教職課程の質の保証等に関するワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成24年12月12日(水曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 6F3

3.議題

  1. 教員養成課程のグローバル化対応について
  2. 教職課程の質の保証等に関するワーキンググループ検討報告案について
  3. その他

4.議事録

【高橋座長】  ただ今から第4回教職課程の質の保証等に関するワーキンググループを開催させていただきます。
 今回は、本ワーキンググループに示された検討課題を、ワーキンググループの報告書として取りまとめるためのたたき台について御議論いただきます。
 まず、前回に引き続きまして、教員養成のグローバル化対応について検討をしたいと思います。前回の会議の際に、少し論点を整理するように御意見がございました。事務局から説明をお願いします。
【藤岡教職員課課長補佐】  失礼いたします。資料1を御覧いただきたいと思います。教員養成課程のグローバル化対応に関する検討事項についてです。
 まず、中央教育審議会答申の記述がございまして、その次の1番、教員養成課程におけるグローバル化対応の方法ということで、前回いただきました御意見も踏まえて、教員自身がグローバルなものの見方や考え方などを身に付ける方法としては、学内での留学生との交流であったり、地域に在住する外国人との交流事業への参加だったり、様々な方策があるという御意見をいただいたところです。海外に留学するというのはそのうちの一つであろうということでした。
 今回、このワーキンググループでは、制度改正、具体的には省令の改正に関わる内容につきまして御議論をいただきたいと思っておりまして、このうちの教員免許状取得に際しまして、外国の大学で取得した単位の取扱いにつきまして、御議論をいただきたいと思っております。
 外国の大学で取得した単位の取扱いの現状につきましてですが、2番です。2ページ目は、現行の教育職員免許法施行規則です。第10条の7で、海外の大学で取得した単位を認めるということについて規定がなされているものです。まず第10条の7の第1項ですけれども、認定課程を有する大学に入学した者は、当該大学の認めるところにより、当該大学に入学する前(認定課程を有する大学に限る。)において取得した科目の単位のうち、当該大学大学における授業科目の履修により修得したものとみなされるものについては、当該大学が有する認定課程に係る免許状の授与を受けるための科目の単位に含めることができますという規定になっております。ですから、第1項は入学する前にどこかの大学で取った単位を、その後の入った大学で認めるということを規定しているものです。
 第2項につきましては、こちらにつきましては下線を引いているところですが、認定課程を有する大学の認めるところにより、認定課程を有する他の大学(授与を受けようとする普通免許状に係る学校に相当する学校の教員を養成する外国の大学を含む。)において修得した科目の単位のうちということで、要するに、大学に入学した後に単位互換などでほかの大学で取った単位、この場合は外国の大学を含むということで規定されておりますが、入学した後に取った単位については、単位として含めることができますという規定です。
 御覧になっていただいて分かるとおり、第10条の7の第1項につきましては、外国の大学という規定がありませんで、第2項につきましては、外国の大学というのが規定をされているところです。ただ、実際問題といたしましては第10条の7の第1項、入学する前の単位につきましても、運用ということで外国の大学で取った単位を認めるという取扱いとしているところです。
 1ページ目に戻っていただきまして、改善の検討点ということで、ア、イ、二つ掲げさせていただいております。まずアにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、外国の大学で取得した単位の取扱いにつきましては、第10条の7の第1項と第2項で文言が異なっております。そのため、課程認定を受けている大学の解釈であったり、又は教育委員会の解釈にばらつきがあったりするという指摘がございます。これにつきまして、どのように改善していくべきかということを検討いただきたいと思います。
 イにつきましては、こちらは直接的には制度に関わる話ではございませんが、やはり留学した場合に、大きく課題として出てくるのが、やはり教育実習の時期です。教育実習の実施の時期に、当然ながら影響が生じるため、大学の工夫とともに、やはり教育委員会・学校とどのような連携、協力を行うことが考えられるのかということにつきまして検討いただければと思っております。
【高橋座長】  ただ今、事務局から説明がありましたように、グローバル化対応ということで、現在も、それから御意見をいただいたときも様々な取組が行われているところですが、この会議で議論するのは、免許制度において外国の大学で取得した単位をどのように扱うかということです。現状では、免許法の施行規則の第1項には外国の大学を含むというくだりがなく、第2項の入学後には、外国の大学を含むということが書かれてあるということで、現状では教育職員免許法施行規則の規定が明確でないと説明をいただきました。
 この点に関しまして、御意見をいただきたいと思います。今回、規定が明確でないので明示した方がよいのではないかということで、案としてお示ししましたが、それについてはいかがですか。
 それでは、運用解釈で行っているところですが、法令として明確化するということで御意見が一致したということで、よろしいですか。
 では、そのようにさせていただきます。
 2点目、改善点について、留学した場合に、教育実習の実施の時期に影響が生じるため、大学の工夫とともに教育委員会・学校との協力をどのように行っていくか、これは法令というよりはどのような工夫があるか、先生方の御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
【大槻委員】  今、座長がおっしゃったように、各大学で余りにもばらつきがあります。同じ大学の中でも専攻によっていたり、特に理科系で演習や実験が中心の大学でも、これを履修していなければ駄目という前提にしている大学もあれば、わりとフレキシブルに取れる大学もあると思います。ですから、大学の方で何かするというよりは、教育委員会の方で採用の際にある程度考慮いただけるとよいのではないでしょうか。学生は、採用試験の際に、自分は留学経験があるということを前面に押し出して、教育委員会は採用のときにそれを評価してくれるとか、留年していても留学していたら採用時に幾らか有利になるとかいうことでもあればよいと思います。それで何点かかさ上げするというのは事実上無理だと思うので、面接のときに印象がよくなるような形で、現在もそうなっているとは思うのですけれども、こういった人材を、これからの日本の中学・高等学校の教育で求めているということを明示していただければ、採用のときに、わりとそこら辺も考慮されるのではないかと思うのです。
