資料1-2 教員養成部会メモ

1.現職研修と免許状更新講習の関係について

免許状更新講習は40代、50代も受けている。10年目経験者研修との重複という問題にあまりにもリンクさせると誤解を与えてしまう。免許状更新講習は、30代と40代、50代とでは評価が違っている。40代、50代にとっては、必修領域は極めて評価が高い。10年目経験者研修と免許状更新講習とでは担うことは違う。講師としても同じことを話したりは当然しない。領域が重なっていても、そこで学べることは違う。ただし、受講者の負担感は紛れもなくある。特に離島、僻地の問題は早急に改善が必要。

免許更新制は、10年たったら一般的にどの程度の知識、経験、態度を身につけているべきかという観点から更新の是非を論ずるべきものであって、更新講習は、そういうものがきちんと身についているかを判定するに足るようなものであることが本来のあり方。一方、10年目経験者研修は、10年たった教員に何が必要か、将来に向けて何が必要となるのか、知識、経験、態度としてどんなことが求められるのかという観点からあり方や内容が論じられるべきもの。そもそも趣旨、狙い、目的が違う。

免許状更新講習は、10年前、20年前の免許、その時期の社会状況と、学んできたことが相当するのかどうかに絞り、研修やキャリアアップとは切り離してシンプルにした方がわかりやすい。

○10年目経験者研修は、14年答申で更新制が見送られ入った経緯があり、重複していかざるを得ないという本来的問題を抱えている。その中で、教員数の少ない30代、40代のミドルリーダーの必要性が随分言われており、10年目、15年目研修にそのような視点を織り込んでいくと、新たな担うべき役割が出てくるのではないかと思う。今の10年目経験者研修は、免許状更新講習と同じで知見のリニューアルという文脈だが、違う文脈を探していくことで整理ができるのではないか。

○形の上で同じ内容が扱われていても、一方は大学、他方は教育委員会で担当しており、受講生の受け止め方の違いがかなりある。大学と教育委員会は歴史的経過の中で対立や反発、無縁の状態があり、日本の教育にとって非常に不幸だった。したがって、どちらかの制度にするとか、単に単位上の調整をするということでなく、重複をいい機会と捉え、大学と教育委員会が連携して教員の講習や免許更新ができる方向にもっていってほしい。

○校長としては、免許状更新講習と10年目経験者研修で、現場がとんでもないことになる年もある。夏休みに集中しているが、部活動や大会があり、指導力のある教員が講習等の対象の場合、頭を抱える。両者を分けるとまた負担が多くなるので、たとえば、免許状更新講習をし、判定・評価が出て、低い場合に教育委員会に報告がいって研修を受ける、逆に高い評価を受けた教員は次は免除、といった研修と講習のリンクがあるといい。

○10年目経験者研修は公立の教員のみが対象。かつて、私学の教員には研修機会は余りなく、今講習機会を持てていることを踏まえると、更新講習が制度化されたときの考え方は間違っていなかったと思う。

現場の先生の負担を非常に懸念している。確かに研修は理論的で役に立っているというアンケートが出ているが、現場では、目の前の子供たちの問題になかなか対応できない、先生がそこに存在しない、学年会も設定できない現状がある。大学との連携、国、県、市町村による研修の負担が教員にとって非常に大きいことも考慮しなければならない。

○現在、免許状更新講習を受講している者は35歳、45歳、55歳であり、教員として8年目、12年目といった人もいる。現行において現職研修との重複者が少ないのは当然で、今後、新免許状所有者が免許状更新講習の対象となると、状況が少し違ってくるのでは無いか。


2.「必修領域」のあり方について

必修領域の運用は、大学によって、担当教員数や時間数を細分している場合もあるのではないか。必修領域のあり方や時宜に応じた内容の扱いも含めて、大学独自で検討してもよいのでは。更新講習は、大学側と現職教員のコミュニケーションチャンネルという点からもよかったと思う。今後は更新講習においても、教育委員会と大学がチームで取り組むなど連携があるといい。また、修得した単位が上級免許状取得単位の一部となるような制度が検討されるとよい。

選択必修を設けるなど検討するにあたっては、余り複雑化してほしくない。大学によって教員数や経験に大差があるので、能力によって区分しなければ難しくなるのではないか。大量の教員を対象にするので、シンプル化がよい。

学校種別が有効なのでは、という話があったが、隣接校種が一緒に受けられる機会をできるだけ保障する仕組みがよい。全体をカバーすると幼稚園教諭から不満は出るので、学校種に応えることと、隣接校種が選択できることを、システムとして、幼稚園教諭のことも抜け落ちないように考えてほしい。幼小中高の一環の中でお互いが理解していくことが極めて重要なので。


3.効果検証について

○免状更新講習の最大の意義は、多くの大学が初めて本格的に現職教員の研修に参加し、実施したこと。この意味は非常に大きい。教員養成にだけ限られていた大学の機能が全国的に拡張した。そのことによる大学へのいい効果はたくさんある。教員の評価も高い。ただし、本当に効果を実感しているのか、時間がたってからの効果検証をしていただきたい。

○免許状更新講習は、受講したその場で評価するので、受講者は良く書こうとするのではないか。講習受講後少したってから振り返って評価するなど、他の方法があるべきではないか。

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