キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議(第6回) 議事要旨

1.日時

平成23年6月24日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

三田共用会議所第3特別会議室

3.出席者

委員

鹿嶋委員、生重委員、江川委員、清川委員、清水委員、西山委員、野上委員、廣田委員、星野委員

文部科学省

山中初等中等教育局長、德久大臣官房審議官、白間児童生徒課長、春山児童生徒課課長補佐、藤田生徒指導調査官、堀江指導調査係長、酒井指導調査係専門職

オブザーバー

厚生労働省・浅野室長、伊藤室長補佐、経済産業省・林企画官、袖山高校教育改革PTリーダー

4.議事要旨

(座長の御発言-□ 委員の御発言-○ 事務局(オブザーバー)の発言-●)

 

(1)中間取りまとめ(案)について事務局より説明

資料1をもとに、本会議の中間取りまとめ(案)について、事務局の春山課長補佐が説明した。

 

(2)自由討議

○全体として非常によくまとまり、わかりやすいと思う。ただ、総論的にまとまりすぎていて、これを小中高校の現場に持っていったときに、どれだけの先生方が自分たちのことだとして読まれるかは若干疑問である。

個々に気づいた点については既に書面で提出しておりポイントだけ発言させていただくと、まず、「それぞれの個性、持ち味を最大限発揮しながら」という部分があるが、個々の個性や持ち味に加え「社会の一員としての役割を果たす」、あるいは分かりやすくまた極端な表現をすると「納税者として」というように、組織や社会の構成員としての自覚を持つことについての言及があってもいいのではないかと思う。

また特に疑問に感じたのは、小中高校でのキャリア教育が重要であることは既に自明の理であり、本中間取りまとめ案でも高校選択の段階で目的意識が薄く、キャリア教育は高校に入ってからでは遅いと記載されているにもかかわらず、本案では「高等学校の普通科」が特出しされていることである。小中学校段階でのキャリア教育の重要性、さらには小中高校一貫した取組等についても言及いただきたい。

さらに、「各都道府県等教育委員会」という記述があり、市町村教育委員会が本案を御覧になったときに、「うちとは関係ない」ととらえてしまう可能性がある。都道府県等の「等」に政令指定都市や市町村も含まれると思うが、恐らく市町村の方は「各都道府県」という文字を見た瞬間に、「これは都道府県用の内容なんだな」という認識になってしまうので、この点については是非改善をお願いしたい。

また、「だれが本気になってキャリア教育をやっていくか」の欄で、学校現場の先生方、教育委員会があり、次に知事・市区町村長・産業界をひとくくりで記載しているが、知事・市区町村長と産業界とは明らかに役割が違う。産業界は自分たちがやらなければいけないという主体性を持ちながらも教育をサポートする立場であり、行政とは違う。行政と産業界は分けて、それぞれの役割をもう少し丁寧に言及した方がよい。

最後に、全国規模のコンソーシアムの設置というのは非常に心強いと思っている。その中でポータルサイトについての記載があるが、国レベルの大きな枠組みの階層に加え、市町村や都道府県レベルの身近な情報が記載されているポータルサイトがあれば学校現場で使えるものになるのではないか。大きな枠組みだけではなく、実際に学校現場で使えるものを提示する必要があると思う。

○我々の検討させていただいた意見を大変細かく取り入れていただき、感謝している。

 違和感を覚えたのは、全体的に世の中の厳しさを教えるというニュアンスが強いこと。厳しさの理解というところが強過ぎて、働く意義や喜びがあって、喜びを得るためには厳しさがあり、その厳しさを理解しないと喜びも得られないというニュアンスが欠けているのではないか。

 大学への進学理由を「すぐ社会に出るのが不安」「自由な時間を得たい」「周囲の人がみな行く」として、社会に出ることを恐れている、あるいは社会に出ることの意義を感じていないという子供たち、高校生が多いということも含めて、働くことの喜びを前面に出しておかないと、社会に出ていくのが遅れてしまうのではないかというおそれがある。

 「世の中の実態や厳しさ」を教えることが重要とあり、「厳しさ」を削除すべきという御意見もあるが、あえて厳しさを書くのであれば、世の中の実態、世の中のすばらしさと厳しさの両面を書く必要がある。

 「一方、誤解を恐れずに分かりやすい言葉で言えば、『世の中の実態や厳しさ』を子供たちに学ばせることが重要である」とあるが、この対象は決して子供たちだけではなく、親、保護者。世の中の厳しさを教えているつもりの親が子供を甘やかし、世間に出ることを遅らせているという面が多分にあるので、親も子供たちも同時に学ばせていくということが必要である。

 「子供たちが現実に立ち向かい、克服して」とあるが、何を克服してというのが見えてこなかったので、「現実に立ち向かい、自ら立てた目標を克服して」にしてはどうか。

また、「夢や希望を育む」ということが書いてあるが、夢や希望だけでは何を克服するかというのは見えてこないということで、自ら立てた目標とか、学校で決められた目標、あるいは家族の中で決めた約束事というような、具体的な表現も必要ではと思う。

