学校運営の改善の在り方等に関する調査研究協力者会議 学校評価の在り方に関するワーキンググループ(第6回) 議事要旨

1.日時

平成23年12月13日(火曜日)16時~18時

2.場所

場所中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省)5階3会議室

3.議題

  1. 学校評価の在り方に関するワーキンググループとりまとめ(素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

天笠主査、小松副主査、石坂委員、小林委員、實吉委員、松尾委員、松下委員

文部科学省

下間参事官、松浦学校運営支援企画官、田中主任視学官、奥田運営支援推進係長、若林企画・学校評価係長 他

5.議事要旨

事務局から資料についての説明があった後、討議が行われた。その概要は以下の通り。

    (●:委員発言、なし:事務局発言)

学校評価の在り方に関するワーキンググループとりまとめ(素案)について

  • 私は平成20年度の学校評価ガイドライン改訂の時から関わらせていただいているが、当初の学校評価は、学校の説明責任や学校の情報公開が主なポイントであった。現在は、学校が学校だけで問題を解決するのが難しい時代になってきているため、学校評価や情報公開により学校が地域に踏み込んで学校の問題を解決するという段階に進んでいる。
    このような段階的な区切りを「1.はじめに」で触れた方がよいのではないか。
  • キーワードは、「実効性を高めたい」あるいは「実効性がまだ高まっていない」ということ。そのことを二つの方向から考えていきたい。
    一つは、学校自身あるいは教職員にとって中々やりがいがないこと。学校評価を実施しても、教育活動の改善につながるような効果が見えないという問題がある。
    もう一つは、保護者や地域住民が学校関係者評価にかかわることでやりがいを感じられる、自分たちのかかわりが学校評価のプロセスの中に見えるような取組が必要なこと、学校の質がより高まっていくような実効性の問題がある。これらのことを、「1.はじめに」で触れてはどうか。
  • 学校関係者にとっての実効性が、それぞれの立場を踏まえて釣り合うかどうか課題として検討すべき。保護者へのアンケートを実施すれば学校評価であるという誤解がある。学校評価の姿をしっかりと見据えていくべきではないか。
  • 自己評価の評価項目に、教職員が外部からどう評価されているかという項目が必要なのではないか。

各学校においては、外部アンケートを活用しながら教育活動への満足度や学校行事について、外部の方からどのような評価をいただいているのかを踏まえて自己評価を行っていると認識している。

