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(参考資料7)「デジタル教科書」に関する検討の視点について

本検討会議においては、概ね以下に掲げる視点を念頭に、「デジタル教科書」の位置付けについて検討を進めていくこととする。その際、委員間で認識を共有し、議論の実質化を図る観点から、今後の検討に当たっては、便宜的に別添の用語の整理に従うものとする。
また、具体の議論に当たっては、教育の情報化の進展や「デジタル教科書」の普及・活用の状況等を踏まえた上で、当面講ずべき措置と実施に向けて中長期的に検討していく必要がある措置とに区別して議論していくことが必要である。

教科書の意義・役割

教科書の意義・役割について

○ 教科書が持つ基礎的・基本的な教育内容の履修を保障するという意義・役割は今後も維持されることが必要。これに加えて、アクティブ・ラーニングの必要性の高まり等を受けて、学びのスタイルが変わっていく中で、教科書がどうあるべきかということについて検討する必要がある。
○ 児童生徒の発達段階に応じて、必要となる学習の内容及びそれに伴い求められる教科書の内容も変わってくるため、それらを踏まえて検討する必要がある。
また、同様に、教科・科目等によっても、必要となる学習の内容に違いがあるため、教科書以外の他の教材との役割分担も考慮しながら、教科書の意義・役割について検討する必要がある。その際、現在、アクティブ・ラーニングの重要性や小学校における英語の教科化等について議論が行われている次期学習指導要領の策定に向けた検討も踏まえる必要がある。
○ デジタル版教科書の導入、つまり、教材だけではなく、教科書がデジタルであることを認めることにより、子供たちにどのような学びの環境を提供することができるのかについて検討する必要がある。

デジタル版教科書の導入による効果・影響について

○ デジタル版教科書の使用により、児童生徒に学力の向上等の定量的な効果が見込まれるか、また、学校段階、教科・科目、児童生徒の学力の状況等によって、その効果に違いはあるかについて検討する必要がある。
また、逆に、児童生徒の健康(脳の発達、視力、睡眠 等)に悪影響を与える懸念はあるか、また、仮にあるとした場合における対応についても併せて検討する必要がある。
○ 一方で、デジタル版教科書の使用そのものによる効果・影響等の検証については、導入後においてしか実施できないことから、デジタル版教科書の導入後において、実践的に効果・影響等の検証を実施する必要がある。
○ デジタル版教科書の導入は、個々の児童生徒へのきめ細かい対応が可能となるだけではなく、情報のアクセシビリティの保障の観点からも、障害のある児童生徒の学習に有効であると考えられることから、教科書バリアフリー法に基づく取組とともに、関連する取組をさらに進める必要がある。
○ デジタル版教科書の具体の使用に当たっては、その利点と課題を十分に考慮する必要がある(例えば、時間や場所を越えた教育機会の保障、個々の児童生徒へのきめ細かい対応、授業の一定の質の担保、授業の質に顕著な差が出る危険性、情報の更新・訂正等の容易性、関連情報への接続の容易性等の観点が考えられる。)。
また、課題の検討に当たっては、それが、デジタルの導入により生じる一過性のもの(技能・技術の向上等により解決可能なもの)なのか、それともデジタルの性質上、受容せざるを得ないものなのかを整理した上で検討する必要がある。

教科書の質の担保

教科書の質を担保するための検定について

○ 膨大な情報を含み得るデジタル版教科書に含まれるコンテンツについても、主たる教材であるという教科書の性質に鑑みれば、基本的には、検定により紙の教科書と同水準の質を担保する必要がある。その場合においては、紙の教科書と同じ内容のコンテンツについて改めて検定を行う必要があるかについて検討する必要がある。
○ 一方で、デジタルは紙とは異なる性質を持つことから、デジタル版教科書の検定に係る固有の課題について検討する必要がある。具体的には、

・ デジタルには紙よりも膨大な情報量を含めることができることから、デジタル版教科書について、どの範囲まで検定を行うべきか、含める情報量を紙の教科書と同じ又は同程度とすべきかという「情報量」の観点
・ デジタルはリンクを張った外部サイト等の閲覧が容易であることから、デジタル版教科書から接続する外部サイト等の内容も含めて検定を行うべきかという「拡張性」の観点
・ デジタルには、従来、検定の対象としていない動画や音声等のコンテンツを含めることができることから、そういったコンテンツを含むデジタル版教科書及びそれらのコンテンツを検定の対象とするべきか、また、動画や音声の性質や検定のスケジュール等を踏まえて、現実的に検定が可能な範囲はどこまでかという「実行可能性」の観点
等の観点からの検討が必要と考えられる。

