公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第9回) 議事録

1.日時

平成24年2月20日(月曜日) 14時~15時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議事録

【木村主査】  それでは、時間でございますので、ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会、第9回を開催させていただきます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 この検討会議では、昨年の928日に中間取りまとめを行いました。しばらくお休みをしておりましたが、このたび、平成24年度政府予算案の決定などを踏まえまして、今後の少人数学級の推進のあり方、あるいは個別の課題に対応するための教職員定数のあり方について引き続き検討する必要が生じましたので、会議を再開させていただくことにいたしました。

 本日は、お忙しい中、森副大臣に御出席いただいておりますので、まず、ごあいさつを賜りたいと存じます。森副大臣、よろしくお願いいたします。

【森副大臣】  皆様、こんにちは。本検討会議の再開に当たりまして、一言、ごあいさつを申し上げたいと思います。

 委員の皆様におかれましては、昨年6月の本検討会議の設置以来、今後の少人数学級の推進や教職員定数のあり方について、これまで8回の会議において精力的にヒアリングを行いながら、大変熱心に御議論をいただきましたことに深く感謝を申し上げます。

 昨年、928日には、木村主査から中間取りまとめの報告書を御提出いただきました。その際、木村主査から、少人数学級の検証の中でこれまでさまざまな調査を行ってきたが、子供が学校に行くのを楽しみにしているという回答が鮮明に出てきたのは初めてだという話を伺いまして、私も大変感銘を受けたところでございます。

 この中間取りまとめを受けまして、文部科学省といたしましては、昨年の小学校1年生に引き続いて、切れ目なく小学校2年生の35人以下学級を制度化するための4,100人のほか、学校現場のニーズにこたえるための加配も含めまして、合計7,000人の定数改善を概算要求いたしました。予算編成過程では、中川前大臣のもと、私自身も先頭に立って政府・与党による会議でのヒアリングに対応するなど、全国の学校現場の先生方や保護者の皆様の思いを受けとめまして、懸命に少人数学級の推進など教職員定数の改善の必要性をアピールいたしました。

 その結果、今回の予算編成では、政府として、東日本大震災からの復興に最優先で取り組むという非常に厳しい財政状況の中ではありましたが、子供たちの教育環境の充実に向けて3,800人の必要な定数改善を確保することができました。小学校2年生の35人以下学級につきましては、今回は法改正による制度化ではなく、小学校2年生の36人以上学級を解消するために必要な加配定数の増、これは900人でございますけれども、これにより対応することとなりましたが、小学校の専科指導や特別支援教育の充実のための加配1,900人や東日本大震災への対応のための加配1,000人については、要求どおり確保することができました。

 今回の措置によりまして、平成22年度からの3年間で1万人を超える定数改善となりました。厳しい財政状況ではございますけれども、教職員の数の充実による子供たちの教育環境の充実が着実に進んでいると考えております。

 しかし、今後の少人数学級のあり方などにつきましては、さらに検討が必要であります。財務省との間でも教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うこと等について検討し、必要な措置を講じることを盛り込みました合意文書を取り交わしております。

 こうした経緯を踏まえまして、今後の少人数学級の推進や個別の課題に対応するための教職員定数のあり方について、文部科学省として再び検討をスタートするため、本日、委員の皆様にお集まりをいただきました。検討会議におきましては、まず、少人数学級などの教職員配置改善の取組に関しまして、各都道府県の取組の効果検証のさらなる把握・分析や、国による定数改善の効果の分析などについても御検討をいただきたいと思っているところでございます。

 また、子供たちに質の高い学びを提供するために、学校現場で最適な教職員配置ができるようにする仕組みや、インクルーシブ教育や小規模学校における教育、また、震災復興などの課題に対応するための教職員配置のあり方などについて御議論をいただきたいと思います。そして、今後に向けた計画的な教職員定数改善の必要性や具体的なあり方について御議論をいただきたいと思います。

 子供たちに対するきめ細かな教育を実現するため、その一つの象徴として、これまで小学校1年生、小学校2年生等、少人数学級の推進に取り組んできておりますけれども、このほか、学校現場におきましては、ITを活用した授業など、場面に応じて少人数指導やティームティーチングにも取り組まれております。

 教科指導だけではなく、学力の前提となるような防災教育や生活指導なども含めて、これを学校が担っているという現実を踏まえまして、できるだけ学校の自立性・主体性を生かし、学校現場の声を反映した教職員配置を実現するためにはどのようにすればよいのか、さまざまな観点から幅広い御意見をちょうだいしたいと思っております。

 最後になりますけれども、今、我が国は東日本大震災という未曾有の国難に直面し、また、円高の長期化など大変厳しい財政状況にございます。この困難を乗り越えて、我が国が再び世界をリードする、再生していくためには、教育の充実、特に学級規模や教職員配置の適正化を通しまして、子供たち一人一人に対してきめ細やかで質の高い教育を行っていくための充実、基盤の確保というものが大切であると、このように考えております。皆様方の積極的なご議論をお願い申し上げまして、検討会議の再開に当たりましてごあいさつとさせていただきます。先生方、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【木村主査】  森副大臣、どうもありがとうございました。

 次に、1月に文部科学省のほうでも大きな人事異動がございましたので、事務局から簡単に御紹介を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

【谷合企画官】  失礼します。谷合から御紹介をいたします。

 16日付で省内の人事異動等がございました。お名前を御紹介いたします。

 森口事務次官です。

【森口事務次官】  森口でございます。よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  徳久政策評価審議官でございます。

【徳久審議官】  徳久でございます。よろしくお願いします。

【谷合企画官】  関大臣官房審議官(初等中等教育局担当)でございます。

【関審議官】  関でございます。よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  吉田国立教育政策研究所次長でございます。

【吉田次長】  吉田でございます。よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  なお、本日、所用のため欠席あるいは到着が遅れておりますが、このほか、同じく16日付で山中文部科学審議官、前川官房長、布村初等中等教育局長が着任をしております。

 以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、先ほど森副大臣から何点か御説明がございましたが、検討会議再開に当たっての検討事項等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【伯井課長】  それでは、説明いたします。

 検討会議の検討事項の説明の前に資料の2をごらんいただきまして、これまでの経緯について簡単におさらいをさせていただきます。

 先ほど森副大臣からもお話がございましたが、去年の9月に本検討会議としての中間取りまとめをまとめていただきました。そこでは各地の取組から少人数学級が効果を発揮するプロセスを整理していただきまして、効果検証を一定程度行っていただいたわけでございます。それを踏まえまして、速やかに取り組むべき方策として、まずは小235人以下学級の実施を最優先に取り組むべきであるということ。それから、学習支援が真に必要な子供への支援、あるいは質の高い指導の充実、震災復興など、現場のニーズの高い加配措置の充実もあわせて行うべきであるという御提言をいただいたわけでございます。そして、中間取りまとめとしての提言とともに、本日、お配りしております中間とりまとめの151ページの概要のあたりにございますが、さらに今後引き続き検討していくべき事項として、計画的な教職員定数改善の具体的なあり方など、今後の課題として幾つか御提示をいただいたわけでございます。