  • 自己評価の中で、外部からどう見られているかがわかるような項目があればよいのではないか。私の学校では、教職員から見て自分の学校が外部から見てどう評価されているか、という項目を自己評価に入れている。
  • 自己評価のプロセスの見つめ直しが課題として指摘できるのではないか。
    今までは、外部データを使いながら自己評価を行うようには十分になっていない。自己評価の実効性を高めるための改善点の一つとして挙げるべきではないか。
  • 学校評価の必要性についての記述が「1.はじめに」になく、いきなり学校評価の目的について説明しているので、少し冷たいような印象がある。学校評価ガイドラインにあるように、「児童生徒がより良い教育活動等を享受できるよう学校運営の改善と発展を目指す」といった学校評価の目的を「1.はじめに」で記述するべきではないか。 
  • 資料1の5ページ図5によると、卒業生の進路状況あるいは生徒指導上の課題など、保護者の方たちが特に知りたい情報は数字が低い。保護者や地域住民にとって実効性のある学校評価、それに関わる情報提供については、低い数値の中でも保護者や地域住民にとって本当に知りたいことをもう少し分析し、コメントを入れてもよいのではないか。
  • 保護者からのフィードバックを踏まえた自己評価が、まだ不十分ではないか。保護者からのフィードバックを得るには、保護者が知りたい情報を学校が提供するところから始まる。ところが、現状では学校の立場から情報を提供している。そういうことが実効性を低めているのではないか。
    2ページの書きぶりは、「何が何%」にとどまっているが、数字の持つ課題を記述することについては、検討の余地があるのではないか。
  • 学校評価の取組が多忙感を助長しているということはよく言われるが、資料1の6ページ以降は「~いない」という表現は、何をもってそう言い切っているのか。私は学校評価における目標は明確だと思っており、また管理職や一部の教職員の間でしか共有されていないとは思っていない。捉え方によって全く違ってくる。
    また、公立・私立の小・中・高校を選択する前に、その学校をどのくらい理解して入学しているのか、入学前の評価等という点が全く触れられていない。別の見方をすると、入学前の学校に対する評価や保護者の意識も学校によって違うのではないか。そのことを踏まえた一文があってもよいのではないか。
  • 学校、学校関係者等、設置者の課題だけを解決すれば、本来目指すところの学校評価の使命を果たせるのか。他にかかわりが必要なものがあるのではないか。
  • 例えば、「3.(2)2外部アンケートが形骸化している」が(2)に位置付けられるのかについては議論の余地がある。むしろ(1)に位置付けられるのではないか。学校関係者評価についてはもっと課題があるのではないか。例えば、学校からの情報提供が不十分であれば、設置者や学校関係者による働きかけに課題があるということもできるのではないか。
  • 読む人の立場をある程度意識して書いてあるのは良いが、最後に学校・学校関係者評価・設置者の三者の関係を書いてはどうか。例えば、学校の情報提供については、学校側に一方的に問題があるように書かれているが、例えば、保護者会や学校行事等に参加するなど情報は保護者自身でいろんな機会に得られることがある。学校関係者が、自ら自主的に学校へかかわり合いを持つ必要があるというような記述が必要ではないか。
    設置者にしても、学校に任せっぱなしではなく、研修などを通して指導主事の日常的なアドバイスや校長会などを通じた連携が必要などと書くべきではないか。
  • 学校評価は校長のリーダーシップによるところが大きく、校長が替わることによって学校評価の継続性が保てなくなるという指摘があったかと思うが、地域にとって、学校が抱えている課題は校長の任期より長い場合がある。学校評価の継続性を保つ試みを、どういうふうに担保するのかという視点も必要ではないか。
  • 資料1の7ページの「4.(1)より実効性の高い学校評価とは」の位置付けがはっきりしない。実効性を高める手立てが出てくるのかな、と思えば、課題にかかわる記述もある。課題の部分はその前で終わり、その課題を踏まえて、どういう手立てがあるのかというのを書き出すべきではないか。課題と手立ての区分けをしていかないと中途半端になる。読み手からすると、早く手立てを示した方がよいのではないか。
  • 「学校評価」という表現でくくっているところと、「自己評価」や「学校関係者評価」と別の言い方をしているところがある。課題も「学校評価」としての課題ではなく、自己評価の課題や、前段の課題の部分とわけて書いた方がもっとわかりやすいのではないか。
  • 「自己評価」と「学校関係者評価」を包括する意味で「学校評価」という表現を使っている場合がある。言葉の使い方を認識して丁寧に書いた方がよいのではないか。
  • 資料1の「4.(2)3学校評価にかかる負担感の解消」は、「負担感の解消」ではなく、「学校評価にかかる目的意識の明確化」ではないか。負担感の解消を掲げるのであれば、例えばアンケートの集約方法の合理化や、質問紙のよるアンケートは2年ないし3年に1回に整理して中期的に実施するとか、その手立てを記述すべきではないか。これまでのヒアリングから伺えるヒントは、「1学校の評価目標の明確化と重点化」は広島市、「2全教職員の参加と協働による学校評価の実施」は東京都と二つある。他の事例から5や6があるのではないか。
  • 学校の中で組織的に学校評価に取組めていないので、「4学校評価を行う組織の工夫」を加えさていただいた。教育活動や生活指導などに対応した学校組織だけでなく、学校にはいろんな職員がいるので、学校全体で取り組む視点も活用する必要があるのではないか。
