公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第14回) 議事録

1.日時

平成24年6月19日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議事録

 【木村主査】  ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議、開催をさせていただきます。第14回になります。よろしくお願いいたします。

 本日は論点メモの3番目、個別の教育課題に対応するための教職員配置について、議論を行いたいと存じます。議論に入ります前に、これまでの討議の中で、委員の中から指摘がございました二つの点、すなわち公務員の再任用制度の問題、非正規教員の任用状況の問題について、事務局に資料を準備していただいていますので、その説明を伺うことにしたいと存じます。その前に、事務局から本日の資料についての確認をお願いいたします。

【谷合企画官】  配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第に続きまして、資料1が委員名簿、資料2が再任用制度と「雇用と年金の接続」の概要、資料3が非正規職員の任用状況について、資料4が自由討議のための論点メモ、資料5が個別の教育課題に対応するための教職員配置改善について、最後、参考資料で平成24年度の予算関連資料を添付してございます。

【木村主査】  それでは公務員の再任用制度について、初等中等教育局初等中等教育企画課の篠田智志課長補佐から、10分程度で御説明いただきたいと思います。

 篠田課長補佐、よろしくお願いいたします。

【篠田課長補佐】  それでは、失礼いたします。資料2をごらんいただきたいと思います。再任用制度と「雇用と年金の接続」の概要と題しました資料でございます。この会議におきましても、再任用の義務化についての言及がなされているところでございますので、本日は現行制度を含めました現状と、今後の「雇用と年金の接続」に向けた議論の現状について、簡単に御説明申し上げたいと思います。

 御案内のとおり、来年度、平成25年度から、年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上がることとなっております。これに伴いまして、国家公務員においては、本年3月23日に国家公務員の「雇用と年金の接続」に関する基本方針が閣議決定されまして、いわゆるフルタイム再任用の義務化を図るなどの方針が示されたところでございます。地方公務員につきましては、主務官庁が、地方公務員法を所管しております総務省でございまして、国家公務員の状況を踏まえて、現在、検討中と聞いております。

 資料をおめくりいただきまして、再任用制度の概要(1)と(2)、2ページにわたっておりますけれども、簡単に概要を説明したいと思います。

 まず1の概要にありますように、再任用制度は定年退職等によりまして、一旦退職された方を1年以内の任期を定めて、改めて任用するという制度でございまして、対象者は2にありますように、マル1からマル3の方までとなっております。特に教育公務員、教職員につきましては、マル2の分野についてはあまりございませんので、主にはマル1とマル3という方で、定年退職者あるいは25年以上勤務した方で、退職5年以内の方が再度任用したいというところで、任用されているケースがほとんどでございます。

 2ページをごらんください。再任用の勤務形態でございますけれども、フルタイムもしくは短時間勤務という勤務形態となっておりまして、先ほど申し上げましたように、1年を超えない範囲で任期がございまして、1年を超えない範囲での更新がまた可能となっております。勤務条件につきましては、国家公務員に準じて条例で定められております。

 3ページをごらんください。再任用のデータ的なものでございます。地方公務員の再任用、特に短時間勤務の職については、平成13年度から制度化されておりますので、それ以降のデータを示しております。総務省の調べによる、地方公務員の再任用職員数の推移でございます。教育職については、うち教育職とございますように、再任用の全体の中で、平成23年4月1日現在で1万2,653人、うちフルタイムが5,256人、短時間勤務が7,397人というデータとなっております。その下が、再任用制度に係る条例の制定状況の推移でございますけれども、主には県費負担教職員を想定しているところになりますと、都道府県指定都市の条例制定状況になりますが、いずれも100%となっております。

 4ページをごらんください。これまでの再任用制度の沿革と、年金制度との関係でございます。右側の共済年金の支給開始年齢引き上げに関する制度改正からごらんいただきたいと思います。御案内のとおり、平成6年の改正によりまして、退職共済年金、いわゆる定額部分の年金の支給開始年齢が平成13年度から段階的に引き上がりまして、続いて平成12年の改正によりましては、比例報酬部分についても段階的に引き上がることが決定しているところでございます。左側の再任用制度に関する沿革をごらんいただきたいのですけれども、平成13年度から定額部分が1歳ずつ引き上がることに伴いまして、再任用についても「雇用と年金の接続」を図る観点から、平成6年から、従来、再任用はフルタイムだけで、定年退職された方の能力、経験を特に必要な場合に限る形で認められていたものでございますけれども、年金の制度改正に伴いまして、短時間勤務であるとか、あるいは本人の希望によりまして、フルタイムも任用の拡大を図るべきだという議論もございまして、平成11年には新たな再任用制度が導入された。いわゆる、これで年金の支給開始年齢の引き上げとリンクした再任用制度ということがなったわけでございます。

 5ページをごらんください。「雇用と年金の接続」についてのスケジュールと題しました資料でございますけれども、今後の再任用制度と年金との関係について示した資料でございます。縦と横で、同じように年度がございますけれども、主に縦の数字、63歳とある下に19、20、21とございます。これは再任用の上限年齢とそれに対応する年度でございます。現在、平成24年度でございますので、64歳の枠の、24の数字を縦に見ていただきたいと思います。

 平成24年度におきましては、再任用の上限年齢が24歳になりますけれども、来年度、平成25年度から、61歳に年金支給開始年齢が引き上がります。それに伴いまして、65歳まで再任用の上限年齢ということになりまして、続いて26年度には、比例報酬部分についても年金の支給開始年齢が引き上がりますので、この段階から、平成26年度から満61歳となるまで年金が支給されない状況になりますので、赤い線の下で61歳と矢印を書いておりますけれども、この部分について、年金が支給されないことに伴う、雇用によってその生活を支えなければならないというものが、民間も通じて発生することになっております。段階的な支給開始年齢が3年ごとに引き上がりますので、縦に薄くブルーのラインで示しておりますけれども、平成26年度の次は、平成29年度、その次は32年度で、3年おきに再任用の義務化によって、雇用でその生活を支えなければならないような年代が発生するという関係でございます。

 6ページをごらんいただきたいと思います。国家公務員における「雇用と年金の接続」についての基本方針の、主な部分を抜粋した資料でございます。この基本方針の中には、1のマル1にございますように、定年退職する職員がフルタイム再任用を希望する場合に、その官職に採用するという方針が示されております。星印にありますように、ただしということで、標準職務遂行能力及び当該官職の適性を有しない場合、任命権者は上記の義務を課されないものとするという、ただし書きがされております。

 2のマル1でございますけれども、本府省の局長等については、いわゆる役職定年が、導入の検討をされているというところです。

 マル2でございますけれども、再任用の短時間を希望する場合に、任命権者ができる限り希望に沿った対応ができるような環境を整備するというところでございます。

 3でございますけれども、60歳超職員の追加的増加への対応で、先ほども御説明申し上げましたけれども、3年度に一度、60歳を超える職員が公務部内に追加的にとどまることと、組織の将来を担う若手職員の安定的・計画的な確保及び人事の新陳代謝を図ることが可能となるよう、総人件費改革等の観点を踏まえつつ、必要な措置を講じるとされております。

 また4にありますように、再任用された職員の給与の在り方に関しては、別途検討するということで、なお検討中でございます。

 最後の7ページになりますけれども、現在こうした国家公務員の方針について、地方公務員について、総務省を中心に検討されているところでございます。特に教育委員会の御意見も大変重要だと考えておりまして、その点については、文部科学省から教育委員会に対しまして御意見をちょうだいしているところでございまして、現時点で伺っている主な意見を、1から6まで掲げさせていただきました。

 まず一つは、再任用職員の増加に伴う課題への対応を検討する必要でございまして、再任用職員の増加に伴って、新たな加配措置が必要ではないかという御意見をちょうだいしております。また、再任用できない場合、先ほど標準職務遂行能力の関係がございましたけれども、具体的な判断基準の明示が必要ではないかということ、3にございますように、若手教職員の安定的・計画的な確保が可能となるよう対応が必要である。再任用短時間勤務職員の配置に関する検討が必要である。いわゆる学校において、少数の職種でありますとか、教科あるいは人数が限られる部分については、再任用の短時間の職員が必ずしも配置できないことがあり得るということで、その点、人事上の検討が必要ではないかということ。また、各地方における柔軟な制度設計が可能となるような仕組みとする必要があるのではないか。また、国家公務員についても、現在、検討中のところがございますけれども、早期の制度設計また情報提供が必要であるという御意見をちょうだいしております。

