えられるものがあれば答えていただいて、資料なんかを確認する必要があればまた後日御案内していただくということで。

【塩田室長】  では、答えられる分だけ。

【小川座長】  よろしくお願いします。

【塩田室長】  就くと修めるという漢字の使い分けは、イメージとしては修の方が幅広い概念を示すというような意味付けで使っておりまして、従来、例えば就学援助とかという固有名詞で就くという字を使っていることが多いのですが、固有の施策でそういうことを使っているときはその就くという言葉で、それを包含する概念として修めるという言葉を使い分けているということでございます。
 人権規約につきましては、資料の中で留保としてありましたけども、実は現時点ではもう留保はやめております。

【小林委員】  失礼しました。

【塩田室長】  あと、準要保護は財源委譲して自治体の施策となっております。これは自治体によって基準にばらつきがありまして、例えば生活保護基準の1.1倍、1.2倍、1.3倍とか、1.3倍などが多いようなことは聞いたところでございますけども、それは自治体によってそれぞれ御判断されているということです。

【小川座長】  とりあえず小林委員、今の回答でよろしいですか。

【小林委員】  はい、結構です。

【小川座長】  ほかにいかがでしょうか。
 柴田委員、何かありますか。

【柴田委員】  今のところ大丈夫です。ありがとうございます。

【小川座長】  そうですか。
 私の方からも、資料4の23ページで教えていただきたいことがあるのですが、先ほどの小林委員の3番目の質問にも関わることですけど、全日制の奨学給付金の予算の積算単価ですけども、生活保護世帯は確かにいわゆる生業扶助ですよね。それでもって生活保護世帯は教科書から入学学用品まで措置しているというのは分かるのですけども、生活保護においては修学旅行は対象外ということで、奨学給付金で修学旅行費を措置しているわけですよね。ちょっと教えて頂きたいことは、1つは生活保護で措置している教科書から入学学用品の積算単価というのは、大体右で数字が挙がっているのとほぼ同じだと理解してよろしいですか。

【塩田室長】  生活保護の方がより手厚く出ていたと思います。


【小川座長】  もしもこれのデータがお分かりであれば、これは平成22年で出ているんで、できればこの数字を付け加えていただければと思います。

【塩田室長】  承知しました。

【小川座長】  もう一つ教えてほしいのは、生活保護世帯の場合には奨学給付金で修学旅行費が措置されているんですけれども、右の方の非課税世帯の修学旅行費は措置されてないんですか。

【事務局(高橋)】  これはあくまでも予算積算上の単価として積み上げているものなので、修学旅行費が出ている、出てないというような言い方は違いがございます。

【小川座長】  それは支出する団体の判断に任せているということでしょうか。

【事務局(高橋)】  費目を限定して給付しているというわけではないので、トータルで1人当たりこの金額ということで給付されていますので、これはあくまでも積算上こういうのを考慮した単価になっていますというように考えていただければと思うのですが。

【小川座長】  でも、どうして奨学給付金では修学旅行費は積算ゼロという記載をされているんですか。

【事務局(高橋)】  これは当時、最初にこの制度ができたときの単価の考え方としてこのような費目に基づいて単価を考えたということで、その時点で修学旅行費までは措置できるような額にはなってなかったということです。

【小川座長】  なるほど、分かりました。義務教育の教育扶助と就学援助の場合は、就学援助には修学旅行費が入っているのですけども、教育扶助の場合には厚生労働省の考え方もあって修学旅行費は措置されてないですよね。それを文科省で国負担ということで出しているので、そういう使い分けが高校レベルでも同じような使い分けがされてこういうふうにゼロということになっているのかなということでちょっと確認したかったので、修学旅行費の金額というのはかなり高額なので確認したかったということです。ありがとうございました。
 もう一つお聞きしたいのは35ページの、これもちょっと掘り下げると重要な論点になると思っているんですけども、長期欠席者数の、全く自宅にこもっているわけではなくて、恐らくフリースクールとか、いわゆるサポート校なんかに在籍しているとかという、そういう内訳みたいなものは分かりますか。

【事務局(越)】  ちょっとこの場では分からないので、今後もう少し掘り下げてお示ししたいと思います。

【小川座長】  じゃあ、次回にその辺のデータを出していただければ、よろしくお願いします。すみません、細かいことで。
 ほかに、どうぞ。

【小林委員】  データのことですが、子供の学習費調査については所得や階層別の詳細な分析が国立教育政策研究所で行われていますので、それをデータに付け加えていただければと思います。お願いします。

【小川座長】  分かりました。
 どうぞ。

【小河委員】  小河です。まず、高校の給付型の奨学金である奨学給付金なんですが、これは国庫補助3分の1ということですけど、都道府県によってこの金額に差があるとか、多分なくなったと思うのですけど、一部報道でバウチャーでこれを置き換えるというような部分もするというようなこともあったというようなこともありましたけども、このとおり都道府県全てやっていらっしゃるかということが1点と、それから次は45ページの給付率なんですが、確認のために母数になっているものというのはどういう形で出されている中でのこの給付率なのかということが、もし分かればお願いできますか。

