資料1 道徳教育充実のための改善策について-教員の指導力向上を中心に-

 道徳教育の充実に向け、教員の指導力向上を図るため、大きく以下の3つの観点から検討してはどうか。

  1. 学校における指導体制の確立・強化
  2. 各学校における取組を支える教員研修の充実
  3. 今後教員になる者が、道徳教育の実践の基盤となる基礎的・基本的な能力を修得できるようにするための教員養成課程の充実、道徳教育に関する免許の在り方

1 学校における指導体制の確立・強化について

<これまでの主な意見(抜粋)>

◇ 道徳の時間の取組は、校長の取組方針や各教諭の姿勢によって温度差、充実度の差がある。校長が取組方針を明確にして、全教員の共通理解を図り、道徳の授業の改善・工夫に取り組むことが必要。

◇ 道徳教育推進教師の意義を押さえ一層有効なものとするためにも、協力体制の要としての人材の実質的な確保のための措置が重要。

◇ 道徳の指導は教師全員がやるが、道徳の特質を踏まえると、それを補充していくために加配教員や特別な人に指導してもらう機会を設けるなどの配慮が必要。

◇ 校長がリーダーシップをとれるように、教育委員会等において、必要な助言等を行うことができる体制を整備する必要。各学校を訪問し、道徳教育の全体計画の策定について指導・助言を行ったり、授業改善の援助を行ったりするなど、実質的な指導・助言を行えるようにすることが大切。

◇ 「心のノート」を使って、いろいろな団体やボランティアをしている人を巻き込みながら取り組む方が、学校も楽になるし子供たちも楽しい。また地域でこういうことに関わりたい人を巻き込む機会にもなるのではないか。

<検討の視点(案)>

○ 道徳教育に関する学校内の指導体制の確立・強化をどのように図るか。

例えば、

  • 道徳教育の全体計画や道徳の時間の年間指導計画を実効性あるものにするためには、どのような取組が必要か。
  • 道徳教育推進教師の役割が有効に発揮されるよう、どのような取組が必要か。
  • 指導力のある人材を共有・活用するため、どのような仕組みが必要か。
  • 校長のリーダーシップの発揮のためには、どのような取組が必要か。
  • 教育委員会にはどのようなサポートが求められるか。
    (優れた人材の配置、優れた実践の情報提供・共有、校内研修の充実や授業改善に向けての適切な指導・助言など)
  • 外部人材や団体等との協力体制をどう構築するか。 など

2 教員研修について

<これまでの主な意見(抜粋)>

◇ 各学校の道徳教育を指導する立場にある者、各学校の道徳教育推進教師、道徳主任等に対する研修の充実が必要。学校を挙げての校内研修が重要。

◇ 意識改革のためには、管理職の道徳に対する研修等も必要。

◇ 各都道府県では、3年周期くらいで全教員が道徳の研修を受けられるようにすべき。

◇ 教師の資質形成の対応としては、大学における教員養成の改善と学校における教員の研修や連携が必要。

<検討の視点(案)>

○ 道徳に関する指導力向上のための研修等の在り方について、どのような内容や取組が求められるか。

 例えば、

  • 今後の道徳教育の指導の充実に当たり、教員のどのような資質・能力を向上させることが求められるか。
  • 全ての教員が道徳教育に係る指導力を高められるよう、現職研修をどのように充実させていくべきか。
    例)各地区で指導的立場を担う教員に対する研修
     管理職研修や道徳教育推進教師対象の研修
     各学校における校内研修
     初任者研修
     免許状更新講習
  • 研修の質の改善のためにどのような取組が求められるか。 
     例)実践的な指導方法や研修教材の開発
     実践力を高めるためのワークショップなどの手法の採用

3 教員養成・免許について

<これまでの主な意見(抜粋)>

◇ 基本的に専門免許の発行は必要ないが、教員の普通免許に道徳教育関連科目の単位数を増やすことが必要。その際、道徳教育の理論面を強化するため、理論研究に関する科目を設けるべき。

◇ 教員養成課程では2単位しか道徳を扱っておらず、増単位が必要。理論的な内容に加えて、現場ですぐに使える実践的なものも教えてほしい。

◇ 大学の教員養成における道徳教育関連科目の具体的な充実を図る際に重要なのは、指導する教員の専門性と実践性の一層の確保(担保)。
◇ 道徳教育に関する単位は増やす必要があるが、そのことを活用して道徳免許を取得できるようにしてはどうか。その方法として、例えば「道徳教育科目を8単位修得すれば当該免許と道徳免許を取得できる。どの教員免許も道徳免許と同時でないと取得できない。」といったことが考えられる。

◇ 教育実習における道徳の必修化も必要。教育実習で道徳の授業をさせれば、現場サイドにおいてもそれを指導するための方法や理論を詰めざるを得なくなる。

◇ 大学院レベルで「道徳」の専修免許を出すことは考えられる。道徳教育関連の講座・専攻を設置することは積極的に考えられるべき。

<検討の視点(案)>

○ 大学の教員養成課程の在り方や免許制度について、どのような見直しが必要か。

 例えば、

  • 道徳教育の目標や重視すべき内容等の見直しを受け、教員養成課程においてはどのような履修内容や方法が求められるか。
  • その際、履修内容の類型として、1.道徳教育の原論・歴史や哲学・倫理学等の概説・理論面、2.学習指導要領の理解や指導案・教材の作成、授業展開等の実践的知識・技能面、3.教育実習等の実地経験面が考えられるが、充実の方向性として、何に重きを置くことが適当か。
  • 教員養成課程における履修量について、制度的に履修単位数を増加することが必要か、または、大学が各々の教員養成方針に基づき自主的に取り組むことがふさわしいか。特に、現行制度において、小学校は各教科及び道徳について各々2単位以上修得することとされている中で、道徳のみ増加させることについてどう考えるか。
  • 現在の「道徳の指導法」(2単位)の内容を充実する場合において、実践的な指導技術を身につける観点からどのような事項の履修が求められるか。また、教育委員会との連携についてどのように進めていくことが考えられるか。
  • 充実の方向性に則した指導力のある大学教員の確保をはじめとする体制整備を促進するためにどのような取組が必要か。
       ※現在、「道徳の指導法」を担当している大学教員の専門分野は様々となっている。
  • 教育実習において、「道徳の時間」をはじめとした道徳教育の指導経験を求めることについてどう考えるか。
    ※ 現在、教育実習の期間が小中学校においては3週間程度と限られ、教育実習のカリキュラムについては各大学の判断となっており、その具体的内容については、実習先の各学校の事情や意向を踏まえたものとなっている。 など

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