【資料3】ヒアリング等資料(2)

東京学芸大学国際教育センターの取り組みから

東京学芸大学国際教育センター 菅原雅枝

1.国際教育センター主催研修会の概要
●JSLカリキュラム実践支援事業として開始、事業終了後も継続
●現在の研修会
(1)JSL研修会:学芸大学にて年3回開催。 センターがプログラムを構成。
      典型的なプログラム構成(平成23年より)
        JSL1 外国人児童生徒教育の基礎知識(講義)
              現状の課題の共有と相談(分科会)
        JSL2 JSLカリキュラムの考え方(講義)
              授業づくり(分科会)
        JSL3 JSLカリキュラムの授業実践(報告)
              指導案検討会、実践報告会(分科会)
(2)サテライトセミナー:教育委員会との共催により実施。年1~2回開催。プログラムは共催先の教育委員会の要望を受けてセンターが構成。
       A)義務教育段階
              外国人児童生徒の現状と課題(講義)
              当該地域の取り組み(報告)
              【授業づくりコース】授業づくりの考え方(講義)
                                  ワークショップ
              ※ 授業づくりを2日間コースとした際は、ワークショップ前に実践報告を、ワークショップ後に成果のポスターセッションを実施した。
              【体制づくりコース】パネルトーク(担当教員、支援者、元JSL児童生徒)
                                  グループワーク
       B)高校段階
            JSL生徒支援の視点、JSLカリキュラムの考え方(講義)
            【授業者コース】JSL高校生の学習上の課題と支援の工夫(講義)
                            授業づくりワークショップ
            【管理職コース】学校体制づくり(分科会)

●参加者
(1)JSL研修会
     誰でも参加可能(ただし、第1回に関しては「はじめて日本語教室を担当することになった教員を想定した研修」であることを明示)。参加者は教員、支援員(まだ支援をしたことがない人も)、管理職、指導主事、学生、研究者
     【参加者の変化】
       ・支援員から教員へ
         ⇒ 平成23年から第1回を「担当初任者のための研修会」と位置づけ、教育委員会を通して周知を図る。
         ⇒ 第1回出席者が引き続き参加、後任担当者にも引き継ぐ
       ・教育委員会指導主事、管理職の参加/中学高校指導者の増加
         ⇒ 第1回研修会で「管理職グループ」、通年で「中高グループ」の設置が可能に
       ・教科指導希望から日本語指導希望へ
         ⇒ 初期指導を教員が担当するケースが増加?
       ・「担当経験の短い教員」の増加
         ⇒ スキルアップから基本情報提供の場へ  ← 検討課題
(2)サテライトセミナー
     日本語教室担当者、一般教員、管理職、支援者等

2.JSL研修会参加者のアンケート・コメントから見えること
●立場によるニーズの違い
  ・教員:日本語指導の方法/校内体制づくり/家庭との連携
  ・支援者:教科指導の方法/教員との連携
  ・管理職:体制づくり
●経験によるニーズの違い
  ・初任者:「何をしたらいいか」「どうしたらいいか」 ⇒ 一から教えてほしい
    ※初任者の声
      ・何をどう指導していいのかわからない/ことばが通じないのに、どうしたらいいのか
      ・仕事の内容が多岐にわたりすぎていて自分の力不足を感じる
  ・経験者:「他の(よりよい)方法はないか」 ⇒ 具体的課題に基づくディスカッション
●研修機会について ← センター主催研修の意義
  ・「研修対象」にならない担当者・指導員の存在
     a)中央研修に参加できない
      ⇒ 予算、日程(指導者コースは4日、その間の学校の日本語指導を引き受ける人がいない、など)が壁
     b)教育委員会主催の研修に参加できない
      ⇒ 「参加資格」が壁
  ・研修を実施できない地域、自治体の存在
      ⇒ 対象となる日本語指導担当の数、予算、企画者(指導主事)が初任者

3.よりよい研修をめざして
●評価された点/評価できる点
  ・少人数、共通項の多い参加者間での密なやり取り ⇒ 参加者同士の横のつながりへ
  ・異なる専門性を持つ参加者が共同で授業づくり ⇒ 相手の専門性に基づく考え方の理解へ
    (日本語支援員が教科指導について学ぶ、教員と支援員がともに教科の授業を作る)
  ・担当指導主事の「思い」・地域の課題に直結する研修の企画(サテライトセミナー)
  ・参加者の意識の変化
    a)「指導主事・管理職グループ」の「初任者グループ」見学 ⇒ 具体的「課題」の理解へ
    b)受講者による所属校管理職・教育委員会へ研修の必要性の働きかけ
         ⇒ 各地域、学校での研修実施へ
             国際教育センターと教育委員会との連携による新たな研修機会へ
●国際教育センター研修の課題
  ・ニーズの多様性 ⇔ 開かれた研修 のバランス
  ・参加者の要望 ⇔ 主催者が伝えたいこと のバランス
  ・現場に戻った後の情報発信をどう支えていくか


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