 最後に今後のスケジュールでございますけれども、平成26年度から具体的な影響があるということでございまして、一方で、先ほども若手教職員あるいは採用ということもございましたけれども、平成26年度の影響を考えますと、平成25年度の4月までには制度の検討をし、またその採用計画等も考えて議論を詰めていかなければいけないという段階でございまして、現在、総務省とも意見交換しながら、制度の状況について検討している状況でございます。 説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 いかがでございましょうか。何か御質問、御意見等ございますか。

【井上委員】  1点お尋ねしたいのですが。

【木村主査】  どうぞ、井上委員。

【井上委員】  資料の3ページですが、再任用制度の概要の中で、再任用職員数の推移というのはあるのですけれども、要するに全体の退職者数、例えば教育職について、前年度の退職者数のうち再任用された職員数がどのぐらいの割合なのかを、教えていただきたいと思います。

【篠田課長補佐】  総務省のデータでございまして、正確に母数の部分についてわからない部分がございますが、大まかな概数で申し上げますと、文科省がとっています教員統計調査によりまして、59歳の方の人数が全体で約2万人弱ございます。現在で言いますと、61歳から64歳までの方が再任用の対象になりまして、4年間といいますか、4世代といいますか、そういった方が対象になりますので、単純に2万人弱で4年間ということになりますと、おおむね8万人弱という概数が母数ではなかろうかと思われます。

【井上委員】  ありがとうございます。

【木村主査】  よろしゅうございますか。

【井上委員】  はい。

【木村主査】  どうぞ、土居委員。

【土居委員】  御説明、どうもありがとうございます。

 再任用に関してなのですけれども、60歳以上ということですから、いわゆる共済年金は満60歳になるまでは保険料負担することになるわけですけれども、一番最後のページで、再任用職員の増加に伴う新たな加配措置という話で、財政措置が必要だということなのですけれども、ここの場合は、60歳以上の方ということですから、いわゆる年金の保険料に関しては、負担がないことを加味することが想定されておられるのでしょうか。

【篠田課長補佐】  地方からの御意見をちょうだいした段階ですので、具体的な中身の部分について言及されてはいないのですけれども、まさに共済年金の部分について、国家公務員も検討中でございまして、現在は年金が半分もらえる状態でございますので、その段階からなくなることになりますと、いわゆる生活給的な部分、生活を保障するような部分の共済等の手当についても検討すべきではないかということで、現在、国家公務員で検討中だと聞いておりまして、おそらく地方公務員についても同様の形でならっていくのではないかと思われます。

【木村主査】  どうぞ、土居委員。

【土居委員】  給付の面はそうですが、結局、いわゆる雇用主負担というか、そちらの保険料負担は満60歳になるまでは、当然、雇う職員の保険料負担を天引きというか、そういう形でとっているわけですけれども、60歳以上の方は、年金保険料については支払わなくてよくなるわけです。その部分は仮に加配ということで財政措置するということだとしても、もちろん再任用の方に対する給与水準をどうするかというのは、また高い次元の問題ではありますけれども、そもそもの構造として、満60歳になるまでの職員の方については保険料負担が発生しているのに対して、満60歳以上の方はそもそも制度上、保険料負担は要らなくなるということなので、そういう点は加配を仮になさるということで今後お考えならば、そういう点も考慮しながらの財政措置になるということなのでしょうか。

【篠田課長補佐】  この点について、地方から意見をいただいたところでございまして、そういった要望があるという御紹介ではあるのですけれども、おっしゃったように、年金の部分については、当然、対象ではないので、そういったところにはなろうかと思います。

【木村主査】  門川委員、どうぞ。

【門川委員】  「雇用と年金の接続」という点は非常に重要視しなければならないと思いますし、一方で経験を備えた有能な人材を生かすということも大事だと思います。ただ、繰り返しになると思うのですけれども、子供たちに直接かかわり、その発達等に大きな影響がある教育職、個人の影響は非常に大きいということと同時に、60歳以降の人を見ていますと、個人差が非常に大きい。そのことが子供の教育にマイナスにならないような、的確な判断、他の公務員と違って、補完的な仕事をするとか、カバーすることがなかなかしにくい職種ではあります。そのことがこれから60歳から65歳の人が、どっとかさぶたのように学校現場で、能力を備えていない人を排除できずに現場に指導にかかわることは、非常に難しい面があると思いますので、地方においてきちんと判断して、不適格者を排除できる、厳しい言い方ですけれども、そうしたことを担保しなければならないのが1点だと思います。

 もう1点は、同時に補完的な仕事とかTTとか、いろいろな生かし方、生きて、その能力を活用できる、そうした新たな雇用形態、指導形態も含めて、そうしたことについての方策を検討していかなければならないのではないかと思います。既に出ている意見だとは思いますけれども、重ねてお願いしておきたいと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。

 今の点は非常に大事な点だと思いますが、何かお答えはありますか。

 現役のときには、当然、評価があり、昇進もあるわけです。ところが、退職した場合にはそういうことがなくなってしまうと、ある意味では歯止めがかからなくなってしまう。今、門川委員がおっしゃったようなことを、私も心配していたのですが、その点は何かお答えはありますか。

【篠田課長補佐】  お答えになるかどうかはわかりませんけれども、先ほどの資料で言いますと、6ページの部分をごらんいただきたいと思うのですが、国家公務員においても、なお現在検討中というところで、先ほど申し上げました1のマル1の米にありますように、標準職務遂行能力との関係で、任命権者は義務を課されないものとするというところがございます。それに対して先ほどの7ページにありますように、地方からも、任用時の具体的な判断基準の明示が必要だという御意見をちょうだいしておりまして、まさにこの点については、具体的な運用、あるいは適材適所をどう図っていくかという、任命権者による部分が大きいかと思いますけれども、まさに国家公務員のほうでも検討されておりますし、また地方公務員でも同じような課題としてとらえていかなければいけない部分だと思いますので、その点はよく連携を図らせていただきまして、地方の事情に合わせた配置あるいは制度の運用がなされるように配慮していきたいと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんか。

 よろしゅうございますか。 では次へ参ります。

 次が非正規教員の任用状況についてでございます。谷合企画官から同じく10分程度で、御説明をいただくことになっております。よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  資料3の御用意をお願いいたします。前回の自由討議でも、非正規教員の増加傾向についての御発言がありましたので、その状況について資料を用意いたしました。少しお時間をいただいて御説明いたします。

 1ページをおめくりいただきたいと思いますが、いわゆる非正規教員と申しましたときに、大きく二つの種類がございます。一つは黄色の部分で示しておりますが、非常勤講師と呼ばれるもの、もう一つがピンク色の部分でございますが、臨時的任用と呼ばれるものでございます。臨時的任用は、各学校では常勤講師あるいは期限つき講師等々呼ばれているものでございます。この二つを合わせて非正規教員と呼びますけれども、近年いずれも増加傾向にございまして、平成23年度現在で合計11.2万人、全体の教員に占める割合で言いますと、16.0%となってございます。おおよそ5人に1人弱が非正規教員というのが実態でございます。

 ただ一つ注意が必要なのは、いわゆる実数ベースで見たときでございまして、定数ベースで見ましたのが、次の2ページでございます。実数ベースで見ますと、例えば非常勤講師の場合、午前中だけの非常勤講師、あるいは午後だけの非常勤講師というのがいた場合には、それぞれ1名、合計2名とカウントすることになるわけでございますけれども、より何といいますか、実態を正確にとらえるためには、これを定数ベースで見る必要があるかと思っております。

 この操作については、2ページの大きな矢印の中に書いてございますけれども、まず臨時的任用教員につきましては、産・育休代替等を除外するという操作をします。産・育休代替の場合は、その当該産・育休をとられる先生が1人ということでカウントされていますので、これと代替教員をカウントすると、ダブルカウントになってしまいますので、ここを除外するという操作をします。非常勤講師につきましては、例えば地方独自に措置をされて、教育条件をよくするという目的で、地方独自に措置されている非常勤講師もありますので、これを除外する。非常勤で時間が限られておりますので、40時間勤務に置きかえて換算してみるという操作を行います。そういう操作をいたしますと、まず臨時的任用は7.0%になり、非常勤講師は1.2%という数字が出てまいります。

