不登校に関する調査研究協力者会議(第12回) 議事要旨

1.日時

平成28年2月26日(金曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂

東京都千代田区霞が関3-1-1

3.議題

  1. 不登校での重大事態の調査に係る指針について
  2. 児童生徒理解・教育支援シートマニュアルについて
  3. 不登校児童生徒への支援策について
  4. その他

4.出席者

委員

石川委員、木嶋委員、高野委員、成瀬委員、野田委員、藤崎委員、森田委員、森委員、山川委員

文部科学省

前川文部科学審議官、小松初等中等教育局長、藤原審議官、瀧本総務課長、坪田児童生徒課長、清原主任視学官、亀田視学官、平居生徒指導室長、齊藤課長補佐、浅田教育再生実行会議担当室長

5.議事要旨

(1)資料1の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】いじめ対策協議会でも議題となり、本案で了解となった。改めて質問、意見等がないようであり、この形で成案としたい。

(2)資料2の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】個人情報の扱いのところは、学校内で扱うその他の情報も含めて同じように考えていいというものも多々あると感じている。各都道府県において、情報開示その他で困難な事例を含めて、もう少し検討したい。また、シートの内容が、今回の不登校に関する調査研究協力者会議のまとめに総合的に反映される必要があることと、今後の問題行動等調査の不登校の項目などとの関連も考えていく必要がある。もう1回、検討の場を持って、3月の会議のときでシートを確定するというようなことが可能ならそのようにしてほしい。

【委員】シートが実際に使われたときに、円滑に引継ぎができているかどうか、あるいは、内容的に付け加えていった方がいいのではないかという効果の検証についてどう考えているのか。

【事務局】最終報告の中にも、教育委員会に求める役割のところで、「教育委員会においては、管下の学校に対して、「児童生徒理解・教育支援シート」の積極的な活用を促し、その効果検証を実施することが重要である」と記載している。

【委員】共通シートと学年別シートにおいて、欠席日数等が細分化されたことは、一人一人の子供の変容を見るのに、非常に効果的になったと感じている。実際にこれから、横のつながりで関係機関と連携を図るときに、学年を追うごとに、その子がどのような状況になったのか分かりやすいシートになったと思う。

【委員】共通シートの家族関係について、当初兄弟の情報が共有されず、後になって共有された事例があった。そのような情報は忘れられがちなところがあるため、何らかの形で補足していく必要があると思う。

【委員】兄弟きょうだいそろって不登校になったり、一人が行き始めたらもう一人が休みしたりする例もある。仮に特記事項にきょうだい関係を入れるなど工夫の余地があると思う。

【委員】対応した機関は、児童生徒中心に書くことになると思うが、親の関係で、精神保健福祉センターや保健所など福祉的にネットワーク会議を開きながら、その家庭を支援していくという例がある。ジェノグラム(家族図)を書くとして、家庭に関するもう一つの外郭のネットワークがあるというのがイメージとして見えるといいと思う。

【委員】シートについて、学校の管理職がノーチェックとなる可能性がある。管理職の確認欄などはどのように考えているのか。

【事務局】「基本的に学校が作成する」としておりますので、校長先生も含めた学校と思っている。それをどう書くかと点については、調整したい。

【委員】従来、学校にSC、SSW等の支援職種が入っていても、実際に問題行動等調査の中で、不登校になったきっかけなどの部分に関わっての判断は、比較的、学校の先生が行っている例が多いと認識している。個別ケースについて検討してみると、支援職種によってかなり異なる見解が出ているという例がある。支援の前提として、アセスメントをしっかりして、基本情報と同時に、それを引き継いでいくということが重要であると思う。また、その結果を問題行動等調査ともリンクさせるということが望ましいと思う。

(3)資料3の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】まず、17ページの早期対応の重要性というところで加筆された「不登校の初期段階では自己肯定感が著しく低下しており」という部分について、自己肯定感というキーワードを用いているが、これは、スクールカウンセラー視点でのモデルであり、最近、それだけでは説明ができないような類型が出てきている。そのため、一つの例であるという形で示してほしい。
  次に、不登校への対応の根幹のところで、まずアセスメントをするということの印象が弱いと感じる。例えば、9ページの2番の、個別の児童生徒に関する組織的・計画的な支援というところで、アセスメントという記載がなく、次のネットワークのところに、アセスメントを行いということが記載されている。もっと手前のところでアセスメントについて書いておく必要があると思う。また、アセスメントについて、SCだけを書いているところと、等と書いているところと、SSWも書いてあるところとがある。基本的には両方書いて、SC、SSWが持っている視点を、組織として生かし、先生がしっかり支えるという視点が伝わるものにしたい。
最後に、23ページの中学卒業以降のところについて、不登校の問題は、社会的自立までの課題ということがあったため、非常に重要であると思う。そのため、子ども・若者育成支援推進法との接続という観点で、学校から社会への接続を意識して、タッグを組んで引き継いでいけるような視点を強調していきたい。

