不登校に関する調査研究協力者会議(第11回) 議事要旨

1.日時

平成28年1月27日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂

東京都千代田区霞が関3-1-1

3.議題

  1. 不登校での重大事態の調査に係る指針について
  2. 不登校児童生徒への支援策について
  3. その他

4.出席者

委員

大場委員、木嶋委員、齋藤(眞人)委員、齋藤(宗明)委員、高野委員、成瀬委員、野田委員、藤崎委員、森田委員、森委員、山川委員

文部科学省

前川文部科学審議官、小松初等中等教育局長、藤原審議官、瀧本総務課長、坪田児童生徒課長、亀田視学官、平居生徒指導室長、齊藤課長補佐、浅田教育再生実行会議担当室長

5.議事要旨

(1)資料1の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】最後の留意点について、教育委員会会議において調査の内容を報告するのは当然であるが、その前に、いじめ問題専門委員会を立ち上げるときに、委員会に調査を諮問することも必要と考えている。
  また、諮問記載内容について、なぜ重大事態と判断したかという根拠は、学校と教育事務所が調査した内容と保護者の訴えに、かなり違いがあることもあり、注意して記載する必要があると思う。

【委員】現場の方では、重大事態の第1号と第2号の区分が難しいと思う。重大事態というと第1号に絡んで複雑なものを想起してしまいがちである。そのため、最初の目的・趣旨の部分に関して、現場の校長先生や各先生が理解しやすいように、対象を図で示すなど構造的に見えるようにすることが望ましい。

【事務局】不登校重大事態とはどういうことを指すのかについての説明は何らかの形で入れたいと思う。
  不登校重大事態の調査は、基本的には学校が主体となって行い、教育委員会の附属組織としての第三者委員会の形式では調査を行わないということを想定している。そのため、例外的に、特段の事情がある場合には教育委員会の附属組織としての第三者委員会を立ち上げて調査することも検討すべきという旨を記述している。

【委員】文部科学省の基本方針において、調査主体は学校であるが、既存の組織に専門家を加えて、学校自体で第三者委員会のようなものを作ることもあり得るという書きぶりになっているため、表現を整理することが必要である。事案によって、最初は学校内の学内だけで事前調査、予備調査をするが、事態が明らかになってきたところで、専門家を入れて、学校が第三者委員会を作ることもあり得るという形とするのがいいと思う。
  また、重大事態に関して、その目安について、1号も含め、現場が分かりやすいものとすることが必要であると思う。

【委員】6の今後の支援方策のところで、調査した内容だけではなく対象児童生徒の状況を踏まえて支援方策を検討していくという表記になったことは、非常に大きい意味があると感じる。ただし、留意点の2番目に、学習面の支援が必要であることにも留意して支援方策を考えていくという文章が入ったことを考えると、不登校児童生徒への支援に関する報告の中でも、学習面の支援を意識しなければならない。

【委員】5の報告事項の例において、枠で囲んでいる部分は、様式のようなイメージを持たれる可能性が高いと思うが、どのように考えているのか。
  また、この報告というのは、作成責任が誰になって、誰宛(あ)てとなるのか。
  それから、関係者への、特に当該児童と保護者への情報提供の際に、これをそのまま見せることを想定しているのか。留意点の中では、いじめをしたとされる者のプライバシーにも配慮という項目等がある。不登校となって日数がたって事情を聞けるようになった際に、いじめがあってという話をされたケースなどは、相手の子供がそんなことは覚えていないとか、していないとかいう主張をされて、折り合いがつかず、両論併記になるような事例が想定できる。そのような場合について、情報提供の配慮はどのように考えているのか。

【事務局】報告事項の例は様式を意識したわけではないが、そのように扱ってもらってもかまわない。
  次に、報告の流れについて、重大事態の調査結果は地方公共団体の長(ちょう)に公立学校の場合は報告することになっており、学校から教育委員会を経由して地方公共団体の長に提出されるという流れになることを想定している。実際には、学校から設置者への報告になるが、それが地方公共団体の長への報告にも流用されるというイメージである。
  最後に、いじめをしたとされる児童生徒への情報提供については、議論、検討をしていない。法律上も、いじめがあったという事実認定ができる場合に加害側の情報を被害側に提供するという立て付けになっており、事実確認の結果、加害とされる児童生徒が否認を続けるような場合は、いじめがあったという事実認定ができないため、そういう流れにはならないと個人的には思う。