 これについて一つ御留意が必要なのは、過去との推移でございまして、2ページの一番下の行に平成17年の数字が出てございますけれども、平成17年の臨時的任用は5.6%でございましたので7.0%に増加しています。一方、非常勤は1.1%から1.2%ということで、あまり増加していないことがわかります。したがいまして、より大きな問題と考えられるのは、いわゆる臨時的任用ではないかと考えてございます。

 3ページをごらんいただきたいのですが、臨時的任用教員の推移でございます。平成13年からの10年間で、ごらんのように大きく増加していることがわかります。下の青い部分は、産・育休代替で、こちらも増えておりますけれども、その他の臨時的任用の増加が非常に大きいことがわかります。

 4ページをごらんいただきたいと思いますけれども、もう一つのポイントなのですが、こういった非正規教員の任用状況は、実は都道府県によって相当のばらつきがございます。全国平均は1番右にありますように、臨時的任用教員が7.0%となってございますけれども、例えば沖縄県であれば16.8%で、非常に多くなっている県もございます。こうした各県のばらつきが一つポイントとなってございます。

 5ページでございますが、今、説明申し上げましたものを、もう1回総括いたしますと、非正規教員はその数及び教員総数に占める割合とも、近年、増加傾向にあります。数字はごらんのとおりでございます。ただし、その非正規教員も二つ種類があって、非常勤講師については、時間換算、週40時間の換算をしたり、あるいは標準定数を超える地方独自措置分を除くと、その割合は1%程度であり、平成17年と比べてほとんど増加してない。一方、臨時的任用教員は、顕著な増加傾向があるということでございます。

 その要因でございますけれども、様々な要因が考えられると思いますけれども、私どもが考えましたところでは、一つは各県で教員の年齢構成の平準化などによる採用調整が行われていると考えられます。教員定数が一般の職員と違いまして、子供の数によって教員定数が変動するところに起因しております。今後、少子化が見込まれる中で、仮に教員全員を正規の教員で埋めてしまいますと、後々、子供が減って、定員が減ったときに採用が十分にできなくなるとか、あるいは場合によっては過員が生じてしまうこともありますので、そういう将来の定員の減少を見込んで、一部を期限つきの臨時的任用にしておいて、将来の採用を確保することが行われていると思います。そういったものは、ある意味ではやむを得ない部分ではないかと思っております。

 その他の要因としては、平成18年度以降、教職員については国の定数改善計画がありませんでしたので、各地方では見通しを持った採用ができなかった面がある可能性があります。地方公務員について、いわゆる集中改革プランがございましたけれども、平成18年度から5年間、定数削減計画がございましたので、正規教員の採用が困難であったと考えられます。

 最後、6ページでございますけれども、まとめといたしまして、いわゆる非正規教員の割合が、一定程度はやむを得ないとしても過度に大きくなりますと、学校運営面あるいは教育内容の質の維持向上の面で問題があるであろうと考えます。特に増加が顕著である臨時的任用教員の増加抑制が必要であると考えています。そのための方策として、一つは実態の公表、先ほど申し上げましたように、各都道府県によって状況がまちまちでありますので、こういった状況も公表しながら、過度に非正規教員の割合が高い県があれば、改善を促すことが必要であると考えます。

 最後、もう一つの方策といたしまして、この部分がこの検討会議での御審議にかかわってくると思いますけれども、計画的な定数改善であります。都道府県が長期的な見通しを持った、計画的な採用・人事配置を行いやすくするため、国において計画的な教職員定数の改善を行うことを検討することが必要ではないか。こういった国の計画があれば、各都道府県で見通しを持って、正規教員の採用、配置ができるのではないかという問題意識でございます。説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 以上、非正規教員の任用状況について御説明いただきましたが、何か御質問、御意見等ございますか。どうぞ、清原委員。

【清原委員】  ありがとうございます。三鷹市長、清原です。

 本日、大変総括的に非正規教員の任用状況について御説明いただきまして、現状がよくわかったのですが、幾つか御質問させていただきます。

 まず現状の総括の6ページの冒頭に、正規の教員採用選考を経ず、体系的な研修を受けていない非正規教員の割合が過度に大きくなることは問題とあるのですが、この非正規教員の場合、教職の免許を持っていることはもう前提だと思うのですが、非常勤講師であれ、あるいは臨時的任用教員であれ、正規の教員採用選考を経ずとありますが、ほんとうに全員がそうなのかどうか。つまり正規の教員採用選考を経て、一応名簿には登載されていたのだけれども、当該年度に採用の順番にならず、そうした候補が場合によって、非常勤講師とか臨時的任用教員に採用されているケースがあるのかないのかが1点なのです。

 2点目は、基本的に属性なのですけれども、小学校、中学校等で、公立学校で働く非常勤講師や臨時的任用教員の年齢構成に何か特徴があるのか、すなわち正規採用されなかった層として、20代や30代が相対的に多いのかどうか。その点が2点目の質問です。

 3点目、最後ですが、「計画的な定数改善を行うことによって、過度な臨時的任用教員等の増加を抑制することが必要である」ということでございますけれども、これはもう一つの方向性だと思うのですが、もう一方で、こうした非常勤講師でありますとか臨時的任用の教員に対して、課題としては体系的な研修を受けていないことなどが課題になっているのですが、過渡的な課題として、現場にいらっしゃる教員が非正規教員であれ、やはり質の維持、あるいは向上は重要だと思っております。実態として、このような非常勤講師等の非正規教員に対する研修等の条件整備については、本当になされていないのか。過渡的にはどういう在り方として、こういう非正規教員であっても、質の向上を果たしていけるのか。子供たちにとってはいずれにしましても、非正規教員であれ、重要な教員の一人一人でありますので、その辺の取組などについて御説明いただければありがたいと思います。以上です。

【木村主査】  よろしくお願いします。

【谷合企画官】  1点目の、正規の教員採用選考を経ずといった部分は、市長がおっしゃるとおりで、大概は採用試験を受けられて、その結果、何といいますか、正式採用には至らなかったというケースが多いと思いますので、選考を経ずという言い方が不正確だったかもしれません。多くの場合は、受けられて、ただやはり順番からして正式採用には至らなかったというケースが多いかと思います。

 一方、体系的な研修は、やはり臨時的任用は1年単位で行きますので、1年後はどうなるかがわかりませんので、なかなか継続的研修が担保されないということになりますので、それが申し上げたかった部分でございます。

 2点目の年齢構成については、正確なデータは持ちあわせていないのですが、今、申し上げましたように、各学校では、おそらく若い方で正式採用を目指して努力されている方が、1年の期限つき講師については多いのだと思っております。

 最後の質の維持、向上の部分は、各学校ではおそらく、もちろん講師、臨時的任用であっても、校内の研修などは行われているのではないかと思っておりますけれども、先ほど申し上げたような、なかなか経験年数に応じた研修などが、なかなか立てづらいということがあるのではないかと思っているところです。

 私も不十分ですので、もしこの部分で、小澤先生あるいは新庄先生、兵馬先生、もし御意見がありましたらお願いしたいと思います。

【木村主査】  質問の件はよろしいですか。

【清原委員】  では1点、いいですか。

【木村主査】  どうぞ。清原委員。

【清原委員】  現場の方に補足していただければありがたいと思いますが、1点、私の経験ですが、非正規教員として三鷹市で経験を積んだ方が改めて教員への意思を固めて、また再挑戦して正規に採用されて、現場で活躍されている例もありまして、何というのでしょうか、いい意味で、現場で事前に自分の適性であるとか、あるいは可能性であるとか、そうしたことを自分自身の中で検証する中で、よりよく、大学生のとき以上に思いを持って教員を志していただく方も、中にはいらっしゃいますので、非正規教員をめぐる処遇等に課題はあるとは思いますけれども、一方で、そうした人材をより発掘し育てていくというプロセスなども、現場ではきっと作っていただいているのではないかと感じております。以上です。ありがとうございました。

【谷合企画官】  ありがとうございます。

【木村主査】  では小澤委員、お願いします。

【小澤委員】  全国連合小学校長会の小澤でございます。

 今、非正規教員、正規教員でない方々のお話がございましたけれども、小学校で現実的に起きている状況を踏まえてお話しすれば、体系的な研修を、今日の資料にもありますように、受けていない、制度にのっていないというのが、最大の問題だと思います。正規教員の場合、新規採用になった、その段階で研修制度がございます。しかもその研修の結果について、評価、評定があって、最終的な採用に至るか至らないかの判定もあります。それから2年次、3年次、10年次まで、各都道府県、区市町村によっての違いはありますけれども、研修体系を組んでいる。こういう研修システムの中にのってこない教員が、現場の中にいるというのは、非常に学校運営について課題になってくると思っております。