 教育委員会・学校との協力といったら、こうしたことが頭に浮かびます。大学がグローバル化してどんどん留学生30万人を受け入れて、こちらからも出そうというのに歩調を合わせてくれると有り難いというのが、大学の教員としての意見です。
【高橋座長】  教育委員会側としてはいかがでしょう。
【荒瀬委員】  今おっしゃったとおりだと思うのですね。ただ、留学をしていたから、それでグローバルな視点を持っているのかどうかというのは、またちょっと違いますので、正に採用段階で具体的なやりとりを通して、そういったところを見させていただくということが出てこようかと思います。
 それから、また、採用の段階で、例えばJICA枠とか、そういったものを持っている採用のシステムを、京都市の場合はJICA枠というのがありまして、毎年、何人かそれで採用されていますが、やはり、単に留学というよりも、海外で実際に働いてきたと言いますか、取組をしてきた人というのは、やはり視点が違っていたり、行動が違っていたりしますから、そういったところは積極的に評価しています。
【田中委員】  私の大学の場合、運用で困るところが、事前事後指導と教育実習の関係です。例えば、東京学芸大学の場合は3年生の前期に事前指導が入っていて、9月、10月期に教育実習に行って、事後指導を10月ぐらいに行うというのが大体のパターンです。
 ところが、大体留学する場合には9月から行くという場合が多いのです。そうすると、事前指導は受けているのだけれども、教育実習期間と事後指導が留学期間になって、年度を越えてしまうと単位認定ができなくなる。要するに、教育実習を事前事後でサンドイッチにしなければいけないので、その年度内にやらなければいけないというところとやや矛盾をしてしまいます。実態は、目をつぶっているのですけど、厳格にやると様々な問題が出てくるのではないかとは思うのです。だから、3年生のときに留学した学生は、本当はいけないのだけれども、3年生の事前指導をやったということを前提に教育実習をやらせて、その後、事後指導を行うという形をとっていますけれども、これは、多分拡大解釈し過ぎなのだと思っていて、その辺がもう少し柔軟にできるものなのか、できないものなのかという。それでいつでも学内では議論しているところです。
【高橋座長】  なるほど。でも、それは大学の工夫というところですかね。
【田中委員】  単位制度が、その年度内に取らなければいけないという制度になっていますから、例えば3年生の9月から短期留学で1年未満だけども行った場合には、翌年度に戻ってくることになりますので、3年生のときにやった事前指導というのは、単位認定されないことになります。だから、そうするともう1回事前指導をやって実習に向かうということになるのです。
【細谷委員】  その事後指導だけは、実習を終えてないとできないということですね。
【田中委員】  そうなのです。
【高橋座長】  3年の後期に実習をされるので、そこが重なってしまうのですね。
【細谷委員】  失礼します。ここで教育実習の学校の協力というのがあるのですが、私は、まだイメージがつかめないのですが、要するに留学中に実習ができなくなる学生をどのように学校の方で受け入れるかという意味なのですか。
【高橋座長】  この学校の協力というのが、例えば先ほどの実習のときに9月の時期にずらしていただけるかどうかという意味でしょうか。
【藤岡教職員課課長補佐】  基本的には教育委員会と学校とのことになるとは思いますが、要するに、教育実習を受け入れる時期につきまして、固定的ですと、なかなか学生が留学をすると、簡単に言えばもう実習が一切できなくなってしまうという状況にありますので、同じ学校で、例えば複数の時期に行うということは難しいのかもしれませんが、ある教育委員会の中では、例えば春にやる学校があれば、秋にやるような学校もあるという形で、バリエーションがあれば、学生にとっては選択肢が広がるということがあり得るのではないかということです。
【細谷委員】  分かりました。大体、中学校の場合ですと6月の期間か9月の期間に教育実習を受け入れています。留学の場合には、大体外国は9月から始まりますが、夏休みというのは6月から始まるのですか。
【安達委員】  そうですね。
【細谷委員】  そうすれば、6月の夏休みの間には日本に帰ってくるわけですから、その時期に受け入れられると。だから、今の制度でも別に、学校としては特に支障はないと思うのですが、後は事前に来て打合せを2、3回やりますけれども、そのときに日本にいないといったときには、6月の後半に持っていくことだって可能は可能ですから、この辺は特に、学校は支障ないとは思います。
 私の学校もそうですけれども、1年に2回、6月と9月に1回ずつ教育実習を受け入れることもあります。ですから、その辺も特に問題はないかなと思いまして、先ほどの点が疑問だったものですから、特に問題はないかと思います。
【高橋座長】  ありがとうございます。
【安達委員】  よろしいですか。二つの点ですが、一つは、大学の工夫の範囲に入るかなという感じもしていますけれども、教育実習の参加条件です。留学に出た場合に、その参加条件を満たさずに実習時期を迎える可能性があるということで、これは、ある意味大学の方で決めている内規的なもので、各大学等、参加条件についてはそれぞれ設定が違うと思うのですが、そうしたものの取扱いです。これを、留学に行った者については弾力的に大学の方で判断してよいのか、あるいは、課程認定に通っている話ですので、そうしたものは厳密に守るべきなのかと、その点が一つあります。
 それからもう一つが、これは教育実習ではないのですが、介護等体験実習ですね。本学の場合、4年生で出かけることにはなるのですが、前年度の3年生のときに申し込むという部分がありまして、そうすると、先ほど田中委員からありましたが、要するに年度をまたがるということで、どちらかが留学の時期にかかる可能性が高いのではないでしょうか。介護等体験で厄介なのが、本学の場合は新座市にございますので、埼玉県の社会福祉協議会、あるいは新座市の社会福祉協議会に申込みを行うわけですが、そうすると、教育実習はできるけれども、介護等体験が終了していなくてというケースが考えられると思いましたので、その辺りはどのように取り扱っていけるかということについて御意見を伺えればと思います。
【高橋座長】  教育実習を受けるための条件を各大学で決めているというところに縛りが一つあるということと、介護等体験では、社会福祉協議会との協力というところで、なかなか難しいところがありますということですね。それぞれの地域で決められているので、これは難しいですね。どうでしょう、留学した場合にいろんな影響が考えられるということは御指摘を幾つかいただきました。ここで、そういうことは全部外しなさいというわけにもいかないので、このような課題がありますよと指摘することでよろしいですか。
