いじめ防止対策協議会(平成28年度)(第7回) 議事録

1.日時

平成29年1月23日(月曜日)10時00分~13時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)の改定について
  2. 「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(素案)」について
  3. その他

4.出席者

委員

相上委員、愛沢委員、石鍋委員、高田委員、實吉委員、水地委員、種村委員、田村委員、東川委員、廣瀬委員、道永委員、村田委員、森田委員、横山委員

文部科学省

瀧本大臣官房審議官、藤原初等中等教育局長、坪田児童生徒課長、松林生徒指導室長、丸山生徒指導調査官、山本専門官

5.議事録

≪議題(一) 「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成二十五年十月十一日文部科学大臣決定)の改定について≫
 ※事務局より資料一の説明。

【座長】  ただいまの改定案について、御意見賜りたいと思っておる。
【委員】  改定案の前の話でもいいか。
【座長】  結構だ。
【委員】  最初の御説明で基本方針の改定案と、それから、重大事態のガイドラインということで対応されると伺ったんだけれども、きょうも配付いただいておる、十一月の議論の取りまとめの中では、そのほかのことも議論として取りまとめていただいたところが、あると思うんだけれども、その中で、先ほど、詳細な事例とかは別にということだったと思うんだけれども、きょうも配っていただいているが、突き合わせてみると、例えば最初の、いじめの定義の解釈の明確化を図るというところでも、そこの一番初めの黒ポチは、明らかに法のいじめに該当するが、いじめとして扱われていないものの具体例を示すとかいうところがあったり、かなり大きいところでも、今回のものに含まれていない、基本的には事例を示すというところが多いのかと思うんだけれども、そのあたり、全体として、これはこういうふうに対応するというのを、この取りまとめの中で、ここに拾われていないマルとか黒ポチがどのように取り扱われるのかということ、我々弁護士からすると、法教育のところもガサッと、あったのがないとかというところもあったりするので、その辺を、きょうでなくてもいいけれども、取りまとめて次回にでも御報告いただければと思う。
【座長】  事務局の方……。
【事務局】  おっしゃるとおり、この前、十一月二日に頂いた御提言で、基本方針でやるところ、それから、ガイドラインでやるところ、それ以外の事例集とか、調査研究でやるところ、そういうところを分けて、何か資料をお作りして、またお示ししたいと思っておる。
【委員】  お願いする。結構だ。
【委員】  十一ページのいじめ解消の定義だ。とても難しい課題に取り組んでいただいたこと、本当に有り難いと思っている。それで、実際、現場ではいじめの解消の定義をどんなふうにしているかというと、本件では加害者の心理的、物理的な影響を与える行為がなくなったことは当然なんだけれども、加害者の心に響く指導ということを言っていて、直接的な加害行為に至ったストレッサーが本当に解消しているのかどうかということを確認しているということが一つ、これは全部の先生というわけではないんだけれども、そういった話を聞いておる。
 それから、三か月も非常に考え抜いて出てきたことだと思うけれども、その後のところで、これにかかわらずということは出ているわけだが、現実的に五か月とか、あるいは年度を越えるといったこともあって、この三か月と示すことがどういう影響があるのか、ちょっと予測できないものだから、この書き方で十分いいとは思うんだけれども、それでいいというふうにはならないようには何とかしていただきたいということがある。
 それから、もう一つは、解消については、加害者の行為だけではなくて、被害者の方の心身の苦痛というものを随時確認しながら、総合的に判断した上で、両者を総合して、この書きぶりが、いじめが解消しているかどうか、外形的なところを判断する時点において、苦痛を感じていないと認められることというふうに書いてあるけれども、時点はもちろんそうだと思うけれども、一般的には随時両方調査をしながら、総合的にいじめの解消状況を判断することに、実務的にはなっているということで、分けてもいいんだけれども、二つが総合的に判断の材料になっていくということを、もう少し分かりやすくされた方が、我々にとっては有り難いかなというふうに思っている。
 ストレッサーと、さんつきと、それから二つの要件の総合的な勘案という三点について、ちょっと御検討いただければ有り難いなということだ。
【委員】  スクールカウンセラーの立場でお話ししたいと思う。まず、謝罪というのが、加害者の方が、そういうことがまずかったという自覚がないと、取りあえずその場を収めるために、悪いことをしたから謝りなさいと言って、加害者が被害者にごめんねと言う、被害者の方もいいよというふうに許すと、これでしゃんしゃんと終わるのを、よく謝罪というふうに現場で見ることがあるんだけれども、これは決して謝罪ではないと思うので、まず、加害者の方にも、やった行為の意味を理解し、相手の痛みを理解し、本来の、申し訳なかったと、また、これからはこういうことをしないということがあって初めて謝罪になるんだろうというふうに思う。
 現場の先生方が大変お忙しいのは分かるけれども、そこのところを丁寧に御説明されないと謝罪になっていない、形としての謝罪だけになるんじゃないかなというふうに思う。
 それと、加害者の思いとして重要な御指摘を頂いたと思うけれども、加害者の中には、相手がそこまで嫌がっているということを理解していなくてやっている子供たちがいる。この子たちには相手のつらさを理解することで、ああそうなのかということでやめることができるけれども、先ほど言われたように、何らかの家庭的、あるいは学校、あるいはいろんなところでのストレスからそういうことをしておるんであれば、そのことを取り除いてあげないと、単なる行為だけに注目しても難しいだろうなというようなことは物すごく思う。そのレベルまで解決して解消と言うのかどうか、非常に難しいだろうなというふうに思った。
 例えば交通事故に遭ったときに、交通事故はそれ以上ないんだけれども、例えばそれの後遺症としてむち打ちがあるというようなときに、被害者の方でそういういじめを受けたことでの何らかの心理的なダメージから、そういう場面が怖いとかいうようなところ、それが解消するまでを解消と言うのかどうかというのは、非常に大変だろうなというふうに思う。
 三か月という経過が示してあるけれども、PTSDとか何とかいうことになったときには、三か月レベルではないけれども、心の傷を取り除くまでも目標にして解消とするのかということになると、非常に重要だろうなと思うけれども、ここに示してあるように、取りあえず本人がつらいという行為が現実的にないということが、三か月、一学期間になるのかもしれないけれども、そういう目安としては三か月というのが妥当なのかなというふうなことは思った。
 あと、ここに書いてあるように、そういう行為が一時的になくなっても、またないだろうかということを注目するのは非常に重要じゃないかなというふうに思う。
【委員】  今のいじめの解消についてだけれども、ここに書かれていること、非常に具体的になって分かりやすいなと思っているが、一つ、特に中学校段階あたりで多い事例をベースにお話をする。
 例えば同じ遊びのグループ、又は同じ非行のグループ、その中で、そのグループ内でいじめが起きるということもよくある。ふた昔前、もうちょっと前なんかは、よくそのグループの中に使いっ走りと言われるお子さんがいて、全て命じられて物をとってきたり、脅して恐喝をしてくる、そんなようなお子さんがいたんだが、それはある意味いじめなんだ。だけれども、グループの中では自分の居場所があるから、それをいじめと認識せず、実は苦痛を感じていない。また、苦痛を感じていても口に出せない、そういう状況がやっぱり起こり得るということだ。そうなったときに、十二ページのマル二番のところの四行目、五行目について、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する、これは大事なことだ。また、心身の苦痛を感じていないよと面談で答えてきても、いじめに当たる事案が当然あり得るということ、そのあたりを文言として入れることができると、更に幅が広がるかなと思った。
【委員】  今の御指摘も本当に大切だと思うんだけれども、解消の部分、ここに書いてある内容というよりも、そもそも基本方針の方の、学校が行ういじめに対する措置というところは、恐らくここに引用されている、五行、六行しか書いていなくて、あとの大変具体的な、今おっしゃったような、本人がどう感じているかとか、そういったようなところは、解消というか、そもそもいじめ自体の問題として、かなり詳細に、別添というのか、いじめのポイントという部分に詳細に書いてあったと思うんだね。
