【資料1】これまでの意見の概要(小委員会)

(1)指導体制について

○ 小学校では、他教科との関連や、子供たちの様子を非常によく理解している教員が授業を進めているので、基本的に学級担任が中心になり、ALTなど英語力のある外部の専門人材とがティーム・ティーチングを組んで進める必要がある。

○ 小学校が教科となった場合、地域によっては様々な検定教科書を使うことになる。その場合、専科指導を行う教員がいないと厳しいのではないか。今まで努力されてきた学級担任の先生の中にも勉強され、優れている先生がいるので、指導者は様々な要素を考えるべき。

○ 指導者は地域によって確保できる状況がかなり異なるので、学級担任、ALT、専科教員、外国人教員など柔軟に取り入れてベストミックスを考えるのが一番現実的である。長期的には短期しかいない人材のみに頼るのではなく、優秀なALT経験者等を外国人教員として雇用することも国が支援する施策が必要ではないか。

○ 目的、目標に向けて、どこまでの仕事が必要になるのかによって、指導者は誰がどこまで何ができるのかというのが決まる。小学校の学級担任は、単なる英語力ではなく様々な授業を通じて子供たちを理解し活動させる技術として授業力を持つことが重要であり、外部の単に英語力が高い人が入ってきても授業は難しい。小学校の先生で中学校の英語の免許を持っているのは4%と非常に少ない。また、英語力を小学校の学級担任に英検準1級を求めること自体が小学校の場合必要なのかどうか。特に、学級担任の授業力を考えたときに、必ず英語専門の外部指導者や、専科教員、ALTがいれば十分で、むしろ一緒にコミュニケーションをする、子供たちを巻き込んで一緒に活動するということが学級担任は得意であり、そのような役割を担うことが大事である。

○ JETプログラムのALTがかなり減少しているが、ALTを2万1,000の小学校にどれだけ配置できるのか疑問。JET以外のALTをあわせても現在1万2,000人ぐらいのネイティブスピーカーしかいない。請負の形で現場に入っているとなった場合、制度上、請負の場合は、授業は学級担任と組んでティーム・ティーチングができないというという状況がある。ネイティブの先生と学級担任が一緒に授業の中で、授業を組みながら対応していくことができる体制を整備していく必要がある。教員免許法の改定があり、選択必修で英語が入ったとしても、何人確保できるか分からないし、英語の免許を取っている教員の割合が少ないとなると何年たてば賄えるのか。少なくとも10年ぐらいは外部人材の活用はせざるを得ない。その際にもっと外部人材とうまくできる体制を法律制度の面から整えていく必要がある。

○ 小学校は学級担任が基本であると考えるが、英語が教科化された場合には常に学級担任が中心だという考え方は柔軟にしなければならない。特に小学校の5、6年で週3時間となったときに、学級担任がイニシアチブをとって内容まで踏み込んで、指導技術も上げながら指導していくとなると現状は厳しい面もある。そうなると当然、ALTなど外国人や、日本人も含め英語の専門家を専科指導を行う指導者として入れていくということも必要。一方で、都道府県によって教員定数が決まっている中で、雇用した教員が定数にカウントされて、ほかの教員が減っていくというようなことになると違った問題が生じるので財政支援も見すえて外部人材を登用すべき。

○ 小学校における専科指導者はどのような人かというと、完全に学級担任をしないで英語だけを担当する専科という考え方もあれば、教科担任で6年何組を持っているけれども、6年生のほかのクラスも全部英語は自分が教えると。その代わり、自分のクラスの理科はほかの先生が教えてくれるというような教科担任制は、現に理科などでは50%ぐらいやっていることを踏まえ、高学年の英語が一種の教科担任制をとるということはあり得る。

○ ALTなど外部人材の活用については、補助的なものとして必要だと思うが、現状のALTや英語堪能な人が正しい発音を教えることができるのかというのは全く別の問題で、英語教員に求められているものは、英語力も必要であるが、それだけではなく指導力も必要である。

○ 小学校に関して児童との信頼関係を築ける人間でなければいけないということで学級担任が基本であると考える。小学校に英語の専科指導の先生を置くにしても、ふだんから児童と関わっているなど、学級担任、専科指導者に関わらず児童との関わりを重視した体制であってほしい。

○ 高校まで続く英語の勉強に、興味・関心が持続していくような楽しい、面白いというところから中学校、高校へつなげられるような教員に教えていただきたい。

○ 教員の指導体制をどうするかということは学校体制をどうするかということ。教員や優秀な外部指導者が入ったからといって、うまくいくということではなく、学校体制できちんと指導体制を作っていくということでないと効果は上がらない。学校で温度差がある。研究指定を受けているところは非常に一生懸命で、また教育委員会も後押ししているところは比較的頑張れるだろうが、そうでない学校となると恐らく直前まで動かないという現状がある。指導体制を作るというのは学校体制、すなわち、学校長がどれだけ意識を持ってこの英語教育を考えているかということも大きく左右するのではないか。