 また、産業界を分けて記述した方がいいのと、「知事部局などが教育委員会や学校と連携しながら、あるいは産業界等を巻き込みながら行い」の「巻き込む」を、「産業界からの提案を受け入れながら」という積極的な表現をした方が、産業界も入り込みやすい。

○昨日、山梨の新任の校長、教頭、主幹、主任の研修会の講師として、キャリア教育の話をしてきた。

 参加者は、キャリア教育というと、何かまた新しいものが降ってきているという感覚があった。禁煙教育、薬物教育、健康教育、食育、金銭教育、そのような一連の何々教育と何が違うのかと。そういう感覚は、現場に近ければ近いほどある。

 昨日申し上げたのは、「先生たちは十分なさっている」ということ。総合的な学習の時間でも、特別活動でも、道徳の時間でも、すべてがそれぞれの学年、年齢、発達、育成段階に応じた、先生たちからの学びの提供である。すなわち、それがキャリア教育と言われるもので、それぞれが分断されているというところが一つのラインにつながっていかない要因で、キャリア教育というものは、新たに降ってくるものではなく、今まで学校教育現場が努力して、様々いろいろな手法でやってきたことをつなげていくこと。その合間に、効果的に産業界の知見をもらったり、地域人材から様々なものを提供していただいたり、連携していったりすることで、学校の地域の個性、特性に応じたキャリア教育と言われるものができ上がる。キャリア教育は、仙台市では自分づくり教育と名づけている。学校においてはそういうことが、特に小学校、中学校では、特別なことではなく、きちんとやらねばならないことというところでつながっていくと申し上げたら、「わかりやすかった」という御意見を頂いた。

 教育委員会の指導部にキャリア教育担当を置くのも大変いいことだと思う。担当者が置かれるというのは、予算が付くということなので、やらねばならないということになる。ただ、私が知っている限り、全国の指導部は、本来の役割とは違うところの多忙感で忙殺されているので、一人の担当者がそれを背負うということになったときに、果たして何年かかるんだろうかという危惧はある。

 総合的な学習の時間も、子供たちの学びとしてとてもいいものが入ってきたと受け止め、そこから今の私の活動が始まった。総合的な学習の時間に関しても、前向きな取り組みに変えていくまでに、全国で時間がかなりかかったというのが現状。国から示す一定の方向性として致し方ないのかなと感じつつも、もっと現場や保護者にも、なぜ必要なのかがわかる、そして、自分たちがやっていることでどれだけの魅力が出していけるかということを、それぞれが読んで感じ取ることができる内容を入れていただきたい。

 実は東京都の教育庁では、キャリア教育とは名づけていないが、東京都のネットワーク協議会で、企業にも御協力いただき、広範囲の活動を展開している。その中で提唱しているのは、情報を共有化するためには、各市区町村に受け止め手がいなくてはいけないということ。受けとめ手の顔が見えない中で、ポータルサイトができ上がっても、漠然とした対象者が見る。いろいろな方が見てくれるのが望ましいとはいえ、これを推進していくということになるならば、情報共有化のための、各地域、市区町村のプラットフォーム化のような、ハードではなく、人的なネットワークによる組織的な動き、各市区町村においても前向きに取り組もうというネットワークがそれぞれできてこない限り、情報の共有化というのは望めない。

 配慮としては、学校現場、保護者、地域がわかりやすいということと、情報を出していくには、受け止め手を明確にしていくということ。

 学校支援地域本部事業について、東日本大震災のときでも、学校支援地域本部があったところは避難所の運営が円滑に行われたと聞く。子供たちのための学びを取り戻したいので、被災している住民に学校からの退去をお願いするときに、行政や教員から、要するに、公人から言われると抵抗するというシーンがたくさんあったが、地域住民が間に入って、学校支援地域本部がきちんと機能していたところで、コーディネーター的な役割を果たしてくれる人間が、「引っ越しも手伝うから、公民館の方に移動してくれないか」とお願いしたときには、非常にスムーズに転居をしてくれたという話を聞いた。

 そういうことを考えても、私は、これから一番のベースは、学校支援地域本部が全校に設置されて、地域のコーディネーターがいて、学校区というエリアにおいてどういう関与をしていただきながら育っていくのかということが、子供の人間形成や発達上一番必要なもので、それに加えて、年間に何度か計画的に学習のプランの中で、外部の企業や産業界の方たちの御協力を頂いていくという形が一番望ましいと思っている。

 私たちが一番やりやすいのは、前向きな学校の先生に出会うことだが、それ以上に、きめ細やかに立ち動いてくれる地域の組織があるということは、来ていただく方たちともより円滑ないいつながりが生まれていく。

 今後の方向性としては、私たちのようなキャリア教育コーディネーターが間に入ってうまくいっている事例や、多忙感を持っている教員に、自分がやっていることをまた否定されたのかと受け止めないでいただくためにも、その辺のニッチを埋めていくようなものを示していくということと、文科省が積極的に出向いていろいろなところでお話をしていくという方向を出しているようだが、そういう機会をもって、先生たちのやる気に火がつくようなものを是非行っていただきたい。