 これを補うのに現実的にどういう形でやっているかというと、具体的に副校長以下の職層の職員、ミドルリーダーといいますか、東京都の場合は、主幹、主任級、こういう正規教員の職層の職員が、非正規の職員を指導しながら運用を図っていくという、非常に困難な状態。もう一つは先ほどお話がございましたけれども、いわゆる小学校で行われている校内研究の中に巻き込んで、研修体系を組んでいくということですけれども、冒頭にお話ししましたように、体系的な研修を受けていないために、特に現代的な教育の課題についての知識、理解等が不足している分、したがって具体的な指導ができないという部分が生じています。

 まず1点は、特別支援教育に対する知見を体系的に受けていないという問題。教育相談、スクールカウンセラー、要するに児童理解に関わることについての研修体系を受けていない。今の教育現場で必要とされる、いわゆるICT、情報教育等のそういう体系的なものを受けていないということだと思っております。

 意見でございますけれども、各都道府県でやはり正規教員の任用のばらつきがあるということは、国の平成18年度以降の定数改善計画が明確ではなかったための裏返しだと思っております。つまり、非正規教員を採用することによって、正規教員の要するに退職等の数を補っていくといいますか、バッファーをして、組織体制として、過員等が生じないようするためにはどうしてもこういう対応をせざるを得ない都道府県があるのかと思いますので、ぜひ定数改善計画を明確にしていただければと思っております。 以上でございます。

【木村主査】  新庄委員。

【新庄委員】  全日本中学校長会の新庄です。

 今、小澤委員からもお話がありましたが、現状では各学校には、かなり多くの非正規教員が入っております。体系的な研修も非常に大きな課題です。授業は正規教員と同じように進めていかなくてはいけませんので、臨時的任用教員、非常勤講師等の研修を行っている教育委員会もあります。ただ、体系的ではなく、年間に何回か、その区市、地教委の教育課題について、研修を実施しています。現状の中では、校内で管理職等により、課題を話をしています。

 先ほど、不正確であったのではないかとの意見がありましたが、正規の教員採用選考を経ずということについては、近年、正規採用の教員の年齢も上がってきております。非正規教員も、経験を踏まえて、正規の選考試験を受けて教員になっている現状もございます。そういう意味では、本人のモチベーションもあると思いますが、質的な維持をしていくことは非常に大事だと考えております。 以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございます。では兵馬委員、お願いいたします。

【兵馬委員】  全国特別支援学校長会の兵馬です。

 実際に私は東京都の採用に関わっているわけですけれども、なかなか募集人員に足りないということで、10人ぐらい1日に面接をしながら、ここまでは先生として非常に活躍できるだろうという方が上位数名のところで、それ以外の方は、要するに採用したい人数だけれども実際としての実力はどうか。そういう方が基本的、期限つきになってくる。

 ところが、現実的に、特に特別支援学校の場合、1学級の定数が6ないし高等部で8ですから、小・中学校のように、40人になって一クラスとなって、教員が一人増えるわけではなく、またその児童生徒数の確定がかなり遅い時期、2月、3月に就学のいろいろな判定を受けながら決まるということで、3月になってようやく学級が確定するときに教員が一人増えるといった場合には、正規職員では当然、配置ができないということで、こういう臨時の先生になるわけですけれども、申し訳ない言い方ですけれども、そうなると正規採用ではなかった、少し実力の落ちる方が期限つきで来るということで、実際上は期限つきで1年来た方が、また試験制度の中では特例があって、1次試験は免除になる。2次から受験ができる。それから、その自校での成績が次年度の正式採用に反映するということになると、自分の学校で1年間、学校現場では研修を積みながら、実績をあげてもらっている。ただ次年度、その先生を外して、また新しい先生を学校として採用するかということになると、非常に校長としてはなかなか判断に迷う。だったら、この先生をもう少し自分の学校で育て上げて、もう1年、次年度からは新規採用の研修、それから2、3、4年の若手の研修が始まりますので、長期的に見ると採用しようかということに考えが至ることもございます。

 先ほどの再任用もそうなのですが、再任用も大体が自校での採用を前提とするということですので、採用してしまってから人事異動、この先生はだんだん自分の学校では仕事がしづらくなっているであろうから他校へというのは、一般の職員であれば異動ができますけれども、再任用の先生についてなかなか異動を薦めることができない。要は、続けるか、やめるかという判断を学校長としては本人に迫ることもあろうということで、期限つきの先生も再任用の先生も、人事のことについては少し配慮がないと、なかなか動かすことができない事情もございますので、実質は専門性を持っていていただけると非常にありがたい部分もありますけれども、なかなかそういったところも課題がまだあるかと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。

 幾つかの非常に重要な点を御指摘いただきましたので、それらについては今後の議論に加えていきたいと思います。

 事務局からの説明、それに関する質疑は以上といたしまして、残った時間で自由討議を行いたいと思います。論点メモの3番目になりますが、まず事務局から資料の説明をお願いします。谷合企画官、よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  続けて失礼いたします。

 資料4、5、参考資料の御用意をお願いしたいと思います。

 今、主査からお話がございましたように、本日はこの資料4、論点メモの4ページでございますが、3、個別の教育課題に対応するための教職員配置の在り方について、どう考えるかといったところについて、御審議をお願いしたいと思っております。なお資料4については、前回までの各委員からの御発言を踏まえて、御意見を追加する形で修正しています。修正部分はアンダーラインが引いてございますので、説明は省略させていただきたいと思います。

 具体的には、別途新たに資料5を用意してございますので、資料5をごらんいただきたいと思っております。なお、今回は個別の教育課題ということで御審議をお願いしたのですけれども、これまで少人数学級について中心的に御審議をいただいております。少人数学級の推進につきましては、事務局でも今、別途、資料を準備させていただいているところでございますので、次回以降、改めて御審議いただく予定にしています。本日は、個別の教育課題について御意見を承りたいと思っております。

 資料5をごらんいただきたいと思います。この資料の構成あるいは内容のベースとなっておりますのは、昨年9月に本検討会議でおまとめいただいた、中間まとめでの御提言を骨格とさせていただきながら、その後、この検討会議の自由討議で出された御意見等も加味した形でつくっております。

 順を追って御説明したいと思います。個別の教育課題に対応するための教職員配置の改善のために、まず大きな一つ目の柱といたしまして、学習支援等が真に必要な児童生徒への手厚い支援としております。

 (1)学力定着に課題を抱える学校への支援でございます。家庭の経済状況の格差が学力に影響しているという御指摘もありますので、いわゆる学びのセーフティーネットの構築が必要であると考えています。このため、低学力層を多く抱える学校に対して、補充学習や少人数指導などを行うための人的支援を充実すべきではないか。とりわけ、学習内容が高度化する中学校への配慮が必要ではないかと考えています。またこうしたことについては、全国学力・学習状況調査の「きめ細かい調査」の分析により、効果を検証することが必要ではないかと考えております。

 (2)特別支援教育への対応でございます。通級による指導を受けている、発達障害など障害のある児童生徒が増加傾向にございますので、指導体制の充実が必要ではないか。また地域の小・中・高等学校への支援という観点から、特別支援学校からの専門的な助言・指導等の充実が必要である。こうしたことは、障害者基本法に規定された、可能な限りの「配慮」の実行にも資すると考えてございます。

 このため、特別支援教育支援員の活用も含め、通級による指導等の教職員体制の充実、あるいは特別支援学校におけるコーディネーターの配置の推進が必要ではないか。また今後、インクルーシブ教育システム構築に向けた多様な場の整備という観点から、特別支援教育支援員その他の専門家の活用が必要であると言われておりますので、今後の状況の推移も踏まえながら、教職員配置も含めた支援体制全体の在り方について、引き続き検討が必要ではないかと考えております。

 (3)生徒指導上の特別な配慮や日本語指導が必要な児童生徒に対する支援の充実であります。深刻な問題行動を起こす児童生徒、あるいは不登校の児童生徒に対する支援体制の充実とともに、日本語指導が必要な児童生徒への支援体制の充実も必要であります。このため、児童生徒支援加配による学校支援を引き続き推進するとともに、日本語指導が必要な児童生徒に対して、外国人児童生徒支援員の活用も含めた指導体制の充実が必要ではないか。

