常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応に関する専門家会議(第6回) 議事録

1.日時

平成22年9月29日(水曜日)午後4時~6時

2.場所

文部科学省講堂

3.出席者

委員

吉田(裕)主査,飯田委員,佐藤委員,柴田(悦)委員,柴田(洋)委員,杉戸委員,武元委員,千々岩委員,積山委員,長野委員,宝官委員,村山委員,吉田(和)委員(計13名)

文部科学省

山中初等中等教育局長,平林教育課程課長,森教科書課長,倉見学校教育官,氏原主任国語調査官ほか関係官

4.議事録

〔配布資料〕

1 「常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応について」(まとめ)(案)
2 常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応に関する専門家会議(第1~5回)における主な意見

〔参考資料〕

1 常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応についての関係団体からの意見について

〔経過概要〕

1 事務局から配布資料の確認及び説明があった。
2 事務局の説明に対する質問を含めつつ,配布資料1「常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応について」(まとめ)(案)について意見交換を行った。その結果,配布資料1で示された案が了承された。
3 山中初等中等教育局長から挨拶があった。
4 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。

 それでは,これから,本日の議事に入ります。本日は,今ご説明がありました,本会議の最終的なまとめの案であります資料1に基づいて,意見交換を行いたいと思います。今の事務局の説明の中身についてのご質問などもございましたら,含めていただきながら,それぞれの項目にご意見をいただきたいと思います。

 それでは,進め方としましては,今ご説明がありました,1,2,3,4の大きなくくりで,まず改定常用漢字表の性格と学校教育における漢字指導の基本的な考え方,これをまず取り上げて,2つ目には,2番の各学校段階における対応について,3番目に,学校教育での筆写(手書き字形)の取り扱いについて,最後に,4つ目の関連する事項,こういう順序で参りたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

 それでは,元に帰りまして,まず資料1の1,改定常用漢字表の性格と学校教育における漢字指導の基本的な考え方,この項目につきまして,ご質問やご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。事前にお読みくださったり,今,説明を聞きながら,改めて目を通されて思うところがありましたら,お願いいたします。

 改定常用漢字表が漢字使用の目安として提示されて,学校教育においては,この専門家会議の場で協議し,適切に行われることが望ましいと,こういうことが中心かと思います。よろしいでしょうか。

 それでは,ここのところはお認めいただいたということで進めさせていだきます。ありがとうございました。

 それでは,2つ目のところに行きまして,各学校段階における対応について。これは(1)が小学校,(2)が中学校,(3)が高等学校という形でまとめられています。それぞれに括弧つきの下位項目がございますけれども,これについて,ご質問,ご意見をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。

 小学校は,基本的には学年別漢字配当表,中学校は,「読み」は学年別漢字配当表から新しく改定常用漢字表に及び,「書き」は学年別漢字配当表,高等学校は常用漢字と,こういうものがおおよそかと思いますけれども,いかがでしょうか。

 小学校は,大きくは現行どおり。中学校は,「読み」のところで漢字の範囲を少し幅広く提示するという形で改定。高等学校は,主な常用漢字という形で出ているので,その範囲を示すのが望ましいのではないかというご意見もありましたけれども,高等学校はさまざまな学習者,生徒が存在しているために,これを示すことはかえって難しく,また指導の適切な状況に必ずしもなると思えないというような発言があって,さまざまな生徒に対応するために,各学校が生徒の実態において指導できるようにするのが適当ではないかと,そんな感じだったのではないかと思います。

 いかがでしょうか。

 改定は24年度から,中学校の学習指導要領の全面改定に合わせて,中学校も高等学校もと,こういうことだったかと思います。

【杉戸委員】

 学習指導要領の変わっていくプロセスについて,特に中学校のことについて全く存じませんので,それに関連するお尋ねになります。3ページに「上記(i)の取り扱いは,平成24年度から全面実施する新中学校学習指導要領において適用する」とあります。これ,細かく見ますと,24年度に2年生,3年生になる生徒たちはどうなるかと。24年度に2年生になる生徒たちは,23年度は1年生。その人たちは,多くても300字程度勉強してきた人。それが24年度の2年生になると,350字からという勘定になるという,「程度」という言葉,あるいは,字種が個別に指定されていないということから,そういうところにこだわるべきでない,そういうことかもしれませんが,ちょっと気になりました。

【吉田(裕)主査】

 中学校は全面実施ですから,その年度に入学する生徒だけではなくて……。高等学校は,確かに入学した年度からの適用という形になりますけれども,小学校,中学校は,今の場合,中学校ですけれども,中学校は1年生も2年生,3年生,全部に適用されると。こういうことだと,学年での違いをどのように考えたらいいのかと。

 これ,事務局のほうでいいですか。お願いいたします。

【倉見学校教育官】

 ただいまのご質問にお答えしたいと思います。杉戸委員のほうからご指摘ありましたように,確かに,平成24年度の中学校2年生は2年間で,3年生は1年間で,追加された196字の漢字について,基本的には学習するといった形であるかと思います。しかしながら,追加された196字の中には,既に日常生活において使用頻度の高い漢字も結構ありますと思いまして,生徒にとっては目に触れる機会も多いのかなということと,それから,追加された196字の漢字は,中学校においては「読み」ということで,「書き」の学習に比べて学習負担が少ないと考えまして,24年度から全面実施ということになりますが,生徒の過度な負担を強いるものではないのではないかと考えているところでございます。

 なお,当該生徒が受験します高校入試では,改定前の常用漢字を出題範囲としておりますので,入学試験上,不利益を生じないようにといったような形になるかと思います。以上でございます。