【塩田室長】  各都道府県ではここに書いているとおり出ているということでございます。。

【事務局(越)】  すみません、後ろから失礼します。45ページの資料の母数ですけれども、こちらは修学支援金の対象となっている学校の生徒数を我々の方で毎年7月1日現在で確認しておりますので、その母数を使っております。ですから、学校基本調査等の生徒数とは少し違うものにはなりますけれども、そういった数字を母数として計算しているものになります。

【小河委員】  そうすると、全国平均で13%ということは、本来であれば受けられる人の13%しか受けられないという認識ではないのですね。

【事務局(越)】  そういうことではないです。

【小河委員】  全体の数の中でという……。

【事務局(越)】  全生徒数の中で受け取っている人が。

【小河委員】  13%いるということですね。いわゆる就学援助率とかと同じような、就学援助率は今16%とかというのと同じような考え方という意味でいいわけですね。

【事務局(越)】  そうです。

【小川座長】  ほかにはよろしいでしょうか。
 なければ、次回以降でも新たな質問等があればその場でまた出していただくとして、とりあえず今日は資料3、資料4に基づいての事務局からの説明についてはこれで一旦終わらせていただきたいと思います。
 それでは、関係団体のヒアリングの第1回目ということで、お忙しい中、山形県の教育委員会からおいでいただきました。時間は、遠藤課長及び阿部課長補佐は、事務局からは大体15分ぐらいと言われていたと思うのですけども、今日は1団体で少し時間的に余裕がありますので20分ぐらいの時間で、ゆっくりいろいろお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【阿部課長補佐】 山形県の教育庁高校教育課、阿部です。よろしくお願いいたします。 それでは、資料5をごらんください。本日はこちらの資料5の3点について説明させていただきます。
 では、まず1枚目をおめくりいただきまして2ページ目、の上段から御説明させていただきます。こちらは山形県の学校数の21年度から28年度までの年次推移になっています。始めに、山形県の公立学校数について説明します。山形県は地域が4つに分かれており、その4つの地域の中野ひとつである庄内地域の酒田市内の4つの学校を再編、統合いたしまして酒田光陵高校を開校しました。また、その4つの地域の中のひとつの村山地域では、平成26年度に村山市と東根市の2つの学校を再編し、村山産業高校を開校しました。平成21年度には、公立は53校ありましたが、28年度には再編等により47校になっています。私立高校におきましては15校のまま変わりません。
 次に、2ページ目の下の方をごらんください。これは生徒数の年次推移になっています。公立も私立も生徒数は少子化の影響もあり減少しております。ただ公立、私立の比率につきましては、おおむね公立7:私立3で変わりません。
 次に3ページ目をごらんください。3ページ目の上段になりますが、こちらは高等学校の進学率の年次推移になります。山形県の場合ですが、約1万人の中学卒業者数に対し、進学率は平成28年度で99.3%と高い進学率となっています。平成28年度には全国3位の進学率になっており、全国平均に比べても高い進学率となっています。
 次に3ページ目の下の方をごらんください。これは就学支援金の受給率の年次推移でいます。平成26年度から新制度が始まっておりますので、平成26年度から平成28年度の推移を記載しています。28年度で3年生全てが実施されており、公立の受給率は80.9%、私立の受給率は87.5%ということになっています。
 続きまして、4ページの2のところの説明になりますが、こちらは私立の補助金の話が中心となりますので、ここで説明者を私学担当の遠藤に交代させていただきます。

【遠藤課長】  総務部学事文書課長の遠藤でございます。私立高等学校の授業料軽減補助金につきまして御説明させていただきたいと思います。
 資料の4ページの上段でございますが、この図が私どもで独自に補助金、国の就学支援金に加算しているものを図示している部分でございます。これを見ていただきますとお分かりのように、年収の目安といたしまして450万円未満の世帯に対しまして上乗せを行っているところでございます。この上乗せにつきましては、平成22年度に就学支援金の制度を導入されまして、それ以降順次拡充を図ってきたところでございます。一番左の250万円未満世帯につきましては、私立高等学校の授業料、私立高校ですけども平均額3万3,000円まで補助するということで、実質無償化を27年度から実施しているところでございます。またそれ以外の階層につきましては350万円未満が月額4,950円、350万円~450万円未満につきましても4,950円ということで、この350万円~450万円といいますのは国の就学支援金の階層ですと350万円~590万円という階層になっていますけども、それをほぼ中位ということで450万円で区切りまして、平成29年度から4,950円を加算しているものでございます。
 考え方といたしましては、低所得世帯を中心に支援していくという考え方の下、これまで制度の拡充に努めてきたところでございます。この県単の補助金の状況でございますが、私どもで課題として認識しているところがございます。世帯区分の割合を赤枠で囲いまして示しておりますけども、350万円未満につきましては約3割です。これは250万円未満と併せて約3割を占めている、次の350万円~590万円の区分につきましても約3割を占めているということで、先ほど山形県につきましては公立と私立の受給率が逆転しているとの御説明がございましたが、低所得が比較的低い区分により多く分布しているということがその要因ではないかと考えておりまして、事実、全国の割合と比較してみますと、両方とも約10ポイントほど山形県は高くなっているという状況があるようでございます。
 私どもとしましてはこれまでも低所得世帯については加算を上乗せしてきたわけでございますけども、こうした措置をとっておりますが、公私間の格差につきましては依然として開きがあるということでございます、また所得区分間におきましても、1つの考え方ということになろうかと思いますが、収入に対する授業料の割合を見てみますとやはり低所得世帯の方が依然として高いと、このように加算しても負担の割合が高い状況があるということでございまして、平準化ということが山形県の大きな課題かなと考えているところでございます。就学支援金への上乗せ支援ということですが、やはりさらにその上乗せという必要性はあるのかなと考えているところでございます。
 しかしながら、財源の問題もございますので、年々拡充しているわけでございますけども財政的な制約があるということで、今後の見直しに当たりましては、こういった所得区分間の格差ということにも着目していただきながら、見直しを進めていただければありがたいと考えているところでございます。
 続きまして、その下段になりますが、2の(2)の奨学のための給付金についての状況でございます。これにつきましては国が3分の2、県が3分の1ということで支給しているものですが、この表にありますのは制度が導入されました平成26年度から28年度の状況ということでございます。26年度から導入ということで、平成28年度で3学年分の給付が実施されております。公立の給付人数は2,556人、給付額は1億9,906万6,000円、私立の場合につきましては1,365人に対しまして給付額は1億1,553万1,000円というような状況になっているところでございます。
 続きまして、3番目の就学支援金制度改正の影響についての説明になりますが、再び阿部の方に説明を代わらせていただきます。

