常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応に関する専門家会議(第2回) 議事録

1.日時

平成22年7月26日(月曜日)10時~12時

2.場所

学術総合センター・特別会議室

3.出席者

委員

吉田(裕)主査,髙木副主査,飯田委員,金武委員,小森委員,柴田(悦)委員,柴田(洋)委員,杉戸委員,武元委員,千々岩委員,積山委員,長野委員,宝官委員,村越委員,村山委員,吉田(和)委員 (計16名)

文部科学省

德久大臣官房審議官,伯井教育課程課長,森教科書課長,梶山教育課程企画室長,倉見学校教育官,氏原主任国語調査官ほか関係官

4.議事録

〔配布資料〕

1 常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応に関する専門家会議(第1回)における主な意見
2 常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応の検討事項(案)について
3 検討事項(案)(第1回会議配布資料)
4 今後の開催予定

〔参考資料〕

1 改定常用漢字表において追加された字種及び音訓等について

〔経過概要〕

1 事務局から配布資料の確認及び説明があった。
2 事務局の説明に対する質問を含めつつ,配布資料2「常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応の検討事項(案)について」の各検討事項(案)に沿って意見交換を行った。
3 次回の日程について,8月9日(月曜日)16時~18時に開催することが確認された。
4 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。

【吉田(裕)主査】

 それではまず,常用漢字表改定に伴う「読みの指導」の見直しについて意見交換を行いたいと思います。ご意見,あるいはご質問も含めて,よろしくお願いいたします。

【吉田(和)委員】

 最初でなかなか発言しにくいんですけれども,やはり中学校ということで考えますと,常用漢字の大体を読むというところの,1,945字ではなく,2,136字が入るということで,私はよろしいんではないかと思います。と申しますのは,やはり高校で今度は読みの指導,それから,書きの指導があるわけですけれども,それを踏まえて,やはり中学も1つの出口でございますので,義務教育終了ということを考えると,2,136字の大体を読むというのが当てはまるだろうと思います。したがって,2,136字,厳密に言いますと,1,130字を指導するというふうな形にすることがよろしいのかなと。

 ただ,各学年でどのように配当するかということで,私は,学習指導要領が2年生に非常に重くなっているところがありまして,あまり字数が増えていないにもかかわらず,内容がかなり増えているということとなると,これについては少しご検討いただく必要があるだろうし,我々も考えていく必要があるだろうと思います。基本的には1,130字を指導するということで,2,136字の大体を読むということでいいと思います。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。中学校は,やはり義務教育の完成段階,出口でもあるから,常用漢字表が新しくなったのを受けて,中学校で努力すべきではないか,そういうようなお考えだったかと思います。新しく増えますので,1年,2年,3年とその割り振りについて考えていかなければいけない。2つ目のところも同時に話題にしていただきました。

【千々岩委員】

 私も今の吉田委員のご発言に基本的に賛成です。義務教育の最終段階として,やはり常用漢字の読みについては基本的に指導するという方向でいいのではないかと思います。学年別の割り振りにつきましては,私個人としては,各学年50字,1年生を50字程度増やし,2年生も50字程度増やすというふうな見通しでいいのではないかと思います。以上です。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。今,賛成という声で始まっているんですけれども,いや,これは,やっぱりもうちょっと慎重に考えたほうがいいんじゃないかというようなご発言がありましたら。

【長野委員】

 基本的には賛成なんでございますけれども,個人的なお話で申しわけないんですが,1978年に,私,中国に初めて行きましたときに,向こうの北京市の学校の先生方と座談会を行いました。そのときに,その当時は,我が国では小学校996字の時代でございました。我が国ではこういう学年別漢字配当表で小学校の場合は教えていますということで,北京市ではという回答が返ってきまして,それが今,正確かどうかわかりませんが,小学校で2,500から3,000の漢字を教えていると。中には,かなり低学年でも人民日報を読めるという,プロパガンダ的な表現もあったと思いますけれども,非常に驚いた。と同時に,小学校の場合は,平仮名という形で,漢字と平仮名は併記してというか,漢字仮名まじり文として,平仮名があってよかったなということをつくづく感じたわけでございます。

 方向として,今の2人の先生のはいいんですけれども,あえて日本語を読む,あるいは,我が国の文学的なものも含めて中学校で読むといったときに,方向として,国語の時間数が4,4,3というふうにそうしましたと。中学校の段階ですね。漢字指導とかが増えることは賛成と。国民の漢字の方向にすれば,改定常用漢字でいいのかもしれませんけれども,やはり我が国が持っている国語の表現とかいうことが,もちろんこれは文学的な内容も含めてあると思うんですね。ですから,増えた分,例えば漢字指導に充てるとか,漢字指導,読み指導だとかというふうにシフトし過ぎてしまうと,国語教育ということが全体として少し見えにくくなるということをやっぱり危惧する一人でございます。以上でございます。

【柴田(悦)委員】

 基本的には,私は最初に出されたお二方の意見に賛成ということで,結論はそれでいいと思うんですが,一つ,私自身がずっと高校の現場にいて,高校教育にかかわってきたという,要するに,それしか知らないという部分がありますので,中学校,義務教育段階の教育に携わってみえる方々に一度お伺いしたいということなんです。実際,字数が増えて,やはり学校現場において,読みについては特に時間数と,当然,字数が増えれば,指導の時間数が増えるということにどうしてもつながってくると思うんですけれども,読みに関しては多分大丈夫だというような,そういう思いでご意見を述べられているのかどうかということをちょっと伺いたいなということであります。お願いします。

【千々岩委員】

 私は大丈夫だという思いで意見を述べております。その理由は,やはり漢字の読みの習得には,何度も何度も触れるという,そういうこともありますので,特に指導の時間をそこにかけなくてもできる分もあると。要するに,生活の中で使われていることで習得することもできる。それから,漢字の字種の場合,形声文字でできているものが非常に多いものですから,したがって,漢字の構成要素等について指導すれば,その知識に基づいて読みを類推することもできる。そういったいろいろな観点から考えましても,私は十分対応できると考えています。

【吉田(和)委員】

 それでは。私も千々岩委員と同じ発想でございます。一つ,中学校で申し上げますと,読みの指導にうんと時間がかかるかというと,そうではないだろうと思うんです。書くことの指導が一番大変でございまして,これはまた機会があればお話ししますけれども,なかなか書けるようにならないということがございます。ただ,読めることがない限り,書くことはありませんので,読むことについては,これは小学校で1,006字を読むというのを変えることは私はできないと思いますし,小学校の教科書ももう検定,そして,発行ということになりますので,今さらということもあります。ですから,この1,006字を読むという小学校,今日は資料が出ていないですけれども,これはこれ以上増やすことはなかなか難しいだろうとは思われます。

 しかし,内容の取り扱いの中で,振り仮名をつけるなどというのがございますので,どの程度ということはまたちょっと考えはあるんですけれども,1,130字の指導を,中学前に小学校の段階でもルビ(振り仮名)等を通して若干触れていただくことはできるのではないかと思います。そして,これは単に国語だけの問題ではなく,全教科を通して現実にそういうふうになっているところもありますので,子供たちに一定程度の接する機会があれば,読みの指導そのものを中学校がとりたてて行う必要はないのではないかと考えます。

