いじめ防止対策協議会(平成28年度)(第8回) 議事録

1.日時

平成29年2月7日(火曜日)10時00分~13時00分

2.場所

TKP新橋内幸町ビジネスセンター 「ホール614」

3.議題

  1. 「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)の改定について
  2. 「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(案)」について
  3. その他

4.出席者

委員

愛沢委員、新井委員、石鍋委員、高田委員、實吉委員、水地委員、種村委員、田村委員、村田委員、森田委員、横山委員

文部科学省

瀧本大臣官房審議官、藤原初等中等教育局長、坪田児童生徒課長、松林生徒指導室長、丸山生徒指導調査官、山本専門官

5.議事録

≪議題(一) 「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成二十五年月十一日文部科学大臣決定)の改定について≫
 ※事務局より資料一の説明。

【座長】  それでは、今の二つの御報告、基本方針とポイントの方がある。どなたからでも結構だ。これまで議論を、随分丁寧に盛り込んでいただいて作成していただいていると思うが、改めて、皆さん方から御意見・御質問があれば、お寄せいただきたいと思う。
【委員】  四点、ちょっと質問等も含めてお願いしたいのだけれども。
 まず、三ページ目から、何回か出てくるのだけれども、三ページ目の右上のところで、いじめの防止等のための取組というところで、合わせて六点、具体的に示されている。その最後の家庭訪問の実施というところが、ちょっとほかのところと比べたときに、学校の中でそぐわないのかなと思っている。特に、この実施が、この六つが何回も出てくるのだけれども、評価項目であったりとか、要するに、家庭訪問をすることは、一つの教育の手法であって、ここに定義付けられる内容と、要するに、そこまでに、上の五つとは多少違うのかなという気がするので、もう少しやわらかい形で言っていただければ有り難いかなと思う。これが、意見も含めた一点目だ。
 二つ目に申し上げたいのは、五ページになるのだけれども、学校いじめ対策組織ということで、丸が八個載っているかと思う。これは、多分、この後、教育委員会等に通知するという形で学校現場に下りてくると思うのだけれども、正直言って、非常に分かりづらい。大変恐縮なのだけれども。と申すのは、まず大きなくくりとして、一番上にある、これは、いじめの未然防止のため等の、要するに中核としての役割なのだと。ここで、この性格上を確認した上で、その次に、二つ目から、窓口であると。情報収集と共有を担当すると。初期対応に関する部分、支援体制、あるいは保護者との連携ということで、最初の四つが、多分そこに加わる具体的な取組として示されるものなのかなと。後半の三つは、これは学校運営上に関わる、多分、必要な取組なのかなと。なので、ちょっと書き方というか、八つ羅列するのではなくて、ちょっとめり張りをつけた内容で示していただくと、非常に取り組みやすいというか、分かりやすい形になるのかなと思う。
 あと、三つ目で、七ページにある、真ん中辺なのだけれども、教職員同士の。これは質問だ。教職員同士の同僚性の向上という言葉があるのだけれども、不勉強かもしれないけれども、ほぼ初めて聞くような言葉なので。多分、チーム学校とか、あるいはチームワーク評価とか、そういったことなのかなと思うのだけれども。これは、その内容について、具体的にお教えいただけると有り難いかなと思う。
 最後になるけれども、十四ページと十五ページに関わる部分だ。これは前回も議論になったように、解決と解消というところで、後半にもあるけれども、非常に明確に区別していただいているということ。解決ではないということで、明確になっていると思う。特に、十五ページの方の、最後になるけれども、心的外傷ストレス、PTSD等の後遺症へのケアという形で、要するに、被害者の部分に対する対応が明確に示されているので、非常に、ここについては分かりやすい記述になったかなというふうに思っている。
【事務局】  同僚性の部分だが、学校の先生、担任の先生含めて、チームワークでやるということが前提なのだけれども、なかなか、抱え込んでしまうとか、あるいは日頃の話のやり取りとか、顔を合わせたやり取りの中で、やはりいじめの情報が共有されるという部分があったりとか、あるいは抱え込んだ情報を誰かに頼るとか、誰かに相談するというときも、そういった関係性が前提になって、関係性が築かれていれば、そういった情報共有もしやすいということがあるので、ここは、学校のいじめ対策組織に、一部の人が入るわけではなくて、クラス担任制とか、そういったこと、垣根を越えた教職員同士のそういった素地(そじ)を高揚させるということで、できるだけ多くの方が、多くの方というか、学級担任とか教科担任が参画して、教科担任等がいじめの対策組織に参加してほしいということを書いているところだ。
【座長】  趣旨はそれで結構だというぐあいに思っておるが、タームの問題である。これをどういうぐあいに、何か形容詞を加えれば、若干、文節を加えれば可能かなというぐあいに思うが。この辺は、同僚性を評価、私もそうなのだが、いわゆる組織というのはフォーマルなレベルでの組織、委員会、部会などというものではなくて、その下に、セミフォーマル、インフォーマルなグループと言うか、あるいはミーティングと言うか、あるいはダイアログと言うか、こういう文化が築かれて、初めて組織が有効に、実質的に機能するという、組織論から見た観点からの同僚性という意味合いだというぐあいに思うが。何かいい御提案あるか。ここのところを補う。
【委員】  ちょっとここの表現で気になったのは、教職員の資質というところ。クラス担任制の垣根を越えたというのは、分かる。多分、経験年数だとか、というような意味で、資質と使ってらっしゃると思うのだけれども、ちょっと分かりづらい。
 今、座長の方から話があったけれども、学校の中で、一つは協働性だね。いろいろな人間が集まって、専門性がそれぞれ違う。経験も違う。チーム学校になれば、なおさら異職種も入ってくるわけだ。その専門性が違う人間たちが、それぞれの専門性を生かしながら、一つの問題を解決していくために、話し合ったり、協力し合って働くというのが、一般的には協働性と言われている。それを支える前提として、情緒的な人間関係も含み、相談し合ったり、励まし合ったり、助け合ったりというところで、同僚性、collegialityという言葉が使われることが一般的だと思う。だから、あえて形容詞ということで言えば、風通しがよいとか、日常的なつながりを持ったとか、何かそういう形容詞をつけて同僚性という言葉を使っていただければ、少し分かりやすくなるのかなというふうに思う。
【委員】  非常にいい言葉だと思うのだけれども、とにかく初めて聞いた言葉なので。定着していけるような方向があってもいいかなと思うのだよ。賛成しているというスタンスだ。
【座長】  随分これ、全国的にもいろいろと工夫されていて。教員室なんかでもそうだが、もう、ファイルとパソコンに囲まれた壁の中で、個人化しちゃっていると言うか。こういう雰囲気になりつつある。そういう教員室の空気を、環境工学的に、全部、机の上を取り払って、そして、端から端まで、教員室まで見通せるような、こういう設計をやろうとか。これなんかも、一つの同僚性を、単に、教員室に、職員室に帰ってきたときに、うまくそこでお互いにちょっと相談したり、あるいはちょっとお互いに話をしたり
するだけでなく、こういうスペースと言うか、そういうものを空間的に確保する工夫をやっていたり。これも一つの同僚性のやり方なので。いろいろな仕組みを、それぞれ考案されながらやって行かないと、ともすれば、多忙な先生方なので、どうしても公式の組織だけで。それは、意思決定をする場であるので。なかなか、砕けたと言うか、あるいは、それぞれの、お互いの課題みたいなものを、素直に話し合う、そういう場が少ないわけである。そういう意味で、この同僚性というのは、最近、非常に注目されているし、少し個人化しながら孤立していきつつある教員室を、人間としての心の通った関係の場を取り戻していくと言うか。そういうものにしていこうという、そういう流れの中で、取り図られておるので。是非とも、その辺のところ、分かりやすく、今、委員の御提言もあったし。一つ。委員の趣旨も、よく、私も理解しておるので。
【委員】  私、本当、不勉強で申し訳ない。文科省通知通達で既に出ているね。多忙化と同僚性ということで。なので、多分、正直、広がってはいないのかなという感想はあるので、注釈的なもので付けていただければ、もう十分かと思う。
【委員】  一つは、五ページのところで、今も御指摘があった、学校いじめ対策組織の役割というところ、八項目挙げていただいているところなのだけれども、このうちの四つ目のところの、情報を受けたところなのだけれども、ここは、緊急会議開催云々(うんぬん)という受け止めが書いてあるのだが、前回、通報とか情報収集のときも申し上げたのだけれども、いじめという概念が大変に広いということ。広いということもあって。必ずしも、いじめという情報を受けた段階で、緊急会議をするとか、ここに書いてあるような対応が要するものだけではなく、そうではないときにも、いじめの情報は集めて、そこで全員が情報を共有して、見守りなり、担任がこれを見守るとか、そういった対応をするものも含めて、今、いじめというふうに取り扱われていると思うので。そういう意味では、ここ、こういう対応するのだというふうになってしまうと、そういうものしか、逆に集まらなくなるということがあると思うので。そういった項目を、適切に見守るとかいうようなものも入れていただくか、若しくは、全ての場合に緊急会議と読めないように、適切に開催し云々(うんぬん)というような補充をいただけたらいいのではないかというふうに思った。
 それから、次に、六ページの、これはちょっと今まで余り議論していなかったところなのだけれども。下段のところの、学校いじめ対策組織のところ、それから、もっと何か所も出てくるのだけれども、いわゆる教員が抱え込むという表現のところなのだけれども、NPO法人ジェントルハートプロジェクトの代表者からのメールにもあったかと思うのだけれども、抱え込みというのは、自分で解決しようというものという意識的な、ニュアンスだけれども、ちょっと強いような感じがして。放置するというか、対策が必要ではないというふうに考えて、情報を上げないということもあると思うので、ちょっと抱え込みという単語だけではなくて、抱え込まず、あるいは報告不要のものと判断せず、といったような、放ってしまうみたいなところを、この抱え込みというところに合わせて、ちょっと補充して。一か所ではないと、何度も出てくるところと思うので、そういう配慮が要るかなと思った。