 もともとの基本方針だと、学校におけるいじめ防止等に対する措置の詳細なところは、基本方針のポイントのところに、学校がとられる対応というのは、たしか十ページぐらいに分けた文章が別添されていたと思うんだ。そこには、今おっしゃっているようなこととか、かなりいろんな部分が入っているんだけれども、今回の解消のところ、基本方針の方に書かれること自体、別に反対はしないんだけれども、解消のところだけ、ここに二十行ぐらい入ってきて、もともとの措置とか、見方とか、学校に関してのところは全体でも一ページ弱ぐらいになっている。これからすると、解消のところをここにも書き加えつつ、もともとのところで、今回我々が気付いていったようなところというのは、かなりポイントの方に関与するところがあるので、そちらにも加えていただきたいということ。それと、基本方針を作ったときには落とした、ある意味具体的なところと、基本方針で書くべきところの仕分をしていただいた方がいいかなと。何か基本方針の解消だけ、いっぱい書いてあって、それ以外の、解消する前の話が、学校のところに余り書いていない。その辺のアンバランスが、今回我々の意見を採り上げていただく中でちょっと生じてしまったような気がしたので、そういう意味の意見で、その内容のところについては、皆さん、おっしゃったところで、特段付け加えることはない。
【事務局】  詳細の点、説明させていただく。
 今、委員におっしゃっていただいたのは、きょう配っておる参考資料二の部分で、いじめの基本方針、今議論している基本方針の本体をきょう配付している。それの後ろの方に、学校における「いじめの防止」「早期発見」「いじめに対する措置」のポイントというものを付けている。別添二で、後ろから多分五ページぐらいにわたってついているもの、これが今、委員が御発言いただいた中に入っている、学校におけるいじめの対策のポイントというものだ。この部分もしっかり変えていかないといけないということは承知していて、次回以降にもおっしゃっていただいたポイントを、この基本方針の本体の改定と同じような形式で示していく用意をしていきたいと思っている。
 どういうものを基本方針の本体で、どういうものがポイントかというところの仕分だが、同じことを二回書くのか、今の整理のように、基本方針では大方の方針、ポイントでは詳細というふうになるのかと、こちらは後者の方で考えておるので、そのように準備したいと思う。
【委員】  例えば今のポイントのところには、いじめが解決したと思われる場合ということで、このことに触れていたものだから、ちょっとそれとの関係で申し上げた。
【事務局】  そうだね。今おっしゃっていただいたのは、見ていただいている、いじめの対応のポイントの六ページの方に、マル四というのが入っているんだけれども、マル四の直前の三行に、いじめが解決したと思われる場合でも、継続して十分な注意を払い、折りに触れ必要な支援を行うことが大切である。また、事実確認のための聴き取りやアンケート等により判明した情報を適切に提供するというふうな記述が、今はポイントに入っておる。ただ、今は解消と言われるような記述というのはこの部分にしか入っていないということだ。
【座長】  ちょっとここで議論を整理させていただく。と申すのは、今の改定の方に入ったのは、実は私の発言がきっかけになっておって、責任上、私が発言しなきゃいけない。
 これは、いわゆる教育振興基本計画の心の豊かさの部分がある、生きる力の。この中の成果指標として、いじめの解消率というのが入っている。それを受けて、問題行動等調査の中に、この項目が入り、その中の項目の回答文が三つの選択肢になっていて、解消しているものと、それから、一定の解消が図られたけれども、継続して見守っている。そして、まだ解消に取り組んでいると、こういう三択になっている。その最初の解消しているもの、これはちょっと復習になるけれども、そこだけを取り上げて、そしてそれを成果指標というか、教育振興計画の指標にしてしまっている。そのために、解消率が全国的に見ると九割近くの数字になっていっている。しかも、現場の中では、今御指摘あったように、単なる謝罪をもって、それで解消率に上げるというところもあれば、継続して見守っていく必要があるのにも関わらず、それをやらないというところも出てきている。そのために様々な、またそこからエスカレートしたいじめだとか、あるいは子供を追い詰めていくという状況が生まれてくる、そこのところに問題があるので、その扱いについてしっかりとこの改定版のところで示しておく必要があるだろうということを申し上げたわけだ。
 恐らく教育振興基本計画は、もちろん練り直しが今行われておるけれども、まだ当面これは生きているというぐあいに考えざるを得ない。となると、ここで言う解消というのは、一定の解消という、問題行動等調査の二番目の回答に当たる事柄が解消と考えるべきだろうというのが、皆さん方の今の御意見だろうと思っておる。
 したがって、最初の参考資料の二のポイントのところの六ページだが、マル三の最後のところの、いじめが解決したと思われる場合でも、継続して十分な注意を払いというところは、これはいじめが一定の解消というぐあいに読み込んでいかなきゃいけないところだろうと思っておる。だから、この文章をやっぱりそのままこちらの基本計画の中へ入れていくということはあるかなと思っておるので、その点は一遍検討していただきたい。
 また、あとのマル一、マル二についてはいろいろな御意見が、様々、今出ておるので、この場で御検討を更に賜りたいなと思っておる。
 成果指標と問題行動等調査というものの絡みで、現場はいずれにしても解消ということを判断しなきゃいけないという、いじめの事実があったかどうかの認知の判断というところと、それから、解消の判断は求められることなので、その求められることに関して、基本計画の改定版では何らかの形でお答えしておかなきゃいけないだろうというのが、私の提案の最初の動機だ。その点は御理解いただいて、整理していただく必要があるかと。
【委員】  前半の方は、きょうのところ、まだ入っていないものだから、いじめの認知の方のところが、先ほど具体例は次回で、そこがないので、こちらだけが目立つという、入り口の方が欲しいなというところだ。
【座長】  そうだね。
【委員】  十一ページの、先ほど来、議論になっておるいじめの解消についてと、その前の、委員に御発言いただいたところも含めてだけれども、いじめの調査とか研修の実施等のところで、いじめ対策組織の役割が取り上げられている反面、実際にいじめが起きた後、解消に向けて、また、いじめがその後、どういう状況で、学校としての対応をどこまで続けるかも含めて、やはり組織として判断するということでは、いじめ対策組織というのが学校として判断するものとして、学校としての対応を決めていくものとして出ているわけだから、そこをちゃんと盛り込んでいただいた方がいいかなという印象を持っておる。十一ページの最後の二行だと、学校の設置者又は学校の判断によりとなっているけれども、その前提として、やはりきちんとしたいじめ対策組織を位置付けるべきだろうというふうに私は思う。
【委員】  いじめが解消している状態に至った後でもというのが、十二ページの最後の三行目だが、もう一つの方の、参考資料二の六ページの、先ほどの三の最後のところは、いじめが解決したと思われる場合でもとあるけれども、これ、文章を変えられたのは何か意味がある……。
【事務局】  今は、「解消」というワードと「解決」というワードはそこまで区別して使っているわけではないので、先ほど申し上げたように、ポイントを改定するときに言葉を合わせていきたいと思っておる。
【委員】  この部分で、私は、載せていただいたのは、いじめているという行為がなくなっただけではなくて、被害を受けている者にとっての苦痛はなくなったという、その二つをしっかり、中身についての論議というよりは、片方、行為がないよ、基本的な方式の五ページに示されているいじめの定義の中にある、その行為がなくなっただけでなく、謝罪しただけでもなくという、その二本、両方の立場から正に解消ということを一つ定義付けられているということで、非常に有り難いなと思っている。
 どこを終結とするかというのは、当然、再発防止も含めて、精神的な被害、例えばインターネットであれば画像とか、そういった情報というものがずっと残るであろうし、もうこれはきりがないと言えばきりがないわけなので、そういった意味である程度の指針をここに挙げていただいているということは非常にいい教訓というか、学校の現場にとって、必ず被害者の側(がわ)にとっても、いじめがなくなったからオーケーというわけではないという認識を持てるということで有り難いかなというふうに思っている。
【委員】  今の解消のところの点についてお話しする。今まで皆さん、おっしゃっていただいたとおり、加害生徒の方の背景事情に迫るという、先ほどの委員の御指摘は非常に大事なところだと思う。そこが最終的に根本的な解決につながるんじゃないかといったところなので、そこはしっかりと明記していただければなと思う。
 それから、被害者の心身の苦痛といったところだが、私は結構、親側、それから生徒側の代理人をやるけれども、本当、数か月、三か月、四か月の単位で解消できることは、重大事件の場合はない。特に不登校の場合だと、長期間にわたって学校に行けていないというケースがあるので、ここの判断は非常に難しいところであるから、どのような形で解消というふうに見たらいいのか、もう少しここは掘り下げてしていただきたいなと思う。
 それから、もう一点だけれども、私の考え方からいくと、加害、被害だけの問題でいじめ解決と言っていいのかどうかというのは大事なポイントではないかなと。傍観者、あるいは観衆と言われている子供たちにもすごく影響を与えているわけだね。例えば被害、加害の中で終わったというふうに言っているけれども、周りの目から見るとそういうふうに見えないというふうな場合もあるし、いじめの問題というのは、被害、加害の二極だけの問題ではないといったところ、先ほど傍観者に対していろいろ取組ということも出てきておったので、僕は解決といったときには、もうちょっと広く見ていく必要性があるのではないかなと思っている。ここはほかの委員の方の御意見も頂戴したいところだ。
