平成28年度第2回いじめ防止対策協議会(概要)

平成28年8月22(月曜日)15時~17時
文部科学省3階 3F1特別会議室
1 資料2「法施行後に発生したいじめが背景にある自殺事案」についての説明(事務局)
2 資料1「いじめ防止等対策における組織的対応について(論点ペーパー)」の説明(事務局)と協議


(主な意見)


【いじめ問題への組織的対応(問題の抱え込みの防止等)】

○福祉施設や病院等では、インシデントレポートという「ヒヤリハット報告」が日常的に行われている。それは、責任を追及するのではなく、情報を共有する中で対応を職員間で検討するものである。いじめの対応についても、このようなシステムが大切である。
○学校のいじめの抱え込みを防ぐためには、教育委員会の担当指導主事が率先して学校を訪問し、学校教育を支えていこうという姿勢が出てくることが重要である。
○部活動では顧問は1人か2人であり、部内の情報を共有する場が少ない。部活動については、今後、どのように情報を学校全体に共有していくかについて、検討が必要である。
○いじめが起きるのは教員の指導力不足ではないと校長が職員会議等で言い続けることが大切であり、同様に教育委員会は、学校長の指導力不足がいじめを発生させるものではないことも伝える必要がある。
○いじめが指導力不足で発生するものではないという意見が出ているが、やはり発見できないことや、発見しても報告を上げないということは、指導力不足以外の何物でもないと思う。校長が、報告を上げることや、いじめを発見したら速やかに相談することなどを教員に周知し、いじめが発生したこと自体が教員の指導力不足を問うものではないことを丁寧に伝える必要がある。
○教員は、日常業務が多忙であり、様々な業務における優先順位の付け方が誤ってしまうことも想定される。いじめへの対応では優先順の誤りが大きな問題に発展することがあり、管理職は適切に指示する必要がある。
○教員が校内でペアを作り、問題があった際に相談をして複数で報告をするような体制にすると組織に情報が上がりやすくなるのではないか。
○教員の勤務時間は7時間45分(小学校の一例 勤務時間は8時15分から16時45分。一般の会社や公務員のように昼の休憩はなく、15時45分から16時30分までの45分間を休憩時間にして、その後15分間勤務。子供の指導は、15時30分まで)学校にはいじめの問題以外にも健康指導や学校安全などの様々な委員会があり、それぞれが重要であるというが、勤務時間内に位置づけるのが難しい。先生方は勤務時間外でも、土日など、遅い時間まで働いているが、校長としては、責任をもって対応するためにも、勤務時間内で委員会の会議を開催しなければいけないと考えている。
○いじめは布団の中で行われているといわれる(SNS等を、夜中、布団をかぶって行っているため)。そのような状況で起きており教員が気付くことも難しい。教育の第一義的な責任は家庭といわれるが、保護者がしっかりと監督、見守りを行わなければならない。
○保護者もいじめ問題に関わるという点に関して、学級懇談会は、どちらかというとワンウェイになっているケースが非常に多い。参加はしているけれども、保護者が発言できる機会が非常に少ない。そんな中、保護者を小グループに分け、司会者も学級役員等がやることで多くの方が発言できるような取組を行っている例がある。
○学校はどちらかというと閉鎖的な印象がある。もう少し地域にオープンになって、「世話焼きおばさん」のような方もいるので、そういう方々の力も借りて子供たちを見守ることが大切である。
○「チーム学校」の考え方を学校現場で早期に実現することが大切である。現在、全国的に退職された先生方が非常に多くいる。こうした方々を活用し、授業を持たず、生徒指導を担当する職員を学校に配置することが、いじめの組織的な対応の方向付けになると思う。


【学校いじめ防止基本方針について(機能させるための方策、保護者等への浸透)】
○過去のいじめの事例について報告書を読んだ上で、具体的ないじめが発生した事態をシミュレーションをすることも大切だと思う。学校として防災のための避難訓練と同じように、危機管理の意識を持って、例えば、弁護士(スクールロイヤー)なども加えて会議を行うと活性化すると思う。
○学校いじめ防止基本方針を、もう少し実践的なものとしていく必要がある。常に持って歩く地図のように基本方針をいじめ事案への対応で当てはめていく工夫が必要である。
○保護者に学校いじめ防止基本方針を浸透させるためには、様々な方法により重層的に行うことが有効である。どこかで目にとまることがあると思うので通知はもちろんホームページやPTAの方からお伝えしたり、地域の回覧板を使ったり、同時に様々な方法を試みることが有効である。
○保護者会で担任の教員にいじめ防止基本方針を説明させる場を設定すると教員の意識が変わる。教員が保護者に説明するために基本方針を理解するようになる。それが、生徒への指導の中で、その基本方針をベースにして指導を行うことにつながっていく。


【地方いじめ防止基本方針について】
○地方いじめ防止基本方針について努力義務となっているが、世間一般には、「やらなくてもよいがやってもよい」というような印象を受ける。もちろん地方自治ということがあり、それぞれの地域特性などを加味して、裁量に任せるという発想も重要だとは思うが、一方で、国の姿勢としてはどうかという思いがある。
○地方いじめ防止基本方針は、策定を義務づけるよりも、なぜできていないかを一緒に確認し合いながら策定に向けて支援していくことが大切だと思う。このようなスタンスでそれぞれの地域に合った基本方針の策定を促していくことが重要である。地域が自主的に行う余地を全て奪うというのも問題である。
○いじめ防止対策推進法では、地方いじめ防止基本方針は、「定めるよう努めるものとする」とあるが、国の基本方針ではこれを「定めることが望ましい」と表現している。現在、全ての都道府県で基本方針が策定されているが、市町村にも、しっかり伝えていくことが大切である。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

メールアドレス:stop-ijime@mext.go.jp

-- 登録:平成28年09月 --