 それと、あと、一四ページの、例の解消のところなのだが、やはりここは、前回のでも、報道された後も、いろいろなところから意見が、私どものところにも入ってくるところなのだけれども。やはり、この三か月目安というところについては、危惧する声も大変多いところであるので、目安というのか。書かずに済めばその方がいいかな、という意見は、あるにはあるのだけれども。やはり、何らかが必要であるとしたら、少なくとも、みたいな感じなのかというのと。
 それと、その「ただし」の後が、重大性から上記が必要とあるのだけれども、これ、結果が重大、被害が重大かどうかだけではなくて、その対応とか、要するに、重大じゃないから、というふうにならないように、せめて「等」が入るかとか。重大性対応とか、何かちょっと、ここが、それだけではないというような膨らみが欲しいかなというふうに思った。
 それと、要望なのだが、解消のところの中のポイントの二つのうちの、一つ目が行為の解消というふうになると、何となく、こちらを解消ととってしまいそうな。これ、用語だけなのだけれども。この下の説明を読むと、止(や)んでいる状態というふうになっているよね。二つ目は、受けていないこととなっているよね。だとすると、ここに解消という単語を使わなくても、いじめに係る行為が止(や)んでいることとかというのをマル1 にした方が、全体の捉え方から、いいのかなと思う。
 それと、これとの関連で、先ほど、ポイントの方でも付言していただいているけれども、そちらのところでも、解消から始まるのではなくて、当然セットではあるけれども、こちらでこれほど注意深く書いているので、解消については、こっちに書いてあるような判断をした上で、みたいなのが、そっちだけ読んでも分かるようにしていただいたらいいかなと思った。
 あと一つだ。十五ページのところの、真ん中というか、学校の設置者として実施すべき措置のところの、出席停止が書いてあるのだけれども、これは、後で御協議いただく重大事態の方のガイドラインのところでも、出席停止に触れられているのだけれども、そこに合わせて出席停止という、その加害者側、加害児童側だけではなくて、被害児童側が転校等フレキシブルな対応をしてもらうということが書かれているのだけれども。そういった対応が必要なのは、重大事態になるときだけではないと思うし、実際の御相談等の場面では、被害児童側のそうさせてほしいというのが、なかなか受け止められていないということも、よく相談事例としてあるので。こちらの、重大事態云々(うんぬん)ではなくても、その措置として、ちょっと書く場所が、ここがいいかどうか、ちょっとそれは御判断いただきたいと思うのだけれども。被害児童側のそういった転校等についても判断されたいというのを、どちらか、この重大事態だけではない方にも書いていただけないかなというのが、気が付いたところだ。
【座長】 幾つかの論点が出てきて、事務方の方で御検討いただいて、後で整理していただいて、というところもあるかと思うが。とりわけ、今、委員、それから委員の共通したところは、その解消というところで。
 少し、これに関して、皆さん方から御議論いただきたいというぐあいに思っておる。この論点をまず片付けていきたいと思う。いかがだろうか。
 まず、期間。それから、解消・解決。それから、状態の回復という点か。私なんかは、救済と回復という二つの単語を使っておるけれども。これを含めて、全体の解消ということを図っていくことについての書きっぷりをどうするか。それから、重大事案だけではないと。フォローアップは。軽微なものについても、繰り返し発生していく可能性があるので、その点は留意して表現を少し書き加えるということが必要だという御指摘である。
【委員】  今のところなのだが、三か月ということを明記してしまうことのリスクはあると思うが、逆に、その期間がないと、漠然とし過ぎてしまうということもあると思う。ソーシャルワークの領域では、三か月たったところできちんとモニタリングすることを重視している。一定期間、支援をするという計画を立てて、その期間が来たところで確認をして、そこでまだ事態が続いているのであれば、更にまた三か月間見守るなどを再確認する。期間を決めたら、その間にやることをはっきりさせて、そのやることをやったかどうかをきちんと確認するという、そこまでのニュアンスが盛り込まれれば、目安の期間を明記する意味がもう少し強まるのではないかと思う。
 実際に、これはどういう意味で言われている三か月かということがちょっと分かりにくいのかなという気がした。
【委員】  まずちょっと、そもそも論なのだが、解消とは何かといったところだ。この点、僕が言っているのは、被害、加害だけでなく、傍観者とかそっちの方まで入れての解消かといったところをどう捉えるのかどうかといったところだ。といったところが、僕は、傍観者までを入れて解消を考えるべきだと思っているが、何かちょっと方向性が違うのかなと、議論を聞きながら思っている部分がある。ポイントの方でも最後のところで、当初はいじめの解決とは云々(うんぬん)としていたところを、いじめを解消した上で、更にその問題を乗り越えた場面として、傍観者の話が出てくるように変更となっているが、こういう捉え方でいいのかどうか、僕はちょっと疑問を持っている立場だ。
 いじめの解消と言った場合には、前から申し上げているけれども、被害・加害だけの問題で捉えるのかといったところ、そこから僕はスタートしなければいけないのではないかなと思う。確かに、統計を取っていくということからすると、それだけ範囲が広がってしまうと、何をもって解消とするかが分からないということで、統計が取りづらいといったことはあるのかもしれない。しかし、その統計とかを外した上で、いじめの解消とは何かといったところを出すのであれば、私としては、やはり、被害・加害だけの問題ではないところをしっかりと押さえなければいけないのではないかと思う。どうしてもそこが引っかかりのあるところだ。これはまたちょっと議論していただければと思うのだが。
 それを踏まえた上で、被害・加害のことだけに限定して申し上げるけれども、今回の十四ページのところで、青で付加していただいたが、その他の事情を勘案し、二つの要件プラスその他の事情というところだ。具体的にどんなことを考えているのかといった点を、まず一つ教えていただければと思う。
 また、この二つ以外に事案を考慮すると言った場合には、何を考慮するのかということでいろいろと議論が出てくる危険性があるのではないかなと思う。
 それから、この三か月のところだ。被害を受けた子供の苦痛がどうなっているのかということと、行為と、両方にかかるのか、かからないのかといったところだ。子供の気持ちというのは、その三か月といったところで終わるわけでもないので、委員がおっしゃるように、毎月のようにモニタリングというか、情報をやりとりして、三か月経(た)った段階でも、まだどうか分からないということで、継続していくことを前提として見ないとまずいのではないか思う。三か月というふうになっていると、行為が止(や)んだら、心の方も解決したと考えているのではないかといった疑問が呈されている。
 この間の、この件が報道されてから、弁護士の中でも、この辺どうなのだという疑問が出されている。この三か月ということが一人歩きしてしまっている。その意味で、三か月の意味をもうちょっと丁寧にしていかないと、基本は三か月で終わりだ、みたいな方向になってしまう危険性があるのかなと思う。
 そういう意味では、一番より、この二番の、被害児童の精神的苦痛のところを。行為のところの三か月というところが、どうもやはり一人歩きしてしまうので。今の委員がおっしゃっていただいた、子供の心のケアといったところを、もっと全面的に出して考えていくといった方にしていただくのが、すごく大事だと思う。
 私は今、いじめ被害者の方の相談を何件も受けているけれども、重大事件をやっているからということもあるが、本当に三か月、半年なんていうレベルではない。もう、年単位でなっているということがあるので。その三か月の、例えば行為のところの三か月と言っても、やはりだんだん見えなくなってくるのだ。解決したと思っていても、それがもう見えなくなってしまっていったところが、現実としてあるので。
 私の意見としては、余り数字を出すのはどうかなというのは、本当に今でも思っているところだ。あえて出すならば、先ほど委員がおっしゃったように、少なくとも、とかといった言葉を入れるか、それとも、もう半年ぐらいでもいいのかなというふうには思う。前回のお話だと、三か月というのは、学期の区切りということで、意味があるのだというので、ああ、なるほどと思ったのだけれども。逆に、学期の区切りで、何か休みが入ってしまうよね。そうすると、休み明けの問題ということもあることからすると三か月というのはちょっと怖いかな。もうちょっと、半年ぐらいにしておいた方が、そういう期間を言う意味では、意味があるのかなというふうに思う。
 期間を長く取るということになってくると、解消ということが、ほとんどなくなってしまうという問題もあるのかもしれない。しかし、やはり被害を受けた側(がわ)のことを見ていくと、少し長めにとってもいいのではないかなというふうに思っている。
 あと、語句のところで、十五ページだけれども、心的外傷後ストレス障害だよね。PTSDの言葉としては。そこの語句の訂正をお願いできればと思う。
 先ほどの質問のところで、その他の事情を勘案して、といったところを、ちょっと御説明いただきたいのと。
 もう一点。十四ページの(四)のところだが、上から二行目で、被害児童生徒を守り通すとともに、といったところで、ほかのところで、徹底して、という言葉が新たに加わったみたいなので、徹底して守り通すというような言葉にしていただいた方がいいのではないかなと思う。これは、九ページのところで、被害生徒を徹底して守り通すというような形で、青字でその部分、付加されておるので、そこを合わせた方がいいのではないかなと思っている。
【事務局】  今の、あった、他の事情ということだが、まず、行為も、マル1 もマル2 も満たされている前提なのだが、ちょっと保護者と学校の協議や調整が終わっていないとか、あるいは、ちょっと社会的な広がりがあって落ち着いていないとか、そういったことがあると思う。それはもう判断で。ただ、マル1 とマル2 はあるけれども、まだ解消とはしないという判断もあるかと思って、書いてある。
【事務局】  補足をすると、この三か月というのは、飽くまでもいじめに係る行為が止(や)んでいることが三か月で。本来であれば、いじめの行為そのものは、もうすぐに止めさせなければいけないと。だけど、あえて三か月を見ると言っていて。ただ、マル2 の方は、三か月ということはかかっていないので。したがって、例えば非常に重大な、普通の人だったらかなり傷つくだろうというようないじめがあったとして、そういう場合、三か月や四か月ではまだ心の傷が癒えないだろうということであれば、当然、解消したということにはならないので。この三か月というのは、飽くまでも、いじめが。本当はいじめって、三か月、もうその場で、認知した時点で止めさせなければいけないのだが、そうは言っても、念のために三か月を見るという、そういう意味なので。何でも三か月間でそれを解消するというわけではないということが一つだ。