【杉戸委員】

 よく分かりました。

【吉田(裕)主査】

 よろしいでしょうか。24年度から,巻末に新しい漢字の一覧表を設けるだとかというようなこともあるんじゃないかと思いますね。

 ほかにございましたら。はい,吉田委員,お願いいたします。

【吉田(和)委員】

 今,杉戸委員のご質問に対してお答えになったこととそんなに変わらないんですけれども,現場の声としてお聞きいただければと思います。基本的にこのように,字数が300字程度から400字程度とか,350字程度から450字程度というように,増えているという感覚がどうしてもあるわけなんですけれども,しかし,現実には,中学校の教科書は,ほんとうに何回も申し上げるように,教科書会社によって取り扱っている漢字がかなり違っております。というよりも,むしろいろいろな機会に,いろいろな場面で,生徒たちが漢字に触れている機会が非常に多くなってきていると考えますと,これは必ずしも字数が増えて負担が多いというふうに考えられないほうがいいんではないかなと思います。むしろそういうふうな情報機器等を踏まえて,目に触れる漢字自体が増えてきているということを考えると,この部分があっていいのかなと思います。

 また,字数を指定するといっても,中身がきちっと決まっているわけではないので,ある意味では非常にアバウトな部分があります。むしろこのアバウトな部分は結構大事な部分でありまして,中学校の場合でも,さまざまな子供たちの文化的な状況とか,それぞれの違いによって,いろいろな子供が出ています。ですから,このような形で,明確にそれが,3年生になるまでに大体を読むという形で,ここも少しアバウトになっているところは,むしろ中学校にとっては非常にありがたいことだと思っておりますので,私はこれでいいと思います。

 それから,24年度から行うということについて,中学校としては本当にそのようなことでいいと思いますし,これがやはり卒業した後,高校に行くわけですから,そういう意味でも,この文言があることによってより明確になったと思われます。1つは,追加された常用漢字について,適宜指導するということが今後できるような教材をぜひご提供いただけるとありがたいなと現場としては思っております。以上です。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。基本的にはこれでいいのではないかというご意見をいただいたと思います。確かに,196字,それから,5字ありますので,191字が増える形になるわけですけれども,しかし,そうはいいながら,日常生活の中で子供たちが触れている漢字というのはもっと多いかもしれないと。そういう意味では,増えることによってこの文字も使えるというような,そういう側面もあるんじゃないかと,そういうご意見だったんじゃないかと思います。

 ほかにありますでしょうか。中学校が話題になったかと思いますけれども,高等学校はいかがですか。小学校は,23年度から実施ということもあるし,学年別漢字配当表というのが学習指導要領の中に用意されています。高校の意見があれば。はい,お願いいたします。柴田委員,お願いします。

【柴田(悦)委員】

 よろしくお願いします。私,前回は,中学校での習熟の度合いを受けて,高等学校で指導するのが望ましいのではないかという意見を言った覚えがあります。しかし,先ほどから出ております,ふだん目にする漢字も,その191字の中には相当多いということもあるものですから,そういったことを考え合わせますと,ここに書かれている,1年,23年度を置いて,24年度からという方向で私はよろしいのではないかと考えております。以上でございます。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。高等学校の立場からも,これでよろしいというご意見だったかと思います。

 ほかにありませんでしょうか。今,年次のことについても触れていただきました。よろしいでしょうか。

 じゃ,学校の対応,小学校,中学校,高等学校のそれぞれの各学校段階における対応についてというところでのご意見も,これでいただいたということでよろしいでしょうか。それでは,これをお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは,3つ目の項目であります,学校教育での筆写(手書き字形)の取り扱いについて,引き続き,ご質問あるいはご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 この手書き,筆写につきましては,限られた時間の中にありながら,かなり熱心に議論を交わした項目だと思うのですけれども,このようにまとめましたが,こういった形でよろしいでしょうか。ちょっとじっくり眺めて,お読みいただいて。

 この手書きは,主として高等学校が話題になるわけですけれども,小学校は先ほどありました学年別漢字配当表に基づく,中学校もそれに準じていますから,高等学校がたちまち,手書きについては大きな対象になっていくわけです。

 宝官委員,いかがですか。実際に高等学校の生徒さんを相手にしていらっしゃる立場からいかがでしょうか。

【宝官委員】

 失礼します。多様な生徒がいるという現状に加味いただいて,このようにおまとめいただいていると思いますので,大変ありがたく,このような形でしていただけるとありがたいなと思っております。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございます。

 ご意見,ご異論というのがあるかもわかりませんが,いかがでしょうか。基本的にはあまり厳しくしないというんでしょうか,緩やかに対応する,それから,先ほど来,繰り返しになりますけれども,高等学校に在学する生徒は多様であるということもあって,標準字形をあえて示さないほうが現実に適切に対応できるのではないかと,こういう基本的な考え方でこれは示されています。

【千々岩委員】

 これは確認なんですけれども,5ページのなお書きのところの一番最後のほうですが,中学校あたりの指導において,「字体の違いに及ぶ指導を行ってもよい」という表現がありますけれども,この字体の違いに及ぶ指導は,例えばどういうことをイメージしていらっしゃるのか。

 私の考えでは,小学校の場合は,学年別漢字配当表の字体で指導するわけですけれども,仮にそれと違った字体で子供たちが書いてきた場合は,そういう字体も実際確かに使われているねという程度の確認,その程度の指導でいいかなと。中学校の場合は,実は社会生活の中ではいろいろな字体が使われているんだということを認識として持たせるというか,そういった積極的な指導もこの字体の違いに及ぶ指導の中に含めて考えてもいいのかなと思ったものですから,そこで,イメージとしてもし何かお持ちであれば教えていただけないかなということが1つです。

【吉田(裕)主査】

 1つでいいですか。

【千々岩委員】

 ええ。まだありますけれども,とりあえず1つです。

【吉田(裕)主査】

 じゃ,1つずつ伺いましょう。今のは,資料2に基づいてご説明いただけますかね。

【倉見学校教育官】

 それでは,このまとめの一番最後に,資料2,文化審議会の答申から引用しているものがあります。今回ここに掲げられている字が,筆写の楷書字形と印刷文字字形の違いが字体の違いに及ぶものといったことで例として掲げられているものでございますが,文化審議会の答申におきましては,括弧内のほうが一般的な場合もあるということで,どちらでもといったようなことになっておりますが,中学校段階では,これまで委員の先生からいただいた意見では,どちらか標準的なものを決めてもらったほうが指導しやすいということでございましたので,基本的に,明朝体の活字,常用漢字表に示されている活字にならった形で書くのを標準として,そうでないものでもいいですよと。

