資料1-3-1「議論のまとめ(案)」概要
子どもの豊かな学びを創造し、地域の絆をつなぐ~地域とともにある学校づくりの推進方策~(概要)
1.議論の背景と問題意識
(1)とりまとめにあたって
- 学校と地域の連携は、教育施策の中心的柱であり、この流れの中で「今後の学校運営の改善の在り方」を議論。
- 一方、東日本大震災を契機として、教育論からの学校と地域の連携にとどまらない「学校と地域の関係」が問われているとの認識を共有した。
- 平素からの学校と地域の人々との関係づくりが、人々の学びと成長を促し、ひいては、子どもたちを守り、地域を守ることにつながる。
- こうした取組が広がっていくことを期待。
(2)子どもを中心に据えた学校と地域の連携
- 学校と地域の関係は、子どもを中心に据えて、家庭とあわせて三位一体の体制を構築し、子どもの成長とともに、教師や保護者、地域住民等がともに学びあいながら人間的な成長を遂げていくという姿が理想。
<学校と地域の関わり>
- 学校が役割を果たしていくために、地域の人々の支えが必要。
- 学校をモニタリングする主体として、保護者・地域住民等が学校運営に関わることが重要。
- 子どもを育てる中では、保護者、地域住民それぞれに責任があり、当事者として自分の持ち場で積極的に関わるという意欲が求められる。
(3)地域とともにある学校づくりの促進
- 理想と現状の間のギャップを埋め、理想へと近づけるものは、各地域・学校の自発性に基づく具体的な行動と、それを後押しする国の施策の推進。
- 2.以降において、目指すべき学校運営の姿と今後の推進方策をビジョンとして提案。
<学校と地域の連携促進にあたって特に重視した観点>
- 学校と地域の連携の実質化
- 学校間連携、学校段階間の接続や連続性の確保
- 学校の「大人の学びの場」「地域づくりの核」としての側面
2.「地域とともにある学校」
- すべての学校が目指すべき姿として、小・中学校の連携・接続に留意しながら、地域の人々と目標(子ども像)を共有し、地域の人々と一体となって子どもたちをはぐくんでいく「地域とともにある学校」を提唱。
(1)目指すべき学校運営の在り方
地域とともにある学校づくりにおいて、基本となる事項は、
- 地域でどのような子どもを育てていくのか、何を実現していくのかという目標(「子ども像」)を共有すること。
- 学校における教育活動や学校運営に地域の人々が参画し、共有した目標に向かってともに活動していくこと。
そのためには、学校と地域の人々の相互理解と信頼関係が不可欠であり、その構築のため、学校運営に以下の機能を備えていくことが必要。
こうした学校運営を実現するためには、関係者の努力と取組を引き出す「仕掛け」が必要。教育委員会と教育長が果たすべき役割は大きく、明確なビジョンと行動が、地域とともにある学校づくりを促進する。
(2)「地域とともにある学校づくり」により得られる成果
- 子どもを中心にすえた学校と地域の連携は、子どもの育ちにとどまらない、大人たちの学びの拠点を創造し、地域の絆を強め、地域づくりの担い手を育てる。
- これらは、当事者(子ども・保護者、教職員、地域社会)にとって、地域とともにある学校づくりに関わっていくことの魅力へとつながる。
<得られる成果>
子どもたちの「生きる力」をはぐくむことができる(地域の望む子ども像の実現)
- 社会性の育ち、より豊かな学び、心の安寧、地域への愛着
教職員、保護者、地域住民等がともに成長していく(地域の教育力向上)
- 子どもの成長に責任をもつ人が増えるプロセスとなる
- 大人の成長は子どもたちの教育の充実につながる
学校を核として地域ネットワークが形成される(地域の活力向上)
- 子どもたちにとって安全で安心できる生活環境
- 地域の人々同士がつながり、地域の活力が向上
地域コミュニティの基礎力が高まる(地域の礎の構築)
- 大人同士による学びあいの創造から地域づくりの担い手へ
- 震災などの有事の際に「コミュニティの力」として発揮
(3)学校の可能性(「地域づくりの核となる学校」)
- 日本の公立学校は、全国どこの地域にもあり、優秀でまじめな教員が配置されており、全国で地域社会を支えるインフラ。地域に根を張り、地域の礎となっている学校は、地域づくりに貢献することが可能。
- 学校の学習課題(例:人権教育、防災教育、環境教育等)は、地域の課題にもつながるものであり、学校づくりと地域づくりが密接に関わっていることを考えれば、今後、学校が、地域の課題を解決するための「協働の場」になるという視点が必要。
- その際には、学校と地域の人々との「協働」の機会を確保するとともに、地域住民主体の運営を基本とすることや学校側の体制を整備するなど、学校への新たな負担が増すことがないように留意。
<期待される効果>
(4)地域の自発性と独自性の発揮
- 「地域とともにある学校」は、各地域・学校を取り巻く環境や実情に応じ、あるべき学校を実現しようとする自発的な行動によって、初めて具体的な学校として姿が形づくられる。
- 学校を、子どもたちにとって、また、自分たちの地域にとって最良の学校とするために、学校と地域の人々が一緒になって考え、行動していくことが、地域独自の「地域とともにある学校づくり」となり、「地域づくり」となる。
3.今後の推進の在り方(国は何をしていくべきか)
(1)国の役割
- 国に求められる役割は、今後の具体的な推進目標を打ち出すとともに、各地域・学校での取組を後押しする運用上、制度上、財政上のあらゆる角度からの支援の実施。
(2)今後の推進方針
- 「熟議」「協働」「マネジメント」をキーワードに、以下の施策を重点的に推進。(詳細別紙)
推進目標1:今後●年間で、コミュニティ・スクールの数を全公立小中学校の●割に拡大
推進目標2:今後の学校運営の必須アイテムとして、すべての学校で実効性ある学校関係者評価を実施
推進目標3:中学校区を運営単位と捉え、複数の小・中学校間の連携・接続に留意した運営体制を拡大
推進目標4:「管理」から「マネジメント」へ意識改革を行い、学校の組織としての総合的なマネジメント力を強化
推進目標5:地域コミュニティの核として被災地の学校を再生し、震災復興の推進力となるよう、総合的な支援を実施
4.さらに検討していくべき中長期的課題
- 「地域とともにある学校づくり」を促進していく上では、さらに検討が必要な中長期的課題が存在。
<学校のガバナンスに関する課題>
「地域とともにある学校」のガバナンスは如何にあるべきか。
<学校における業務と組織体制に関する課題>
「地域とともにある学校」が担うべき業務、また、それにふさわしい組織体制はどのようなものか。
<教職員の養成に関する課題>
「地域とともにある学校」を担う教職員、管理職の養成・確保を如何にしていくべきか。
(以上)
初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付
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