  • 「負担感の解消」は、「1学校の評価目標の明確化と重点化」、「2全教職員の参加と協働による学校評価の実施」、「4学校評価を行う組織の工夫」をしっかりやることによって、負担感が軽減されるという構造なのではないか。負担感というのをどこまで位置付けて盛り込むのか。実効性を高めていく上でのマイナス要因になっているということであって、それをどう克服していくのかという問題であり、記述に工夫が必要ではないか。
  • 7ページ「4.(1)より実効性の高い学校評価とは」では、その答えが書かれていない。例えば、管理職と教職員の間の意識の違いを埋めて、共通認識のもとに教育活動を行うという記述を書くべきではないか。8ページには学校としてなすべきことということで、言い切った部分も必要ではないか。東京都立学校の事例は、全ての教職員による組織的な学校運営を行う上でうまくいっている。
  • 「3.学校評価実施上の課題」とした上で項目ごとに課題を整理し、それらをどうやって解決していくかを8ページ以降に記述していくべきではないか。現状の課題と実効性の言葉の意味するところがうまくつながっていかない。
  • 16ページの京都市の例にもあるが、児童生徒アンケートに触れていない。実態としてやっているのであれば記述するべきではないか。
  • 9ページの「4.(2)6外部アンケート等の工夫等」について、「外部アンケートに頼らず、」という記述ではアンケートに対してマイナスイメージを与える。「外部アンケート以外の方法で、」などという記述がよいのではないか。
  • 9ページの「4.(2)7明確な設置者の教育ビジョン等の策定」について、設置者が統一的な様式を提示することによって、学校における取組が画一的になってしまう場合もある。「~提示することが望ましい。」ではなく、「~提示するという方法もある。」がよいのでないか。統一的な書式を定めてしまうと、その書式に当てはめればいいという方向に行ってしまう懸念がある。
  • 負担感を少なくするという観点からすると、設置者が一定の枠組みを示すという方法もあるのではないか。負担感を軽減するということで重ねて扱うのか、設置者の支援というのはそういうことになるのか。
  • 市の独自施策が市内の全ての学校で行われているのかを、統一様式の中で共通評価項目として示していくのがよいのではないか。市が明確なビジョンを示し、それが各学校でどのように生かされているのかを示すことが重要。負担感の議論と結びつけると違うのではないか。区立学校であるにもかかわらず、町全体の教育ビジョンや人づくりとは関係のない教育目標を掲げているケースが多いので、市民に対する責任を明確にしていくためにも、教育ビジョンを踏まえた経営計画を立てて欲しいし、評価様式の中に統一して入れるということは必要である。「4.(2)7明確な設置者の教育ビジョン等の策定」の中の2つの点は一体として捉えるべきではないか。
  • 前橋市にも市共通の評価項目はある。共通項目もあれば各学校の課題に応じた学校独自で取り組むべき項目もある。慶應大学が開発したニーズド調査(SQSシステム)は簡便である。指導主事の学校訪問の記述は入れておく必要性はあるのではないか。
  • 「4.(2)7明確な設置者の教育ビジョン等の策定」のうち、負担感を少なくするという観点は別立てにするべきで、「9教育委員会の支援体制の整備」に入るのではないか。大事なのは、学校評価の内容であって、それをどう学校教育の中に生かしていくかが必要ではないか。
  • 言葉のレベルをもう一段全体で検討するべきではないか。例えば、「9教育委員会の支援体制の整備」の「支援体制」という表現は包括的である。「教育委員会組織の見直し」にするなどの整理が必要ではないか。
  • 資料1の2ページの私立学校の記述について、「検討の期待」は良いが、6ページ5.(3)のように、国が「制度的な検討を行う」のは迷惑である。平成19年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、都道府県教育委員会が有する学校教育に関する知見を、私立学校を所管する都道府県知事が活用できることとなったが、法案に対する附帯決議により改正法を運用する際は私立学校と協議するなど、私立学校の自主性を尊重するよう配慮されているはずで、私立学校は教育委員会から指導を受けることについて抵抗している。そのことを踏まえて検討していただきたい。
  • 教員養成段階から学校評価の知見を得るのは大事なことである。教員養成への言及は必要ないのかどうか、教育の社会、制度、経営の中で扱う内容とのかかわりの検討が必要である。
  • 9ページ「4.(2)9教育委員会の支援体制の整備」のところで、学校評価の担当を置くと、他への影響が出てくるのではないかという懸念がある。
  • 都教育委員会が意識調査、満足度調査を実施していると聞くが、学校関係者評価を行う際の参考になるのではないか。
  • 11ページの図は都立高校を前提とした枠組みなのか、それとも都内の小・中学校を意識したものであろうか。
  • 11ページの図は、都立学校を前提としたものであるが、義務教育諸学校を所管する都内の市区町村にも指針を示しており、各教育委員会が判断して決めている。
  • これまで学校評価は、義務教育から高等学校、私立学校へと拡大してきた経緯がある。高等学校という組織を前提にした学校評価と規模の小さい小・中学校では学校評価のシステムは違うのではないか。
  • 東京都の事例は、経営診断を踏まえて、支援センターを作ったのがポイント。診断の結果に基づいて教育委員会が支援するというもので、大規模な教育委員会には有効。しかし、小さな教育委員会では難しいと思う。国の役割としては、こうした人事行政の在り方を踏まえた国の支援が必要である。