 2ページでございます。(4)は震災関連でございまして、文部科学省では既に教職員配置の支援を実施しているところでございますけれども、心のケアが必要な児童生徒に対する学習支援に引き続き取り組むとともに、被災を教訓として、先導的な防災教育を行う学校への支援も必要であると考えています。このために既に実施している加配措置を、引き続き適切に実施することが必要ではないか。また防災教育についても、先進的な研究の推進と成果の周知を行う学校への人的支援が必要ではないか。ここまでが大きな一つ目でございます。

 続いて二つ目の柱といたしまして、きめ細やかで質の高い指導の充実、学校の運営改善等についてでございます。

 まず、(1)小学校における専科指導の充実であります。中学校への円滑な接続、理科、外国語活動等における専門的指導の充実などの観点から、小学校、とりわけ高学年における専科指導の充実が必要であります。このため、小学校高学年において、兼務発令された中学校の理科、あるいは英語の教員による授業の実施や専科教員と学級担任など、複数の教員による指導に取り組む学校に対して、教職員体制の整備を支援すべきではないか。

 (2)地域連携による質の高い教育の充実であります。コミュニティ・スクールなど、学校が地域の協力を得て、質の高い教育を実現するためには、地域連携のコーディネート機能を強化することが必要であります。このため、コミュニティ・スクールなど、地域連携によって質の高い教育に取り組む学校において、先進的な研究を推進し、その成果を周知するための人的支援を推進すべきではないか。

 (3)学校運営の改善あるいは食育等の拠点的取り組みに対する支援でございます。学校が直面する内外のさまざまな課題に対して、組織として適切に対応するためには、学校の運営体制を一層強化することが必要であります。また、食育の問題あるいは子供たちの心身両面にわたる課題への対応も重要であります。このため、主幹教諭、栄養教諭・学校栄養職員、養護教諭については、拠点的取組を行う学校における、教職員体制の整備を推進すべきではないか。

 (4)小規模な学校における教育指導上の課題の解消であります。これについては、前回、検討会議でもヒアリングあるいは御審議をお願いした部分でございますが、小規模な学校におきましては、複式学級による指導でありますとか、やむを得ず免許外教科担任を配置するケースも見られるなど、教育指導上のさまざまな課題を抱えております。また現在、市町村合併を伴う学校統廃合については、教職員定数が急激に減少してしまうことを避けるための、激変緩和措置がなされておりますけれども、今後は市町村合併を伴わない学校統廃合に対しても、そういった措置を講じることが必要ではないかという論点もあります。こうしたことから、小規模学校の個別事情に即して、複式学級の解消等、適切な教職員配置改善を実施すべきではないか。

 最後、(5)教育の資質能力向上に対する支援であります。今後の教員に求められる資質能力は何かということを踏まえながら、その研修等を支援するための加配措置の在り方の検討が必要ではないか。このため、初任者研修の充実・高度化のための体制整備や大学との連携・協働を含めた研修内容の工夫・改善等を積極的に進める学校に対して、支援を行うべきではないか。また教員の修士レベル化に向けて、特に教職大学院への教員派遣を推進すべきではないかとしております。

 以上、早口で説明いたしましたが、こうした個別課題に対応するための配置改善として、事務局において、これまでの議論等を踏まえて整理をしてみました。なお参考資料でございますけれども、これは平成24年度、今年度の予算の資料でございまして、教職員配置に関しては参考資料にありますような措置を講じたところでございます。かなり今の説明と重複する部分が多くなっています。

 参考資料の最後のページ、4ページ目にございますのが、現在の義務教育諸学校における、いわゆる加配教職員の定数の状況でございます。こうしたものも参考にしていただきながら、御審議をお願いしたいと思います。説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 資料5は先ほど申し上げましたメモの3番目の課題になりますが、個別の教育課題に対応するための教職員配置改善についてでございます。資料5をごらんいただけばおわかりいただけますように、具体的な提案といいますか、方策が打ち出されております。資料5、並びに参考資料は特に御説明はございませんでしたが、あわせて御意見をいただきたいと思います。御質問でも結構でございます。よろしくお願いいたします。どうぞ、兵馬委員。

【兵馬委員】  全国特別支援学校長会の兵馬です。1の(2)は特別支援教育への対応で、大きく取り上げていただいてありがとうございます。初等中等教育分科会の中に、特別支援教育の在り方に関する特別委員会が開催され、6月8日に一応、会を閉じたということで、この中でいろいろ提言がなされておりますので、またこの会の中で、参考資料としてお出しいただければと思います。

 その中にも特に合理的配慮及び基礎的な環境整備を行う中で、基礎的環境整備は都道府県、国等が学校の設置であるとか、教職員の配置にも触れておりますので、この検討会の中でも、十分反映していただければと思います。あわせて実態調査、通常の学区における、配慮の必要な生徒を、平成14年度に一度調査をしましたが、もう一度調査をし直している。秋口にはある程度数字が出るとは聞いているのですが、その速報でも、もし手に入るようであれば、マル一つ目、通級指導によって増加傾向にあることの裏打ちができるのではないかと思っております。

 2ページの2の(3)の学校運営の改善ですけれども、この中に、矢印の後半に拠点的取組を行う学校という表現があるのですが、この拠点的な部分だけなのか、もしくは学校における課題といった表現でもいいのかと思うのですが、実は特別支援学校の場合は、小規模ではなくて、大規模な学校になってきている。子供の数が増えているとともに、教職員の数が増える。例えば大きい学校、東京の中では200人近い教職員がいる学校がある。六十何学級というのですか、そうなりますと、校長は1名で、管理職も3名ぐらいで、200人近い職員を管理監督する。主幹の数も一定数に限られているといった、学校による課題があろうかと思いますので、そういったことにもある程度対応できるとありがたいと思います。あわせて副校長の配置も現時点での定数上では、一定数の学級規模を想定しているかと思いますし、また児童生徒が増えますと、例えば特別支援学校ですと、就学奨励費等の事務作業等も増加してまいりますので、事務職員についての配置もまた考える必要があろうかと思います。あわせて医療的な対応が必要な場合に、教員だけではなくて外部の専門家、または看護師等の配置も考えられますので、この教職員という言葉の扱いが教員だけを想定するのか、学校における職員全体を考えるのかといった部分について、また整理が必要かと考えます。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 いずれにしても報告書の形にするときには、ほかの場所で同じような議論があれば、それは必ずこれに加えていくということになると思います。教職員等についても、今の御意見のように、きちんと定義したほうがいいのではないかと思います。ほかに。では門川委員。

【門川委員】  よくまとめていただいていると思うのですけれども、今のところと重なるところがあるのですが、特別支援教育の点では、医療的ケアが必要な支援は、京都市の実態でも支援学校が、看護師が8名、常勤が8名、非常勤が11名という状況になっています。最近は、担当の教員が必要な子供が一般の小・中学校に入りますので、そこにも3名配置しています。訓練を受けた養護教諭等が行えることになっていますけれども、なかなか現実は無理です。そうしたことについても、きちっと触れていただきたいと思います。

 もう一つは話が変わるのですけれども、小学校における専科指導の充実ですが、今年から中学校で柔道等が必須化されました。将来の日本にとって大きな、画期的なことだと思います。これからの日本人の生き方を考えたときに、柔道等が学校教育できちっと位置づけられている。これはすばらしいことだと思うのですけれども、一方で、やはり小学校における専科指導の充実で、理科、外国語活動等になって、今、小学校における芸術教育が大変な状況になっていると思います。今、これからの日本を考えたときに、芸術立国ということが非常に言われるのではないか。クールジャパンと言われています。日本はやはり独自のアイデンティティーを持って、今まで発達してきた。ところが、学校長に権限もできるだけ与えていますので、小学校でも中学校でも、英語、数学、理科、だから美術の先生を欲しいとか、音楽の先生というのは二の次になってしまう。