【委員】  私もこの資料を見ていて、やはり十一ページの解消のところが一番先に目に飛び込んできたというか、先ほど座長の方からあった、認知件数と解消件数が報告事項であるというところから、解消という言葉を使わないということであったけれども、いじめを受けた場合、現状復帰のような状態が解消というイメージなのかなと考えると、私もつい最近、交通事故に遭って、法的には解決はしたんだけれども、何となく違和感が残ったまま、結果的にはやられ損だなというようなところもちょっとあって。ただ、この書きぶりとしては、解消という前後の時間的なプロセスがしっかりとられているので、例えば十一ページの下から三段目、いじめが解消している状態に至った後でもというようなところが、一旦解消というふうになった後も、ちゃんと見ていくんだというところが書かれているので、私としては捉えやすいのかなというふうに感じた。
【座長】  いろいろな御意見賜って、これはまた事務方で、文言のところはひとつ御検討いただいて、次回また案を出していただければと思っておるが、一つ残っているのが、三か月という期間について先ほどから論議が出ておる。この扱いについて御意見いただきたいと思う。
 もちろん委員がおっしゃったように、ずっと継続して、なかなか解消に至らない事案というのは当然含まれてくる。もちろんそれは解消というぐあいに見直すわけにはいかないということはあるだろうと思っておる。学年をわたるケースも随分あるので、その場合には引継ぎをしっかりしておいていただくようにはお願いしなきゃいけないと思っておる。
 この案、非常に細かいところまで至るところと、大まかなところと両面あるけれども、いろいろなリスクというか、学校組織にとってのリスクだけではなくて、子供にとってのリスクと言われるものを考える場合に、ある意味では、私、二つのカテゴリーがあるかと思っている。一つは、リスクそのものが、ある意味では推定可能というか、計算可能な、これは実態調査からもそうだろうし、事例研究からも、積み重ねてそこから推定できるもの、こういうものは大体おおむねマニュアルに記載されてまいる。ところが、そこに予期せぬというか、今までの計算可能性、推定可能性を外れたところに生じてくるリスクがある。
 現代社会のリスク状況というのは、不確実性というか、不確実性というのは、何も全く分からないというわけじゃないんだが、現段階では予測していなかった事態、ここから起こる事態というのが、ある意味ではリスク社会の本質だろうと思っておる。その中で最も大きなものは、人間の過失、人間が行為をする、対応する、組織する、そのときの過失、過誤、錯誤と言われるもの、このリスクをどう読み込んでいくかということが、これからのリスク管理の非常に大きな課題になってくる。被害を避けるにしても、あるいは組織のリスクを考えるにしても、それは非常に重要な事柄になってくるだろうと。
 ヨーロッパのリスクというのは、正に人的な、マンパワーの、組織の人間に関するリスクというのは非常に大きくとらまえるという傾向を持っている。我々は何か客観的なものに依存したくなる傾向があるんだが、人間がする行為というのはやはり前提にしなきゃいけない。そのリスクをいかにして予測可能にし、推定可能にしていくかという行為がこれからますます必要になってくるだろうと。
 重大事案を見ておっても、そこに伴ってくるものが大抵人間の過失、過誤と言われるものが多いわけである。だからこそ、この基本方針にも、個人が抱え込むんではなくて、徹底したとか、あるいは複数の目でというのは、みんな人間がする行為で、そういう意味では、少々これからは、こういういろんな基本方針にしても、策定にしても、そういう不確定性、不確実性に基づくリスクを読み込んだ上で、ある程度変えていかざるを得ない。となってまいると、ある程度細かくなっていくと。その細かさをどこまでにとどめるか、あるいは抽象的なところにとどめるかというところが、国というものが行う方針の作り方じゃなかろうかなと思っておる。
 これは一つの時代の流れというか、単に先生方の資質向上の問題じゃなくて、人間であるが故に起こってくる過誤、過失と言われるものが常に含まれてくるということだ。私は何も教員の質が悪いとか申し上げているわけじゃなくて、当然起こり得ること、そしてリスクを考えていかなきゃいけない、そして安全を図っていかなきゃいけないという時代になってきていると。万全であるとか、安全であるということを前提にして、リスクというか、こういう問題に対する予防なり防止なりを行うわけにはいかない時代だということを十分認識していく必要があるだろうなというふうに私は思っておるので、その点も勘案しながら、詳細にわたる部分もこの中に盛り込んでいかざるを得ないんじゃないかなと思っておって、ある意味では、今の、解消はともあれ、基本方針、問題行動等調査の方から出てきておるけれども、ある程度の判断の目安というのがないと、現場はどうしても対応しないし、あるいはどうしてもそれを解消してしまったとみなしてしまうような動きも出てきてしまうということもあろうかと思うので、その点を御配慮していただきたい。
【委員】  今の座長のお話をお伺いしながら、ここの文章を読み直して、ちょっと質問も含めてだけれども、この三か月を目安というのは、物理的、心理的な影響を与える行為が止(や)んでいる状態を三か月ぐらいは見守ろうというふうに読めるので、三か月見たからいじめが解消したという判断をするということではないのかなと思うんだ。その三か月間、特に見守るといったときに、学校が夏休みに入るとか、春休みに入るとか、どの時期から三か月かによっては、学校として見守りづらい時期が入るのではないかというふうに思うんだけれども、三か月を目安として何をするのかということが、ちょっとこの表現だと伝わりにくいので、何となく混乱しているのかなというふうに思うんだが。
【事務局】  事務局がどういうふうに考えて、この二つの条件を書いたかというと、先ほどの御意見を含めて御説明したいと思うんだが、加害者へのストレッサーを除去する話とか、学校のクラスにおいていじめを見逃しているような雰囲気を変えていくとか、そういう長期的な話も当然あると思うんだ。二か月、三か月じゃとてもできないような話もあると思う。ただ、一方では、大体毎年二十万件いじめがあって、それは重いものも軽いものもあると。というか、恐らく大半は非常に軽いものが多いと思うんだが、一部重いものがあると。そういう中で、軽いものも含めて、いじめを発見してから、一応取りあえずは解消という、その後も見守る、あるいは加害者のストレッサーの排除とか、クラスの雰囲気を変えていくというようなことも長期的に必要なんだが、取りあえずは、まずこのいじめについては一段落終えたという何らかの節目を作らなきゃいけないというふうに考えていた。
 三か月というのは、先ほど議論があったけれども、一学期、夏休み含めたかどうかというのも影響するけれども、大体三か月を見れば、つまり三か月間、例えばLINEによるいじめであるとか、悪口とか、そういうものが止まっているかということを、まずよく見ると。確認すると。それから、マル二の方で、被害者の心身の苦痛が、ゼロとは言わなくても、相当程度解消されているという、この二つ、かつなので、この二つを満たせば一定の解消とは言っていいのかなと。ただ、その後も観察する必要があるよということは書いてある。
 今の御質問だが、だから、三か月間は同種のいじめ、子供だから、謝罪して、悪口言いませんとか、何とか菌と言わないと言ったって、また陰で言っているようなことも往々にして考えられるので、しっかり組織を持って、その被害者をよく見守って、陰でいじめられる、陰でそういう声がないのかということを、三か月は目安だが、よく見た上で、大丈夫だなということで、条件一はクリアと、そういうふうに考えておる。
【委員】  この文章から見ると、止(や)んでいる期間が三か月間ということだね。なので、見守りが三か月間たっていても、まだ続いている間は、更に見守りは続くということだね。
【事務局】  そうだ。
【委員】  もう止(や)んだなと思ってから、更に三か月間ぐらいはよく観察しておいて、もう三か月行われていないから、これは解消したと見てもいいのかもしれないというふうに、そこで判断をするということか。
【事務局】  おっしゃるとおりだ。
【委員】  なるほど、分かった。
【委員】  高校の教員の立場で、本当に私見というか、個人的に申し上げると、その行為がなくなるんだったら、別に三か月要らないだろうと。その時点で少なくとも加害の側(がわ)については解消で、私は個人的にいいと思っている。被害はもちろん違う。
 ただ、やはり一つの目安ということで、期間を捉えたときに、当然文部科学省のお立場でよく学校の実情を把握されているなと。ちょっと変な言い方で失礼なんだけれども、要するに、学期であったりとか、あるいは学年をまたぐ形であったとか、一つの目安としては非常に分かりやすい期間なのかなと。人のうわさも何日ということから考えても、加害の立場で言えば、なくてもいいかなとは思うんだ。学校で、次から次へと、ちょっと大げさかもしれないけれども、これを常に監視しているというのは難しいし、なくなってからということが前提なので、あればまたすぐ次の対応になるわけだから、再発防止という観点でも非常に適切な期間なのかなと。ただ、本音は別に三か月も要らないのかなとは思っている。
