資料2-3 委員提出資料(押谷委員)

第8回 道徳教育の充実に関する懇談会における議案に関する意見

(道徳教育充実のための改善策について―教材・教科書の取り扱いを中心に―)

(道徳教育充実のための改善策について―新たな枠組みによる教科化を中心に―)

昭和女子大学 押谷由夫 

 

1. 教材・教科書の内容等について
(1)道徳の教科書は、多様なものが開発される必要があるが、教科書以外にも教育委員会等で開発した資料、郷土資料や学校で開発した資料、自校の児童生徒の実態や学校の実態に応じた資料などが使えるようにする。(例えば、授業の3分の2は教科書を使用し年間指導計画に位置付けるが、3分の1は学校独自に資料を選び活用できるようにする)
(2)個に応じた指導を行うためには、ノートによる指導が不可欠である。授業及び事後に使える「道徳ノート」の開発と活用を強く求めたい。
(3)道徳の授業と新「心のノート」が響き合えるように指導を工夫することを積極的に求める。

2. 教科書の必要性の有無、新「心のノート」との関係等について
(1)教科書は絶対に必要である。検定教科書を使用できるようにすべきである。
(2)新「心のノート」は教科書と並行して使用できるようにすべきである。新「心のノート」は、道徳の時間と響かせて全教育活動や日常生活で使えることを目的とする、全教育活動を通しての道徳教育の教材である。道徳の教科書は、全教育活動での道徳教育を踏まえながら道徳的価値の自覚を計画的・発展的に深めていくことを目的とする。したがって、道徳の教科書と新「心のノート」が響き合って使用されることによって道徳教育が充実することになる。道徳の教科書と新「心のノート」の併存を強く主張したい。

3. 新たな枠組みによる教科化について
(1)学校教育の中核としての道徳教育、その要としての道徳の時間という現行の学習指導要領のしくみをそのままにして、道徳の教科化を図る。
(2)そうすると、道徳は各教科と横並びの教科ではなく、それらを包み込んで児童生徒一人一人の人間としての自分らしい生き方を追い求める基盤となる道徳的価値の自覚及び道徳的実践力の育成を計画的・発展的に行うことから、「特別の教科 道徳」とし、学校教育法施行規則に、「特別の教科 道徳」「各教科」(国語、社会・・・)・・・によって編成するものとする、と明記すればどうか。
(3)道徳教育の目標は、自律的に道徳的実践のできる児童生徒を育てることをさらに強調する必要がある。そして道徳教育の日常化、習慣化を図ることと、学校、家庭、地域社会が一体となって取り組むものであることを明記する。
(4)そのことを踏まえて、要としての「特別の教科 道徳」の目標を明確にする。現行の道徳の時間の目標を基本とするが、さらに、全教育活動や日常生活、家庭や地域社会との連携などを積極的に工夫することを明記する。
(5)「特別の教科 道徳」の指導方法においては、他の教科等との連携を明確にした指導(例えば「総合道徳」などと明記して)を重点目標や社会的課題に対して計画し、年間指導計画に位置づける、といったことを明記してはどうか。
(6)「特別の教科 道徳」の指導においては、児童生徒の実態を的確に把握して個に応じた指導を充実させる必要がある。そのためには、教師が指導する内容について分析し、児童生徒の自覚の状況がどの程度かを評価し指導を充実させることが求められる。児童生徒に示す評価は、そのような指導の結果、育まれてきた道徳的成長を記述するということでいいのではないか。
(7)また、「特別の教科 道徳」の特質を勘案して、教科書の一部としてサブノート的なものの開発を求め、児童生徒が自己の道徳学習を振りかえったり、成長を実感したり、課題を見出したりして、自己学習を深められるようにする指導の工夫が必要ではないか。
(8)「特別の教科 道徳」の指導は、特質から考えて、学級担任を中心として全員がかかわれるようにする必要がある。そのためには、道徳教育を指導できる加配教員の配置や、専門的な指導(研修)を受ける機会を充実させる必要がある。
(9)大学の教員養成課程において道徳教育科目は増やす必要があるが、教員免許を取得する全員に道徳免許を交付できる仕組みを作ることも考える必要がある(例えば該当教員免許の取得の際に道徳教育科目を8単位取得することで道徳免許が同時に交付されるなど)。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第一係

電話番号:03-5253-4111(内線2903)