○学校現場では、外部人材を取り入れて、校内ハローワークや勤労留学など様々な取組を行っている。世の中の厳しさを教えるということも当然あるが、感動体験をさせて、働くことのすばらしさだとか成就感を味あわせ、それが学ぶ意欲につながって、学力向上につながっていくというような部分も多い。中間とりまとめには「厳しさ」という言葉が多く登場してきているので、読む教員側から考えると、「とにかく厳しさを教えないと」というようなイメージにつながりはしないかということを感じた。

 とりわけ普通高校というようなお話があったが、キャリア教育に関しては、校種によって抱えている課題が違うだけではないかと思っている。

 例えば中学校でいうと、総合的な学習の時間や特活の時間を使って、外部人材を活用した様々な取組を実施しているので、かなり成熟してきている。ところが、各教科、領域の中でどの程度キャリア教育を推進していくかということになると、非常に弱い。やはり年間指導計画をつくって、意図的にポイントを位置づけていかないと、「今までどおり繰り返していることがキャリア教育だ」とスルーされてしまうことがある。

 高校は、職業科もあり普通科もあるので、一律では行かない大変さがある。普通高校だけが強く取り上げられているという点に、少し違和感を覚える。

 キャリア教育のポータルサイトの設営についてだが、例えば外部人材としてこんな人材がいるとか、学校に関わっていただける方がこれだけいるとかということが見えにくい。

 それで、やはりキャリアコーディネーターやキャリアコンサルタント、とりわけ7万人いると言われているキャリアコンサルタントの何パーセントが学校教育に関われて、何ができて、報奨費がどれぐらいかかるのかなど、そういうものをすべて含めて、我々学校の現場としては知りたい。今後学校現場に関わっていただくという意味でいうと、今回、この会のかなり大きなウエートを占めている部分ではないかと思うが、その辺の表記が少し不十分ではないかなと感じた。

○全体的にはよくまとめられている。

キャリア教育の不幸は、就職難の時代には、職業とか就職というところに行かざるを得なかったので、キャリア教育がその場面で使われたということ。

 「答申では、『キャリア教育』を一人一人の社会的・職業的自立に向け」とあるが、私は「一人一人の社会的・最終的には職業的自立に向けて」という解釈をしている。

 厳しさうんぬんというお話があり、私もそこは引っかかっている。自分発見、自分の資質、興味が生かされる、そういう教育のことをキャリア教育というのではないか。学校段階でいうと、小中高のところで、自分発見というような、発達や学校種によって、小学校、中学、高校と接続的にやっていくのがキャリア教育なんだろうと。厳しさというよりも、自分の生き方探究。

 産業界が最近変わってきていることを申し上げると、厳しさというところの対極にこういうことがある。企業の中で広報部門やデザイナーがいる部門は、本筋から外れているような人たちが働いている場と思われていたが、今企業はそれを最重要視している。

 というのは、生産者の論理でいいものを作ったから売れる時代ではない。欧州では、日本の家電製品よりも韓国や中国の製品の方がよく売れる。その一つの根源は、やっぱりデザイン。よいものをつくるのは大前提だが、相手が望むものを作るということをものづくりの現場の中にも埋め込もうというところで、今、大企業の中でデザインが重要視されている。

 小学校や中学のころ、絵が好きだといったお子さんに、保護者や周りの人が、その子の芽、資質を無視して、違う方向に進ませるようなことがあったのではないだろうかというのを、いろいろな場面で目にする。

 その子自身興味があって資質を持っていることを伸ばすには、そういったことを教えてくれる教科を持っている高等学校、大学へ行きたい、そのためにはまずは教科で、その後に高校名、大学名が出てくるべきだが、それが今までは逆さまになっていた。だから、人材の受入側の産業界でも、人物を見るときに選択肢が増えてきているということを伝える必要がある。厳しさだけがキャリア教育の行く末ではなくて、探究、自分発見というようなところがキャリア教育の本筋ではなかろうかと思う。

 「知事・市区町村長・産業界」の「産業界」はサポーターではないのかというような御提議があった。12、3年間、教育界で育成されたお子さん方に、産業界は約40年間関わる。だから、人材育成は教育界任せでできるものではない。

 したがって、「産業人材育成プラットフォーム」が埼玉でできたときに、最初のころは、「産業界は協力、支援者じゃないの?」という声が、我々産業界サイド、あるいは大手企業の人事担当者からもあった。

 しかしながら、何十回と協議を重ねて、人材育成は他人任せじゃとてもできない、まして、産業界は、明日生きるためには、能動的に連携して、どういう人材を欲しているのかということを会議の中で繰り返し話し合った結果、知事自身が、「全省庁的に横断しないと人材育成はできない」ということで組んだ。埼玉の場合は、産業界はサポーターではなく当事者である。

 そういった筋でこの報告書がまとめられていることに、私は大変高い評価をする。産業界は、本物に触れさせ、実物に触れさせる。それから、一芸に秀でた人、経営者ということではなくて、職工さんなどに触れさせるという活動を広めている。

○私はキャリアコンサルタントの資質向上、それから、キャリアコンサルタントが社会のインフラになるということを目的としたキャリアコンサルタントの集団にいる。職業意識の醸成、又はキャリア教育の一翼を担っていると自負している。