 あと、確かに重大事態みたいないじめもあるのだが、一方で、二十二万四千件あって、各学校にはどんどんファイルが積み上がっていく中で、非常に軽微なものがいっぱいあると。重いものも一部あるという中で、非常に軽微なものも含めて、どんどん解消、一区切り置いていないものが積み上がっていく。そこを全て学校で見ていかなければいけないと、そういう業務負担とかも、私、我々で考えたのだが。その一言につきましても、現場の教育に携われている先生方の、委員の先生方に、もし、実態を踏まえたような御意見を頂戴できれば、幸いに思う。
【委員】  今の三か月は、当然そういう趣旨は分かっているのだが、なかなかそういうふうに理解されなくなる危険性があるので、何かそこはうまく、こう、伝えるときには、工夫をしていただく必要性があるのかなと思う。特に、マスコミに発表するときは、そこのところ、三か月って、その数字だけが前回もちょっと出過ぎたような感じなので。みんな、我々法律家も間違った見方をしているようなところが、ちょっとあったので。ここは非常に重要なところだと思うので、よろしくお願いする。
【事務局】  書き方が、確かに。ちょっと工夫が必要なのと。
【委員】  全く同じで、前回、終わった後、次の日の新聞とか、私もびっくりしたのだけれども。三か月の猶予期間でいじめを解消するみたいな、そういう誤解が結構、周囲にもあった。前回、私の方で、学期というふうに言ったけれども、実は、何人か、生徒児童関係の校長に聞いたところ、やはり一番心配なのは夏休みで、この長期休業の間、目が届かないと。多分、小中高合わせて、四十日というのが一つの範囲だと思うのだけれども。その四十をクリアするということで。もし、本当に最低限必要な日数であれば、二か月なのだろうと。ただ、それにプラスしての一か月というのが三か月という根拠なのだろうけれども。ただ、今、委員の方でおっしゃっていただいたように、どうも、そのいじめの解消・解決イコール三か月。いじめがなくなってから三か月たったら、もう放(ほ)ったらかしというような、そういう受け止め方が、多くされているのかなという気がする。
 前も申し上げたけれども、やはり何件か抱えているわけで。当然、その行為自体は、分かった時点で止めさせる。これはもう、小中高限らず、当然の措置かと思う。それが三か月間ない状態であることが、一つの条件だから。もちろん、また違った形で、違う相手に再発というのがあるかもしれないけれども、やはりどこかで期限は区切っていただいた方が有り難い。三か月の間、先ほど弁護士の先生がおっしゃったように、行為がなくなってから、少なくとも三か月間注視するとか、そういったような文言があれば、より分かりやすいのかなと思う。解釈というか、この文言がそのまま文字どおりに受け止められるのが、非常に難しいところかなと。前回より大分、分かりやすくなっていると思うのだけれども。一人歩きするというのは、おっしゃるとおりだと思っている。
【委員】  先ほど来、心身の苦痛を受けていないことという、その状態なのだけれども。見落としていたのが。一五ページの方の付け加えられたところの、必要に応じ、PTSD等の後遺症のケアを行うとあるけれども、これって、心身の苦痛自体ではないのか。つまり、その心身の苦痛がなくなるというのが、今いじめられていないということだけを指しているのか。心身の、このPTSD等というのは、これは心身の苦痛がなくなった後という書きぶりになっていると思うのだけれども。ちょっと、そこの関係がよく分からないのだが。それは、認識としては、PTSDはあるとしても、個別、その具体的なところからの、今、苦痛は、既に解消、なくなっているというふうに、マル2 を満たしたというふうな解釈で、その後の後遺症ケアということなのだろうか。ちょっとそこが、今ひとつよく分からなくなったのだが。
【事務局】  今、おっしゃっていただいたとおりで。ある程度の心身の苦痛がなくなっていて、ただ、それでもやはり残っている後遺症というのがあると。ただ、御指摘のとおり、PTSDだって、しっかりと心身の苦痛で残るものなので、ここはちょっと、前提としてこう書いてしまうと、PTSDの部分が心身の苦痛ではないというふうな表現になってしまうので、そこはちょっと改めたいと。場所を移すというか、いじめの被害者の支援の部分とか、そういったところに移すのがいいかなと思う。
【委員】  PTSDと言うからには、外傷後だから。だからもう、その外傷が取りあえずないのに、そういう反応が出るということなので。だから、いじめがまだそこにあったりとかいうことでは、難しいと思うし。
 それと、あと、心の問題で言えば、先ほどから何度も出ているように、例えば、物を隠されるとか、たたかれるという行為が、三か月もかかることは、まず考えられないと思う。物を隠されることが、そこでなくならなければいけないと思うので。だから、それから三か月というふうにあるけれども、心の問題で考えるときには、まず、その問題が、いろいろあって、不都合があって、様々な心身的な苦痛なり、心の問題が出ているかもしれないけれども、ある程度のその問題が落ち着いても、またぶり返すという、再燃だよね。それとも、ある程度それはよくなったのだけれども、また新たに再発したのか。
 そして、心の問題の場合には、完治ということはなくて、寛解という状態が、僕は大きいのだろうと思う。だから、いじめの問題でも、取りあえず、友達関係は、今のクラスではうまくいっているけれども、新しいクラスに変わったときに、またグループ分けのときに同じことが起こるのではないかと思って、彼が黙ったり、彼が学校へ行けなくなったりということはあると思うけれども、これを、では、どう扱うかと言われたら、その心の問題が、僕は三、四か月で解決するとは思わないし、ばい菌のように扱われて人権を無視されたお子さんの心の痛手なんかは、僕は、それが取り除(のぞ)けることは限界があると思うので。これは、子供だけではない、大人も全部一緒だろうと思う。
 だから、それを治ったとか何とかいうレベルで言われると、非常に難しいのだけれども。取りあえず、そのお子さんが建設的な生活ができる環境は提供してあげなければいけないだろうと思う。それは、少なくとも、三か月は、いじめが発覚したらすぐだし、少なくとも三か月は、そういう行為がもうされないということは、大前提だろうというふうに思うし。その後は、それぞれの先生たちが気を付けながら、となるけれども。
 これは、だから、教員のレベルでできるのか。例えば、情報として、五年生のときにいじめられたと。今度、六年生のときに、また同じことがないように、ということでの、五年生、六年生の担任の引継ぎということは必要だろうと思うけれども。PTSDかどうかみたいなところまでのレベルで、一般の学校の先生方に、その、ちょっと小さいことがあった、いろいろないじめがあった、それを全部細かくいつもチェックしておけと言われたら、もう限界があるのではないのかなというふうには、思ったけれどもね。現実的なのか。
【座長】  今、いろいろな御提言があって。委員の御発言ももっともなところがある。
 ただ、いじめというのは、この場合、誤解を与えないことは、ある一つの手口。先ほど、委員が取り上げられて。持ち物隠しという行為が、止(や)んだのか、止(や)まないのかというだけの判断なのか。同じ人間関係の中で、いじめは、常にそうなのだ。同じ手口ばかりを、三か月も六か月も続けるということはないわけで。いろいろな手口が、どんどんと、手を変え品を変え加害に至っていくと。しかも、それは軽いいじめも含めて。先ほど、室長の方からは、ささいなケースが、軽いいじめが、どんどん机の上にたまっていくというぐあいにおっしゃったけれども、実際には、学校で認知できる、把握できるものは、非常に軽い、軽微な、あるいは遊びかどうか分からない。そういう紛らわしい形で出てくるいじめの手口というのは、随分あるわけだ。だから、積み上がっていく中で、継続していく可能性のあるものも随分あるわけなので。それが軽いからとか、ある一定の行為、一つの行為が止(や)んだから、それは解消だと判断しては、私は非常に危ないと思うのだ。そこのところは、しっかり確認していただいて、誤解のないように、この表現はとっていただきたい。
 そのときに、あと、今おっしゃっている期間の問題というのが関わってくる。今、委員がおっしゃったように、モニタリングということを、もう少ししっかりと徹底して、その三か月というのは、少なくとも三か月というのを目安にしながら、そこで、それまでずっとモニタリングをして、そしてまた、そのモニタリングの必要があれば、モニタリングという言葉をどう使うかということは、またいろいろとお知恵を、委員の方からお伺いすればいいと思うが。そういう作業が必要だと。
 そもそも前提は、この前から申し上げているけれども。問題行動等調査の中の、解消と、一定の解消が図られたけれども継続して見守るという、この二つが同居してしまっている。先ほどから御意見が出たように、解消というのは、ある意味では、教師の認知力、あるいは組織の認知の把握力、これの限界というものを、やはり、ある程度踏まえておかなければいけない。
 しかし、そこにリスクがある。いじめの場合のリスクというのは、予測可能なリスク、あるいは推定可能なリスクというものと、不確実性の中のリスクというのがある。その不確実性の中のリスクの最大の問題は、人間が取り扱うことによって起こる過失なのだ。統計のデータでもみんな同じなのだが。統計で、推計はできるのだ。誤差の危険率は。
 ところが、そこにバイアスというのがあって、計算不可能なものをひとくくりにした残余変数として考慮しておかなければならない要素なのだ。そこに、人間のパンチミスだとか、入力ミスだとか、見逃しだとか、いろいろなミスが入って、大体六%から七%ぐらいは含まれてしまう。
 だけど、統計結果の扱いとしては、一般にはそれを無視されるのだが、いじめの場合は、過失過誤と言われるものが、悲惨な事件、あるいは痛ましい、追い詰めた事件に至ることが非常に大きいわけであるので、通常の統計計算よりは、私は、その過失の部分を、いかに予測可能にしていくか。それは、マニュアルに書いてあるのだけれども、その書いたとおりに行われないということも、これは一つの不確実性のリスクである。そういうところを非常に気を付けていかないといけない。
 そういう意味で解消というのは、神のみぞ知るというところにしか、私は結論はないのだろうなと。本当は。それをなおかつ入れるとすれば、やはりどこかに一定の解消が図られたにすぎず、という文言を入れていただいて、注意を促すということが、必要だろうと思うのだ。その上で、モニタリングなり、あるいはその状態の中で三か月というのを、一つのモニタリングの目安にしながら、その後継続していくという。こういう考え方をとらざるを得ないところかなというぐあいに、私は、今、皆さん方の御意見をうかがって思っておる。
【委員】  この三か月のことがマスコミに出て。その後、何人かの校長から、三か月という言葉が一人歩きして、全然、ここで話された内容の本筋ではないことでの三か月が、いろいろ情報で乱れ飛んで。やはり、この三か月というのは慎重に扱わなければいけないなというのを感じた。
