資料9:「障害のある児童生徒の教材の充実に関する検討会」における意見(近藤委員提出資料)
「障害のある児童生徒の教材の充実に関する検討会」における意見
平成25年7月5日
全国特別支援学級設置学校長協会
会長 近藤正幸
1 現状
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ICT機器が整備されたとは言え、電子黒板や大型モニター、書画カメラなど使用していることの報告があるが、自治体によって設置状況に差があり、使用状況も差がある。
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パソコン教室でのカレンダー作りなど実践事例で、デスクトップ型PCの利用が一般的である。
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ハード面が整備されたと言っても、それを活用するソフトが少ない。また、インストールするにも予算面での措置が不足している状況である。セキュリティの関係で自由にインストールできないので、個人のPCを持ち込んでいる。
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必要な情報が自分の指で拡大縮小できたり、重要な部分を隠したり表示したりすることのできるタブレット型端末やソフトの導入で、学習しやすくなると思われる児童生徒がいる。しかし、機器の導入が進んでいないのが現状である。
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実際にあって使いやすく、効果が期待できる教材として小型のホワイトボードは、目標やねらい、メモ、時間割、教科によってはちょっとした説明や解答を書くのに使い勝手がよい。タブレット端末に替わるかというとまだそうはならないと考える。
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自治体によっては、実物投影機はかなりの割合で教室に一台ずつ整備され使いやすい。
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タブレット端末とPCと大型モニターを組み合わせて自分たちの意見を直ぐに映し出すことができる使い方が効果的であると考える。
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券売機などの実物大の模型があれば実際に近い形で取り入れられるが、実際は段ボールを使って手作りで作成している。
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手の器用さを鍛える教材やボードゲーム等は実際のものを使った指導が有効である。
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実践を通して各先生方が手作り教材を自分で材料を用意して作成している状況がある。
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個々の教材については、特別支援学級の担任が児童に応じて手作りのもの を使っているが、あまりにも多種多様で学習の進度や内容に追いつかない状況であるの。特別支援学級の児童が集中しやすい、写真・動画・絵などが豊富な認知発達教材ソフトが必要である。
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子どもたちの将来の生活を考えた時、発達状況に応じてパソコンを使いこなせるようになっておくことは必須事項である。特別支援学級にこそ、子ども用パソコンや電子黒板が必要である。
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タブレットパソコンは場所を選ばないという点で、インクルーシブ教育を進めていく上で、障害のある児童生徒にとって効果的な教具となり得るので、その普及と、フリーにダウンロード可能な教材の開発を推進していただきたい。
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漢字の画数が一画ずつ出てくるソフトや計算を図式で指導できるソフトなど、指導にたいへん有効である。電子黒板や大型テレビとともに整備をお願いしたい。
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ことばの教室の通級指導教室で、個人用タブレット端末は非常に効果があるので、整備をお願いしたい。
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発達障害の児童生徒が使用する教科書として、文科省著作本や107条本が給与されるよう教科書制度が実施されているが、無償給与のアプリケーション付きの教科用図書の開発を進めていただきたい。
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ビジョントレーニングのための教具や遊具(目と手の協応ができるもの)を充実させていただきたい。
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ICTを充実させ、児童生徒に使用させることは大切だが、その際に指導者(介助者)がつかなければ活用できない。そこまで考えていただきたい。
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今回の検討会はICT機器が中心になるようだが、特別支援教育は個々の発達段階や様態に応じての教育なので、なにしろ教材購入の予算を増額していただきたい。
2 要望
- ICT機器の整備について、国の施策として予算を付けて特別支援学級をはじめとして小中学校に整備していただきたい。その際、機材や教具の整備基準を作成して示していただきたい。
- 校内無線LANの整備は遅れているが、タブレット端末の整備とも関係しているため、これらの整備は同時に進められるとよい。
- 機器やソフトを効果的に活用する能力を高められる教員研修の充実を図っていただきたい。