 先ほど、キャリアコンサルタントは7万人もいて、でも、学校に関わる人たちはどこにいるの? 人数はどのぐらいなの? といった話を伺い、確かにそのとおりだと思った。今後、こういったところは厚生労働省と一緒に前向きに進めていければと思う。

 今回は、キャリアコンサルタントとして、本会が発信するメッセージという題名が載っているので、それを意識して考えてみた。

 まず、キャリア教育の定義として、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力」というところがある。これはごもっともだが、やはりわかりにくい、一般的ではないという思いがある。

 中教審答申においては、勤労観、職業観を育てる教育、あるいは、一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てる教育というような文言が載っていた。1999年の答申以降、キャリア教育は一貫して職業と密接な関係にあるのではないかというようなことが書かれていたように記憶している。しかも、今日、教育現場と職業、社会との接続において機能不全が大きな社会問題になっているということは御存じの通り。したがって、この委員会の定義でも、出口、例えば働くことをより前面に出すのはどうだろうかという意見を述べさせていただきたい。

 また、キャリア教育の定義として、「自分を社会に生かし、自立して生きていくために必要な能力」とあるが、漠然としている。

 ということで、このキャリア教育というところを、「子供一人一人が」といったところの間に、「勤労観、職業観を養うとともに、社会的・職業的自立を実現することで、社会において」というように、勤労観、職業観といったものも加えてはどうか。本会議は外部人材活用がテーマなので、本会議の発信するメッセージとして入れていただきたい。

 「学校、家庭そして地域・社会や産業界が『協働』して、キャリア教育を推進していくことが、今、求められている」とあり、その通りだが、ここで具体的な事例などが入ってあったらよいのではないか。

 私どもキャリアコンサルタントも、出張キャリア教室などで各地域に出向き、協働させていただいた。また、厚生労働省の第9次職業能力開発基本計画においても、キャリアコンサルタントがキャリア教育に積極的にかかわるべきということが載っているので、それにも符合する。

 「知事・市区町村長・産業界」のカテゴリーのところだが、「産業界等の外部人材」とするのはいかがか。先ほど、いろいろな人が関わってもいいのではないかというようなお話が出ていた。「産業界等の外部人材」として、外部人材の事例なども挙げていただければと思う。

 例えば、キャリア形成支援の担い手であるキャリアコンサルタントも、職業情報だとか職業適性検査、ジョブカードなどを活用し、個々のキャリア相談も担っている。また、経済界等のネットワークを使い、職場体験、インターンシップなどの推進などもなされているので、そこも盛り込んでいただきたい。

 「キャリア教育を通し子供たちに基礎的・汎用的能力を育成していくことも求められるが、更に学校外部の教育資源」、この教育資源というのが、他の方から見るとわかりにくいのではないか。教育資源というのは、「産業界、又はキャリア教育コーディネーター、又はキャリアコンサルタント等の学校外部の人材と協働して」というようなものが盛り込まれると、説明がわかりやすくなる。

●キャリア教育は教育なので、文部科学省のエリア。ただ、文部科学省だけでは十分にできないようなこともある。だから、私どももそれをサポートする立場で、この中間まとめについても、どうであれば私どもがサポートしやすいかというような観点で見せていただいた。

 厳しさを強調する中で、書き過ぎではないかというところがある。産業の空洞化というほどのことはないし、雇用形態も崩壊とまではいかない。

 さらに、職業人の3割が非正規雇用というわけではなく、雇用者の中での3割が何らかの形の非正規であること、新卒採用のみが正社員の入り口と限られているわけではないが、就職先が決まらないまま卒業した場合、あるいは就職後早期に離職した場合に、正規労働者として就職が困難になるような状況が見られることなど、先生方が余り驚かない書き方の方がいいと思う。

 知事・市区町村・産業界については、各委員がそれぞれのお立場で、分け方についておっしゃっていたが、私自身も何か違うと感じた。さらに、外部人材についても整理をすればいいという感想を持った。できれば、教員養成の中で、外部の人をうまく使えるような先生にするというような書き方にしてもらいたい。

 キャリアコンサルタントについては、キャリア教育分野での対応が可能な者や、どのぐらいの実績がある人なのか、どこの地域だったら活用できるかなど、具体的な情報が入手できるように情報提供体制を整備していきたいと考えている。

●短期間にこれだけ立派な中間取りまとめをされて、座長はじめ、委員の皆さん、事務局の皆さんに敬意を表したい。

 私の方からは特に修正意見はない。印象に残ったのは、実物とか本物に触れさせることの重要性についてかなり記述があったこと。

つい最近、ある大手のメーカーの経営者に会って、こんなことを聞いた。「本物の宝石鑑定士を育てるためにはどうすればいいか」という問いに、その経営者は「本物の石だけを見せることである」と答えた。今回のキャリア教育の中間取りまとめも、子供たちに本物をぶつけ、良質な刺激を与えて、人格形成、人材育成の向上に役立てようという基本的な精神が詰まっている。