【委員】  現場の校長からちょっと心配なことがある。こういうふうに解消の明記をすることによって、いじめというのは、ある程度、一定期間、小康状態というんだろうか、何もなくて、急にまた起こることがある。子供の環境が変わったり、教師、担任が変わったりすると、急にまた再発をするということがある。そうすると、この三か月という、早ければ、解消したんだということが、三か月というのが文言で出ていくと、一応解消したから、公の対応はこれで一応終わりだと。あとはまた特に何かあったら情報交換しようという程度でいくと、担任が変わったり、子供の環境が変わったり、また、今まで学級が離れていたけれども、また一緒になっちゃって、そこで勃発するということも間々ある。そうすると、校長の立場からすると、必ず学年が変わったときは、何か環境が変わったときに、これもいじめの定義とちょっと関係するんだが、いじめとは子供たちに言わないで指導する、軽微なものならいいかなと思いつつ、ある程度、これは重いなということについては、解消しても、絶えず教師の方が情報連携をしていかないと、事はかなり重くなるケースがあるということがある。だから、三か月という明記をすることによって、何、これは逆に違う部分での温床を作っちゃうんじゃないかなと、私は大変心配している。
 だから、一番大事なことは、解消の時期とか云々(うんぬん)もあるんだろうが、子供たちが再発をしないように、若しくはそういう温床を作らないような対応を組織としてやっていかなければいけないということだというふうに思う。そう考えたときに、解消の時期とか云々(うんぬん)という問題行動等調査の件もいろいろ、件数を出すためにある程度時期を絞らなきゃいけないというのがあるんだが、一番大事なところは、いじめというのは全くゼロにならないと私は思っているので、そうならないための組織をしっかり作っていくことだというふうに思う。
 だから、目安は目安でいいんだが、もしするなら、「ただし」ぐらいにして、情報連携については、重大事態等についてはしっかり継続して情報交換していくとか、そういうことを明記していかないと、ちょっと形だけの文言になってしまうかなというふうには思った。
【委員】  今の件につきましては、十一ページのところの、三か月ということが大分問題になっているけれども、いじめの問題というのは、三か月と限らず、その先まで続くような傾向もある。したがって、この三か月を目安とする、三か月の月数を外していただいて、その後にある、いじめの被害の重大性から更に長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、より長期の期間を設定するものとするとあるから、これを十分に生かされたらどうかなというふうに思う。
 それから、ちょっと前に戻るけれども、一番のところだ。一ページのいじめの定義のところで、非常に細かく書いていただいた。そこの中で、柔軟な対応による対処も可能であるが、事案を二十二条、対策のための組織へ情報共有することは必要となるとあるんだが、これはどのようなことを構想していらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたいんだけれども、それらが今の情報だから、長続きする、短期間で終わる、そんなところにも、この情報というものがどう生かされていくのかということがあるので、できればお話しいただければ有り難いと思うんだ。
【事務局】  これはどうして入れたかと申すと、例えば行為から行って、全く悪気はなかったんだけれども、相手側が苦痛を感じちゃった場合、法律上の定義でいじめになって、いじめとカウントすると。そのときはいじめ等は使わないで加害生徒の方に指導するんだろうけれども、そのときにも、それだけしか書かないと、これはいじめとして扱わないので、学校のいじめ対策組織とかに共有して、組織でしっかり共有して、早期対応をしなくていいんじゃないかと誤解されるかもしれないので、飽くまでも法律上はいじめなので、学校の組織に報告して、普通のいじめと同様に組織的に対応してくれよということを念のために書いたと、そういう整理だ。
【座長】  余り長くすると、ほかの論点が飛んでしまうので、少しこのあたりで整理しておきたいと思う。
 ただ、今いろいろな御意見を伺って、十一ページのところだが、最初の赤文字のところ、いじめが「解消している」状態とはというぐあいにここで定義してある。二つが要件になっちゃうと。ただ、これは「なお」書きを置いていただきながら、子供たち、教育的な状況からも、一定の解消というぐあいにみなさなければいけない事例が多く含まれているというような、やはり「なお」書きを書いていただきながら、その後、組織的に対応していかなきゃいけないと、問題を解消した後も、一定の解消の後はどうだということも書き加えていただくと、今までの御議論がかなり吸収できるかなと思うので、その点も含めて御検討いただければと思う。
 事務局、それでよろしいか問題行動等調査の問題だとか、振興基本計画の問題は、それで私はある程度、現実の運用としての問題としては、解消、あるいは一定の解消と言われるもの、両方を含みこみながら、やっぱり考えていかなきゃいけないかなと思っているので。
【事務局】  そのように整理をさせていただく。
【委員】  六ページと九ページのことでお伺いしたいんだが、学校への通報というのが、六ページの方は二十三条第一項の法文の中にこういうふうに書いてあるということで、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報と出てくるよね。これはこの学校に関係していない外部の人が学校に通報するという意味で、この法文自体があるのかなというふうに思うんだけれども、先ほどの御説明だと、その学校の中の教員、職員も、もしいじめがあることを担任だけが抱え込んで通報しなかったときに、違反に当たる可能性もあるという注意喚起をするというおっしゃり方があったと思うんだが、解釈の仕方としてどうなのか、ちょっと分かりにくいなと思った。
 それと、九ページの方は、傍観者とならず自らが学校への通報等というふうに、これは児童生徒さんたちが学校に通報することを赤字で加えられていると思うんだが、お聞きしたいのは、学校へというときの学校というのが、一体どこのことかというのがちょっと分かりにくい部分が、この二か所、特に通報ということだけれども、ほかにも学校はこういうことをすると出てきたり、ところどころ、管理者がとか、学校の設置者がというふうに、主語がいろいろなんだよね。結局、責任主体がちょっと分かりにくいことが懸念されるので、そこまで、全体的に整理がまだ必要なのではないかというふうに感じたという意見だ。
【事務局】  条文の解釈を整理させていただくと、資料一の六ページ目に書いてある通報というのは、これは学校内部の教職員の場合でも、学校への通報ということで書いておる。これは法律の文言の解釈だが、なので、条文上は通報ということで、学校の中の人でも、外部の人でも、子供でも、きちんと学校への通報ということを明記しておる。
 ただ、基本方針や通知で細かく具体的な行動を書くときには、学校の中の職員であれば、それを報告とか、情報共有というふうに言い方を変えておる。
 改めて文言は整理したいと思う。
【事務局】  今、委員から非常に重要な御指摘を頂いて、おっしゃるとおりで、学校と言われても、多分子供から見たら、結局、誰、どこという話になるので、なるべく学校いじめ対策組織を前面に出すということで、今回の改定をさせてもらっているので、本来、学校ごとの名称は、またいろんな名前がついていると思うけれども、法律上の名称は学校いじめ対策組織に統一して、看板があるかどうかは分からないけれども、担当している先生はこの人だというようなことを分かっていただくような、今回、改善もしているので、その方に通報する、お伝えするということで、分かりやすく整理をさせていただければと思う。
【座長】  今の事務局の発言に伴って、組織の役割のところで、単なる相談窓口というわけじゃなくて、そこではしっかりと通報を受け付けるということも明記していただくということが必要かと思っておる。
【委員】  現在、学習指導要領の見直しがされていると伺っておる。それで、この四月からがん教育が始まって、恐らく学校によってやり方は違うと思うが、道徳の時間を使って、命の大切さ、あと、医師会としては、がんという疾病に対する偏見をなくすことと、正しい理解を得てもらうということが目的となっている。この基本方針の中で、かなり道徳の授業の中で、思いやりの心とか、そういうことを入れるという言葉が出てくるが、この基本方針そのものが、学習指導要領に対して、そういったものを盛り込むという、そういった提言というものは可能なんだろうか。是非やっていただきたいと思うんだが、やっぱり教育そのもので、子供たちがお互いを思いやるという、命の大切さだよね。だから、がん教育と絶対離して道徳教育を持っていただきたくないので、できればそれをしていただければと思う。
 あと、もう一つ、五ページのところで、外部の講師というところで、医師という言葉が出ている。小学校、中学校には学校医の先生がいらっしゃるので、是非学校医という言葉も入れていただければと思う。医師会が相談を受けたのは、重大事故が起こったときには学校医の先生に参加していただきたいというお話を伺っているが、常日頃から学校医の先生との情報共有がとても大事だと思っているので、それを入れ込んでいただきたいと思う。
【事務局】  今正に御指摘を受けた方向で、審議のまとめの方には、道徳教育の充実も含まれ、また、体験活動などもあるけれども、そのようなことは、この動きだけではなくて、ほか、いろんな社会的な動きも鑑みて充実をしていく方向にあるところだが、さらに、今、省の中でも道徳教育の方で、いじめの題材というか、そういうものを、より具体的なものを扱って、正に心通わせる道徳教育というか、実践的に学び合うというような方向性の中に、このいじめというものを大きく捉えていこうという方向で、今進んでおるので、そちらの方でちゃんと受けてしっかりやっていくということで整理させてもらっている。
