【資料2-1】主な論点

指導体制の在り方に関する主な論点(案)

 指導体制の在り方については、現状と課題を踏まえながら、平成32(2020)年度を見据え、新たな英語教育の目標・内容の議論に沿って、専門的・技術的な論点について検討を進める。並行して、これに向けた準備期間の取扱いや、現行の制度内での先取りした取組の在り方について具体的な提言をまとめることとする。

 

 

 

 

4 指導と評価

(1)現状と課題

(指導の現状)

 

○ 現行の学習指導要領では、小学校高学年に外国語活動を導入、「聞くこと」及び「話すこと」を中心に指導することとし、中学校・高等学校では「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」及び「書くこと」の技能を総合的に高め、指導語数を増加〔中学校は900語程度まで→1,200語程度、高等学校は1,300→1,800語〕するとともに、教材の題材を充実している。
 また、文法はコミュニケーションを支えるものとしてとらえ、文法事項を言語活動と効果的に関連付けて指導することとなっている。

○ また、小学校においては、児童や地域の実態に応じて目標を適切に定め指導計画を作成し、計画的、発展的に授業が行われるよう工夫することが求められている。さらに、外国語活動の指導に当たっては、配慮事項として、体験活動を活かすなど児童の発達段階や特性等を考慮したものが求められている。

○ 中学校及び高等学校において、教材については、コミュニケーション能力を総合的に育成するため、実際の言語の使用場面や言語の働きに十分配慮したものを取り上げるとともに、伝統文化や自然科学などの題材から、生徒の発達段階、興味関心に即して適切な題材を取り上げることとなっている。  

○ 小・中・高等学校の教員の多くは指導力を向上させたいと感じているが、地域における研修機会が少ない、多忙により参加できないといった状況がある。 

 

(学習評価の現状)

○ 現行の学習指導要領の下での学習評価については、児童生徒の一人一人の資質・能力をより確かに育むようにするため、目標に照らしてその実現状況をみる評価(目標に準拠した評価)を着実に実施し、児童生徒一人一人の進捗状況や教科の目標の実現状況を的確に把握し、学習指導の改善に生かすとともに、学習指導要領に示す内容が確実に身に付いたかどうかの評価を行うことが重要である。

○ このことを踏まえ、平成22年通知 では、「関心・意欲・態度」、「思考・判断・表現」、「技能」及び「知識・理解」に評価の観点を整理し、各教科の特性に応じて観点を示しており、例示された外国語活動の評価の観点を参考に、学習指導要領に示された目標を踏まえて、各学校が実態に応じて指導内容や活動を設定することから、各学校において評価の観点を追加することができるよう「評価の観点と方法」や「評価の創意工夫と留意点」を示している。

○ 小学校の外国語活動の学習評価については、「1.コミュニケーションへの関心・意欲・態度、2.外国語への慣れ親しみ、3.言語や文化に関する気付き」の3つの評価の観点例を示し、設置者がこれを参考に学習指導要領の目標沿って評価の観点を設定することとし、文章の記述による評価を行うこととなっている。

○ 中学校・高等学校の外国語科では、1.コミュニケーションへの関心・意欲・態度、2.外国語表現の能力、3.外国語理解の能力、4.言語や文化についての知識・理解の4観点から評価が行われる。そのうち、2.3.については技能のみではなく、思考力・判断力・表現力等が含まれる。国立教育政策研究所でまとめた「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」においては、学習指導要領の内容の言語活動における「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」及び「書くこと」をまとまりとして、それぞれの評価規準に盛り込むべき事項及び評価規準の設定例を挙げている。

(小学校外国語活動の課題)

○ 外国語活動への取組が充実してきたものの、地域や学校、教員によりその趣旨の理解や指導方法・体制などに差があるという指摘がある。また、ネイティブ・スピーカー等のALTや英語が堪能な外部人材が授業へ参加する回数が少ない学校と多い学校があるなど、かなりのばらつきがある。

○ 小学校高学年は、抽象的な思考力が高まる段階であるにも関わらず、外国語活動の性質上、体系的な学習は行わないため、児童が学習内容に物足りなさを感じている状況が見られるとともに、中学生1年生の7割以上が小学校で「英語の単語・英語の文を読むこと」、8割以上が「英語の単語・文を書くこと」をしておきたかったと回答していることから、中学校において音声から文字への移行がスムーズにいっていない場合が見られる。