 今、お話をちょっとお伺いしていて、とても、その三か月、注視という言葉は、注視っていい言葉だなと思ったのだが。三か月注視する。現場で、注視というのはいいのだが、解消を三か月としたときに、具体的に考えていくと、イメージだね。いじめが、ここに書いてある、被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為が止(や)んだときと。それから三か月と。ということは、止(や)んだ後から三か月は、まだいじめの状態があると。
 実は、この認知件数について、しっかりやっていくと、例えば、私の今、区は、一か月ごとにいじめの件数をしっかり上げて、区教委に上げていく。三か月はしっかり、そこの、こういうことがあったということを、いじめ件数を上げていかなければいけないね。それはいいのだが、その次なのだが、一か月に一回、定例のいじめ防止対策会議を開くときに、その全部の軽微の件数もしっかり、今までのいじめの認知とちょっと違うよと。こういう認知でやるよということで、件数が、軽微なのも全部含まれてくるので。それをいじめの会議で全部、例えば今までは五、六件ぐらいで済んだのが、軽微なのも全部上げていたら、これが十、二十になったときに、それを全部上げていったら、一番、軽微じゃない、重大事案も全部やっていくというのは、もう、大丈夫なのかなと。最初は、やっていっても、そのうち、いや、これはまあ、形だけでいいよとか、何かそういうふうに発展しないのかなと、ちょっと。その重大事態と、軽微なのを、学校はしっかり区分けしてくるけれども、これをいじめという件数で捉えたときには、しっかりそれは、ないよという感じで扱ってしまうことが心配だなと。
 だから、注視というのは、とても私、大事だと思っているのだ。これは。この、今、話されている内容はとても大事。でも、現場でそれをやっていったときに、一つ一つが、件数が増えれば増えるほど、ちゃんと扱わなければいけないというのがあるので、どう、靴隠されたけれども、今、起きている? うん、あの、いろいろあったけれども、今、こういう状況で、友達の前、ああ、そう、何て、こっちはどうって、それだけで、もう情報交換二、三十分進んで、じゃあ、重大事態、今どうなって、それは今、親御さんとこういう問題になって、それで、一つでもう三十分、一時間かかるので。それは、できるかどうかとなったときが、大変心配なので。
 ただ、ここで話し合われている、三か月注視するというのは、とても理解できるのだ。いいなあと思う。現場で扱ったときに、ここが、この解消と注視というのが、随分違う。だから、この止(や)んだときを、一応、いじめは今、解消されて、その後、でも三か月は、やはり注視する必要があるね、と言うのだったら、現場は、ああ、なるほどな、と思うのだけれども。三か月、ずっとそれを、解消していないから、件数に数えると、結構重いなと。現場では、だね。いずれは軽く扱われてしまうのではないかなと。ちょっと、それがちょっと心配だ。
【委員】  中学校の現場で、解消について考える際に、いろいろと、いじめについては現象面を見るけれども、大きな変化がいっぱいあるのだ。例えば、いじめが表面化していて、例えば先ほどのような靴隠しがあったのが、行為として違ったものに移っていく。それは、必ずと言っていいほど、ある。
 ただ、もう一つは、最近は、見えていた現象が見えなくなってくるというのがあるのだ。これは、やはりSNSの発達・進化にもよるのかもしれないし、また、子供たちが大人の目を見ながらやるから、見えないところでやっていこうと。これは昔からあったけれども。そういった変化も出てくる。
 ああ、もう一つは、これも言わなければいけないね。飛び火するというのがあるのだ。Aくんに対するいじめだったのが、AくんからBくん、Cくんへと変わっていくということもあるので、一つの解消を見るのに、一つの視点からでは難しいというのが本音だ。
 だから、それを見たときに、この三か月というのをどのように捉えるか、本当に三か月が一人歩きしてしまうと、見えなくなったものは見えなくなってしまうし、飛び火したものは、もう全く見えなくなってしまうので。この辺の定義付けは、非常に神経を使っていかなければいけないなと思っている。
 私としては、先ほどのモニタリングの期間を三か月とか、そういった、説明は必要なのだろうなというふうに思う。だから、そのあたりについては、検討をいただければなと思っている。
 あと、もう一つは、軽微なものというのが非常にくせ者で。軽微ないじめに見えるのだが、実は裏に非常に根の深いいじめがある場合がある。だから、軽微なものと重大なものという言葉が出てくると、どうしても現場も分けたがるのだが。分けるのも危険だよというニュアンスがこういうところに入らないかなと思う。ただ、代案を持っていないので、言いたいことを言っているだけだけれども。やはり、中学校あたりになると、その辺の部分が見えづらいというところ。そのあたりを、ちょっと工夫をしていただけたらうれしいなと思って、議論を聞いておった。
 あと、最後に一点だ。先ほど、室長の方から、軽微なものを積み重ねていくと業務負担が、ということがあるが、確かにそうなのだけれども、業務負担を考えて、その部分を割愛していくことによって、重大事態になるまでに発見が遅れてしまったときの方のが、よほど業務負担は大きい。だから、業務の部分に関しては、工夫をしていくというところで、やはり解消していく。例えば、調査の仕方も、すごく細かいことまで調査をするのか、もうちょっと軽微に、丸を付けるだけでできるような調査方法もあると思うので。方法のところの工夫というところで、やはり軽微なものを見逃さないという視点は大事かなと思った。
【座長】  一つは、今おっしゃった、軽微な、という表現だけれども。これは、この中に使うか使わないかは別にして、問題行動等調査なんかの場合にも、よく出てくる。ただ、国立教育政策研究所が使ってらっしゃる、暴力を伴わないいじめという表現がある。二つのカテゴリーに分けて追跡調査をしてらっしゃる。暴力を伴ういじめと、暴力を伴わないいじめ。このカテゴリーの中に、軽微なものが含まれてくるので。軽微な、と言わずに、暴力を伴わないいじめという表現も可能かなというぐあいに思っている。もちろん、それは、重い軽いは、受ける被害者当人の受け止め方だし、暴力を伴わないものも、無視、仲間外しと言われるような、非常に深刻なものもあるので、それは軽い、重いという感じ方や主観の問題ではなくて、客観化できる行為のカテゴリーとして、そういう中に、からかい、冗談、それから遊びに紛れてというようなものが入ってくるというところだろうというように思っている。
 もちろん、暴力を伴っても、軽い暴力というのはいろいろあるわけなので、これもまた厄介だ。だから軽微という表現は余り使わない方が、私もいいのかなと思っておる。
 それから、もう一つは、先ほど委員が御指摘の飛び火の問題だとか、私も申し上げた一つのいじめ行為が、同じ関係の中で別の手口に変わる場合の問題だ。これは、問題行動等調査では、件数の扱いになるか。定義では、一定の人間関係においてという。この、関係と、属人的な一つの現象を件数として扱っているという。このあたりの矛盾が含まれているので、そこのところの扱いを少し御注意いただきたい。
 それと、先ほどの、解消と、一定の解消。これは、前にも申し上げたが、教育振興基本計画の中の成果指標に入っているので。次の振興計画に練り直していただかざるを得ないような、そこまではお待ちいただかなければいけない。だから、本来は、一定の解消でしかないという、その認識は、しっかりと今の段階からも、この中へ入れておいていただきながら、そして、先ほどのモニタリングというのを少し工夫していただくと。
 おおむねの目安は、何も置かなければ、これはまた問題であって。現実には、もう、即解消してしまって、後はフォローしないというところもあるので。三か月もやらなきゃいけないの、という意見も、現場の中にはあるので。やはり、一定の期間は、ある程度モニタリングして、注視していくのかな。これは、やはり必要な行為だろうと思うので。一定の、やはり目安として。今、おおむね三か月というところは、御議論はない。今のような附帯条件を付ければ、よかろうかなというぐあいに思っている。
 私自身も、御意見があったように、ちょっと三か月は短いかなというぐあいに思っておるけれども。現場のいろいろな扱いの中では、穏当な数字かなと。あるいは、ケースの移行の仕方と言うか、変化の仕方から見ても、一定の、相当、少なくとも三か月というのを目安にしていく。そしてモニタリングするというところで、いかがなものだろうか。これは、きょう決めておいていただかないと。後で支障が出るところになるので。
【委員】  座長のおっしゃるとおりで。私はいいと思うのだが。ちょっと現状だけお伝えさせていただく。
 今、ここには学校関係、小・中・高が入っているが、小と中と高の違い、特に小学校と中・高の違いを、ちょっと御説明申し上げると。例えば、ふれあい月間というのが、都ではあって。子供たちに、そういう嫌なことを言われたとか、やられたとか、そういうことはないか、というのを、調査を何回かかける。そうすると、低学年であればあるほど、例えば、何と言うのだろうか。例えば、その子がお風呂に入っていなくて、明らかに近くへ行っても臭いというところで、小学校一年生なんかは、何々ちゃん、臭いよって、もう、そのまま出てしまうのだ。いじめではないのだけれども。でも、いじめのアンケートを採ると、私はそれを言われてとても悲しいのだと。本人は、自分は臭いと思っていない。でも、それを見ると、例えば、その親御様に話をしても、いや、うちはちゃんとシャワーに入れてるとか何とか、これはいじめだと、そういう、何と言うのだろうか。低学年であればあるほど、これは、大体、私が見て、これはちょっといじめのあれじゃないよねと。ただ、受ける方は悲しい気持ちになるから、いじめの定義に入っていくのだ。
 でも、ここが小学校の高学年から中学・高校に行くと、大体それは分別がついてくるので、そういう言葉って余り出てこないのだが。低学年であればあるほど、そういうささいな言葉がたくさん出てくる。アンケートを採ると、もう二十も三十も上がってくるのだ。傷ついたとか。聞いていて、ああ、確かにこれは傷つくなとかいうのもあろうし、ああ、これはちょっと違う要素があるなというのはたくさんあるのだ。それを、でも、定義に照らすと、これ、教員とよく話すのだが、全部いじめのあれに入っていくのだ。
 これは、小の低学年である場合は、そういうことがあるということは、御理解いただかないと、重い案件とか扱われていると、その辺がちょっと、小学校の状況は分からないと思うので。小学校でそれを扱うときには、かなりこういうことについて、かなり大変になると。一件、一件、ああ、それは、子供の言うことがちょっと、小学校一年生のことは、ちょっと捨ておこうというわけではないので。あの定義に照らし合わせていくと、多大な数になっていくということだけは、ちょっと御理解いただけると有り難い。これは、中・高と小学校の違いだ。特に、小学校の五、六年、高学年になれば、そういうことはないのだが。小学校低学年は、数が多い。という現状だけ、知っておいてくれ。