 そのほか、留学を推進する上で課題というのがございましたら、御指摘いただければと思います。
 それでは、一つは大学での教職課程の運用の在り方について、もう一つは、教育委員会の採用のときにグローバル化の観点から人材を特に評価をしていただくことが重要であります。それから、最後に学校等での教育実習等での協力と社会福祉協議会の介護等体験でも、前向きに柔軟に対応していただきたいということ、以上の3点に分けて考えられるということで、イの改善の視点というところをまとめさせていただいてよろしいですか。
 それでは、グローバル化対応に関しましては、一つは施行規則の文言に法令として明確化して外国の大学を入れていただきたいということです。
 それから、留学を推進するために、先ほどの3点の課題がありますということを御指摘させていただきます。
 それでは、ありがとうございました。ただ今いただきました御意見も踏まえまして、ワーキンググループの報告に記載したいと思いますが、この書きぶりに関しましては、座長に一任いただけますでしょうか。事務局とも相談の上、報告書に書き込みたいと思います。
 それでは次に、教職課程の質の保証等に関するワーキンググループ検討報告案についてです。前回までの会議でいただいた御意見を踏まえまして、ワーキンググループとしての報告案を作成しておりますので、事務局より説明をお願いします。
【藤岡教職員課課長補佐】  失礼いたします。資料2を御覧いただきたいと思います。
 教職課程の質の保証等に関するワーキンググループ検討報告案です。既に、委員の皆様には、事前にメールでお送りさせていただいておりますので、御覧になっていただいているかと思います。簡単に内容を御説明申し上げたいと思います。
 大きくは、専修免許状の取得における実践的科目の必修化と、課程認定を受けている大学の情報の公開についてです。こちらにつきましては、既にワーキンググループでそれぞれ2回ずつ御議論いただいておりますので、その御意見を踏まえて、検討報告書案を作成しているところです。
 まず1番ですが、専修免許状の取得における実践的科目の必修化についてです。(1)といたしまして、現状と課題という形にしております。最初の丸で記載しているのが、昭和63年に専修免許状という制度ができたということ。次の丸で、この専修免許状を取得するに際しましては24単位が必要ですが、研究科の専門分野に係る科目で構成されておりまして、正に学校での教育実践と関連のある内容を学習することは少ないというものです。
 このように、現行の専修免許状の取得に当たりましては、研究科で学んでおります特定の学問分野におきます専門的知識や理論を、実際の学校で児童生徒に教えるという面においてどう活用していくのかという、教育実践につなぐ学習がございませんで、高度専門職業人としての教員を養成する上では、正に「理論と実践の架橋」という視点が不足しているという指摘をしております。
 一つ飛ばしまして、その次の丸ですが、実際の専修免許状をどれほど取得しているのかという割合ですが、やはり国立大学の教員養成系の研究科の修了者は、中学校であれば39%、高校ではおおむね32%程度でして、やはり実際に取得しているうちの6、7割は、いわゆる教員養成系以外の一般の研究科で取得をしているというものです。次のページに参りますが、国立の教員養成系の研究科だけでなく、それ以外の研究科の方々の理解も得ながら取り組んでいく必要があるということを記載しています。
 続きまして(2)番ですが、専修免許状によって保証する資質能力についてはどのようなものかというものです。
 こちらにつきましては、一番下の丸のところにまとめをさせていただいておりますが、学問的な深い知識・理解に基づく教職や教科に関する専門性を保証するとともに、それを実際の授業の場面や生徒指導等で活用して、課題に適切に対応できる力や新たな学びを展開できる実践的な指導力も含めて保証するものとする必要があると記載しております。
 (3)番は、改善方策です。最初の丸の部分ですが、理論と実践の架橋を重視した実践的科目を、この24単位の中に位置付けて必修化する必要があるとしております。3ページに参りますが、専修免許状によって保証される資質能力というのは、やはり深い学識に基づく高度な専門性ですので、単に学校で指導技術を修得することを目的としたものではなくて、やはり、研究科において学んでおります特定の分野についての専門的な知識を基にして、それを学校における教育活動に生かしていくことができるようなものにする必要があると記載しております。
 また、次の丸ですが、実践的科目の内容といたしましては、学校での実践的な活動を取り入れるとしております。当然ながら、その活動を通じた学びをより深めるために、周到な事前の指導や事後の省察、そういった組合せを行うとしております。学校での実践的な活動として、例といたしまして大きくは二つ、一つ目といたしまして、主体的に学校教育活動に参画するインターンシップ、二つ目といたしまして、学校現場をフィールドとする実践的活動を行うものなどが考えられるとしております。
 次の丸は単位数についてですが、こちら、一番後ろの行に書いてありますが、24単位のうち、おおむね4から6単位程度とするのが適当だというように記載しております。
 具体的なカリキュラムの内容といたしましては、専修免許状取得における実践的科目のイメージという形で、別添という形で整理をさせていただいております。ただ、飽くまでイメージですので、やはり実際に、既に専修免許状の課程認定を受けている研究科におきましては、様々な工夫、改善、取組をしていただいているところです。また、当然ながら、各研究科、各専攻におきましては、目指す教員像や教育課程、指導体制、また学生の数、様々です。そういったものを勘案して、各研究科の実態に合わせて、工夫を行うことができるよう、柔軟な仕組みとする必要があるというように記載しております。
 7ページを御覧になっていただきまして、別添という形で整理をした、専修免許状取得における実践的科目のイメージです。こちらは飽くまでイメージでして、もちろん、これを絶対やらなければいけないというものではございません。ただ、どういうものをイメージするのかということはお伝えした方が、各大学としても御検討をするきっかけにもなろうかということで、こういうものをお示ししたいと思っております。