 よくごらんになっていただきますと,この資料2でいいますと,括弧内で書くかなという漢字もあれば,普通,この字は括弧外で書くかなというのも実際にございます。そうはいいながらも,言葉は適当でないかもしれませんが,ひとまずどちらが標準という形にさせていただきまして,ここにもフレーズとして入れておりますが,それぞれの漢字の特性や生徒の実態に応じてということですので,千々岩委員が今,ご発言されたようなところで,授業の場面としてはあり得る話なのかなと思っております。以上です。

【吉田(裕)主査】

 今のご説明だと,許容事項という感じでしょうかね。積極的に,これはこの字体が元になっているんだとかという,字体指導ということでは必ずしもないと,こういうようなことだったかと思います。

 2つ目がありましたら,どうぞ。

【千々岩委員】

 2つ目は評価のことなんですけれども,括弧書きでしんにゅうの例が挙がっているわけですが,先ほど,筆写の楷書は,これまでと同じく,印刷文字の字形にならって指導することを標準とするとなっているわけですから,ここだけ,しんにゅうについては,屈折が多い,この手書きに統一するというわけではなくて,要するに,これを指導の標準にしながらも,印刷文字で1点しんにゅうも,2点しんにゅうも,どちらを書いても正解にするということの意味合いでここに引用されたのかなという,その引用の部分の意図と,柔軟に評価することが適当であるということの意味合いをもしご説明いただけるのであれば。

【倉見学校教育官】

 正直な話,ここはちょっと意見がわかりにくいところではあるんですが,基本的に,印刷文字字形にならってということは,明朝体であれば,2点しんにゅうの漢字もあるわけです。ただ,例外という言葉を使っているかどうかわかりませんけれども,しんにゅうだけは,印刷文字が1点しんにゅうであろうと,2点しんにゅうであろうと,1点でゆすって書くことが一般的であり,それを普及していく必要があるというふうに……。

 皆さん,お手元のこの白い改定常用漢字表文化審議会答申の(15)ページをごらんいただきたいんですが,(15)ページの最後のところでございますが,ここを引っ張ってきているわけです。手書き字形としては,同じ1点しんにゅうで書くことが一般的であるという認識を社会全体に普及していく必要があると。ここだけが少し例外的な扱いになっているものですから,ここは,今日ご欠席なんですが,金武委員が比較的強くご主張されていたものですから,ここに括弧書きで,文化審議会からの引用みたいな形で記述させていただいたということでございます。

【吉田(裕)主査】

 評価は柔軟にということで,大体,柔軟にという路線が多くのところに出ているんじゃないかと思うんですけれども,その,柔軟にという基本的な路線に対して,ここは一般的にという形になっているところの,その関係を説明してほしいと,こういうことだったんですね。今の回答に対してはどうですか。

【千々岩委員】

 そうすると,要するに,しんにゅうについては,従来の手書きの屈折の多いものを標準として,例外的に考えていくと。その他は印刷文字の字形にならっていくというような,これまでもそれを中心に学校教育では取り扱ってきたと思いますが,そういう方向で行くということを確認できたということですね。

【吉田(裕)主査】

 今のは,常用漢字の文化審議会の答申のところをほぼ引用していますので,私たちのこの学校教育への対応の専門家会議がどうこれを踏襲するかということだろうと思います。これを改めてもう1回どうするかということになると,文化審議会でもう1回やってもらわなければいけない,そんなことに……。

 今のはよろしいですか。

【千々岩委員】

 はい。

【吉田(裕)主査】

 武元委員,お願いいたします。

【武元委員】

 まとめの7ページのところで,文部科学省において,学校の指導に参考となるような資料を作成というふうにまとめられているわけですけれども,今の字体の問題について,おつくりになる資料の中で言及される予定はおありでしょうか。おありならそれでいいんですけれども,もしまだお考えになっていないということであれば,ぜひ今のことについて,つまり,5ページの「柔軟に評価することが適当である」というこの趣旨,これを具体化するためにも,ぜひ字体の問題について言及していただきたいと思います。

【吉田(裕)主査】

 文部科学省の資料作成については,後の議題ではありますが,字体については触れられていないから,字体についても文部科学省のほうで資料を作成されることがあり得るかどうかと,こういうご質問でした。

【倉見学校教育官】

 武元委員からいただいた意見を十分に参考にして,今後,作成について検討していきたいと思っております。

【吉田(裕)主査】

 よろしいでしょうか。それでは,検討するということで,よろしくお願いいたします。

 はい,杉戸委員,お願いいたします。

【杉戸委員】

 資料というか,今,審議中の,対応についてのまとめという文書に,今の5ページの括弧とか,アスタリスクがついたまま,まとめとなって,完成版となるのでしょうか。

【吉田(裕)主査】

 この引用のところですか。

【杉戸委員】

 はい,引用のところ。

【吉田(裕)主査】

 これ,いかがでしょう。

【倉見学校教育官】

 その予定でございます。

【杉戸委員】

 こういう場合,アスタリスクをつける際は,慣用としては,本文のどの部分に関係する注の引用であるとかということを示すべきだと思うんです。つまり,これ,5ページの第1段落に対する注であるか,それとも,第3段落についての注であるか,趣旨として,微妙に違ってくる。