○ 小・中連携の観点からは、小学校において中学校での指導を意識した指導が、中学校においては外国語活動を踏まえた指導が不十分である。また、小・中連携の取組の内容は、情報交換が多く、カリキュラムの連携等はあまり行われていない。

○ 小・小連携、小・中連携の研修では、「学級担任等による外国語活動の参加・協議」や「外国語活動の在り方に関する共通理解、具体的な活動についての共通理解や体験」などに関する研修を4~5割程度の学校で実施している。一方、年間指導計画や単元計画指導案の作成、検討などを実施している学校は全体の1~2割弱となっている。

(中学校の課題)

○ 中学校では、英語を理解し考えながら表現できるコミュニケーションが図られるかどうか、伝統文化や自然科学など現行の学習指導要領に示された題材の扱い、単元ごとの適切な目標設定が行われているかどうかといった観点から、英語を理解し英語で表現できるコミュニケーション能力が十分ではないという指摘があった。

○ また、

  • 教員の英語使用状況は、「発話の半分以上を英語で行っている」者は、中学校1年は44.5%,2年生は42.9%,3年生41.2%、
  • 生徒が英語で言語活動をする場面を半分以上設定しているのは、中学校1年生52%、2年生47%、3年生43%、
  • 英検準1級程度以上の教員の割合は27.9%

となっており、生徒が英語に触れる機会を充実する観点から、なお一層の取組を推進する必要がある。

○ CAN-DOリストの形での学習到達目標は、17.4% の学校が設定し、その内、設定した学習到達目標の達成状況を把握している学校は66.8%にとどまっている。全ての学校において設定する地域と設定していない地域があることから今後の指導における影響が大きく、学校の指導改善等につながる取組として促す必要がある。

(高等学校の課題)

○ 教員の英語の使用状況は、全体的には改善されつつあるものの、「発話をおおむね英語で行っている」教員は、平成25年度普通科等の「コミュニケーション英語Ⅰ」では15%、同「英語表現Ⅰ」では14%にとどまっており、なお一層の推進が必要である。

○ 英検準1級以上等を取得している教員の割合は、平成22年度が49%、平成25年度が53%で、3年間で4%の伸びにとどまっており、授業を英語で展開するためにも、教員自身の英語力を更に引き上げる必要がある。

○ CAN-DOリストの形での学習到達目標の設定は、平成25年度の4%から平成25年度の34%に増加はしているが、域内全ての高等学校において設定を終えている地域と現時点でほとんど設定が進んでいない地域があるなど、ばらつきが大きいことから今後の指導における影響が大きいと考える。

○ CAN-DOリストの形で学習到達目標を設定はしていても、それが実際の指導や評価において十分には活用されていない現状がある。学習到達目標を設定する意義や方法とともに、年間指導計画・単元計画の作成や評価において活用されるよう改善する必要がある。

○ 中学校・高等学校でそれぞれどのような指導と評価が行われているかについて互いに情報不足で、中・高等学校の連携が不十分であるとの指摘もある。

(2)指導・評価に関する改善の方向(例)

○ 次期学習指導要領の目標・内容の改善の方向に伴い、今後、大学や外国の専門機関等と連携協力しながら、外国語の特性を踏まえた多様かつ実践的な授業の在り方について、子供たちの多様な実態と発達段階に即した柔軟かつ優れた指導方法や学習評価の在り方などを確立する必要があり、このような取組を国が積極的に支援する。

(小学校)

○ 今後、小学校中学年から外国語教育を開始することにより、コミュニケーション能力の素地を養い、英語学習への動機付けをさらに高めるコミュニケーション能力の素地を養うことで、小学校卒業時までにコミュニケーションへの積極性や言語や文化についての体験的理解に加えてコミュニケーション能力の基礎を身に付けさせる指導法等の在り方について検討する。

○ 小学校中学年においては、これまでの外国語活動の実績を踏まえつつ、児童の発達段階に留意した指導、他教科等との連携強化を意識した効果的な指導方法等を更に充実・強化していく必要がある。また、高学年においては、小学校と中学校の連携を意識した具体的な指導を更に充実・強化していく必要がある。