 1番目としまして、実践的科目の概要といたしまして、4から6単位程度のインターンシップや学校現場をフィールドとする活動と、事前指導、事後の省察などを行うことを組み合わせて構成するとしております。当然ながら、次の丸ですが、実践的な活動をするに当たりましては、当然ながら意図的計画的な事前の準備というもの、また、教員への志望の意思とか、そういったものを確認するということが必要であるとしております。実践的な活動の終了後には、そのプロセスを振り返って、その実践研究の成果を言語化する、教職実践研究報告書を作成するということにさせていただいております。
 2番の実践的科目の内容ですが、こちらにつきましては、例といたしまして、インターンシップと学校現場をフィールドとする活動ということで、記載をしております。
 まず、一番上のインターンシップですが、こちらにつきましては、1の内容で書かせていただいておりますが、正に校務分掌などに全般的に参画して実践を行う形態や、教科指導に特化して特定の単元のカリキュラム改革について実践を行う形態など、様々なものが考えられるとしております。
 次の8ページに参りますが、研究科の学生につきましては、そこに記載しておりますとおり、既に一種免許状を取っておりまして、教育実習も当然ながら受けております。ですので、自らが主体的にテーマを設定するなど工夫を行って、教育実習よりも高いレベルのものとする必要があると記載しております。
 2番、日程ですが、インターンシップということで、やはり児童生徒と長期に関わることで、その児童生徒の変容であるとか成長過程を実感することができますので、おおむね半期や年間を通じて週に1日、又は半日程度実施して、全体で、合計で10日間から20日間程度というものが考えられるのではないかと考えました。また、専門性や学校現場の状況を踏まえまして、例えばカリキュラムの改善ということに取り組むとなれば、御意見もいただきましたが、数週間にわたって集中的に行うということも当然考えられますので、そういったことも記載をしているところです。
 (2)番、学校現場をフィールドとする活動ですが、1番の内容といたしまして、正にカリキュラム開発を推進するような事業研究力などを身に付けるために、例えば先導的な取組を行っている学校に訪問して、授業を見学させていただいたり、先生からお話を聞いたり、また、研究授業の指導案の作成、教材の作成過程に参画をさせていただいたりと、そういったものを行いつつ、大学院における事例研究等を組み合わせて行うというものを考えております。
 2番、日程といたしましては、こちらにつきましては数日間にわたって集中的に学校を訪問したり、大学院での授業などを挟みながら断続的に訪問したり、また、複数のテーマを扱う場合には、それぞれ違う学校に訪問するなど、多様なものが考えられるということを記載しております。
 (1)のインターンシップ、(2)の学校現場をフィールドとする活動に共通した指導体制といたしましては、やはり学生が所属する研究科の教員と教職専門の教員、各大学の教職センターなどに所属する教員などが協働して行うということが想定されるだろうとしております。その際、大学間で連携を図って指導体制を構築するということも当然考えられるということを記載しております。
 評価につきましては、学校で実践的活動を行いますので、その実践的な活動の状況を踏まえて、学生が作成いたしました「教職実践研究報告書」によって行うことが考えられるとしております。
 次の9ページが、今まで御説明したことを表にまとめるとこのような形ということで、整理してあるものです。インターンシップの場合は、例えば教職実践研究という形で大学院での授業として2単位ぐらい、インターンシップ(学校における活動)としては10日間から20日間程度の2から4単位程度の単位ということです。また、インターンシップにつきましては、1年の前期、1年の後期ということで記載しておりますが、当然、それに縛られるものではございませんで、1年次の後期から2年にかけてやるということも考えられるということを記載しております。
 年間を通じた学校現場をフィールドとする活動につきましては、先ほど御説明したとおり、一つの科目として4から6単位ということが考えられるのではないのかということで、記載しております。
 3ページにお戻りいただきまして、最後の丸の部分、またというところですが、当然、学生が学校で実践的活動を行いますので、やはり学生を受け入れていただきます学校における負担というものに対して十分配慮する必要があるということで、当然ながら、教員への志望の意思を確認するなど、そういった資質能力や適性を十分に確認することが必要だとしております。また、当然学校の状況につきましても十分に把握をした上で行くということで、受け入れる学校側の負担をできる限り軽減する。また、例えば学校の校務分掌などに主体的に参画するということで、受け入れる学校側にもメリットを感じられるようにするなどの、運営に資するような仕組みとする必要があるということを記載しております。
 続きまして、5ページですが、教職過程に関する情報の公開の在り方についてです。
 1番目といたしまして、現状と課題ですが、こちらにつきましては、平成22年に学校教育法の施行規則が改正されておりまして、各大学において教育情報の公表を行うことが義務付けられております。一つ飛ばしまして、ただ、どういう情報を公表するかというのは、当然、各大学に、教員の養成に関する情報につきましては、当然ながら特に規定はございませんので、教員の養成に係る教育の質の向上や社会に対する説明責任を果たす観点からは、やはり十分とは言えないということを指摘しております。改善方策といたしまして、一つ目の丸の部分ですが、全ての課程認定大学に対しまして情報の公表を義務付けるとともに、具体的にどういう内容を公表するのかということも定めることが必要であるとしております。
 この具体的な内容ということにつきましては、次の丸で記載しております。以下の項目が考えられるとして、養成する教員像をはじめ、学内組織、また、教員の研究実績、カリキュラムやシラバス、免許の取得状況、就職状況、そういったものを規定することが考えられるのではないかとしております。
 また、公表に当たりましての留意ということで、いただきました御意見を踏まえて、やはり教員を志望している高校生や中学生などを含めて、広く社会に周知すべきということから、ホームページへの掲載ということ、また、読んで分かるような平易な表現や内容とすることなどの配慮も必要だと記載しております。
 次のページに参りまして、6ページですが、各大学で公表していただきますので、例えば公表の様式を統一することであるとか、共通のデータベースをまとめるということについては、今後検討していくことが必要であるとしております。また、最後の丸の部分ですが、既に課程認定を受けております大学が新たに別の教科等に係る課程の認定を受けようとする場合につきまして、既に認定を受けております学科等の教職課程に係る情報の公表の取組状況を確認するということが必要であるという形で記載しております。