【倉見学校教育官】

 おっしゃるとおりで,いきなりこのマークがついて,どこだか分からないと。これ,意味合いとしましては,3の学校教育の筆写の取り扱いについて,全体の中での注意書きといったようなことで,特定のどこかというのがなかなか示せなかったものですから,通常の書籍等の書きぶりとはいかなかったんですけれども,ここ全体としての注というような意味合いでございますので,実際にこれを外に公表する場合には,このマーク等はもうちょっとわかりやすく,そういう意味合いの括弧なんだということがわかるような形にさせていただければと思っております。

【吉田(裕)主査】

 よろしいでしょうか。確かにどのように受けてというのがちょっとわかりにくいような形になっていますけれども,全体を包括するような意味に,また,なおというような形であるかもわかりませんね。

【武元委員】

 たびたびすみません。今のことに関連してなんですけれども,千々岩委員がご確認になったことですけれども,しんにゅうについては,1点でいくという結論なんですか。何かこれだけについて原則を崩してしまうというのは,ちょっと奇妙なような気がするんです。つまり,個人的な意見は私は全く別でございますけれども,しんにゅうについてだけ原則を崩すというのは少々奇妙ではないかと思えるんですが。

【倉見学校教育官】

 しんにゅうにつきましては,そういう点で例外的なことだということなんですけれども,文化審議会の答申を受けた形で,やはりこれを社会全体に普及していく必要があるといった答申を受けた形がいいのではないかと金武委員からもご意見をいただきましたので,ここに記述させていただいたということでございます。

【吉田(裕)主査】

 この手書きについては,これまでも何回も会議でご検討いただいたことでもありますし,今の課題になっているものは,改定常用漢字表の答申の中に示されたものをそのまま学校教育の中でもこれを受けてと,文言としてはそういうところかと思います。よろしいでしょうか。

 ほかにありますでしょうか。会議の中で多くの時間を費やしたところではありますけれども,大事なところですので,まだ課題は出てきているということかと思います。

【吉田(和)委員】

 時間を費やした中の一部に私も入っておりますのでちょっと言わせていただきたいんですが,教科書本文の印刷文字という問題が,明朝体という形で,どの会社も一応それを原則としてつくるように指導されるということと受けとめてよろしいのかということが1つです。

 それから,私はこの間いろいろ,私自身の考え方も若干変わる部分がありました。と申しますのは,おそらく皆さんがおっしゃるように,どちらかというと,漢字については,小学校の場合は,標準を明確にして指導していくのが正しいんでしょうけれども,だんだんそこを柔軟にして,より多様なものも受け入れられるような形にしていく方向であると一応考えつつあります。したがって,中学校の場合も,どちらかというと,いろいろなものをちゃんと読めるようにしていく必要があるだろうし,それに伴って,字体の違いに及ぶ指導が行われることもあるだろうと考えて,柔軟化の方向だと思います。

 その方向でありますと,このしんにゅうの問題というのは言わなくてもいいんじゃないかということを若干思うんです。私の考え方はちょっと違うのかもしれないんですが,ちょっとそこだけ確認を,2つほど確認をさせていただきたいと思います。

【森教科書課長】

 教科書の取り扱いとしては,検定基準上は,元々常用漢字の字体については常用漢字表によることということになっております。ただし,教科書体活字を使用する場合には,「学年別漢字配当表」に示された漢字の字体を標準として,その他の常用漢字はこれに準ずるとなっておりまして,常用漢字表によって印刷をされるという,これはありで,それに対して教科書体活字も使ってもよいということにはなっております。

 現在,中学校の教科書は,本文の活字については,国語について,すべて明朝体が使用されているということでございます。どの字体を使うか,書体を使うかということについて,検定等の取り扱いにおいて決めるということではございません。この方向を受けながら,教科書会社のほうで作成されるものだろうと私どもとしては思っております。

【吉田(裕)主査】

 教科書の立場としてはと。はい。

【倉見学校教育官】

 2点目のしんにゅうの記述ですが,吉田委員がおっしゃるようにという部分もあるかなと思いまして,括弧書きで入れているということです。ちょっと繰り返しになりますが,金武委員からかなり強くご意見が,今回も,自分は会議には出られないんだけども,これをぜひ入れていただきたいといったご意見をいただいておりますので,できるだけ混乱しないようにという意味で,括弧に入れてというふうな工夫はしたつもりなんですが,そういった事情がございます。

【吉田(裕)主査】

 今日ご欠席であるということもありますし,それから,お1人の委員のご意見もここではきちんと取り上げようという,そういった趣旨でここに挙がってきていると思います。このかぎ括弧も,こちらの答申のほうの(15)ページのかぎ括弧の書き方とよく似ているんですね。直接引用されているのは一番下ですけれども,上のほうの,「しんにゅう」「しょくへん」に係る字のうち云々とかという,この書き方がよく似ていると私も拝見しました。

 今日,金武委員がご出席なさっていれば,ここでご発言なさっているんじゃないかと思うんですけれども,みずから欠席してしまうけれども,ここだけはぜひまとめの文言の中には入れてほしいと特段のご伝言がありましたので,これを残したということであります。と同時に,この文言自体は,先ほどから申し上げておりますように,答申の中身をそのまま引用したものになっているということでございます。

 いかがでしょうか。柔軟さの中に一般化というものが入ることへの是非というのが,今のご発言の中心だったかというように思いますけれども,ここの文言自体は答申の引用という形になっております。

【倉見学校教育官】

 今後,仮にこの専門家会議でこのまとめを取りまとめていただいた後には,必要な手続等やこのことについての内容につきまして,文部科学省から学校現場にお知らせしたり,周知したりというようなことが考えられるんですが,その際には,この辺が混乱しないようにもう少し工夫することも検討させていただければと思っております。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。それでは,そういう形で。先ほど武元委員からも字体のことについて,文部科学省のほうから何か資料だとか通知だとかというのは考えていないかというようなご発言がありました。そのことも今,あわせて,そういう扱いをさせてもらうということでよろしいでしょうか。はい,ありがとうございました。