【阿部課長補佐】  それでは、また5私から説明させていただきます。
 5ページの上段、就学支援金制度改正の影響の進学率の推移を説明いたします。もともと山形県は高い水準にあり、授業料無償化が導入された21年度から22年、今回制度改正がありました25年から26年にも特に変化がなく、おおむね横ばいで推移しております。 次に、同じページの下段の方をごらんください。これは経済的理由による中退者数、休学者数の年次推移です。こちらのデータにつきましては、28年度は集計ですので、27年度までのデータになります。
 公立の場合ですが、中退者数、長期欠席者数につきましても、ほぼ横ばいで特に変化は見られません。ただ私立の場合、授業料無償化が導入された22年には減少しているという傾向は見られますが、その後はおおむね横ばいであり、公立、私立ともに新制度導入による影響は特にないようです。
 次に6ページをごらんください。こちらは貸与型奨学金の貸与額等です。山形県では、学力基準のある育英奨学金と、家計基準の方に重きを置いている特別貸与奨学金の二種類の奨学金があります。平成21年度に高い奨学金の総額になっていますが、その後は減少傾向です。授業料無償化によって奨学金が不要となった家庭があるのかもしれませんが、それを示すデータなどはありません。
 山形県の説明は以上となります。

【小川座長】  ありがとうございました。
 今の山形県からの資料5に基づく報告について、何か質問、確認したいことがあれば御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。小林委員、どうぞ。

【小林委員】  すみません、2点お伺いしたいのですが、1点目は受給率がやはり逆転しているというのは非常に大きな特徴だと思いますが、理由として低所得層が多いのではないかということを推測されていたのですが、その辺は実際の証拠といいますかエビデンスは難しいですか。その辺は、就学支援金を受けるときに所得額を出してもらっているわけですからある程度分かるのではないかと思うのですが。

【遠藤課長】  所得の状況は、申請する際に証明書を出していただいていますので、把握しているところでございます。私立高校の世帯で受給されている方の階層ごとのパーセンテージと比較してみますと、やはり先ほど赤枠で囲っているところが3割ずつだということで、全国的な階層の分布から見るとここが10ポイントほど高くなっているというところがございます。

【小林委員】  ありがとうございました。
 もう一点お伺いしたいのは、私立の方は授業料水準というのは違うと思うのですが、かなりそれはばらつきがあると考えてよろしいのでしょうですか。それとまた中高一貫校とか、あとほかの高校と違うとか、専門校と違うかどうかとか、授業料水準のことをお伺いしたいのですけども。

【遠藤課長】  本県の場合、中高一貫校の私立はまだないということもございますし、全日制の授業料を比べてみますと、公私間で大きな開きはないと考えております。平均が大体3万3,000円ぐらいですので、250万円未満につきましては3万3,000円支給ということで実質無償化しているところでございます。

【小林委員】  ありがとうございました。

【小川座長】  ほかにいかがでしょう。どうぞ。

【小河委員】  2点ございまして、1点は中退者の数字なんですが、これは理由を問わない全ての数の中退者数を教えていただきたいと思います。というのは、多分これは文科省の数字もそうだと思いますけども、中退には複合的な要因がきっと絡まっているというところもあるのではないかと思いまして、そのあたりを教えていただきたいというのが1点と、あと貸与型の方の人数はどのような推移なのか、ざっくりとでも結構なんですが、これは貸与額ですよね。額ですので、人数的にこれを見れば大体掛ければいいのかなと思うんですけども、教えていただければと思います。

【阿部課長補佐】  中退者の経済的な理由というのはかなり減っています。中退の理由は様々ですが、経済的理由による中退っていうものの割合は平成27年で0.4%となっております。

【小河委員】  総数でいくと何人ですか?

【阿部課長補佐】  全体の中退者数が平成27年で226人になっています。

【伊藤課長】  平成21年ぐらいからで見ますと水準はどういう形に?