【委員】  それは、もし、そういうことも何か、どこかに入れていただければ、小学校としては大変有り難いなと思うのだが。なかなか、小中高、全部まとめて出すときに、そういう適切に合うような言葉を考えろって言っても、なかなか難しいかなというようには思うのだが、小学校はそういう現状がある。以上だ。
【委員】  スクールカウンセラーに小学校へ行っていて、確かにそういうことがあるけれども、子供たちがそういうのを言ったとか、また言われたとか言ってきたり、また、そういうことを見たときは、そういうことを言うもんじゃないよと、その都度、その都度、その場で、いじめだからやるのではなしに、その場で防げるような行為は修正していくというのが、僕は教育の現場だろうと思う。だから、そういうことを全部、いじめだから扱うということではなくて、僕は、先生がその都度、その都度、僕は現場の先生がやっておられるというふうに思うけれど。
【委員】  それは、解消に対してはやるのだが。今、問題は、そのことを、定義に照らしていくと、いじめに入れなければいけないということなのだ。そこだけちょっと御理解いただければ。
【委員】  はい。で、実際に高学年になったときに、ネグレクトの家庭のお子さんなんかが風呂に入っていなくて、臭いのだ。実際にそこへ行ったら、やはり臭い。だけど、やはり、周りの、そういうふうに、子供が臭いと言えば、まあ、いろいろな事情があるから、そういうのを言わないようにと、いろいろ指導はすると思うけれども。この問題が、さっき言ったけれども、三か月で解決するかって言って、それはもう、いろいろな方々が関わって、虐待の問題を、ネグレクトを三か月で解決するのは物すごく難しいけれども。ある学校なんかは、もう昼休み時間に、全部、保健室でシャワーに入れていた。それは、風呂入っていないから。
 そうやって、何らかの形で、まあ、三か月あれば、何となく、現状に対して対応できるのではないかなと思うのだけれどもね。
 それと、あと、いじめと言ったときには、司法の場で表されるときには、具体的な行為が、これがいじめに当たるかどうかということを、争われるのではないかね。一つ一つの部分を。
【座長】  それと、小学校の、今おっしゃる、委員の場合は、小学校の場合には、低学年で件数が物すごく上がる。これは、発達上、やむを得ない事態なので。それを教育の中でどう指導していくか、その場面、場面で。先生のおっしゃるようにね。それが一番大事なことであって。その言葉そのものよりも、その背景から伝わるメタメッセージ。例えば、差別なんかも、明らかにそうなのだけれども。あるいは蔑視だとか。あるいは人権を、あるいは人間の尊厳性を損なうだとか、そういうメタメッセージに対して、やはり我々は指導していく。その場合には、指導は現場で、指導される場合は、この中にも書いてあるように、いじめという言葉を使わなくとも、その趣旨をしっかりと理解させて、そして子供の成長・発達をそこで促していくという、こういう教育の作用というものを、そこで呼び起こしていく。ひとつ思うのだけれども。しかし、低学年というのは非常に出やすい。差別用語は露骨に出てくる。私なんか関西に住んでいるから。非常に、シビアなものが出てくる。そういうものをやはり、きっかけにして、子供たちを、全体を成長させ、人権の意識とか、人間の尊厳性というものを学ばせる機会というぐあいに考えていただくというところが、今の問題点の背景に置いておかなければいけない。
【委員】  それと、もう一つだけ。三か月というのが、その三か月の間にそういうことが分かって、そういう行為がなくなったというところの段階で、学校と、お子さんなり保護者が、信頼関係ができて、その後また、何らかの形で、違う形でその行為があったときも、今度は先生、こういうことがあると言ってもらえるという信頼関係を三か月で作れば、再発でも再燃でもいいのだけれども、防げるのではないかなと思うのだ。それは、六か月にする、一年にするということではなしに、三か月の間に、その先生との信頼関係ができればいいのではないかなと思ったけれども。
【委員】  二ページの上の青字の三行が、下の五行目ぐらいまでの三行に、場所が変わってというお話なのだが、内容もちょっと変わっているような気がして。加害者への成長支援の観点を、基本方針に位置付けることにより、いじめの加害者が抱える問題を解決するための対応方針を定めることになる、というのが、下に移った三行では、成長支援の観点から、加害児童が抱える問題を解決するために、対応方針を定めることも望ましい、になっているのだが。やはり、ここは、必要だということを、やはり明確にしていただいた方がいいのではないかなというふうに、私は思う。先ほど来、いじめの解消というお話が出ているけれども、やはり、いじめている加害と言われる子供たちが抱えている問題に、きちんと向き合って、その子供さんをちゃんと指導・支援することで、それがやはり解消につながる大前提の両輪の一つだと思うので。守り抜くというお考えの、その同じくらい、いじめをしてしまった子供についても、ちゃんと指導をする、また、反省してもらうということは、それは大事だけれども、やはり、先ほどのネグレクトのお話もあるけれども、いじめている子の側(がわ)にも、いじめられている子の側(がわ)にも、御家族であったり、様々な背景があるので、そこをちゃんとアセスメントをして、加害児童についても、どういう関わりをするのかということを、いじめの解消と同じように、ちゃんと、どういう関わりをするのかということの方針を決めて、一定の期間でアセスメントを、そちらもするという、モニタリングをするということが大事じゃないかなと。ここを書き込んでいただきたいなというふうに、ちょっと思って、時間を頂いて話させていただいた。
【座長】  大切な論点で、前回も私の方からも提案させていただいたが、余りにも被害者主義に陥らない。やはり、加害者に対しても、適切な、成長発達のための支援・指導というものを、やはり行っていくということが、非常に大事だし。その支援の中に、今おっしゃった、その背景に抱えている問題というものがあるので。そのあたりは、ある意味では、またこれもモニタリングや解消ということにかかわってくるが、その辺のところは、また後半で、どうせ重大事案のところにも関わってくるので、御議論いただければと思う。
【委員】  今のところ、僕も、非常に重要なところが、何で移ったのかと、すごく疑問に思っているので。僕はもう、前に戻した方がいいと思っている。
 それとあと一点。被害、加害が出て。僕、傍観者のことばかり言っているのではないのだけれども、傍観者の視点というのも、どこかで。いろいろなところに出てくるので。この基本方針のどこかで、傍観者に対する指導とか、見守りとか、関わりとかというのを、是非、入れてほしいと思っている。これは、学校いじめ対策組織の五ページのところの中にも、当然出て、入ってこなければいけないことなのかなというふうに思っているので。そこは、ひとつまた御検討いただければなと思う。
【座長】  傍観者という言葉を使うかどうかは別として、人間関係……
【委員】  人間関係というか、周囲にいる子供たちといった……
【座長】  そう。そういう感じのね。はい。
【委員】  子供たちの自主性を尊重しろ、みたいなことも、今回、改めていろいろ出ているので、周囲にいる子供たちのことも、非常に重要なことだと思う。あと、いじめの解消というのは、僕の意見に従わなくてもいいのだが、被害・加害を超えて関わっていくのが大事だというふうに、ポイントの方で書かれているので。それはしっかりと基本方針の中に入れていただくべきことではないかなと思う。
【委員】  今の、傍観者については、非常に僕も賛成だ。中学校あたりは、周りの空気感というのが非常に影響するので。是非お願いできればと思う。
 もう一点、別のものなのだが。すぐ終わるけれども。三ページの一番上の段落のところが、学校評価において、目標の達成状況を評価する、で終わっているのだ。だが、三ページの一番下は、学校設置者の方は、改善に取り組むまでうたわれているのだ。やはりこれ、改善に取り組むまで入れておいていただかないと、先に進むスピードは間違いなく落ちるので。ここは非常に大事だと思うので、入れていただきたいと思う。
【委員】  後ろのポイントの方の一ページの下から二ページにかけて、未然防止のところなので、人権教育との兼ね合いも含めて、いじめが生まれる背景とか指導をきちんと、という話の中で、例示として、発達障害、性同一性障害、東日本大震災が上がっているのだが。これは、今の世情を反映して、特にこういういろいろな特殊な事情をお持ちの方々のことを、よく教員がまず理解する。そこが前提なんだと思うが、現代は、貧困の御家庭だとか、それこそ毎日同じ服を着てきてしまうとかだね。いろいろな形で貧しさが見えてしまうことによって、いじめの対象になる方や、地域性もあったり、公立と私立で違うとは思うのだが、国籍の違う方々も増えていて、例えば肌の色が違うとかだね。そういったことなども、中にはあるのではないかと思う。二ページ目の最初の四角い枠の丸三つ以外に、上記以外にも、と書かれてはいるが、例示としてはもう少し増やしてもいいのかなと思う。
 あと、例えば発達障害などに関しては、なかなか教員の、先生方も、それが発達障害かどうか分からないことも多いと思うのだ。ここに書かれているのは、全体に、被害児童というか、いじめられてしまうお子さんのことだと思うのだが、発達障害のゆえに、人の気持ちを余り理解できなくて、いじめる側(がわ)に回ってしまうというか。それを厳しく指導しても、なかなか理解できないとかといったこともあるように思うので。ここは、被害児童のことだけではない読み方もできるといいのかなと思う。あと、教員だけで、あるいは保護者等との連携というふうにはなっているが、ほかに、やはり専門家の意見を聞きながら、とかだね。そういったことも加えておいた方がいいのではないかなというふうに思ったので、一応、申し上げておく。
【座長】  はい。例示はちょっと待ってくれ。挙げていけば、きりはないので。もう少し、ここのところは抽象的に、一般化した形で、特に現代社会における諸課題を背負いつつとか何とかというところへ含めてしまうことも考えられる。例示すると、それ以外のものが、また狭くなるので。しかし、委員の御提言も尤(もっと)もなところがある。いろいろな問題が、これから登場してくる。それらを背負いつつ、子供たちが支援を必要としているという視点は、いじめにしても問題行動にしても、他の問題行動にしても、いろいろな問題に、やはり大きく重なってくる問題なので。そこがしっかりと伝わるように書いておいていただいた方がいいかというぐあいに思う。
                                  ( 休憩 )
議題(二)「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(案)」について
 ※事務局より資料二の説明。