 ほかに,この3番目の項目についてご意見が重ねてありましたら,よろしくお願いいたします。重ねてと言っても,かなりご意見はいただきましたよね。

 それでは,改めて,この3項目目はよろしいでしょうか。それでは,字体に関する周知,あるいは参考というようなことなどをこれから少し勘案していくということ,あわせて,この3項目をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは,4項目目でございます。関連する事項ですので,これは幾つかのものが入っております。1つは教科書における対応。それから,2つ目は,高等学校・大学の入学者選抜試験,入学試験でございます。それから,その他として,文部科学省で作成する資料。資料は,ここでは2種類出ておりますけれども,追加された常用漢字等に関する資料,教材の作成,それから,もう1つは,音訓の小・中・高等学校段階別割り振り表の追加,こういう形で具体的に示されています。一括して,関連する事項ということでのまとめであります。いかがでしょうか。

 これまでのところでも少しずつは触れていただいたかもわかりませんけれども,この関連する事項で集中してというようにお考えの委員もいらしたでしょうから,この項目に対してのご質問あるいはご意見をいただきたいと思います。

【杉戸委員】

 たびたび恐縮です。6ページの(1)の教科書における対応についてです。この点について,私は,かなり極端な意見かもしれないけれどもと,もう1回後の教科書の改定・検定の時期に送ったらどうかという趣旨のことを重ねて申しました。しかし,今回のまとめの案を拝見して,本文の5行目,「次のような段階的な措置を取ることが適当」だと書かれている,その「段階的」という言葉を非常に積極的に受けとめました。丸の箇条が3つ並んでおりますけれども,特に私は3つ目の丸印のことばかりを強調して発言していたと思います。それをこういう形で,3つの丸の項目,段階性を持たせたまとめが提案されていることに賛成いたします。以上です。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。杉戸委員は確かに,慎重にこれを考えていくべきじゃないかというので,次回の検定でというご発言がありました。一方で,やはり常用漢字が改定されたわけだから,できるだけ速やかにという,そういう声もありました。その中間段階にというんでしょうか,24年から段階的に,まず教科書の巻末に一覧表を掲げる。それから,本文の記述,さらには,教材の差しかえという,それこそ柔軟に,しかも可能な限りの対応を考えようとしたところかなと思います。いかがでしょうか。教科書について。

5回目までの本会議の中でも,入試のことについてもかなりありましたね。柴田委員,何かご発言ありましたら,お願いいたします。

【柴田(洋)委員】

 入試につきましていろいろ意見を述べさせていただきまして,それについていろいろご配慮いただいた表現になっていると感謝申し上げます。特に入試の対応につきまして,大学と高校関係,それに有識者を含めた,入学者選抜の改善に関する協議の場というのがございますので,そちらでもこれが検討されると思いますけれども,それに応じて,各大学あるいは大学入試センターのセンター試験等々,実際の作題等に反映していくことになろうかと思います。

 それから,特にこの中では,丸がついているのの2つ目,「漢字の出題等に当たっては」という,なお書きにある考え方を関係者に十分周知することにするという表現,これはおそらく高等学校における多様な学習到達度に対しての配慮ということを配慮した表現であろうかと思いますけれども,これも大学入試に当たっては,現在,非常に考慮しなければいけないところでございまして,各大学の入学者選抜方針に基づく作題ということになろうと思っております。

 それから,3番目の丸の手書き文字につきましては,これは大学入試センター試験の現在の出題方式では該当しないと思いますけれども,各大学の個別入試におきまして,やはり十分配慮が必要なところであろうと思っております。これで,今後,センター試験を含めまして,各大学等々とまたいろいろな場で,志願者の不利にならないような配慮をした上で,円滑な実施を図りたいと思っております。どうもありがとうございます。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。今,おっしゃったなお書きのところというのは,主な常用漢字の範囲を一律に定めないという,そういったところでした。それから,手書きというところでは,すべての漢字を手書きすることを求めない,必要はない,求めもしない。こういったところのものも,高等学校あるいは大学の入学試験の出題に関してはよくよく配慮してほしいと,こういうことでした。

 ほかにありますでしょうか。入学試験はとても大事なことでありますし,これはまさに受験生に大きな影響を与えているものです。

【千々岩委員】

 6ページの丸の3つ目のところです。ここは,私は非常に重要な部分だろうと思っております。かゆいところに手の届くような周知の仕方というのはなかなか難しいと思いますので,1を示すことで,高校入試あるいは大学入試にかかわる方々が慎重に配慮されるような,そういう資料を一緒にした周知の仕方が必要なんじゃないかと思います。

 そのときに,私としては,既にでき上がっている,資料2として,実態について,こういった手書きをする場合はこういう可能性があるよという,この改定常用漢字表の文化審議会答申のこの冊子を見るということもなかなか難しいと思いますので,これを資料としてつけ加えた形で周知方をお願いできないかなと思います。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。私どもの,この専門家会議のまとめでも,「関係者に周知することとする」ではなくて,「関係者に十分に周知すること」というように,ここのところはかなり強調して書かれてもいますので,これはある意味では周知徹底というような形で,今のような資料を用いながらということなども十分考えられると思います。

 ほかにいかがでしょうか。特にこの関連する事項のところはさまざまなところに及んでいますので。今,教科書における対応のところでもご発言いただきましたし,入学者選抜試験についてのところでもご発言いただきました。それに付随して,文部科学省からさまざまな資料を提供してほしいと。このことは大きな改革だから,学校教育が混乱しないように,また円滑に進むように,さまざまな資料を用意しようとしていますけれども,今の千々岩委員のご発言は,周知徹底するときに,十分ということを保証してほしいと,こういうことだったかもしれませんね。それから,文部科学省から出される資料については,さっき,字体のことについても触れてもらえればというようなご注文もありました。

 ほかにいかがでしょうか。

【吉田(和)委員】

 高等学校の入試のところとその他の(1)の関係なんですけれども,(3)のその他の(1)の常用漢字の指導に関する資料を文部科学省がつくってくださるということで,この教材のイメージがまだわからないので,少し教えていただきたいと。