 その後、まずは概算要求を文部科学省として提出いたしまして、この中間取りまとめを受けた形で、小学校2年生につきましては35人以下学級を実施・制度化するために必要な4,100人の定数改善、その他、中学校での学習支援、小学校専科指導、通級指導等々、震災復興も含めまして、合計7,000人の定数改善を概算要求したわけでございます。うち、震災復興加配の1,000人を除く6,000人の定数改善にかかる予算を日本再生重点化措置枠、いわゆる新首相枠で要求・要望をし、財政当局と必要な折衝を行ってきたわけでございますが、その中で129日の予算編成に関する政府・与党会議、2ページ目にもその中身をつけておりますが、そこにおきまして、本件につきましては残念ながら優先・重点事業ではなくて、それに準じるものとして取り扱うということとされるとともに、小235人以下学級について、学力等への政策効果を全国レベルで検証した上で検討すべきであり、それまでの間は、地方での進展や公務員人件費改革を十分踏まえ、地方の自主的な取組を支援するという対処方針が示されたわけでございます。全国レベルで検証していくということ、あるいは地方で小2につきましては92%が35人以下学級で既に学んでいるという状況などを踏まえて、地方の自主的な取組を支援していくというやり方がいいのではないかという方針が示されました。

 それを受けまして、政府といたしましては、24年度予算案の決定に当たりまして、当初、制度化による4,100人の小2の定数改善を考えておりましたが、そこについては実をとるという形で900人の措置を行うということを含め、合計3,800人の定数改善を行うということを予算案に盛り込んだわけでございます。

 資料24ページに具体的な内容を記しております。24年度義務教育費国庫負担金予算案でございますけれども、定数増する3,800人の内訳といたしまして、まず1番目に小235人以下学級への対応で900人。これは全国にあります36人以上学級を解消するための必要な人員ということで、それに対応した加配定数を増するという考え方であります。2番目と3番目は概算要求どおり、満額認められたわけでございますけれども、中学校の学習支援、特別支援教育、小学校専科指導など、さまざまな課題に対応するための加配定数として1,900人、震災復興加配として1,000人ということで、合計3,800人の増が予算案に盛り込まれたということでございます。

 それとともに、今後の定数改善につきまして、1224日の閣議決定の日に、財務・文部科学両省で文書により合意を行いました。4ページの下にございます。読み上げますと、今後の少人数学級の推進や個別の課題に対応するための教職員定数について、効果検証を行いつつ、学校教育の状況や国・地方の財政状況等を勘案し、教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うことその他の方策を引き続き検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じると。計画的にという文言も入っておりますが、こうした合意文書を両省の間で取り交わしたわけでございます。

 それらを受けまして、本会議におきましては、この中間取りまとめにおける引き続きの課題の要請と、政府・与党会議で言われたような効果検証であるとか、そういったことの要請、さらには両省合意で言われております教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うこと、こうした三つの点での要請を受けまして、再び検討会議として再開をし、必要な事項を検討していただこうと思っているところでございます。

 それが資料1の検討会議再開に当たっての検討事項等についてということで、もちろんこれに限られるわけではございませんが、今のような経緯を踏まえまして、事務局のほうで検討事項をまとめさせていただいたのがこちらの資料でございます。

 1点目が、少人数学級など教職員配置改善の効果検証についてということで、最初は各県の取組の効果検証の把握・分析。先行実施している県における把握・分析やアンケートによる調査もさらに行っていこうと検討しているところでございます。それから先ほど森副大臣からも3年間で13,000人の定数改善が図られているという話がございますので、最近の国による定数改善がどのように教員の採用・人事面であるとか、あるいは具体的な指導形態の面に効果をもたらしているのかといったこと。それを効果検証して良い影響が出ているのであれば、さらに続けていこうとなりますので、そうした直近のデータによる効果分析を行う必要がございます。さらには25年度調査からきめ細やかな調査を実施するということを踏まえ、全国学力・学習状況調査による効果検証のあり方につきましても、この会議の観点から改善支援をどのように行っていくかなど、御議論をいただければということでございます。

 2点目は、質の高い学びのための効果的な教職員配置改善についてでございます。ICTの活用であるとか、あるいは双方向の協働型の学習であるとか、あるいは言語活用能力の育成とか、新しい学びに対応するために教職員配置をどのようにしていけばいいのかというのを改めて整理していただこうと思っております。それから、これも先ほどの森副大臣の説明にもございましたとおり、より学校現場の意向を最大限に反映した自主的・自律的な教職員配置、学級編制のシステムということについて、23年の義務標準法改正によりまして、昨年の4月から大幅な制度改正を行いました。現場の意向が反映できる学級編制という制度改正を行ったわけでございますので、そうした点をさらに伸ばしていくためにはどういうシステムがいいだろうかなど、御議論いただければということでございます。

 3点目といたしまして、教職員配置上の重要課題への対応ということで、これはこの会議においても引き続きの検討課題とされたわけでございますけれども、インクルーシブ教育システムの構築に向けての教職員配置のあり方、複式の問題などを抱える小規模学校における教職員配置のあり方、その他震災復興、学校マネジメント体制、教員研修、食育等、さまざまな課題に対応するための教職員配置のあり方について御検討いただこうということでございます。

 4番目の項目といたしまして、これが実は一番、非常に大きな課題でございますが、計画的な教職員定数改善のあり方についてでございます。まずは計画定数改善の必要性を改めて整理していただき、そのことと計画的な採用・人事に資する基礎定数の充実、あるいは40人学級の完成時と比較いたしまして、今日、全体の教職員定数の1割近くになろうとしている加配措置の充実・運用のあり方について。それから、公務員人件費抑制が求められる財政状況下での計画改善の進め方について。そして、ちょっと切り口を変えまして、地方で少人数学級が大幅に進んでいることを鑑み、その取組の進展を踏まえた計画改善の具体的なあり方をどうすればいいのかなどにつきまして御議論をいただければということで、検討事項を整理したものでございます。

 以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ここで、森副大臣は公務のために中座されます。どうもありがとうございました。

(森副大臣退席)

【木村主査】  では、谷合企画官、よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  それでは、引き続きまして、私から資料の説明を15分ほどさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、お手元に右肩に参考資料、事務連絡、平成2428日となっている調査の資料がございます。こちらは、本検討会議での審議に資する資料を得るということを目的といたしまして、去る28日付で各都道府県あて発出した調査でございます。

