資料3-3 委員提出資料

「道徳教育の充実に関する懇談会」これまでの主な意見について

中村  哲

<道徳教育の現状>

・現状のとらえ方が、道徳教育の問題状況を指摘する意見が主になっている。また、改善の取組として校長のリーダーシップの重要性が指摘されている。
・道徳教育を含めた教育を学校単位の点として取り組む現状から地域のすべての学校が面として取り組み、成果を生み出しているモデル地域の事例を着目する必要がある。

<道徳教育の意義、理念>

・道徳教育の意義と理念が、国づくり、人間形成として品性や徳目、社会的規範、善悪の判断などの訓育的側面から指摘されている。
・道徳教育の意義と理念については、社会的関与を基盤に自己の人間的資質形成の訓育的側面と社会・文化・科学等に関する学力形成の陶冶的側面を視野に検討する必要がある。
・個の人間形成に関連する価値観・思想については国家が関与するよりも個人の自己責任に委ねること。学習者の自己責任が教育の基本原理とする。

<道徳教育の改善方策>

・道徳教育の「現実対応型」の改善方策として、教科化が核になっている。
・教科化の性格と課題などの質的議論を図ること、更に教科化以外の方策案も検討する必要がある。また、「未来対応型」の方策も視野に入れる必要がある。

<教科書・教材>

・道徳教育の充実を図る上で、教材と教科書の開発と活用、更に「心のノート」の効果的活用が指摘されている。
・教科書の内容として読本的な教材だけでなく、多様な資質形成や学習活動を含み入れた内容を検討する必要がある。さらに、「未来対応型」の教科書としてインターネット機能を有するウェブ教科書なども検討する必要がある。

<教員の資質向上>

・教師の資質形成の対応としては、大学における教員養成の改善と学校における教員の研修や連携が指摘されている。
・教師の資質向上の対応として、社会の制度や組織の側面だけでなく個々の教師が主体的に取り組み、教師としての資質形成に関連する活動の保障と活用を図る側面も検討する必要がある。

<評価について>

・評価の方法としては、数値や行動などによって明確にすることはできない。しかし、学習者の意欲や可能性を引き出す評価の在り方を検討することが指摘されている。
・評価の方法としては、教師による評価と学習者自身による評価も組み入れ、学習者自身の成長を促進できる方法を検討する必要がある。

<指導内容・方法について>

・道徳教育の内容としては、人間としての在り方に関連する価値が基盤になる。
・学校のカリキュラムにおいて道徳教育の性格や役割を明確にする必要がある。
・道徳教育の内容編成では社会的背景と発達段階を考慮する
・基本的礼儀等は教化的に指導する。
・価値内容よりも価値形成に関連する方法や技能を指導する。
・道徳における指導方法として教化的に教え込む方法よりも学習者が主体的に学習する方法を取り入れる。
・道徳教育の内容としては、価値領域とともに知識領域も基盤とする。
・学校のカリキュラムとして教科カリキュラムを前提とするのではなく、新たなカリキュラム論に基づいて道徳教育の性格と役割を明確にする。
・道徳教育の内容編成では社会的背景と発達段階を考慮するとともに、個の人間形成の記録と学習基盤としての役割を考慮する。
・学習者関与を最大限に保障する。知識は教えられるものでなく創るものであるとする構成主義的学習に基づく方法を重視する。教科書や教材は与えられるものでなく創るものである。
・学習者の学習過程をポートフォリオとして記録と保存を図り、それらを日本人としての国民性、時代性、人間性の記録資料の社会資本としてとらえる。

<家庭や地域との連携について>

・道徳教育の充実には、学校、家庭、地域との連携で行う。
・道徳教育を含む学校教育の充実には、学校の活動が地域の文化として意義づけできるように連携を図る必要がある。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第一係

電話番号:03-5253-4111(内線2903)