○ このような観点から、小学校における効果的な指導方法について、これまでの先行的な取組や「英語教育強化地域拠点事業」(H26年度~)の状況を検証し、得られた結果を次期学習指導要領の改訂から全面実施に至るまで活用する。

○ 小学校段階における評価の在り方については、これまでの先行的な取組や「英語教育強化地域拠点事業」における活動型及び、教科型の評価の状況を検証する。その際、評価が学びの改善につながるようPDCAサイクルの構築について検討する。

○ 小学校中学年においては、外国語学習の初期段階であり、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成に重点を置く活動型を前提に、これまでの高学年における外国語活動の実績を踏まえつつ、中学年の発達段階を踏まえた具体的な学習評価の在り方を検討する。

 (参考)平成20年中教審答申
小学校における外国語活動の目標や内容を踏まえれば一定のまとまりをもって活動を行うことが適当であるが、教科のような数値による評価はなじまないものと考えられる。

 

○ 小学校高学年においては、教科として位置づける場合、英語の特性及び高学年における発達段階を踏まえた数値等による評価を行うこととする。

(中学校・高等学校)

○ 中学校・高等学校段階においては、目標・内容の改善・高度化に伴い、CAN-DOリストの形での学習到達目標設定、扱う言語活動の高度化(発表、討論、交渉等)に対応した指導、パフォーマンステストを活用した4技能の総合的な評価及び小学校と中学校、中学校と高等学校の連携を意識した具体的な指導方法等について検討する。

○ このような観点から、中学校・高等学校における効果的な指導方法・評価方法について、これまでの先行的な取組や「英語教育強化地域拠点事業」(H26年度~)及び「外部専門機関と連携した英語指導力向上事業」(H26年度~)への支援の充実を図るとともに、それらの状況を検証し、得られた結果を次期学習指導要領の改訂から全面実施に至るまで活用する。

○ その場合、中学校・高等学校段階における評価の在り方については、「英語を用いて何ができるか」という視点を中心とし、指導改善においても活用する。このため、パフォーマンス評価による妥当性、信頼性の確保及び波及効果をねらった具体的な方法論について検討を行う。

○ また、これまでの観点別学習状況の評価とともに、各学校におけるCAN-DOリストの形での学習到達目標、パフォーマンステストを活用した評価の在り方についても検証する。その際、評価が学びの改善につながるようPDCAサイクルの構築について検討する。

5 教科書・教材

(1)現状と課題

(小学校) 

○ 小学校における外国語活動においては、国により作成された小学校外国語活動教材例、Hi, friends!が希望する約2万校の学校に配布され、地域や各学級において実態に合わせて工夫・活用がなされている。また、児童の多くが外国語活動の授業や外国語に対して肯定的であり 、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が育成されてきている。

○ 「外国語活動実施状況調査」(文部科学省)の中学1年生対象による調査では、外国語活動の授業で、「もっと学習しておきたかったこと」の回答の割合として、「英語の単語を読むこと」が77.9%、「英語の単語を書くこと」が81.7%、「英文を読むこと」が77.6%、「英文を書くこと」が78.6%であり、音声中心の活動に比べ10ポイントほど高い数値である。このことから、中学校において、音声から文字への学習がスムーズに行われてないことがうかがえる。

○ このことから、中学校での学習への円滑な接続を考えると、小学校段階において、文字の扱いや文構造への気付きなどの指導に有効な教科書・教材が必要である。

(中学校・高等学校)

○ 生徒の言語活動の充実と4技能にわたる総合的なコミュニケーション能力の育成を重視したものとして教科書を活用し、学習指導要領の内容が授業に生かされているか検証を行う必要がある。

○ 「内容に踏み込んだ言語活動を重視」に関わって、現行の教科書では、文法事項を中心とした言語材料の定着を図る様々な活動は盛り込まれているものの、本文で扱っている題材内容に関しては、内容理解を確認するQ&A等にとどまり、生徒がどのように考えるか、といった面に切り込むような言語活動を展開することがあまり意識されていない。

○ 総合的なコミュニケーション能力を育成するための言語活動を展開するため、必要な教科書等の在り方について検討する必要がある。

(2)教科書・教材に関する改善の方向(例)