 それから、世の中が厳しいというのは表現的にどうかという意見があった。私もそう思うが、経済産業省で経済政策に携わっていると、やはり現実は厳しい。今回の震災についても、震災でサプライチェーンが壊れたというよりは、日本のそもそもの産業構造の問題が浮き彫りになった。これを教訓として、改めて世界における日本のプレゼンスを高めていく。そのために、40~50年かけて、これから人材育成をやり直していくという意気込みで、決意表明という形でこの中間取りまとめをしたのかなという印象を私は持ったので、あとは委員の皆様の判断にお任せするが、私はこの書き方は、これはこれでよいと思った。

 それから、産業界の在り方についていろいろな意見があったが、私自身去年の7月に京都の中学で、2時間コマを持って、経済産業省とは何かとか、社会は何かという、キャリア教育の一環で講義の機会を持った。その経験も踏まえてあえて申し上げるが、やはり学校というのは、先生と生徒が主人公の場。先生は非常に教育に熱心だし、学事日程が非常に忙しい中で、40人クラスに対して非常に熱心に教えて、それを45分、90分で取りまとめて教えていく。この技術、ノウハウというのは多分世界一だと思う。この強みを生かして、産業界がそこに何ができるのかという形でサポートしていく形が一番いい。

 本物を提供する、本物をぶつけるということであれば、学校では完結できないもの―社会のいろいろな現象だとか、あるいはハード、ソフト含めてすべてだが、これは産業界に強みがある。経営の資源、リソース、何でもあるので、これをどんどん提供していこうというのが、今回のキャリア教育の新しいやり方だと考えている。そういったことに関しては、産業界としては全く協力を惜しまない。

 ただ、産業界が本当に熱心かというのは、残念ながら、まだこれから。企業の中でキャリア教育の協力部隊となるであろうCSR部は、企業にとって直接的な利益を生み出す部署ではないため、予算や人員を確保することが難しい。

 ただ、こういった新しい時代の中で、やはりCSRは重要であるということに、企業も気づき始めている。企業は決して豊かな心でそういうことをやっているわけではなくて、やはり下心があるから。一つは、40年かけて人材を育てていって、結果的に自分のところにその人材が返ってくる、今からやっていかなければいけない、長い経営判断の中でそれをやっていかなければいけないということ。それから、短期的には、CSRとして行う教育事業が間接的に企業PRにつながり、自分のところの物が売れていくということ。結果的に物が売れ、売上げが増え、そして、株価に反映されるということを期待している部分はある。

 ある調査では、CSRをやっているところは株価がかなり上がっているという欧米の調査結果もある。そういうことも含めて、我々経済産業省としても、産業界に対して地道に、「CSRというのは企業活動として意味がある」ということを伝えていきたい。学校関係者は遠慮なく、やりたいことを産業界にぶつけて、いいものを一緒につくっていくような動きをしていただきたい。ただ、そのときに、やはり学校関係者と産業界の橋渡し、連絡のやり方がわからないので、キャリア教育コーディネーター協議会や地元の商工会議所などと連携しながらやっていきたい。

 今回、こういう立派なものが取りまとめられ、近々公表される。書かれた内容を実現するために、キャリア教育コーディネーター協議会や産業界、産業界といっても、地元の商工会議所が、学校をあおり、そして、産業界をあおって、まずは対話の場をつくっていただきたい。そうしないと、先生方が産業界にいきなり電話をするというのはあり得ないし、企業がいきなり学校に電話するというのはあり得ない。対話の場を作って、営業活動ではないが、そこで地道にマッチングをして、こういった取り組みを進めていくというのをお願いしたい。

 産業界から見ると、どうしても学校のガバナンスというか、意思決定システムが全く見えない。学事日程がいつ決まって、どういう予算配分で、だれと相談すればよいのか。意思決定システムの中で、校長先生がどこまで決めるのかとか、教頭先生でいいのかと。ガバナンスのシステムが全くわからないので、産業界から見ても、やりたいのになかなかできないといった事情がある。逆もあると思うが。

 そういった意味でも、これは商工会が一番いいのかもしれないが、地元での対話の場、産学パートナーシップという言葉でもいいが、地道な取組を是非進めていただきたい。経済産業省はそういった応援に対して力を惜しまない。仕分があって、お金の面はなかなか厳しいが、我々が動けることは進んで行う。

●本日は、埼玉県の「県立学校『キャリア教育』指導資料」を配付した。

 実は、一昨日、埼玉県の浦和高校のキャリア教育を視察して、いろいろ教えていただいた。実際には、数学と総合的な学習の時間のキャリア教育の実践を見させていただいた上で、浦和高校でキャリア教育にどう取り組んでおられるかという御説明を頂いた。

 そのときに、数学だけではなくて、各教科それぞれについてそれぞれの、この教科ではこういう能力を重視して育成するということとか、総合的な学習の時間や行事もすべて含めて、全体計画をきちんと作っているという資料を見せていただいた。それはどういうふうに作られたんですかとお聞きしたところ、今日配付した資料を教えていただいた。

 この資料に、参考例が書かれている。このような形で、各教科、総合的な学習の時間、各行事、特別活動等を、浦和高校全体で位置付けて、それぞれの教科でこういう能力を重点的に育成するんだということを共通理解し、系統的にキャリア教育を進めている。