【委員】  大したことではないんだが、学校はという書き込みはいろんなところにある。学習指導要領も各学校はというふうに言って、どういうふうにしなさいという書き込みになるので、今、事務局の方から組織をしっかり書き込んだ方がいいかというお話は、むしろその方がいいかなと。我々教員との会議の中でも、あることを決めるときに、学校はどう考えるのかという聞き方だ。御父母も、保護者の方も、学校はどう考えるのかという聞き方だ。その場合の学校は、学校長はどう考えるのかということで、多分、頭は学校長であると思う。その辺、委員は、どういうふうにお考えになるか分からないけれども、私なんかは、学校はという書き込みは、学校長はというふうに読んでいる。
【委員】  私も全く同じで、「学校は」は、イコール「校長」として読んでおる。
【委員】  二十三条の一項の、先ほど解釈のお話が出たところだけれども、ここは内部の教職員も含むというところは分かるんだが、その場合、ここの二十三条一項というのは、学校への通報その他の適切な措置をとらなければいけないということで、通報以外の措置もあるというふうに読むんだと思うんだけれども、そういうことの中で、基本的には、特に外部機関、内部の先生でもあると思うんだけれども、子供が、誰にも言わないでと言って打ち明ける話を、どこまで通報するかというところで、もちろん了解を得ることができればそれにこしたことはないけれども、そうでなくてもしなきゃいけない場合とか、いろいろそれは事案の切迫度とか程度によってあると思うんだが、これは速やかにということで、当然、全部直ちに伝えないと報告義務違反になると言い切ってはいないんだけれども、あるというあたりで、逆にこのことが、子供が訴えることの、相談することをむしろためらわせるような運用になることだけは避けたいと思うので、何かその辺、通常の文言だけれども、子供の最善の利益だとか、百%、常に言っちゃうわけではないというようなふうにできないか。そこは、基本的には子供が嫌がろうと何だろうと、必要な情報であればもちろん集約しなきゃいけないわけだけれども、二十三条は外部の人も含めての通報という、条文の作りがそうなっているので難しい説明かと思うが、この表現にちょっと懸念があったので、御検討いただければというふうに思っているところだ。
 少なくとも最初の解釈としては、通報その他というのはそれでよろしいのかというのを確認したいと思う。
【事務局】  今、委員におっしゃっていただいたとおり、その他の適切な措置ということを書いておるので、学校への通報というのは一つ例示だ。その他の適切な措置をとるということで、例えば組織に通報せずにその場で対処するということも含まれる。ただ、そういうことも意識して、あえてここの項の部分で、ほかの措置があるよとか、一人で対処してもいいよというふうに書いてしまうと、情報共有の意義が抜けていくということもあって、今、明示するのは情報共有をする必要があると。特定の教職員が抱え込んで報告を行わないということは規定に違反し得るということで、可能性を書いている。
【座長】   そうなってくると、組織の役割のところだが、三ページから四ページにかけてマルで書いてある、黒の部分がある。三ページの一番下から書いてあるが、この組織の役割として、まず、先ほど申し上げたように、いじめの通報の窓口、これは当然必要になってくる。それと同時に、通報されてきたものを、いじめかどうかの事実を確認するという、この重要な役割があるんだ。それが全くここに明記されていないんだ。だから、全て皆さん方、先生方は、組織へ上げてくれ、組織へ上げてくれと言うんだが、判断の主体、事実上の確認、この主体がどこにもこの中に含まれていないので、それはやはりしっかりと明記しておいていただきたいと思う。
 そうすると、先ほどの委員のおっしゃった点も含まれてきて、軽重いろんなものがある、それはとにかく組織へ上げていくというルートが確立するだろうと思っておる。むしろ、そのルートを確立すること自体の方が、ルール化する方が、私はより重要だろうと思っておるので、その点も御検討いただいて、よろしくお願いしたいと思っている。
【委員】  先ほど、いじめの加害者、それから被害者、そのとき見ている傍観者、このお話があった。傍観者については国立教育政策研究所の生徒指導の資料にも膨大な中身があって、この傍観者についてはかなり重要な扱いをして、各方に流しておるので、傍観者の立場も何らか載せられる形がいいんじゃないかなと思うし、あやふやな傍観者もいるだろうし、的を射たような傍観者もいるだろうし、真意なものがそこから捉えることもできるので、案外重要な件じゃないかなと思う。
【委員】  先ほどちょっと出たけれども、九ページだが、一番下のところだ。いじめの被害者を助けるために、児童生徒に対し、傍観者とならず自らが学校への通報等のいじめを止めさせるための行動をとらなければならないことを理解させるというところで、傍観者への働きかけというのは、今、委員の方からも言われて、すごく大事なところだが、ここで、子供たちにいじめを止めさせる行動をとらなければならないというような、かなり強い言葉が出てきている。果たしてここまで要求する必要があるのかどうかだ。学校への通報といったところだ。組織に言いなさいよというようなところだと思うのだが、僕は、いじめの予防授業に行くけれども、ここまでできないよね、だから被害を受けている子に、一言「大丈夫」と言うだけでも、少し構造って変わってくるよというような働きかけをしているので、ここの扱い方はもう少しトーンダウンという言い方は変かもしれないけれども、子供たちの負担にならないような形が大事かなと思う。
 繰り返しになるが、傍観者も含めた上でのいじめというのは見ていかなければいけないし、さっきの解消のところでも、そこは含めていかなければというふうに思っている。せっかくここまで広げているのであれば、傍観者に対する関わりも、いじめ全体の解決も含めた中で、しっかりと取り上げた方がいいのではないかなと思う。
【委員】  いじめとか、そういうことの通報とか、いろいろあるけれども、現実的な、学校で子供たちがそういうことを口にするときというのは、例えば掃除のときであるとか、保健室に行ったときに、自分はやられていないけれども、何とか君はいつもパシリをやらされておるとか、何とか君、いつもこうやって言われておるとか、「菌」を付けて言われておるとかいうようなことを、保健の先生とか、そういうところの雑談で出てくるので、学校の、先ほどの委員会なんかに、先生、こういうことがあると実際に言ってくれる子供というのは、そういうことが主張できる子供でないと実際にはできないと思う。
 日常生活の中で、担任であるとか、副担任とか、いろんな先生が見ておられて、親しい先生のところで話しやすいときにそういうふうなことを言う。保護者が言うときには、まず担任にそういうことを言うだろうし、生徒指導の先生に言うだろうし、そこのところの得た情報をどういうふうに判断するかということで、先ほど座長からあったように、得た情報をどういうふうに上げていくのかというところで、聞いてそのままにしておくから、本来の情報収集にならないんじゃないかなというふうに思うから、ここの方で、通報するというふうなことは、例えば虐待の問題も、一般の方々も通報の義務があるんだよということで呼びかけるのと同じような形のレベルでいいんじゃないかなと思うけれども。実際の情報、通報がなかったからという形で学校の先生方が待っておられたら、そんな情報収集は僕はできないと思うので、もっと日常的なところで、子供たちと雑談の中で出てくる情報を敏感にキャッチされる必要があるんじゃないかなと思う。
 ただ、それはなかなか文言にするのは難しいと思うし、またほかのところで、情報は上に上げろというようなことを、学校の組織としてかなり細かく今回は書いておられるように私自身は思っている。
【委員】  今の部分、九ページの方で問題提起されておるけれども、十一ページで、いじめの早期発見のところに多分載っているはずなので、児童生徒のSOSをしっかり酌み取る体制を作るということであるので、恐らくそちらの方を中心に考えれば、確かにこの文言、生徒、児童、子供たちが見逃さないような形での指導は必要だろうし、でも、ちょっと負担を強いるような受け止め方もされる。むしろ学校側の立場に立っての早期発見についての部分を、多分同じことだと思うので、ちょっと見つからなくて申し訳ない。
【委員】  自分の中で非常に悩んでいる点があって、全体の中に時期的な問題を入れた方がいいのか、入れない方がいいのか。例えば先ほども話題になっていたが、いじめ防止に対するときに、年度をまたいだときというのは非常にいろんなものが起きやすい。また、長期休業の後には重大事態が起こるという数字も出ているね。だから、長期休業の後とか年度をまたいだときには特段の配慮が必要だよという文言を入れた方がいいのか、逆に入れてしまうことによって、そのときだけやってしまう現場が出てしまう、そういう心配がある。ただ、私、実際に学校経営をやっていて、年度をまたいだときと長期休業の前後は必ずいじめや重大事態の情報を教員には提供している。そうやって予防をしていかないと難しいとは思っている。
 ただ、こういった国が出す大きなものなので、出したらいいのかなと、ちょっと今悩んでいるということをお話しする。
