全国的な学力調査に関する専門家会議(第4回) 議事要旨

1.日時

平成24年7月4日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3F 1特別会議室

3.出席者

委員

梶田座長、相川委員、池田委員、大津委員、小川委員、柴山委員、清水(静)委員、清水(美)委員、土屋委員、福田委員、堀竹委員、耳塚委員

4.議事要旨

(1)平成24年度全国学力・学習状況調査について、事務局より実施状況等の報告があり、その後、これらに関する意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。

  • 資料1-2の表だが、神奈川県の希望利用が少ないが、その辺り、何か事情があるか。
  • 神奈川県だけではなく、愛知県も同じような事情であるが、設置者である教育委員会が希望利用の参加決定をするという中で、例えば、神奈川県では、横浜、川崎、相模原という政令市があり、かつ、県民人口の約3分の2を政令市が占めているため、政令市の動向が県の希望利用率を規定しているかと思われる。

(2)平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の設計について、意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。

  • 追加調査である保護者アンケート調査については、新しい試みであり、非常に感謝をしている。保護者の意識や所得などについて、様々な状況にある家庭が増えている。抽出するに当たって、そういう状況も踏まえて、学校を選んでいただき、また結果を生かしていただければと思う。
  • 保護者アンケート調査に関して、質問項目の精査を行うために予備調査を実施について検討をしていただきたいと思う。
  • 東日本大震災後の被災地における家庭の状況は多様化しており、単なる経済格差だけでなく、心理的な状況も把握できるよう教育委員会等と連携をしてもらいたい。
  • きめ細かい調査について、全数調査と抽出調査の違いだけと思っていたが、今日の説明を聞くと、本体調査を全数調査で行うとともに、目的別に経年変化、保護者アンケート調査、それから教育委員会に対する調査を行い、様々な分析を行うマルチウェイ方式であると理解した。しかし、本体調査における質問紙の3分冊化、経年変化分析、保護者アンケート、教育委員会に対する調査などデータが複雑になるため、その分析を、どのように行うかをあらかじめ準備をしておく必要がある。
  • 経年変化分析のための調査だが、1時間ごとになっているので、学校サイドとしては大変やりやすいが、抽出校に対する調査結果の提供等についてどのように考えているのか。
  • 問題自体を非公開にしないといけないので、個々の授業改善にすぐ生かしていただくということは難しいと考えている。しかし、例えば抽出校として参加いただいた学校全体の状況について、問題内容を明らかにしない形で、返却した上で、今後の学校で役立てていただくということは考えられるのかと思う。結果の提供等については、今後、検討してまいりたい。
  • 保護者アンケート調査はどれぐらいの回収率を想定されているのか。また、それが、もし偏るような回収になる可能性があれば、どういう対応をするのか。
  • 保護者アンケート調査は、文部科学省として行うのは初めてだが、平成20年度の文部科学省委託研究としてお茶の水女子大学が実施した調査研究がある。そのときの回収率が70%ほどであった。平成25年度調査においても、同様の回収率を想定し、小学校と中学校の抽出校数を算定している。
  • 経年変化のような問題非公開で行う調査は、どういう形で結果を公開するかということを考えておく必要がある。PISAなどでは非公開の問題と、一部公開して、象徴的にこういうタイプの問題だったと明らかにしている問題がある。本日は平成25年度の議論だが、今後、長期的な観点で経年変化の調査の設計を検討していく必要があるのではないか。
  • 問題を公開にする調査と非公開にする調査の違いについて、問題を公開して結果を個人に返す場合は、難易度の高い問題の出題について、教育的な配慮が必要となってくる。一方、非公開の調査については、非常に易しいところから難しいところまで出して、幅広い情報を把握できるため、不利な状況にあるが頑張っている学校などについて、非常に精密に見られるというメリットがある。
  • きめ細かい調査が、特定の課題に対応した複数の追加調査を実施するという方式で、しかも、複数年度をセットとして、目的にかなった調査を実施していくということは非常に革新的なことで、期待が大きい。ただ、それは同時に、得られるデータも、それから実施しなければいけない調査も複雑化するため、恒常的な調査設計や分析のための組織基盤を充実させていくことが必要と考える。
  • 結果の公表の時期について、教育委員会、学校において適切な時期に公表できないと、せっかくの調査結果が生かされないという懸念がある。例えば、学校では、調査結果が夏休み前に返却されれば、それを生かして夏休み中に指導方法の改善等について検討する時間がある。また、教育委員会へは、政策の立案に反映できる時期に調査結果を返却するといったことが考えられる。調査結果を返却する時期については、教育委員会、学校において調査結果を活用しやすくするという観点で、考えていく必要がある。

(3)平成23年度学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究の成果報告について、東北大学大学院教育学研究科 柴山 直教授より報告があった。

お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

(初等中等教育局参事官付学力調査室)