【委員】本人が非常に長期の欠席に陥っている状況で、ようやく話が聞けることになったとき、実はいじめられていたと言った場合、重大事態として全て報告しなければならないと理解すればよいか。また、その場合、いじめたとされる児童生徒の話などから、いじめがどうも休んでいる子供の一方的な思い込みだったということになった場合は、その報告はどのようになるのか。

【事務局】全て報告するという立て付けになっている。例示の場合は、いじめがあった事実は確認されなかったという結論が記載されることになると思う。

【委員】留意事項の中で、教育的配慮の下というところに、迅速かつ継続的になどの言葉を入れてほしい。

【委員】市町村だけで解決できない場合は、県の支援の在り方がどうあるべきかということも、学校現場では求められていると感じる。
  また、いろいろな事例を紹介するなど、重大事態の報告のため、先生方の業務が多忙になり、実際に児童生徒に関わる時間が減ることがないような工夫が必要である。

【委員】4ページから5ページにかけての関係資料を廃棄する等の不適切な対応が起こることのないよう、条例等を参考に、資料の保管について定める必要があるという部分について、関係資料というのは、不登校等に関わるいろいろな関係資料は含まれないのか、それともいじめに関わる資料以外も含まれると解釈するのか。
  また、その資料の保管について、指導要録は5年とされているが、卒業から5年を目安にして保管するなど明確にしておく必要があると思う。

【事務局】関係資料の範囲について、不登校重大事態の二つの要素であるいじめと不登校のうち、不登校の部分は指導要録等で確認ができる部分であるため、その保存期限のルールに委ねられると思う。いじめの関係資料については、例えばアンケート調査の結果などを想定しているが、何か一律のものを設けるべきかどうかは、議論を深める中で考えたい。

【委員】資料の保管について、調査主体でルールを定めることが必要であるとなっているが、この流れでは、ルールを定めるのが学校と誤読されかねない。基本的には文書管理規定等は、各自治体で定めるため表現を工夫する必要があると思う。

【委員】国立はどのようになるのか。

【事務局】国立附属の公文書管理については、公文書管理法で行われている。国の行政機関のルールに沿って説明すると、公文書作成又は取得した段階で、あらかじめ定められたルールに従って保存期間が付与されて、その期間が経過した時点で移管か廃棄かが決まるという流れになる。

【委員】不登校となって、後からいじめがあったと発覚した場合、教職員が教務手帳等でメモしていたことは非常に重要な役割を果たすことがある。学校現場に、そのようにしっかりと記録するという意識を根付かせていくことが重要であると思う。記載内容に加えることは難しいと思うが、そのような意識で常に対応していくことが必要である。

(2)資料2の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】学習面の支援というキーワードが資料1に出ているが、資料2において、柱立てとしては学習面の支援という明確なカテゴライズはない。内容としては、ICT活用による学習面の支援などあるが、学習面の支援が柱立てにあった方が分かりやすいのではないか。

【委員】不登校の中には、しばらく働き掛けないこと、充電期間をとることが大事という場合もある。児童生徒の正しい理解のために、アセスメントが大前提にある。内容は入っているが、強調するような形にしてほしい。

【委員】実際に、スクールソーシャルワーカーを活用してうまくいったケースなど事例を紹介することで、現場の役に立つものになると思う。

【委員】スクールソーシャルワーカーについては、文部科学省の方から事例集が出ている。参考資料集の最後に、そのような資料があることを書いておくことが望ましい。

【委員】子供の貧困が大きな社会問題になっており、そのような切り口から不登校の状態を改善できる事例もある。そのような場合にスクールソーシャルワーカーが果たす役割は大きい。スクールソーシャルワーカーについて、背景も含めて、具体的に記載してほしい。

【委員】関係機関等の連携や保護者、地域住民との関わりなど、学校の果たす役割は大きい。そのため、学校の組織が非常に重要である。そのため、学校のすべきこととして、組織的に取り組む姿勢を明確に盛り込むことが必要である。

【委員】教育相談等に関する調査研究協力者会議において、チーム学校における教育相談が協議されている。様々な形で、組織的に取り組むというということであれば、うまくその内容を盛り込むということもあると思う。