 時間を使うということについては,とりたてての指導でございますので,この1,130字については若干とりたてて指導する必要があるかもしれませんが,しかし,今,さまざまな機会で,授業以外の,例えば検定とか,さまざまな機会で漢字を使う,あるいは漢字に接することが多いわけですから,負担ということから考えると,中学校ではそれほど多くはないんじゃないかと。むしろ,これをやらないことによって,高等学校に行ってから全部行うというようなことになってくると,高等学校のほうにそれをお願いすることになり,またこれも難しい問題だろうと思います。

 したがって,義務教育段階である中学校において,やはり少なくとも大体を読む。この「大体」というのは,前にもお話ししましたように,コンテクストでございまして,そのコンテクストの中で読めるようにすればいいわけですから,必ずしも単体のものを音訓そのまま読める必要がないと思います。以上でございます。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。大体,今までのご意見を伺っていますと,不安が全くないということではないけれども,中学校で義務教育段階が終わるということや,あるいは現代の漢字使用,あるいは漢字に触れる,そういったことなどを考えてみると,今度の改定された常用漢字表に含められた字種も含めて,中学校で大体を読むという方向でいいのではないか,提案されているこの方向でいいのではないかというようにご意見を伺ったように思いますけれども,1の(1)についてはよろしいでしょうか。

【金武委員】

 ただいま皆さんの意見を聞きまして,私,学校の先生ではありませんので,この196字の追加について,読みは中学で全部大丈夫だということをお聞きして,多少安心したんです。といいますのは,現在,新聞では常用漢字についてはルビ(振り仮名)を振っていない。常用漢字以外のものを使うときはルビ(振り仮名)を振っているわけですね。今回も新しい常用漢字になったときには,原則,ルビ(振り仮名)を振らないんだけれども,今回の発表の中にもありましたように,難しいと考えられるものについてはルビ(振り仮名)をつけてもいいということがありますので,新聞としてもその範囲の字を,ルビ(振り仮名)をつける字をどういう字種にするかということを検討しているところです。

 したがいまして,新しく常用漢字になった場合に,やはり現在と同じように中学で卒業までにはすべて読めるということが大丈夫であるということになれば,新聞としてはルビ(振り仮名)をつけなくてもいいと,形式的にはそういうことになると思うんです。ところが,実際,今,常用漢字でも,ちょっと難しそうな字が新聞の見出しになりますと,「これ,何て読むんだ?」というのを,辞書を引かないで,新聞社に直接聞いてくる読者が非常に多いんですね。そういう現状を考えますと,これだけ字種が多くなったときに,今と同じように,増えた常用漢字が中学の段階まででほんとうに読めるようになるのかということにちょっと不安があります。

 お聞きしたいことは,この新しい常用漢字が教育上実施された場合に,新聞ではすべてルビ(振り仮名)をつけなくてもいいとお考えになるのか,もしある字種についてはルビ(振り仮名)をつけたほうがいいということであれば,それはどの範囲にしたらいいかということのご意見を伺えればと思います。

【吉田(裕)主査】

 新聞の側からということなんですけれども,ある意味では歓迎というような,これだけやってくれるならば,新聞社としては対応できそうという,こういう声です。新聞でどうするかということについては,またお考えいただくことにして,ここは学校教育としてどう対応するか,一応そこに絞ってとは思うのですけれども,何か今の,ご質問も入っていますので,お答えができれば,どなたか。

【髙木副主査】

 これ,次の2のところで,平成24年ぐらいから新しい教科書もできるというような流れもこれから話し合うわけですが,現行の,今,中学生はこれをやっていないわけですね。191字増えていくわけで,その増えた分に関しては,まだ,学年の常用漢字の字数がどうするかというのも今後の話し合いの中ですが,今後3年間ぐらいは,少なくとも増えた分についてはルビ(振り仮名)を振っておくということが1つの考え方ではあると思います。要するに,学校教育でまだやっていませんから。それがだんだん定着していった段階で,ルビ(振り仮名)が次第にとれていくというような流れも1つの考え方としてはあると思います。

 現行は,とにかく今,読めていないという状況で,これからの子供たちがそれが読めるようになっていくということで,移行期への措置というのは,これは学校教育のほうでも行いますので,ぜひその辺も新聞のほうでご配慮いただけると,国民全体の漢字になっていくと思います。以上です。

【金武委員】

 結構ですが,ルビ(振り仮名)をつける字種をどう絞るかということはもちろん新聞側で考えることですけれども,教育上定着するまで,今のお話ですと,まず最初は新しいものについてはすべてつけると。そして,だんだん定着していくことによってルビ(振り仮名)をとるということですが,その定着する字というものがどうしても一律的にすべて読めるようになるとは思いませんので,どうしても難しい字種というものはどういうものがあるかということも教育上も何かの仕分けがあればなおいいかなと,そういうふうに感じておりました。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。次第に,状況を見ながらというようなところで,1つの方向を見ていこう,こういうようなことだったかと思います。

 それでは,1の(1)については,先ほど少しまとめかけましたけれども,前回と同様,中学校段階において読みの指導を行う,大体を読むということになりますけれども,そういった形でここはお認めいただいたということにしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉田(裕)主査】

 それでは,ありがとうございました。

 そうしますと,2つ目のところに連動しますけれども,191字を含めて,2,136字それを各学年,中学1年生,2年生,3年生にどう割り振るかということになるかと思います。先ほど千々岩委員はこのことにも少し触れてくださいまして,一案としては,1年生,2年生に50字ずつ増やし,残りを3年生に,そういう1つの案を示していただきましたけれども,ほかにこれに関してご意見がありましたら,お願いいたします。

 特にご意見がないということであれば,とにかく割り振るという方向で進めていくということでよろしいでしょうか。

【杉戸委員】

 今のご発言への質問になります。割り振りをする場合,現状の取り扱いは,1年生は250から300字程度云々と数が割り振られていますが,これは字種や音訓,その種類について個別に指定されているわけではないんでしょうか。

【吉田(裕)主査】

 はい,そうです。

【杉戸委員】

 されていないわけですね。

【吉田(裕)主査】

 はい。

【杉戸委員】

 そうしますと,一つ,意見につながる発言になると思います。ここで大体を読むという,(1)の原則には賛成だったのですが,割り振りのときに,文字の種類を意識した割り振りに立ち入るという,そういうことを,これは時間がかかるかもしれませんが,考えるべきではないかという意見を持ちます。

 例えば新しく増えた字種で,都道府県の名前の文字などがあります。これはおそらく社会科のほうで既に早くから親しんでいるだろうし,マスコミでも見るだろう。あるいは,余談のようですけれども,「嵐」なんていう漢字は,歌のほうで知っているというように,既にご発言のあったような,社会生活の中での学習が進んでいる。そういった文字のジャンルというか,性格について意識して,(2)の読みの字種の割り振りを考えていく。

 一方で,難しく,あまり接してもいない,勉強しないと読みの学習が始まらないという漢字もたくさん含まれていると思います。そのグループについては,教科書でもルビ(振り仮名)を振るというような配慮を続けていく,そういうことの工夫も含めて,(2)について,割り振るのは,これは当然,必要なことだと思いますが,その割り振るときには,字種の割り振りとか,振り仮名をつけるというような補助手段を含めるかどうかについても検討すると,そういうことを意見として持っております。