(2)養成・研修等について

○ 小学校の指導者に関して、小学校の学級担任制である限りにおいては、小学校の授業では、学級担任による子供理解というのが基本。学級経営や、生徒指導と教科指導がつながっているというのが小学校の特徴である。そういう意味では学級担任の役割は大きい。小学校の英語教育が子供たちにとって意味のあるコミュニケーション体験を大事にするということが維持される限りにおいては、学級担任の役割というのは外せない。ただし、小学校高学年が教科になり若干スキル面が指導内容に入ってきたときには、現状の学級担任の力では不足している。教科になれば、十分ではないにしても、小学校英語科指導法や、教科に関する科目で基本的な英語の音声学だとか、文法に関することなどもう一つくらいは学ぶことが必要。これからの小学校の教員の免許を取る人たちは、そのようなものを受けてくるのでこれまでの学級担任とは違ってくる。

○ 理科や算数でも、小学校の免許というのは広く薄く、それぞれの教科についてそれほど専門的なことを学んでいるわけではないので、免許に関して言えば、ゼロではないが、中学校の英語の免許を持っている人と同じくらいの勉強をしてくるわけではないということが前提。このため、スキル面を指導するための養成課程での充実や、研修、免許更新制度を活用してしっかりやるということは必要。ただし、やはり学級担任が中心となること、また、高学年では専科指導を行う教員も考えていいのではないか。

○ 検討されている小中一貫の免許など横断的な免許が今後できるのかどうか分からないが、そういうものの可能性もある。ただし単に中学校の免許だけを持っている今までの例を見ると、小学校で必ずしも成功しておらず、学級担任の役割もが基本的に必要である。

○ 中学校・高等学校も高度化を考えているので、中学校教員、高校教員についても、現状の免許要件でいいのか、必ずしも十分ではないのではないか。教員養成系大学、文学部、外国語学部の出身で、英語学習には差がある。県によっても違うが、教員採用試験が小・中学校の両免を持っているということをかなり重視している。両方の免許を持っている人が多い場合、教員養成系大学の出身者が多いということもあり、中学校、高校の英語の先生の英語力にもいろいろ差がある。英検やTOEFLのスコアで目標値がいろいろ掲げられているが、高校はかなりのところまで来ているが、中学校の実態はかなり厳しいものがあるので、小学校だけではなく中・高の教員のレベルアップも養成段階から考えていくべき。

○ 教員養成段階について教職課程の課程認定をしている大学が多いが、具体的にその科目の内容をどのような内容を教えているか。英語学、英文学、英語教育など専門に近い科目名になっていても、中身は非常に限定されているもので単位が取得できるということがある。課程認定において実力のある教員が養成されるようその免許要件というのをきちんと見ていくことが必要ではないか。

○ 高校について、英語の教育内容が非常に変化が激しく、これまでも現場の先生方は大変努力をして現職教員の研修を重ねてきた。課題としては、多忙化する自分のふだんの職務とその研修とのバランス、研修するそれなりの環境を与えるべき。合わせて、教員の英語力を高めるだけではなく、実際に求められているのは自分の授業でどう展開していくか、具体的な指導方法を学びたいという先生が非常に多い。県、国で多くの先生が学べる環境と時間を確保すれば、指導体制はより充実する。

○ 英語指導力向上事業について、研修を受けられて非常に力を出されるが現場へ戻ったら学校は全くそのことを考慮していない。これまでは、ほとんどの教員が研修を受けただけであって、学校の体制は何も変わっていないというケースが非常に多かった。今回、例えば英語教育推進リーダーが各校から選ばれるだろうが、校長先生はじめ学校側に研修内容が周知徹底されているのか。

○ 外国で教授法を学んで戻ってきた教員が全く生かされないというケースが多い。これまでの悉皆(しっかい)研修も研修を受けたが学校の体制は変わらなかった。研究開発校であれば校長先生が体制を組んで、学校として一生懸命取り組むだろうがカスケード方式の研修が機能するかどうか非常に不安。

○ 英語教育推進リーダー、中核教員がどのような役割を果たせるのか。本当に現場で役に立たせられるのか。教育委員会、学校、自治体がどれだけ熟知し、英語教育推進リーダー、中核教員を派遣するということにどのような意味を持っているのか十分理解されることが必要。その人たちは各学校の中で特別な役割を持っているので研修から戻って埋もれてしまうようなことだけは絶対さけるべき。