 と申しますのは,こういうものが出ると,それにのっとって入試が決まってくるということがあります。それで,これがどのようなものになるのか。中学校の場合には,大体を読むということでございますので,なかなか文の中で表示しにくいような部分が実は常用漢字の中にはございますので,中学校段階ではなかなかそこが文の中で出てくるような形はないと思われるものもあります。

 ということで,ここで言われる資料,教材というのがどのようなものなのか,少し教えていただければと。それで,その関係において,おそらく高校入試の問題みたいなものも変わってくると思われますので,そこをちょっと教えていただければと思います。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。「教材を作成する」というふうに書いていなくて,「教材の作成について検討する」と書いてあるから,まだ具体的なイメージがあるかどうかわかりませんけれども,今,わかり得る範囲で,考えられている範囲でお願いいたします。

【倉見学校教育官】

 具体的にはこれから検討させていただきますが,あくまでイメージですので,関係者で,こんなのかなという程度のものですけれども,常用漢字表は単体の漢字で示されているものですから,吉田委員からもこれまでの会議で,実際は文脈の中で使ったりといったようなことで漢字を使うということでございますので,文例の中に入れたような形のイメージになるのではないかなとも思ったりもするんですが,詳細といいますか,実際はこれから検討させていただければなと思っております。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。吉田委員としては,そういう形でつくられるならば,先ほどのようなことも含めてほしいと,こういうことだったのかもわかりませんね。要望も含めてということだったかと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

【佐藤委員】

 お願いいたします。今,話題になっている,学校の指導に参考となるような,追加された常用漢字等に関する資料ということなので,実際,中学校で「書き」の指導がどこまで丁寧に行われるかが,私も現場を長く離れてしまったので,どの程度やっていたかなというのを思い出すのがちょっと難しいんですが,先ほど,2点しんにゅうと1点しんにゅうのケースについて事例を出していただいたように,幾つかの漢字,新しく加わる常用漢字の中に,画数とか筆順が変わるようなケースが,数は少ないと思うんですが,幾つかあると思うんですね。

 羨望の的の「羨」なんていうのは,「羊」の下が「次」と,私は手書きのときは「次」とにすいで書く気がするんですが,明朝にならった印刷字体になるとさんずいになっていますし,進捗状況の「ちょく(※1(下部参照))」なんかも,てへんに,右側が「歩」という字ですが,1画切られてしまうというふうなことで,指導のときに,その辺の指導上の規範といいますか,そういうものをやっぱり現場は求めるだろうなと思いますので,今後何年,時間を十分かけていただいて,そのあたりのことについて,学校の指導に参考となるような資料をぜひ出していただければありがたいなと思います。

 昨今の事情の中で,県内外とか,同じ県内でも転出入のケースがかなり多くなっていまして,教科書が違うということで字体等いろいろ違うケースがありますと,そういう点についても指導の細かい場面ではやっぱり苦慮することが多いかなと思いましたので,そんなところについてもご配慮いただければありがたいなと思いまして,意見を述べさせていただきました。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。吉田委員がおっしゃったと同じような形で,まとめの文章の一部ですけれども,ここに,「文部科学省において,学校の指導に参考となるような,追加された常用漢字等に関する資料(教材)の作成について検討することとする」と書いてありますので,今おっしゃったような,学校で指導の参考になるようなものを重ねて要望があったかと思います。

【吉田(和)委員】

 重ねて,すみません。今度は(3)の(ⅱ)のところなんですけれども,これも先ほどのことと関係しているんですが,これが決まってくると,我々が高校入試等で対応するところもまたいろいろ変わってくるということで。現行の「音訓の小・中・高等学校段階別割り振り表」に追加するというこの時期と,それから,追加されるものの内容についてはご検討いただければと思うんですが,なかなか中学校では教えにくい文字もあるということを先ほど申し上げましたが,そういうことも含めて,これをなるべく早くというよりも,できれば23年の中で出していただけるとありがたいなと思うのが1つです。それによって,我々としては,大体を読ませる指導ができるんじゃないかなと思います。その辺をご検討いただくことについてはいかがかなと思っています。

 それからもう1つ,実は「音訓の小・中・高等学校段階別割り振り表」の現在のものについても,ほんとうは少し見直さなければいけない部分があるだろうと。それは最後に書かれている,情報機器の広範な普及に伴うものであって,やはり時代の変化に応じてこれを少し変えなければいけない段階に来ているのかなということを私はちょっと思っているんです。ただ,それはすぐにできるものではないので,先のことですから,またそんなには明確にお答えできないだろうと思うんですけれども,どんな方向性があるのかちょっと教えていただければと思います。

【吉田(裕)主査】

 (3)その他のところに関してのご質問,あるいは要望といったほうがいいですかね。音訓割り振り表などについてはいつの時期になるのかと。本文では「速やかに」「指導に資することとする」というふうには書かれてあるけれども,その時期について,できたら教えてほしいということ。

 それから,2つ目は,情報機器に関連して今回の改定があるわけだからというところでのご質問あるいはご要望だったと思います。2つ目のものは,この専門家会議の場になるのか,あるいは文化審の答申のところになるのか,微妙なところがあるかもわかりませんけれども,これに関してご回答が得られれば,お願いいたします。

【倉見学校教育官】

 音訓の割り振りにつきましては,また学校現場の先生方のご協力をいただきまして,本当に速やかに,今,吉田委員からいただいたことにできるだけおこたえできるようなぐらいの速やかに,行っていくことを考えております。また,既に割り振られている漢字につきましても,おっしゃるように,それはそのときすぐにというのはなかなか難しいのかもしれませんが,小学校の学年別漢字配当表についても今後検討するということで宿題のようになっておりますので,どちらにしても,それについても新しい常用漢字表の改定に伴って,いずれ見直さなければいけないと,そういうタイミングのときもあるかなと思っています。以上です。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。