【阿部課長補佐】  少しずつ減ってきてはいますが、そこは少子化により全体の生徒数も減っていますので、人数だけでは判断できないものと考えております。
 2点目の貸与型の奨学金ですが、こちらも全体の生徒数が減っていますので、授業料が無償化になったことによる影響はあるのかもしれませんが、人数からはなんとも判断できないと考えております。

【小河委員】  これは貸与月額に変化はないので、じゃあ、これは割り算すれば出るということですか。

【阿部課長補佐】  そうです。

【小川座長】  よろしいですか。

【小河委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  ほかにございますか。

【濱中委員】  先ほど小林先生の方も質問されていて、やっぱり公立と私立の逆転というのが大きな特徴なんだろうなと思って見ていたのですけれども、事務局が用意してくださった資料でも全国で5県しかないのですよね。その理由を、先ほどやはり私立に低所得層が多いからではないかというようなことをおっしゃっていたんですが、私も実はその7県のうちの1つの富山県出身なもので、何となく状況がイメージできるといえばイメージはできるんですけれども、ただ地方のところではそういうところも少なくないのではないか、同じような状況にも関わらず5県になっているのはどういうことなのかなというのがちょっとやっぱり気になっていまして、1つ考えられるのは、低所得層が多いというのと同時に、今回のこれは申請しないと受給できないというようなところが絡んでいるとすると、例えば山形県では特に学校さんの方で生徒さんにこういう制度があるんだよということを丁寧にアナウンスされていらっしゃるとか、そういうふうになって申請数がそもそもほかのところよりも多いのではないかというようなことを、今エビデンスが出てくるとかという話ではないとは思うんですけれども、その辺の状況を教えていただければと思います。

【阿部課長補佐】  山形県における公立高校の周知の方法は、まず全ての家庭に対象になるかどうかの確認の書類を生徒を通じて配布し、全員か回収しております。収入を課税証明書などで確認していただき、該当しない場合もその旨を記載し提出いただいています。生徒への声がけなど現場の先生方のご努力や回収方法の工夫などにより、申請漏れのないよう各家庭への周知が図られております。 私学については、遠藤課長お願いします。

【遠藤課長】  私立高校に対しましては、当然学校に直接我々が学校に関与するということはできないわけですけども、パンフレットを作りまして、それを配布しております。

【濱中委員】  独自のものをですか。

【遠藤課長】  ええ、そうです。

【濱中委員】  ああ、なるほど。

【遠藤課長】  ただ、受給できる、できないということをみるために証明書をとっているかというと、証明書は有償なものですから、それをとってもらえませんかというのは、なかなか言いづらいというような話も聞きますので、そこまで強制的にされている学校があるのかははっきりと分かりませんが、なかなか難しいと見ているところでございます。

【濱中委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  よろしいですか。

【小河委員】  すみません、今のお話は奨学給付金も同じような手続と考えてよろしいのですか。給付金の方のものも必ず全員の方から必要があるかないかということをされていらっしゃると。

【阿部課長補佐】  奨学給付金は、生徒全員に確認しておりません。

【小川座長】  ありがとうございました。
 そろそろ山形県の報告についての質問等々についてはこれで終えて、今まで……。

【伊藤課長】  ちょっとだけよろしいですか、質問させていただければと思います。

【小川座長】  どうぞ、お願いします。すみません、失礼しました。

【伊藤課長】  すみません、恐縮でございます。事務局から1点だけちょっと、もしデータがあればお教えいただければと思うのですが、このプレゼン資料のスライド番号でいくと6のところで、先ほど来からお話が出てございます約3割がこの350万円未満であるというような部分でございますが、これは29年度の概要ということですけれども、制度ができた22年度から恐らく上乗せの部分を先ほどやられているということでございましたので、いわゆる22年度、23年度、24年度、25年度というような状況と、よりこの制度が所得制限を導入して国の方で上乗せをし、その上にさらに引き続きまた県で上乗せをされているということだと思うんですが、この350万円未満の人が今は3割なんだけれども、22年度とか23年度とかは何割だったよというようなデータがもしあって、そこの推移の差があれば、もし今日はないということであって戻ればあるということであれば後日に教えていただければありがたいと思っているのですが、そこの部分が国全体の制度としては大変関心がある部分でございますので、もしお分かりになればお教えいただきたいと思いますが。

【遠藤課長】  過去のデータにつきましては確認させていただきますが、実際は、やはり変動があるというものも、大きな傾向は変わってはいないのかなというようなことで私どもは見ているところでございます。

【伊藤課長】  ありがとうございます。これは1つの仮説でございますが、より私学に手厚く、低所得で手厚い支援が出たので積極的に私学を選ぶというような形の動向が、これはもう県ごとにいろいろな事情は異なるとは思うんですけれども、数字で見れば1つの特徴として見えてくるのかなと思ったものですから、また数字をお教えいただければと思います。

【遠藤課長】  数字の方は確認させていただきたいと思いますが、公私間の生徒数の割合は、山形県の場合、ほぼ7:3で来ているということがありますので、私立の高校生がこの制度によって割合的に多くなってきたとかそういうことが見えるかというと、なかなかそこは難しい面もあるのかなと考えています。