 例えばですけれども、京都みたいなところでも、教育大学等々ですばらしい書道の免許を持った教員が今のところ養成されていますけれども、就職がありません。なかなかない。これが現実です。ですから書道でやっていけない。あるいは芸術大学を出た学生さんが、ほとんど食べていけない。もう素人の姉さんみたいな人が、一番大事な小学生の、一番感性を育てるときに、片手間で教えているというのが日本の芸術教育の現状ではないでしょうか。ですから学力、学力と一生懸命と言っているから、しかし学力の根底は豊かな感性、芸術性を、一番感性の豊かな小学校のときに、中学校との一貫性も含めて育てなければならない。はっきり言うと、音楽とか美術、書道、そうしたものをきっちりと専門的な指導を受けた人が教えるということがなければ、将来の日本はどうなるのか、今、ソフトパワーということが言われていますけれども、そういうことに関心を持ってほしいと思いますので、理科とか外国語が欲しいという現場は、ほうっておいてもいますけれども、書道ができる先生が欲しいと言えない。もっと言えば、学力を一生懸命頑張っているところは、書道という授業でやりながら、他のことをやっているのが、ついこの間の実態でした。音楽も美術もどうでもいい。英語と数学さえできたらいい。こんな日本人を育てたら大変なことになっています。そのところをお願いします。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにどうぞ。清原委員。

【清原委員】  ありがとうございます。三鷹市長、清原です。資料5は、ほんとうに論点を明確にまとめていただいてありがとうございます。ポイントのみ5点申し上げます。

 1の(1)に学力定着に課題を抱える学校への支援(学びのセーフティーネット)としていただいたのは、公立学校における義務教育というものの趣旨から言って、非常に重要なポイントだと思うのですが、学力を定着という表現なのか、今の京都市長さんのお話を伺っていて、学力だけではなくて、社会力、人間力、そういったものを向上させることに課題を抱える学校について、「セーフティーネット」という表現で第一義的な役割を果たすということは、大変重要だと思います。この部分は2の(1)の小学校における専科指導の充実と関連しておりまして、やはりコミュニティ・スクールを経験しておりますと、小・中学校の教員の行ったり来たりや、相互の連携による、専科の強みなども出ておりますので、芸術も含め、スポーツも含めてですけれども、この部分と関連すると感じました。

 2点目、「特別支援教育への対応」については、これまでも御意見が出ましたが、私も特別支援教育の在り方に関する特別委員会の構成員でございましたので、今回、報告書の方向性をこの部分にも反映していただいて、ありがとうございます。特に、「特別支援教育コーディネーターの配置の推進」を明確に位置づけてくださいましたのは、意義あることだと思います。インクルーシブ教育システムに向かう過渡期においては、やはり今ある特別支援教育の学級であるとか、学校であるとか、あるいは関係機関の連携をコーディネートしていく人材は、ほんとうに重要だと考えます。

 3点目なのですが、2ページ目の2の「(2)地域連携による質の高い教育の充実」についてです。ここで「コミュニティ・スクール」を明記していただきました。三鷹市としては、コミュニティ・スクールを基盤とする小・中一貫教育を進める取組の中で、地域連携のコーディネーターがほんとうに活躍してくれました。しかもコミュニティ・スクール化することによって、先ほど申し上げました、学力の向上も図られてきましたし、地域との連携による幅広い分野での、子供たちの社会力、人間力が高まることにもなってきていると感じておりますので、ここで地域連携のコーディネーターの役割が重要で、これは恒常的なのか、過渡的なのかということで言えば、過渡期には特に必要だということを強調したいと思います。

 4点目は、2ページ目の2の「(4)小規模な学校における教育指導上の課題の解消」で、大変ありがたいことに、企画官は3ページのところで、「市町村合併を伴わない学校統合に対しても措置を講じることを検討する必要がある」と、明記されました。私は都市の市長でございまして、都市の中でもまだ合併を必要としない地域の市長でございますけれども、都市部においても、やはり学校の統合はかなり現実的な課題になっています。そんなときに、本当に子供たち本位の取り組みをしていくという、この趣旨は、大事だと思います。

 最後に5点目、「教員の資質能力向上に対する支援」です。このことにつきましても、中央教育審議会の初等中等教育部会の中の、教員の資質能力向上特別部会の取りまとめが、まもなくなされると思います。この中で、教員の修士レベル化という方向性が示される予定でございますが、この最後の部分の、「教職大学院への教員派遣を推進」するということは、表現は悪いのですが、「派遣された教員が欠けた部分をどう補っていくか」という、これを「加配」の中で必ず保証していくことになります。平成24年度については、参考資料で示していただいたように、かなり幅広い加配教職員定数についての取り組みを、文部科学省では、してくださっています。その中に将来的には、教員の修士レベル化に伴う加配も当然、項目の中に入ってくることになりますので、これは国で保証していく上では、局長に頑張っていただいて、財務省にこのような方向性をしっかり交渉していただければありがたいと思います。

 いずれにしましても、教員の資質能力向上については、初任者研修の充実は教員養成大学への支援も必要でしょうし、採用した地方公共団体において、いかにこれを現実化していくというときには、やはり「加配を含めた国の財政確保が不可欠」でございます。個別の教育課題に対応するための教職員配置改善については、一方で研修の改革ということで、増やし過ぎないようにスリム化して、教員の負担感を減らす一方で、充実した質の向上に向けた、教員の修士レベル化への加配など、バランスというのでしょうか、そういうことを検討していくことが説得力ある取り組みになるのではないかと感じます。

 以上でございます。ありがとうございました。

【木村主査】  どうぞ。土居委員。

【土居委員】  非常にうまく論点をまとめていただいたと思います。これらが願わくば同時に達成されるとよいのかもしれませんが、さまざまな制約がある中で、あえて私が申し上げたいことは、今の予算の範囲内でもできることが、この中でどれで、新たな財政措置が必要なものはどれかを、もう少しわかるように整理されるとさらによくなるのではないかということと、新たな財政措置を講じる必要があるとなった場合には、やはり優先順位といいましょうか、この中でも、これは最優先で積極的に取り組むべきことであるということなのか、ないしはそうでないのかという、濃淡といいましょうか、それは当然のことながら、現場の御要望等々を含めて考慮される必要があると思いますけれども、そういう優先順位についての検討は、さらに必要になってくるのではないかと思いました。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかに。では、どうぞ井上委員。

【井上委員】  ただいまの御意見とも関連するのですが、確かに、こういう個別の教育課題に対する教職員配置改善の加配についての、いろいろな必要性は、従来からもかなり文部科学省で配慮していただいて、参考資料の4ページの加配教職員定数についての、それぞれの加配事項を見て、その内容と、今、それぞれに対応するための教職員配置の改善のところで、やはり項目としては、今、土居委員もおっしゃったように、かなりそういう中に含まれる事項もあるのではないか。

 だから、そういう点はやはり整理をして、その中で特に今の学校の現場から言って、どういうことが必要性が高まったから、そういう点について加配を重点的にすべきだとか、そういう整理をしていく必要があるのではないか。だから、すべてが新規事項ということではなくて、従来の加配されている教職員配置について、現状から言って、個別の教育課題でクローズアップされている課題について、重点的に加配をさらに必要があるとしていかないと、従来の加配措置の中でこなせるのではないか。あるいはスクラップ・アンド・ビルドというか、従来の加配措置の中で役割を果たしているのではないかという指摘が、財政当局から当然出てくると思うので、その辺の精査をして、やはり今後、来年度要求の際には十分検討していく必要があるのではないかと感じましたので。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ、小澤委員。

【小澤委員】  まず資料5についてなのですけれども、学習指導要領の、いわゆる編成趣旨についての、対応事項はこの中にあるのでしょうか。

 理数教育は確かにあります。本会の議論の中で、非常に私は奇異に感じているのは、国の基本的な学習活動、学校の教育目標のテーゼである学習指導要領について、非常に論議が少ないと思っています。

 例えば言語活動の充実にかかわって、これは編成趣旨の中の第1項目目に、1項目目、2項目目は関係ないかもしれませんけれども、学校図書館に配置される図書館司書、司書教諭で兼務発令をしますけれども、実際には学級担任を持っていて、あるいはほかの校務分掌を持っていて運用できないわけです。発令はするけれども、実際の仕事はほかの仕事と兼務ですから、なかなか図書館司書のような機能的な、言語活動をより重視するような働きができない。こういう部分についての取り組み内容は見られないのです。ぜひ、学習指導要領の趣旨についての対応措置について、ご検討いただければと思っていますし、全国の小学校校長は、要するに国の学習指導要領に向かって教育活動を進めているわけでありまして、そのバックボーンを失うことは極めて大きなことだと思っております。

