公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第6回) 議事録

1.日時

平成23年8月19日(金曜日) 13時~15時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議事録

【木村主査】  それでは、ほぼ時間になりましたので、ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議、第6回を開会させていただきます。本日はお忙しい中、また、急に雨が降り出しまして足元が悪くなりましたが、お集まりいただきましてありがとうございました。

 本日は3つのグループからヒアリングをしていただく予定にしております。まず最初は、東日本大震災に伴う教職員加配の活用状況や今後の見通しにつきまして、被災3県の教育委員の皆様からお願いをしたいと存じます。続きまして、2番目として、前回ご欠席でございましたが、きょうご出席いただいております、本検討会議の委員で全国連合小学校長会の対策部長でもいらっしゃいます小澤委員から、小学校の実情についてご発表をいただきたいと存じます。最後に、全国都道府県教育長協議会が少人数学級の成果等について独自にアンケート調査を行っておりますので、その結果についてご発表いただきます。

 それでは、事務局から本日のまず資料について確認及び説明をお願いいたします。

【谷合企画官】  それでは、資料のご確認をお願いいたします。初めに議事次第がございまして、その次に資料1は本検討会議の委員名簿でございます。そして、資料2が本日ご出席いただいているヒアリングの方々のメンバー表と、それぞれのご紹介はこの資料の配付をもちましてかえさせていただきたいと思っております。そして、資料3が前回第5回の本検討会議の発言でございます。そして、資料4-1~資料4-3までが被災3県の各県からご提出をいただいております資料でございます。資料5が全国連合小学校長会の提出資料でございます。資料6が全国都道府県教育委員会連合会の提出資料でございます。資料6の後に同じくその連合会の参考資料がマル1・マル2となっているかと思います。

 そして、最後をご覧いただきたいのですが、資料7でございます。資料7は文部科学省が本年6月24日に公表した資料でございますが、「東日本大震災への対応のための教職員の加配定数について」でございます。具体的には2ページ目の「参考」というほうをお開きいただきたいと思うのですが、「参考」の左上、黒枠囲いでございます。義務教育諸学校に対して震災に関しまして2回にわたり教員の加配措置をしてございます。前回4月28日の時点で岩手県に134名、宮城県に216名など383名、そして、2回目今回6月24日に福島県481名など603名、2回合わせて986名と、約1,000名の教員の加配措置を行ったところでございます。本日この後のヒアリングの前提としてご承知おきをいただければと思っております。

 資料の説明は以上でございますが、もし不足等ございましたらお申しつけをお願いします。以上です。

【木村主査】  資料よろしゅうございましょうか。はい、ありがとうございました。

 きょうは大変ご出席が多くて、ご欠席わずか1名という、多分、今までで一番多い委員の皆様にご出席いただいたのではないかと思います。ありがとうございました。

 それでは、まず最初に、先ほど申し上げましたように東日本大震災に伴う教職員加配の活用状況等につきましてお願いしたいと思います。1番バッターは宮城県教育委員会、石巻市教育委員会、宮城県東松島市立矢本第二中学校から、東日本大震災に伴う教職員加配の活用状況や、また今後の見通しについてお願いしたいと思います。恐れ入りますが20分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【熊野氏】  宮城県義務教育課の熊野と申します。きょうはお世話になります。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、この宮城県では3月11日に発生しました東日本大震災によりまして壊滅的な被害を受けましたが、この震災後、全国、そして、世界各地から多くの方々のご支援をいただきましたことにまずもって御礼を申し上げます。特に東京都、そして、秋田県をはじめ全国から教職員の人的な支援をいただきまして、ほんとうに感謝しております。ありがとうございました。震災後の小中学校におきましては避難所の運営、そして、学校再開に向けた対応など教職員が一丸となり不眠不休で取り組んでまいりました。震災から5カ月あまりが経過しまして、教職員定数の加配教員を活用しました教育の環境等の復興に向けた取り組みも少しずつではありますが進んでいるところであります。

 レジュメをつくらせていただきましたので、そちらのほうをごらんいただきたいと思います。初めに被災地における学校の課題ということで、簡単にお話をさせていただきます。東日本大震災によりまして、県内の多くの小中学校が甚大な被害を受けまして、児童生徒におきましては悲惨な体験等大きな精神的苦痛を強いられたことから、学校におきましては児童生徒の心のケアや学力の低下への対応、そして、また激変した児童生徒の教育環境等、一刻も早い回復を図るために、相当数の教職員定数の加配が必要となったものでございます。加配定数の算出・積算に当たりましては、各市町村の教育委員会の要望数も加えまして、県教育委員会として今後見込まれる加配数の算定を行いまして、義務教育諸学校でいきますと216人の加配定数を文部科学省に要望させていただいたところでありまして、おかげさまで認めていただき大変感謝をしております。

 2番目の教員の加配と活用状況ということでございますが、加配されました定数を有効かつ効果的に活用するため、県の教育委員会としまして東日本大震災における教職員定数加配方針というものを策定しました。次のページにあるところであります。詳しくはお読みいただきたいと思いますが、加配方針におきまして家庭、地域、学校の協働のもと、児童生徒が安心して学べる教育環境の確保がまずもって必要であることから、児童生徒の心のケアや、校舎が被災しまして自分のもとの学校での学習が困難で、ほかの学校の校舎を間借りをせざるを得ないなど、各学校の状況に応じた配置が可能となるよう配慮したところでございます。つけ加えまして、おおむね地震の被害も大きいものがありましたが、この津波による被害がもう甚大ということでございまして、県内大部分の沿岸部がその大きな被害を受けたことになりますが、内陸部の学校も校舎には被害が出ておりまして、それに加え被災生徒の受け入れによる教育環境の激変も加わりまして、被災により児童生徒数が激減したところを補う形もとらせていただきました。

 加配されました定数の216人につきましては、すべて学校や市町村教育委員会の要望を踏まえながら方針に基づき配置をさせていただき、児童生徒の心のケアをはじめとする教育復興への対応に当たっていただいているところであります。加配定数の学校における具体的な活用状況については、この後、石巻市の教育委員会から、課長が同席しておりますので、課長のほうから、それから、学校での活用状況等につきましては、きょう一緒に菅野校長が来ておりますので具体的にお話をいただき、その後、今後の課題についてはまた私のほうで話をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山田氏】  石巻市教育委員会学校教育課長の山田元郎です。石巻市のほうにもたくさんの県、そして、たくさんの市から細やかな支援をたくさんいただいております。ほんとうにありがとうございます。

 石巻市の学校の現状について簡単にお話し申し上げます。小学校43校、中学校21校、計64校ございますが、151名の児童生徒が亡くなっており、いまだ17名が行方不明の状況です。また、10名の教員が亡くなり、1名が行方不明ということで、心も病んでいる児童生徒、そして、教職員の方がたくさん見られるなというのが石巻市のまず現状でございます。

 学校施設に目を向けますと、3階まで津波にのみ込まれ壊滅的な被害を受けた学校をはじめ、建物などに大きな被害を受けた学校が小学校で10校、中学校で4校ございます。これらの14校ではそこで再開はまず難しい状況ということで、他の学校を間借りして4月21日に授業を開始しました。他の学校を間借りしましたが、やはり1つの学校にまとめることができず、中学校であれば1年、2年、3年が違う学校に行って授業をしています。また、教室が足らないので多目的室に2つの学年を入れて、前と後ろに黒板をつけて異学年の2クラスなのですが、教室は1つしかないという状況で授業を進めている学校、また、複数の学校、人数が少ない学校を1つにした学級編制で授業を行っている学校など、本来の日々の授業すらあまりいい環境ではない状況ということで、石巻市教育委員会としてはまずその解消に向けての取り組みを第1と考えて進めておりました。

 今回の中で学年ごとに分散している学校において、授業を結論的には大きな問題もなく進めることができました。それは震災復興加配でいただいた先生方のおかげなのです。それがなければ教科担任である中学校では、1学期の授業は非常にいろんな面で大変なことになったのではないかなと思っております。今後は仮設校舎を近くで被害の少ない学校に建て、その後、安全な地域でそれら被災を受けた学校を復興させていくということになりますので、期間が非常に長い期間これから想定されるところになります。今後とも加配をお願いできれば幸いでございます。また、仮設住宅の建設に伴い、市内の被災があまりなかった地域の学校への転入が多く見られ、学級数が増えている学校が15校もございます。今回、東京都からの派遣の先生方をはじめ、この対応で学級増になった学校においても力のある先生方のおかげで、非常にうまくクラスが変わったときにまとめていただき、今回のこのような加配ということに対して、ほんとうにありがたく思っているところでございます。

 地域のほうに目を向ければ、住民の転出などによってコミュニティが崩壊している地域もございますし、仮設住宅の入居が進んだために、コミュニティの再構築を図らなければならない地区もございます。被災してない地域においては、その学校が被災学校を受け入れることによって、教育環境のみならず市民生活全般にわたって影響を受けているところもございます。このような状況は今後三、四年間さまざまな変化を伴いながら継続すると予想しております。学校の復興に向けて石巻市としても頑張っていくつもりでございますが、今後とも加配等の支援をお願いしたいと思っております。結びになりますが、石巻市の学校の現状をお話しできるこのような機会をいただきましたことに感謝申し上げます。

【菅野氏】  東松島市立矢本第二中学校の菅野でございます。今回の震災に当たって全国、それから、世界から応援の声、支援物資等々いただきましてほんとうにありがとうございます。私のほうからは現場の声ということで話をさせていただきます。

 本校には岐阜県のほうから派遣教員ということで1名、5月からいただいております。大変能力のある方で子どもの心のケアだけではなく教員のケア、そして、保護者の支援、そこまでご指導あるいはご助言をいただいているところでございます。おかげさまで学校の活性化に大きく寄与していただいているところでございます。本校の被災状況は3つの小学校から来ているわけなのですが、非常に温度差がございまして、全く壊滅状態の学校、それから、震災だけ、そして、その中間という3つの地域だったものですから非常に地域格差がございます。それも派遣の加配をいただいた先生はよく状況を把握して、1つ1つに対応をしていただいているところでございます。

 生徒数については今年度当初、予定では5学級の予定でしたが、人数が10人弱減りまして、そのままの継続ということで県のほうからいただいたわけなのですが、まだぼつぼつですが、生徒・保護者も戻ってきております。この状況がおそらく今年だけではないのではないかと考えております。なぜかといいますと、保護者の就労関係、それから、他県に今避難している子どもたち等々がおります。そういう状況を鑑みますと、ぜひ派遣の加配でしょうか、そういう形でご支援を賜れば、学校が一層活性化するのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

【熊野氏】  それでは、また私のほうからになりますが、3番目の今後の課題ということであります。ぜひ継続した児童生徒支援をよろしくお願いをしたいということに尽きるのではありますが、校舎が被災しまして仮設校舎、そして、ほかの学校の校舎を間借りする状況が長期化する可能性があります。児童生徒の心のケアの面からもきめの細かい指導が必要でありますことから、今後とも継続した加配をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。あわせて、子どもたちが家族を失いまして、家族のみならず、家、そして、職場まで失うという、いわゆる三重苦という生活になり、家庭環境の激変が原因で経済状況の悪化まで進んでいるのが現状であります。児童生徒の心の変化に対応するためにも、生徒指導加配や少人数等の加配の措置がこれまで以上に必要となるところであります。