○ 検定を行わない又は検定を行うことができないコンテンツについて、教科書として位置付けることの是非や、教科書として位置付けない場合に、デジタル版教科書に含めることの是非についても検討する必要がある。
○ 教科書として位置付けられない機能やコンテンツについて、デジタル版教科書と組み合わせて一体的に使用することの有益性及びそれを踏まえた活用方策について検討する必要がある。
○ これらの検討に当たっては、教科書発行者が紙の教科書とデジタル版教科書の双方の検定にどこまで対応できるかという現実も踏まえる必要がある(現行制度下においては、紙の教科書の検定合格を受けた後に、「デジタル教科書」を製作しているのが現状。)。
○ 紙の教科書との比較において、デジタル版教科書に含まれるコンテンツの更新・訂正等について、教科書の質の担保という観点を踏まえつつ、どのように対応するかについて検討する必要がある(現行制度は4年サイクルで運用されており、その途中における内容の更新・訂正等は訂正申請で対応。)。
○ デジタル版教科書の動作性を(検定以外の方策も含めて)どのように担保すべきかについて検討する必要がある。

教科書としての位置付け

デジタル版教科書の範囲について

○ デジタル版教科書の(広義の)構成要素であるコンテンツ、ビューア、ハードウェアのどこまでを教科書と捉えるべきか。ビューア、ハードウェアは、その使用により別のコンテンツの閲覧も可能であることからコンテンツのみとすべきか、それともコンテンツの閲覧には必須であるビューア、ハードウェアまで含めることも考える必要があるか。
○ まずは、紙の教科書のデジタル化に対応することを考えるべきか、それに加えて、紙の教科書に含まれない動画や音声等のコンテンツや機能を教科書として位置付けることも考えるべきか。さらに、紙媒体ではなくデジタルのみによって製作される教科書というものも認めるべきか。
○ デジタル版教科書にどのような機能を付加するか(例えば、拡大、音声再生、アニメーション、参考資料、書込、作図・作画、文具、学習履歴の保存、正答比較等が考えられる。)について検討する必要がある。
このうち、少なくとも参考資料、文具、学習履歴の保存、正答比較等の機能については、教科書の意義・役割を踏まえれば、教科書として位置付けることは適当ではないと考えてよいか。
○ 紙の教科書と同様に、各教科の学習内容を全てカバーするもののみをデジタル版教科書と位置付けるべきか、それとも、教科・科目等ごとの特徴を踏まえ、例えば、単元単位で製作されたデジタル版教科書というものも認めるべきか。
○ デジタル版教科書の範囲を検討するに当たっては、学校に導入されているネットワーク環境(通信速度等)や情報端末(容量、処理速度等)の整備状況、性能等の進展も考慮して検討する必要がある。

デジタル版教科書と紙の教科書の関係について

○ 紙の教科書との比較においてデジタル版教科書が有する特徴に一長一短があることを踏まえれば、学校段階や教科・科目等にかかわらず、少なくとも当分の間は、デジタル版教科書は紙の教科書との併用を前提とすることが適当と考えてよいか、また、その際、発達段階に応じた違いを考慮する必要があるかどうかについて検討する必要がある。
○ これまでと同様、紙の教科書のみを使用して学習することについてどう考えるか、また、逆にデジタル版教科書のみを使用して学習することについてどう考えるか。さらに、その場合に、紙の教科書には含まれていない内容が、デジタル版教科書に含まれ得ることについてどう考えるか。