【座長】  ただいまの御意見に関して、私も講演でよく申し上げるんだけれども、予期的予防という考え方がある。これは、学校で基本計画を立てる、そして年間計画を立てていく、その年間計画で、単なる研修の回数だとか、アンケートの回数だけじゃなくて、この時期はこういうことが比較的、我々の学校として実情に照らしてみると起こりやすいよと。もちろん共通の項目もある。今おっしゃったように、学年の、ちょうど年度の移行期、それから長期休業の後、あるいはいじめのさや当てが四月あたりは起こって、だんだんターゲットが絞られてきて、六月、七月で大きな事件が起こってくると、いじめの被害者の特定化が起こるとか、こういう流れを一応読み込みながら、年間の計画でこういうところは留意しようよという、学校の基本計画のプログラム、年間計画のところを盛り込んでいっていただかなきゃいけない、予期的指導の在り方というか、そういうものは、ひとつこれから注意を喚起していただくというか、それが必要だろうなと思っておる。
【委員】  私は、全体を見させていただいて、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーの配置について言及していただいたりとか、あと、インターネット上のいじめについて明確な対応を明示していただいているとか、非常に分かりやすく、現場にとって有り難い内容になっていると感謝している。
 一点、学校評価の部分について、二か所、いじめの認知件数とともにというのが、ページでいうと、三ページにあるかと思うんだけれども、学校評価における、認知件数とともにということで、最初にここで初めて挙げられるんだけれども。ちょっと質問になるんだけれども、認知件数というのは、評価の目標として、私は件数の数というよりは、むしろ早期発見であったりとか、見落とさないとか、そういったことがテーマになると考えているんだけれども、一言で言うと、認知件数を学校評価に加えるというのが非常に違和感があるというふうに、本当に細かい話で恐縮なんだけれども、そこだけ確認させていただきたいと思う。
【事務局】  認知件数というのは、文部科学省の、例えば各地域によって、児童生徒千人当たりの認知件数、かなり差があるということなので、しっかり細かいいじめを見逃さないで認知できているかという意味で書いたんだが、確かにおっしゃるとおり、これだといじめの認知件数が多いからいいのか、少ないからいいのか不明確なので、細かいものも含めてしっかり初期段階で認知しているかどうかという趣旨で入れたんだが、ちょっと言葉足らずなので、文言を検討したいと思っておる。
【座長】    要は、とにかくぶれのない指導、一貫したいじめの指導ができているかどうかに関わるところだ。認知件数の問題じゃなくて、認知の仕方のぶれそのものに非常に大きな問題が含まれているだろうと。その辺あたり含めて御検討……。
【委員】  もう一点、ここに書かれている対象というか、九十%学校というものが組織であったりとか、起こり得る場面でもあるし、対応しなければいけないということは当然なんだけれども、ただ、インターネットの情報化社会の普及であったりとか、あるいは、一部あるんだけれども、塾とかスポーツクラブとか、要するに学校外で起こっているいじめについての、なかなか把握すること、あるいは解決するための組織というのが、恐らく当該の学校だけでなく、複数であったりとか、場合によっては小学校、中学校をまたがっていたりとか、そこの部分が少しあればいいなという程度なんだけれども、組織的な対応が、現状、非常に難しいし、これからそういったカテゴリーの中でのいじめが起こってくるのかなということは予想されるので、是非そういったことも、ここに載せるか載せないかということではなくて、検討していただけると有り難いなというふうに思っている。
                                  ( 休憩 )
≪議題(二) 「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」について≫
 ※事務局より資料二の説明。
【委員】  幾つかあるんだけれども、まず、このガイドラインと、先ほど来言っている基本方針との関係だけれども、重大事態のところは、結構基本方針にも書き込まれたり、今回のところもあると思うんだが、例えば重大事態の対応というところ、A三の方の十三ページのところでは、事例等を挙げるというところについて、別紙というふうになっておって、きょうの資料二の一枚のものは、ガイドラインの方の資料となっていると思うんだけれども、そうすると、基本方針との関係からすると、そこに書いてあるよというようなことを付記していただくとか、何かそういう形でのつながりが欲しいなというのが一点だ。
 あと、若干ずれがあるかなという、ずれというほどじゃないんだけれども、重大事態の、どういう場合が当たるかというところについて、保護者等からの申出のところについて、基本方針の方には大変重要な情報が入っていることが多いから、ないと断定することができないというところまで付加して書いてあるんだけれども、逆にというと言い過ぎかもしれないが、ガイドラインの方は、四ページのところで、全てではないよという感じで、ただし書のところが入っているので、温度差というほどではないかもしれないけれども、ちょっと感じるので、先ほど口頭でちょっと補足いただいたんだけれども、結局ここでマイナスの判断が入らないような表現ぶりを、もう少しガイドラインの方は考えていただきたい。それと、いつも問題になるんだが、重大事態に至ったという表現をする必要はもちろんないわけで、こういう被害と言えばいいんだと思うんだが、そのあたりがここの中でも重大事態に至った申立てということが繰り返し使われているので、現場において、一万円だとか十万とかいうんじゃなくて、重大事態と言わないと取り上げてもらえないみたいなのを聞くので、そのあたりは分かりやすくしていただけたらいいかなというふうに思っておる。
 あと一点だけなんだが、二ページ目の、基本的方針のところ、基本的姿勢のマルの三つ目のところで、二行目以下だが、何が目的かというところに、いじめの全容解明と再発防止という二つだけが書かれておって、保護者への報告等のときには、当該事態の対処というのも目的に入っている。例えば自殺事案であればこうかもしれないが、それ以外については、この二つ目が重要なので、入れていただくという、被害者側に対する目を見ていただきたい。
 終わりと言いながら、もう一つだが、全体の書きぶりとして、これは学校に対するガイドラインなので、こういうことを言うと信頼を失うとか、やってもらいたいための説明が入っているんだけれども、これも恐らく全般的に公開されるものだと思うんだが、例えば調査自体の人選についても、これこれで被害者が納得しないときにこう説得するとか、そういうスタンスというのは、そのこと自体ごらんになったら傷つくと思うので、こういう基準が必要だという書きぶり、今までに出ている自殺事案の対象、拝見すると、みんなそういうふうに注意した客観的表現になっていると思うので、素案で、書きたいことが全部入っているという状況だと思うが、目的は学校に使ってもらうとしても、そういう方々もごらんになるという目で見直して、書きぶりを御検討いただけるといいかなと思った。
【座長】 ただいまのことに関連して、一つだけ私も付け加えさせていただきたいんだが、重大事態に至ったという問題だ。これは非常に微妙なところを含むんだけれども、第二の方は重大事態の疑いを把握する端緒という、疑わしい場合が入っている。その次の、重大事態の発生報告に関しても、重大事態の疑いのある案件を含むということを明記しておいていただかないといけないだろうと思っておるので、ちょっとその点、御留意いただきたいと思う。
【委員】  委員のお考えと大体同じなんだけれども、もう一つ、書きぶりが気になったところがある。六ページの上、第三者委員会を設けた調査を実施しない場合ということの最後に、関係者それぞれが納得している場合は、改めて第三者委員会を立ち上げて行う調査をする必要はないというふうに断言をしているんだが、やはり納得というのは客観的に判断するのは難しい場合も多々あるし、納得したように見えても納得していない場合もあるわけだから、ここは様々対応していく中で、全部調査しなきゃいけないかどうかについては、考える余地はあるかもしれないが、必要がないということではなく、飽くまで必要性を十分判断してやっていくことが原則だということを書きたいんだというふうに逆に思うので、そういう記載にしていただいた方がいいかなというふうに思う。
【委員】  まず、四ページ、先ほど委員がおっしゃったところを、付加してお願いしたいところなんだが、ただし書のところだ。訴えがあれば全て「疑い」が生じるものではない。その後の、心身や財産への被害が生じていないなどとあるが、この判断は学校側がすべて行うことになるわけだ。一方で、被害を受けた側(がわ)は、学校が把握していないものをいっぱい持っている。そうすると、実際は少なくとも疑いがあると言える状態であるにも関わらず、学校が被害は生じていないので「疑い」は生じていないと判断してしまい二十八条の重大事案として取り上げないということが本則になってしまう危険が非常にあると思うんだ。私としては、訴えがあった場合には、基本的にはそれは疑いがあるんだということで二十八条の重大事案としてしっかりと受け止めるといったスタンスがまずあるべきではないかと思っている。ここは少し御検討いただくべき必要があるかなと思う。
 それから、二点目として、八ページ、六番の調査結果の情報提供は非常に難しいところがある。特に被害者側への情報提供と、個人情報の保護というところでの抵触、これは実務上、トラブルが、一番大きいところではないかなと思う。特にアンケートの原本開示のところだ。私は大津の件をやったけれども、アンケートの中に含まれている情報は非常に重要なものがいっぱいある。その内容を被害者側と共有できるかどうかといったところが、ボタンのかけ違いのスタートになってしまう危険性があると思うので、ここの取扱いは、今ここに書かれたものを原則としてやっていいのかどうかは、非常に難しいところがあるのではないかなと思う。