8ページの「4.(2)3学校評価にかかる負担感の解消」は意識の問題であり全体に関わるものなので、「はじめに」などに入れてはどうか。また「負担感」は学校評価に限らず、意識の問題と手続き、方法、マニュアルなどスキルの問題があり、書き分けていくのはどうか。

学校評価は何の役に立つのか、形式的で煩雑で意味がないという意見が多い。授業が変わるとか、子どもたちの指導改善に役立つとか、実感が現れると教職員はメリットを感じるのではないか。「子どもたち」とか「学校が変わる」等の文言も含め、子どもたちの満足度を見せていく必要がある。また、何のために第三者評価を学校評価ガイドラインに追加したかを見つめ直す必要がある。学第三者評価の視点を加えることによって、学校評価の有効性を担保するメタ評価構造が生まれ、それによって自己評価や学校関係者評価がチェックされ、より有効なものとして働くという意味で、第三者評価が学校評価ガイドラインに加えられた経緯がある。学校評価の実効性を高めるための仕組みとしての第三者評価を強調する必要があるのではないか。

学校評価の結果が次年度の改善に生かされれば、負担感は解消されるのではないか。8ページの4.(1)1の後段に、「評価結果を踏まえ」、「教職員の課題意識を踏まえ」という言葉が入らないだろうか。私立学校の「特殊性」は「特色」くらいで十分ではないか。

2ページの「2.学校評価の現状」から6ページの「3.学校評価の課題」の間にグラフがあって、距離感がある。現状と課題の関連性を構造化した方がいいのではないか。6ページは3つの主体で整理しているが、学校評価の種類ごとに整理したら構造化して整理できるのではないか。また、最後の事例の紹介も丁寧に説明したら、資料も生きてくると思う。

何のために、誰がこれを読んで共感し、よりよい学校評価に結びついていくのかを、はじめにやさしく言及したらどうか。また、どういう構成、構造にしていくかを全体的に考えていく必要があるのではないか。

  • 学校評価の結果は、学校から一方的に発言されたままになっており、保護者等からレスポンスを受け止める仕組みが出来ていない。外部からのニーズ、期待との乖離が分析されていない。学校評価が一方通行のツールから、双方向のコミュニケーションツールへと転換することが期待されている。企業における情報公開は、情報を一方的に出すだけでなく、マスコミを通じたりNPO法人との座談会を通じるなど、双方向の関係づくりができるよう工夫している。

最後に事務局から今後の会議の予定について説明があり、閉会した。

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(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)