【高橋座長】  ありがとうございました。これまでの会議では、専修免許状の取得に際して実践的科目の必修化についてと、教職課程の情報公開の在り方について議論を行い、おおむねまとまってきましたので、このように報告書案を提出させていただきました。
 まず、専修免許状の取得における実践的科目の必修化のところにおきまして、それから文言等に御意見をお願いします。
【荒瀬委員】  2ページのところなのですが、細かい話ですが、中程の丸の2行目以降、ほかにも出ている「課題探求型の学習」の、探求の「求」の字ですけれども、中教審とかでこれまで使われているときに、これは必ずしも「求める」ではなくて、研究の「究」という字が使われているかと思います。英語に訳せば、この「探求」は恐らくsearchになって、究める方はresearchになってきて、普通researchの方が使われているのではないかと思いましたので、それが1点目です。
 2点目は下から二つ目の丸のところですが、3行目に、「実際の授業の場面や生徒指導等で活用し」とあるのですが、現実には、教職大学院の中でも生徒指導コースとか、そういったものも置かれているというのを見ておりまして、この生徒指導という言葉が学校ではどのような意味で認識されているかといいますと、問題行動の生徒に対してどのような対応をするかということが専らでありますが、それだけでは駄目だと思うのですね。新しい学習指導要領の柱の一つにキャリア教育というのがあって、全ての教科科目の学習であるとか、あるいは総合的な学習の時間、又は様々な学校行事を含めた取組は、生徒が将来自立して社会で生きていけるような力をつけるという方向に収束していかなければいけないと言いますか、それを意識した取組でなければいけないということを思っておりまして、その意味では、生徒指導ということだけではなくて、今の課題となっているキャリア教育といったことについても触れておく必要があるのではないかということだと思います。
 それは、3ページの一つ目の丸の実践的科目の内容としては、学校での実践的な活動を取り入れるものとしと、その学校での実践的な活動というのが、正にキャリア教育というのは、非常に大きなウエートを占めていないかもしれませんが、占めていくべきだと思いますので、そこのところを考えていかなければいけないのではないかと思いました。
【高橋座長】  御意見ありがとうございます。探求の「求」は、究めるという「究」に訂正をするということです。それから、授業の場面や生徒指導等というところで、生徒指導にも開発的な生徒指導もあるわけですが、それだけではなくて、教育活動全体で行っていくということで、キャリア教育という文言等を入れて、もう少し膨らまして書くということですね。
 そのほか。どうぞ。
【細谷委員】  以前、私の方で、今の若い先生に教材研究をする力が非常に不足しているということ申し上げましたが、それをこういう形で入れていただきまして、ありがとうございました。先日も、実は都内の若い社会科の先生が私的にと言いましょうか、集まって定期的な勉強会をしているグループがあるのですけれども、その指導をされている元校長先生がおっしゃっていましたけど、正に今の若い人は共通して、この教材研究ということを全く大学でやってきていないというお話をいただいたばかりですので、こういう形になるというのは、その先生方も非常に喜ぶのではないかと思います。
 それからもう一つ、今、荒瀬委員からありました、正に生徒指導のことに関しまして、座長が開発的なという言葉を使われたのでちょっとほっとしました。やはり教科関係のものはこれでよいと思いますが、生徒指導といっても多岐にわたっておりまして、中には、中学校ですと実際に子供が何かトラブルを起こした、あるいはけがをさせた、いじめをやった、それに直接先生方が指導に加わるのですけれども、こういった院生などが、いわゆる単位に関係しているところでそういう場面には、なかなか参加させることはできないということです。その辺の対処的な指導の方には、なるべく学校は関わらせておりませんので、開発的な生徒指導という文言で解釈をしたいと思います。
 それから、先ほど荒瀬委員がおっしゃっていたキャリア教育、進路指導とか、あるいは学級活動、学級指導、学級経営、こういった基本的・基礎的な、あるいは開発的な指導に、現場で院生たちが関わるというのは大賛成ですけれども、ちょっと生徒指導といった言葉の範囲が非常に広いものですから、これはやはり何か注釈を付けるか、何か別の文章をつくる必要はあるかなと思います。
 それと、先ほどの3ページの最後に説明がございましたけれども、学生が学校へ行く前に、大学の方でその意思、本当に教員になるつもりなのかといった、その辺、学校現場でも、常に実習、あるいはインターンシップを受け入れる側(がわ)で、一番学校が注意したいのはそこで、今度、修士レベルですと院生ですので、ある程度やる気のある人でないと学校側は受け入れないというのが大前提になっていると思うのですね。ですから、こういった意思確認というのは非常に必要だと思います。逆に、やる気のあるそういった人に対して、更に学校外でもフォローしていこうというシステムが、今、徐々にできております。私が今所属しております港区でも、教育委員会が、いわゆる教師塾というものをつくって、例えばこれから教員を目指す講師の人とか、あるいは、中には地元の大学生や何かも対象に、夜ですけれども、現場を退職された校長先生などが中心になって、そういうような実践的な指導をする、そういう機関と言いましょうか、受入先も、今、徐々に増えておりますので、正にこういうやる気のある学生についてのフォローも、教育委員会、あるいは現場の方で今後増やしていきたいと、この文章を読みまして、そう思った次第であります。
【高橋座長】  貴重な御意見、ありがとうございました。生徒指導というところの文言、学級活動等を含めまして、広い意味で、実際は、そちらの方が中心ですものね。生徒指導は現実的にはなかなか実習場面ではできませんし、それは文言を訂正したいと思います。
 また、教職への志望の意思の確認が本当に重要だなということが認識されました。
【寺岡委員】  枠組みに関わるようなことで質問と意見、両方なのですが、この実践的な科目の必修化のことで、実際にはいろいろ現実的に実行できるという形でこのようになったと思います。ただ、改めて検討報告案を読みますと、やはり現状と課題、それからそれに関わって専修免許状で保証する資質能力というのは、正にこのとおりなのですけれども、大きな課題であるわけです。
 例えば、2ページの後半辺りに書いているところでも、本当にこれを、実際に、特に教職課程に関わる部分で、どのように実現を図るかというのは大変なことだろうと思うのです。そういう、ある意味で本当に求められている課題と、とりあえず現実的に当面の改善方策ということで、実践的な科目でまとめられたというのは、かなり、そういう意味でギャップはあるところは否めないのだろうと思います。ただ、そこを具体的な形でやっていくということになったかと思います。