 ほかに,この4項目目のことに関連してご意見ありましたら。はい,積山委員,お願いいたします。

【積山委員】

 失礼します。今の議論をお聞きしていた上での,現場からのお願いというか,声ということでお聞きいただきたいんですけれども,今回の改定の中で,幅を持たせて,中学校で学習指導要領が一部改定になる。教科書の対応がすぐにはできないということで,巻末に,増えた分の漢字がつくと。これを見た子供たち,また保護者は,量が増えたんじゃないかというような印象を非常に持つのではないのかなと。学習量が増えてしまうと。

 ただ,今,議論をされているように,使っている漢字の中には,小学校で慣れ親しんだ漢字もあり,時代とともに変わっていくということも,子供たちを含めて,漢字使用の文字文化というんですかね,そういうものが認識できるという視点も含めて,教科書がすぐに改定できないということになりましたら,教材のほうをお願いをしたいなと思いました。以上です。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。今のはご感想という形で受けとめたいと思います。

 ほかにありましたら,お願いいたします。よろしいでしょうか。

 この会議は,ここでご意見が出てこなければ,4項目目が終わるという形になりますから,ぼつぼつ閉じるという形になるんですけれども,よろしいでしょうか。この機会に,そうならば,発言しておかなければということでありましたら,どうかよろしくお願いいたします。

【長野委員】

 最初に,1回目の会議にこの資料が出てまいりまして,今回も,一番最後に,筆写の楷書字形と印刷文字の字形の違いが云々と資料2に出ておりますけれども,やっぱり学校に周知するときに,今,千々岩委員がおっしゃったように,これもつけてほしいということもありましたけれども,やはり括弧外のやつは手書きですよね。括弧内についてはこの字体どおりに書いてというふうになっていますけれども,例えば(2)番の右側のほうの上から3番目の「填」という字のあいくちのところははねていないですよね。この字体どおりにいって,片仮名の「ヒ」のところがとまっていますよね。ですから,学校に周知徹底するというときに,手書きになるといろいろな意見が出てきてしまうので,基本的には,どういうふうに示すかということも非常に微妙な問題になってきます。

 ですから,手書きということはもちろん大事なんですけれども,示し方というのは,これ1つもっても,これ,はねていないじゃないかと言われれば,これは文化審議会の問題かもしれませんけれども,そういう問題が出てくるものですよね。ですから,内閣告示はまだ先のようですけれども,これは案なのかもしれませんけれども,非常に微妙な部分を持っているということを受けて,千々岩先生のご意見を具体的に反映していただければと思います。

【吉田(裕)主査】

 分かりました。ありがとうございました。3番目の項目に触れてのことだと思いますけれども,それでは,4番目の項目はよろしいですか。それでは,一応,1,2,3,4とそれぞれの項目については,ご了承いただきました。

 全体に及んで,今,長野委員は,もう一度,3番目の項目に触れて,資料の示し方というところに及んでいるのではないかと思います。その場ではちょっと発言しなかったけれども,全体を今振り返ってみたら,これでもし閉じるとするならば,こんな発言をというのがありましたら,お願いいたします。

 よろしいでしょうか。ここで,主査として変なまとめをしてはいけないかもしれませんけれども,協議した内容というのは,今,1から4までのことを改めてご意見を頂戴いたしました。すんなりと認めていただいたところもあれば,まだ課題としてこんなところが残っているんじゃないかというようなところもあったんじゃないかと思います。

 1のところは何の問題もなく通過しました。

 2のところは,大まかに整理しますと,(1)(2)(3),小学校,中学校,高等学校というところに触れていただきまして,小学校では,学年別漢字配当表が学習指導要領に示されていますから,あまり大きな問題,課題というのは出てきませんでした。国語科以外の教科として,社会科の中で漢字が用いられる場合などは,それらを適切に指導するということでご了解いただいたと思います。

 中学校も,「書き」のところは,これは学年別漢字配当表によるし,「読み」のところは常用漢字表を,少し字数の幅を広げて示すという形で了解をいただいたと思います。

 高等学校の「読み」「書き」については,高等学校の生徒の多様性というところを生かしましょうということで,これについては主な範囲を示さないということでご了解をいただきました。24年からこれを取り入れていきましょうというのが共通の了解でした。

 それから,3番目のところの学校教育での筆写(手書き字形)については,これは幾つかのご意見を,今日また新たに,こんなところが必要なんじゃないかという留意点等を含めていただきまして,字体のことについては,もう少し丁寧な説明だとか,あるいは資料を提示する必要があるのではないかというように,幾つかのご意見をいただいたと思います。

 それから,最後の関連する事項については,教科書,入学試験,それから,文部科学省が提供する学校での指導に参考になる資料についても幾つかのご要望をいただきました。その中で,速やかにということが強調されたと思いますけれども,字体のことについても,先ほどの,具体的な資料を提示してほしいという声が出てきていたかと思います。

 全体的に見ると,3番目の項目のところにもう少し丁寧さというもの,あるいは参考になるものが必要だというようなことであったかと思います。

 下手なまとめをしてはいけないかもしれませんが,よろしいでしょうか。吉田委員,どうぞ。

【吉田(和)委員】

 たびたびすみません。学校の指導に参考になるような資料をつくっていただくということで伺って,それでオーケーだと思いますし,それについては具体的に検討してくださるということなんですが,これはどこまでできるかわからないんですけれども,こういうふうな改定があったときに,とかく,これはどうなっているんだというふうな声が出てくるんですね。

 ところが,それはなかなかどこも答えられないということになります。教育委員会のほうに聞いてもなかなか分からないというか,都に聞くからというふうなことになっていったり,文部科学省に聞いてみますということになってしまったりします。