 しかも、埼玉県教委の方から県立高校に対して、こういう形でとらえ直して、そういったものに基づいて是非やってくださいというような指示も出していると聞いた。こういういい取組を是非この中間取りまとめに入れ、こういう例もあるから教育委員会としてそういう働きかけもしていただけないか、その際にはこういったことを示していただければ、実際の学校でも取り組みやすいということで、中間まとめに少し手を加えたいと考えている。

○全体的にすごく集約された形になっているので、わかりやすい部分が多いと拝見したが、全体を通して気になったのは、小学校におけるキャリア教育の重要性ということについて、余り主張がないと感じた。

 学校での勉強のスキルとか、好きなことがちゃんとわかっているとか、生きることというのはどういうこと? とか、学ぶというのはどんなことをしたら身につくの? とか、そういうことを最初に身に付ける場である小学校がキャリア教育の第一歩になると考えると、それを抜かすというのは非常に厳しいという感じがあったので、そこを少し盛り込んでいただいて、前半部分のところで入れていただけると有り難い。

 勤労観が小学校に関してはかなり重要になってくるということでいうと、人の役に立って感動した体験について、それをどういうふうに先生たちが集約をして、統合していくことができるかというようなことの方法論を、具体例として示していくことができるといいと思った。

 それに加えて、小学校でも、自分で自分の人生をプランニングしていくということがすごく面白いことなんだというようなことがイメージとして残るような形のキャリア教育体験があるべきと感じた。

 「人為的」という表現が使われているが、人為的にならないキャリア教育にするためにはどうしたらいいか。今のところ、キャリア教育をしっかりしているという学校は、どちらかというと、そういったことに先進的に取り組んでいる学校が多い。

 いろいろな学校を拝見していると、キャリア教育の取組がかなりスローペースなところも現実にはある。そういったところで、それでもキャリア教育に取り組んでもらおうと思うと、やはり役割分担というか、校長先生はこういうことをキャリア教育に関してサポートしてくださいとか、教頭とか教務主任とか、そういったような立場の方はこういうことをやってくださいというのが必要。

 例えば教務であれば、学習の指導案などを校内の研究会でつくるときには、キャリア教育的にいうと、この部分が意思決定能力を強化する内容になるというようなことが入った形で活動ができるようにというふうに、日々の中にどういうふうに教務的に落とし込むかというようなところであったり、生徒指導であれば、態度の部分でどういうふうにつくっていくかというところであったりなど、役割分担をしていくと、それぞれの立場でキャリア教育を請け負っていく部分として何を抱えたらいいのかということがはっきりしてくるのではないか。

 それを余り固めてしまうと窮屈な感じがあるが、一つのモデルプランとして役割分担の例を示して、学年主任、学級担任としては、キャリア教育をどのあたりまでを請け負うのがいいのかというようなあたりも示していただくと、教員養成の中で何を教えていくかということにもつなぎやすいという感じがした。

 役割分担に関していうと、香港などでは、キャリア教育マスターやガイダンスマスターなど、それを請け負う人が学校の中にいるというのが現実で、そうなってくると、推進も専門性の向上もやりやすい。そこまでは難しいが、特別支援教育コーディネーターという役割があって、校長先生はそれを任命しなければいけない責任があるとか、そういうふうに上から順番にやっていった結果、そこの部分だけはうまく回っていて、教育相談とか生徒指導はなかなか回りにくい。生徒指導は、課題や問題があるからよく行われているが、教育相談などでなかなか定着しにくいのは、だれが担うとか、責任は何だというのが示されていないからという印象も個人的には持っているので、人為的、属人的にしないためという部分では役割分担が必要だと思う。

 最後に、教員養成系のところでも、先ほどお話をした、役割分担ということをベースにして、新人として現場に出る皆さんに関してはここまではやってくださいとか、上の立場のこういう方はこういう役割を果たしてくださいますというようなことが連動して指導できると、教える内容につながって、しかも、ぶれがなくてよいのではないのかという感じがする。免許更新などで扱うときにも、専門性を高めたところでのキャリア教育ではどのレベルができるのかということも明確に整理して示せるという感じがするので、できればそのあたりを盛り込んでいただけると、より具体的であると感じる。

○まず、中間取りまとめの趣旨について、基本的なところでお話をさせていただく。

これまで話し合われてきたことや資料から、高等学校の普通科におけるキャリア教育をどう進めるのかということを中心にまとめたものと読み取った。

 この中間まとめの趣旨は、キャリア教育における外部人材等に関する調査研究なので、外部人材を活用していくという方向へ話を持っていかなければいけない。外部人材を活用していくときに、それぞれの部署に対してのメッセージを送らないといけないと思う。そうすると、高等学校普通科に対してのメッセージがかなり強い。

 大事なのは、小中高大ともに、どのように外部人材を活用してキャリア教育を進めていくかというメッセージを冒頭で書いていかないといけないということ。学校に対してはどういうメッセージを発するのか、教育行政に対してはどのようなメッセージを発するのか、地域や家庭や社会、産業界に対してはどのようなメッセージをしていくのかということを、わかりやすい文言で端的に表現する必要がある。