 2点目です。特別支援教育にかかわることですけれども、今、全国の小学校で起こっていることは、いわゆる通常学級に入っている、配慮を要する児童の増加だと思います。これはデータとしてこれから出てくるのだと思っていますけれども、この対応措置は国でやっているわけではないです。地教委、区市町村教育委員会が、主体的にその職務権限の中で人的配置をしてやっているわけです。そうすると区市町村の地教委の、いわゆる財政規模によって、人的配置等がばらばらな状態が出ておりまして、これがやはり義務教育の現場において、特別支援教育の通常学級における推進、大きな課題になっておりますし、学級一つを運営する上でも、学級担任に係るいろいろな課題について、なかなか解消し切れないという実態があるのではないでしょうか。その辺の実態が非常に浮き彫りになっていないと思います。それは、都道府県教育委員会からさらにスルーした、市区町村教育委員会のレベルだからと思っております。

 質問と意見を取りまとめてお話ししたいと思います。先ほどお話がありましたけれども、加配教職員定数の、今日の参考資料の中の4ページ目にございますけれども、例えば指導方法工夫改善から始まって、こういう細項目の加配教職員の定数の加配措置をこれまでいただいているわけですけれども、これは学校現場として大変ありがたいし、機能的に運用しているのだと思います。

 しかしながら実は学校現場で、加配教職員定数を希望するのは前年度に希望するのであって、前年度の中盤に希望する。その後に子供の入学、あるいは子供の転入等の状況が変化する。教職員の異動は3月の最終盤になるわけであって、なかなか計画の段階と実際の運用の段階と、非常に固定された指導加配工夫改善とか児童支援とか、この中で運用するとなると、どういうのですか、児童の実態、教職員の実態から無理が生じる場合があるのです。この辺をもう少し、細項目ではなくて、校長の職務権限の中で、あるいは地教委の職務権限の中で、もっと柔軟に運用できる方法はないのか思っております。

 質問でございます。義務教育費の国庫負担金、先ほどの正規教員の任用ともかかわるのですけれども、国の負担率が2分の1から3分の1になった。当然、このことについて都道府県の財政当局は、財政の措置を講じてから、これを受け入れることになると思うのですけれども、全国の都道府県の中で、この国庫負担金を受け入れていない都道府県はあるのですか。その辺のデータがあったら、お聞かせ願いたいと思います。以上でございます。

【木村主査】  では、伯井課長お願いします。

【伯井課長】  総括的にお答えいたします。今日は、個別の教育課題に対応するための教職員配置改善ということでございますので、指導要領への対応とか、新たな学びへの対応ということ、むしろ学級規模をどう適正化していくかという、これまで御議論いただいている議論を、また次回以降、整理してお示しできればと思っております。

 財政措置との関係あるいはスクラップ・アンド・ビルドなども念頭に置きながらということでございますし、またここでの課題を単年度にすべてこなすというのは、非常に難しいことでございますので、次回以降、計画的な教職員定数改善という、ある程度スパンを、長期までいかないと思うのですけれども、中期的な感じで計画的に教職員定数改善を考えていく中で、どこに優先順位を置けばいいのかという位置づけでの議論、その場合、財源をどう考えるかということも視野に入れた議論を、次回以降お願いしたいと思っております。

 最後の国庫負担金でございますけれども、国庫負担金3分の1と、残る3分の2を地方交付税の地方財政措置で財源手当てをしておりまして、その3分の2の地方交付税交付金が交付されていない都道府県は東京都でございますので、残りの県は、地方交付税措置が基準財政需要額と収入額との差額を交付する仕組みですので、それぞれの県に3分の2がそのまま行っているというわけではないのですけれども、仕組みとしては全額、国費で見られるような仕組みになっておって、その中で都道府県の財政状況、収支の状況に応じて、少し差はある。こういう仕組みでございます。

【木村主査】  小澤委員、よろしゅうございますか。藤崎委員、どうぞ。

【藤崎委員】  今日改めて、国の中にこれだけ臨任教員のばらつきがあることを再認識しまして、改めて国が主体となって、この教職員定数改善に取り組んでいかなければと思いました。

 資料5の案について大変よくまとめていただきまして、私が主に感じた点は、これが横断的に考えられたら、さらによいものになるのではないかということです。

 まず1番目の低学力層の子供たちに対する支援なのですが、藤沢市では、中学校からの要望も非常に強くありまして、放課後に学習指導員を置いて、各学校の状況に合わせて、子供たちの補習をやっております。ところが子供たちが勉強した後に、学習指導員と担任との連携あるいは情報交換を、なかなかとることができなくて、この学習指導員も懸命にはやっているけれども、学校の中の子供の学習意欲を増すことにつながらない一面もあります。やはり子供たちが頑張りたいという思う気持ちは、教科担任あるいは学級担任がきちんとその子を見てくれているかどうかというのが、非常に大きく影響することを感じております。

 さらに、やはり小学校のころからの低学力が引き続き、中学校に行っているわけで、中学校で逆に取り返せない部分もあったりもします。これは子供の能力というよりは、子供のやる気、またこの背景には生活保護、準保護を受けた子供たちが、やはり小学校の間に先生にやはり細やかに配慮してもらえなかった、かわいがってもらえなかったような部分も多大にあると思いますので、実は学力向上には先生と子供の人間関係をいかに築いていくかということが、非常に大きな力になるのではないかと思います。

 さらに若者の生活保護が増えている。うつ病という診断をもらって、生活保護で暮らしていけばいいのだという、ほんとうに一部の若者ですが、こういった若者もやはり学校時代に、もう少し先生との関係、あるいは先生に励まされた経験があれば、違った人生になっていったのではないかと非常に感じるわけです。

 全国学力調査ですが、今、一部抜粋になっていますが、私としてはすみません、ぜひ悉皆調査をやっていただいて、改めて全国の子供たちの学力を分析していっていただきたいと思います。この横断的に考えるということなのですが、これが私が考えている学級担任の力です。

 次に特別支援教育への対応ということで、先ほども普通学級内での特別支援教育の充実についてのご意見がありましたが、まさにそのとおりで、例えば、統計はありませんが私自身の感触として、今の不登校のうちの、少なくとも3割は、背景に発達障害的な問題を抱えている子供が見られるのではないか。またその子供の背景を考えますと、母子・父子家庭、あるいは生活保護を受けているなど、経済的な環境の要因もあった結果か。非常に判断は微妙で難しいところなのですけれども、とにかくこういったことで学級が崩壊していって、学校の運営もうまくいかなくなる。そのときに問われるのが、教師の学級経営力ではないかと思っています。

 続きまして、次のページの小学校における専科指導の充実なのですが、こちらも先ほど学習指導要領の話が出ましたが、現場の先生方の話を聞いていますと、気持ちの上での負担がとても多くて、新学習指導要領の改訂によって、大変になるからこれはできないとか、こういった行事もやめましょうだとか、子供にとって特に貴重な課外学習、学校を出ての学習機会なども、どんどんやめていくような傾向にあります。また体育、音楽、美術の授業においても、例えば美術の作品を見ても、すばらしい指導をされていると思うのと、短時間で美術を簡単に済ませてしまっているというような、そこでやはり子供のいろいろな才能を伸ばしてあげる機会が奪われているのではないかということを感じています。

 余談になりますが、体育、柔道に関して、藤沢市では以前から女子にも柔道を授業で導入しておりまして、女子に非常に柔道の授業が人気だそうです。もしご関心のある方は、ぜひ視察にいらしていただければと思います。

 この小学校における専科指導の充実イコール、実は学校運営体制の充実でありまして、校長のもと、非常に学校運営がうまくいっているところは、得意な教科を教師がお互いに教え合うという、教科専任制に似たような運営を行っているところもありますが、それも学校によって格差が非常に大きいのではないかと思います。また、コミュニティ・スクールに関しても、学級経営がうまくいって、しかも学校運営が非常にうまくいっていて、先生方が仲のよい学校は、地域との連携もスムーズにいくのですが、そういった、まず1番もとになる学級経営、同士の情報交換などもなされないところは、なかなか地域のいろいろな教育の財産なども生かせていないということを、藤沢市内を見ていても感じます。

 また、次に食育等というのも書いてありますが、すみません、しつこくなりますが、これも学級経営がうまくいった上で、食育、家庭の食事が非常によくない状態の保護者への指導なども、やはり学校の中での教育が充実してこそ、保護者に働きかけていけるという面があるのではないかと感じています。

 もう一つ、最後の意見なのですが、初任者研修の充実・高度化のための体制の整備や、大学との連携・協働ということなのですが、大学に今、その余力があるのかということ、現場ではやはり経験、学校現場で指導する上での教員の質が高度化していくことが求められていますが、大学との連携の中では、ややもすれば学部レベルのもとに戻ってしまった教育しか見込めない場合もあるのではないかと思うことを、非常に危惧しています。