【伊藤課長】  すみません、ありがとうございました。

【小川座長】  審議官、どうぞ。

【瀧本審議官】  すみません、同じところですけども、また別途で数字を教えていただければと思うのですが、まさに今の山形県さんの資料4ページの上段の、先ほどおっしゃっていた350万円未満3割、350万円以上~590万円未満が3割、この割合は山形県の県民の普通のこの区分との比較で言うと同じなのか、私学に来てる方の割合の方がこの3割とかっていうのが高いのか、その数字を教えていただければありがたいと思いますし、今具体の数字がないにしても、感覚的に言うともし何かおありなら教えてもらえたらと思うのですが、平均的なものより、この私立に通っていらっしゃる方の方がより厳しい家庭が多い割合なのかというところが、もし感覚で難しければまた別途数字を頂ければと思います。

【遠藤課長】  確かにこの割合が本県の私立の場合、県全体や公立との比較でどうなのかみていく必要があるかなと考えているところでございますが、統計的に使える数値があるのかといいますと、公立の場合は所得区分の階層がないものですから、区分した数値がないということがございますし、県単位でこのような階層ごとの数値が統計的にあるかというと、そういった数値も見当たらないということがございます。国の調査で3年に1度行われている国民生活基礎調査ですと、区分、階層ごとに数値が出ているわけでが、そういった全国の数値と比べてみても開きはあるということがありますので、そこは本県の私立の特徴的な部分なのかなと私どもは推測しているところです。

【瀧本審議官】  今の県版のデータというのは公表されていないということですか。

【遠藤課長】  ええ、そうですね。

【瀧本審議官】  分かりました。すみません、ありがとうございます。

【小川座長】  さきほど濱中委員、そして伊藤課長が発言されていたこの制度の導入によって公立と私立の生徒数の変化に関係してですけども、恐らく私立の受入定員数というのは、例えば公立と私立で協議して定員管理をしているのですか、してますよね。都道府県は普通やってますよね。ですから、恐らく定数、実数のところでやってもそれほどの変化というのは、そういう定数管理の影響があって、余り出てこない、問題は受験者数とか。

【伊藤課長】  あと私が思ったのは、中の所得の割合層の変化。

【小川座長】  所得の割合の変化ですね。

【伊藤課長】  当時2割だったのが3割になったとかっていうのが見えるかどうかだと思うのです。

【小川座長】  そうですね。もう一つ、受験者数のところの変動なんかもデータとして頂ければ、非常に私たちとしても、恐らく私立の方が受給率が多いというのは、これはこの制度をどう評価するかというときの1つの重要な評価の視点となるので、恐らく山形県以外にもそういう県についてはこの会議としても少し精査した方がいいと思うので、それに必要なデータはそういう点で意識して事務局の方でも集めていただきたいと思います。
 すみません、時間がちょっと予定したよりも進んでいまして、今までの事務局からの説明と、そして今の山形県からの報告をベースにしながら、少し意見交換というか皆さんの方から自由に意見を出していただければと思います。今日は第1回目ですので、これからこの会議としてどういう方向で、どういうふうな論点で進めていくかという会議の進め方も含めて、あと例示が出されていた論点に加えてこういうふうなことが重要ではないかとか、事務局からの報告と山形県からの報告を踏まえながら、少しこの制度のこれからの効果検証に関わっていろいろな御意見があれば自由にお伺いしたいと思います。時間は余りないのですけれども、大体20分ぐらいとって意見交換させていただければと思います。
 スカイプの柴田委員も、何かあればご自由に。

【柴田委員】  少し御質問といいますか、事務局への御質問になるかもしれないんですけれども、たしか調査を行うことで何かしら効果検証するというような計画もあったように思うのですけれども、論点の中でも格差の是正、機会均等がどのぐらい進展したかというこれが多分一番重要な効果だと思うのですが、これを実際に検証するために今回はいろいろな各県でのデータだとか、大きなデータはありましたけれども、それでもある程度多少、例えば中退率が多少減ったりだとか、もしそういうのがあれば効果と言えるかもしれませんけれども、所得階層別のどういった階層の人たちだと、どういった階層の人たちの中退率が減ったのかとか、そういった細かいところになりますと調査なり、そういう社会調査に基づく分析といいますか集計とかが必要になるかと思いまして、先ほどの山形県の例でも公立に関してはやはりなかなかデータがなくて、階層の割合も分からないという状況ですので、何かしらの調査をこれからどうしていくのかというところを、もし事務局で今お話しできる範囲でお話しいただければと思います。
 以上です。

【小川座長】  恐らく皆さんは同じようなお気持ちだと思うので、もし事務局、今の段階で今後のこの会議で検討していく上で、やはり実証的なデータが必要なので、どういうふうな調査計画を考えているかというのを今の時点でお知らせいただければと思います。

【塩田室長】  今、公募の案を作成しておるところで、もう間もなく公募は開始できる状況にはなっております。そこにはある程度のことは書いておるんですけども、実際の受託が決まった受託者と、この本協力者会議で相談をして調査を進めるというようなたてつけにしておりますので、公募要領になかなか書き切れない部分もありますので、実際に受託者が決まった際には調査開始前に先生方とディスカッションしていただいた上で調査に移行していただくということを想定してございます。柴田先生から今御指摘も頂きましたので、極力そういったことを公募要領には反映していきたいと考えております。
 すみません、事前の説明とちょっと私が混乱してしまって、一応たてつけといたしましては公募要領の中にこの協力者会議とディスカッションして調査を進めることという要件を書き込んでおります。現状の公募要領の中には都道府県のデータも含めて調べることということは書き込んでおりますので、一定程度は公募要領を見ただけでも必要な調査はできるようになっているとは思うのですけれども、さらに必要なデータを協力者会議のこの場で意見交換しながらやっていきたいと考えてございます。