 東日本復興特区ということで小中学校全学年に35人学級の実施についても要望しているところではありますが、何よりも35人学級を全部でやったためにすべて加配をのみ込んだ場合は、むしろ35人学級で増える人員は仙台市を中心とする市街地に多くあてがわれることになり、小規模学校の多い被災の多かった沿岸部には、メリットが少なくなるという現状でございます。35人学級の定数をいただいたにしても、その運用につきましては、がちがちに杓子定規でやることではなくて、少し弾力的にやらせていただくことをお願いできればと思っております。

 あわせて、県の財政も極めて緊迫した状況であることから、なかなか県の財政のほうでも厳しい判断を迫られることになります。国庫3分の1負担のところから何とか2分の1でも変えていただければ、ありがたいなという思いでおります。あわせて、就学援助対象の児童生徒の数が、1つの学校で児童生徒数の7割を超えるという予想が出ております。したがいまして、それに対応する事務量が膨大になってくるという現状から、事務職員の定数の増もお願いできればと思っておるところであります。よろしくお願いいたします。

 最後になりますが、3ページ・4ページのところに石巻市の隣にあります女川町からのメッセージをつけさせていただきましたのでごらんいただきたいと思います。子どもたちから、川柳というのでしょうか、言葉を書いてもらったところ、そういう言葉が出てまいりました。「天国と地獄の境はどこですか?」と、ちょうど3枚目の写真の右側にある4階建ての建物が生涯学習センターというものでありまして、それが2枚目の屋根だけが見えるまで4階建ての建物がすっぽりと津波にのみ込まれました。この高さが約20メートルでございます。こういう津波が来ると予想していて防災の教育が進んだ地区でさえ、もう我々の想定をはるかに超える津波であったことをご理解願いたいと思いまして写真を載せさせていただきました。

 次は「みんなの前、笑えているかな、自分の顔」、これが子どもの言葉であります。当初は意識して笑顔をつくる子どもたちでしたが、時がたつにつれPTSDの可能性も今後も出てくるというのが専門家の意見であります。3年後あるいは5年後ということまで見通した県での対応をしてくださいという専門家の話でございます。

 おかげさまで「ありがとう、感謝の気持ち大切に」、多くの方々から物的、そして、人的支援をいただいております。ほんとうに感謝でございます。「夢だけは壊せなかった大震災」、どうかこの子どもたちの思いを受けとめていただき、私たちも今後も市町村教育委員会、そして、各学校・地域と手を取り合って頑張ってまいりますので、よろしくご配慮をいただきたいと思っております。「だいじょうぶ、それは希望の合言葉」、このように言えるように国の加配、そして、ご支援をよろしくお願いを申し上げまして、宮城県からの説明を終えさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ご発表のほうは今と最初にお話しになりましたのが教育庁の義務教育課長の熊野さん、2番目にお話しいただきましたのが石巻市立女子高等学校事務長の山田さん、3番目が菅野校長でございます。

 冒頭申し忘れましたが、質問・ご意見等は被災県3つのプレゼンテーションを伺ってからにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の福島県へ参ります。福島県の教育委員会、発表者は飯村学校経営支援課の主幹、二本松市の教育委員会の学校教育管理係長の佐々木さん、お二人です。

 では、よろしくお願いいたします。時間20分ほどでお願いできればと思います。よろしくお願いします。

【飯村氏】  ただいま紹介のありました福島県教育委員会の飯村でございます。福島県につきましても全国から温かいご支援をいただいておりますことに感謝を申し上げます。ありがとうございます。それでは、座って説明させていただきます。

 準備いたしました資料に基づいてご説明をさせていただきます。まず震災後から当初の4月、5月ぐらいまでの福島県の状況について、少しお話をさせていただきたいと思います。大震災及び原子力発電所事故によって、多くの住民の方が避難生活を余儀なくされました。今のところ明確な収束のめどが立っていない状況で、この避難生活が続いていくことに変わりはございません。児童生徒に目を向けますと5月1日現在で、7,240名の小中学生が県外に避難をいたしました。次のページの資料1にありますように小中学生、それから、県内・県外別、県内でも4,500名近くの者が避難をしていったわけでございます。7月15日現在で再度調べましたところ、資料の2にありますように県外が7,672名と400名以上増えております。県内でも100名弱転出が増えている状況であります。また1枚目に戻らせていただきまして、非常に多くの子どもが県内のみならず県外に避難をしているという状況であります。県内の避難者の状況を見ますと、避難場所が最初避難所と言われるところでの一時避難で、次に温泉地の旅館等による二次避難、そして、仮設住宅や借上住宅という三次避難という形で、何度も何回も転居せざるを得ない、移動せざるを得ないという状況がありました。

 学校はどうかといいますと、年度当初から臨時休業中、結局、学校の再開ができないところが23校ございます。小学校が14校、中学校が9校、資料3にもう少し詳しく書いておきましたが、これは震災や津波によらない原発によって再開ができないという理由でございます。それから、その下の資料にもありますように学校機能を移転しての再開、これはもともとあった場所での学校再開はできずに、他市町村の学校や公共施設、廃校になった学校等を利用して学校を再開したところが、原発の問題、それから、津波や地震の被害等を含めて47校ほどございました。先ほどの再開できない学校と合わせますと、70校がもとの学校のところでは授業ができないという状況でありました。

 こういう状況で県といたしましても、各市町村、それから、学校といたしましても、放射線の影響を考えての対応、今、盛んに報道等もされておりますが、徐染、それから、校庭表土の改良等に年度当初から追われていたわけでございます。それから、学習環境の整備で先ほど学校の場所を変えて再開する学校にあっても、もともとの警戒区域等にあった学校では机やいすがきちっとしているんですが、そこには入れない、机やいすを持ってこられないという状況で教室環境を整えるという点でも非常に問題がありまして、机・いす1つを確保するのでも大きな努力を強いられた次第であります。それから、学校が他の地区で再開をしているものですからスクールバスの運行は必要で、ある市におきましては毎日20台のバスを運行しながら、別の場所で学校を再開しているという状況であります。当然、児童生徒の精神的な苦痛や不安というのは非常に大きく、その解消に迫られてきたところでもあります。

 それから、学力向上の視点でいきますと、学習進度のおくれはもう目に見えておりまして、3月の震災以降、年度末の大事な学習のまとめができない、4月に再開しても3月のそのまとめからまずはやるということが強いられました。4月の学校の再開も、福島県は大体小中学校は4月6日が入学式なのでございますが、ずれ込んで4月25日まで入学式ができなかった市町村もございます。そういったことから、物理的な時間数の不足等も含めて学習のおくれというのは否めない状況であります。それから、給食の問題も深刻で給食施設が損壊してしまって準備ができない、そういうことから弁当を持参させようにも、避難所にいる「子どもに弁当を持ってくるように」というわけにはいかず、この辺で自治体では給食をどうするか、昼食をどうするかでいまだに対策に追われているところであります。

 他にいろいろございますが、そういう状況から教職員の加配ということについて、当然、必要性が出てまいりまして、大きく4点挙げさせていただきました。福島県としては児童生徒の心のケアのため、それから、児童生徒を中心とした学習支援を行って学習のおくれ、進度のおくれを解消するため、それから、学校再開に向けた準備をするため、そして、県外に避難をした多くの児童生徒の心のケアや学習支援に当たるため、いろいろ加配の必要性はありますが、まずこの4点の解消に向けて加配をお願いしてきたところであります。

 方法として、学校再開ができないところの教員や、大幅に児童生徒が減って学級数が減ってしまった学校において兼務発令という、原籍の学校と、兼務先の学校両方の身分と職を持たせて、県内の小中学校へ教員の配置を行いました。避難した児童生徒が就学している学校に配置をさせていただきました。それから、県外では双葉町が埼玉県加須市に町機能、教育委員会機能を移転したことによって、児童生徒が百数十人近く小中学校に転入学をしたものですから、そこに教員の配置をしたところであります。この辺については資料の5と6に少し詳しく書かせていただきました。これら兼務発令によって配置した教員においては明確に職務規定をして、被災者でもある教員が多いのですが、子どものいるところに教員がいるという、基本的なスタンスから教員もしっかり職務に当たり、その仕事を達成するように日々努力してもらうということで、具体的な内容を資料の7に挙げさせていただいた次第です。

 今後の見通しについてでございますが、23校ありました学校再開できていない学校は、2学期から7校ほど再開の見通しが立ちました。2学期以降は16校再開できない状況であります。それから、7月15日現在で七千数百人の子どもが県外に行っているのですが、夏休み中にさらに県外に1,081名転校を予定している状況であります。こういう状況で県内でも教職員が非常に必要ではありますが、多くの子どもたちが避難をしている隣県へ教員の派遣を検討し、2学期から実際に派遣をしていきたいと考えております。次年度以降の教職員定数の加配については、当然、いただかないと教育が立ち行かない、全く先行きの見えない状況ではありますが、何しろ子どもたちの数の把握が十分にできないという状況であります。一刻も早く原発の問題が収束して定着というような形で、子どもたちの数の把握ができるようになれば一番いいわけですが、この辺の把握をして定数上の的確な積算に努めて、今後とも加配についてお願いをしていきたいと思います。

 これから、兼務発令をして各市町村に教員を配置したわけですが、その実践例について二本松市のほうから説明をしていただきます。

【佐々木氏】  福島県二本松市教育委員会の佐々木光政と申します。座ったままで失礼させていただきます。

 まず、本市におきましても全国各地の皆様、また、文部科学省をはじめ関係各省のご理解・ご配慮により、震災の復興に向けて取り組んでおります。しかし、今、県教委のほうからもお話がありましたように、福島県におきましては東京電力福島第一原子力発電所の事故により、いまだ復旧・復興に向かって本格的に取り組むことができない状況にあるということを、まずご理解いただきたいと思います。

 二本松市は福島県の中ほどやや北側に位置しております。東日本大震災の際には大津波の影響はございませんでしたが、震度6弱の地震が6分間ほど続き市内全域にわたり甚大な被害を受けました。すべての小中学校でも被害があり、現在でも校舎修繕などのために通常の学校生活が送れない学校がございます。本市では震災直後から子どもの安全確保と、学校の早期再開のために対応に当たってまいりました。今年度の小中学校の入学式や第1学期の始業式は、予定していた4月6日に一斉に実施することができました。

 次に、東日本大震災後の児童生徒数の異動をごらんください。今年度の新学期開始時は大津波や原発等により9市町村から、300名を超える児童生徒を本市の学校で受け入れなければならない状況でございました。入学式や始業式を行った4月6日では県教委とも連絡をとりまして、各学校の教室数や給食供給可能人員並びに各校の教職員人事配置に大幅な変更のない範囲での受け入れを基本に行いました。具体的には表にも書かせていただきましたが、小学校は193名を1校当たりの受け入れ者数1名~48名の範囲で全16校中14校に受け入れました。中学校では135名を1校当たりの受け入れ者数1名~40名の範囲で7校すべてに受け入れました。

