資料1 高等学校における遠隔教育の在り方に関する検討会議 報告骨子(案)

はじめに

第1章 検討の背景

1.現行制度

  • 全日制、定時制課程における遠隔授業については、担当教諭の指導の下で行う場合を除き、原則として認められていない。
  • 一方で、研究開発学校や教育課程特例校など特例制度を活用することで実施することは可能。
  • 通信制課程においては、インターネット等を活用した添削指導は可能とされており、面接指導についても一部免除となっている。

2.高校教育を取り巻く状況の変化

  • 少子化に伴い、高等学校に通う生徒数、一校当たりの生徒数が減少しており、今後更なる減少が見込まれる。このため、各教科・科目等の専門知識を有する教員を十分に確保できない事例も生じている。特に、離島や過疎地などにおける教育の機会確保が必要。
  • 高等学校の進学率上昇に伴い、生徒の学習ニーズが多様化しており、より一層、多様かつ高度な教育など、きめ細やかな対応を行うことが必要。
  • 不登校や病弱などの生徒が一定数存在する中で、特別な学習ニーズに応じた対応も必要。
  • 高校教育に限らず、近年はMOOCや反転授業などICTを活用した新たな取組も国内外で進展。

3.遠隔教育に関する各種提言

  •  「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革の集中アクションプラン」(平成25年12月)において、高等学校における遠隔授業の正規授業化に向けて実践事例の収集・検討を行うとともに、有識者会議を設け、ITを活用した遠隔教育の有効性や課題、その対応策について検討を行う旨記載。
  • 「中央教育審議会初等中等教育分科会高等学校教育部会 審議まとめ」(平成26年6月)においても、全日制課程等において、ICT等を活用した学習効果を高めるための遠隔教育の実施に向けた検討の必要性について記載。
  •  「ICTを活用した教育の推進に関する懇談会」報告書(中間まとめ)(平成26年8月)においても、研究開発学校における遠隔教育の研究の動向や検証等を踏まえ、必要に応じて制度改正について検討することが求められている。

4.これまでの取組

(1)高等学校における取組

  • 北海道において研究開発学校制度を活用し、遠隔教育の在り方について実証的研究を実施。また長崎県等においても現行制度の枠内で遠隔教育に関する研究を実施。
  • 本検討会議では、これら実践事例についてヒアリングを実施。その中で示された効果としては、小規模な学校でも幅の広い科目を設置することが可能となること、他教科への支援による改善の視点の気づきや新たな学習形態の導入による教員の資質向上を図ることが可能となることなどに加え、オンデマンド型の授業を実施している通信制高等学校では、学校に通いづらい生徒も授業やHRが受けられること、学校に対しての心理的距離を近づけることなどが挙げられた。
  • 一方、課題としては、配信側だけではなく受信側にもサポートする人員が必要となること、教員の新たな負担が生じること、高等学校では集団活動などの果たす役割が大きいこと、音声・画像の不良や乱れなどシステム機器上の不具合が生じること、評価の在り方に関することなどが示された。

 (2)大学における取組

  • 通学制においては、卒業に必要な単位数124単位のうち、60単位を上限としてメディア授業(インターネット等による授業を含む)による単位修得が可能。また、通信制においては、124単位すべてをインターネット等による授業により修得可能であり、実際に一部の大学でインターネット等による授業のみで教育課程が編成されている。
  • ヒアリングを行った事例の中では、土日や夜間でも受講可能であり社会人が多く学んでいること、海外在住者でも受講可能であることなどの事例が示された。
  • また、音声の質が下がると満足度が下がること、オンデマンド型の場合に配信期間に一定の区切りを設ける必要があること、30人程度の集団にコーチを1名配置することで退学者を減らすことが可能であること、継続した受講を促す必要もあることなどが挙げられた。

第2章 高等学校における遠隔教育の今後の在り方

  1. 導入の目的・意義
  2. 遠隔教育の定義・分類
  3. 改革の方向性
  4. 導入にあたっての条件・留意点

 (1)共通事項

  1. 授業運営上の条件・留意点(生徒の質問機会の確保、教材の工夫等)
  2. 映像、音響など技術面での条件・留意点
  3. サポート体制(教育面・技術面)の確保
  4. 教育相談体制の充実
  5. 評価にあたっての条件・留意点(授業、レポートの学習評価、試験)

 (2)同時双方向型の条件・留意点
 (3)オンデマンド型の条件・留意点

第3章 推進方策

  • 遠隔教育に関する規定の明確化など必要な制度改正の実施
  • 実践事例の普及と検証・改善の推進
  • ICT環境の整備
  • 教育面、技術面でサポートする人員の確保など実施体制の整備
  • 教材の普及事例等の推進
  • 教職員の研修等の充実
  • その他

第4章 今後の検討課題 

※第2章から第4章における主な論点やこれまでの意見については、資料2参照。

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(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)