 これはできなければ,それは仕方がないと思うんですが,多くの専門家の方たちが話し合って会議を行ったわけで,それが一定の結論に出ているわけですが,それについて何らかのQ&Aみたいなものを,要するに,指導者側に対応する,そういうふうなものをつくっていただけると,ちょっとありがたいかなというふうに現場としては思うんですけれども,その辺いかがでございましょうか。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございます。これは要望だけじゃなくて,質問という形でしょうか。

【吉田(和)委員】

 要望でもあるんですけども。

【吉田(裕)主査】

 要望のほうが多いでしょうか。もし何かあれば。

【倉見学校教育官】

 この場で私からの具体的なご回答はなかなか難しいんですが,秋にも各県の教育委員会の指導主事を集めた協議会なんかもございますし,そういった場も活用しながら,現場の学校からいろいろな質問があった場合に答えられるような方策はいろいろ考えていきたいなと思っております。

【吉田(裕)主査】

 このまとめの中にも「学校の指導に参考となるような」と書いてありますから,学習だけじゃなくて,文字どおり読めば,指導に参考になるような資料を提示したいと,こういうことだと思うんですね。だから,要望として,こんなのがあればということであれば,お出しいただいて,またそれを検討するということでいくのではないかと思われます。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは,全体にわたってご協議をいただきました。一部にご要望等が上がってはいますけれども,1,2,3,4という形でご意見をいただいて,ほぼご了承を得られたかと思います。全体にわたりまして,このまとめ案について,この専門家会議として了承したいと思いますけれども,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」との声あり)

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。

 それでは,ただ今,了承いただきましたまとめを,山中初等中等教育局長に提出させていただきたいと思います。

 私ども,6回の会議を重ねてきました。期間的には短かったんですけれども,集中審議をしまして,子供たちの文字生活,それから,漢字生活が円滑に,また効果的に進められるようにと願って,このまとめを作成いたしました。どうぞこの扱いについてよろしくお願いいたします。

【山中初等中等教育局長】

 どうもありがとうございました。

(「常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応について」(まとめ)の手交)

【吉田(裕)主査】

 それでは,ただいまお渡しいたしました。山中局長からごあいさつをいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

【山中初等中等教育局長】

 本専門家会議におきましては,今年予定されております常用漢字表の内閣告示に備えまして,今回は196字を加えて2,136字になると,こういうことでございますので,学校教育でこれを,社会生活に必要な通常使われる漢字ということで,義務教育卒業,それから,高等学校段階ということで,どのような形で具体的に指導していくかということがまさにまず一番問題になるところでございます。その点につきまして,今年の7月以降,3カ月にわたりまして,6回,集中的にご議論いただいて,今日まとめていただきまして,本当にありがとうございました。

 文部科学省では,このまとめを踏まえまして,中央教育審議会のほうの教育課程部会がございますので,具体的にこのまとめを踏まえて,学習指導要領を改訂するという作業に早速入らせていただきたいと思っております。その中でもまたいろいろな方のご意見も伺うということになることでございますけれども,できれば常用漢字表の内閣告示に合わせて,必要な学習指導要領の改正を行って,それがそれぞれ小・中・高等学校で具体的な指導が行われるという,この準備をしっかりと進めていきたいと考えているところでございます。

 また,今日もいろいろ,書き方とかその他ご意見がございましたけれども,学校の現場でしっかりとこれが,あんまり混乱することなく指導が行われますように,指導のための通知とか,あるいはいろいろな質問に答えるような,吉田委員のほうからもございましたように,だれが答えるのかということについて,そこも学校上の指導ということになりますので,学習指導要領に関連するところは文部科学省のほうで答えていくということになろうかと思いますけれども,あまり質問しなくて済むような資料も作成させていただけたらと思っております。

 どうも非常にお忙しいところ,短期間に精力的にご議論いただきまして,まとめていただきまして,ほんとうにありがとうございました。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございます。時間は6時まで用意しておりましたけれども,比較的スムーズに展開しました。3項目目のところは幾つかのことを具体化するに当たって考えなければいけないところもあるかと思いますけれども,内容的には充実した会議が持てたのではないかと思います。

 6回目の会議をこれで閉じたいと思います。最後に,事務局から諸連絡がありましたら,お願いいたします。

【平林教育課程課長】

 委員の先生方,本当に短期間に集中的,精力的に,ご熱心にご審議いただきまして,ありがとうございます。改めて御礼申し上げます。

 今,局長からも説明申し上げましたが,明日30日に中教審教育課程部会を開きまして,そこで,吉田主査から本日のこの取りまとめについてご報告していただくというふうに予定しております。また,指導要領の改訂についてもご議論いただく予定にしておりまして,それを受けて,必要な改正等の手続を行うとともに,いろいろと宿題もいただきましたので,この取りまとめに関しまして,学校現場とか教育委員会に対しまして周知を図っていくための必要な準備を進めていこうと考えておりますので,引き続きご指導なりをお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。これで会議を6回重ねてきました。私は極めて出席率の高い会議だったのではないかと思っています。今日は若干のご欠席がありますけれども,これまで,かなりの高率でご出席をいただきました。おそらくこのことが,常用漢字表の改定に伴って,学校教育で漢字指導をどうしていくのかということが非常に大事な問題なんだということを,それぞれ委員が踏まえてくださって,それこそ万障繰り合わせてのご出席をいただけたということではないかと受けとめています。

 どんな課題でも,すべてのことを満足して結論を得るということはあり得ないと思われます。言葉あるいは漢字,文字,これは日々,私たち,実際に使ってもいますので,そういう使っているものをこれからどのようにしていくのかということについては,現状と未来とを見越しながら,子供たちが文字生活,漢字生活の中で混乱をきたさない,できたら幸せに,円滑にという,こういった形で進めていけたらと思っています。

 3カ月間という非常に短時間ではありながら,集中できたということで,充実した会議だったのではないかと思っております。委員の皆さんのご協力に対して改めて感謝申し上げまして,この会を閉じたいと思います。ありがとうございました。

※1
 7.gif

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課