【倉見学校教育官】

 私の説明不足だったかもしれませんが,いま一度ご確認させていただければと思います。この机上に置いてありますファイルの,これは前回お配りした資料でございますけれども,これの最後の参考資料8でございます。一番後ろのほうですが,A4の横にしているものでございます。これは平成3年に,学校教育における音訓の取り扱いについてということで,小学校,中学校,高等学校の各学校段階別に,1つの字種について複数の音訓がある場合には,一部,高等学校に読みが割り振られているような場合もあるというようなものでございます。今,説明がちょっとよろしくなかったと思いますが,漢字1つについて,どの学校段階でこの音訓について読むかと。

 そういう意味では,中学校卒業までに漢字に割り振られているすべての音訓が読めるといったような状況ではなくて,一部は高等学校に割り振られておりますが,1つの字種について,何らかの音訓は必ず中学校段階までに出てくるといったような仕組みになっております。

 今,杉戸委員からは,今,これは学校段階別の割り振りしかありませんけれども,今のご意見は,中学校での学年の割り振りまでやったほうがいいんじゃないかといった意見だったかもしれませんが,一応,ご確認のためにちょっと補足で説明させていただきました。すみません。よろしくお願いします。

【吉田(和)委員】

 先ほど実はちょっと申し上げようかなと思ったことも兼ねて言わせていただきます。それはルビ(振り仮名)の問題なんです。その前に,ルビ(振り仮名)のことについて話す前に,学年の配当なんですけれども,この配当というのは,一応,便宜的に字数は決まっていくことは別に問題ないと思われますけれども,ものについてまできちっと決めることが現実的にはできないだろうと思います。つまり,まず一つは,教科書がそのようにはなっておりませんで,この字数については,それぞれ各教科書会社が独自に判断をして使っております。そして,教材に伴ってその字が使われている場合もございますし,ドリルのような形で教科書の中に使われているものもございます。ということで,これは教科書会社が統一的につくっているものではないと思われますので,それを今から変えるということについてはなかなか難しいと思われます。

 私は,「大体を」というのが結構いいなと思っているんです。というのは,これをもし厳密に,この字をこの学年で読みなさいということになってくると,これはいかに取り立てで指導したとしても,なかなか難しい状況になっていくと思われます。やはり高等学校の段階で読みなれるということの中にすべてのものを包括的に読めるようにしていくという姿勢があると思いますので,中学校段階では「大体を読む」というのがいいと思われます。

 それから,もう一つなんですけれど,先ほどルビ(振り仮名)の問題をご指摘いただいていているんですけれども,せっかくの機会ですから,私の考えていることをちょっと言いたいと思うんですが,ルビ(振り仮名)をつけていると読めなくなるのかということです。私は反対だと思います。明治にさかのぼるわけではないですけれども,かなりの漢字がルビ(振り仮名)をつけて提示されていたときに,日本人は表意文字と表音文字である振り仮名,ルビ(振り仮名),これをうまく使っています。今も,ルビ(振り仮名)がついていることによってより読めるようになっている。読みなれるというんでしょうかね。そういう部分が,高校だけが読みなれるんではなくて,中学校の場合でも読みなれるということが出てくると思うので,ルビ(振り仮名)つきの漢字を,配当漢字が増えたからその分ルビ(振り仮名)を減らすという発想には私は立たないでいただきたいなと思うんです。むしろ私はルビ(振り仮名)は増やしたほうがいいんではないかと。

 そして,ルビ(振り仮名)は小さいものですから,私どもは多分,僕なんかはもうルビ(振り仮名)が見えなかったりするのもありますけれども,子供も,よく読める子はルビ(振り仮名)なんか読みません。漢字をそのまま読んでいます。でも,読めない子にとってはルビ(振り仮名)は非常に役に立ちます。したがって,私はルビ(振り仮名)つきの漢字というのをもっと早い時期からむしろ提示していただくことがいいのかなと思うんです。

 小学校の場合に,本来漢字で書くべきところを平仮名で,わざわざ漢字と平仮名に,何ていうんでしょうかね,そういうふうに使っている。ちょっとそこは,いただけません。それをやめて,ルビ(振り仮名)を振っていただくという,そういうことも今後検討する必要があるんではないかと思います。したがって,ルビ(振り仮名)については,私はむしろ大いに振っていただいてもいいんじゃないかと思います。それと,学習指導要領の一部の変更を必要とすることとはちょっと別の問題ではないかなと。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。今,1の中学校における常用漢字の「読みの指導」についてというのを中心に行っていますけれども,少し波及しながら。特に今,中学校の各学年ごとの読みの字数の割り振りをどう考えるかということで,字種まで限定されればよくはなるかもわかりませんけれども,それは厳密には大変難しいだろうということで,何字から何字までということはこれから検討していくとしても,大体,ここに提案されている,この読みの字数の割り振りをするのが妥当なんじゃないか,今回は95字が191字という大幅な増加でありますから,字数の幅の数値そのものは変わってくるだろうけれども,一応同じような形で示していくというのでいいんじゃないかというご意見だったんじゃないかと思いますけれども,よろしいでしょうか。

【武元委員】

 今のご意見とかかわるかもしれないんですけれども,字種が示されていないにもかかわらず,300,350というのは,これは足し算をしていって,全部の数になるという考え方だと思うんですね。しかし,ルビ(振り仮名)を振って読めるというふうなことも読めるということに含めてしまいますと,例えば中学校の1年生の教科書において,普通の,何でしょう,読めるものが300だというふうに限定できるかというと決してそうではなくて,例えば新しいものに加えて,1,000字程度のものが仮に出てきたとして,それにルビ(振り仮名)を振ったとするならば,それは読める範疇になるということを考えますと,これ,300,350というふうに字数を決めるのではなくて,累積的に考えていくということのほうが妥当なのではないかという気がするんですけれども,いかがでしょうか。

【吉田(裕)主査】

 新しい示し方になりました。学年で割り振るというよりは,一応,考え方としては同じなんだけれども,3年間で全部が累積していって,最終的には中学校程度という,さっき,1で認めていただいた数になっていけばいいんではないかと,こういうことだったかと思います。いかがでしょうか。

 武元委員,もうちょっと伺いますけれども,そうなった場合に,この示し方はどういうようにイメージすればよろしいでしょうか。

【武元委員】

 例えばですけれども,1年生で1,000字程度の常用漢字が読める,例えば2年で1,500字程度のものが読める,3年では常用漢字が大体読める,そんな示し方になるんじゃないかと思ったんです。

【吉田(裕)主査】

 学年別の漢字配当表プラスアルファ?