 そういう点では、高等学校に対してのメッセージとしては、「うちの学校はもっとしっかりやらなければいけない」という受け止めになるが、そうではなくて、もう少し広い観点から、「それぞれの立場でこういうことをやっていきましょう」というメッセージをここで発するべきである。

 「どうすれば学校で『キャリア教育』が行われるようになるのか」というところで、ここで指している学校というのは、高等学校の普通科にかなりウエートがかかっているように思う。この会議がメッセージを発するのに、この内容でいいのかどうかということ。外部人材をどのように活用してキャリア教育を学校で進めていくのかという趣旨でないといけない。

 「現状認識」で課題が述べられていて、「校長、もっとしっかりやれよ」、「先生、しっかりやりなさい」、「いろいろな学校でもうやっているところがあるでしょう」というふうに読み取れる。外部人材を活用して進めていくためにはどういう観点があるのかということを、学校に示す必要がある。

 高等学校の普通科におけるキャリア教育をもっと進めなさい、進める方法は、計画をしっかり立てて、校長がリーダーシップをとって、組織体制をしっかりやって進めなさいと言っているように思う。

 この協力者会議というのはいろいろな方々がおり、それぞれの機関、あるいは行政機関、いろいろな団体があって、それぞれ知恵を出し合って、学校は小中高大であり、そういう立場に対して、実はこんな組織がありますよ、こんな機能がありますよということを紹介していく場ではないのか。だから、それぞれに対して、それぞれの部署でどんなことができるというふうに話を持っていくのが、この中間まとめではないか。

 これからやらなければいけないことは、特に高等学校の普通科がターゲットになっているようなので、では高等学校の普通科で外部人材はどういう活用があるのかといったときに、外部人材といっても、産業界だけではなくて、家庭の人だってそうだし、卒業生だってそうだし、それから、高大連携も必要だし、いろいろな観点があるのに、そういうところは見えてこない。

 そういう視点も見せないと、高等学校普通科側では、「そうだね。そういう点もキャリア教育なんだね。そういうふうな活用の仕方があるんだね。そういう機能があるんだ。こういうところでお尋ねすれば、こんなことがわかるんだ」というように勇気づけられない。

 埼玉のお話があったが、東京都は既にやっている。キャリア教育の目標を立てるよう指示が来ており、キャリア教育の計画はできている。各教科でも、キャリア教育をやっている。ただ、先生方がキャリア教育だということを意識してやっているかどうかは別だが、地域の保育園に行って実際に体験するなど、家庭科でもやっている。保健体育でもやっている。数学でもやらなければならないが、少しずれているところもある。そういった点の修正が必要ということはあるが、大事なことは外部人材。この会議は外部人材等に関する調査研究協力者会議。だから、その機能をどのように活用して学校のキャリア教育を活性化させるかという観点から、中間まとめをするべきである。

○この会議の名前が、キャリア教育における外部人材活用等に関することなので、どうしても内部と外部とにはっきりした区分けがあって、学校側の視点からという形では仕方がないが、和らげた表現にできないか。

 内部と外部という観点ではなくて、このキャリア教育を通して人材育成をして、結局、その人材育成がまちづくり、日本づくりにつながっていくということなので、内も外もないというような観点からいうと、会議の名前はこれでいいが、外部という表現を、例えば地域人材とか、もっと一体となるような表現がいいのではないか。

 特に、キャリア教育をやる人というのは地域の方が多い。卒業生であってももともと地域の方であるし、地域の方と何らかの関係のある方が来られるので、地域人材という表現もあっていい。

 それと、人材育成だけではなくて、人材育成を通して、まちづくりあるいは日本づくりをしているという観点も少し入れていただくとどうかというのを、少し感じた。

○この会議がこれだけの陣容で、また、会議の出席者名簿をよく見ると、初等中等局長、審議官、課長がフルタイムで御参加なさっている。やっぱりこれがこの会議のニーズだったと思う。

 キャリア教育が大切だというのは言われて久しいが、現実に、埼玉の例でいえば、高校、なかでも普通高校、進学校では、キャリア教育についての関心が薄い。知識は、文科省からとかいろいろなところからたくさんもらっている。また、社会的にいえば、リーダーを輩出するのも、どちらかといえば、進学校あるいは普通高校の人たち。彼らがやがてリーダーになったときにという思いがある。そういう中で、学校の関心が今一つ低い。

 実はキャリア教育について、都道府県の教育振興基本計画の作成のときに、私も委員の一人として加わった。

 そのときの最大の課題が、埼玉では155校のうち大半が普通科高校。だから、その推力を上げないことには浸透していかないということから、今、教育界のリーダーたちになっている方々を含めて、どうにかしなければいけないというので、「産業人材育成プラットフォーム」を立ち上げて、全庁的に、あるいは県、社会を挙げて、全員が主体となった。もちろんその中心軸にあるのは学校現場ということになり、普通科高校をやり玉に挙げたわけではないが、これが進まないと、やっぱり日本の推力が落ちていくと考えた。