【小川座長】  ありがとうございました。

【伊藤課長】  補足だけ。改めて各委員の皆様は御案内のところだと思いますけれども、法施行後3年で今年度に検証するということで、私どもはこの事業全体の検証はこの協力者会議で有識者の皆様にもちろん御議論いただくというのが大きなメーンの柱でございますが、同時に今申しました実証事業の方、これは研究者の方等に公募してお願いして、その研究のデータも適宜この協力者会議の中で開示させていただいて御審議していただきながらという、ちょっと同時並行の形で走らせていただければと思ってございますので、その公募をこれから早急にさせていただき、かつ、公募要領は少し抽象的になっておりますけれども、具体の細かい詰めなどについてはまたいろいろな御意見を頂ければ、是非そこの実証の研究、データをとるときに反映していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【小川座長】  ありがとうございました。
 柴田委員、何かありますか。

【柴田委員】  それに加えて1点なんですけれども、その効果を見るときに貧困世帯の中退した人が減るだとかそういったところで効果が見えてくるのかなと思うんですが、あと先ほどの山形県の事例から少し気になったのが、やはり私立の方がもしかするといわゆる捕捉率ですね、本来受けられる人がしっかり受けているという捕捉率がもしかすると山形県は高いのかもしれないという議論があったかと思います。それがもしかすると県によってかなり違うのかもしれないということです。捕捉率を高めるにはやはり何かしら保護者への通知だとかいうのをしっかりどういう方法でやるべきかとかそういった議論も出てくるかと思うんですが、まず各県で捕捉率がどのぐらいかというのは、恐らく私立学校で対象者がどのぐらいいるかだとかそういった案内とかをもし保護者にしていて、実際受けた人はこのぐらいというのが各県で出せるんであればそういう数値は出せるでしょうし、それがどういった通知の仕方、通知の方法とどういうふうにリンクしているのかという検討も、ちょっと大変かもしれませんけれども、いずれにせよ実際に利用可能な人のうち何割が利用しているのかというデータがまだ余り十分に出ていなかったように思いますので、効果の検証とともに、そもそもどうすればもっと利用されるのかというところも今後の議論としては必要なのかなと思いました。
 以上です。

【小川座長】  ありがとうございました。非常に重要な指摘かと思います。
 ほかにあといかがでしょう。どうぞ。

【小河委員】  私は、あすのばの小河と申します。私、前職はあしなが育英会に2年前までおりまして、長く奨学金の事業も携わっておりまして、先ほど山形県の方のお話も聞いて、あしながの場合も貸与型の奨学金なんですが、実は年々減ってきていると。いろいろな事情があると思いますが、借り控えだとか、そもそもやはり今大学にも給付型の奨学金が入ってきているというような状況ですから、給付型という方への移行が必要だと。そういう中で本当にそもそもこの奨学給付金の制度は、従来なかった高校の給付型の制度を作っていただいて、まだまだのところはありますけども、特に第2子以降については月1万円ベースでこういうふうに給付ができるような制度を作っていただいて、今回見直しをされているというところはとてもありがたく思っております。今私どもあすのばでも、そういった第1子の問題もございましたけども、さらにこれをいかに拡充させていくかという政策提言なんかもさせていただいておるところでございますが、今のまさに柴田委員からも御指摘があったように先ほどから感じているのは捕捉率の問題、これは私学の問題のみならず、大変この給付金に関しても同じだと実感しております。先日、沖縄に伺いましたときに、実は当事者団体の代表の方がこの制度を知らなかったというような、お子さんもいらっしゃるんですけども、給付型のこういうものがあるということを知らなかったというような事実もございまして、これは本当に難しいなと思います。就学援助の問題もそうですけど、今沖縄ではテレビコマーシャルもされて就学援助が当事者の方に伝わるようにというようなことをしておりますし、修学支援、就学援助の周知の仕方についても、先ほどまさに山形県の方がおっしゃったように全校に配付して、就学援助は必要ないという人からも必ず回収するような市町村もあるというように聞いています。そういうような周知の方法と捕捉をいかに高めていくかということも大切だと思いますし、都道府県からすれば、これは3分の1補助というところが半分になり、あるいは3分の2になり、できれば全額という先ほどあったような意見の方向性もさらに必要かなと思います。
 あともう一点、私ども、今回あすのばで入学新生活応援給付金という制度を独自でやりまして、全国から3,263人の応募がありました。これは小学校、中学校に入る方、中学を卒業する方、高校を卒業する方を対象として、たてつけとしては生活保護世帯とか、まさに非課税世帯とか社会的養護がいらっしゃる方という方々なんですが、実は一番多かったのが高校に入るというか中学卒業の方が3分1を占めています。今の仕組みの中で生活保護世帯の場合は入学のときのお金というのは手当されるんですが、高校に入るときの、実は一番お金が掛かるときにこの手当というのがないと。就学援助を受けている方も、そこでもうパタッと切れてしまうというような問題点もあるかと思います。そういったところもいかに充実させていくかということはすごく大切だと思います。今、国の方向性として、先ほど審議官からもお話がありましたように幼児教育と、それから大学のところ、本当に高等教育に力を入れると、ものすごくこれも大きな方向性だと思いますが、もっと大切だというか、それと同時にこの高校世代の人たちにどういうふうにサポートしていくか、これは経済的支援のみならず様々な支援が、先ほど中退のことを申し上げたのも、多分経済的な事情ということだけではなくていろいろなものが複合的に影響していて中退に追い込まれるとか、あるいは実は転校するんだけども、それが結局前向きな転校ではなくて、その転校先から学校を辞めてしまうというような子供たちも、あしながにいたときも数多くそういう子供たちと出会っているというようなこともありますので、ちょっと広い視野でいろいろ御議論いただいて、方向性を出していただけるとありがたいと思っております。
 ありがとうございます。