【武元委員】

 いえ,そうじゃない。これは中学校での話です。

【吉田(裕)主査】

 はい,もちろん。
 示し方がこれまでとはちょっと違って累積的に示すという提案であります。いかがでしょうか。

【髙木副主査】

 今の武元委員のお話はこれから考えていかなければいけない非常に重要な視点だと思うんですが,ただ,小学校との接続を考えたときには,小学校はその学年で覚える字数が示されてきているわけで,学習指導要領の小中の継続性のところからいくと,その示され方が中学へ行くと全体的なものになっていくということで,これ,違うレベルからも少し検討しませんと,混乱しないかなという心配もあります。小学校の先生と中学校の先生は別だと言ってしまえばそれまでなんですが,なかなかその辺も示し方の難しさという継続性は私は含んでいるなと。考え方としてはあると思うんですが。

【千々岩委員】

 私は,中学校の文字数の配当に関する基本的な考え方としては,今,髙木委員がおっしゃったように,1,945字のうちの1,006字については小学校で読みを学習してきているというと,したがって,残っている939字ですかね,それについて,中学校で読みを意識的にきちっと指導していくという,その文字数の中で3学年に配当していっているという意識でつくっているものだと理解しています。そういう意味では新しい提案で,私も改めて検討する必要はあるとは思うんですが,現行のつくり方としての意識では,939字について,新しく学ぶものを学年別に配当しているというふうに考えていると。

 それから,ルビ(振り仮名)につきましては,先ほどの新聞の問題も含めてですけれども,ルビ(振り仮名)の活用というのは,読みの習得においては非常に有効だと思います。既に歴史的にも,読みの能力を高めているという実践例もありますので,そういった意味ではルビ(振り仮名)の活用は大事ですが,ただ,昭和10年代の後半に,ルビ(振り仮名)をできるだけ少なくして,新聞上の経済的な負担を軽減しようという山本有三の取り組みが当用漢字につながっていると思っていますので,その辺のバランスについてはあんばいを考えていかないといけない。したがって,ルビ(振り仮名)を活用することはいいことだけども,ルビ(振り仮名)を活用するということで中学校の今の読みの配当の仕方を累積的に考えるというやり方については,少し飛び過ぎるかなと思います。

【髙木副主査】

 先ほどからルビという言葉を多く使われているんですが,これ,原則的に振り仮名だと思うんですね。ルビーから,小さい文字をルビと言っているんですが,学校教育の中では振り仮名という形で持っていかないと,公式のところですので,お願いします。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。

 今,中学校での読みの字数をどのような表示の仕方にするかというところで,幾つかのご意見をいただきました。改定常用漢字表をトータルで示すという考え方もありましたけれども,一応,これまで行ってきたような,1年,2年,3年というような形で示すほうが妥当ではないかというご意見のほうが多かったかと思います。

 2つ目が高等学校における常用漢字の「読みの指導」についてということになりまして,これも先ほどから触れられています,中学校で常用漢字の大体を読むということになっていきますと,高等学校ではこれに習熟するということになります。高等学校では読みになれると,前回と同じような表示の仕方になるかと思いますけれども,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉田(裕)主査】

 そうすると,課題はあと1つ,2つ残っていまして,今のように認めていただくと,これらの扱いをいつから学校教育の中で行っていくのか。1のところに帰るかもわかりませんけれども,1の右側の※印の1つ目に,改正後の学習指導要領に基づく指導は,前回の場合,昭和57年度から行ったわけですけれども,今回は,いつからこれを実施するかという問題ですね。前回は56年10月に常用漢字表が当用漢字表から変わって告示されましたので,翌年の57年から実施するという形をとりました。これが1つ。つまり,いつから実施するかという問題。それから,教科書の対応ですね。教科書の対応を今回はどのようにしていくかということ,これらが残されています。

 そうなりますと,ちょっとあっちこっちして申しわけありませんけれども,2枚目の追加字種の音訓及び追加音訓の指導の在り方のところでちょっとまとめをしなければいけませんが,今,髙木委員からもありましたけれども,追加字種の音訓及び追加音訓について,学校段階で割り振りをするという形で,参考資料8に,前回は,これ,さっき倉見学校教育官からのご説明がありましたけれども,学校教育における音訓の取り扱いについてというので,小学校,中学校,高等学校の音訓の段階別割り振り表というものを作成しました。今回もそういう形で,今の191字,新しく加わる字種の音訓あるいは追加の音訓について,学校段階ごとの割り振りを示すことになるんじゃないかと思われますけれども,まずこの点についてはいかがでしょうか。その後で,今の実施時期,さらには教科書の対応ということについて考えてみたいと思います。いかがでしょうか。

 基本的には,新しく出る漢字,字種についても何らかの音訓は示す。そして,残されたものが高等学校へという,これは基本になるんじゃないかと思うんですけれども,この点はいかがでしょうか。今,こうやって決まってきますと,こういう音訓の割り振りをつくらざるを得ないということになろうかと思うんですけれども,よろしいでしょうか。

 それでは,今の追加字種の音訓及び追加音訓の指導の在り方についてというところの論点の1の,追加字種の音訓及び追加音訓について学校段階ごとの割り振りを示すべきと考えるかどうかという,その論点については,示すべきだということでこれから先考えていこうということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉田(裕)主査】

 それでは,お認めいただいたということにさせていただきたいと思います。

 それで,実施の時期のことですけれども,先ほどちょっと触れましたが,前回は,昭和56年10月に告示されて,翌年の57年から実施という形をとりました。今回は,この11月,12月にかけてということになりそうなんですけれども,今回の対応はどのようにしたらよろしいでしょうか。少しご意見を伺えたらと思います。

【杉戸委員】

 恐れ入ります。時期を考える上で,その実施に至るまでどういう作業が必要なのかということが関係すると思います。そして,1つ前の議題のところ,参考資料8のような,学校段階別割り振り表を増補する,増えた分について割り振るという,その作業があります。資料8の前文の「記」と書いた2番の項目,今,資料8の最初のページを見て言っておりますが,右側の2の,学校段階における音訓の割り振りは主として次の視点について云々と,1から4の基準に基づいて割り振りの作業をしたとされています。

 この基準について,これ,1回前の私の発言も関係してくるのでしつこく言いますけれども,この1から4の基準だけで今回の増加した漢字の割り振りが可能かどうか,あるいはこの1から4の基準だけでやってよいかどうかを検討して,そして,ほかの基準が必要だとか,この基準は必要ではないというようなことを議論した上で割り振りの作業にかかるとすると,時間がかかるかもしれないということを思うんです。

 これは今度の常用漢字表の改定が高度情報化社会という社会変化に対応するということだったわけですから,この時代,この資料8の平成3年の時代にはなかった基準を盛り込まないといけないかもしれないと思います。私は盛り込むべきだと思うんです。例えばIT関係のことですね。ということで,例えば半年後とかそういうところで可能かどうか,どういうタイムスケジュールで作業が進められるかということに関係する。これ,私はよくわからないので,一言申しました。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。流れとしては,こういう形で決まった限りはできるだけ早く対応するという,そういうご意見も前回から出ておりますけれども,今の杉戸委員のお話の中にもありましたけれども,やはりこれを実際に例えば今のような割り振り表などを作成するというような時間的なことなども考えると,そう拙速でもいけないだろうということで,早くといえば,23年という形も考えられなくはないけれども,ちょっと半年というような形では事実上無理じゃないかと。となると,議論の先を急ぐようになるかもわかりませんが,早くてもやっぱり24年ぐらいでないと現実にはちょっと無理じゃないかという,そういうご意見としてお伺いしたということでよろしいでしょうか。

【武元委員】

 今のことと関係するんですけれども,最初の会議のときに,私,来年3年生になる子供たちがひとまず常用漢字,新しいものが加わったものを学習して卒業していくべきだと考えるのかどうかということをご質問したんですけれども,今のことと大いに関係しますので当時のことの状況をちょっとご説明したいと思います。