 ただ、そのときに、議論の過程で、これは今日配られているのは資料3で、2ページ、実践的科目の内容についてということで二つ目の丸ですが、これは田中委員が言われたことだと思うのですが、実習だけをほかのカリキュラムと切り離してやっても効果がそれほどないだろうということで、この実践的な科目の部分も、中身を膨らました部分がございますけれども、それでも全体としては、この課題の重要さからすると、不十分なところは否めないだろうと思います。
 そうすると、今、別のワーキンググループの方で、これは主として教職大学院ですか、カリキュラムの見直しをやっている。それをこのまま教職大学院以外のところに、もちろんストレートに持ってくることはできないわけですけれども、やはり、それのエッセンスのようなものを少し実践的な科目にも関わるような形で、教職課程をどうするかということで、何らかの形で関連付けて説明しておく必要はあろうかと思います。これだけですと、本当に資料3で指摘されている実践科目についての説明にとどまってしまうので、全体として、こういう現状と課題と、そこで求められる資質能力にどうやって応えるのかということで、少し関連付けみたいなものは必要なのかと思います。もちろん、教職大学院と違いまして一般的なものですから、かなり限定されるだろうとは思うのですけれども、そこのところは必要かと思います。
 それからもう一つは、もう一つのワーキンググループについて、どのような進行状況なのか、それをこれで関連付けることは可能なのかということをお尋ねしたいということと、もう一つは、9ページにまとめられていますインターンシップとか、フィールドとする活動の科目構成ということで、最終的には教職実践研究報告書の作成になりますが、これは7ページの中程辺りでありますけど、この報告書というのは、言わば、学部で教育実習に行ってレポートを書いたと、そういう程度のものではありませんと、明確に書いてあります。そこは本当に大事なのだろうということと、あわせて、福井大学では、この実践報告をもとにして、公開の場で発表させるということをやっています。それ自体が学生にとって非常によい経験になるし、それから、今度はそこに学校の先生であるとか、実施校の教育委員会の先生とか、あるいは後輩が聞くことによって、単なる個人の作業ということではなくて、ある意味で広く、後輩が読むとか、財産化していって、中身をブラッシュアップする、そういう契機にしていくということも要るかと思います。そこはもし可能であれば、そういう機会も考えた方がよいだろうという、これは意見です。
【高橋座長】  ありがとうございました。専修免許状の取得の際の実践的科目の必修化において、中央教育審議会の求める資質能力が、どこまでこれで担保できるものなのかという重要な御指摘です。
【藤原教職員課長】  1点目の話は、本当に御指摘のとおりだと思います。全体として目指しているものの中で、今回の改善策がどういった位置付けにあるのかということを、恐らく、これはこのワーキンググループのというよりは、全体のレポートをまとめていく中でそこを明確にしていくということが必要と思っています。目指しているものは、大変充実した内容のものを目指していくわけですけれども、今の、特に中高の教員養成の現状ということからすれば、一般の研究科でその大部分を担っているという中で、一足飛びに究極の目標まではなかなか行けないわけですので、その中での第一歩という位置付けになってくるのかと思っています。
 あと、2点目の、もう片方のワーキンググループの進ちょく状況につきましては、鍋島室長の方から説明をお願いします。
【鍋島教員養成企画室長】  もう一つの方のワーキンググループですが、大きな論点としましては、特に教職大学院の今後のカリキュラムの在り方をどのようにするのかということにつきまして、検討を中心に行っておりまして、特に、現状では小学校の先生方が参加しやすい形だと思うのですけれども、中高の先生方でも、教科とか特別支援教育とか、そういった特色を持たせたところで教職大学院に参加しやすいような柔軟なカリキュラムができないかということで、現在では教職大学院で、全体の45単位の単位数の中で20単位ぐらいが共通5領域という形でやっております。残りが、10単位が学校での実習、そして選択科目が15単位ぐらいというのがおおむねの標準ですが、20単位と選択の15単位のところのバランスをもう少し工夫して、選択の方をもう少し広げて、大学院によっては教科指導、それから実践的な教科指導、特別支援、生徒指導、学校経営という形で特色を持たせるような内容ができないかということを中心に検討しています。
 あわせて、全体の骨格が決まってまいりましたら、教職大学院の教員の在り方だったり、教育科、研究科との関わりだったり、その辺は今後の検討課題としてこれから議論するような形になっておりますので、こちらでのワーキンググループの議論もしっかり反映させて、まとめていくような形を考えていきたいと思います。
【高橋座長】  そのほか、御意見はございませんか。
【田中委員】  質問です。この資料の7ページ以降の別添のイメージというものの性格をどう捉えたらよいのでしょうか。
【藤岡教職員課課長補佐】  本文の方は、基本的には制度設計に関わるある意味、様々な大学でやっていただきたいことを書いているものでして、別添につきましては、飽くまでイメージということで、各大学が実践的科目を具体的にどのようなカリキュラムとするかというときの参考としていただきたいというものです。ですから、このイメージどおりに行わなければいけないとか、このイメージどおりに行わないと課程認定しないとか、全くそういうものではございません。
 ただ、実践的科目をやってくださいといっても、それだけでは各大学も、具体的にどういうものが想定されるのかというのが分かりにくい部分もあろうと思いますので、例えばという形でお示しをしているというものです。
【高橋座長】  よろしいですか。
【田中委員】  少し安心しました。要するに、大学でこれを参考にして、大学の条件の中でより豊かにとか、より柔軟にというところができるという、そういうものとして考えてよいということですね。
【高橋座長】  はい。カリキュラムイメージという感じで、幅広く提案できるように考えておりますが、ただ、私はその次の情報公開の在り方にございますように、教員養成の理念や、具体的な養成をする教員像がそれぞれの大学の教職課程にはありますから、それは当然反映されるものとして表現されるだろうと思います。何でもよいからといっているわけではなくて、各大学の教職課程の在り方にかかっていると思います。
【田中委員】  今座長がおっしゃったことは、どこかに書いておいた方がよくないですか。安心の反面、不安もあって、大学から見るといかに手を抜くかという方向で議論をする危険性もあるかもしれませんから、その大学院が養成したいと思っている教師像、あるいは理念等の関連の中で、いわば創造的にやるというような、そのような文言があった方がよいという気がしました。