 一番問題なのは、キャリア教育というと、「職業」や「就職」というところへ行ってしまいがちであること。進学校の先生たちは、「就職なら、あるいは職業なら、大学へ行って選んでちょうだい」というのが3、4年前。多くの先生から、「今は基礎・基本で、学力をつけていくことに全力を挙げている。だから、職業とか就職だったら、大学へ行ってから考えてほしい」という声があったが、最近はそうでなくなった。

 自分を生かすためにはやっぱりキャリア教育ということで、先生方も熱心になって、どこの都道府県にもあるのかもしれないが、この周知徹底のために、教育委員会は教育委員(外部者も入っている)に、学校を回ったときには是非お話を頂きたいというのを、知事はじめ、行政も、我々産業界も、かなりの関心を持ってやっている。

 キャリア教育とか、職業観、勤労観の重要性というのは文科省から、あるいは各省庁から発信されていると思うが、それを徹底させるために、今日この会議が行われている。私はやっぱり、この会議の設置の趣旨に鑑みて、自分の持ち場である産業界の中で、教育現場と連携し、協働して、時代を担う若者の育成に努めていくためには、キャリア教育に真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思っている。

○私は、文部科学省の学校支援地域本部の事業と、経済産業省のキャリア教育コーディネーターの認定までの確立と、両方やってきたので、どちらの立場もわかる。学校に近いところに自分の身を置いているので、教育という現場において、最初から、「これを学ぶんだよ、仕事だよ」とするよりも、小学校1年生から6年生までの発達形成段階に応じた、人格形成と個人の興味をどう出していくかということが重要で、中学になったらこうだろう、高校になったらこうだろうというのを、もっとやわらかく表現してほしいと思った。

 職業だけではない。キャリア教育というのは、「何で学ぶの? ずっと学び続けることが重要だよね」ということ。最終的には職業的自立。ちゃんと納税できる大人になってほしいと思っている。けれども、人間は常に学び続けていくんだよという、学び方を習得しながら、自分の生き方を模索していくことがキャリア教育なので、そういうことが端的に学校の現場にわかるようにしてほしいということを言いたかった。

 もう一つ、そういうことをアドバイスしながらつなげていくのに、やっぱりキャリアコンサルタントとキャリア教育コーディネーターの性格は全然違うと思う。キャリア教育コーディネーターは前に出るのではなく、専門家を連れてきて、学校の授業の中にどう人を生かしながら、先生がよき流れをつくるというところに持っていく。個に向き合うとか、職業的なことをきちんと話せる能力をお持ちになっているとか、役割は全然違っている。そういうことも、明確にわかるように示していただけると有り難い。

●今日は、全国の都道府県の教育長の理事会があり、そこでキャリア教育について話すことになっている。参考として見ているのが、全国の教育委員の皆さんが、高校教育についてどう考えているのかという資料。今、高校教育の改革を議論しているので、全国の教育長、教育委員の方から意見を頂いている。

 全国の問題意識を見ると、やっぱりキャリア教育というのは非常に大きなウエートを各県で占めている。特に、これは高校生だが、どういう形で生きていくのか、なぜ学ぶかを学ぶというか、そういう力をつけさせないといけない。

また、学校教育が余り学力をつけさせると、結局、地域から離れて、都会に出ていってしまう。だから、学校が地域との連携うんぬんと言っているのに、それを崩壊させている原因になっているのではないかという指摘がある。だから、キャリア教育をやっていく上でも、しっかりと地域というものを学ばせるという視点が重要だというのが出ており、ここで行われた議論と共通する問題意識を、各都道府県の教育長あるいは教育委員の皆さん方が持っているというのを感じた。

 まずは中間まとめということで、ある面で高校に焦点を絞っているが、小中高の連続した中でのキャリア教育であるので、小中については更に膨らませていくということになろうかと思う。

□最後に、私の方から2点、お話をしたい。

今回の中間とりまとめは、文科省として、こういうことに取り組みたい方向を、施策的にまとめさせていただいているということで御理解を頂きたい。

 したがって、厚生労働省あるいは経済産業省の方から御意見を頂いている、キャリアコンサルタント、キャリア教育コーディネーターとの協働という問題については、今日御欠席の委員からも御意見を頂いているが、この中間まとめの中では、必ずしも十分触れられていないわけだが、今後の議論の方向性の中で、そのことについては触れされていただく。

 また、いきなりコーディネーターやコンサルタントという言葉が出てきても、これ自体を御存じない先生方もいるということなので、脚注的に少し詳しく説明していくという方向で検討したい。

 それから、いろいろ御指摘のあった点で、一つの問題点は、「高等学校(特に普通科)を中心に、以降を取りまとめたい」という文章が本当に必要かどうかということ。それ以降の文章を読んでみると、事例としては高等学校の事例が挙がっているが、すべての小中高に共通すべき文言として理解いただいてもいいのではないということなので、これは事務局と検討をさせていただきたい。

ということで、本日の議論を踏まえて、今後取りまとめをさせていただく。

 なお、この報告についての御意見については事務局の方にお寄せいただいて、その上で取りまとめていきたいので、基本的にはこの中間取りまとめについては、私の方に御一任いただければ有り難い。

 それでは、本日の会議はこれにて終了する。ありがとうございました。

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