 例えば、筆跡について、タイピングし直すとかといったことだけれども、原本との相違はどこにあるのか、ないのか、その確認はどうするのかといった問題とか、非常に重要な情報が出てきた場合に、それは誰が言っているのかという問題が生じた場合には、第三者調査委員会が調査して、子供から直接話を聞くというのは、当然しなきゃいけないことだと思うんだね。その部分がもしかしたら、このような取扱いをすることによって、調査が十分できないという危険性がないのかどうか、そこは非常に丁寧に扱う必要があると思う。
 それから、「また」以下のところも非常に重要で、アンケートを含めた書類の保存のところで非常に問題が生じている。どのぐらいの期間、保存しなければいけないのか、よく言われているのは、卒業するまでは必ず保管しろ、あるいは、本当は卒業してからも、やっと卒業したので訴えを言うことができるというようなケースもあるので、卒業してから数年の保存ということも、僕は必要ではないかなと思っている。ここの規則の制定はしっかりとしていただきたいところだ。
 それから、三点目だが、十二ページのところだ。加害児童生徒の氏名の公表についてだが、これも先ほど申し上げた個人情報との関係でいろいろあると思うんだけれども、例えば重大事案が生じていて、最終的な調査の結果、重大事案に該当するとなると、加害生徒の氏名等を含めて、関係者の氏名は分かるけれども、例えば住所とか、そこら辺の開示ができるのかどうか、そこも被害を受けた側(がわ)からすると非常に重要なものだと思う。加害者側から同意が得られない限り、情報提供できないということで、果たしていいのかどうか、ここのところも一つ検討する余地があるのではないかなと、個人的には思う。
 最後だ。十三ページだ。第十の再調査のところだ。前回に比べて、二点、付加していただいたところ、非常にいいことかなと思うのだが、例えば、調査によって新しい事実が明らかになったという場合は該当するのだろうか。その点については事前に調査事項にするといった合意はできていないわけだ。しかしながら、非常に重要な事項が明らかになったにも関わらず、そこの調査が不十分だったのに何も言えないのはどうかといった疑問がある。その場合に再調査ができるのかどうか。一と二と両方にかかっていないんじゃないかなといったことも危惧するので、そのような場合でも再調査すべきであると私は思うので、それも一度御検討いただければなと思う。
【事務局】  委員の方がよく御存じだと思うんだけれども、個人情報保護といじめ法の関係、非常に難しくて、主に公立学校で言えば、都道府県の個人情報保護条例、あるいは市町村の個人情報保護条例だと思うんだが、それの規定ぶりも、あるいは解釈も様々だと聞いておる。また、国の方でも、行政機関の保有する個人情報保護法あって、それの所管官庁あるんだが、基本的に自治体の条例の解釈については、なかなか国としては示すことは、一般的には適当でないというふうに言われておって、そういうことで、私どもとしては、個人情報保護条例に照らして、各市町村の個人情報条例担当部局とよく相談した上で、適切にやってくれとしか、今のところはなかなか難しい問題だが、言えないのかなというふうに懸念しておる。
 実際、加害者の名前についても、条例の解釈上、提供できると判断した自治体もあると聞いておるし、そもそも言えないという解釈をしている自治体も、両方ともあると聞いておるので、将来的には、これは全く私見だが、本当にやるんであれば、国の法律で、いじめ法に基づいて、被害者に対して加害者の名前をしっかり提供することができるということで、書き込むしかないのかなと。これは個人的見解だが、ということで、今の段階が目いっぱいだと事務局で考えておる。
 タイプの話、筆跡の話も同じだ。
【委員】  まず先に別紙の方で、マル四番の精神性の疾患を発症した場合というところで四点書かれていたんだけれども、そのうちの下の二つは、いじめの行為が書かれているが、精神疾患の発症自体ではないんだよね。ちょっと分かりにくいように思うんだ、例示として。こういうことも重大ないじめだよという趣旨は分かるんだが、この位置に来るのが少し分かりにくいかなと思ったので、書き方を御検討いただけたらと思う。
 あと、同じく例示のところで、軽傷で済んだとか、一万円ぐらいでも重大と捉えるんだという御説明だったと思うんだが、読み方が、自殺を企図したが軽傷で済んだというよりも、軽傷とはいえ自殺企図があったというふうな、重みづけの仕方によって捉え方が違うかと思うので、少し工夫していただけたらと思った。
 それと、どこかにあったのかもしれなくて、私が見逃しただけかもしれないんだが、いじめの場合、通常、もちろん加害者は同じ生徒さんということだと思うので、被害者だけじゃなくて、加害者を調査するというときは、それは生徒ということになると思うんだけれども、担任の先生とかの扱いというのはどんなふうになってくるのかなということ、あるいは部活の顧問の先生とか、先生がいじめたという言い方はもちろんしないと思うんだけれども、聞き取りをするということは当然あると思ったのと、重大な事案が起こって、うちのクラスの子供たちにいじめがあったとなると、その担任の先生の心情はかなり微妙なものがあると思うんだ。一生懸命やったけれども、結果的に重大事案になってしまったということで、その先生自体の精神的なストレスというか、自分自身も白い目で見られるんじゃないかというふうな思いとかもあると思うので、学校の中で、その先生を職員としてきちんと守るという体制も一方で必要かと思うし、また、一方で真摯に担任の先生にも対応していただくということも必要かと思うのだが、そういったことがどういうスタンスで書けばいいかちょっとよく分からないんだけれども、ガイドラインの中にしっかり入っている必要はあるのではないかというふうに感じたので、やや無責任な表現になるんだが、一応意見としてお伝えさせていただきたいと思う。
【委員】  今のことに関してだけれども、資料二(別紙)、マル二が、心身に重大な被害を負った場合だ。この場合は身体のことだけで、心のことが書いていないので、これ、最初の頃、私、申し上げたんだが、精神性疾患という判断は非常に難しい。だから、精神的な症状を発症というのは心身の方に入れてもいいんだと思う。ストレス障害とか、あと、心因反応だね、これも別に精神的な疾患ではないので、そこをうまく使い分けていただいた方が分かりやすいと思う。
【委員】  先ほどのアンケートのところだが、この書きぶりだと、書いた子供の同意がないと開示できないというふうな形になるよね。例えばアンケートをとるときに、これは開示前提なんだといったところでアンケートをとりなさいというような方向もあると思うんだ。そこのところも書いておいていただいて、どちらを選択するかというのは、学校と被害者側のやり方で、いろいろ変わってくると思う。その場合に、開示を前提とするといった場合に、子供たちだけに知らせればいいのか、それとも親まで知らせるのかとか、そこはいろいろあると思うが。今回の書きぶりの場合だと、基本的に開示できないということを前提でアンケートをとるような形になっていると思うので、そうじゃないケースもあるので、そこは今申し上げた、事前に、これは開示することを前提に書いてくれというアンケートのとり方もあるといったところを明記しておいていただければなと思う。
【事務局】  今の部分は、資料の二の九ページで、九ページ第六の(一)の一つ目のマルに、アンケートについては、被害児童生徒又はその保護者に提供する場合があるということを、予(あらかじ)め、調査対象者である他の児童生徒及びその保護者に説明して、承諾を得た上で実施することとなっておる。この場合は、その同意を得た上で書いたものは提供できるんだということになると思う。
【委員】  そうしたら、八ページの六のところにも、そこと関連付けていただいた方が分かりやすいと思うので、お願いする。
【事務局】  分かった。
【委員】  九ページの被害児童生徒・保護者のケアというところなんだが、そういう不安定な状態にある方々に対して、当然専門機関でのケアが必要だろうと思う。ただ、そのときに、リファー、紹介するだけじゃなしに、そういう専門機関と協力し、連携し、その人たちのケアに努めるというのが、私はスクールカウンセラーなので、紹介すれば終わりということではないので、積極的に紹介もしていくけれども、専門機関も利用して、その人たちへの支援をしていきたいということが多少あるといいかなと思った。
【委員】  実務的なお話なんだが、被害者、保護者が調査、公表を希望しない場合の取扱いなんだけれども、二ページの基本方針では、被害者、児童、それから保護者が、要するに明らかにしないことを希望する場合だと思うんだけれども、その場合の調査を工夫しながら進めるということが書かれているんだけれども、なかなか現実にその場合だと、職員の調査までにとどまるのかなということで、それ以上の工夫が、何か具体的に考えておられるものがあれば教えていただきたいということ。それから、九ページに、被害児童生徒以外の保護者、児童に伝えることを保護者が望まない場合ということで書かれているわけだけれども、この場合の学校の対応としては、学校が自ら対応を振り返り検証すると。ここの対応と基本方針の工夫のところとのつながりがどうなっているのかということ。二点目としてお伺いをさせていただきたいと思う。