 次に、兼務発令による教職員加配状況をごらんください。加配教員は現在まで4回にわたり発令され、それぞれの兼務校で勤務しております。2学期からは小学校では16校中8校に配置され、区域外による就学者、いわゆる避難している児童等でございますが、この子どもたちは182名となります。中学校では7校中6校に兼務教員が配置され、区域外就学で就学している生徒が127名という状況で、2学期がスタートする予定になっております。

 次に、各校に配置されました教員の活用状況についてご説明申し上げます。加配された兼務教員の活用をごらんください。本市では加配教員活用方針を踏まえ、特に次の2点に留意して実施してまいりました。教科指導では市独自で非常勤講師を配置している算数科におけるTT指導のさらなる充実を基本として、可能な限りTT指導による授業実践を行い、個に応じたきめ細かな指導ができるようにいたしました。また、生徒指導では余震の恐怖や身内を失ったことによる深い悲しみなどにより、新たな就学環境になじめない子どもが予想されましたので、一人ひとりの心に寄り添った対応を心がけるようにいたしました。

 活用の実際を具体的に述べますと、A小学校では5市町村14校から31名を受け入れました。低・中・高学年それぞれに加配教員を配置いたしまして、TT指導とともに給食指導・清掃指導など、状況に応じてさまざまな形で学級にかかわることができるようにしたため、学校全体できめ細かな対応ができました。

 また、B小学校では3市町村5校から45名を受け入れましたが、その中で新しい環境になじめず不登校傾向が見られた子どもに対しまして、加配教員が親身になってかかわるとともに、学級担任とも連携し学校生活になじめるように、連続性のある対応ができるように配慮いたしました。また、就学の悩みは子どもだけではなく保護者も同様で、顔見知りの加配教員を同行させ、校長が担任とともに避難所等へ家庭訪問を行い、保護者の悩み解決に向けた対応などもいたしました。

 また、C中学校では4市町村6校から30名を受け入れました。本市の場合、学校の規模によって中学校の場合は特に1教科1担当という場合が多いわけですが、加配教員が配置されたことによって1教科複数担当になり、指導法の情報交換とともに、生徒も気軽に質問ができ、授業の内容がよくわかるというような感想を聞くことができました。また、兼務教員の職能の向上が図れるように校務分掌の焦点化を図り、加配教員が短期間の配置であっても、やりがいや充実感が味わえるように配慮いたしました。

 次に、加配教員による成果と課題並びに今後に向けたお話をしたいと思います。成果はここに挙げたもの以外にも多くのことが報告され、加配教員の効果は申すまでもなく、学校現場にさらなる活力を与えるとともに、震災の復興・復旧への後押しのためにも、ぜひとも今以上の加配教員をお願いしたいところでございます。しかし、課題といたしまして本県の場合に加配期間が配置時に明示されてないため、限定的で応急的な活用になってしまいます。また、多くの加配教員自身も被災者であり、家庭内の問題であるとか、遠距離通勤などさまざまな問題を抱えながらも、児童生徒のために懸命に仕事をしております。しかし、今後、長期間にわたり震災前の職場に戻れず、加配教員として仕事を続けていくためには、加配教員の生活状況を勘案した勤務条件の一層の改善とともに、教師の心のケアについても考えていかなければならないと思っております。

 結びに、私は学校現場における東日本大震災の復旧・復興についての役割の1つに、未来を担うことのできる人づくりがあると考えます。すなわち、10年、20年先を任せられる人づくりこそが、学校教育に課せられた復興・復旧についての使命ではないかと思っております。そのためにも現状に甘んじることなく、一人ひとりの子どもが自分の将来に夢と希望を持ち、その実現に向けて自律的に取り組むことができるように、生きる力の育成に努めてまいりたいと思います。以上で私の説明とさせていただきます。

【木村主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、第1グループの3番目です。岩手県からお願いします。発表者は漆原さん、岩手県教育委員会事務局教職員課小中学校の人事課長ですね。それから、熊谷さん、岩手県教育委員会事務局教職員課小中学校人事担当主任経営指導主事ということになっております。

 では、お二人、よろしくお願いいたします。時間20分ほどでお願いできればと思います。

【漆原氏】  よろしくお願いいたします。今、岩手県の盛岡市に全国の中学校の子どもたちが集まっております。「つなげ未来への友情の絆」をテーマに、全国中学校総合文化祭が行われております。校舎が、体育館が、全壊しました陸前高田市立気仙中学校の子どもたちと、大きな被害を受けた大船渡市立大船渡中学校の子どもたちが、地域に伝わる伝統芸能を強く表現をいたしました。その後、代表した子どもが「被災を通し絆と感謝の気持ちを強くいたしました。今回の表現を通し私たちが復興の光となりたい。」と強く決意を述べておりました。本県に対します全国からの多大なご支援、励ましに対しまして心から感謝をいたします。ありがとうございます。また、このような機会をいただきましてほんとうにありがとうございます。座って発表させていただきます。

 初めに、本県の地理的な概要、そして、学校数、児童生徒数、教員職員数から見えます特徴について説明をいたします。お渡ししております資料1ページをごらんださい。岩手県は皆さんご存じのように関東の東京・神奈川・千葉・埼玉を合わせた面積より広く、北海道に次いで広大な面積を有しております。それに対しまして人口は133万人と全国では32位、人口密度は北海道に次いで少ない状況です。津波被害に見舞われました沿岸部と、人口や店舗・住宅が集中する内陸部との距離は100キロメートルにも及びます。このことが被災地の支援や住宅確保等に大きな影響を及ぼしてきました。

 学校数は人口の割合には多く、小規模校の学校が点在しております。特に沿岸部には小規模校の学校が多く、35人学級や国の加配措置の対象となる学校は極めて少ない状況です。また、人事異動については教員の生活根拠地に偏りがあることから、県では全県交流を実施しております。沿岸部は半数以上が沿岸以外の管外からの勤務者であります。遠距離通勤者と単身赴任者を合わせると2割を超える状況で、人材確保が非常に困難地域でもあります。これらの特徴を念頭に置いていただきながら、具体的に被災地の状況等についてご説明をいたします。

 2ページをごらんください。学校現場の状況であります。宮城県・福島県のほうからお話がありました共通しているところが多くございます。マル1の表のとおり人的にも物的にもその被害は甚大でありました。また、2の表のとおり校舎そのものの被害が大きい学校は複数校、ある学校におきましては4校が1校に、また、社会教育施設には2校、中学校1校がそれぞれ同じ屋根の下で学校運営に当たっております。また、校庭は仮設住宅の建設のために子どもたちの遊び、それから、部活動などが制限され思うようにできない状況に置かれております。このことはすぐ解決されるものではなく、複数年にわたって継続されていく可能性があります。さらにはマル3の表のように転出入児童生徒が全体の1パーセント近くに及び、この子どもたちへのきめ細かな配慮や対応が求められております。その上、4の表にありますとおり、数多くの教職員自身も被災いたしました。身内を失った悲しみ、住居や財産を失った苦しみに耐えながら、子どもたちや地域のために日々頑張っていただいているところでございます。地域における学校の存在、教職員の存在は大変大きなものとなっております。

 3ページをごらんください。学校現場の先生方の声をお届けしたく、被災加配配置校111校の小中学校にアンケート調査を行いました。マル1は被災後に増加した教職員の負担についてまとめたものであります。震災に伴いまして当然のこと実務が増大いたしました。また、配慮の必要な子どもたちへの対応、関係機関への対応、そして、教師自身、自分自身が被災に伴ったことによる精神的にも身体的にも負担感が増大いたしました。そして、今後の生活や経済的な面で負担を抱える教師も多くおります。震災直後の避難所対応、そして、全国からの救援物資の整理など、先生方自身の本来の業務でないものも含められておりましたけれども、それは避けられない状況でありました。外部からのさまざまな要請、調査への対応に追われてするなど、子どもたちへの学校の再開、授業づくりと、その業務との両立に大変なご苦労をいただきました。ちょうど3月11日から4月中旬までは人事異動、そして、年度末・年度始めの時期に当たり、さまざまな思いが交錯する中での苦しい日々でありました。沿岸部の先生方の教職員としての使命感や誇りに頼るしかない我々担当の気持ちでありました。このような中で国から迅速な加配定数による対応はほんとうにありがたいことでした。

 4ページをごらんください。先生方の今後に向けての課題、そして、不安に思っていることについて調査しまとめたものであります。当然のこと第1に、子どもたちに対する内容が圧倒的に多いことがわかります。被災した子どもたちの心のケアの問題、教育の充実の問題、授業の進度の問題、安全確保の問題など課題が山積しております。津波にのみ込まれる車を目の前で目撃した子どもも数多くあります。傷ついた子どもの心に希望を持たせる継続的・持続的な教育が求められております。第2に、子どもの生活を支える保護者に対する不安も非常に高い結果となっております。家族、家屋、財産、職を失い生活そのものが厳しい保護者の苦しみが、子どもたちに強く影響することは避けられない状況であります。そのほか教職員自身に対する支え、地域との関係づくり、施設設備の確保、防災安全の見直しなど、どれも長期間にわたって取り組んでいかなければならない大きな教育課題であります。

 5ページをごらんください。震災加配の配置状況・活用状況についてお話をいたします。(1)にありますとおり、本県では小中学校に第1次・第2次加配で201名もの加配定数をちょうだいいたしました。この加配につきましては津波による甚大な被害の大きかった沿岸部を中心に配置したほか、内陸部の被害の大きかった学校、盛岡市では600人台の大規模校が、今、現在3つの学校に分かれて授業を行っております。また、避難児童生徒を受け入れた学校などに配置をいたしました。本県では被害の大きかった沿岸部の教員の定期人事異動を停止いたしました。被災した児童生徒のケアや家庭・地域のサポートなどを図ることを優先するためであります。被災地の状況は非常に過酷で多くの課題を抱えております。しかも、学校ごとにそれぞれ課題は大きく異なりました。これらの課題に適切に対応するためには加配という形での人材投入、いわゆるマンパワーが大きな力となっております。

 各学校の取り組みを総合いたしますと、大きく3つの活用形態に分けることができます。第1は、子どもたちの学習の充実への活用であります。施設・設備、スクールバス等にかかわる子どもたちの学校での活動の制約、さらには子どもたちの転出入の激しさ、そして、復興教育など新たな教育ニーズに取り組みつつ、子どもたちに将来への夢と希望を持たせるためには、子どもたちの学習の保証がますます必要となっております。第2は、生徒指導の充実への活用です。震災によるショック、生活や環境の変化、ストレス、将来への不安、PTSD、子どもたちの抱える心の問題は大きく、今後さまざまな形でその影響があらわれてくると考えております。学校生活を軸とした心のケア、サポート等、教育相談や問題行動への対応がますます重要となっております。第3は、組織的対応の改善への活用です。先生方の本来の業務であります授業や生徒指導など、子どもたちに向き合う時間を確保するためには、さまざまな業務や校務分掌など加配教員を含めた学校全体での組織の改善が必要になっておりますし、現在行われているところであります。3つの活用形態でお話ししましたが、それを資料でお示ししましたそれぞれの観点で、大変有効に活用されていることですし、1つ1つの取り組みにつきましては長期にわたって必要になるものであります。