 簡単に内容を紹介したいと思います。1枚めくっていただいて2ページでございます。ローマ数字の1、少人数学級、少人数指導に関する取組状況につきましては、それぞれ現状について各都道府県から回答を求めてございます。

 3ページ目に行きまして、4では少人数学級の効果検証、5では、いわゆるICT活用など、授業改善の進展状況について調査をしております。

 大きなローマ数字2では、昨年の法改正によりまして、先ほど御説明がありましたけれども、学級編制についての市町村教育委員会の裁量が拡大されたことによっての影響について尋ねております。

 資料4ページでございますけれども、ローマ数字3では、今後の計画のあり方について回答を求めてございます。例えば1では、平成18年度以降、国の定数改善計画がないことによる弊害について。2では、退職、あるいは採用の見通し。34では、小規模校や僻地校、あるいは特別支援教育の観点から特に留意すべき状況等について、最後5では、国における今後の計画的取組に対する意見、どういった形で進めていくのが好ましいかということについて尋ねてございます。

 この調査表につきましては、締め切りが229日でございまして、次回の検討会議で結果を御報告をできればと考えているところでございます。

 それでは、次に、お手元に追加資料集の御用意をお願いいたします。

 この検討会議に当たりましては、昨年の6月の第1回の検討会議の際に参考資料集をお配りいたしましたが、その後、新しく得られた資料やあるいは今後の検討に参考にしていただきたい資料について改めて追加的に御用意をいたしましたので、御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、1ページでございますが、これは小中学校の学年別の35人以下学級の在籍児童生徒数であります。水色の部分が国の標準により算定した場合に35人以下学級に在籍する児童生徒の割合です。例えば小1では35人以下学級を制度化しておりますから、基本的に水色が100%となっているわけでございます。青色の部分は都道府県の取組として学級編制の弾力化をしたことによって35人以下学級に在籍をしている児童生徒の割合であります。例えば小2でいえば、70.8%の部分が国の標準によって35人以下学級になり、21.5%が県の取組によって35人以下学級となっている部分でありまして、合計92.4%が35人以下学級に在籍をしているという意味でございます。残りの8%ほどを埋めるために来年度、およそ900人の加配を行うという趣旨でございます。資料を見ていただきますと、小3以上はごらんのとおりですが、特徴的なのは中学1年生のところで、ブルーの部分が26.8%となっております。これはすなわち、都道府県の取組が進んでいる部分と考えられるわけでございます。今後の教職員配置のあり方を考える上で御参考にしていただければと思います。

 次の2ページ目でありますが、これを都道府県別に見たものでございます。小1と小2だけを取り出しておりますけれども、小1はほぼ完全に35人以下学級、小2のほうはごらんのように、県によってその進展度合いはまちまちでございます。今回の900人の加配は各県の棒グラフの上のグレーの部分を埋めていくというものであるわけでございます。

 続きまして、3ページです。3ページは昭和55年以降の基礎定数と加配定数の推移であります。青い折れ線グラフが児童生徒数の推移ですけれども、児童生徒数に比例をしてオレンジ色の基礎定数部分というのは減少傾向にあるわけであります。一方、水色の部分が加配定数でありまして、こちらは年々増加の傾向にあります。平成23年度のところでは9.1%が加配定数になっている、1割弱ということでございます。そして、合計の教員数については平成12年ごろからほとんど横ばいで、大体70万人ぐらいで推移をしているということであります。

 なお、このグラフの下に表をつけておりまして、教員数のデータであります。これは教諭のみの教員数となっておりまして、校長、教頭、あるいは養護教諭は除外をした教諭のみが母数であります。表には担任を持っている先生と持っていない先生の数を載せておりまして、小学校は33万人のうち27万人は担任を持っているとなっております。つまり、大半が担任を持っているということなります。一方、中学校は20万人のうち12万人が担任を持っていて、8万人、約4割は担任を持っていないというデータであります。この数値はよく財務当局が取り上げる数値でありまして、これだけ担任外の先生が既にいるわけであるから、少人数学級というのはこういった担任外の先生をうまく活用すれば実現できるのではないかという主張がされるわけですが、文部科学省では、こういった先生は、例えば小学校では専科教育をしていたり、あるいは中学校では生徒指導ですとか進路指導といったそれぞれの役割があるわけですから、教育環境充実のために必要な定数であるという説明をしているところでございます。

 さて、続きまして、4ページからが文部科学省が実施しておりました23年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果であります。5ページの4に、個に応じた指導の実施方法というのがございます。平成23年度、理解や習熟の程度に応じた指導を実施する予定の学校の割合は、公立小学校において78.0%、公立中学校において68.5%であり、平成21年度と比べて増加している。いわゆる習熟度別指導でございます。

 これについてのデータだけを取り出したものが7ページでございまして、過去からの習熟度別少人数指導等の実施校の割合の推移でございます。これをごらんいただきますと、平成21年度のところでそれまでは増加してきた実施率が落ちております。そして、今回の23年度調査では再び上昇傾向になったということでございます。このあたりの原因はさまざまあるかと思いますが、一つ考えられることといたしまして、折れ線グラフの下に表をつけておりますが、この間の教員の定数改善の状況を見比べていただきたいと思います。平成18年から21年という時期は定数改善があまりなされていなかった時期でございます。そうしたようなこともあって、21年のところで習熟度別指導の実施率が落ちた可能性は考えられるところでございます。一方、22年度から教職員定数改善が一定程度進んだということが今回、この増加につながった可能性はあるのではないかと考えております。

 8ページからでございますが、文部科学省が実施しております全国学力・学習状況調査に関する資料でございます。現在、この調査は、抽出調査及び希望利用方式で実施しているところでございますが、平成25年度以降、数年に一度はきめ細かい調査を実施するべく検討をしております。2の調査内容、(1)調査方式にございますように、このきめ細かい調査は、すべての市町村、学校等の状況の把握のため、対象学年、小6と中3のすべての児童生徒を対象に実施する予定であります。(2)調査内容、3、教育施策の検証・改善にありますように、少人数学級や教職員加配等の国の教育施策の検証・改善を行うこととしております。今後、この調査の大枠につきましては、今年の夏ごろに固めるということになっておりますので、制度設計の検討に当たっては、本検討会議での審議状況も反映できるようにしていきたいと思っているところでございます。