【委員】  最初は、九ページのところの下の方に、自殺事案における記者会見のところがあるのだけれども、この記者会見の場合に、事前に説明等を行う必要があるのは、自殺事案に限ったことではないと思うので。学内に被害児童生徒がいる場合でも、記者会見が先行するということは、原則として避けるべきことだと思うので。これは、お書きになる場所として、特にそのときは重要ではあるけれども、むしろ、この自殺事案という括弧の上のところあたりで、その情報の提供のところに、白丸にして、記者会見云々(うんぬん)のときは、というふうに挙げていただいた方がいいのではないかというふうに思った。
 それと、十ページ、十一ページあたりのところの、調査の実施のところなのだけれども。これ、留意事項だけなので、調査事項全体を挙げているわけではないとは思うのだが、アンケートが挙がって、それから、記録を取っておいてほしいということがあり、さらに、加害児童等についての意見聴取というのが改めて書き加えられているのだけれども、当然されるであろう、被害児童だとか、その他の児童等についての調査というのが、当然のことなのでないのかもしれないのだが、前から読み進めていくと、調査方法を説明するところには、聞き取りの方法等のことも説明しようと書いてあるのに、調査のところにないので、重複かもしれないけれども、一般的な聞き取りについても、あった方が、分かりやすいかなというふうに思った。
 それと、次は十四ページのところで。上から三つ目の丸に、出席停止と、先ほど基本方針の方では申し上げた、その被害児童の就学校の指定の変更等のところなのだが、これが、この重大事態についての調査結果を踏まえた対応のところにあるのだけれども。時期的に考えても、これは相当後ろのところなので。懲戒処分の検討等は、もちろんそこまで踏まえてからかと思うが、この、上から三つ目の丸は、ここではなくて、もっとずっと前の。それが、どこに書くのが適切かは分からないのだけれども。そういったことについての検討は、ここではなく、もっと前の時点で必要ではないかというふうに思った。
 あと一点、大変に細かくて恐縮なのだが。七ページの上から二行目の、加入部分の頭に、仮に、とあるね。それから、十ページの上から二つ目の丸も、仮に、なのだね。これ、両方とも、確かにレアケースだということで、ここに「仮に」が付いているのかもしれないのだけれども。学校側の方の不適切な対応等が分かっている場合についての例示なので、何か、ここだけ「仮に」を付けると、そういうことはないと思うけれども、みたいな深読みというか、そういう感じがないわけではないので。この二か所の「仮に」は不要ではないかと思う。
【委員】  まず四ページのところだが、ただし書以下のところを削っていただいたところ、これ、非常に賢明な判断だと思う。ここのところ、実務上疑義が生じているところだったので。この削除は、非常によかったと思っておる。
 それから、七ページのところだが、これ、ちょっと御質問なのだけれども。スポーツ振興センターの災害給付申請のときに、丁寧に説明を行った上で手続を進めるということをお書きいただいているのだが、例えば、これ、具体的に、どんな問題があったのか、今までの事例として、こんなところに問題があったので、こういうことを注意すべきだというようなところを、ちょっと参考までに教えていただければと思っておる。
 それから、八ページの丸四の調査事項のところだが、ここのところは、調査を進める事項を詳しく聞き取るとか言っているけれども、事項だけではなくても、調査対象についても、どこまで調べたらいいのかといったことについて、被害者側から意見を聴取するということが、私は、大事ではないのかなというふうに思っている。
 重大事態の調査において、調査事項に漏れがあった場合とか、あるいは調査の不足があった場合に、再調査の実施といったことにつながると思うので、調査事項の漏れだけに限るというようなところに疑問を感じている。
 それから、九ページのところだ。アンケートの原本の取扱いというのは非常に難しいところだと思うのだけれども、場合によっては、当初から、原本開示する、ということで、アンケートを採るケースもあると思う。実際、私も、そういう形でアンケートを採って、原本を全部開示してもらっているケースもある。ここに書かれていることだと、原本は開示しないことを前提になっているようなところもあると思うので、そこは、やり方によって、原本を見せるということを前提でのアンケート調査ということもあり得ると思う。その部分も含めていただければなというふうに思っておる。
 それから、その下の、文書の保存期間の問題だ。これは、勉強不足で申し訳ないのだけれども、文書管理規則で、大体、どのくらいの保管期間というのが一般的なのかというのが、ちょっとよく分からないところがある。とはいえ、その保存期間が来たら廃棄するのだよといったことを、もう一律に説明していくというのは、果たしてどうなのか。ケースによっては、その期間を超えても保存しなければいけないようなものもあるのではないかと思うので。説明をしたら、もうそれで廃棄できるのだというふうに読めてしまうところが、ちょっと私は引っかかりがある。
 同じことが、十一ページのところ。記録の保存のところで、いじめに関する問題については、特別な規定みたいなものを設けて、保存期間のところを少し検討してもよいのではないかなというふうに思っている。
 それから、十三ページのところだ。第八の個人情報の保護のところで、加害児童生徒の氏名について、ここ、削除になっているのだけれども、果たしてこれ、削除でいいのかどうか。この間も、ここのところは、被害側の児童にとっては、加害生徒の情報をもらいたい。いじめに関わって、自分がいじめられた、それが誰だったのだ、というようなところが明らかになれば、それ自体、その人にとっての必要な情報ではないかなというふうに思うので。ここのところはちょっと、なかなか難しいところもあるということは十分承知の上だけれども。一度、ちょっと御議論をしていただければなと思う。
 それから、最後だ。十四ページの第十、再調査のところだ。これは、この間、私が申し上げたところを組み入れていただいたと思う。どうもありがとう。なおかつ、ちょっと、少し付加していただければなと思っているのだが。マル1 のところで、調査などにより、調査時に知り得なかった新しい重要な事実が判明した場合、ではなくて、判明したものの調査をしなかったという場合。それから、マル2 のところでは、その新たに判明した事実について、調査をしたけれども、それが不十分だった場合が、再調査の対象になるのではないかなというふうに考えておるので、その点、付加していただくことを御検討いただければと思う。
 あと、語句のところだけれども、「聞き取り」のときの聞き取りは、耳、門構えの耳ではなくて、傾聴する方の「聴」にしていただいたらよろしいかと思う。
 質問としては、スポーツセンターの申請のところを、少し教えていただければと思う。
【事務局】  スポーツ振興センターの申請の部分は、去年、ちょっと起こった自殺の事案の中で、御遺族の方が、まだちょっと、状況を、全容を把握していない段階で、学校側が申請手続を取るということで、ちょっと、事故というふうなところに欄にチェックを付けたりして申請をしてしまったということだ。その学校の意図としては、もうちょっと、早く支給していかないといけないということもあったみたいなのだけれども。コミュニケーションが十分でないまま、それが進められてしまって、最後はちょっと、そういうことを客観的に見れば、何か事を急いで進めようとしているとか、事故としようとしているとか、そういうふうに見えたということなので、そこはしっかり説明をしてほしいということを書いておる。
【事務局】  金額が、事故と記載して、半額に。金額が大きく違うので。そこがちょっと問題になった。
【委員】  例えば、いじめ、不登校になったような場合に、精神的にいろいろ深刻になったと。それについても、給付請求したときに、学校側が受け付けるとか、受け付けないとか、そんな議論もいろいろ出てくるところがあるのかなと思うのだが。そんなようなケースというのは、余りないだろうか。
【事務局】  今のところ、そこのいじめで、被害が起きたということで、具体的に聞いているものでは、ない。多分、あるとは思うのだけれども。
【委員】  そこのところで、学校が、まだこれはいじめかどうか分からないから申請しない、とかといった形で拒否してしまうようなところでも、何かトラブルが生じる危険性はあるのかなと思うのだが。特に、今まではそんなケースは、特にないだろうか。
【事務局】  具体のケース、この課の方で、ちょっと扱っているわけではないが。いずれにしても、申請を勝手にするとか、何か事を急いで、全容が明らかになっていない段階でやってしまうということは、いけないということは聞いておるので。そこは、しっかりコミュニケーションをとって、丁寧に説明しながらやっていくということだと思う。
【委員】  例えば、親の方が申請したいのに、学校が申請させないとかということも、ちょっと問題があるのかなと。最終的に、それが通るか通らないかはセンターの方の判断になると思うので。そこのトラブルも、今後また出てきそうかなと思うので。そこをちょっと注意喚起する必要があるのかなと、個人的には思っている。
【委員】  十四ページだが、調査を踏まえた対応というところの、十四ページの一番上だけれども。必要に応じて、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカー等の外部専門家を活用するという、この「外部」は何かという意味が、あるだろうか。スクールカウンセラーは、学校に派遣されているスクールカウンセラーもいると思うのだけれども。これは、中立性と保つとかいうことで、外部とか、いろいろなことがあるのだろうか。
【事務局】  済まない。そこまで意識して書いているわけではない。「等」の中には、専門の医者とか医療機関というのがあるかなと思ったので、「等」を入れていて、ひっくるめて、ちょっとその外部という表現を使っておるけれども。必ず、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーが外部ということで使っているわけではないので。
【委員】  では、そこに派遣されているスクールカウンセラーがいれば、その人が家庭訪問等とか、そういう不登校になっているお子さんに、関わることも考えられるということだよね。
【事務局】  そのとおりだ。
【委員】  この、外部は、でもちょっと、スクールカウンセラーの場合、誤解されるかなと思ったりもしているのだけれども。
【事務局】  修正する。済まない。
【委員】  質問なのだが。六ページから始まる、保護者等への説明の中身のことで、被害側の児童の方、あるいは保護者の方が有する権利というか、そういうことが、説明、どこかでされるのか、よく分からなくて。多分、初めて起こることで、保護者の方々とか、児童その本人にしても、これからどんなふうになっていくかというのを、よく分からないと思うのだ。いろいろ提案されたことに、うんと言わなければいけないのか、それとも、こういう場合にはそれは拒否してもいいとか。途中までこうしたけれども、やはり、何か、契約があるか分からないけれども、その契約をやはり解除する権利があるとか。そういったことは、どこかで説明されているのか、あるいは、そもそもそういうもの自体がないので書かれていないのかということを、お伺いできればと思う。
【事務局】  法律から来る整理だけれども。まずは、法律の二八条二項で、しっかり、重大事態の対応をするときには、調査を行ったときには、しっかりと、その学校・学校の設置者は、児童生徒、被害者の児童生徒・保護者に対して、重大事態の事実関係その他の必要な情報を適切に提供するということが、条文で明文化されておるので、説明を受けるという権利というか、説明をしなければいけない、説明を受けるというようなことは、書かれておる。その後に、実際、その調査の進め方に同意するとか、全部その要望が聞き入れられていくとかいうこととか、あとは、拒否できるとか、そういうことの、その後の細かいところは、何も決まってはない。ただ、当然、被害者側、保護者側の意見をくみ取って進めていくということが、重大事態の調査では求められるということは、もともとの基本方針の方では記しておるので。あとは、自殺の背景調査とか、これまでのものでも示しているところなので、そういったところだ。
【座長】  この五ページだけれども、支援体制の整備のための相談・連携だが。ここに、高専を含めるかどうか。ここのところは、事務局の方で検討していただきたいところだ。高専というのは、入学年齢は高等学校、卒業年次は短大で高等教育局の所管へ入るという、非常に局間のすき間に入ってくる。なおかつ、成人もぎりぎりのところまで含んでいる。しかし、高専も教育機関だ。局そのものが、初中局と高等局とにまたがっているので、調整はひとつしていただかなければいけないだろうと思うけれども。いずれにしても、都道府県、設置の場所、あるいは国、国立だから。独立行政法人だから。これをひとつ視野に入れて、どこが、どう支援していくかは視野に入れておかなければならないと思っている。聞くところによると、決して軽視できない状況にあるとも伺っておる。その辺あたりは、ひとつ御検討いただきたいというぐあい。
