資料3-1 委員提出資料

  「道徳教育の充実に関する懇談会」これまでの主な意見への補充意見

昭和女子大学 押谷由夫

〈道徳教育の意義、理念など〉

・道徳教育はすべての教育活動の根幹にあることを明記すべき。
  (教育基本法に教育の目的は人格の完成を目指すことになると明記されている。その人格の基盤が道徳性であり、道徳性を計画的・発展的に養っていくのが道徳教育である。) 

〈道徳教育の改善方策〉

(新たな枠組みによる教科化について)

・新たな枠組みの第1には、道徳の特別性を明記すべき。すなわち道徳教育はすべての教育活動の根幹にありその要として道徳があることを明確にするために、教育課程の表記において各教科と横並びにするのではなく、特別教科道徳あるいは総合教科道徳として別枠で示す必要があるのではないか。(もし、併記することになっても、各教科の最初に位置付け、但し書きで例えば、「道徳は、全教科と関連をもたせて指導するものとする」といった記述をする必要がある。)

(教科書・教材について)

・教科にすれば、教科書を発行し、授業で使えるようにすべきである。その際、教科書は複数のものから選べるようにする。更に道徳の教科書は、各教科や日常生活、家庭との連携などにも使い、授業においては3分の2程度使うようにし、後の3分の1は様々な資料を使って授業ができるようにする。
・道徳教育においては、道徳の教科書と全教育活動における道徳教育の教材である「心のノート」の両方に係る経費を全額国で負担する必要がある。

(教員の資質向上について)

・各都道府県では、3年周期くらいで全教員が道徳の研修を受けられるようにする。
・校長や副校長(教頭)の就任前の事前研修では、道徳の時間の演習を必修にする。
・各学校に道徳教育の研修費及び教材費の予算化を義務付ける。
・教職免許法の改正を行う(道徳教育に関する単位は増やす必要があるが、そのことを活用して道徳免許を取得できるようにしてはどうか。その方法として、各教員免許を取得する際に、例えば「道徳教育科目を8単位修得すれば当該免許と道徳免許を取得できる。どの教員免許も道徳免許と同時でないと取得できない。ただし、一つの教員免許取得後に他の教員免許を取得するときには免除される。」といったことが考えられる。)
・道徳教育推進教師への特別手当を設ける。(リーダー的人材を確保する。)
・例えば中学校区を基本としながら道徳教育担当の加配教員を配置する。(当面は退職教員の配置で対応することもできるのではないか。)

(評価について)

・点数化による評価はしないことを明記する。
・子供たちの道徳的学びに関する成長の芽〈よさ〉を記述式で記入する。(そのことにかかわらせて課題も明記することがあってよい。)

(指導内容・方法等について)

・教科書の工夫を提案する。(例えば、それぞれの指導内容項目に関する指導に資する資料の掲載は当然として、自分を複数の道徳的価値から見つめられる教材(結果的にトータルに自己を見つめられるようにする)、人間とは何かを、生きるとはどういうことか、学ぶとはどういうことかについて学年段階ごとに考えられる教材、重点的内容項目を発展的に学習できる編集上の工夫、各教科等と関連をもたせて学ぶ教材、日常生活や調べる学習等と関連をもたせて学ぶ教材、家庭や地域との連携を前提とした教材等を取り入れるようにする。)
・毎回の道徳の授業について記録でき、授業後も個人的な道徳学習等を記録できるノートを工夫し、児童生徒が授業を振り返ったり、学びを確認したり、発展させたり、自己の成長を実感したりできるようにする。(ポートフォリオ評価にも活用できる。)

(家庭や地域との連携について)

・家庭や地域との連携を前提とした道徳の授業を年に何回か行うことを義務付ける。
・道徳教育フェスティバルのような取り組みを学校・家庭・地域が一体となって行う。
・道徳の授業に保護者や地域の人々に一緒に参加いただく。
・保護者や地域の人たちを対象に道徳の授業を行う。

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