 9ページ、10ページについては、きめ細かい調査の詳細でございますので、適宜ごらんをいただきたいと思います。

 資料の11ページからでございますが、先ほど課長からも説明がありました昨年4月の義務標準法等の一部改正の概要でございます。昨年の法改正では、小135人のほかにこうした権限移譲の法改正もあわせて行いました。中ほどに図がありますけれども、従来は都道府県が学級編制の基準を設定しますが、これは従うべき基準とされ、市町村教育委員会は都道府県の基準に基本的に従って、なおかつ市町村が学級を編制するに当たっては、都道府県教育委員会に対して事前の協議を行い、同意を得るということが必要になっておりました。これを今回の法改正で、都道府県教委の定める基準は標準としての基準となり、市町村教育委員会の学級編制は事後届け出で良いということに改まっております。これによって、市町村教育委員会の柔軟な取組が進むのではないかと考えております。

 イメージしづらいところでありますので、次の12ページをごらんいただきますと、例えばある小学校で小学校1年生が36人在籍したとします。県の標準は35人学級であるとした場合に、原則どおりでいけば、35を超えるということは2つ学級に分けることになります。18人、18人という2学級になります。ただ、当該学校の事情で18ではあまりに小さ過ぎるので、36人で1学級にしたいと。そのかわりに先生はもう一人配置して、ティームティーチングで行いたいというような編制の仕方も今後やりやすくなるということが今回の法改正の効果であろうと思っております。

 14ページ、15ページあたりにありますのが学級規模別教職員配置の標準でございます。今回、小規模校への配置のあり方等も議題になっておりますけれども、具体的にどのくらいの学級規模であれば何人ぐらい先生が配置されているのかという一覧表であります。例えば小学校で全校の学級数が3学級とした場合。これはもう既に複式ということになりますけれども、3学級であれば、一番右にありますように6.5人の教員が標準になります。六人か七人ということになりますけれども、以下、6学級であれば10.75人となっていくわけでございますが、大まかに言えば、学校の学級数が少ない小さい学校ほど、比率的には教員の数は多くなっております。つまり大規模になってしまうと、教員の比率は下がっていくということが一つは言えるところでございます。したがって、配置上は小規模校のほうに少し手厚くなってはいるということが言えます。

 17ページにございますのが主幹教諭についてでございます。今回のテーマで学校マネジメントというのも一つございますけれども、主幹教諭というものが平成19年に制度化されていまして、平成20年から配置されております。今まで校長、教頭、あるいは教諭という組織でありましたけれども、そこに新たに主幹という職を位置づけております。主幹について、その配置状況(平成23年度)とありまして、現在、全国で17,741名という配置になっておるところで、年々配置は進んでいるという状況がございます。

 18ページからが特別支援教育の関係であります。特別支援教育に関しましては、昨年、障害者基本法が改正されました。第16条が教育に関する条文でありまして、国・地方公共団体は、「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない」。そして、4項では、「人材の確保、その他の環境の整備を促進しなければならない」という規定が置かれているところでございます。

 これとあわせまして、中教審のワーキンググループでも合理的配慮ということについての検討が行われています。障害者基本法の規定も受けまして、このワーキングが設置され、合理的配慮についても整理を行っているところでございます。合理的配慮の定義につきましては資料のとおりでございます。

 こうしたことの背景として、次の20ページ、21ページをごらんいただきますと、特別支援教育を受けている児童生徒数は近年非常に増加傾向にあります。20ページが特別支援学級と特別支援学校の在籍者の割合の推移、21ページは通級による指導を受けている児童生徒の推移、いずれも右肩上がりという状況にございます。今後、こうした特別支援教育のための教職員配置が一つ議題となっていくだろうと思っております。

 最後、22ページからが教育振興基本計画でございます。教育振興基本計画といいますのが、改正された教育基本法に基づきまして、平成20年度からの5か年計画として策定をされております。この計画は閣議決定でございますので、政府に対して拘束力を持つ重要な計画であるわけでございます。

 23ページにございますのが、現行の基本計画の中で教職員配置にかかわる部分を抜粋した資料でございます。具体的な数値目標などは教員配置については特にありませんけれども、教職員配置のあり方、あるいは適正化という記述は随所に盛り込まれております。

 本計画については、24ページにありますように、現在、中教審の計画部会で、平成25年度からの第2期計画の審議が開始されております。今後、計画的な教職員配置のあり方を考える上で、この振興基本計画とのリンクは非常に重要であると考えておりまして、随時、こうした検討の状況をフォローして、検討会議の議論をよくよく反映させた形になるようにしたいと思っております。

 少し長くなりましたが、説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。以上、伯井課長から資料の1について説明をいただきました。先ほど申し上げましたように、課長から説明のあった何点かについては森副大臣からも御紹介がございました。資料2、これは復習の意味も含めて御説明をいただいたものでございます。参考資料がただいま出しておりますアンケート調査の項目であります。またデータ集、追加資料集とに、最近の少人数学級をめぐる幾つかのデータが出ております。本日は5か月ぶりの会議ということで久しぶりでございますので、特にトピックを限定いたしませんので、御自由に御発言をいただければと思います。どういう観点からでも、または資料に対する質問でも結構でございます。よろしくお願いをいたします。

 いかがでございましょうか。どんな点でも結構でございますので。どうぞ、小澤委員。

【小澤委員】  まず、冒頭でございますけれども、今般の新2年生への35人以下学級、あるいは36人以上の学級の解消、これについては大きなお力を文科省からいただいたこと、深く感謝申し上げます。全国でもこのことについては大きな反響がありまして、小学校の第2年生に進学、進級するに当たって、35人以下からまた40人以上に戻るのではないかという不安の声は払拭されてきたかなと思っております。

 それともう1点は、今年度の場合、いわゆる習熟度別等の指導加配の枠から、35人以下学級を新1年生で実現するためにということで措置がありました。しかしながら、今般の加配定数の部分については別立てで、いわゆる35人以下学級を新2年生に実現するためにしていただいたということに対して、このことについても大きく評価する次第でございます。

 しかしながら、全連小としましては、今後の第3学年以上をどうするのかということでありまして、来年度の2年生が3年生に進級するときにまた35人以下学級から40人、同じような議論を繰り返すということはどうなのかと。合理性に欠けるんじゃないかと思っておりまして、全体的にぜひ全学年で35人以下学級を実現するような法的な措置、法的な対応はできないものかというようなことが今後の大きな課題になっているかなと思っております。

 2点目でございますけれども、教育振興基本計画のことと相まってのことでありますけれども、平成20年に施策になりました教育基本計画については、現行のものですけれども、全国連合小学校長会としては、平成20年度に至る段階での意見表明を行ってきたものに対して達成されないものがあります。それは、数値目標を年次計画で組んでいないということ、一番大きな問題は、教職員の国の基本定数、教職員配置計画等の年次計画が数値目標できちっと示されていないということであります。このことに対しては、都道府県教育委員会が財政的な見通しを持てない最大の根拠になっているのだと思います。ぜひこの部分で、私どもとしましては、教育振興基本計画についてもこの月の17日に意見表明をいたしますけれども、この部分についてぜひ数値目標を入れていただきたいと意見表明を強くしてまいりたいと思っております。