【委員】担任の生徒への関わり方によって、教室復帰を遂げているという事例もあり、子供にとって担任の先生の存在が大きいと痛感している。例えば、17ページに、児童生徒がどの段階にあるのかの判断は難しく、SC等の専門家によるコンサルテーションが必要となると書かれているが、SCは本当につなぎの役割で、先生が中心になって、子供たちの教室復帰の筋道をつけている事例も多い。書き方によっては、専門家のコンサルテーションがなければ支援できないと取られかねず、表現の配慮が必要である。
  次に、学校になじみにくい生徒という表現の中で、誰もが楽しく通える学校づくりということで、既存の学校自身、特に教師の在り方が変わらなくてはいけないということを改めて感じた。
  最後に、20ページのアンケート調査結果について、貴重なデータではあるが、例えば、メールにしても電話にしても、担任の先生が行ったのか、あるいは、その子は部活の顧問の先生の方と関係が深くて、顧問の先生が行ったのかなど、子供一人一人の事例において、対応の仕方、そしてそれに対する子供の反応ということが大事であると思う。そのため、アンケートの結果を、最終報告に載せることが適しているかどうか慎重に考えた方がいいと思う。

【委員】17ページの早期対応の重要性のところで、最近は、本当に生活習慣が身に付いていない、対人関係のスキルが不足していて、いろいろな先生や子供たちと接するときにうまくいかなくて抱え込んでしまう例などもある。自己肯定感の問題として、信頼関係で寄り添ってというだけではなくて、スキルの向上や生徒指導の部分がないと、来られるようになっても、登校が継続しないため、そのような表現も入れてほしい。
  次に、22ページの出席扱いについて、こういったようなタイミングで活動が確認できれば、それを出席扱いにするなど、積極的な方針があってもいいかと思う。

【委員】出席扱いについては学校で判断をせざると得ないが、もう少し基準がはっきりしていくと、判断しやすいと感じる。

【委員】出席扱いとしなかった事例を幾つか挙げているが、この判断自体に文科省の方からガイドラインを出すというような段階ではないため、事例紹介となっているのか。

【事務局】今のところは、出席扱いの制度について、学校長の判断となっているため、場所によって出席扱いを受けられているところもあれば、受けられていないところもあるということもあり、各地の取組の内容を整理したところである。

【委員】出席扱いについて、それぞれの教育委員会が、それぞれの判断でやっていくにもある程度の基準は必要であるが、国レベルで基準を明示することは難しいと思う。

【委員】子ども・若者育成支援推進法との関連について、どのように考えているか。また、20ページの類型別のアンケート調査についての扱いをどのように考えているか。

【事務局】23ページ、24ページのところで、サポートステーションとの連携などの記載にとどまっているが、詳細に記載するということであれば、書きぶりについて相談したい。
  また、20ページの調査結果については、一つの傾向として見て取れるというところはあると思う。しかし実態把握としては更に詳細なものが必要と考えており、国に求められる役割として、複数年にわたった追跡と分析が必要であると考えている。

【委員】アセスメントでタイプを見ることによって支援として有効なものが違ってくる。しかし、それが掛け違ったときには、逆に害すら及ぼしかねない。究極は、1ケース1ケース丁寧にアセスメントするというところに帰結すると思う。

【委員】タイプ別に分けてしまうと、対応がフレックスではなくなると思う。アセスメントをして、その時期に応じた支援が必要であるという形でいいと思う。

【委員】早期対応の重要性について、学級担任が、日々、子供たちをきめ細かく見ている中で、気がつくということが一番重要だと思う。きめ細かく、一人一人に寄り添っている中で不登校を未然に防いでいく、早期に対応するということを表現してほしい。

【委員】見出しが、早期対応の重要性となっているが、中身的には、後のステージまでずっと追いかけている。ステージごとにいろいろ記載するのは難しいため、早期対応、初期のところに重点を置き、早期に組織的な対応ということで、担任の活躍と同時並行してアセスメントにつなげていく動きを行うという視点を入れることが必要であると思う。

【委員】確かに担任の観察、それから、例えば保健室での養護教員の観察が本当に大きい。担任だけが全部やらなければいけないとなると、非常に大変であるため、早期の見立てをしたならば、その後、校内で役割分担を明確化して進めるということも記載してほしい。

【委員】例えば居場所を作ると書いてあるが、行く場所と居場所は違うと思う。子供たちの居場所というのは、人がいないと居場所にはならない。そのため、担任だけではなく、その子供に一番深く関わってあげられる先生を、どう育てていくかという教員の資質向上というのが重要である。例えば、実際には非常に不登校の子供にうまく関われる先生もいるため、メンターシステムのような形で、対応を身に付けていくということも必要であると思う。

【委員】全体のイメージとして、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーという文言は、非常にたくさん使われていて非常に印象に残ってくると思う。そのため、そういう配置があれば、解決するというようなイメージを、全体として受けてしまうところがある。例えば25ページの3番の、保健室や相談室等の整備について、「現在、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが学校に常駐しているわけではないことに鑑みれば、依然として、教育相談において養護教諭が果たす役割は非常に大きい」という書きぶりになっているが、常駐していれば、養護教諭は教育相談に関わらなくてもいいという印象を受けてしまわないかという危惧がある。最終的に核になって動くのは学校の教員であるという意識を強くしてほしい。

【委員】担任を、スクールカウンセラーや養護教諭、生徒指導主事、管理職がチームで支えていくと、子供の教室復帰がなされていることが多いということを経験上感じている。学校の中で、担任を中心にして、コーディネーター的な役割を、誰が行うかによって、チーム学校が生きてくると思う。

(4)事務局より連絡
  今後の予定
(以上)


お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係)

-- 登録:平成28年10月 --