 それでは、具体的な活用状況につきましては宮古市の佐藤課長から発表いたします。

【佐藤氏】  宮古市教育委員会の佐藤です。当市に対するさまざまなご支援に対し心から感謝申し上げます。それでは、座らせていただきます。

 初めに、宮古市の被害状況についてお話しいたします。宮古市には小学校27校、中学校11校、計38校あります。地域が被災した学校は小学校15校、中学校7校、計22校、約6割が被災しております。教職員536名中被災した者は85名、全体の15.9パーセントでございました。児童生徒は4,640名中、家屋が被災した者が778名、16.7パーセントでございます。住宅の被災や保護者の死亡、離職による要保護・準要保護認定者は1,330名で28.7パーセントに上ります。

 このような中、震災加配が学校でどのように活用されているのかについて、被害の大きかった学校における対応と震災後の教育の見直しへの取り組みの2つの事例について説明いたします。まず被害の大きかった学校についてですが、今回の震災によって校舎が被災し使用できなくなったA中学校を例にとります。現在、A中学校は近隣のB小学校の3階を使用し学習を行っております。特別教室やさまざまな教育機器の使用など非常に制約を受けた教育環境にありますので、これを補うためここには加配を2名配置しておりますが、この加配によるチーム・ティーチングや個別指導、放課後の学習支援などのマンパワーは大変大きいものがあります。また、全校生徒の半数以上が家屋被災者であります。生活も避難所から仮設住宅へと移行することによって、なおさら家族を失った悲しさが募ったり、仕事を失った親のつらさを敏感に感じたりするなど心の不安定が心配されます。さらに自治会や地域のコミュニティが整わない中での生徒指導上の不安もあるところです。こういった生徒の心のケアや今後に希望を持たせる上でも、教員が生徒と向き合い、ともに活動し、相談に乗ったりアドバイスをしたりする時間は貴重ですし、震災加配の存在は大変有効でございました。

 次に、震災後の教育の見直しについてでございますけれども、今後の防災教育や復興教育については被災のあるなしにかかわらず、どの学校も見直す必要があるものと考えております。そのためには加配定数を活用し、復興教育担当が設置できれば理想であろうと思います。市内の学校においては、早速、1学期から地域の人たちの復興の現実を追い記録することを検討している学校や、市の総合防災ハザードマップを参考に、避難場所や水が氾濫するおそれのある小川などをチェックポイントに、PTAと企画した学区内ハザードウォークラリーというものに取り組んだ学校もあります。今回の震災により家族や友人、家や財産など日々の当たり前の生活を失った児童生徒、教員の悲しみはあまりにも深いものがあります。

 直ちにこの体験と向き合い乗り越えていこうとするには、ここで慎重を期さなければなりませんが、子どもたちを命や家族の大切さ、人と人の絆、当たり前の生活への感謝の気持ちなどについて強く実感しております。避難所でのボランティア活動を行ったり、節電・節水に努めたりするなど、みずから行動を起した児童生徒も大勢おります。こういった1つ1つの貴重な体験、これからの人づくり、地域づくりなどさまざまな要素を、教育活動全体と有機的に関連づけながら組織化を図って、真に児童生徒の生きる力をはぐくんでいくことを目指した復興教育に取り組んでいきたいと考えております。これらの計画づくり、教材づくり、教育実践には教員一人ひとりの知恵と体験と行動力を生かす必要がございます。この点からも震災による加配を十分に活用していきたいと考えております。

 以上、宮古市としての震災に伴う加配の必要性について、児童生徒への学習指導、生徒指導、心のケアの面、そして、これからの復興教育への取り組みへの面からの説明とさせていただきます。

【漆原氏】  引き続き、私のほうから今後の見通しと要望について説明をいたします。

 7ページをごらんください。震災加配につきましては学習面、生徒指導面、復興教育などの観点から、その有効性と必要性を繰り返し述べてまいりました。これらについては町が復興し、子どもたちの学びの環境が整い充実するまで、継続して進めていく必要があります。震災加配の継続的な配置につきまして、(1)にありますように各学校の要望をまとめますと、定数改善が他の項目と比べ大きいことがわかります。特に本県の沿岸部は小規模校が多く、学級編制や基礎定数の改善では、その恩恵があまり期待できないところであります。震災対応といった目的を定めた加配措置が必要な地域であり、震災加配の継続的な配置を切に望んでいるところであります。また、本県では(2)にありますように「いわての復興教育」を、県全体で被災の経験を人づくりにつなげようとして進めているところです。そこで加配枠を活用し復興教育担当と位置づけ、これを強力に推進していきたいと考えております。

 最後になりますが8ページをごらんください。8ページの調査の結果につきましては、各学校の課題に対しましてどういう人材が有効であるかを考えて調査したものです。やはりマル1の学習指導や生徒指導への加配のニーズが高いことがわかりますが、さらに注目したいことは心のケアについてのカウンセラーや養護教諭を望む声があること。また、分掌改善に対しては非常勤職員、環境整備に対しては地域人材やボランティア、地域連携や下校・放課後等の対応につきましては地域の人材やボランティアのニーズが高いこと。そして、小学校・中学校を比較しますと、中学校は当然のこと生徒指導、小学校では登下校の安全や放課後の居場所を求める声が高いことなどがあります。

 学校が必要としている人材はもちろんのこと、教職員定数としての加配は当然ですけれども、このほかに地域の人材活用事業や放課後の居場所づくり推進事業のような形での人材確保についてもニーズが高いということです。

昨日、3月まで被災地で校長をしていた校長先生とお話をする機会がありました。高台を目指し子どもたちの避難場所を3回変え、最後には高台で子どもたちと一夜を過ごし、次の日おうちの方々に子どもたちを返した方のお話であります。小学校4年生のとき校長自身もチリ地震津波を体験したそうです。今、その校長先生は夢を見るそうです。チリ地震津波のときの夢だそうです。今の子どもたちが夢と希望を持てるようにするためには人が大事である、人のぬくもりが大事である。加配教員を含めいい教員との出会いを多くしたいというお話でした。

 以上、岩手県の現状や課題、それに対する震災加配の状況、継続しての加配のお願いについてお話しさせていただきました。ありがとうございました。

【木村主査】  どうもありがとうございました。

 2番目にご発表いただきました佐藤さんについてご紹介を忘れてしまいました。佐藤さんは宮古市の教育委員会事務局で学校教育課長をお務めでございます。大変失礼いたしました。

 それでは、20分ほど時間ございますので、第1グループ、宮城県・福島県・岩手県からのご発表について、ご質問等ございましたらお願いをしたいと思います。どうぞ、清原委員。

【清原委員】  ありがとうございます。三鷹市長の清原です。きょうは被災地からお越しの皆様、ほんとうに復興再生に向けて厳しい環境の中にいらっしゃる中、貴重なお話をいただきましてどうもありがとうございます。

 宮城県の菅野校長先生にご質問をさせていただきます。先ほど都から派遣された職員、あるいは他県から派遣された教員を含めて県内で、それぞれの県で加配の教員として活躍をしているということを聞いてとても心強く思いました。三鷹市でも東京都教育庁、教育委員会の呼びかけに応じて教員が応募しまして、実際に被災地に行っているのですが、現職の教員が被災地で活躍できていることをとてもうれしく思います。その中で校長先生は、あるいはほかの皆様も共通におっしゃったことなのですけれども、子どもたちの心のケアや学習指導の向上に有効に活躍してくれているだけではなくて、教員のケアあるいは保護者へのケアまで、そうした加配した教員が活躍している例もあるということでした。

 私は、被災地においての教員の加配というのは、まず第一義的には、子どもたちのために、また学校教育の維持のために必要なことだと認識しておりますが、あわせて校長先生がご指摘されたのは、まさに学校が崩壊したコミュニティの再生のために、あるいは、新たなコミュニティづくりのためにも機能している取り組みの事例を、短い時間でしたがご紹介いただいたのではないかなと思っているんですね。そういう意味で、被災地の「復興」のために教員の加配の効果があり得るのではないでしょうか。これは岩手県が提案された「復興教育」の意義にもあらわれていることだと思います。そういう意味で、子どもたちのためだけではない教員加配の意義について、もう少し教えていただければ大変心強いと思います。よろしくお願いします。

【木村主査】  では、菅野先生、よろしくお願いします。

【菅野氏】  実際は初めの1カ月ぐらいは派遣された先生は何をしていいか全くわからない状況でした。でも、非常にお力のある先生ですので、先ほどもお話をさせてもらったとおり、子どもの実態把握だけではなくて先生方の心の部分、あるいは、教科指導、生徒指導の部分まで「どうですか、これはどうなのでしょうか、これはどうなのでしょうか」という話をしていきながら、子どものほうにも非常に入り方が上手で、子どもの本音というんでしょうか、どちらかというと、静かな子もハイテンションというのでしょうかね、被災を受けたことでそれを払拭しようとして、学校に来ると非常に感情が高ぶっている状況が多々見られたんですけれども、加配の先生はその状況を見て「これはおかしい」と判断され、県から派遣されているスクールカウンセラーさんやら、あるいは、東松島でも不登校対応の補助員さんがいらっしゃるのですが、その方を通して福祉事務所等も連携をしながら、子どもの状況から「ご家庭はどうなっているのでしょうか」、そういう情報集めをして、私のできるところはぎりぎりですけれども、保護者のほうにもあとお会いできれば校長先生よろしいんじゃないでしょうかというご提言をいただいて、現在も動いていただいている状況です。このくらいでよろしいでしょうか。

【木村主査】  よろしゅうございますか。

【清原委員】  はい、ありがとうございます。すなわち被災地における教員の加配というのが学校教育のみならず、地域の復興再生においても効果があるとしたら、その点を評価することが、今後の教員加配の継続に対する1つの根拠になるのではないかなと考えました。以上です。ありがとうございました。

【木村主査】  今、清原委員が提起された問題ですが、今、応援に行っていただいておられる先生方に、少し聞き取り調査のようなことをやってもいいですね。それから、受け入れられた教育委員会でも少しその辺を少し調べていただくということもよろしいのではないかと思います。

 はい、ほか、どうぞ、米田委員。

【米田委員】  秋田県からも、今、実際に宮城県に5名の教員を派遣しております。3名は小学校、それから、2名は中学校ということで、全部違う学校に勤務していますが、直接声を聞いてまとめておりますので、紹介させていただきたいと思います。