【吉田(裕)主査】

 じゃ,よろしくお願いします。教科書対応などのことも含めて,武元さんにお願いいたします。

【武元委員】

 はい。まずその根拠となりますものとして示されたことが2つございます。昭和56年度においては従来どおりであること。ただし,当用漢字にない常用漢字についても,現行国語教科書において,本文教材(巻末の付録を除いた部分をいう)に振り仮名つきで使用されているものなどについて,その必要性や使用頻度などを勘案して指導して差し支えないことというのが1つあります。それから,2つ目に,昭和57年度から,改正後の学習指導要領に基づいて指導すること。この場合,国語教科書の本文教材における漢字の取り扱いの状況などに配慮しながら適切に指導することという,2つのことが示されておりました。

 これを踏まえまして,私どもではどのような対応をしたかといいますと,つまり,昭和57年にどのような対応をしたかということでございます。まず,4月1日発行の私どもの機関誌におきまして,私どもの教科書を扱っていただいている使用校に対して,以下のことを知らせました。

 1つ目は,増加95字中の50字につきまして,その出現箇所を各学年ごとに示した表を掲載いたしました。あわせまして,58年度教科書で,次に申し上げる3点を改める,その旨を通知いたしました。1つ目が,仮名で表記されている語を振り仮名つきの常用漢字に直すということを言っております。つまり,これは新たに常用漢字に加わった漢字が充てられる言葉という意味ですね。そういう漢字がどこに出ているかということを示したことですね。2つ目に,巻末漢字表を常用漢字表に改める。これは,さっき倉見さんからもお話がありました。改めるということを予告しています。それから,字体を常用漢字表の字体に改めるということを3つ目に言っております。これが4月1日の中身です。

 それに続きまして,9月1日の機関誌で,同様に,使用校に対しまして3つのことを言っております。つまり,先の3点に関する訂正の許可が得られたという旨を述べた上で,58年度用教科書で以下の3点について改めるということを通知しているということです。中身は,増加95字中の39字分について,仮名表記している語を振り仮名つき常用漢字に直す。その部分を一覧表にして示しております。つまり,これで,先の50字と合わせまして,95字中の89字がひとまずカバーできたという状況になっているということです。

 それから,2つ目に,常用漢字として字体を改めるというふうに言っておりまして,対象が10字ございました。灯台の「灯」,桟橋の「桟」,「塀」,フェンスですね。挿入の「挿」,花瓶の「瓶」など,全部で10あります。これは今回とは逆のパターンになるわけです。つまり,常用漢字表の中に入ってくるということですので,その字体を通用字体に改めますということを言っているわけです。

 それから,あわせまして,3つ目に,音訓の追加・削除が延べ10字分あることと,附表の語が追加4語分あるということを通知しております。この通知をしまして,58年度教科書,これは次の教科書が59年度本でございましたので最終年度の教科書だったんですけれども,今の3点について改訂を加えているということになったわけでございます。

 なお,蛇足ながら申し上げますと,当時の状況と今回の状況を比較しますと,今回のほうが1年強後ろへずれ込んでいるという状況になっていると考えてよいかと思います。つまり,59年度に切り変わったわけですけれども,その2年前,つまり,57年の春に既にその通知をしているという関係ですので,今回でいいますと,中学校が24年本ですから,今年の4月にその通知をしているという関係になるわけですから,1年以上ずれ込んでいると,そんな状況かと言っていいと思います。

 ひとまず参考までにお話し申し上げました。

【吉田(裕)主査】

 今ので伺うと,教科書の対応は,そうすると,前回行ったときよりも既に今,遅れているということになると,早くても平成25年ということになるんでしょうか。

【武元委員】

 いや,ですから,これは次の教科書及び来年度から行うべき移行措置についてどのように考えるかということにかかっていると思います。

【吉田(裕)主査】

 かかっているわけですね。

【武元委員】

 教科書自体は,つまり,さっき……,これも前回お伺いしましたけれども,見本本で対応するのか,供給本で対応するのか,反映はさせないのか,この3つの選択肢だと。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。前回の対応が,今回,私たちがどのようにこれを出すかによって,同じく大事な指針になるんじゃないかと思います。今,武元委員のほうからは,前回の対応の仕方について具体的な状況をご報告いただきました。

 さて,お約束した時間をちょっと過ぎてしまっているんですけれども,割り振り表については,これはもうつくっていかざるを得ないだろうということ,これは先ほどのところで大体そういうようになっていたかと思いますけれども,この取り扱いを何年度からするかという,そのことを審議する中で,今,前回のご報告をいただきました。

 今のご意見も参考にしながらということになりますけれども,学校教育の取り扱いは,今までのお話を伺うと,やっぱり平成24年度というのが大体妥当かというような形でお伺いしましたけれども,いかがでしょうか。

【伯井教育課程課長】

 そのあたりは,先ほど武元委員のほうからお話をいただきましたけれども,事務局のほうで前回の例というのをしっかりペーパーで整理した上で,そして,再度,どういうスケジュールで対応可能かというのをもう一度少し整理したほうが。せっかくいろいろ説明していただいたんですけれども,非常に重要なポイントであろうか思われますので,そこはそうさせていただきたいと思います。

 また,それの前提として,今日の議論の中でいろいろご意見をいただきました,中学校における常用漢字の読みの指導と高校における読みの指導についてこのような形でいくとした場合に,先ほどの議論では,追加字種の音訓と追加音訓についての学校段階での割り振りを示すべきであると,そういうような方向性も示していただいておりますけれども,逆から言うと,追加音訓の指導の,文部科学省として示す目安がないと,指導要領上の中学校の指導のやり方や高等学校における読みの指導の方法を決めたとしても,学校現場としては指導ができないのかどうかと。要するに,指導要領で決めたとしても,指導するにはこのような環境の整備が必要であるというような理解でよろしいのかというところももう少し議論していただければ,そのことを前提に,学校段階の割り振り表をつくるにはどのぐらいのタイムスケジュールでつくればいいか,あるいは,そもそもそれはどのぐらいのタイムスケジュールででき得るものなのかというところを議論していかなければならないのかなと。その辺のスケジュール観が絡んでくるのかなという気がいたします。

【吉田(裕)主査】

 はい,わかりました。今のは,だから,実施時期については,割り振り表の作成などのこともあるからもう少し考えてみたいという,こういうことでよろしいんでしょうか。

【伯井教育課程課長】

 はい。それがどのぐらいかかるのかというところの相場観というのが少し。前回,平成2年5月から平成3年2月にかけて,この資料にありますように,音訓の割り振りをつくったわけなんですけれども,前回のような考え方でそもそもいいのかどうかと。目安を作成する場合の考え方ですね。それと,これを作成するに当たっては具体的にどの程度の時間をかけてやるべきものなのかというところと,それは指導上は例えば24年度から指導するのが適当だから,それを急いでつくろうというような結論になるのかもしれないですけれども,その辺,ちょっとトータルで,教科書上の対応のタイムスケジュールとしての可能な範囲というのをやはり少し資料上整理して,ご議論いただいたほうがいいのかなという,そういうことでございます。

