資料2 能力記述文の形で設定した国の学習到達目標(試案)について

1.国が能力記述文の形で学習到達目標を示すことの意義

○ 外国語教育については、これまで、コミュニケーションの中で基本的な語彙等を活用する力が十分身に付いていないことなどが課題とされてきたことから、学習内容を示すだけではなく、それを活用して何ができるようになるかを目標として示すことに意義がある。

○ また、「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」では、小学校における英語教育を教科化するとともに、小中高を通じて一貫した学習到達目標を設定することとしている。能力記述文の形で学習到達目標を示すことにより、小・中・高等学校が連続した英語教育がより実現しやすくなる。

○ こうした学習到達目標を国として示すことにより、以下の効果が見込まれる。
 ・各学校が設定する目標や指導・評価の焦点が、文法や語彙等の知識の習得から、それらを活用して、聞いたり、話したり、読んだり、書いたりする能力に移行することが期待される。
 ・教科書については、子供たちの言語活動を充実させるという観点で編集されるようになることが期待される。
 ・教員養成課程においては、子供たちの4技能を伸ばすための指導法とそれらを適切に把握する評価法が教授されるようになることが期待される。
 ・各学校の学習評価においても、面接、エッセー、スピーチ等のパフォーマンス評価など、「言語を用いて何ができるか」という観点から評価がなされることが期待される。

○ さらに、国が示す学習到達目標を、外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠(CEFR)に関連付けることにより、世界標準を意識した学習や指導が行いやすくなる。これにより、例えば留学に必要な外国語能力を身に付けるための学習も行いやすくなり、ひいては留学の促進にもつながることが期待される。

○ 国が能力記述文の形で学習到達目標を示すことにより、各学校は、これを参照して地域や生徒の実態に応じた学習到達目標の設定及びこれに応じた指導や評価を行いやすくなる。

○ なお、国が設定する学習到達目標は大綱的なものであり、以下の点において、各学校が設定する学習到達目標と異なることに留意が必要である。
 ・国は各学校段階別に大綱的な学習到達目標を示すことが適当と考えられるのに対し、各学校ではより詳細な学年ごとの学習到達目標を設定することが望ましい。

(参考)中学校学習指導要領 外国語 抜粋
 3 指導計画の作成と内容の取扱い
 (1)ア 各学校においては、生徒や地域の実態に応じて,学年ごとの目標を適切に定め、3学年間を通して英語の目標の実現を図るようにすること。

 ・また、高等学校は、単位制を併用していること、外国語科の科目の開設状況が各学校により異なることを踏まえ、学校や生徒の実態に応じた学習到達目標を設定することが求められる。

2.試案の作成について

○ 中学校及び高等学校の新学習指導要領に基づき、生徒に求められる英語力を能力記述文の形で作成し、これを今後の検討に当たってのたたき台とする。

○ 高等学校については、必履修科目である「コミュニケーション英語1」の内容を中心としたレベルと、より発展的な内容を取り扱うその他の科目の履修を前提としたレベルを設定。

○ 今後、試案に示す能力記述文を基にした英語力調査を実施することにより、本試案の妥当性を検証するとともに、今後の検討に生かす。

3.今後の検討課題(案)

○ どの程度、詳細な記述が望ましいか。

○ 学校種別の能力記述文の難易度をどのように段階的に表すか。

○ CEFRとの関連付けをどのように行うか。

○ 「外部試験団体と連携した英語力調査事業」において、試案の妥当性をどのような方法で検証するか。

○ 理解する能力が表現する能力を上回ることが多いと考えられるが、これを反映させるべきか。

○ 国として学習到達目標をどのように示すか。

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)