 1人は、これ小学校に派遣されている方ですが、この先生は今5年生と6年生の理科の専科、それから、6年生の算数の少人数の学習の担当をしています。初めて授業したときにはとても元気がよくて、はきはきと答える子どもが多いなという印象がありましたが、反面、一部の子どもしか積極的に参加していないようなところもあったそうです。そこで例えば理科の授業では一人ひとりが実物に触れて、友達とかかわり合いながら学習を進められるように意識的に授業を展開しています。また、算数の少人数の学習では一人ひとりがまず自分で考えて、自分の考えをもってそれを友達と意見交換をするという形をとりながら、自分の考えを深めていけるようにして、全員が授業に参加できるような展開を心がけるようにしていったと、これはある小学校のケースです。

 それから、ある中学校に派遣されている先生の状況ですが、この先生方はみんな7月に入ってから派遣されたのですが、授業のほうは7月の前半は慣れるという意味も込めてT2として参加しておりました。空き教室がない状態なので少人数授業ではなくてTTでの授業を行っていますと。T2として例えば数学の授業で机間巡視して子どもたちの支援をしながら見ていると、具体的にはかなりの生徒が正と負の数の計算の決まりなどの定着が不十分であるということに気がついて、夏休み明けはその辺のドリルからしっかりまた入っていかなければいけないということを感じているそうです。それから、家庭学習への取組とかノート指導などについては、自分が今までやっていた秋田県ほど力を入れていないなという印象をもったということで、こちらのほうでも少しずつ自分のカラーを出しながら、指導をしていきたいと思っているという印象をもったそうです。

 それから、これはまた別の小学校に派遣されている先生ですが、これは実際学校の様子からちょっと戸惑っていることを挙げておりました。この小学校にはほかの小学校、そして、また中学校が入っておりまして、結局、3つの学校が一緒に活動している学校であります。そこでは特に小学生の場合に名札をつけておりますが、名札を見てようやく名前あるいは学校等の確認ができるということでした。中学生の場合は制服があるということで、これは比較的確認しやすいんですけれども、小学校の児童の場合ちょっと確認に苦労しているということもありました。こういうことも含めまして、いずれ学校が変わって自分がそこに入り込んでいって、自分なりにいろいろある意味での異文化を感じているというところですが、これは先ほどのリポートにもありましたけれども、お互いにとっての研修のいい機会にはなっていると言えるのかもしれません。以上、状況をご報告いたしました。

【木村主査】  どうもありがとうございました。

 ほかにございますか。どうぞ。

【兵馬委員】  私の学校でも実は養護教諭を石巻の高校のほうに派遣いたしました。7月1カ月行って、また3学期にも派遣するんですけれども、7月に派遣された学校と今後3学期に派遣される学校が違うということがありまして、実際に行ってみると養護教諭の先生は実際の現場での心のケアに当たっていらっしゃるのですが、本校から行った職員はそのフォローということで行っているけれども、やはりケアというのは非常に時間がかかるだろうと。自分が行ってもなかなか何をしていいかわからないけれども、また次回行ったときにもし同じ学校に派遣されるのであれば、もう少しお役に立てるのではないかということを言っておりました。

 それから、福島県の特別支援学校の生徒さんが東京のほうに避難されて、本校でまた受け入れをしたんですけれども、その際に福島県の特別支援学校の先生が土曜日ですかね、学校のほうに尋ねてくださいまして、前任校での様子というのを伝えていただいたのですが、これも非常に我々としては役に立ったというのは、転居して突然本校に来たわけですから、何らその情報がなかったところですけれども、その先生は勤務としてではなくて、土日を使って自分たちの特別支援学校にいた子たちが東京に転校したということで、順番に回っているんですということで回られていましたが、この2つ合わせてもやはり加配の教員の活動のレパートリーというのは、非常に広い部分があるのかなと思いますし、これは単年ではやはり済まない問題だと思いますので、本校から送り出す側にしても、それから、本校に生徒さんが来て実は学級の子どもの数が増えて、本校の職員が困っている部分があるんですね。途中から増えたということがあるんですけれども、それはお互いさま協力するという中で、本校の職員や、それから、保護者たちにもこういったことでの被災地等への支援ができているということで、自校の生徒たちにも、また地域の方々にもお話しできることかなと思っていますので、ぜひまた頑張って復興に向けて努力していただければと思っています。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんか。どうぞ、藤崎委員。

【藤崎委員】  皆さんのご発表をお聞きしまして、1つカウンセラーということで心のケアの専門家の要望等が非常に強いことを感じましたが、一方で、お話の中で心のケアのみならずやはり医療とか、例えば保護者を支えるにも福祉行政につなぐとか、あるいは、医療への対応にどうやってつなぐかという、コーディネーター的な役割もより多く求められているような気がいたしまして、ということは、カウンセラーももちろんですが、むしろスクールソーシャルワーカー的なつなげていく、そういった役割をより強く求められているのか、それとも個々の対応の心のケアが今は先に必要とされているのか、そこら辺をちょっとお聞きしたく思います。お願いします。

【木村主査】  どなたがよろしいですかね。

 岩手県がいいかな。お願いします。

【佐藤氏】  今のご質問の例になるかどうかわかりませんが、先ほどの一番被災の大きかった学校の例ですが、学校では明るく元気にしていて、両親とも被災から免れても、両親の不仲や就職にかかわって家庭内が不安定であるという情報が何件か福祉課からございました。スクールカウンセラーの資格を持った方も少ない状況ですけれども、専門家の方と連絡とれるように校内の組織的な部分をつくっていかなければいけないなと思っております。

【木村主査】  ありがとうございました。

【藤崎委員】  ありがとうございます。

【小川副主査】  質問ではないのですが、私も、一応、今、岩手県の震災復興計画委員会の専門委員を務めており、これまで岩手県の被災地である沿岸部に入り調査をしてきました。私の考える課題については、今日の報告とほぼ内容が重複しますので繰りかえし述べませんが、私自身、実際に被災地に入ってみて4市町の教育委員会関係者と多くの学校の関係者から色々ヒアリングをさせて頂き、特に印象に残ったことというか、この場でどうしても訴えたいということが幾つかあったので発言をしてよろしいでしょうか。

 1つは、震災加配というのが、やはり被災地の学校を支えていく上でほんとうに死活の条件でして、震災加配でもって今何とか現状の学校運営と教育活動を維持しているという状況であるというのが非常によくわかりました。時限が切れて今の震災加配が引き上げられるような状況になると、今、ぎりぎりのところで行われている学校や様々な教育活動を維持できないんじゃないかという不安が、非常に関係者の方に強くて、ぜひ今の震災加配は維持してほしいということを非常に強く、どこでも強く希望されていることが印象でした。今回の被災でもって地域のさまざまな条件が喪失される中で、改めて学校が地域づくりの中核というか、地域の要であるということが非常に鮮明になって、地域から求められていることはもう何でも、今、学校が引き受けて何でもやるというふうな状況の中で、地域づくりと学校教育活動がなされている状況ですので、震災加配という支援は、数年間おそらく続くと思いますけれども、ぜひこれは維持してやってほしいなということを感じました。

 2つ目には、子どものケア云々ということでいろんな支援の必要性は、今日の3県からの報告でも当然そのとおりなのですけれども、なかなか教育委員会とか学校側から言えないことは、先生方をもう少し何かリフレッシュできないかなということをすごく感じました。先生方はさっき言ったように、地域とか保護者から求められていることは、もう何でも引き受けてやっているという状況ですので、例えばスクールバス1つとっても、スクールバスは被災地域を回って子どもを乗せていきますので、その安全等を考えて先生方がもう早朝からもスクールバスに乗って、子どもたちを迎えにいくというふうな活動から始まって、保護者が生活困難の中でいろんな生活問題を抱えている中で、そうした保護者の生活問題も含めて学校にいろいろ相談するというような、ある意味では地域の相談の窓口みたいな形で学校が機能していますので、ほんとうに地域から求められているもの、必要なことはもう基本的には学校教員が何とかしてあげようということでいろいろ取り組んでいます。

 そういう中でもう一方では、子どもたちのいろんな状況を見ると、避難所とか仮設住宅に入っている子どもたちは、もう家庭で自学自習の勉強するという条件ではありませんので、子どもたちを何とかして学校にいる間、学校の授業でわかりたいし勉強したいと思いますし、先生方も学校の授業で子どもたちにわからせる授業をしたいという、そういう気持ちが非常に強いんですけれども、なかなかそういう授業づくりのためのさまざまな諸準備をする時間もない。さっき言ったようにスクールバスから始まって、保護者の生活や地域のさまざまな相談まで乗って活動するということで、先生方はほんとうに献身的にやっているんですけれども、もう数カ月経過する中でかなり先生方も疲弊しているんですよね。

 今後、重要なことは、さまざまな子どものケアも必要ですが、授業で勝負する環境ということももう少しきちっと体制をつくってあげることも必要なのかなと感じました。そういう点では、さまざまな学校や教員への支援のための専門職員をきちっと配置するとともに、先生方が、例えば、授業づくりのために、ある時期、何日かでもいいですけれども、被災地を離れてさまざまなすぐれた学校の授業や教育実践を見るとか、何かそういうリフレッシュも含めた先生方の授業力向上というか、教育活動向上のためのさまざまな研修ということも、今の時期忘れてはならないのかなということを感じました。何か加配等も含めて、そういう被災地の先生方の研修の充実ということも、施策の中では非常に重要な課題なのかなということを感じました。

 最後、先ほど藤崎委員のほうからも質問あったんですけれども、私も被災地域に入って学校が中心となって福祉事務所とかいろんな関係機関と連携とりながら、さまざまな生活困難を抱えている保護者の問題と、保護者の家庭の子どもの問題に対応しているというお話を伺ってきましたが、それらの仕事の中身はスクールカウンセラーの領域をかなり超えている面もありますし、先生方がそうしたコーディネートをやるというのももうかなり限界があります。おそらく長期的に考えると保護者の生活の困難というのはこれから長期化しますし、そういう中でそういう家庭や福祉事務所とか学校がきちっと組織的に連携してさまざまな地域の資源を使って、子どもの教育と保護者の生活再建に中心的に動いてくれるスクールソーシャルワーカーみたいな専門職というのが、ああいう被災地のところではなおさら必要なのかなということをすごく感じてきました。

 被災地を幾つか見てきたんですが、そういうスクールソーシャルワーカーを配置するような地域はまだありませんので、なかなか自己負担でもってそういうスクールソーシャルワーカーのような専門職員を配置していくということは大変難しいと思うので、何か国の支援等々でそういうようなことも促すことができる仕組みということも、少し考えていく必要があるのかなということを少し感じました。済みません、ちょっと長くなりました。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんか。よろしゅうございますか。はい、どうぞ、ちょっとこちらから見えなかったものですから失礼しました。どうぞ。

【長南委員】  福島県に対してですけれども、二本松市教育委員会の資料の4ページ、ここに「加配された兼務教員の活用」のところの活用方針として2つ載っていますね。1つは「個に応じた事業を充実させるために、TT指導を中心にあたる」という、このことをなぜTT指導を中心に当たる方針にしたのか。説明を聞いていると震災加配の今後の予定なんかもよくわからないし、いろんな点でTT指導が一番妥当な活用の仕方なのかというように考えたのかですかね、それとも、二本松市の教育委員会や市全体でTT指導を中心に学習指導の改善をしているというのがあったのか、そういうところをちょっと教えていただきたいなと思います。