(小学校)

○ 先進的な取組も含めたこれまでの外国語活動の成果・課題を踏まえ、小学校中学年においては、発達段階に応じた外国語活動に必要な教材の開発を行うとともに、小学校高学年においては、アルファベット文字の認識、日本語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴や文構造への気付きを促す指導ができる補助教材を作成する。

○ この補助教材については、小学校中学年における外国語活動、高学年における外国語の教科化において求められる教材等として、国の「英語教育強化地域拠点事業」における研究開発校等において、平成27年度より試行的に活用しながら、その効果を検証する。更に、小学校高学年の教科化に向け、新学習指導要領移行期に各学校において活用することを想定した教材開発を行う。

○ また、効果的な学習方法として、教科書・教材におけるICTを活用した先進的な活用事例の共有、音声も含めた学習効果の高いコンテンツの導入、ICT活用を推進するためのハードウェアの充実を図る取組を促進する。

 (参考1)平成26年度予算:小学校における外国語活動・外国語教育の教材整備

  • 小学校における英語教育強化のための補助教材の開発
  • 小学校外国語活動教材Hi, friends!作成・配布 等

(参考2)ICT活用への支援

  • 教育用コンピュータ、電子黒板、無線LAN等の整備
  • 学習ソフト開発
  • ICT支援員の配置等への地方交付税措置

 

(中学校・高等学校)

○ 今後の外国語において求められる教科書等の教材の内容等については、世界標準となっている教材の活用及びこれらを参考にしつつ、授業を英語で行うことを基本とした、総合的なコミュニケーション能力の効果的な育成に資する言語活動の高度化等に対応した教科書等の教材開発が必要である。

○ また、中学校・高等学校の外国語学習においては、効果的な学習方法として、言語活動の高度化に対応した教科書・教材における先進的な活用事例の共有、音声も含めた学習効果の高いコンテンツの導入、ICT活用を推進するためのハードウェアの充実を促進する。

6 指導体制

(1)現状と課題

(小学校)

○ 小学校では、学習指導要領において、指導計画の作成や授業の実施については、学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師が行うこととし、授業の実施に当たっては、ネイティブ・スピーカーの活用に努めるとともに地域の実態に応じて外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど、指導体制を充実することとされている。

○ このため、平成23年度に小学校高学年に外国語活動が導入されて以降、多くの学校で学級担任と外国語指導助手(ALT)など英語が堪能な外部人材とのティーム・ティーチングによる指導体制が整備・充実が図られてきた。

○ 小学校の教員は、その養成課程で外国語教育に必要な指導法等に係る養成を必ずしも経ておらず、現職研修等で外国語活動の授業づくりの習得に努め、工夫を重ねながらALT等とのティーム・ティーチングなどの教育活動を行い成果を挙げてきたが、課題としては、教員の指導力、準備やALT等の外部人材との打ち合わせ、外国語活動に関する教員研修の機会の確保などが挙がっている。

○ 外国語活動への取り組みが充実してきたものの、地域や学校、教員によりその理解や指導方法・体制などに差があるという指摘がある。また、ネイティブ・スピーカー等のALTや英語が堪能な外部人材が授業へ参加する回数が少ない学校と多い学校があるなど、かなりのばらつきがある。(再掲)

○ 授業の準備や教員とALT等との打ち合わせ等の時間を確保 することが困難で、十分な連携が図られていない。また、ALTの労務管理上、一部に学級担任等とALTとがティーム・ティーチングができないケースもあり、ALTに指導を任せてしまうという状況も指摘されている。

○ 小学校高学年において教科型の英語教育を導入するに当たっては、より専門性の高い教科指導を行う指導者の養成・確保が必要であり、これまでの小学校における外国語活動における成果を踏まえた指導体制の在り方を検討するとともに、次期学習指導要領の改訂と並行した準備段階における必要な支援が急務である。

(中学校・高等学校)

○ 高等学校における言語活動の高度化及び高等学校に円滑に接続することを前提とした中学校における基礎的な言語活動に対応できる指導力や英語力をもった教員の養成・確保が課題となっている。

○ 現職の教員が、自分が受けてきた英語教育とは大きく異なる方法で指導や評価を行うことが求められ、そのことに対応できる教員を育成するための研修を行う必要がる。

(小・中・高に共通する課題)