【吉田(裕)主査】

 学校教育における音訓の取り扱いについてというのは,前回の場合は,学習指導要領の取り扱いの後,平成3年に出されたものですから,これは通知という形で出されておりますよね。そのあたりのところについては,それができないと実施の時期が決まらないのか,あるいは,実施の時期は決めて,あとは通知のような形で前回と同じようにするのかということについては,またちょっと相談の機会を持ってという形で進めさせてください。

 24年の実施というのは,今のでいくと,ちょっと決めがたいというような状況でもあるんですけれども,これはもう一回見送ってもいいですか。事務局はもう,今のような意見もあって,時期を確定するのは……。

【倉見学校教育官】

 今日の段階で何年度というよりは,その辺を考えるタイムスケジュールを考える条件とか視点とかといったものをご議論していただければというふうに。今日,何年度というより,こういうことをするんであれば,こういうことが必要だよねとか,逆に,少なくとも現場で考えると,このぐらいまでに実施するとすると,それまでにこんなものが必要なんじゃないかと,そういうことも全体的にトータルで考えて,どのぐらいの時間が要るのか,すぐにできるのか,できないのかといったようなことの考え方とか視点とかといったようなことのご意見や参考となるお話をいただければと思っております。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。それでは,実施の時期については,今のようなご議論等もありましたし,整理もありましたので,もう少し内容をまとめて,次回にでも改めてお聞きするというようにさせてもらいたいと思います。

 それでは,1つ目の協議議題であります,常用漢字表改定に伴う「読みの指導」の見直しについて,中学校,高等学校,それから,追加字種の音訓・追加音訓の指導の在り方と,時期については一部保留にしてありますけれども,そこまで議論していただいたということにしたいと思います。

【千々岩委員】

 話を戻すようで恐縮なんですけれども,昭和56年に常用漢字表が改定された後,高校入試なんかではどういう取り扱いをしたのか,そういったことの資料もぜひ次回までにご準備いただければと思うんです。

【柴田(洋)委員】

 入試センターの柴田です。そのときには,大学入試には,文部省の大学局長の通知が出ておりますし,それから,小中学校につきましては,文部事務次官からの通達が出ておりまして,十分配慮するようにということでございました。今回もおそらくそういうことをやっていただけるだろうと思っています。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。そういうようなことも1つの知識として,今,示していただいたようなことがありますし,それから,大学入試のことについて,ひょっとしたら,次の議題のところでも大きく話題になるかもわかりませんので,次のところで扱わせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 若干の休憩が欲しいような感じはありますけれども,限られた時間ですので,このまま続けましょうか。

 それでは,少々お疲れが出てきたかもわかりませんけれども,2つ目の議題もちょっと大事なことなので,このまま続けさせていただきます。今は読みの指導についてお考えいただきましたけれども,今度は書きの指導です。とりわけ,高等学校における常用漢字の「書きの指導」についてということで,高等学校を話題にしております。

 論点はそこに2つほどありまして,1つ目は,文化審議会の答申では,改定常用漢字表の性格として,漢字表に掲げるすべての漢字を手書きできる必要はなく,また,それを求めるものでもないとされているんだけれども,高等学校段階の書きの指導として,このことをどのように具体的に考えていけばいいかということ,それから,2つ目,主な常用漢字についてその範囲を示すことをどのように考えるかということでご意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。

【千々岩委員】

 先ほど入試のことを申し上げましたけれども,私の認識では,大学入試の漢字の問題を出題する場合,常用漢字表に載っている漢字は,書きの問題としても出題していいと認識しています。したがって,「すべての漢字を手書きできる必要はなく」というこの文言があるにもかかわらず,やはり常用漢字表を書くということを前提に物事を考えていく必要があるんじゃないかと思います。

【金武委員】

 意見というより質問なんですが,現在,大学の入試では,手書きの書き取りは今,実際に出題されているんですか。

【髙木副主査】

 はい。

【金武委員】

 わかりました。

【武元委員】

 千々岩委員の意見に賛成いたします。つまり,どの字種というふうに定められていないわけですから,例えば入試においてどれが出されようと文句は言えないという関係だと思います。それであれば,これは書けなくてよいというようなカテゴリーでも設けない限り,そのことは解決しないと思いますので,それでなければ,やはり千々岩委員のおっしゃったとおりではないかと思います。

 【柴田(洋)委員】

 入試センターの柴田でございます。一般的に,大学入試の場合には,高等学校における学習指導要領にのっとった学習の到達段階を判定するというのが原則でございます。一つには,センター試験は,ご承知のように多肢選択のマークシート式ですので,書き取りはないんですけれども,類似のものを答えさせるというやり方でやっておりますけれども,そのあたり,高等学校での学習の到達段階を十分配慮してやっておりますので,すべてを出していいんだという考え方にはなかなかならないんじゃないかなと思っております。教科書での使用の仕方等々を十分配慮して出しております。

 ただ,個別大学での出題におきましては,これは各大学におけるアドミッションポリシーと申しますけれども,どういう学生に来てもらいたいかという判断でやっているわけでございまして,かたい言葉で言いますと,その大学の学問の自由と,そういうことで出るわけでございまして,おっしゃるように,非常に難しい漢字が出ないとも限らないと。ただ,それはそれで,その大学の入学者選抜の方針ということになろうかと思います。それをどういう形であれ,制約をかけるというのはなかなか難しいのではないかなと,一般的には考えます。

 【村越委員】

 ここにあります,漢字表に掲げるすべての漢字を手書きできる必要はないというのは全くそのとおりでいかないと,高等学校の教育は成り立っていかないだろうと思います。センター試験の漢字の問題は,現在考えられるところでは,あれが一番理想ではないかなと思っています。

 そもそも常用漢字は,当用漢字からいきますと,国民の負担を少なくして,統一して,日常生活で基本的な漢字が書けるように,読めるようにというところからスタートしていて,世の中の状況がだんだん変わってきたところで増えてきたわけですよね。それで,さらに負担を今度は上げていくという考え方でいくのはどうかなと。

 そうではない,インターネット等で子供たちがふだん目にする漢字が膨大に増えたわけですよね。そういう現状があった上で,こういうふうに新たに改定されたということを考えると,それをすべて書けるのが前提だという考え方でいってはおかしいだろうとは思います。センター試験のような形で大学入試は対応してもらえると,高等学校では影響も一番少なく,落ちついて授業もできるんではないかと考えています。

 【吉田(裕)主査】

 高等学校の書きの指導,高等学校での実際は,かなり大学の入学試験の影響が大きいという,そういうことの反映だったのでもないかというふうに思います。

 もう少しご意見がありましたら,伺いましょう。はい,どうぞ。

 【宝官委員】

 失礼します。高等学校の現場については,今,村越委員からご意見もございましたけれども,現状には差があって,いろいろな生徒がいろいろなニーズを持って勉強していると思います。その多様なニーズにこたえるように,いろいろな学校において,現場では工夫をされて指導されていると思います。現状でも,主な常用漢字が書けるとありますが,その「主な」というあたりとかの含みの部分というので現場の裁量が認められている部分かと思いますので,今後もそのような形で示していただけると非常にありがたいなと思います。