 それから、もう一点だが、六ページの、調査組織の種類。これは、aとbがあって、学校の設置者が主体というところがあるのだが。この設置者の附属組織(第三者調査委員会)というぐあいに書いてある。これは、二重構造になっているのか、兼ねているのか、それを両方とも含めた表記なのか。ここのところ、少し明確にしておいていただかないと、次のページの説明事項というところがあって、これは、ここでは明らかに、説明を行う主体は、設置者、学校が行う場合と、第三者調査委員会等の調査組織が行う場合があるというぐあいに書いてあるのだ。これは、地方自治体の附属機関そのものが、ここの場のように、連絡協議会の性質を持っているところと、それから、いろいろな審議を行い、防止、それから調査をやることも兼ねているところ、様々なところがある。
 あるいは、調査委員会は、審議会の附属機関のような形になっていて、実質的には、審議会そのものが提案し、しかも調査の内容も吟味しなければいけないという立場に立ってしまうというところもある。この辺の扱いが、都道府県、政令市等によって、非常に複雑になっておって。我々は、こういう調査委員候補者の推薦団体だが、推薦される方が、非常に混乱されたり、困惑されたりするという事態が生じてくる。この辺は、制度的にしっかりと区分けしてやっていただかなければいけない。
 となると、このbの書きぶりは、この第三者調査委員会は、附属組織が兼ねる場合と、それから、その附属組織とは別個に、その調査委員会を置く場合というぐあいに併記しておいていただく必要があるだろうと思うので。その点、御検討いただきたいと思っておる。
 それから、もう一つは、七ページの一番下の、人選についての上のところ。説明を行う中で、というところなのだが、要望があれば、当該要望が可能な限り反映されるよう、というぐあいに書き切ってあるのだ。ここのところは、やはり、委員会の人選なので、やはり、公平性・中立性を欠く場合、欠くと判断される場合とか、欠くと思われるとか、書きぶりは法令上考えていただきたいのだが。その場合には附帯条件を付けておかないと、現場教育委員会の方は、言ってくれば、もう、これ、書いてあるから、やらなければいけないというような思い込みができ上がってしまうというのか。そういう危険性があるなと思うので。飽くまでも委員会の公平性・中立性というものを担保しているかどうかというところが、やはり要望を受け止めるかどうか。また、再調査の場合にも、それが首長の判断というところの重要な要件になるので。その点は、少し、御検討いただきたいというぐあいに思っておる。
【委員】  意見というよりも、すごくささいなことかもしれないのだが。三ページの、自殺事案に対する遺族の接し方というところで、前回ちょっと気になりながら、発言する機会がなかったものだから、今更ながらなのだが。ここの書き方。中身的には、お気持ちは分かるのだけれども、子供を亡くしたという心情から、時に学校の説明を聞き入れないなどの対応ということと、あと、その下の丸のところの、保護者に学校の提案を受け入れてもらえない。やはり、書きぶりとして、何となく学校の側(がわ)が中心になっているような書きぶりだというのは、ちょっと気になっていたものだから。当然、子供さんを亡くされた場合には、説明を聞く気持ちのゆとりのないときもあれば、そんな状態にまで、まだならない場合も多々あると思うので、学校の説明をちゃんと聞き入れるべきだとか、提案を受け入れるべきだというようなニュアンスを、読む方が感じる可能性もあると思うので、ここはちょっと書きぶりを見直していただきたいなというふうに感じておる。
【委員】  先ほど、委員が指摘されたうちの一つで、私も先ほど漏らしたのだけれども。十三ページの、個人情報の保護の関係のところの、加害児童生徒の氏名というところを、ちょっと先ほど、事務局、御説明いただいたのかもしれないが、ちょっとよく、あれで。ここは、完全に落としてしまっているという。全く記載をしないようにしたということの趣旨と。それから、なかなか書きぶりが難しいとしても、この点というのは、少なくとも取り扱われるところは、かなりこのあたり、どうしたらいいかと思われるところであろうと思うので。全くここを書かなくてよいのかというところについて、ちょっと、どうお考えなのか、もう一度御説明いただければと思う。
【事務局】  加害児童生徒の氏名のところを落とした理由だが。もともと、加害児童生徒の氏名であっても、含めて、個別の情報は、調査の中から出てきた個別の情報が、個別に個人情報保護条例等で開示できるのか、できないのかというのは、もうそこで見てほしいということで、ちょっと、統一をしたという趣旨で、落としておる。あとは、なかなか、ここはちょっと、補足をさせていただくと、加害児童生徒の氏名を開示するかどうかというところは、実際上は条例の方であって、条例の中には、法令や慣行によって開示する場合があるとか、あるいは、その慣行とか、予定されていることが地域によって違うとか、そういう個別の状況があるので。そこに踏み入って、統一的に示すということは、なかなか困難であるということは、専門的な部分から、箇所から助言を頂いたので。なかなか、国の方で示して、各地方が統一的にやるということが難しいということがあり、削除している。
【委員】  今のところで。学校の立場で申し上げると、被害生徒が、もちろんいろいろな形で、特に重大事態に発展した場合には、守らなければいけないのは当然だけれども。同時に、在校している生徒が加害であった場合についても、その後の対応として、指導は指導として行うけれども、要するに、今いろいろ言われている、ネット上のさらしであったりとか、氏名の特定であったり、あるいは顔写真であったり、そういったことには、本当に、もう一方、全力を傾けなければいけない部分かと思っている。
 なので、当然、開示請求等があったとしても、恐らく、都道府県ごとの条例等によって決まっている、その範囲の中で、未成年者であれば、間違いなく氏名公表等はないはずなので、開示の中にも、その部分は消される、そういうことかなと思っている。なので、あえて氏名特定という、このような表示がない方が、私は妥当なのかなというふうに考えておる。
【座長】  それから、事務方の方に。先ほど、委員と、それから委員の方から御提案があったが。まず、一つは、この調査に関して、通常、我々、社会調査をやるときには、その方法だとか、目的だとか、いろいろ書くわけだが。調査対象というのは必ず書くのだけれども。これを除いておられるというところで。今度、これを、今の御意見を受けて、そこへ一つ項目を入れて、調査対象というのを入れることも可能だと思うが。そのあたりは、何か御意見、御判断があってのことだろうか。
【事務局】  特に意図して落としているわけではないので、検討したいと思う。
【座長】  はい。よろしくお願いする。
 それから、もう一点は保存期間で、先ほど出たけれども。いろいろな保存期間の考え方がそれぞれにあるのだが。一般に、行政の場合には、保存期間というのは何年ぐらい。私も存じ上げないので、それをお伺いしたいのと。
 それから、いろいろなこういう重大事案に至った場合には、不登校の場合なんかは、小学校なら小学校で、卒業するまでというようなところを、一つ期限として入れておるけれども。そういうことも含めて保存期間は考えていかなければいけない。それぞれの行政の扱いはあるだろうけれども。それが、行政文書だけの話であって。こういう事案についての原本の保持と言うか。廃棄と言われるものを、どう扱うのか。これは、医療機関なんかでも、しっかりと保存期間というのは定められておるので。このあたりは、どういうぐあいにお考えなのかというところを、御意見聞かせていただきたい。先ほどの御提案に基づいて、残された点だと思うが。
【事務局】  保存期間の方は、事実上、申し上げると、もう、各地方公共団体で決まっていて、なかなか一律には行かないのかなとは思っておる。例えば、指導要録であれば、きっちりと卒業まで、卒業後も何年間というのが、法令で決まっておるけれども。今回で言ういじめの情報であれば、アンケートとか、あるいは聞き取りの結果とか、先生の対応記録も入っていくので。どこまでがどの期間というのは、実際にちょっと判断しづらいところがあるので。ここは、一律にちょっと示すということをしていない。ただ、実際には、通常一年で、もう期間が切れて、破棄されるものが多いと思う。ただ、その破棄される上で、しっかりとその旨を説明しておくとか。場合によっては、もう少し保存してほしいとか、別の形で、別の様式に落として、新しい文書として保存してほしいというような要望があって、そう対応する場合もあるので。その部分は、そういう流れになるのかなと思う。
 ちょっと、今の書きぶりだと、保存期間が満了したら、もう捨てていいというような書きぶりになっておるので。御意見を踏まえて、ちょっと修正したいと思う。
【委員】  先ほど座長の方から話があった、調査組織のことなのだ。私自身、幾つかの地方公共団体の調査に関わっておって、実態から言うと、この、先ほどの書き方だと、非常に、ある意味、分かりにくい。国の基本方針に、教育委員会の附属機関を調査組織として活用することが望ましいということが書かれているわけだ。調査組織がどのような形でできたかと言うと、これは、それぞれ地方公共団体によって違うのだけれども。例えば、私が関わっているところなどは、法ができる前から、いじめだけではなくて、生徒指導上の非常に重大な問題に対して、助言・指導していく機関というような形で組織があって、それが、法の制定によって、教育委員会の附属機関となり、そして、それが活用されることが望ましいということがあって、背景調査をしていくというのが実態なのだ。
 しかしながら、重大事態にならない段階で、非常に難しい問題があるということで、その委員会が、専門的な指導・助言ということで、その事案自体に関わってしまうことが出てくる。関わってしまった上で、その重大事態としての背景調査を求められたときに、その組織を活用することができない。調査対象に、その委員会というか、附属機関自体が、なってしまうのだ。それで、改めて第三者の委員会を作るというようなことも起こり得る。しかしながら、自治体の規模で言うと、それほどの人材があるところなんていうのは、なかなかないわけだ。この辺が、非常に悩ましいところがあって。
 この、学校の設置者の附属組織(第三者委員会)において、という書き方が、何を意味しているのかというのが、ちょっと分かりづらい気がするので。今、申したような実態があることを踏まえて、もう少し丁寧な書き方が必要かなと思うのだけれども。
【委員】  私も、ここの部分は、先ほど御質問しようと持っていたのだけれども。恐らく、三十条に示されている公立学校については、大部分が、教育委員会がその設置者としてこの組織を作るのかなと考えている。
 今、委員がおっしゃったように、もし、市町村等で、小さい場合についても、要するに、第三者の立場で、場合によっては上位の、県の教育委員会のサポートを受けながらというのがあるかもしれない。
 私なりの読み取りとしては、要するに、三十一条の私立学校とか、三二条の学校設置会社、こういったところが、上位の設置される部分がないので、独自、あるいは。独自だと、正に今、おっしゃっていただいたように、かなり関わっている部分があるので、恐らく、その第三者機関に委ねるような、そういった公正・中立な調査機関を設けるのかなという、そういう解釈でいいのかどうか。ちょっと、先ほどお聞きしたかったのだけれども。関連して。
【座長】  はい。その辺を含めて、事務方の方で御検討いただきたいなというぐあいに思っている。いずれにしても、書きぶりは、ここのところ、変えていただかざるを得ないし。今、御意見が出た意見を、反映させてくれ、これは。非常に細かい実態との突き合わせもあるので。今ここで即答していただくわけにはいかないだろうと思うが。できる限り、効率よく、混乱のない形で、この調査が進むように、ひとつお図りいただきたい。
 我々、推薦団体においても、非常にこの辺は悩ましいところがある。協議会、あるいは審議会も兼ねながら、なおかつ、重大事案が起これば、調査に走らなければいけない。そうそう、その余裕のある方もいらっしゃらない。これは、皆さん方、団体の方々、同じお気持ちをお持ちだろうと思うので。そのあたりは、ひとつ御留意いただいて、書きぶりも勘案していただきたいと思っておる。
【委員】  五ページに、私立学校がどうしなければいけないかということを書き込みいただいて、このような書き込みになっているの、ありがとう。この問題は、実は、地方教育行政法が改正になったときに、私立学校をどこがどう所管していくか、指導していくかということで、大変もめた。私どもとしては、教育委員会に、私立学校を指導するということは、是非避けていただきたいということで、条文から、最初は、指導・援助・助言という三つの言葉があったのだけれども、指導という言葉を取っていただいた。したがって、法の方では、私立学校が所管課にいろいろと相談した結果、それについては教育委員会にいろいろな意見を聞いた方がいいだろうな、ということはあるだろうから、そこは助言・援助という言葉にして、法を作っていただいた経緯がある。そのことを、ひとつ御承知いただければ有り難いかなと。