○ 教員及び外部人材の配置などにおいて、地域間、学校間におけるばらつきがあるため、国、地方自治体、学校における指導体制の強化が必要である。

○ 小・中・高等学校の教員の多くは指導力を向上させたいと感じているが、地域における研修機会が少ない、多忙により参加できないといった状況がある。 (再掲)

(2)指導体制に関する改善の方向(例)

1.小・中・高に共通する指導体制の改善の方向性(例)

○ 指導体制等については、1.効果的な教材の開発とともに、2.生徒のコミュニケーション能力を総合的に育成することができる教員が必要であり、教員自身が受けた英語教育とは全く異なる現状を踏まえ、既存の初任者研修、経験者研修、免許状更新講習等を活用することが考えられる。また、優れた教員が他の地域・学校の教員へ研修を展開できる体制整備が必要である。

○ 教員の英語力・指導力向上のための研修機会の充実及び研修参加へ専念できる環境整備や、ICTを活用した自己学習への支援など指導体制の改善に必要な国による支援の充実が必要である。

(小学校)

○ 小学校段階においては、これまでの外国語活動の成果を踏まえ、外国語指導助手や外国語が堪能な地域人材などとのティーム・ティーチングを行いながら、その発達段階に応じて児童の実態を把握し、指導に生かすことができる学級担任が果たしてきた役割は重要である。

○ 小学校中学年の活動型導入においては、地域の実情を踏まえ、学級担任とALTや専科指導を行う教員、学級担任との英語が堪能な外部人材とのティーム・ティーチングを行うなど柔軟な指導体制が整備されることが必要である。また、小学校高学年の教科化においては、専科指導を行う教員を含めた、より専門性を重視した指導の在り方及び指導体制について検討する必要がある。

○ また、小学校の指導者は、中長期的な観点から指導者の指導力向上が必要であり、当面は研修等で対応し、高学年における教科化においては、基本は養成段階からしっかりとした教科指導に当たるための英語力・指導力のある人材を養成することが重要である。

○ これらの指摘を踏まえ、小学校高学年における英語指導に求められる指導体制の強化の観点から、求められる教員と外部人材の資質・能力・資格要件などについて、次のような観点から具体的な指導体制の改善の方向性を検討する。

  •  児童への指導に当たっては、英語教育に関する専門性を前提としながらも、児童理解の観点、他教科等と連動した学習内容・活動を行う観点、学級経営を基盤とした授業の実施等に対応できる指導者が求められる。
  •  その際、学級担任が重要な役割を果たすこととなるが、併せて、小学校教育に対応できる専科指導に当たる教員を積極的に活用することも必要である。
  •  加えて、ネイティブ・スピーカーの外国語講師、外国語指導助手(ALT)、地域人材等の活用など、指導体制を充実させることが大切である。
  •  そうした外部人材の活用に当たっては、特に小学校高学年の教科において、適切な人材に対しては特別免許状を積極的に授与し活用することや、英語が堪能な地域人材、英語担当教員の退職者等を非常勤講師として活用するための方策も講じる。
  •  また、外国語活動において役割を果たしてきた学級担任の中で、更に小学校高学年の専科指導にも当たることができるよう「免許法認定講習」の開設を支援し、小学校の現職教員が例えば、中学校の免許取得が可能となる環境を整備する。
  •  小学校における学級担任と外部人材の連携については、それぞれの役割を明確にしつつ、適切かつ適正なティーム・ティーチング等が行われるための体制整備の充実を図る。

 (例)

  • 学級担任、外部人材に求められる役割の明確化、連携の在り方
  • 外部人材として、外国語指導助手(ALT)、地域人材などの活用促進方策(配置拡大、ガイドラインの策定等)
  • ALT等向けの研修強化・充実 等

○ 小学校段階で、積極的に外国語を聞いたり話したりすることを重視する必要があり、専門性の高い教員との連携や、外部人材やICTの活用を通じて指導していくことが重要である。ICTについては、学校における環境整備も重要である。

(中学校・高等学校)

○ 中・高等学校における英語指導に求められる指導体制の強化の観点から、求められる英語担当教員と外部人材の活用(資質・能力・資格要件)などについて、次のような観点から具体的な指導体制の改善の方向性を検討する。

