資料8-1 委員提出資料(押谷委員)

昭和女子大学 押谷由夫

本懇談会への願いや思い

1 道徳の教科化の議論を中心にして道徳教育全体の抜本的改善を図れるようにしたい。

  • 教育内容において道徳は特別な意味をもちます。つまり,すべての教育内容の根幹に道徳があり,それらとかかわらせて人間としての在り方や生き方の根幹にある道徳的価値の自覚を図る道徳の学習が計画的・発展的に行われるようにする必要があります。従って,各教科と横並びでない特別な教科であるという意味合いを強く出せるようにする必要があると考えます。
  • 道徳はすべての教師の課題であり,全員が取り組めるようにしたいです。道徳教育が効果を上げている学校は,決まって道徳の時間を全教職員で取り組んでおられます。だれもが道徳の授業を行い,効果を上げるようにするには,新たな枠組みで教師の養成や指導体制,研修体制等を確立する必要があります。例えば新たな道徳免許の創設,道徳教育専門教師の加配,道徳の研修制度の確立,学校の道徳予算の特別の確保等が考えられます。
  • 道徳を指導する教員や研究者を養成し研究をリードできる機関を設置したいです。例えば,教師養成機関(大学)の仕組みを改善し,どの機関(大学)でも道徳講座を設置する。道徳教育研究者を養成する大学院を充実させる。国際的な視点から道徳教育研究を行う専門機関(単科大学や大学院大学,研究所)等を設ける。などが考えられます。

2 今まで道徳の授業を熱心に取り組んでいただいた先生方を後押しする教科にしたい。

道徳を教科にする意味は,道徳教育を充実させ教育の本来の姿(人格の完成を目指した教育)をすべての学校,教師がより深く追い求められるようにすることにあると考えます。苦しみながらもそのことを目指して頑張ってこられた先生方に,より意欲的に取り組んでもらえるような教科が提案できればと願います。

3 心のノートの改訂については,全教育活動での道徳教育や家庭や地域との連携に資する学習材という本来の意味合いは基本としながら,道徳の時間との連携をより深められるように改善を図ってほしい。

  心のノートは子どもたちが日常的に活用できるようにと開発されたものです。道徳の時間で使用できる資料を加えることで全教育活動での活用が促進されるようにしていただきたいと願います。また,道徳教育の充実には特別活動(望ましい集団活動,為すことや行事,日常生活の問題解決等)の充実が不可欠です。学級活動や日常の場面,家庭(作法やマナーなども含めて)でも使える内容を,まとめて取り上げ,発達段階に応じて示すということも考えてほしいと思います。

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