 3点目でございます。インクルーシブ教育のシステム構築に向けた部分であります。この部分につきましては、、今お話しさせていただきました教育振興基本計画と相まって、具体的に環境設定といいますか、合理的な配慮といいますけれども、その中身は何なのかという部分。もっと言えば、インクルーシブ教育の理念的な背景をもっと明確にできないものかということがあります。現行でも通常学級における特別支援教育対象としてアセスメント等を受けたお子さんの在籍数の増加がありまして、このことが通常学級における教科指導ないしは生活指導等を含めまして、非常に課題をはらんでおります。このことの十分な見直しをしていただいて、具体的な環境の今後の検討に入っていただければと思っております。

 以上3点でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにどうぞ。井上委員。

【井上委員】  ただいまの小澤委員の発言に関連いたしまして発言をさせていただきます。

 まず第1点は教育振興基本計画との関係でございますが、これは平成20年度からでございますから、24年度で5年の最初の計画が終了するということで、第2期の計画策定について現在、中教審教育振興基本部会で御議論いただいていると承知しております。そこで、特に我が国における教育の公的支出というものが諸外国に比べてだんだんと減少してきているのではないかというような実例として、昨年秋にOECDが発表いたしましたGDPに対する教育の公財政支出で、我が国が31か国中最下位になったということがございます。初中分科会でも発言させていただきましたが、そういう点から言って、教育振興基本計画におきまして、中教審あるいは教育関係者としては、公的財政支出をせめてOECDの中位国程度までは拡充するような数値目標を掲げるべきではないかということを申し上げました。

 その中で、何が日本で劣っているかというのは、いろいろ比較して検討してみますと、1学級当たりの児童生徒数の国際比較などを見ても、OECD2011年版で30か国の状況を見ますと、公立の小学校段階では、我が国は28人ですが、OECD平均で21.4人、また、公立の中学校で我が国は32.9人ですが、OECD平均で23.5人ということで、OECD諸国の平均をはるかに上回る1学級の児童生徒数であり、そういうものが教育投資を減少させている一つの大きな要因ではないかと。したがって、今後、35人学級を計画的に推進することによって教育投資の拡充に資するわけでございます。そういうことを踏まえて、振興基本計画における記述についても、公立小中学校の教職員定数の改善を、計画的に35人以下学級を実現するように明記していただくということが必要ではないかというのが1点でございます。

 2点目は、特に新学習指導要領が本年度から小学校、来年度から中学校で実施されるということも踏まえて、教員の勤務実態というものから見ても、学級というものが学習指導と生活指導の集団として基礎定数になっているわけでございますので、そういう意味では、教員が子供と向き合う時間を確保するということが中教審答申の中でもうたわれております。そういう意味で、35人以下学級の計画的な実施は非常に重要で、新しい学習指導要領の円滑な実施をする上でも、その点については引き続き御配慮いただきたいということをお願いしたいと思います。

 それからもう1点、これは質問でございますが、先ほどの追加資料の1ページで、国の標準に基づく理論値というのは当然わかるのですが、例えば2年生で70.8%が国の標準、21.5%が都道府県独自実施分。この都道府県独自実施分には、標準法に基づく加配定数等の配置定数がすべてなのか、あるいは都道府県実施の県単部分でやっているのがこの中に含まれているのかという問題があるかと思います。もし県単部分がありますと、上乗せの8%の900人を加配措置したといっても、結局そこに都道府県分が不足するわけですね。あるいは都道府県の財政状況が非常に悪いというと、それを引き上げられた場合に、35人学級が実施できないんじゃないかという危惧があるわけで、その辺をどのように分析されておられるかというのがございます。

 それともう1点は、それと関連して、先ほど12ページで学級編制の弾力化の具体例について御説明があったのですが、学校の実態に応じて学級編制をするというのは当然必要なことなので、それとの関連で、例えば36人学級で、それを2学級に分割しないでTTをつける場合、形式的には35人学級が100%実現しないという数字が出てきてしまうんじゃないかと思うわけで、その辺については今後、1年生は100%ですが、2年生についてはどうしても弾力編制の結果、35人学級が100%に達しないということが出るのではないかと思いますが、その辺についてはどのように御認識されているか、お教えいただきたいと思います。

【木村主査】  お願いします。

【伯井課長】  最後の質問の2点のところにお答えをさせていただきます。

 追加資料の1ページの点で、例えば小2ですと、国の標準40人による平均値で70.8%で、21.5%が地方の独自政策に基づく上乗せ分ということでございます。これにつきましては、いろいろ分析をしておりますが、一つは国の少人数学級のための加配、昨年でいいますと、4,000人の基礎定数増を図るために1,700人を、もう既に使っているということを前提として振りかえた分がございますが、1,000人から2,000人の間ぐらいで、国の加配を活用して少人数学級を県の政策として行っているというものがございます。

 それからもう一つの要因といたしまして、標準定数は学級数とイコールフッティングではなくて、例えば10クラスの学校ですと12人の教職員が措置されますので、標準法内の学級外担当の定数を活用してこれに上乗せしているという分も相当数ございます。その辺、県がどのようにやっているかまで把握し切れてございませんので、分析が難しいのですが、それ以外のおそらく全体でいうと数百の部分の数は、いわゆる県単の措置、あるいは近年、市町村費、例えば京都市は市費100%で教員を採用することも制度的にできるようになっておりますので、そうしたものを活用して地方独自の措置がとり行われていると。したがって、濃いブルーの部分も都道府県独自実施分とありますものの、その大部分は国の加配であったり、標準定数内の学級外担当教員を活用して施策が進められていると。一部、地方の純粋単独措置が入っているというものでございます。

 2点目の弾力化措置につきましては、2ページをごらんいただきまして、小学校1年生のところ、実は全国平均でいいますと99%が35人以下学級でございます。そのうち多くの部分は、実は御案内のように去年、法律改正が422日の施行でございましたので、ずれ込んだという関係で、東京都においては選択性のような仕組みで、定数はちゃんと措置するけれども、年度途中のクラスがえを強いるということになってはいけないので学校現場にゆだねたというのがございまして、このように少し赤の部分が出ております。それ以外の佐賀県とか一部の県については、今御指摘に出た弾力化措置を活用して、36人を機械的に1818で割るよりは、学校現場の実情に応じて36人とティームティーチングの先生、例えばそういう形で、教職員は確保した上で現場の実情にゆだねるということを現に実施しておりまして、これは小2以降もそういった形で実施することを我々は制度の趣旨として認めております。原則は35人以下学級ということを適用しつつも、学校現場の子供の実情に応じた弾力化措置は認めていく制度となっておりますし、また、そうした方向でやっていくべきかと思っております。