 例としては秋田などは、授業の名人と言われる先生方のもと、複数の学校の教員が相互に交流して、自分たちの教師として技術を高めている事例を、以前見せていただきました。藤沢市を見ていましても、実は大学との連携もそれほど進んでおりません。地元に大学がたくさんありまして、環境的には恵まれているのですけれども、今は退職校長たちの指導によって、いろいろな指導がなされているのですが、今、現場で活躍している授業の名人の先生方の技術をいかに伝達していくかということも、非常に大事な課題ではないかと思いました。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ、新庄委員。

【新庄委員】  資料5について、意見、感想をお話しさせていただきます。2番の特別支援教育への対応につきましては、先ほど小学校の小澤委員からもありましたが、中学校でも同様です。

 小学校に比べて、人数的には少ないかとは思いますが、やはり特別な配慮を必要とする生徒が、通常学級に在籍しています。区市町村の地教委による人的な措置を行っていただきながら、子供たちの学習を支えてもらってはいますが、やはり学級担任にかかってくる負担は非常に大きいものがありますので、支援体制の充実は非常に望まれることだと思います。

 3番目の生活指導上の特別な配慮と日本語指導のところで、特に日本語指導についてです。地域性はあるかもしれませんが、日本語以外の言語を母国語としている生徒が在籍しています。母国語も多言多岐にわたっています。その支援体制や、日本語指導を行う財政的な措置、人的措置も各地教委等によっています。日常会話ができるまでということで、指導してもらいますが、日常会話ができる程度では、なかなか授業を理解していくことが難しいです。英語の教員や、英語ができる者が、家庭との連絡を行ったり、その子供の生活指導上の配慮をしていったりしますので、そこに対する教職員体制の充実も含めた日本語指導の人的な措置の充実は、必要であると考えております。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ。門川委員。

【門川委員】  既に触れられていることなのですけれども、3ページに、市町村合併を伴わない学校統合についても、措置を講じることを検討することが必要と書かれていますけれども、ここにつけ加えていただくなら、このことが将来の教職員定数の効率化に大きく寄与する。

 京都市は学校統合、住民との議論を重ねて66の小・中学校を16校に統合を進めてきました。この4月に三つの小学校を一つに統合したら、56人の先生が31人になりました。これだけで25人減るわけです。ところが、国と府県に教職員の人件費をもっていただいておりますので、インセンティブが何もないのです。統合のために60億ぐらいの校舎を建てました。狭いところですから効率的に建てなければならないということで、地下をやりました。この補助金も2分の1ですけれども、実質10分の1ぐらいです。教育委員会で統合を担当している職員は10人ぐらいのスタッフでやっています。210校を超えていた小学校は170校になりました。中学校も十数校減りました。これで500人ぐらいの教職員定数は減っていると思います。これに対する何のインセンティブもない。逆にものすごい持ち出しなのです。

 ですから、これを逆に地元の説得力に使っているのです。学校を統廃合して、京都市教育委員会は効率化して、リストラしてやっているのではないのです、徹底的に子供のためにやっているのですと言っているのですけれども、これにインセンティブが一切かからないということでは、全国ほとんど取り組まれないと思います。僭越な言い方で悪いですけれども。ですから子供の教育もよくなり、地域の教育的関心も高まり、同時に少人数で学んでいるより、効率的な教職員の定数措置ができる。これから少子化していく。とりわけ都市部で少子化していく。100人ぐらいの子供の学校を5校統合した例が京都で3つあります。そこがものすごいいい学校になっている。それに対する、何のインセンティブも働かない。この制度構築を、ぜひとも今するべきだと思うのです。

 文部科学省では、かつて町村合併等で統合が強引に進められたために、慎重にしなさいという通達が出たことがあったりして、生徒一人でも学校がある、これは美談のように言われています。子供にとって決して美談ではありません。集団の場ですから、そういうこともはっきりと示していっていただきたいと思うのですけれども、そこまでできなかったら、せめて学校統合に対してきっちりとした措置をとる。また、教育委員会の何かいろいろな体制、例えば中高一貫校をつくるときに、全国で研究会をつくりなさいとかいうことをされて、いろいろな財政措置も文部省がされたこともありますけれども、それぐらいのことをされてもいいのではないかと思うのですけれども、子供が4割減っているのに先生が十何%しか減っていないかということに、大いに関係していると思います。地元のコンセンサスなしに、強引にしなさいと言っているのではない。丁寧に話しながら、今の住民、保護者は理解されると思いますので、それを促進するような制度をつくっていただきたい。ぜひともお願いしたいと思っています。

【木村主査】  ありがとうございました。

 大体御意見も出尽くしたようなので、以上とさせていただきたいと思いますが、二つほど私の方からコメントさせていただきます。

 さきほど、門川委員がおっしゃった芸術については、案外、日本では気がついていない人が多いのです。私は、はっきりとは認識していませんでした。フルブライト・メモリアル・ファンドという基金で、アメリカの小中高の先生方が11年間にわたって、6,400人来られました。春に200人、秋に200人が2チーム、合計で32チーム来ましたので、総計6,400人です。3週間日本にいていただいて、各地方へ散っていただき、自分の学校と訪問先の学校との連携を図ることが最大の目的です。このプロジェクトでかなり親密な関係になった学校もたくさんあります。その先生方32チームにキーノートプレゼンテーションを1時間半やりました。日本の教育のいろいろな問題点等について話したのですが、初中教育に関し、日本のほうがアメリカよりもはるかにすぐれているという印象を強くうけました。ティーチャーバッシングなどの問題はありますが、アメリカの先生方に比べたら、日本の先生方ははるかに社会的地位が高いということをアメリカの先生方は口をそろえて言っていました。

 彼らと話して私が驚いたのことの一つは、どうして日本ではこんなに芸術教育がうまくいくのだと、そういうことを非常にたくさんの先生がおっしゃっていたことです。私は目からうろこが落ちたような気がしました。こんな小さな東洋の端の島国から世界一流の芸術家がどんどん出ています。私はこれは多分、初中教育における芸術教育が機能してきたからではないかと思います。その意味では、私も門川委員と同じような意見を持っています。財政が逼迫していますから、芸術教育が軽視され、どうしても主要教科に重点が行ってしまいます。

 英国でも、今やっているかどうかわかりませんけれども、プライマリースクールリーグといって、全ての小学校について、サンプリングで採集した子供たちに同じ問題をやらせて、その結果を、発表するということをやっていました。問題は易しいので、全員が満点を取る学校もたくさんあるのですが、格差がすごくて、平均点が40点ぐらいしかない学校もある。そすると当然、保護者が文句を言うことになります。試験の問題は、主要教科から出されますので、文句を言われた校長が、わかった、それなら歴史の授業などやめる、それでいいかというようなことを保護者にぶつけるということが一時頻発しました。このように主要教科以外の科目は切られる恐れがあるというのは日本だけではないようです。その辺をどう調整していくかということは非常に大切だと思います。

 もう一つ、修士レベルの問題です。日本のやり方では教職大学院をつくると、どうしてもクラスティーチングが主体になるので、先生も要れば教室も要るということになります。英国はそれはやらずに、メンターがついて、何人かをクラスルームでの指導をやりながら面倒を見て、指導するという方法を採っています。スクリーニングについては夏休みに集中的にやっていると聞きました。先生方が大学院に行ってしまうと、そこは空席になってしまい、先生の数が足りなくなりますので、何か日本もそういう工夫をするといいのではないかと思います。英国のシステムではそうたくさん修士の学生は出せません、その問題は確かにあるのですが、それでも英国はかなりの数のドクターを出していますので、そんな工夫もできるのではないかと思います。ではよろしゅうございましょうか。

 本日は大変、有意義な議論ができたのではないかと思います。

 事務局、伯井課長、何かコメントはありますか。

【伯井課長】  はい。

【木村主査】  それでは議論は以上といたしまして、今後の日程について、谷合企画官、よろしくお願いします。

【谷合企画官】  本日は大変活発な御審議をいただきまして、ありがとうございました。次回の第15回につきましては、7月に開催予定でございまして、現在、日程調整中でございます。今後の定数改善について、残された論点について、さらに御審議を深めていただきたいと思っております。また日時、場所が決まりましたら御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【木村主査】  本日はどうもありがとうございました。

 

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