教員免許更新制度の改善に係る検討会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成25年9月13日(金曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省6F3会議室

3.議事要旨

【日時】平成25年9月13日(金曜日)10時~12時

【場所】文部科学省6F3会議室

【出席者】
    内田委員、◎小川委員、片平委員、中庭委員、橋本委員、濱本委員、原之園委員、本郷委員、松宮委員、森山委員  ※◎印は主査
(文部科学省関係者)
    前川初等中等教育局長、山下大臣官房審議官、髙口教職員課長、小谷教員免許企画室長 他

【議題】
・検討会議の設置について
・本検討会議の検討事項について
・その他
 
【議事】
○主査に小川委員が選出された。
 
○事務局から配布資料1~5について説明の後、具体的な検討事項及び免許状更新講習の実施状況について意見交換を行った。
その後、配布資料6・7について事務局より説明の後、各委員から意見発表を行った。

○各委員の発言を踏まえ、主査より今後議論すべき事項が以下5点にまとめられる旨の発言があった。
 1.任命権者が実施する現職研修と免許状更新講習の関係の整理について
 2.選択必修領域について考える前提として、必修領域の対象者設定、時間数、内容のあり方について
 3.履修(修了)認定試験の時期、形式、水準、評価伝達のあり方について
 4.免許状更新講習の開設時期について(時期の分散やe-learningの活用等)
 5.その他、地域の実情に応じた課題等について

各委員の主な発言は以下のとおり。

○免許状更新講習における課題(自由討議)

【委員】
・免許状更新講習と10年経験者研修の重複がなくなると教員の負担は軽減される。
・人気のある講習は受講申し込みが殺到し、すぐに定員が埋まってしまう。
・資料7-1のような魅力のある講習が多くあれば、教員も学校に戻って教育に生かせる。
・必修領域は受講する者の評価が低い。また、一概には言えないが、教科に関する講習は少し評価が高くなり、さらに教養に関する講習は評価が高い。
・自大学の場合は、附属学校の実践演習参加者の評価が非常に高い。実践も理論も得られるし、特別支援学校へ研修に行く機会がある等、色々と勉強でき評価が高くなっているのではないか。
・自大学は延べ6,000人を超える受講者を受け入れているが、必修講習を担当できる講師は専門分野によって限られてしまうため、制度開始後数年たち、講師に疲弊感が出てきているのが実情。今後は講師の負担を軽減する方法を考えていかなくてはならない。
・選択講習については、英語での授業のための講習が開設出来たら良いと学内で話しているところ。

【委員】
・自大学の必修講習については、大規模になりすぎないよう、定員110人で20講習開講している。学校教育、心理学、特別支援教育、教科教育、附属学校の教員などが協力し、8人がチームを作って1講習を受け持ち、延べ160人が携わっている。選択講習は120講習開いているが、必修講習に心理学、特別支援教育等の領域を担当する教員を重点配置しているため、心理学や特別支援教育等の選択講習を開講するのが困難な状況になっている。
・選択必修については、開設日程をどのように設定すれば良いのか、また学校種や教科別等、どのような分け方で実施するのか、設定を細かくすると教員のニーズは高くなるが大学側がどこまで対応可能なのか、検討が必要。

【委員】
・長崎県は離島やへき地に勤務する教員が1割~1割5分存在する。教員の負担を軽減するため、県教育委員会と県下の10大学が協力して、「長崎方式」というシステムを作った。大学にとっては離島での講習実施は確実に赤字であるが、それを本土で実施する講習の黒字で埋め、全体として収支バランスを確保している。
・各教員に対しては、県教育委員会が来年更新講習がある旨を知らせ、校長からも2回知らせる。
・人気の選択領域は30分で定員が埋まる。しかし、150講習の開設が限度。必修領域も限度がある。
・制度ができて数年がたち、講師に疲労感がある。特に必修領域は講習数が多く、担当できる講師が限られるため、負担が大きい。
・必修領域は講師の人数が足りないため負担感が大きい。
・教員免許更新制、また10年経験者研修で何を求めるのか、整理する必要がある。
・大学教員が講師を行うことの良さ、指導主事の先生が講師を行うことの良さを生かせるシステムを作る必要がある。
・大学からすると選択必修については、どのような内容の講習を選択必修とするのかを決定することが難しい。今は、教職と教科教育の区分けがはっきりしている。
・免許状更新講習は、大学の教員が学校現場の教員を知り、それを教員養成に生かしていくことができるという点で、大学としても有り難い制度。しかし、講習の内容については学校現場の教員のニーズだけではなく、社会からのニーズとのバランスを考えるべき。

【委員】
・必修領域の「教育政策の動向についての理解」の項目について、先般、国が教育振興基本計画を策定し、それに沿って都道府県・市町村も計画を策定している。
  将来の日本を担う子供をどう育成したいのか、という政策的なことも含めて、必修領域の中で現場の教員に伝えて欲しい。
・現場の教員のニーズに応える必要がある。例えば、各大学の事例の中で、発達障害の児童への支援等に関する講習があるが、これは現場の教員にとっては喫緊の課題。一律に指導法などを扱ってもらうと、教員のニーズに応えることになる。
・資料4-2の事後評価結果の「あまり十分ではない」「不十分」との回答で、具体的に何が不十分なのか知りたい。改善を行う切り口になる。
・選択必修については免許教科だけではなく、学級担任に必要である道徳や特別活動(学級活動)等の指導力を学べる講習なども必要なのではないか。
・8月に免許状更新講習の開設が集中しているが、都道府県や市町村もこの時期に研修を実施している。棲み分けが必要。

