資料1 常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応に関する専門家会議(第1回)における主な意見

○ 改定に伴い付表に追加された熟字訓(尻尾,真面目など)についても,教えるべき学校段階の配当をすべきではないか。

○ 現場における指導にとっては,できるだけ早めに改定常用漢字表の扱いを明確にし,学校に提供する必要がある。

○ 少なくとも中学校教科書については,すみやかに新しい方向性を踏まえたものになってもらいたい。

○ 中学校の現場では,漢字指導の時間がなかなかとれず,増えた常用漢字について指導するのは難しい現状にある。

○ 教科書などの表記について,追加漢字を含め,常用漢字を積極的に振り仮名付きで示すことは,漢字の習得において効果が高い。  

○ 学年別漢字配当表にない都道府県名の漢字の取扱いについて,子どもに対する学習負担や何学年に配当するかなどの検討を十分に行う必要があるため,当面は現状のままでよい。

○ 字体や手書き文字についての方向性に触れる場合は,現場が混乱しないよう周知徹底を丁寧に行っていく必要があるため,慎重に審議を行う必要がある。

○ 中学校において常用漢字をどのように指導するかについては,教科書に委ねている現状がある。

○ 子どもたちは学校教育の場以外のところでかなり常用漢字外の漢字に触れているが,一般的によく使う「訃報」や「補填」という言葉が読めていなかったり,「理由」や「玩具」について,「わけ」や「おもちゃ」と答える誤答が正答よりも多かったりする。中学生が,どの程度正確な音訓で読めているのかということを慎重に調査した上で,議論を深めていく必要がある。   

○ 読むことについて,単体で読むのか,文脈で読むのかによって正答率が異なる。文脈の中で読ませたり,振り仮名によって目に触れる機会を増やすことにより単体でも読めるような形にできる。

○ ワープロを使って漢字を書く場合,読むということとのつながりの中で,読めれば大体ワープロを使って書けている。このため,小中学校において読みの指導を多くすべきである。

○ コンピュータ上で書けるのと,手書きとでは異なるため,書くことを指導する字数を厳密に示すことは難しいのではないか。

○ 小学校現場においても,パネルや情報機器,パワーポイント等を使用した発表などが行われ,子どもたちは見慣れない漢字でも自然に読めるようになっているが,書くとなると難しい。こうした漢字をどのように扱っていくのかが問われている。

○ 常用漢字表の改定により追加された漢字には,「しんにゅう」や「しょくへん」など従来の常用漢字表内の字体と異なる字体が入っており,「謎」や「餅」のように小学校でも教えていいような字が含まれている。指導上の混乱を生じないためにも,目安ではなく規範を示す必要がある。

○ 高等学校では,常用漢字というよりも大学入試にどのように出てくるのかを意識している。また,字体に許容の幅があり,教科書,参考書,問題集,テストなどで字体が様々に出ると生徒の学習の際に混乱をきたすこととなる。

○ 高校生は難しい字を読めるものの,簡単な字が書けないという現状がある。また,熟語を書く場合に意味を意識せず誤字が多い。訓読みがしっかりできて書けるように指導していくべきである。

○ 高校入試の観点から,音訓の取扱いは大きな意味をもつため,現場を経験した者の意見を入れながら作っていくことが重要。

○ 子どもの学習負担を考えるとき,国語科だけでなく学校教育全体,社会全体で対応するという視点が必要。

○ 読む力を付けることによる理念を明確にし,書くことには自分の考えを自分の言葉で記述することが重要。改定常用漢字表に対応する指導と評価の在り方を,読む力と書く力との関係で再構成する必要がある。

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