 (2)の主な常用漢字の範囲を示すということについても,ですから,範囲を示さないでおいていただくほうが,現場としては対応がしやすいかなと思います。以上。

 【金武委員】

 先ほど,大学入試で書き取りも実際にあると。ですから,手書きの書き取りがなければ問題ないんですけれども,でも,手書きの書き取りの場合ですと,現在でも,いわゆる活字体と手書き体とは違うものがあって,それは現在の常用漢字表にも例があります。そういう場合に,当然,大学としては,手書きの形でも丸であると。例えば命令の令が活字体と手書き体とは違うわけですけれども,当然,手書き体でも,むしろ手書き体のほうが自然だと思います。

 ただ,今の常用漢字ではそれほどの違いがないから問題ないんですが,今回は,手書きの説明のところにもありますように,いわゆる活字体と手書き体とが非常に形が違ったものがかなりたくさんある。こういう場合には,大学としては正解というものを弾力的にしていただかないと,高校教育にとってもいろいろなやり方があると思いますけれども,その辺のところはどういうふうに対応されるんでしょうか。

 【吉田(裕)主査】

 今の手書きのことについては,また別の協議題目にも予定してありますので。

 【金武委員】

 ただ,「書きの指導」という項目だと,書く場合の基準というものは,それは後の手書きのところで話題になる?

 【吉田(裕)主査】

 そうですね,はい。

 【金武委員】

 それならそれでいいです。

 【吉田(裕)主査】

 全体に示されている中の3番目の。今日は1,2というところに示しているんですが,3番目で,手書きの字体についてという,そこで議論するつもりでもいますし,大学の採点にもかかわるかもわかりませんので,大学でどのように採点するか,許容をどの範囲にするかというようなことがもちろんあると思うんですけれども,また機会があれば,そのことについても触れられればと思います。

 今,高等学校における新しい常用漢字表の「書きの指導」についてということで,すべての漢字を手書きできる必要はなく,これは,文化審議会の答申の中にも入っているわけですけれども,その方向でやってもらいたいという,そういう生の声というふうに私は申し上げましたが,高等学校現場からの声,それから,主な常用漢字についても,字種を範囲として示さないという方向でやってもらいたいという,こういうことで,1,2の対応についての声がありました。そういう方向が今,1つかなと思いますけれども。

 はい,どうぞ,千々岩委員。

 【千々岩委員】

 私,先ほど申し上げましたのは,あくまでどの字種を書けなくてはいけないのか,書けなくてもいいのかということは決めにくいと。したがって,すべての常用漢字を書けるということを前提に物事を考えていかないといけないんじゃないかと申し上げたんですが,現実は,確かにおっしゃるように,「主な」というふうな言葉をつけるべきだと思っております。

 それから,センター試験においての漢字の出し方がありましたけれども,一般入試的な,各大学が実施する,手書きで漢字を書かせる,そういうふうな問題でも,やっぱり生徒さんの実態等々については情報収集しておりますので,「憂鬱」とか,あるいは「禁錮」とか,そういうものを多分書かせることはないだろうと思っていますけれども,具体的にどの字種をと決められない以上は,先ほど武元委員がおっしゃったような,この字とこの字は書けなくてもいいんだと決めない限りは,やはり前提としては書けるということを考えてやっていくしかないなという趣旨でご発言いたしました。

 【小森委員】

 今の千々岩委員の意見に関連してなんですが,やっぱりこの改定常用漢字表の性格にある,情報機器の使用が一般化しているんだと。だから,たくさん読めること,これはとても大切なんだという,どういう読みの力をつけるのか。書きについては,例えば憂鬱の「鬱」が使いたければ,それこそ辞書を見ながら,電子辞書を見ながら書けると。ですから,どういう読みの力が今,求められているのか,子供たちとかに,児童・生徒にはっきりと,こういう読みの力,こういう書きの力が必要ですねという情報をきちんと発信すれば,今の問題はおのずと問題をつくるときにもはっきりと影響が出る,指導性が発揮されるのではないか。その意味で,先ほど杉戸委員もおっしゃったように,どういう言葉を中学校で読めるように,高校で読めるようにという目安をつくるためにも,やっぱり理念のようなものをきちっと示したほうが指導もしやすいし,評価もしやすくなるのではないかと。そこら辺をちょっと考えていただけたらありがたいなという意見です。

 【吉田(裕)主査】

 はい。いかがでしょうか。高等学校は,俗っぽく言えば,進学もあり,あるいは専門学科もありという形で,ほんとうに多様な生徒たちが学んでいます。そこで何かに絞っていくということは大変難しいのではないかというような,むしろそこに柔軟さのようなものを求めていきたいという,そういう声と,その中にあっても,少し指針のようなものがあったほうがいいんではないかという,そんなご意見だったかと思います。

 【杉戸委員】

 少し踏み込んだ意見になるかもしれませんが,今の小森委員のご発言に励まされて申します。先ほど来こだわっております,参考資料8の前文の条件,あれは読みのほうの基準でしたが,書きのほうに関しても,情報機器を使う場合に,読めて,入力できればいい文字というようなそういうジャンル,グループを,これ,作業に手間ひまがかかるかもしれませんし,データが必要だとは思いますが,そういう作業をした上で議論が必要だと思います。

 新しい常用漢字表が,情報環境が変わる中での漢字生活について新しく改定されるわけですから,それを踏まえた学校での指導を書きのほうにも実現しないと,これは何かひっくり返ったようなことになる。暮らしの中での公の文章表現についての目安である常用漢字表が,学校教育の中ではより困難な縛りになっていくような,そういう逆転現象を起こしてしまいかねない。情報化社会という,その言語生活を学校教育の中にも積極的に条件として取り入れるような作業を,これは時間がかかると思いますが,していく。そして,そういう前提で,それを意識した経過措置をぜひ期待したいと私は思います。以上です。

【吉田(裕)主査】

 今のように,絞っていくとしても,少し時間を必要とするのではないかというご意見だと拝聴いたしました。主な常用漢字,すべての漢字を手書きできるまでは求めないけれども,でも,それに少し基本的な部分を設けるような方向で考えていくというのは必要ではないかという,そんなことだったかと思います。

【宝官委員】

 すみません。書ける字について,ある程度制限を加えてはどうかというお話かなと思ってお伺いしたんですが,前回,高等学校では,指導についてはあまり常用漢字は意識していないというふうに申し上げたんですが,例えば今,私が勤務しております学校などでは,常用漢字だから書けなくてはいけないとか,常用漢字でないから書けなくてもいいということではなくて,基本的に,教材に出てくるすべての字について,読み書きができて,中身が使えるようになっていかなければいけないという形で生徒たちは勉強していると思います。

 実際に,常用漢字外の字についても,例えば漢文とか古文等ではかなり難しい字も出てきますので,それが実際に読めて,書けないと,漢文,古文では話にならないということもございますので,だから,この字は書けなくてもいいという部分が常用漢字の中にあって,常用漢字外の字でも,古文,漢文に出てきたら書けなければいけないよというのについては,何かちょっと違和感があるような気がするんですけれども。

【吉田(裕)主査】

 確かに,高等学校の漢文の教科書はそうなっていますよね。

【村越委員】

 生徒が卒業してからどういう言語生活を送るのかというふうに考えたときに,実際に文字を書かなければならない機会というのが,卒業した後に非常に減るんですよね。ここにあるように,公の文書はほとんどワープロで,パソコンで打たれている。そうすると,手書きで書かなければならない機会というのが一体どの程度,我々の社会生活の中にあるのかというのをやっぱりきちっととらえないといけないんではないかと思うんですね。