 それから、先ほどお話があった、私立学校の場合、どうするのだというお話なのだけれども。他の道府県の私立学校がどうしているかということは、ちょっと十分把握していないところがあるが。東京の協会としては、こういう問題も含めて、各学校が独自に判断していろいろなことをやっていくと困ることが多々あるので、なるべく、私どもは、生活文化局私学部というのが、私どもの所管課になるのだけれども。そこに、とにかく、何でも悩みごとは、悩みというか、こういう問題も含めて、困ることは全部上げろと。あるいは、隠す必要はないので、とにかく上げなさいというふうに、協会としては各校に話をしているところだ。
 したがって、逆に言うと、私学部の職員がそう多くいないから、各学校からいろいろ上がってしまうと大変なことになるだろうなとは思うのだけれども。そんな方法をとっている。
 ただ、秋田県のように、教育委員会が、もう私立学校の所管をしている県も、何県かあるので、そういうところはいいのだろうと思うけれども。なかなか、他県の場合を聞いてみると、そこまで所管課がいろいろなことを判断するというのが難しい。
 逆に言うと、文部科学省から流れてきた文書が、そのまま、こういう文書が文部科学省から来たということが、素通りで行ってしまうケースの方が多いので。この辺、どう、文部科学省の担当部署と、その所管課との連絡をどうするかということの問題だろうとは思うけれども。そんな思いをしている。
 東京の場合には、疑義があった場合には、必ず私学部と協議をして、各学校に改めて流すということをしているので。そんなことで、私立学校については御理解いただけると有り難いかなというふうに。
【委員】  質問なのだが、十四ページの二つ目の丸の、付け加えられた、また、いじめの行為について、加害者に対する懲戒処分の検討も適切に行うこと、これはこれでいいのだが。この懲戒処分は、量定も多分あると思うので。あと、小中の義務教育と、高校の違いもあるので、この辺をどう捉えられているか、もし、今の段階で分かれば。何かこれ、そのまま文書だけ出していくと、多分、現場では、どうなんだと。かなりこの懲戒処分のことについては、処置がかなり難しいと思われる。出席停止を命じた場合は、教育委員会が関わらなければいけないとか、いろいろな細かいのもあるので。その辺を、この委員会で、ある程度。ただ、言葉を出してもいいけれども、具体的に、ではどうなのかと聞かれたときに答えられないのでは、ということがちょっとあって。ちょっとこれ、質問させていただいた。
【事務局】  懲戒処分のところは、高等学校段階であれば、もう退学だとか、停学、訓告ということである。義務教育段階の、公立の場合であれば、その退学や停学はできないということもあって、懲戒ということになれば訓告なのかなとは思っておる。あと、私立とか国立の場合は、退学ということはあり得るということなので。個別に言うと、ちょっと懲戒処分のところは、一文で、もう、こういうふうに書いておるけれども、いろいろな、発達段階とか、学校段階に応じてやっていくということだ。ちょっと、書き切れない場合があるので、ちょっと簡素な書きぶりになっていると。
 ただ、きちんと、この間ちょっと起こった事案では、高校段階のいじめの場合も、しっかりと懲戒処分をして、反省させて、加害児童生徒を立ち直らせるということが必要だということなので、この視点は忘れてはいけないのかなとは思って、一文で、簡素ではあるけれども、書いた次第だ。
【委員】  一応、念のために申し上げるけれども。戒告、校長戒告。戒告から退学まで、法令上あるけれども、恐らく退学になる案件は、ほとんどないのかなと思うので。ちょっと、一人歩きすると、いじめで退学みたいな見出しが付くと、ちょっと申し訳ないなと。もちろん、ないということではないので、少し気になったので。訂正までは必要ないとは思うけれども。安易には、余り使わない方がよろしいかと思う。
【委員】  先ほどの保存期間で、座長の方からお話があったので、いいのだけれども。基本的に、文部科学省の方から、やはり、このぐらい保管しようよ、という形で、僕は、出してもらった方がいいのではないかなと。先ほどのお話を聞くと、各ところで区々(まちまち)になっているということなので、今後もトラブルが絶対起きるのではないかなと思っている。一度そこを御検討いただければと思う。
【委員】  それで、保存期間が、ある程度、決めるときに、例えば小学校だったら六年間あるね。小学校一年のときにあった、その事案が、例えば、三年とか五年と決められたときに、在学中にそれが破棄されるということ、校長としては、それは、何かあるときには、その期間を過ぎていても保存をしておくことが普通である。だから、これを決めるときも、在学中に、年数があったからと言ってすぐに破棄するようなことがあってはならないと思うので、その辺もちょっと含めながら、やはり一番大事なのは、子供がいる期間。若しくは、その上の校種に行っても、ある程度、情報をやりとりできるということが必要なのではないかなと思うので。その辺も慎重に考えて、保存期間を決めた方がいいかなというふうに思う。
【事務局】  公文書の管理につきまして、国の方の法律で、必ず、行政文書を作ったときに、あらかじめ定めた基準に基づいて、保存期間も定めなければいけないことになっている。また、その、何か係争が生じたとか、必要なときには、保存期間満了後も、保存期間を延ばすような手続が定められておる。恐らく、各地方公共団体においても、同じようなつくりで、条例に基づいて、全ての行政文書については保存期間があるはずであって。それは、また、延長の手続もあると思われるので。
 要は、しっかり条例にのっとって、必要なものを必要な期間だけとっておくということを、そういう書きぶりを、しっかり条例に従って、必要なものを必要な期間だけとっておくということを、改めて分かりやすく書きたいと思っておる。
【座長】  ちょっとお伺いするが。不登校の児童生徒理解教育支援シート。あれの保存期間はどれぐらいにされているか。これは、目的・趣旨がちょっと違うけれども。
【事務局】  あそこの通知においては、保存期間について、何も、特段……
【座長】  いえ、協力者会議の報告書の中に、きっちり書き込まれているよ。
【事務局】  ちょっと待ってくれ。少々待ってくれ。
【座長】  私の記憶では、指導要録に準じて。やはり、卒業までは、しっかりと保存するという……
【委員】  卒業プラス三年ぐらい。
【委員】  卒業して、二十年だろう。
【座長】  二十年だね。だから、それはちょっと長いのだけれども。卒業後、五年ぐらいだったかな。
 五年だったと思うね。確か。
【委員】  卒業してから五年。
【座長】  うん。卒業してから五年だったと思う。
【委員】  そのぐらいは。
【座長】  一年はちょっと厳し過ぎるね。
【事務局】  五年だったと思うけれども、ちょっと確認して、違うところであったら、訂正する。
【座長】  ということで、国の方でも、理想……
【事務局】  望ましい。
【座長】  うん。やはり、そういうことをやることは、前例はないわけであって。
【事務局】  そうだ。はい。
【座長】  はい。しかも、あれは、やはり、支援していくためには、継続的に、しっかりと局面、局面で変わっていく状況もあるし、それに対して支援を加えていかなければいけないという、こういう考え方がしっかり入っている。単に、保存期間で、係争する、されないという問題だけではない。指導と教育という観点を組み込むと、その点はやはり留意しておくべきことだろうと思うので。検討していただいて。
【事務局】  そのようにさせていただく。
【委員】  今、行政文書だという答えをお話になったのだけれども。行政文書だという認識を、学校が持つかどうかが、ちょっと私、疑問なのだ。だから、その辺はちょっと慎重にやっていただければ有り難いなという。
【座長】  いずれにしても、今、出た御意見で少し勘案して、御検討いただきたいと思う。
 ほかに御意見がなければ、そろそろ時間が詰まってまいったので、ここで閉じさせていただきたいと思っておる。
 本日、いろいろと御意見いただいてありがとう。ただいま御検討いただいた基本方針と、それから重大事案の調査のガイドライン、かなりまとまって、論点も整理され、大体の方向、大きく、大詰め、固まったかなというぐあいに思っておる。事務局の方から、今後のことについて御説明いただくけれども、ちょうど、きょうの会議が、今年度中に、これを公にする最後のリミットだ。しかも、単に薄く議論しただけではなくて、当初は二時間で、一二時で終わっていたものを、いや、もっと議論をする時間を延ばすべきだという委員の方々からの御意見があって三時間の議論をお願いして、皆さん方にいろいろと御審議いただいた。そういう意味で、いろいろなところは出し切っていただいたかと思っておる。
 きょう、いろいろと出した、大体、原案の方向性と、修正点は当然修正されていく部分もあるが、これを含めて、委員の先生方に御承認を、これで頂ければ、あとは私、それから事務方の方で詰めさせていただいて、また、もちろん先生方にお示しもいたすけれども、成案として出していきたいというぐあいに思っておるが、いかがだろうか。それでよろしいか。今後について。
                      (「よろしくお願いします」の声あり)
【座長】  はい。ありがとう。
 それでは、あと、事務局と相談した上で、修正案を出して、事務局から委員の先生方に送付して、確認いただくという手続をさせていただく。どうもありがとう。
 何か事務方の方から、今後について。
【事務局】  それでは、本日御審議いただいた、いじめの防止等のための基本的な方針の改訂、及び、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの策定につきましては、今、きょう御議論あった修正作業をすると同時に、パブリックコメントを実施したいと考えておって、国民の方から御意見を頂いた上で、最終的に内部の手続を経て、策定したいと思っておるので、その旨、お知らせいたしたいと思う。
 先ほどお配りした資料三にお示ししているとおり、議論の取りまとめを踏まえた対応としては、事例集の作成等が残っておるので、また、この策定に向けては、委員の先生方の御意見を承りたいというふうに思っておる。
 年度内につきましては、基本方針の改訂と、重大事態のガイドラインの策定を行って、新年度のこの会議の実施につきましては、改めて、委員の委嘱を経た上で、事務局より調整させていただくので、よろしくお願いいたす。
【座長】  はい。ありがとう。
【委員】  パブコメはどのくらいの……
【座長】  二十日ぐらいだったと思う。
【事務局】  二十日ぐらいを、今、めどにしておる。はい。
【座長】  きょう、審議官いらっしゃるので、最後、一言、何か。
【大臣官房審議官】  本日も活発な御議論ありがとう。このいじめ防止対策協議会、八回にわたり、本当に各分野の専門家の先生方から、現場を踏まえた子供たちのための意見を、本当にたくさん頂けたと思う。いじめ防止対策推進法が施行されて三年以上が経過をしているわけだが、残念ながら、まだまだ悲しい事件が起きているわけだ。この法律を、本当に生きて働くものにしていくために、頂いた多くの御指摘を踏まえて、基本方針を年度内に改定いたすとともに、重大事態の調査に向けたガイドラインの策定、年度内、我々これに取り組んでまいりたいと思う。
 また、今ほど、事務局の方からもあったが、年度明けからは、事例集等のことについても鋭意取組を進めてまいりたいと思う。
 いずれにしても、一人一人の子供たちのためになるようなものを、文部科学省としても、先生方のお知恵を借りながら示していきたいと思う。引き続きの御指導をお願いするとともに、これまでの八回にわたる、大変多忙な中での御指導ありがとう。
 結びに一つだけ。ちょっと個人的になるが。二十年ほど前に、この児童生徒課の前身の中学校課というところで、実は、生徒指導専門官という職を拝命していた時期があった。そのときにも、座長に大変お世話になっていたことを覚えておって。二十年以上にわたり、座長、本当にありがとう。議論の整理、あるいは、我々事務局に対する厳しい御指摘等々、本当に感謝を申し上げたいと思うし、先生の座長の下、本当にいい、それぞれの分野の専門家の方々から御意見を頂けた。合わせて、頂いた意見を具体化していく際には、関係省庁とも、きょう御出席いただいておるけれども、関係省庁ともよくよく連携をしながら、取組を進めてまいりたいと思う。
 本当にありがとう。
【座長】  それでは、以上をもって、今年度第八回の会議を閉会させていただく。皆様方におかれては、いろいろ多岐にわたって、深い視点から、あるいは高みから、事態を眺めていただいて、貴重な御提言を頂いて、ありがとう。きょうはこれで閉じさせていただく。どうもありがとう。

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