【委員】
・鹿児島県は教員の1/3が離島に勤務しており、色々な面で割高。10年経験者研修を免許状更新講習として読み替えたり、大きな島では大学に協力いただき講習を開設しているが、全般的に時間・コストがかかる。
・講習を受講した者は満足しており、効果は上がっていると思う。
・教育委員会の免許事務に関する負担が大きい。
・講習を修了しても、試験の出来不出来は個人によって差があり、本人に足りなかった部分をどのように還元し、資質向上につなげていくかが課題。

【委員】
・自大学では全てeラーニングで講習・試験を行っている。正月過ぎから他大学では実施していないから、又は試験が特定日で間に合わないからといった理由での受講が多い。秋口が多く、春夏が1,000人、秋冬が6,000人の受講がある。
・eラーニングはパソコンがないと受講できないが、パソコンがない方の対応に困っている。勤務する学校で受講する場合、セキュリティーが厳しく認証できないことがある。最悪ネットカフェでの受講となる。パソコンで講習を受講できるような環境が各地に欲しい。
・自大学は、修了確認の申請期限間際の受講が多く、修了認定書を速達で送っても間に合わない場合は、大学からメールで修了認定書の画像を教育委員会等に送っておき、後ほど教員から原本を提出してもらう等の対応をする。これを認めてくれる教育委員会はいいが、認めないという教育委員会もある。せっかくeラーニングで受講しながら、飛行機で往復する人もいる。教育委員会においてもご理解いただきたいと思う。
・自大学では、今のところ必修領域の講習を幼小と中高に分けている。選択必修について、今後より細かく内容や時間を分けて受講者のニーズに対応するのは良いと思うが、少人数定員の対面講習を提供する大学が6時間に分割した選択必修を実施することになると、必修領域さえ全て受講できずに講座を探し回る人も出てくる恐れがある。対面講習を希望する受講者のためには、近隣の大学で必修領域の受講生を全てカバーできるよう配慮する必要がある。

【委員】
・都道府県でも最新の知識・技能を身につける等の目的を念頭に置いて、研修計画を組んでいる。よって実質的に都道府県の行う研修と教員免許更新制は重複している。本人にとってみれば、免許状更新講習も自分の受ける研修の一つであるが、免許状が失効してしまうという点で、最優先となる。
・免許状更新講習で何を学ぶのかについて、あまり網羅的に内容を盛り込むのではなく、内容を絞る必要がある。現職研修全体の枠組の中での免許状更新講習のあり方を考える必要がある。
・講習を受ける側からは、日程的に苦しいという意見を頻繁に聞く。
・本県では、夏季休業の終了時期が早まっており、期間は実質7月20日~8月20日過ぎの1ヶ月程度で、土日を除けばほぼ20日余り。このうちの5日が免許状更新講習となるが、たとえば、吹奏楽のコンクールの指導をずっと行ってきた教員が、コンクール当日に講習で指揮ができないといった事例がある。スポーツの監督でも同じようなことがある。
・内容的には任命権者による研修と変わらないのだから、免許状更新講習を研修で代えられないだろうか。

【委員】
・必修講習は講師数の制約があるため、数分で定員が埋まってしまう。選択講習は全学体制で人選をしている。
・免許状更新講習を改善するにあたり、教員の受け止め方、社会の受け止め方、教員の受け止め方を再度認識する必要がある。10年経験者研修と免許状更新講習の違いの明確さに関わってくる。
・講習の質については大学の工夫も必要。本学では近隣の教育委員会に受講者の課題意識に関するアンケートを行っており、講習内容に反映している。
・必修講習の内容をどう捉えるのか。教員にとって、「教育の最新事情」とは何かや、共通とは何か、議論する必要がある。特に幼稚園教諭の受講者の中には,内容が小中に中心が置かれていて意味がなかったという意見がある。学校種だけではなく、受講者の30代、40代、50代という年代の違いについても考える必要がある。
・大学に学びに来たのだ、ということを意識している受講者がいる。大学で講習を行う意味が、講習内容に反映されると良い。例えば大学はアカデミックさを持っており、教育委員会の研修とは違う教育の最新事情や共通内容があるのではないか。
・受講生は日程、アクセス、講習内容等、何を重視して講習を選択しているのか、把握・精査する必要がある。
・現代的な課題や必修・選択・必修選択の位置付けなどの検討を行う前提として、必修講習及び選択講習の意味をどう考えるか。
・履修認定試験や評価は、特に必修領域については大学や講習によって様々な形式があり、不平等感があると教育委員会から指摘されている。また、学んですぐに試験を受ける現在の方式が良いかどうか。
・試験に落ちた人は次の講習を受けないといけないので、試験の結果の通知は早く行う必要がある。

(了)

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