【高橋座長】  分かりました。寺岡委員の御意見も含めまして、理想を余り現実の方に近付けないで、理想は理想として、理念は理念として書いておきたいと思います。各研究科が自ら、養成したい教員像にふさわしいものを計画しましょうということですね。
【田中委員】  はい。あともう一つ、学校現場にかなりの負担をお願いすることになりますね。そのときに、学校現場から見た場合に、この実習がどのような意味を持つのかということについて、ある程度イメージしやすいようなことが必要かと思います。例えばこのイメージで、評価のところで学生が作成した教職実践研究報告書によって行うと、かなり明確に書かれているのですけれども、学校から見ると、学校は9ページのところにある図でいくと、インターンシップにかなり深く関わりますね。教職実践研究報告書の作成に、現場がどのようなスタンスで関われるのかとか、あるいは、学校現場がこの評価について、これでいくと何も関わらないというようにも読み取れてしまうのですけれども、学部だと、大体は学校現場で一定の評価の参考のようなものをつくってもらって、それを大学の方で参考にしながら単位認定していくというシステムになっていると思うのですけど、この評価に対して、インターンシップを引き受けた学校の方が、どのような関わりができるのかとか、その辺を少し書き込んでおいた方が、これから大学院生をお願いしますということで学校現場にお願いに行くと思うのですけど、そのときの説明の仕方の参考になるような、そういう面もイメージの中に入れておいてもらえるとよいのではないかと思うのです。
【高橋座長】  2回目か1回目かの議論のときに、岡山大学でのインターンシップの評価については、学校現場には、可否という評価だけをいただいて、大学で教職実践研究を指導し、その報告書で評価をすることを説明させていただきました。学校現場に全て評価をしていただくというのは非常に手数ですし、長期になったら御迷惑もおかけするので、岡山大学では、可否だけで評価していただいて、あとは大学教員が評価をするということを、一つの例として御説明いたしました。
 学校現場から言えば、評価できないようだったら受けないという学校もありますでしょうし、評価までやれというのかと言われる学校もあろうかと思いますが、いかがですか。
【田中委員】  東京都の場合は、東京都がつくった評価書を学校現場に流して、それで評価しています。今の実態としては、学部の教育実習で、東京都の公立校をお願いするときには、東京都教育委員会がつくった評価書が2種類あります。それまでは東京学芸大学が評価の観点などを全部決めて、これでやってくださいとお願いしてたのですけれども、それは一切使わずに、東京都がつくった評価書、一つは教育実習生についての評価と、もう一つは、その実習生を送り出した大学の評価を行ってくださいというものを、両方行っているのです。
 そこまでは求めませんけど、教職実践研究報告書だけで評価をするとなると、教職実践研究の評価と、インターンシップの、2単位ないし4単位の評価と、この両方の科目の評価を教職実践研究報告書だけで行うイメージでよいのでしょうか。
【高橋座長】  インターンシップの場合でも、可否とか、要するに合格か否かという評価の仕方もあると思いますし、教職実践研究報告書だけでなく、教職実践研究の授業科目の評価で、それは点数評価もできると思います。
【田中委員】  趣旨は、学校現場がこのインターンシップをどのように受け止めてほしいかということのメッセージといったらよいのでしょうか、その辺を少し書き加えた方がよいのではないでしょうか。
【細谷委員】  私も先ほどから、この辺、とても気になってはいるのです。ただ、この報告書が、ある意味では単位を認定するかどうかという大きな材料になるということであれば、学校で直接、2週間、3週間の活動について評価も大事なのですが、こういった実践的なことを行ったものについて、ある意味では学校で、この人をこれから現場で迎え入れようというつもりで、このカリキュラムを見ると思いますので、例えば、指導案をつくる、実際に授業もやる、最終的に教育実習も研究授業をやりますよね。これをもう少し専門的にしたらどうかと思います。
 これから先は例えばの話なのですけども、今回の課題探究学習のようなものを少しやらせるという話がありましたけれど、それを事前に、この単元の、こういう課題探究学習の形でやるという課題を与えてやらせる。最終的には教科指導になりますから、例えばその地区にあります社会科なら社会科の教育研究会の人たちが集まって、研究協議会のような形で、その学校だけではなくて、いろんな学校の社会科の先生が集まって、研究授業、その後の研究協議会をやる。そういったところの指導案、それから授業記録、あるいは研究協議会の記録、そしてそこに講師もつけてしまう。通常、皆さん、講師をつけますから、講師の指導講評、こういったものが報告書に載るととてもよいのではないかと思うのです。まさに現場の専門家の声ばかりですから、それは学校が評価しなくても、その記録を見て、また大学の方で評価の材料にしてもらえればよいのかとも思いました。今のお話ですと、そのようなイメージであれば、私は、学校はそれほど無理をしないでできるのではないかと思います。教科ごとの研究授業とか協議会というのは、いつもやっていることですので。そして、協議会そのものが非常に教員の指導とか育成に効果があるものですから、これはもう外国でも評価されている、日本の研修スタイルですけれども、そんな気がします。そのときに、8ページの評価のすぐ上にあります指導体制の件ですけれども、今の話とも関係するのですが、ここで言う教職専門の教員が協働して行う、この方のイメージというのはどのように受け取ったらよいのですか。どのような経歴の方なのでしょうか。
【高橋座長】  例えば教育学研究科であれば、そういう学校現場のことも理解し、教科教育の知識もある教員がいると思いますが、理学研究科とか文学研究科の場合には、担当教員の方が、学校現場のことを必ずしも知っておられない状況があると思います。いわゆる現職経験のある先生方とか、教職を専門とされている先生方、そういう先生方に参加していただいて、一緒に指導をするということが必要だろうということで書いています。
【細谷委員】  それで、ほっとしたのですけれども、要するに、現職の方がここに加わるというのは非常に難しい問題があると思うのですけれども、退職された、特に指導主事を経験された方というのはこういう指導は慣れていらっしゃいますから、そのような方を大学で雇うか教育委員会で雇うかは別ですけども、こういう方が一緒に入っていただいて、先ほどの実践研究報告書の作成にも関わっていただけると、学校現場としては非常に有り難いという気がいたします。
【高橋座長】  では、いただいた御意見をできるだけ盛り込んで、生かしていただきたいと思います。