 その上で、その後の記述が、どちらかというと、「自明ではあるが」以下が、事案が明らかになって大変だから公表しない方がいいよみたいな言い方は止めてくれと、これは当然なんだけれども、逆にこういうことが二度と起こらないために公表させていただきたいと、言いぶりは非常に難しいと思うんだけれども、何かそういった事例として説得的な事例があればお聞かせ願いたいという、三点、お聞かせいただければと思う。
【事務局】  まず、二ページ目と九ページ目の書きぶりの分け方は、原案としては、二ページ目はしっかりと被害児童生徒や加害児童生徒とか、ほかの児童生徒とかの聞き取りもすると。ただそれを大ごとにするとか、公表しないやり方もあるということなので、それを示したものだ。九ページはほとんど同じことなんだけれども、実際に公表するかどうかというところの時点に立って、これは最初から公表を望まないということを被害側が言っている場合でも、そこで学校側の対応を止めるということがないように、対応を振り返り検証することが必要になるということで書いてある。ここの部分、もう少し整理して書きたいと思う。
【座長】  私の方から事務局に対して質問と、それから修正提案だが、まず、二ページ目の基本的姿勢のところだ。これのマルの二つ目、最後のところにもずっと関わってくるんだが、説明責任という用語を使っていらっしゃる。これを果たす覚悟をもつことという、非常に強い言い方になっているんだが、基本方針を作るときにも、説明責任という言葉、非常にこれは議論になったところだ。その法的根拠と言われるものがない、あるいは知る権利についての位置付けというものがないままに、説明責任というのは非常に重い言葉として出てくるので、基本方針では説明責任という言葉は使わずに、適時適切に説明を行うとか、そういう言葉で表現したというのが私の記憶なんだ。
 これで、あえてまたここのところで、説明責任という言葉を取り出してくるということに関して、どういうぐあいに解釈していらっしゃるのか。あるいは皆さん方がどういう御意見をお持ちなのか、またこれをやり出すと大変な議論になってくるだろうと思うが、この点に関してお伺いしたいというのが、まず一点目。
 それから、三ページ目、先ほどの事例のことで、最後の重大事態の範囲のところで、誤った重大事態の判断を行った事例等の事例だ。これ、一番と二番、よく読めばしっかりと弁別できるのだが、一番目のところは、あえてこれをどこかに、例えば下から四行目の、欠席日数が三十日に満たないため、不登校重大事態ではないと判断し、一号に相当するにも関わらずとかいう、しっかりと一番と二番との違いを明記していただくという方が、現場にとっては分かりやすいかなと思う。
 それから、四ページ、先ほど委員からも出たが、「ただし」のところで、訴えがあれば全て「疑い」が生ずるものではない。これはいいんだが、明らかに、児童生徒や、内容に係る被害が生じていない場合という、この生じていない場合は、一応、事実確認の上という文言を入れていただく必要があるだろうと思うその点については、だから学内での調査等もあり、被害、加害への聞き取りもありということも含めていただければなと思っておる。
 それから、七ページ、人選についてだ。これはいろんな方々の御議論を頂きたいと思っておるが、いきなり半数以上とか、あるいは半数ということが前提になって人選についての注釈がついておる。しかし、調査というのは、そもそも目的が事実関係を明らかにするための客観性を担保するために中立性と公平性というのが立てられているわけであって、何も利害と加害、双方が半々である必要もなければ、そういうことにこだわって調査委員会を作ること自体、非常に問題だと思っている。むしろ被害、加害の、もちろん現実に大津市の事件以来、半数を含めるとかいうことが慣例になってしまっているので、我が国の調査委員会は、ある意味では被害者主義というか、こういうものが非常に前面に出てくる結果になっておる。そこのところは、調査委員会というのは、そういうものを超えた専門的な知識を持っている人たちによって構成される。だからこそ職能団体というのが推薦の母体になっていくということを考える必要があるので、いきなり半数、過半数という、数の議論が、明らかに半数を占めるだとか、入ってくるのが当然だという、双方の利害を図るということになるとすれば、加害側の保障はどこに行われているんだろうということもある。単に教育委員会、学校と被害者との関係しか、そこには組み込まれていない、そういう調査委員会になってしまう。これは非常に問題があるところだろうと思っているので、これは慣例になってはおるが、私自身はここのところはしっかりと、公正あるいは公平、あるいは中立性ということを最初に掲げていただきながら、人選は利害を代表するものではないということをしっかりと明記していただくということが、大前提として必要だろうと思っておる。これは皆さん方の御意見も頂きたいところだが、個人的見解だ。
 それから、全般に、被害者側の視点が非常に強く入っておるが、加害側の、例えば通常訴訟だと、決定に対しても不服申立てだとかいろんな仕組みがあって、被害、加害の双方の権利を担保していくというのが通常のやり方だろうと思うんだ。ところどころでは入っておるが、例えば調査に当たってのところだが、調査の経過の中で、最終的な公表の段階に至るまでに、加害側の意見を聞いておくということは必要だろうと。何もそれは同意するとか、そういうものではなくて、主張そのものは、やはりどこかで聞く機会を入れていく必要があるだろうと思っておるので、その点も、加害側への配慮も、ステップ、ステップの中で、書いてあるところもあるんだけれども、ないところはそれを明記していただくのが、バランスのとれた調査の進め方だろうと思っておるので、この点も一度御検討いただきたいと思っておる。
  あとは、説明責任だけ、お願いする。
【事務局】  説明責任の部分の回答を申し上げる。
 今、いじめ防止対策推進法の第二十八条では、重大事態への対処ということで規定しておる。その二十八条第二項で、学校の設置者、学校は、重大事態の調査を行ったときは、いじめを受けた児童、その保護者に対して、重大事態の事実関係その他の情報を適切に提供するものとするということで書いておるので、座長おっしゃったとおり、適切にというところが法令なので、そこに合わせたような形でしたいと思っている。
【委員】  今、座長から、第三者委員会の性格というか、公正のお話があったと思う。最近、学校法人でいろいろと不祥事というか、不始末を犯したときに第三者委員会を設置するということは随分煩雑になってきている。その場合に、どうしても結論ありきの第三者委員会の構成が、どうも各法人でなされているように私は思うので、構成員をどうするかという視点はとても大事なことだと思うので、御審議いただければというふうに思う。
【委員】  今の座長提案も非常に重要なところで、私は大津の委員をやったが、私は一応市側の推薦みたいな形になったけれども、大津のことを申し上げると、遺族側ということで弁護士と、あと、学者二人出たが、最終的には大津市長の委嘱という形で、スクリーンがかかっているので中立性が担保されていると、私はそういう委員会だと思っているが、周りから見ると、遺族側推薦、市側推薦ということになると、対立構造になっているんじゃないかとか、危惧がすごくあるので、そういう意味では中立性の担保ということは非常に重要なことだと思う。
 一方で、最近、遺族側の人たちといろいろ話をすると、今まで遺族側の意向が全然加味されていなかったと。大津の件によって、初めて遺族側の方の意向が取り入れられて、この法律ができたと、そういう意味では、遺族側の方に少し、言葉は適切じゃないかもしれないけれども、ある程度偏っても、そこで中立性は担保されているんじゃないかといった議論も、遺族側の方々からは、文科省にもいろいろ出ていると思うので、そこの均衡はいろいろあると思うんだが、私が委員をやった経験からすると、やはり職能団体の方からしっかりと推薦を上げてもらって、その段階で、例えば亡くなった事案であれば、御遺族といろいろ話をするとかいったところは、一回はしなきゃいけないと思うんだが、そこの中立性が非常に大事なと思うので、それはしっかりとこのガイドラインの中にも明記されることが大事ではないかなと思う。
 その点については、御遺族の団体とのすり合わせもいろいろあると思うんだが、そこら辺は非常に大事なところだと思うので、よろしくお願いしたいと思う。
【委員】  先ほど来議論になっていた、資料二の、精神性の疾患とかが発生しているかしていないかというところだけれども、基本的に、そもそも重大事態の疑いということなので、実際に起きた、障害なり何なりから書いている部分と、こういう場合については、そういう事態が生じているであろう疑いと、それは一緒くたになっている。そもそも二十八条の条文はとても読みにくくて、被害が生じた疑いがあるというときを重大事態と言っていて、重大事態の疑いなのか、重大事態か、なかなか読みにくいところなんだけれども、通常の要望としては、起きたこと自体を重大事態と捉えるということが、皆さんの御理解に近いと思うので、それはそれでいいと思うんだけれども、ちょっとその辺の混乱が、たてつけとの関係からしても出てきていると思うので、具体的にどういう、診断書が出てくるかではなくて、そういうことがあって、重大な被害が起きている疑いがあったら対応するんだというところが明確になるような。ちょっとここの書きぶりで工夫いただけると思うので、こう書けばいいという代案は出せないで、書きぶり、考えてくれと、申し訳ないんだが、そこをお願いしたいと思う。

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