【小川座長】  ありがとうございます。
 ほかに何か。小林委員、どうぞ。

【小林委員】  幾つかあるのですけど、初めに申請していない人の問題というのはかなり大きな問題で、これは一般的には情報ギャップ問題と言われる問題で、私たちはこれを大学で調べているのですけど、アメリカでは給付奨学金の受給資格がありながら4分の1程度申請していないというような調査もありまして、日本でも同じようなことが起きる可能性があるわけで、この辺についてどう調査するかというのはかなり、該当者数がどれぐらいいるかという推計が難しいのでどうするかという問題はあるとは思いますけど、これは非常に重要な政策テーマだと思います。
 中退について今御意見がありましたけど、これも大学について同じように調べておりまして、文科省の調査で大体経済的な理由による中退者というのは2割ということになっているのですけど、これは単一の要因で聞いていますので、私たちが複合的な要因として見ると大体もう少し大きくて、3割程度はやはり何らかの理由で経済的な問題が絡まっているということなので、この辺もどういうふうに調査していくかということを考えなければいけないと思います。
 その上で、マクロのデータで既存のものでできることと、それからこれから新しくやらなければいけないことを少し区分けしてやる必要があると思っております。できることといたしましては学校基本調査がかなり、今日山形の例を出していただきましたけど、全国でそれぞれ都道府県単位で出せればかなりのことが分かってきますので、学校基本調査を活用するということが1つ。
 それから、余り今日は論点にはなかったのですが、教育費の負担がどう変わってきているかというのは修学支援金では非常に大きな問題だと思いますので、これについては、大学生については学生生活調査とか幾つか調査があるのですが、初中等で、特に高校でどうなっているのか私はよく存じ上げないのですが、教育費の負担を家計がどうしているかという調査ですが、家計調査とか消費実態動向調査とか幾つかあるんですけど、そのあたりも使えるのではないかと思いますので、そういった既存の調査を使っていくということで、その上で足りない部分について重点的にこれから新しい調査をやっていくということで、その場合は、今日ずっと議論になっていましたようにこの修学支援金を入れた後と入れる前がどういうふうに違っているかというのは一番焦点ですので、その辺の制度設計、これはかなり難しい制度設計になると思いますけど、それを考えてやらなければいけないと思っています。
 あともう一つ、今日は奨学金の話が出てきましたけど、これも2004年に都道府県に移管してますので、実は実態がよく分かっていないことでありまして、受給率の問題、それから延滞率です。延滞率は今大学の方は公表して非常に大きな問題になっていますけれど、その扱いもなかなか難しいところがありますので、どういうふうに扱うかということは考えながらやらなければいけないと思いますけど、延滞率がどういうふうに減少しているかというようなことについても調べる必要があるかと思っております。
 以上です。

【小川座長】  何かあれば。

【濱中委員】  あと1点だけ、事務局からの説明のときに、年々学校外学習費が増えているというようなデータも出てきていました。今小林先生もおっしゃったように何かいろいろ高校が一体どういうふうに教育、学習にお金を使っているのかという詳しいデータはないということでしたので、今回の制度が取り入れられたことによって、これはマクロなデータですけれども、特に低所得層で私立に通うような人たちが一体どういうふうに変わってきたのかと、学校生活が変わってきたのか、ひいてはそれが中退にどういうふうにつながっているのか、つながらなくなったのかということも少し推察されるところが出てくるかもしれませので、そういったちょっと細かいデータのところも、もし可能であったら見ていければいい、そういった調査にできればいいなと思っています。