【飯村氏】  県の立場でお話をさせていただきます。先ほど話が十分できなかったのですが、加配でいただいた教員を兼務で出しているわけですが、その教員というのは学校が再開するとその学校に戻ることになります。福島県の場合、加配教員はすべて原籍校があって、子どもたちが避難をしているところに兼務で行って、そこの学校の指導に当たっているわけです。原籍校が再開すると戻ることになるので、担任や、それから、主たる授業をやっていると、その者が抜けることになってしまう。そういう場合が多いものですから、一応、1学期においてはTTでお願いしますと、県である程度方針を決めて加配の活用をお願いしたところであります。

【木村主査】  長南委員、いいですか。

【佐々木氏】  それらを受けまして、本市では先ほどもお話しいたしましたように、市独自で前々から算数の非常勤講師を雇用いたしまして、高学年の算数でTTを実践しておりました。そのため、各学校の実情に応じて、例えば高学年から学年を下げていくなどによって、兼務に来られた先生方を従来の二本松市でやっているようなTTの形態を生かしながら、活用しているという状況でございます。

【長南委員】  わかりました。ありがとうございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 まだ多分ご質問等あろうかと思いますが、時間の関係もございます。一番最後に時間が少しとれるかと思いますので、その際、3つの県のプレゼンテーションに対してもしご質問等ございましたらお願いできるかと思います。

 ここで5分間だけ休憩をさせていただきまして、40分から次の部に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【木村主査】  それでは、よろしゅうございましょうか。少し時間が過ぎておりますので次の部を始めさせていただきます。

 この部のトップバッターをお願いしておりますのは、この検討委員会の委員でもいらっしゃいますが、東京都渋谷区立富谷小学校校長の小澤委員でございます。小澤委員には小学校の実情についてご発表をいただく予定でございます。先生、20分程度でよろしくお願いいたします。

【小澤氏】  では、全国連合小学校長会対策部長をやっております小澤でございます。

 全国連合小学校長会はこれまで学級編制の引き下げの必要性について30年間訴え続けておりました。今回、小学校第1学年の学級編制の標準が40人から35人に引き下げられましたことにつきまして、まず高く評価させていただきたいと思っております。今後、小学校第2学年以降においても学級編制の標準を第1学年と同様に引き下げるとともに、その運用について施設設備の状況など学校現場の実情応じた柔軟な仕組みとすることが重要であります。学級編制標準等の改正が教員が子どもと向き合う時間の確保となりますよう、学習指導要領の改定の趣旨でもある真に子どもたちの生きる力の育成につながるよう、全国連合小学校長会としての意見を、きょう提出いたします提出資料を参照しながら申し述べさせていただきたいと思います。

 全国連合小学校長会提出資料、資料5でございますけれども、ちょっとこの内容について前半概説させていただきまして、その後、意見の内容について申し述べさせていただきます。資料5につきまして1ページ目、アンケート調査の概要でございます。調査対象県、調査対象校、それから、調査対象者、それから、時期でございます。具体的には4月~6月まで2カ月間、新1年生の35人以下学級を実施した状況を踏まえての内容でございます。

 ページをめくっていただきまして2ページ目でございます。第2項目「調査結果の概要」であります。少人数学級の実施につきまして、全体的には校長、担任教員等肯定的に回答しております。効果が顕著な部分の回答の割合の事項につきましては、以下、学習指導面、生活指導面、学級経営面でございます。それから、その下に保護者の回答として「非常に感じる」という部分の回答の割合が高い事項についてであります。さらにその下部に3項目、少人数学級実施による業務の効率化、1年生の担任からの回答。それから、2年生以上の35人以下学級の必要性及びその理由、保護者の回答。それから、チーム・ティーチングや少人数指導実施の効果、校長の回答でございます。3ページ目以降につきましては、3・4ページ目、ただいま申し述べました本調査結果の概要のバックデータでございます。教育効果等のアンケート、校長用の部分が3・4ページ、学級担任の部分が5・6ページ、最後が保護者用、こういう全体の構成になっております。

 では、全国連合小学校長会からの意見の内容について移らせていただきます。口頭でよろしくお願いいたします。1点目でございます。小学校第2学年以降においても学級編制の標準を40人から35人以下に引き下げることが望ましいと考えております。その根拠でございます。第1点目、第1学年の進級に合わせて学級編制の標準を万が一引き下げない場合、再び第2学年で学級編制を行うこととなり、学校での混乱が予測されるからであります。この混乱の具体的な状況の1つは、再び学級編制を行い学級規模を大きくすることにより、生活指導上、生徒指導上、そして、学習指導上、低学年の教育の指導上の質の低下をもたらしかねないということであります。

 具体的には先ほど申し述べました調査データに沿ってお話をさせていただきます。実際に1年生で35人以下学級を実施しての効果であります。この調査では学習指導面、生活指導面、学級経営面、それぞれにおいて児童一人ひとりの具体的な指導に効果があることが挙げられております。さらに配慮が必要な児童への対応や、家庭との緊密な連携に効果があるとされております。これらは、今日、家庭状況の多様性から来る各小学校の抱えている課題、これを明らかにしているとともに、その上での対応に苦慮している学校の姿も示しているというように受けとめております。したがいまして、小学校第2学年以降において35人以下学級が実施できない場合、教育効果の面から重大な問題が起こりかねないと、そういう現状もあると考えております。なお、低学年における特に生徒指導上の課題に対する対応の必要性は、これまで幾つかの県教育委員会の報告にもありましたとおり、単に小一プロブレムとして第1学年に必要なものではなく、今日、低学年として小学生の発達段階を考えると第1学年、第2学年に必要なものと考えております。

 2点目でございます。保護者の理解であります。各県校長によれば全国で約4割近い学校が小学校第1学年から第2学年の進級時に、クラスがえを行わない、実施しない状態があります。また、第2学年で学級の児童数が多くなる40人学級に戻すことは、配付させていただきました資料にもありますように、到底保護者の理解が得られないものと思っております。この教育指導上の質の低下についての保護者の不安は、各小学校の校長、教職員、そして、教育委員会が受けることとなります。その結果、各県単独に検討を迫られることとなり、今日の財政状況からして困難な判断になると思います。公立義務教育としてのそのような状況を出していいものなのかどうか、ぜひ賢明なご判断をいただければと思っております。

 なお、本日配付させていただきました調査データ、2年生以上の35人以下学級を実施しなかった場合に懸念される事項では、懸念される事項としてほぼ同じ割合で、1点目、きめ細かな学習指導、2点目、生活面でのきめ細かな指導、3点目、配慮が必要な児童への対応の3項目が挙げられております。先ほど申し述べました35人以下学級の効果とあわせてご検討いただければ、学級編制の標準を引き下げることが、今日の小学校教育経営並びに保護者の学校教育への信頼に対して、いかに重要かご判断いただけるものと考えております。

 第3点目でございます。教員の子どもと向き合う時間の確保の課題であります。児童・保護者の状況の多様性から考えて、今日、小学校教師は日々の児童への指導、勤務時間終了後に集中して保護者への電話連絡などに追われております。学級の児童数が増えることにより、増加児童数の数倍対応が必要となることが予測されます。教師の子どもと向き合う時間の確保からも憂慮される事態が生じます。なお、本日配付させていただきました調査データ、小学校1年生の35人以下学級実施による効果の中では、教師と児童との関係の緊密化、家庭との緊密な連携、さらには提出物の丁寧な添削などが挙げられていることは、まさに現実の小学校教員の勤務遂行状態の実態の裏づけと受けとめております。

 大きく第2項目、第2点目でございます。小学校第2学年以降においても1学年の人数が40人以下など児童数が少ない場合は、1学年を分割せず学級担任をサポートするTT教員等として、活用することも可能としていただきたいと考えております。その根拠の第1点目でございます。1学級の児童数が20人以下となる場合を想定すると、いわゆる児童相互の学習時間の中での課題に係るコミュニケーションが不活発になることが予測されます。そのことにより児童の学習集団としての見方や考え方の幅が狭くなり、結果として学習効果として質が向上しないことが心配されます。第2点目でございます。小学校校長は学級担任を決める際に所属校に配属されている教師の指導力、年齢、性別、教職経験年数、主幹・主任等の役職など多くの要素を考慮して決めます。このような状況の中で校長が学級の児童数とともに学級担任をサポートするTT教員として運用することが、学級担任とすることより相対的に教育効果として期待できると判断した場合は、引き続き尊重をしていただきたいと考えております。

 大きく第3点目でございます。公教育の質の改善のための加配教職員定数の維持は、学級編制の標準の引き下げとともに重要であります。習熟度別指導等のための加配教職員定数を平成23年度水準よりさらに減らさないことが望ましいと考えております。その根拠について第1点目でございます。加配教職員定数をさらに減らすことにより、これまで実施してきた習熟度別指導等の指導水準が低下することが予測されます。習熟度別指導等は全国学力学習状況調査の結果にもありますように、特に学力が低いグループに対する一人ひとりの学習へのつまずきに対するきめ細かな指導、学力が上位なグループに対してもさらに発展的な問題解決の場面を設定するなど、国全体としての学力水準の向上のためにも欠かせません。これまでの各県教育委員会などの報告にもありましたとおり、指導水準が低下するため各県教育委員会の状況にあわせたご努力をしていただいているというようにこれまで受けとめております。

 しかしながら、今日の逼迫した財政状況の中で教員の配置を行っていくことは、義務教育として国からの人的配置、加配教員の裏づけが必須であります。現在以上に加配教職員定数を減らすことにより、各学校の加配教職員数を減らすことに具体的には結びつき、その結果として指導水準が低下してしまう事態となると考えております。なお、本日配付させていただきました調査データ、チーム・ティーチングや少人数指導の実施状況では、約90パーセント近い小学校が実施しております。その内容につきましては算数や国語などの個別指導、きめ細かい指導により効果が上げられております。万が一、加配教職員定数をさらに減らすことより、チーム・ティーチングや少人数指導を行う教職員配置ができない状態が生じますと、習熟度別指導等を含めた指導水準の低下が憂慮されます。

 2点目でございます。これまで配付されております学級編制、教職員定数等に関する基礎資料にもありますように、特別支援教育や日本語指導が必要な外国人児童生徒への指導などのいわゆる指導上配慮が必要な児童生徒の増加への対応であります。指導方法を工夫改善以外の加配事項にかかわる定数の削減が万が一ありますと、各県教育委員会、地教委、各学校に大きな指導上の混乱、指導水準の低下を招きかねないと考えております。