「デジタル教科書」の各法律上の位置付けについて

○ デジタル版教科書は、紙の教科書の存在を前提とすべきと考えてよいか。また、その場合に、紙の教科書には含まれていないデジタル版教科書のコンテンツを、教材として紙の教科書と併用することについてどのように考えるか。【学校教育法
○ デジタル版教科書の使用により学校教育法の教科書使用義務を履行したこととすべきか。
また、紙の教科書との併用を前提とする場合にも、デジタル版教科書の使用義務を課すべきか。さらに、紙の教科書と同じ教科書発行者が製作したデジタル版教科書に限ってこれらの位置付けを与えるべきか。【学校教育法
○ 紙の教科書との併用を前提とする場合、無償給与を行う教科書の範囲について、電磁的記録であるデジタル版教科書の性質も考慮して検討する必要がある。【無償措置法
○ デジタル版教科書の導入に伴う保護者の経済的負担をどう考えるべきか。
○ デジタル版教科書について、教科書発行者に対する発行指示等を規定する発行法の適用対象とすべきか、特にデジタル版教科書が電磁的記録であることを踏まえると、定価認可という考え方が馴染むものか。【発行法
○ 紙の教科書と同様に、デジタル版教科書についても、教科書発行者にデジタルデータの提供を求める仕組みを創設すべきか。特に紙の教科書に含まれていないコンテンツの扱いについてどう考えるべきか。【教科書バリアフリー法
○ 「デジタル教科書」の性格を踏まえ、教科書に関する著作権法上の権利制限規定の在り方をどのように考えるべきか。【著作権法
○ このほか、各法律における「デジタル教科書」の位置付けを踏まえた上で、それを実現するための措置の要否・可否及び実施時期等について検討する必要がある。
また、その際、地域や学校段階、教科・科目等の諸条件により、違いを設けるべきかどうかについても併せて検討する必要がある。

導入に当たって必要となる環境整備

デジタル版教科書の導入に当たって必要となる環境整備について

○ 学校のネットワーク環境や電子黒板等の整備、児童生徒への情報端末の配布、デジタル教材の製作・開発、教員のICTリテラシーの向上、家庭におけるネットワーク環境の整備等のほか必要な環境整備について検討する必要がある。
○ その際、これらの環境の整備をデジタル版教科書の導入の前提条件と考えるか、特にネットワーク環境の整備や情報端末の配布について、その整備状況により、デジタル版教科書を導入できない地域・学校が存在し得ることについてどう考えるべきか。
○ デジタル版教科書の供給をどのように行うかについて、選択肢として採り得る各学校への配布・配信方法も踏まえつつ検討する必要がある。
○ デジタル版教科書との併用による有効性を踏まえ、活用が進んでいる「指導者用デジタル教科書」の一層の普及促進方策について検討する必要がある。
○ デジタル版教科書のコンテンツ、ビューア、ハードウェアの標準規格を国が定めることについて、必要性を含めて検討する必要がある。
○ 紙の教科書により教材・授業研究等が行われ、それにより多くの優れた蓄積ができてきた実情を踏まえて、デジタル版教科書の導入に当たっても、個々の教員だけではなく、全ての教職員、保護者、地域住民等を含めて学校全体として受け入れられるようにすることが必要である。

 

(別添)今後の検討に当たっての用語の整理について

教科書

小学校段階から高等学校段階までの各学校において、教育課程における各教科の主たる教材として使用されるものであって、基礎的・基本的な教育内容の履修を保障するという性質を有するもの。

「デジタル教科書」

デジタル機器や情報端末向けの教材のうち、紙の教科書の内容と、それを閲覧するためのソフトウェアに加え、編集、移動、追加、削除などの基本機能を最低限備えるもの。

(教育の情報化ビジョン(平成23年4月文部科学省)より抜粋)

「指導者用デジタル教科書」

「デジタル教科書」のうち、主に教員が電子黒板等により子供たちに提示して指導するためのもの。
紙の教科書の内容を引用しつつ、任意箇所の拡大、任意の文章の朗読、動画など、分かりやすく深まる授業に資する機能を有している。

(教育の情報化ビジョン(平成23年4月文部科学省)より作成)

「学習者用デジタル教科書」

「デジタル教科書」のうち、主に子供たちが個々の情報端末で学習するためのもの。
単に紙の教科書の内容がそのまま表されるだけではなく、例えば、指導者用デジタル教科書が有する音声の再生、動画、拡大等の機能に加え、インターネットの活用、教員と子供たち又は子供たち同士の間の双方向性のある授業、ネットワークを介した書き込みの共有、教員による子供たちの学習履歴の把握、子供たちの理解度に応じた演習や家庭・地域における自学自習等に資する機能を有している。

(教育の情報化ビジョン(平成23年4月文部科学省)より作成)

デジタル版教科書(⇔紙の教科書)

学習者用デジタル教科書のうち、教科書として位置付けることが適当であると考えられるもの。

お問合せ先

初等中等教育局教科書課

-- 登録:平成27年12月 --