【小川座長】  ありがとうございました。
 柴田委員の方で最後に何かあったら。

【柴田委員】  あともう少しだけ、気づいた点でお伝え忘れていた点なのですが、事務局からの資料の37枚目に、生徒数の公立と私立の割合において私立の割合が増えていると。実際に数で見ても私立の人数が増えて公立は大幅に減っている状況ではあるのですけれども、この曲線を見ますと平成22年からガクッと上がっているので、やはりこれは今回のこれまでの支援金制度から始まる影響というのが何かしらあるのかなと思われるのですが、これが見方によってはこれまでは学力もなくてなかなか公立には受からなくて私立にしか行けない、でもお金がないから私立に行けないという子供たちが行けるようになったから私立の生徒が増えたとも見えなくもないのですけれども、ただ場合によっては、もしかすると私立にも行きやすくなったというところで、何かしら私立の経営を公的に補助しているという面もあるのかもしれないんで、それと併せまして39枚目のスライドを見ますと私立の授業料が上がっているということで、これはなぜ上がっているのか、授業料以外のほかの部分は上がってはいませんので、やはりこれも私立に通いやすくなったので私立がよりよい授業を提供しますよという意味で上げているのかもしれないんですけれども、何か私立の学校経営を公的に結果的にサポートしているという面が、うがった見方をすればあるかなと思いまして、こういう制度へのよくある批判としては、そういう本来はなかなか教育レベル上では余り人気がなかったとしても、こうやって安くなったから私立の学校が生き残れるようになるということもあるのじゃないか、それはある意味教育の質という面では問題じゃないかというような批判もあり得るかとは思うんですけど、そういった面でこのデータというのは少し気になるところでして、ここら辺を事務局としてはどういうふうに解釈、評価されているかというのを御確認できればなとは思っておりました。もしお時間がよろしければ一言、事務局の評価といいますか、このデータをどう解釈したらよいかという見方をお教えいただければと思います。

【小川座長】  恐らく今の論点というのは本会議において今後重要な検討の論点の1つになるかと思いますけど、今の時点で何かございましたら。

【伊藤課長】  文部科学省としての見解というのはなかなか難しい今のお尋ねの部分ではありますが、1つには37ページの公私の私立の割合が徐々に増えてきているというのは、先ほど小川先生からもお話がございましたが、各都道府県は今まで公私協というようなものを設けて、定員の割合をかなり公立と私立ではっきり明確に区分を作ってきたのですけれども、少子化に伴って、公立は実は学校統廃合等を教育委員会が積極的にすることによってその比率を、子供が減った分だけ同じ比率にするために定員を減らすということは容易にできるのですが、私立の場合はぎりぎりの経営状況からしてこれ以上定員をもう減らせないというような部分もございまして、公私の定員の決め方について、この数年大分変わってきている県が多いと私は聞いておりまして、公立の定員は減らすけれども私立は機械的には減らせないということで少し私立に行っている面もあるとは聞いてございますが、それ以外の分析も含めて、これは私学担当課ともよく分析したいと思ってございます。
 それで39ページでございますが、実はこれは平成21年からこの制度が、大元の制度ができた22年のときに、ごらんいただきますと分かりますが実は授業料が大きく上がっておりまして、その分、施設設備費等というところが減ってございます。これは、私立が保護者から頂く金額は変わらないわけでございますけれども、かつては授業料というのを少し低めに見せたいというようなこともあって授業料を抑えてその他というような形で徴収していた部分が、この制度が授業料を対象にするんだよというような形になったときに、従来施設設備費という形だけども本当は授業料であったというような部分の見直しをこのときにかなりやっておりまして、一時的にやっぱりここで変化があったということが大きくはございます。ただし、この一、二年、三年でも少しずつ、数千円平均でございますけれども上がっている部分はございますので、これについても改めて何か特別な事情があるかどうかについては私学担当部局と調整を、聞いてみたいと思っております。

【柴田委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  どうぞ。

【小林委員】  今の問題提起は非常に大きな問題ですが、これは実はアメリカでも同じことが問題になって、給付奨学金が増えると授業料が上がるというのは、前の教育庁の長官であるベネットという方がおっしゃってベネット仮説と呼ばれて、アメリカの研究ではこのベネット仮説を検証するというのがあって、いろいろな検証結果が出ているのですが、ここで考えなければいけないことのもう一つは、私学助成をどうするかという問題とこれは非常に大きな問題として関わっているわけでありまして、私学助成というのは機関補助と、奨学金のような個人補助をどういうふうに考えるかという問題になりますので、とりあえずはこの問題を考えなければいけないとすると、私学助成がどうなっているかということは、実はこれも都道府県によってかなり手厚いところとそうでないところとありますので、その辺の実態もデータを出していただければと思います。

【小川座長】  そうですね。
 もう予定の時間になってしまいましたので、今日は非常に短時間でしたけれども、新たに検討をしなければならない論点も幾つか委員の方から出されていましたので、その辺もまた整理して、次回はもう少し論点のところは整理して事務局から再提案していただければと思います。
 最後に何かございますか。よろしいですか。
 なければこれで一応今日予定していた議題については全て終わりましたので、今日の第1回目の会議は終わらせていただきたいと思いますが、次回以降の件で事務局から連絡があればお願いします。

【塩田室長】  次回の日程は6月19日月曜日10時から12時、場所は文部科学省5階5F5会議室を予定してございます。
 それで、今後の大まかなスケジュールでございますけれども、先ほど御指摘がございました委託調査を早急に決めまして、それで受託団体、受託者の方には可能であれば10月、11月ぐらいに中間報告的なものを出していただきまして、そういった調査研究を参考にしながら10月、11月以降に取りまとめに向けた議論をしていただいて、先ほど可能であれば年内に何らかの中間報告をまとめ、最終的には年度内が設置規定でございますので、そんなようなスケジュール感で進めていただければと考えてございます。
 以上でございます。

【小川座長】  ありがとうございました。次回は6月19日月曜日10時から12時までということですので、柴田委員もよろしくお願いいたします。

【柴田委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  それでは、今日の第1回目の会議はこれで終わります。ありがとうございました。

── 了 ──

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