資料2-3 いじめの問題等への対応について(第一次提言)抜粋

平成25年2月26日 教育再生実行会議

1.心と体の調和の取れた人間の育成に社会全体で取り組む。道徳を新たな枠組みによって教科化し、人間性に深く迫る教育を行う。
  いじめの問題が深刻な事態にある今こそ、制度の改革だけでなく、本質的な問題解決に向かって歩み出さなければなりません。
学校は、未熟な存在として生まれる人間が、師に学び、友と交わることを通じて、自ら正しく判断する能力を養い、命の尊さ、自己や他者の理解、規範意識、思いやり、自主性や責任感などの人間性を構築する場です。
  しかしながら、現在行われている道徳教育は、指導内容や指導方法に関し、学校や教員によって充実度に差があり、所期の目的が十分に果たされていない状況にあります。
  このため、道徳教育の重要性を改めて認識し、その抜本的な充実を図るとともに、新たな枠組みによって教科化し、人間の強さ・弱さを見つめながら、理性によって自らをコントロールし、より良く生きるための基盤となる力を育てることが求められます。
  また、家庭や地域を始め、社会の中で人が生きていく全ての過程が人間教育の場となります。社会全体でその意識を共有し、それぞれの立場から子どもの成長に関わり、支える必要があります。

○ 子どもが命の尊さを知り、自己肯定感を高め、他者への理解や思いやり、規範意識、自主性や責任感などの人間性・社会性を育むよう、国は、道徳教育を充実する。そのため、道徳の教材を抜本的に充実するとともに、道徳の特性を踏まえた新たな枠組みにより教科化し、指導内容を充実し、効果的な指導方法を明確化する。その際、現行の道徳教育の成果や課題を検証するとともに、諸外国における取組も参考にして、丁寧に議論を重ねていくことを期待する。

○ 国及び教育委員会は、心の豊かな成長を育み、子どもの良き行動を引き出す道徳教育が実践されるよう、全ての教員が習得できる心に届く指導方法を開発し、普及することや、道徳教育のリーダーシップを執れる教員を育成することなどを通じて、教員の指導力向上に取り組む。学校における道徳教育の教材として、具体的な人物や地域、我が国の伝統と文化に根ざす題材や、人間尊重の精神を培う題材などを重視する。

○ 学校においては、日常の生徒指導や、多様な体験活動などを含めて、全ての教育活動を通じた道徳教育を行う。また、食事等の日常生活の乱れが子どもの心の乱れにもつながっているとの指摘を重視し、食育等の視点も取り入れた指導を行う。さらに、各教科等に係る子どもの学習の状況や学校における指導の記録を継続的・系統的に蓄積するとともに、それを教員が共有し指導に生かす。

○ 学校は、保護者も巻き込みながら、子どもたちが社会の一員として守らなければならないきまりや行動の仕方を身に付け、時と場合に応じて責任ある行動や態度をとることができるよう、市民性を育む教育(シチズンシップ教育)の観点を踏まえた指導に取り組む。その際、発達段階に応じて、互いの人格や権利を尊重し合い、自らの義務や責任を果たし、平穏な社会関係を形成するための方策や考え方を身に付ける教育(法教育)も重視する。

○ 各学校で子どもたちがいじめについて自ら考え、話し合いに取り組み、児童会や生徒会等において、「いじめは絶対に許されない」などの宣言をし、活動していくことや、子どもたち自身が自分たちの間の問題を解決できる力を身に付け、行動していくことができるよう指導し、支援していく。また、リーダーシップを執れる子どもを育てる。

○ 大人の振る舞いが子どもに直接的な影響を及ぼす。家庭や地域などにおいても、大人が率先垂範して一人の人間としての在るべき姿を示し、しつけるべきことをしつける。特に、家庭教育の役割の大きさについて、全ての大人が認識を深める。また、指導が子どもの心に届き、また子どもからの様々なサインに気付けるよう、清潔で整然とした環境づくりを行う。子どもの頃から地域の祭り、共同作業などの諸行事に参加することで、学校では経験できない大人との触れ合いを通して、社会規範を身に付けさせる。さらに、試練に対処し、身を守る知恵や精神力、問題解決能力を身に付けさせる。

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