  •  指導に当たっては、英語教育に関する高い専門性を前提としながらも、他教科等と連動した学習内容・活動の実施等に対応できる指導者が求められる。
  •  授業は生徒の理解の程度に応じた英語で行うことを基本としつつ、習熟度別指導や少人数指導などの工夫を可能とする指導体制を確保する。
  •  授業を英語で行うことを基本とすることを前提に、生きた英語に触れるとともに、実際に英語を活用するという観点から、ネイティブ・スピーカーの外国語講師や外国語指導助手(ALT)、地域人材の活用などによる指導力の向上を推進することが必要である。
  •  そうした外部人材の活用に当たっては、適切な人材に対しては特別免許状を積極的に授与するための方策を講じる。

 (例)

  • 英語担当教員と外部人材に求められる役割の明確化、連携の在り方
  • 外部人材として、外国語指導助手(ALT)、地域人材などの活用促進方策(配置拡大、ガイドラインの策定等)
  • ALT等向けの研修強化・充実   等

 

○ 中学校・高等学校段階では、言語活動の高度化に対応するため、外部人材やICTの活用を通じて指導の充実を図っていくことが重要である。ICTについては、学校における環境整備も重要である。

2.教員の養成・確保

○ 小学校教員養成課程では、児童の発達段階、他教科等での学習内容、学級経営等についての知識理解に加えて、児童に英語学習の指導に必要な英語力,英語指導法について履修する必要がある。

○ 特に、教員養成、教員研修は、教員養成系大学、またその学部を有する大学と、教員養成課程において、次期学習指導要領改訂に向けて十分に指導力を付けられるような教員養成プログラムの開発・検証・改善、プログラムの提供を行うとともに、教員研修については、現職教員が研修を十分に受ける機会の確保、研修内容の充実等の取組への支援が必要である。

○ 小学校高学年においては、教科化に向けて、例えば、小学校英語科に必要な指導法、基本的な英語の音声学、文法などの養成課程及び研修における内容の充実が必要である。

○ また、大学の課程認定では、英語学、英米文学、コミュニケーション、異文化理解が柱となっているが、今後の英語教育に必要な方向性を検討する必要がある。

(小・中・高で共通する事項)

○ 教員養成については、より実践的な英語教員養成カリキュラムの開発が必要である。例えば、小・中・高等学校、大学、地域社会が連携して小・中・高等学校で既に優れた実践をしている英語教員が大学で授業を持ち、新たなカリキュラム開発に参加するなどの取組が必要である。また、英語教員採用について、英語力を更に重視することが求められる。

○ 英語教育における小学校と中学校、中学校と高等学校の連携・接続の強化を推進する観点から、養成、研修の段階から採用の在り方について、大学と教育委員会それぞれの強みを生かした実践的かつ一貫した在り方について具体的な検討が必要である。

3. 教員研修等

○ 教員の指導力向上のための研修等の在り方について、次のような観点から具体的な方策を検討する。

  •  今後の英語教育の指導の充実に当たり、次期学習指導要領の改訂に向けた現職教員に対する資質・能力を向上させる。
  •  全ての教員が指導力・英語力を高められるよう、現職研修等を充実する。その際、地域の実情に応じて、教育委員会と大学・外部専門機関等との連携を図る体制を構築し、継続的な現職研修、養成等のカリキュラム開発や実施につなげていくための取組を支援する。その際、研修に参加する教員の研修成果が生かされるよう、その目的・趣旨等の周知徹底を図る。

 (例)

  • 国における英語教育推進リーダー中央研修
    (外部専門機関と連携した英語指導力向上事業) 
  • 各地域・学校における中核教員
  • 初任者研修、10年研修
  • 教員免許状更新講習

・今後の新たな方向性に向けて、研修の質の改善のために次のような取組を支援する。

 (例)

  • 実践的な指導法や研修教材、ICT活用
  • 実践力を高めるためのワークショップ等の手法
  • 研修の事前・事後の自己評価方法の開発
  • 資格・検定試験の活用など英語力の達成状況の検証 等

お問合せ先

初等中等教育局国際教育科外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育科外国語教育推進室)