【荒瀬委員】  今のところで言いますと、田中委員が御心配の向きというのは十分理解しているつもりなのですが、きっと学校によっても異なるだろうし、小学校、中学校、高等学校でも、規模によっても異なってくると思うのです。ですから、8ページの一番下には、学校における実践的活動の状況を踏まえてという、これが少し玉虫色みたいなところもありますけれども、この中に田中委員の御心配は含まれていると考えられるのではないかと思います。それは3ページから4ページにかけてのところで、3ページの一番下の行の、また、実践的活動を行う学校の状況についてというところに、受け入れる学校側にもメリットを感じられるようにするなどの仕組みを構築しないといけないということがありますので、したがいまして、これをやるに当たりましては、一定、経験を重ねていけば、多分、淡々と進んでいくのでしょうけど、当初はやはり大学と学校現場、あるいは教育委員会との間で相当な話合いが行われていて、その地域でありますとか学校によって、やり方というのをつくっていった上で進めていかなければ、実効のあるものにはならないと思うのです。ですから、多分そこのところは、大丈夫という楽観視ではよくないかもしれませんが、いけるのではないかということを思っております。
【田中委員】  分かりました。
【高橋座長】  ありがとうございました。
 荒瀬委員のおっしゃるとおりです。それぞれの大学、地域、教育委員会、学校としっかり連携をしてやっていきたいということで、それでは、この項目に関しましてはこれでよろしいですか。
 それでは、2番目の教職課程に関する情報公開の在り方について、いかがでしょうか。御意見をいただければと思います。公表すべき情報というところで、教員養成の理念や、具体的な養成する教員像、教職指導に関わる学内組織等の体制などでして、教員への就職状況、その他、教員養成の質向上に関わる取組、このような項目について、公表することを求めるということです。
 それと、最後に6ページのところですが、既に課程認定を受けている大学が新たに別の教科というか、ある課程認定を受けようとする場合には、このような情報公開の取組状況を確認しますということが付け加わっております。
【田中委員】  その6ページの最初の丸ですけれども、公表の様式の統一等々のところです。これは高等教育局の方に聞いたらよいのか、大学ポートレートの動きとの関わりというのはどのように考えられているのか、お願いします。
【鍋島教員養成企画室長】  大学ポートレートにつきましては、しばらくの間というのでしょうか、1年、2年ぐらいかけまして、具体的にどんな項目を、特に大学に関わるような学生でありましたり、保護者の方でありましたり、教育委員会の方でありましたり、学校関係者の方に知っていただくのかということについてずっと検討していまして、項目につきましては、ワーキンググループのようなところで大体議論はできてきたところではあるのですけれども、まだ具体的に、それをどのように大学の方にしっかり求めていくのかとか、やり方についてもう少し議論が必要な状況でありまして、そちらの内容と、こちらの方で関わってくる部分も当然あろうかと思いますので、そこはちょっと関連性をしっかり考えていかないといけないと思いますし、多分、学校種によってのお考えなどもあろう思いますので、そういったことも、これを実行するに当たって少し留意点としてはあろうかと思います。
【田中委員】  分かりました。
【高橋座長】  よろしいでしょうか。
 それでは、私の方から最後に確認事項をさせていただきたいと思うのですが、専修免許状の取得における実践的科目の必修化や、教職課程に関する情報公開の在り方というのは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、それからもちろん養護教諭とか栄養教諭の職種も通じて、教員免許状全体で共通したことですか。
【藤岡教職員課課長補佐】  はい。
【高橋座長】  はい。では共通したことであるということで、まとめたいと思います。ありがとうございました。
 そのほか、御意見ございませんですか。
【大槻委員】  今の点について。先ほど、各研究科に合った教員養成像に基づいて、実践的な科目を行ってと考えてくださいというようなことだったと思うのですけれども、ここで公開、公表すべき情報というのは、これは大学で統一したものが念頭なのですか。それとも、研究科ごとで、学部ごとでどうするのかというのが、どちらか分からないところがありまして、そこら辺ははっきりさせた方が、混乱がないと思うのですが。
【藤原教職員課長】  多分、そこは大学によって違うのではないかと思うのです。特に私学の場合などは、いわゆる建学の理念の中で、共通的な人材養成の理念があって、そこに即して教員養成像もできてくるという形になるのだろうと思うのですね。そうした場合には、場合によれば単一のという形になると思いますし、そこが学部によって違うというもので、試行していくこともないわけではないと思いますので、そこは必ずしも明確にしなくてもよいのかなということを思っています。
【高橋座長】  教職課程は各学部で申請しています。だから、各学部での理念とか養成像はあるはずです。だけど、大学全体で共通する大学もあるでということで、少なくとも教職課程としては、こういうことは公表するということですね。
【藤原教職員課長】  そうです。
【荒瀬委員】  5ページの一番下ですが、何回目かに私が申し上げたことを入れていただいていると思うのですけれども、高校生等が読んでも分かるような平易な表現や内容にするという、内容というのは取っていただいて結構だと思います。
 内容は、なかなか平易にはならないです。例えば、私は「グローバル化」という言葉一つとってみても、人によって捉え方が違うと思うのですね。うちの大学、あるいは研究科では、グローバル化というのはこのように考えている。グローバルな教職員というのはこうだというのが分かるように、平易に書いていただきたいので、そういう意味であります。
【高橋座長】  分かりました。平易な表現にするなどに注意したいと思います。
 それでは、ただ今いただきました御意見の扱いも含めまして、本ワーキンググループの報告書として取りまとめて、今後、予定されています全体の協力者会議に御報告することにつきまして、私に一任いただけますでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、事務局と相談いたしまして、報告書として取りまとめをしたいと思います。
 以上で本日の議題は全て終了しました。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。御協力ありがとうございました。

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