 以上でございます。

【井上委員】  ありがとうございました。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんか。どうぞ、兵馬委員。

【兵馬委員】  大きくは三つお話ししたいと思いますが、一つは震災関係です。私は東京都にいるわけですけれども、被災3県の教員の確保というのでしょうか、そのために東京のほうで福島の教員を採用するというようなことがありました。他県の先生方を全国である程度カバーしないと、震災があった県のほうではなかなか教員採用も厳しいのかなということがあります。それが1点目です。

 それから、先ほどから教員の量の問題、何人にしていくかということがあるのですが、もう一つは質の問題がありまして、先ほど井上委員もおっしゃっていましたけれども、震災においては学校が防災のための拠点になるということになりますと、災害が起きる、もしくは災害が起きる前の備えということがすべて学校の教職員に役割が担わされるということになります。7時間45分の勤務時間の中で、授業に当たる時間が約6時間程度あります。子供たちの放課後の授業を見るなり、放課後と言っても会議等、教材の準備となると、7時間45分の中にはどうもおさまり切らないという部分がありますので、一人の教員が配置されてもいろいろな質の部分というのはなかなか向上しないということがあると思います。

 それから、先ほど特別支援教育のことも小澤委員からお話しいただきましたけれども、子供たちが増えているということは、教室が必要になってくる。ところが、学級数を増やしていけば、特別支援学校や支援学級はつくっていかないと追いつかないということですので、教職員の確保とともに、学校施設の確保も課題になるだろうと思います。

 先ほど追加資料の中で小中学校の教員の配当の資料をお出しいただいたのですが、これは特別支援学校も六十何学級という大きな学級ができましたし、そういうところにおいては、管理職の数も、主幹の配当数も、養護教諭の配当数、栄養士、事務職員、こういったものも一定数のところから上は同じということになりますので、そういった点での基準も見直していただけるといいのかなと思います。

 それから、通常学級における配慮の必要なお子さんの調査もこの12月の末に調査検討が始まってまた出てくると。以前の平成14年に行われた6.3%のお子さんということも出てくると思いますので、またそういった資料も御提供いただけるといいかと思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんか。貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】  ありがとうございます。2点、意見として申し上げたいと思います。

 1点目は、少人数学級、少人数指導については、その評価においても、資源をどう分配するかということにおいても、個別と全体の二つの視点を持っていただきたいという点です。このように申し上げるのは、今回、予算編成に関する政府の与党会議で、小235人以下学級について学力等への政策効果を全国レベルで検証する方向性が示されましたが、ここでいういわゆる基礎定数部分とそれ以外の加配定数部分は、その目的もアウトカムも全く異なるものだと考えるからです。基礎定数の部分は、今般おっしゃったような全国レベルの検証ということが何らかの形で行えるかもしれませんけれども、加配の部分は非常に個別性が強いので、全国でざっと網をかけての評価というのはなかなか難しいのではないかと思います。ただし、その一方で、個別のケースにおいては確実に効果を上げているということがあろうかと思いますので、目的もアウトカムも異なるという視点をこちら側は絶えず持つことによって、現状をより反映した評価を行うことができるようになり、ひいては、基礎定数部分のみならず、加配部分も教育活動においては非常に重要であるということを御理解いただけるようになるのではないかと思います。

 関連して、以下感触的な意見になりますが、加配教員の効果のほうが、基礎定数の効果よりも、加配教員の効果のほうが、個別的には検証しやすいのではないかと思います。しかし同時に、これが今まで十分に行われてきていなかったのではないかという感触がございます。従って、評価に関しても、その評価に基づく分配に関しても、基礎と加配の、目的とアウトカムの違い、また、検証方法の違いということを念頭に置いていただきたいと思います。それが1点目です。

 2点目は、都道府県の工夫・自主的取り組みのインセンティブに関わってです。先ほど井上委員もおっしゃっていましたが、私も追加資料の都道府県の独自実施分というところが大変気になっております。今、伯井課長から、大部分は国の加配によるものだという御説明をいただきましたが、国の加配を転用して少人数学級を編制するというのも、資源をいかに融通するかという知恵を働かせているまさに都道府県の自助努力であると思います。今回は、そうした努力している都道府県には900人の加配が行き渡らないということになります。今後、各都道府県の自主的取組を促すというような全体的な政策の方向性を持っているにもかかわらず、こうした自助努力のインセンティブを促さないような形とはあまり望ましくないのではないかと思います。今後、何らかの形で、限りある資源を各都道府県が知恵を出しながら自主的に努力をしていけるインセンティブとなるような仕組みを考えていきたいと思います。

 以上です。

【木村主査】  伯井課長、その辺は事務局でもうお考えになっているのだと思いますが。

【伯井課長】  1点目のところの加配定数の検証については、先ほど説明を漏らしてしまいましたけれども、今回の資料1の検討項目の2のところの教職員配置についての検証・改善システムの確立というものにあたります。ある意味、加配については御指摘をいただいたように目的で手挙げ主義で措置しますので、ある程度検証がしやすいと。それに基づいてさらなる改善をしていくというPDCAサイクルというのがいろいろな教育分野でも言われておりますけれども、定数配置についてもある程度そうした考え方が求められるのではないかという問題意識で、御議論を今後していただければと思っています。

 それから、今回の定数措置で小2対応分の900人のところは、小2を今までやってこなかったところを優先して措置されますので、そうすると、先行して実施してきたところのインセンティブはどうなるのかというのは御指摘のとおりでございます。今年の場合は、そのほかの加配措置が全体で3,800人ございますので、トータルで不均衡ができるだけ発生しないような配分の仕方で何とか対応できるわけですけれども、今後に向けてそういう御指摘がまさにごもっともでございますので、地方の自主的な取り組みを促すような形が必要であろうかということでございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんか。

 どうぞ、久保田委員。

【久保田委員】  2点あるのですが、中学校のほうでございますけれども、今お話も出ておりました都道府県負担分の加配等を活用しての35人以下学級ということで、次年度はさらにそれが増えて、おそらく中1あたりは大方のところが35人以下学級まで持っていけるような状況が今以上に生まれてくるのではないかと思うんですけれども、現場校長の声は、それがいつはがされるかわからないという不安感があるんですね。どうしても法的な位置づけとして35人以下学級、少人数学級を位置づけてほしいという声は圧倒的に多いということもありますので、やはり計画的に配置ということを進めていただければと思っております。

 もう1点ですけれども、御案内のとおり、中学校においてはさまざまな課題があって、35人以下学級の必要性とともに、学校に対する教職員の数をとにかく増やしてほしいという要求が強くございます。その中で、部活動等、中学校独自の取組についての教員という部分も必要になっておりますので、そのあたりも今後の討議の中で話題にしていただければ大変ありがたいと。そういう意味での加配も含めて検討いただければありがたいと思っております。よろしくお願いします。