○ 学校現場、校長がどれぐらい研修内容等を理解できているか。校長に2020年までの大きな流れからわかりやすく説明すると、私たちも勉強したいということで、この次の機会も少しまた情報提供するという形になった。分かりやすい資料や、情報があって誰かが伝えてくれれば学ぼうという姿勢は十分あるが、余りに現場までそのことが伝わっていないというのが分かった。どのように国として教育委員会等を通じて現場まで浸透させるか。

○ 教員の活用、勉強している教員には、学校や地域に還元するよう話をするが、なかなかそのような時間が取れない。その一つとしては、学校側の業務がたくさんあるということもあるが、もう一つは学校長たちがその意味をまだ理解ができていない。いかにそれを理解させるかが大きい。

○ せっかく受けた研修が埋もれないように全国に伝達できる方法を国として保障すべき。各学校が研修を受けた教員の実績、研修内容を知らない、生かし方を知らないということがあるが、国として追跡調査を行い、都道府県と連携をとりながら、どういうような生かし方を行ったかフォローアップすることが必要。都道府県任せでは埋もれてしまうのではないか。

○ 中央研修の内容はかなり実践的な研修が5日間組まれていると思うが、その実践が実際に伝わるような場面を設定することが必要。受けてきた人間がその実践を還元しないまま管理職や、学校経営側、また行政に引っ張られたりすることがあり、研修内容が生きてこないという現状もある。是非この内容が全教員まで伝わるような仕組み国の方で構築すべき。

(3)外部人材の活用について

○ 小中一貫校時代の経験から、小学校の高学年になると、文字を知りたい、もっと自分のことを自分の英語で言ってみたい、実際にネイティブと会話をしてみたいといった意欲が出てくる。そうなったときに、英語の専科や、ALTなどの活用の時数は当然増やすべき。例えば学級担任と外部人材のバランスを、やはり外部人材の方にも随分多くしていく必要はあるのではないか。

○ ALT、外部講師の研修も大事だが外部の指導者として入っているだけだと、本当に学校の全体の英語教育に生かされるのかどうか。例えば民間の委託されているような人たちは研修には関係ないのか。JETや直接雇用を合わせても数千人にしかならないし、専科指導に必要な者が全体で7万人ぐらいは必要だという話もあった。それぐらいの教員の数が必要だとすれば、民間で派遣されてきているようなALTも参加できるのか。又は、委託業者に対して、業者を指導するような業者の研修制度というものはあるのかどうか、全体として、どのように有効に活用していくのか見えてこない。

○ ALTや英語が堪能な外部人材について、中学校、高校においては一定の基礎的なものが習得された段階で、教えてもらったものを実際に活用する相手として外部人材を活用すべき。高校では特にスーパーグローバルハイスクールで、企業人としてかなり英語を使ってきた方など様々な形で内容のあるコミュニケーションを行うことが高校生のキャリア教育にもつながり、また、本物のコミュニケーションをするための環境整備の一環となる。

○ 授業以外で活用できる外部人材が高校にあると、高校生の英語運用能力が高まるのではないか。授業だけで身につけることは難しいこと、また身につけた力をやはり試す機会がない環境であることが一番の課題。それを試す機会として学校の中に外部人材として、休み時間でも話せる、又は他の科目の授業に補助として参加するというような活用ができれば、生徒の英語を使う場所ができて英語力が伸びるのではないか。

(4)ICTの活用について

○ 小学校でICTがどこまで整備されるのか。また、それを担任の先生が使いこなせるかどうか、あるいは教材をちゃんと提供してもらえるのかといったことも関わっている。

○ ICTについては当然必要だが、自治体によると非常に予算が組みづらい部分もあり、格差が出るのではないか非常に危惧をしており、その点をどのように考えていくのか、十分に議論していく必要がある。

○ 中央研修に参加可能な教員は限られており、また、参加できるような優秀な人は学校にとってほかの分野でも非常に優秀な人である。全教員に研修を受けさせたいが不可能。校内研修と言っても、中央研修のようなものが再現できるわけではない。また、教員は多忙で学校でしっかりとした研修時間を取ることはできない。このため、中央研修の内容をDVDやICTを活用して一人一人の意欲のある教員が、休日や夜に一人一人が自己研修できるようなツールとしてICTの活用を考えるべき。

○ 発音が正しいか間違っているかの判断をできるような簡単なツールというのがあるというとだが、4技能の評価の中で、「話すこと」の評価が課題であるが、評価用にICTを活用してはどうか。インタビューテストは実際には時間がかかり難しい。

○ ICTの活用については、通信講座などでプログラムを開発し、それを受けることによって、何らかの単位になるなどプラスになるような制度ができれば、学校にいながらにして自分の時間を使って研修を自分たちで受けていけるという良さもある。放送大学で免許更新講座の小学校英語を担当しているが、そのようなプログラムで賞状などがあれば連携がうまくいくのではないか。

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初等中等教育局国際教育科外国語教育推進室

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