【委員】中学校卒業後の課題について、多様な教育機関の設置の促進や紹介といった形で存在を知ってもらうことも重要である。また、不登校の子供たちの追跡調査の大切さという視点も入れてほしい。

【委員】学校に復帰できなくても将来的な自己実現ができる、社会的自立ができるという安心感を与えられるようにしたい。社会全体で受け入れる、そういう雰囲気が醸成されていくような内容としたい。

【委員】現実としては、在籍校への復帰が難しいケースがある。最終的には学校で何かというよりは、その子供が幸せに生きていけることを目指したいが、そう簡単に学校という言葉にこだわらないとはいえない。

【委員】児童生徒理解・教育支援シートは、基本的に高校段階においても活用することを想定しているのか。

【事務局】高校段階でも活用してもらうことを想定している。

【委員】シートを活用し、中学校の状況が高校側に提供されるような、あるいは教育支援シートを活用し、切れ目のない支援ができるような形にしてほしい。

【委員】不登校に関しては、社会総ぐるみでという意識を持って、リスタートが上手に切れるようにすることが大切である。組織的というのは、学校の組織だけではなく、社会総ぐるみでという意識がサブタイトルに入っているようなものとしたい。

【委員】これまでの不登校に関する報告は、1回目は、不登校は誰にでも起こるというもの、2回目は、不登校児童生徒に関わっていくという感じのイメージであった。今回は、つなぐべきところをつなぎつつ、組織的に、そしてアセスメントして対応するというものと考えている。そのような意図でサブタイトルを解説するような一項目が入るといいと思う。

【委員】教員自体が養護教諭の考え方を見ながら、日常の学級経営、あるいは指導に当たっていくことは非常に大事である。保健という観点から、子供の心身の発達に対しての知見を備えながら児童生徒理解を図っていくことは、未然防止につながっていく。

【委員】学校の校務分掌上、いじめと不登校は担当するところが違うということがある。不登校は不登校として対応しているが、そこにいじめがあったとしても加害者対応は別の分掌として分かれてしまうことがある。切れ目のない組織的な支援ということで、その辺りも意識したものとして欲しい。学校内に今後いろいろな役割の方が入ってきたときに、効率よく、どのように使うかというチーム学校の校長のマネジメントという視点も入れ込んでほしい。

【委員】今回の報告書の肝の部分は、重点方策とされている児童生徒理解・教育支援シートであると思う。その作成に当たって、保健室や、相談室、SSW、あるいは用務員など、学校の中のいろいろな支援資源を巻き込んでいく。関係者が、児童生徒理解・教育支援シートを作成しながら、一緒にどのような取組ができるかということを検討していく場が、まさにシートであると思う。

【委員】学校では、教育相談部会と生徒指導部会が持っている情報が、コーディネートされることなく、別々に歩いてしまうことはないとはいえない。このシートなども含めて、いかに情報をコーディネートしていくかということが非常に大事である。また、今回の切れ目のない支援ということでは、リスタートが切れるための情報資源として考えたとき、学校だけでシートを使うというよりも、社会で使えたらいいと思う。

【委員】高等学校としては、中学校側には情報を求めるが、社会に出す段に当たって、果たしてその努力をどれほどしているか。高等学校側から社会に対して、情報を提供していくという意識も、しっかり持っておく必要があると思う。

【委員】就職も含めて、本人の自立を支援していくというスタンスを高等学校に持ってもらうことは非常に大事であると思う。学校教育ができる範囲で自立をつなげていく。その姿勢は基本として、高等学校にも求められるものであると思う。

【委員】高校中退を予防するための蓄積情報として、このシートを非常に有効なものとして活用できると思う。

【委員】卒後の支援に関して、福祉、労働側の方からも、学校からも歩み寄って、連携し、情報交換していくことによって初めて課題がクリアになり、対策が得られると思う。
  シートの活用について、チーム学校として、使いこなしていくという形の説明になると認識していいか。

【事務局】チーム学校という表現を使うかどうかは精査するが、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、養護教諭、その他の教職員が一体となって作成して、情報を共有して支援していくという考えである。

【委員】全ての教員が教育相談を学んでいけば、何よりも子供たちの気持ちをくみ取る、あるいは言葉として出せなくても、その対応力がチームとしても上がっていくと思う。

(3)事務局より連絡
   今後の予定
   (以上)


お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係)

-- 登録:平成28年10月 --