【木村主査】  ありがとうございました。

 藤崎委員、どうぞ。

【藤崎委員】  35人学級の小2での実現、本当にありがとうございます。現場を見せていただきますと、いかにクラスの人数を35人以下に下げまして、これを中学校3年生まで義務教育においてすべて実現することは、日本の国の将来のためになると思います。

 二つ意見がございまして、ちょうど追加資料の3ページの表を見ていましてつくづく感じたのですが、小学校のほうでは33万中27万人が学級担任ということで、中学校ではもちろん教科担当ということがありまして、担任の数が12万人に対して8万人、教科外が置かれています。小学校を見ていますと、クラスのことで精いっぱいという中、やはりいろいろな情報が多くて、子供たちの精神的な成長がとても早くて、例えば中学校では生徒指導担当という言葉が一般的な言葉になっていますが、藤沢市でも児童指導(※)というような担当の先生におかれましては、まだ役割が定着していないなということを強く感じます。小学校のうちからそういった児童指導(※)をする先生がいまして、また、中学校との連携ができれば、中学校の先生方の苦労も減っていくのではないかということを感じまして、ぜひ小学校のそういった面の充実を図っていただきたいと思います。

 それにあわせて、いろいろな学校の先生の協力のもと学校運営を行う場合に、主幹教諭の必要性ということも非常に感じております。実際に藤沢市のほうではまだ主幹教諭の配置というのは進んでおりません。校長、教頭だけではなく、この主幹教諭の役割が拡大することによって、学校全体での組織運営というものが非常によく進むのではないかと思いまして、この2点を意見として言わせていただきたいと思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。宮﨑委員。

【宮﨑委員】  何点かお話をさせていただきます。

 まず、今回の定数改善に関しては、大変御尽力いただいたことを感謝いたしたいと思います。特に学習障害等、発達障害に係るさまざまな子供の課題を解決するための定数増というのは本当にありがたかったと思っております。

 まず、追加資料の中で、20ページ、21ページのところを見ながらお話しさせていただくのですが、特別支援学級、あるいは特別支援学校の在籍者数が平成11年時点から今日では倍増になっているわけです。中学校で2.25%、小学校で2.1%。これはいわゆる通級による指導も入っているとは思いますが、ものすごい増加であるということが言えるかと思います。つまり特別支援教育に係る子供たちの増加というのが非常に大幅になっていると。ある意味で、保護者のお子さんの学習に対する考え方が大きく変化をしてきていて、子供たちの学びをしっかりさせたいという思いがここには反映しているのではないかと思っております。特に著しいのが通級による指導の増加です。平成11年から22年、比べていただくとこのことははっきりしてしています。通級による指導の増加というのが非常に大きいです。私がいろいろなところにお伺いして聞いている範囲でも、通級による指導をする学校はそんなに多くないという現状があって、待機児童生徒がかなり多いという実態がございます。各自治体とも増やしていこうという思いは強いのですけれども、そこはなかなかできないという状況にあるということを承知しております。

 そういった意味からも、今後、インクルーシブ教育の実現という点では、私ども中教審の特別部会ではより一層、現在の仕組みを着実に、しかも充実をさせていくことがインクルーシブ教育を進展させるものになると考えておりまして、その充実がまず第一点であろうと思っておりますので、このあたりの改善というのも今後検討していただくことをぜひお願いしたいと思います。

 これは先ほど兵馬委員からありましたように、具体的に通常の学級にいる発達障害のお子さんたちがどのくらいいるかということについては今後、文部科学省で委員会を立ち上げて調査をしていただけると検討中のようですので、このあたりを見定めながら考えていく必要があるかと思っております。

 先ほど小澤委員がおっしゃったことと関係するのですが、18ページ、19ページのところにかかわることですが、つまり、障害者基本法の第16条でかなり具体の方向性が出ました。そういう意味では、障害者でない児童生徒と障害である児童生徒がともに教育を受けられるような配慮をしながらということですので、いきなり原則一緒ということではありませんので、現実には今の仕組みを充実させる方向なのですが、できる限りその方向性を見定めていくという視点で考えると、今後、具体的にどんな方向性で対応するかというのは、特別委員会等で検討をしながら、なおかつ、合理的配慮をその中でするという点で、さっき小澤委員が今後の基準話をと要望されたのですが、ここについてはなかなか難しいので今後検討するとして、少なくとも基礎的な環境整備等はきちっとしていく必要性があるだろうと考えます。施設整備指針などは設けられているわけですが、ここについても今後さらに明確化していく必要性はあるだろうと思います。各自治体も努力していただかなければいけない部分も出てくるかなと思います。合理的配慮については19ページの資料をごらんいただきたいと思うのですけれども、私どもは各現場でその障害によってこの状況は違うし、個々の子供に対する配慮という視点で考えて、委員会としてはまとめを今のところ出しているんですが、これから各学校で対応していただくことになってくると思いますので、実際の状況を見ながら考えていかなければいけないところだと思います。

 その際に、今回の教員の定数改善という観点からなんですが、特別支援教育の推進にかかわっては、外部の専門家をいろいろ導入するというか、定数でということではないと思いますが、いわゆる関係のさまざまな職員の配置を考えていかなければいけないところも出てくるので、このあたりについては今後どうするかということについてもぜひどこかで入れておいていただくと大変ありがたいなと思います。具体的には、今導入されているのはスクールカウンセラーですとかサイコロジストなどがあるわけですが、それ以外にお医者さんとか看護師であるとか、今後さまざまな専門家の関係の対応の必要性があるということなどもあわせて、どこかで協議していただくとありがたいと思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 では、白山委員。

【白山氏】  感謝とお願いを申し上げます。まず、24年度の小学校2年生の35人以下学級への対応を含めまして、加配定数3,800人増、これに関しましては心から御礼申し上げたいと思います。

 今回、24年度はそういう形になりましたが、それでは25年度以降はどうなるのかというのは、当然のことながら、私どもとしては今までの委員の方々と同じように、ある意味では心配な動きがたくさんあるわけです。しかし、財務省と文部科学省との取り交わしの中で計画的に行うという言葉があるということを望みとするならば、計画的な、法的な意味での制度的な形での定数というもののそれをぜひ確立していただければありがたいなと思うのは率直なところであります。先ほどどなたかもおっしゃっておられましたけれども、欧米の学級定員数から比べますと、我が日本はまだまだ多いわけでありまして、これを機会にそういったような方向性を打ち出していくというのも大きい意味があるのではないかと思っております。