 大きく分けての4点目でございます。都道府県から市区町村へ配置される加配定数教員を、市区町村教委の判断で弾力的に活用できる制度が具体的にあるとよいと考えております。その理由につきまして申し述べます。加配教職員定数にかかわる運用についてであります。加配教職員定数は学級編制、教職員定数等に関する基礎資料、これは既に配付いただいた資料でございますけれども、44ページにご案内いただいたとおり、習熟度別指導のための少人数指導の実施、いじめや不登校への対応など学校が個々に掲げる課題解決のために、学級担任等の基本的な教職員定数、いわゆる基礎定数とは別に、毎年度の予算の範囲内で特別的に措置いただいているものであります。国は都道府県から提出された申請を受けて、加配の類型ごとに総数を配分しているものであります。このように指導方法工夫改善や児童生徒支援など加配事項があらかじめ定められていると思いますけれども、新年度在籍する児童や配置される教職員の状況に合わせて、最終的に各学校の運営状況を把握している市区町村教委の判断で、弾力的に活用できるようにすることにより、限られた教職員加配をより有効に運用できる制度の構築が望ましいと考えております。

 最後に、第5点目でございます。普通教室等の不足で35人学級の編制が当面困難な学校につきましては、40人以下学級で許容することが望ましいと考えております。その理由は東日本大震災被災地校等の状況等により、35人学級の編制が校舎の状況などにより当面困難な学校につきましては、状況改善年度まで40人以下学級で許容いただけないかと考えております。学校運営の実施困難というような状態が生じる可能性が具体的に生じるからであります。

 全国連合小学校長会としては、大きく分けて以上5点につきまして意見を申し述べさせていただきました。以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして全国都道府県教育長協議会に参ります。きょうはお三人お見えになるはずでございましたが、富山県教育委員会事務局の荒井理事は、豪雨のため東京に着けないということで、お二人にお願いすることにいたしました。お一人は全国都道府県教育委員会連合会事務局の黒田局長、それから、京都府教育庁の橋本管理部長でございます。

 では、まず黒田局長のほうからお願いいたします。

【黒田氏】  今ご紹介いただきました全国都道府県教育委員会連合会の事務局長の黒田でございます。日ごろから私ども連合会のほうの活動につきましてご理解・ご協力いただきましてまことにありがとうございます。この場をおかりしましてお礼を申し上げます。また、本日、検討会議におきまして、こういった意見を表明する機会をちょうだいしましてまことにありがとうございます。重ねて御礼申し上げます。恐れ入ります。座ってご説明申し上げます。

 私ども都道府県教育委員会連合会は都道府県教育委員会の委員長の協議会と、教育長の協議会の連合体でございます。この両協議会のほうから本日ご提出させていただきました資料6「公立義務教育小学校の学級編制及び教職員配置の適正化に関する意見書」、こちらにつきましてご説明をさせていただきます。また、本意見書作成に際しまして少人数学級あるいは少人数指導に関し、すべての都道府県教育委員会にアンケート調査を行いまして結果を取りまとめました。それが参考資料のマル1・マル2でございますが、そういったものをあわせてご説明をさせていただきたいというように思ってございます。

 これらの意見書につきましては、作成をいたしました富山県、それから、京都府からご説明をさせていただきたいと思っているところでございますけれども、今、木村主査からもお話しございましたように、富山県の荒井理事は、残念ながら、飛行機が羽田空港に着陸できず引き返してしまいましたので、本日は欠席ということでございます。その点につきましても京都府の橋本管理部長からご説明をさせていただきたいというように考えてございます。よろしくお願い申し上げます。

【木村主査】  では、お願いいたします。

【橋本氏】  京都府教育庁管理部長の橋本です。よろしくお願いいたします。

 全国都道府県教育委員長協議会及び教育長協議会では、少人数学級の効果及び加配の必要性に関する全都道府県アンケート調査の結果を踏まえまして、文部科学省からの学級規模及び教職員配置の適正化についての意見照会に対しまして、去る7月に意見書を提出させていただいたところでございます。初めに本意見書の前半部分に係る少人数学級の現状と効果につきまして、これは富山県さんが実施されたアンケート結果になりますが、参考資料1という部分になりますので、これに基づいて説明をさせていただきます。

 最初に意見書の1「小学校2学年以降における35人以下学級の早期実施」についてでありますが、ここでのポイントは少人数学級の効果と小学校2学年以降における早期実施であります。アンケートの問1では各都道府県における少人数学級編制の現状、問3では少人数学級の効果について聴取をいたしているものでございます。まず資料の1ページ・2ページでございますが、今年度、国において小学校第1学年につきましては、1学級の標準が35人に引き下げられたわけでありますが、小学校2年生でも約85パーセントの県において、また3年生~6年生につきましては約30パーセント~45パーセントの県において、国の加配定数の活用や、それに県単費を加えまして前年度より拡充をして、少人数学級制を実施しているところでございます。

 少人数学級の効果についてでありますが、資料の6ページ及び8ページでございます。まず学習面では小中学校とも児童生徒の積極的な授業への参加に極めて高い効果が見られます。それから、特に小学校では授業につまずく児童生徒の減少、また基本的な学習習慣の定着につきましても高い効果が見られるというような回答をいただいているところであります。また、資料の7ページ及び9ページの部分でありますが、生活面に着目しますと、落ちついて学校生活を送れるようになったこと、あるいは、基本的な生活習慣の定着につきまして、小中学校ともに極めて高い効果が見られると、そのような結果が出ております。また、一人ひとりの能力に応じた指導をきめ細かく行うことにより、児童にわかることの楽しさや喜びを味わせることができ、そのことが学習意欲につながった、あるいは、児童生徒の欠席日数が減ったと、そのような効果も示されております。

 指導上の効果についてでありますが、資料の10ページ及び12ページの部分でありますが、学習面においては小中学校ともにほぼすべての県が一人ひとりの進みぐあいに合わせた指導がしやすい、一人ひとりの発言を大切にすることができるという効果が見られ、資料の11ページ及び13ページに示しております生活面におきましても、子どもの話をじっくりと聞くことや、配慮を要する子どもへの細やかな対応ができるなど、極めて高い効果が認められます。なお、少人数学級になっただけで効果が上がるというわけではなく、少人数を生かした教師の工夫、学校の取り組みが伴うときに大きな効果が期待できると、そのような意見も寄せられているところであります。これらの効果につきましては、幾つかの都道府県から提出されました少人数学級の効果を検証した独自のアンケート等においても、同様の効果が報告されているところでございます。以上のことから、多くの都道府県がさまざまな工夫のもとで、少人数学級に取り組んでいる現状にかんがみまして、その学習や生活の両面での効果を踏まえて、早期に小学校第2学年以上の学年におきましても、35人以下学級を実現していただくようによろしくお願いしたいと考えております。

 続きまして、意見書の2番「中長期的な定数改善計画の早期の策定」についてでございますが、ここでのポイントは定数改善計画の早期策定とその着実な実施でございます。まずアンケートの2では少人数学級の財源について、問6では小1・35人学級の導入に伴う影響につきまして、また、問7では今後の少人数学級のあり方について意見を聴取したところでございます。今回の小1・35人学級の導入に伴う影響につきましては資料18ページでございますが、約40パーセント、18の都道府県で少人数学級の対象を小学校2年生以降や中学校などに拡大させることができた、学級編制基準を引き下げることができたという回答をいただいており、小1・35人学級の導入が少人数学級の拡充の1つの契機となったということがわかるかと思います。しかし、その一方で国の加配の減によりまして、少人数指導を行うための加配教員が不足し、新たに県単費で対応したり、これまでの指導体制を縮小せざるを得なくなったような県も相当数ありまして、各県において少人数指導を維持する上で厳しい対応が求められたところでもあります。

 今後の少人数学級のあり方につきましては、資料の19ページでございますが、今後の少人数学級の導入について県独自に学級編制基準を定めると回答した都道府県は19パーセントにとどまっております。資料の5ページの少人数学級の財源というところを見ましても、県単費のみで少人数学級を実施できているというところはなく、厳しい財政事情の中で国の定数あるいは加配等の措置なしでは、その拡充に向けなかなか踏み込んでいけない状況がうかがえるかと思います。各都道府県では少人数学級には学習面・生活面ともに高い効果を認めており、この少人数学級制を安定的かつ持続可能な制度とするためにも、国による定数改善計画の早期策定とその実施を強く待ち望んでいるところでございます。以上により、今後、少人数学級編制に伴う基礎定数や加配定数の見直しを盛り込んだ長期的な定数改善計画を、できるだけ早期に策定していただきたいと思いますし、特に小学校第2学年以上の定数につきましては、学校現場が混乱することのないよう、年次進行で進むことを保証しつつ、着実に実施していただくようよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、この意見書の後半の部分、加配定数にかかわるような部分でございますけれども、こちらのほうは京都府でアンケート調査を実施しております。参考資料2というところでございますので、これに基づいて説明をさせていただきます。まず意見書の3番でありますが「基礎定数と加配定数のバランスのとれた少人数教育の推進について」でありますが、ここのポイントは加配定数と基礎定数の適切な組み合わせということであります。アンケートの問3では国から配分されている加配教員数の充足の状況、問5・6というところで加配定数の振りかえによる影響、また問7で指導方法工夫改善のための加配の必要性につきまして、聴取をしているところでございます。

 多くの都道府県では3ページにありますように、加配教員数が足りず独自措置等で賄っているというような回答がありますし、5ページでありますが、加配定数の振りかえによるマイナスの影響が大きいと、「極めて影響が大きい」、それから、「影響がある」を含めますと全体で83パーセントが影響が大きいとされているところであります。それから、8ページ、少人数学級が実現しましても工夫改善のための加配は必要だという答え、これはもう全府県での回答でありますけれども、そういう状況になっております。さらに主な意見といたしましては、加配の振りかえによりまして従来習熟度別指導やチーム・ティーチングなどに活用していた加配が、少人数学級のみに固定をされ、学校の創意工夫が生かせなくなったという意見、あるいは、小規模校への加配が困難になるなど、学校規模により教職員の配置に格差が生じたと。あるいは、今後、同様の振りかえ対応がされたとした場合、継続的な少人数指導が実施できなくなるといったような意見が挙げられております。

 なお、前回の会議で本意見書の記述につきまして、加配を限定的にし、基礎定数化すべきというように、本来我々の趣旨と異なる理解のされ方があったのかなというふうに伺っておりますけれども、加配は減らすべきではないというのが私どもの本来のスタンスでございます。加配定数は2005年の中教審答申「新しい時代の義務教育を創造する」にありますように、特定の問題解決のために追加配置される教職員定数であるとされております。また、2006年の参議院文教科学委員会におきましても、児童生徒や学校の実情に合わせて配置するものと述べられているところでございます。以上、述べましたように基礎定数と加配定数は本来その性格が異なるものでありますし、少人数学級の実現に当たりましては、加配の振りかえによらない定数措置をぜひお願いをしたいと考えております。