 ですから,その中で出てきた改定の常用漢字だというふうに思うんですけれども,どこかで線引きができればいいんですが,それが果たして可能なのかどうかというのはやってみるということは必要かもしれませんけれども,実際には,読めて,識別ができると,それが今,最も基本的な力として必要になっているんではないかと思うんです。そういう前提に立って考えていかないといけないのかなと思います。

【吉田(裕)主査】

 はい。読めるということと書けるというところの実際上の違いのようなものもやっぱり意識してということだったかと思います。

 もう少しありますでしょうか。

 今のように考えていきますと,高等学校における書きの指導ということでいえば,一応,主な常用漢字という形になっていて,やはり現場の声としては,「主な」という形で残してほしい。それをリジッドに確定してしまうと,これはやっぱりちょっと困難さを伴うんじゃないか。それから,今のと連動するかもわかりませんけれども,主な漢字の範囲を示すことというのはやっぱり難しくないか。いろいろな多様な生徒がいて,その状況を考えると,そこを決めていくというのは大変難しくもあるし,また,適用もしにくくなるというようなご意見だったかと思います。

【長野委員】

 先ほどの意見と重なるんですけれども,常用漢字が昭和56年に示される前提として,マスコミ等で,漢字を増やす派と漢字反対といいますかね,そういう議論が結構あったかと思うんですね。つまり,漢字を増やすことによって,そういう表現だったかどうかわかりませんが,失われていく日本語みたいな。ですから,共通理解として,私は先ほどの小森先生とか杉戸委員に賛成なんです。つまり,漢字は非常に便利だけれども,そこに,先ほどの意見と重なってしまうんですけれども,失われていく日本語というとちょっと大げさではございますけれども,やはり平仮名でも表記してきたものが,わかりやすいけれども,漢字2字の熟語になってしまうと。そういうことをやはり我々も,主な常用漢字という,「主な」ということを例えば残すということによって,国語を守るというか,そういうことにもつながるという感じはするんでございます。意見でございます。

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。大体出尽くした感じなんでしょうか。一応,現実の話としては,高等学校段階での書きの指導というのは,今の「主な常用漢字」という,この線を残しながら,その主な漢字というのは,厳密にこれをというのは大変難しいだろうと。でも,今のような,漢字が文化としての側面を持っているということを考えれば,やはりそうした面の考慮も必要なんじゃないかという,そういったような形で,今,大体収拾はできているかと思います。

 【積山委員】

 失礼します。ご発言を聞いておりまして,私もその方向性で賛成ではあるんですけれども,一つ,中学校,高等学校ということで申しますと,ちょうど昭和56年は私が小学校に入学した年になるので,常用漢字表のもと,教育を受けてきたんですが,自分が受けた教育と,今,指導している国語の時間の違いは何かというと,一つは,私たちが学んできた国語の時間というのは,教科書で初めて漢字に出会うというような学習をしてきました。ただ,今の子供たちは,教科書ももちろんベースにするんですけれども,教科書以外のものも教材として,テーマを設定したり,比べて読んだりということで,教科書の外にまで読み書きの必要性が出てきているということがございます。私は,中学校の「大体を読むこと」,高校の「主な漢字を書くこと」というところが非常にファジーな面はあるけれども,いろいろな教育の可能性を残していると思いますので,このまま残していただきたいなと感じております。以上です。

 【村山委員】

 今日は中学校の現場の話や高校の現場の話をお伺いしまして,たくさん漢字を目にし,そして,読み書きができるようになるということの大変さというか,決めていくことの大変さを勉強させていただきました。

 小学校のほうは特に変更はなしということでございましたけれども,やはり漢字を勉強する一番最初の学校でありますので,漢字を書くことが楽しいとか,読むことが楽しいということを身につけさせておかないと,やはり中学校,高校に行ってから,戸惑う子供が多くなるのかなということを感じております。やはり機械的に練習するということでなくて,文章の中で使うようになったり,あとは,漢字を使うと便利なんだね,よくわかってもらえるんだねということをたくさん経験させていきたいなと感じたところでございます。感想になりました。以上です。

 【飯田委員】

 小学校段階ですと,やはり易しいものから難しいものへと段階的な,当然,筆順等も指導があるわけですね。ですから,小学校段階は,指導と評価が一体化してきているわけですので,高校段階のように,大体読めればよいというようなことではなくてやっているわけです。

 しかし,現状の中で,現在の国語指導の中で言語活動というものを重点に置いたときに,漢字を指導していて,すべて,何を,どういう力をつければいいのかということを目指して,言語活動を設定してやっているわけですけれども,そのときに,最後の段階でワープロを使ったりしながら表現をしていくことがかなり多く含まれてきているところがあるんですね。先ほどどなたか発言されていましたけれども,情報機器によって,難しい漢字が子供たちにも非常に使われてきています。常用漢字表の中学の段階で使えるものは読みになれておくことも小学校段階では必要なのかなというような形で,必ず相手意識を考えて表現させるようには小学校段階でしているわけです。

 そんなことで,今回はひとまず小学校の1,006字には触れられなかったので,少し安堵しているところですけれども,実際には子供たちは言語活動の中で多くの漢字に触れることをやっています。また,多読も奨励していますので,読みの中では多くの文字には触れているという現状にあるところです。そんな現状で,感想までです。

 

【吉田(裕)主査】

 ありがとうございました。今日は学校教育上の対応についての項目のうちの1番目と2番目のところについての議論をしていただきました。読み書きという形ですけれども,最初は,中学校における常用漢字の「読みの指導」について審議していただきまして,中学校段階においては,新しく増えた191字に対しても,前回と同様に,中学校段階において読みの指導を行うこと,これを決めていただきました。それから,各学年ごとにそれをどのように字数として割り振りをするかということについては,少しペンディングの感を残しました。どのように示すかということについては,ちょっと継続して考えていこうというところを持って,次回へ向けてということになろうかと思います。

 それから,高等学校における常用漢字の「読みの指導」については,特段,今回つけ加えることはないということで,これも前回と同様に扱っていくという方向で決めたということでございます。それから,追加字種の音訓及び追加音訓の指導の在り方については,これは割り振りは考えるべきで,前回,通知として行ったような割り振りを具体的にどのように進めていくかということで,これから先に考えていきたいということになりました。それから,実施の時期については,これと連動して,平成24年ぐらいからとも考えられますけれども,これについても具体的には次回という形になろうかと思います。

 それから,2つ目の,常用漢字表改定に伴う「書きの指導」の見直しについてというところは,高等学校はさまざまな生徒,多様な状況がありますので,これについては,これまでどおり,主な常用漢字が書けるという範囲にとどめ,それから,その主な常用漢字については,具体的には示すことは大変困難じゃないかというようなことでご意見を賜ったと思います。

 ご協力いただきましたように,最後にいささかのまとめをいたしましたけれども,今回もさまざまな活発なご意見を賜りましたことにお礼を申し上げます。これで第2回目を閉じたいと思います。どうもありがとうございました。

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