 24年度からいよいよ中学校の学習指導要領がスタートいたしますけれども、そこにはICTを活用したり、あるいは協働型の授業、あるいは双方向型の学習、こういったものを実現していくということがうたわれているわけでありますが、学校側、あるいは市町村教育委員会側からすると、そのことによって今の教員の数で大丈夫なのかという心配の向きもあります。そこは都道府県と市町村が工夫して、いろいろ県単も含めて活用に向けて努力していかなければならないところであろうと思います。しかし、この後、我が秋田県などは、小中学校の統廃合等も続いてまいります。子供の数も減ってまいります。そういう中で、いかに質を落とさず、きめ細やかな教育をしていかなければいけないかということを考えた場合に、小中学校のバランスを考慮した基礎定数の法制化、制度化を何とかお願いしたいものと思っているところであります。

 それから、先ほど資料2の中で、いわゆる効果検証というものの必要性につきましては私どもも改めてその必要性を感じているところでありますし、また、今年度、この会議におきましても、関係の委員の方々からたくさんの資料が出されたわけであります。しかし、それが財務省を説得するまでにはなかなかいかないもののような気がいたします。秋田県では、総合教育センターなどと協力しながら、少人数学級、あるいは少人数学習指導がどのようなところにプラスに作用しているのかということにつきましては積み重ねているところでありまして、また別の角度から御提供できるように努力したいなと思っています。

 なお、この会議の委員のみならず、47都道府県でもそれぞれやっているものと思いますし、また、1月の下旬に本県秋田大学を主催といたしまして、学力向上フォーラムを開催いたしました。その際、本日も吉田次長がいらしておりますけれども、国研の方お二人もお呼びいたしまして、そういったものの検証をしていく重要性を改めて感じたところであります。私ども地方におきましてもそういったものの調査研究を続けながら、国研と協力して説得できるようなものにしていきたいものと考えております。そういった意味で、今回の加配につきまして感謝申し上げますとともに、何とかこの後の安定した定数の制度化を心からお願いするものであり、それに向けて我々自身も努力は惜しまないでやるということをお約束申し上げまして、よろしくお願いしたいと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。

 一通りご意見を伺いましたので、小川委員お願いします。

【小川副主査】  文科省に対するお願いというか質問も含めて、一つは、これは前のときから言っているのですが、この検討会議は義務教育レベルですよね。高等学校の問題については今まで検討されてこなかったのですが、新たに文科省の中に設置された高校教育部会で私が主査を務めさせていただいて、高校教育のいろいろな議論をしています。その議論の中では、今の高校教育の中心的な課題が高校生の学習の質、教育の質をどういうふうにつくり出していくかということで、授業改善の課題はこの間の審議でクローズアップされてきたように思っています。そういう高校レベルの授業改善というのは、小学校、中学校と比べると、小中はPISA型学力等々を含めて新教育課程の考え方に基づいてかなり実践的に授業づくりが進んできている訳ですけれども、それに対応して高校レベルの授業づくりというのはなかなか難しい状況があるということも考えると、そういう教職員の定数の問題も含めて、その辺のところをもう一度考え直すことも必要なのかなということで、改めて高校の教職員の定数配置の問題を考えていくことが一つの課題になってくるのかなということを少し実感しています。

 そういう点で、この検討会議は、高校レベルの定数とかという話は、すべて高校部会のほうに投げてやってもらうのか、高校部会はかなり広範囲のテーマを議論していますので、標準法のところを絞ってやるというのはなかなか難しいので、その辺のところはどのようにしてやるのかわかりませんけれども、今までは義務教育段階に集中してやっていた問題を高校レベルも入れてやったほうがいいのではないかという気がありますので、その辺りをどうお考えなのかというのが1点です。

次に、小学校、中学校の定数とか少人数とか学習指導のさまざまな工夫というのは、最近、小学校、中学校の種別を超えて小中連携、小中一貫の中で相互乗り入れしながらいろいろな工夫も進んでいますよね。例えばTTだって、小学校の先生、中学校の先生が相互に行き来して、小学校の先生が中学校に行ってTTを行ったり、小学校に中学校の先生が行って専科の教科をしながら中学校の先生を交えて小学校でTTをやるとか、小中の連携、一貫の中で定数の問題とか、学習指導のあり方を考える時期に来ていますので、今の段階では小中連携一貫のシステムが法制度的にきちっとできているわけじゃなくて、あくまでいろいろな特例とか研究開発でやっているので、それに対応した加配のあり方云々というのは難しいと思うのですが、そういうふうな努力をされている市町村の定数運用がしやすくなるような工夫も必要なのかなと。今まで小学校、中学校とかなりリジッドに考えていた定数の問題、運用の問題を、もう少し小中連携という一体で考えるということも必要になってきているのかなと思いますので、その点もできれば議論の中でいろいろ検討していただければなと思います。

【木村主査】  今の点、どうでしょうか。高校の問題ですね。

【伯井課長】  実は高校については去年も今年も加配の数自体は全体で6,000人ちょっとなので、義務に比べても少ないわけですけれども、数は変わっていなくて、改善増というのがなされておりません。我々の問題意識としては当然、高校の定数配置についても意識はあるわけでございますけれども、現在、中教審の高校教育部会で検討されておりますので、その中身の検討をある程度見ながら、定数改善をどのようにしていくかということについても検討していこうと思っております。連動しながら、その検討の場はどちらにあるかというのはともかくとして、少なくとも高校のあり方についても、教育内容の議論を踏まえて定数をどうしていくかというのを検討しなきゃならないという課題意識を持っておりますので、引き続き対応したいと思っております。

 小中一貫なんかが進む中での加配措置につきましては、我々も各県の加配の申請に対して対応するときに、流動的にというか柔軟に、例えば今回の小学校の専科の新しい加配についても、小学校専科指導を中学校の教員が行うような場合について、これは中学校に人が要りますので、小学校の専科といいながらも中学校に人が配置できるような仕組みとか、できるだけ柔軟に加配の運用をしていこうという方向で検討しているところでございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 一通り御意見をお伺いいたしましたが、よろしいでしょうか。本日はウォーミングアップというところで、今後、また一月に一遍ぐらいでしょうか、会議が開かれるものと考えております。では、ほぼ予定の時間になりましたので、以上とさせていただきます。

 それでは、谷合企画官、今後の事務日程等についてお願いします。

【谷合企画官】  ありがとうございました。

 次回の第10回会合につきましては、本日の委員の皆様のご意見も踏まえながら、またヒアリングを計画したいと考えておりまして、地方公共団体、あるいは学識経験者の方からお話を聞いて議論をするという会議の設定を計画しております。具体的な開催日時等につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【木村主査】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 では、本日はどうもありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。

 

── 了 ──

(※)小学校段階における生徒指導を指す

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