 次に、意見書の4番目「加配定数の確保及び今後の拡充について」でございますが、ここのポイントは教職員の柔軟な配置と効果的な活用、そして、新たな教育課程に応じた加配の拡充という以上の2点でございます。まずは教職員の柔軟な配置と効果的な活用についてでありますが、アンケートでは問9というところで、現行の加配区分に係る運用上の課題について、それから、問10以降のところで、12ページ以降ですが、児童生徒や地域の特性に応じた取り組みにつきまして聴取をしております。11ページの問9等にありますが、約半数の都道府県で現行の加配区分に課題があるというようにされております。現行の区分では活用用途が限られているために融通がきかないという面がある、あるいは、通級指導や発達障害への対応が十分にできていない、このような意見が挙げられているところでございます。これに加えまして、いじめや校内暴力、不登校といった問題行動など、さまざまな教育課題に対応していく必要があり、今後とも加配の拡充が必要であるといった意見が出されております。

 続きまして、新たな教育課題に応じた加配の拡充についてでありますが、加配の区分につきましては先ほどの問9、11ページのところにございますけれども、加配区分につきまして区分の大枠化や区分間の融通について、配慮が必要だという意見が挙げられております。各学校の課題に応じた教職員の柔軟な配置と、効果的な活用につきまして検討を進める必要があると考えているところでございます。

 今申しましたようなアンケート結果を踏まえて、全国都道府県教育委員長協議会、また教育長協議会から7月に意見書を提出させていただいたところでございます。どうぞご対応につきましてよろしくお願いをしたいと思います。以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 それでは、ただいまの2件のプレゼンテーションに対しまして、ご質問等ございましたらお願いをしたいと思います。ございませんでしょうか。どうぞ、中川委員。

【中川委員】  指導法工夫改善の加配を少人数学級に向けるというのは、これはもう非常に問題があるというのは、もうこれは我々の共通した認識であっていいように思います。今この調査の問7で指導法工夫改善の加配の必要性というところで、全都道府県がこれは必要なんだというふうな回答をされておりますが、現実には指導法工夫改善の加配を、少人数学級に振り分けている県が結構あるように思いますけれども、その辺の把握はなさっておられますでしょうか。

例えば、私、鳥取県なんですけれども、鳥取県もこの指導法工夫改善の加配を少人数学級に回しているわけなんです。これについては市町村の教育委員会からもう猛烈な反対をしているわけなんですけれどもね、でも、回答はきっちりこうやって必要だというようなことを答えておられますから、また今後の話し合いのいい資料になったと思います。ありがとうございました。

【橋本氏】  済みません、今の点についてですけれども。

【木村主査】  どうぞ。

【橋本氏】  問4の4ページですね、ここで我々の調査の回答では指導方法工夫改善定数について、少人数学級での活用が87.2パーセント、それから、少人数指導はもう100パーセントというような、それから、チーム・ティーチングも100パーセントに近いという活用状況になってございます。

【中川委員】  はい、わかりました。

【木村主査】  ここに数字が出ていますね。はい、ありがとうございました。

 ほかにございませんか。土居委員。

【土居委員】  これは意見になるんですけれども、2点ほどありまして、まず最初に全国連合小学校長会のご提言というか、ご発表の内容に関連してなんですが、まさに小澤先生ご指摘のように第2学年の35人以下学級が実現できないことになると、来年度影響がかなり大きく出てくる可能性があるということを、これをもう少し定量的に示すことを考えてはどうかと。つまりもし今の40人以下ということになった場合に、もちろん既にいろいろな形で35人以下学級が実現できていて、仮に来年度認められなくても35人以下のままのクラスでクラス編制が、継続できる学校とか県とかはあるかもしれないけれども、来年度、第2学年でも35人以下学級が実現できないとなると、40人以下のクラスにクラスがえしなければいけないということになるような学校、ないしはクラスがどのぐらいの数存在するかということを、少しもし事務局で何か資料なり、ある種のシミュレーションになるのかもしれませんが、そういうものが具体的に数がわかってくると、ないしはその影響を受ける児童数がわかってくると、さすがにそれは看過できないというようなことにも、より強いインパクトを持って示せるという可能性あるのじゃないかなと思ったというところがまず1点目であります。

 2点目で、先ほど中川委員もお示しになられました参考資料2の資料の中で、まさに加配定数と基礎定数の問題で、確かにできれば加配定数を削らずに基礎定数を増やすということでできれば、それはベストだということだと思うんですけれども、先ほど来いろいろなヒアリングの中で地方の財政状況厳しいという話があるんですが、国の財政状況も厳しいわけですね。だから、国もお金が出せるのかどうかと、国に何とかお願いしますというのは気持ちはわかるんだけれども、国もないそでは振れないということになってしまっては、身もふたもないというところがあるので、もちろんファーストベストとして加配定数削らずに、しかも来年度以降、自然減が出てくるということがありますから、財政負担を増やさずに基礎定数を増やすという可能性の余地は、今年度よりも期待できるところがあるにせよ、一本やりというか、ファーストベストだけ追求するということだと、得られる果実が得られないという可能性があるので、そういう意味では、加配定数の中でもここは絶対に削ってはいけないというところをきちんと押さえながら、自然減の部分の対応で財政負担を増やさずに基礎定数を増やせるというところを目いっぱい使いつつも、さらにもっと上積みしていくということになった場合に、どういうふうに第2学年の35人以下学級も、願わくばさらにその先までコミットしてもらえると一番いいわけですが、毎年、毎年、再来年は第3学年で、その次の年は第4学年なんていうようなことにならないように、前もってコミットできるような案がまとまるといいと思うんですけれども、それはそれとして、少なくともどういう形でできるだけ加配定数を削らずに基礎定数の増を実現していくかという方策を、戦略的に考えていく必要があるんじゃないかと思ったというのが私の2つのコメントであります。

【木村主査】  ありがとうございました。

 事務局どうされますか。まだ概算要求の雰囲気もわからないのでなかなか答えのしようがないかもしれませんが、非常に重要な点について2点ご指摘がありましたので、お答えいただけませんでしょうか。伯井課長、お願いします。

【伯井課長】  1点目の国の学級編制の標準の承認をもし引き下げない場合に、どの程度影響受けるかということについては、まず前提として小1から小2にクラスがえをしていれば、そもそもしている学校はもともとするわけですから、そういう意味では影響ないと考えると、それによってクラスがえをせざるを得なくなる学校がどのぐらいあるのかということで、その小1から小2でクラスがえをしていない実態の把握というのは、全連小と協力をしながらやっていただいておりまして、それはそのことを前提にどのくらい影響を受けるかというのを、定量的にこの会議でもご議論いただきたいなと思っています。

 それから、2点目は、これは先ほどの提言に対する回答ではないんですけれども、データで申しますと平成22年度の指導法工夫改善の加配定数というのが4万1,100人ぐらいございまして、それは指導方法工夫改善加配なんですけれども、そのうち現に指導方法工夫改善加配を活用して各県で独自の少人数学級を、実施してもいいというような方策をとっておたったわけでございますが、その4万1,000人のうち9,180人ぐらいが、少人数学級に使われていたということでございますので、昨年23年度予算ではその9,100人のうちの小1相当分として1,700人を振りかえたという、そういう交渉経過ということになっておりますので、そのことをどのように考えるのかというところが、また今後ご議論になろうかと思っております。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんか。よろしゅうございますか。貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】  ありがとうございます。1点お願いというか、こういうデータがあればいいなというふうに思う意見と2つ質問させていただきたいと思います。小澤先生がご報告くださった全国連合小学校長会がされているデータですが、こちらの調査は、今回、35人以下学級を実施したことによってメリットがもたらされた学校や保護者の方へ、その効果を伺うアンケートとなっています。例えば、あわせて加配についてどのようにお感じになっているのか、または今回こういうメリットを被らなかった小さな規模の学校の保護者の方々は、今回の35人以下学級の実施をどお感じになっているのかということをあわせてくださると、もっと鮮明に、加配も必要、そして、やっぱり基礎定数も必要であるということが見えてきたのではないかなというふうに感じました。今回は、ちらこういう調査の目的からして当然だったとは思いますが。

 質問ですが、第一に、これちょっと細かい質問なんですけど、クラスの保護者の方の891名、回答率はどれぐらいだったんだろうということです。もう1点のご質問は、加配の活用法の判断をどこでするかという問題についてです。特に、小澤先生のご発表の中では明確に、市区町村教育委員会の判断で活用を拡大、活用できるようにしてほしいとおっしゃっていました。現場は多様かつ日々変化します。一つの学校でも、1年間の間でも学校のありようって全く異なって、子どもは突発的なことをいろいろ起こしますので、あした何が起こるかわからない訳です。従って、現場の多様かつ日々変化する有り様に対応した加配の活用ということを考えると、学校にとにかく加配を振り分けて、活用は学校で自由に考えるという考え方もあるのではないかと思いますが、今回、市区町村教育委員会が加配の活用を決定するというご判断をされた理由を教えていただきたいと思います。

【木村主査】  では、小澤委員。

【小澤氏】  では、2点についてですけれども、このアンケート調査は先ほど課長からお話しございましたけれども、文科省と協力・協働しながらやっておりますのであれですが、保護者のほうの実際の回答率については、ちょっとわかりかねるかと思います。申しわけございません。

 それから、2点目でございますけれども、市区町村が加配定数の割り振りをというようなご質問でございましたが、具体的には各学校、区市町村立の学校でございますから、その教育委員会が指導主事等も事務局にいるわけでして、状況については十分把握していること。そして、校長の現実的な学校運営の状況、それから、教職員、子どもの状況で地教委と判断しながら、そこで各学校の配置を決める。もっと言えば、地教委の中である程度の枠の人数を持っていて、その人数を弾力的に各学校に最終的に振り分けることができると、そういうシステムのほうがより加配の教員を柔軟に運用できるかなというふうに考えておりまして、こういうセンテンスにいたしました。

【木村主査】  よろしゅうございますか。はい、どうぞ。

【貞広委員】  各学校側のご判断というか、先生、校長先生として実際に学校経営にたずさわられていますが、各学校側の感覚としてもやはり教育委員会にその裁量をゆだねたほうが、ベターであるとお考えでしょうか。

【小澤氏】  1番は現場を預かっている校長のまず第1の判断でございます。いわゆる地区教委ってある学校の枠を持っておりますから、その中での最終的な運用のテクニックというのは出てくると思うんですね。最終的なというのは、先ほど申し述べましたように、教職員の配置が最終的に3月中下旬にならないと定まらないわけです。それから、子どもの転出・転入・異動等でのやはりいろんな配慮を要する子どもの最終的な異動、そういう状況の中で見ていると地教委と各学校の校長がリンクしながら最終的に効率のいい、限られた人数の中で使い勝手のいい加配定数の教員の配置ができるんじゃないかなと、そういう願いでございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 まだご意見もあろうかと思いますが、ほぼ時間が参りましたのできょうは以上としたいと思います。

 それでは、事務局から今後の日程について連絡をお願いいたします。

【谷合企画官】  次回第7回の会合につきましては、9月上旬の開催を予定をしております。日時等の詳細についてはまた追ってご連絡を差し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【木村主査】  本日はどうもありがとうございました。大変活発なご意見をいただきまして次回の議論につながったのではないかと思います。ありがとうございました。

 黒田局長と橋本部長、本日はありがとうございました。

―― 了 ――

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