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平成23年度以降の全国的な学力調査の在り方について(中間まとめ)

平成22年8月27日
初等中等教育局参事官付学力調査室

文部科学省では、「平成23年度以降の全国的な学力調査の在り方について(中間まとめ)」について、別紙のとおり取りまとまりましたので、お知らせします。

文部科学省では、現在、 「全国的な学力調査の在り方等の検討に関する専門家会議」を開催し、 平成23年度以降の全国的な学力調査の在り方について、検討を進めております。
 このたび、同会議において、「平成23年度以降の全国的な学力調査の在り方について(中間まとめ)」が別紙のとおり取りまとまりましたので、お知らせします。

平成23年度以降の全国的な学力調査の在り方について(中間まとめ)

平成22年8月27日

全国的な学力調査の在り方等
の検討に関する専門家会議

1.調査目的

 平成22年度全国学力・学習状況調査の実施要領において定められた調査目的は、今後も極めて重要であり、このような調査目的を実現するための全国的な学力調査の実施は、今後も継続すべきであると考えられる。多くの教育委員会や教育関係団体等がこのことを期待している。

※平成22年度調査の調査目的
 「義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
 また、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。」

(1)平成19年度の調査発足以来、全国的な学力調査は、行政調査としての役割(国全体における児童生徒の学力等の状況を把握し、国の教育施策の企画立案の参考にするという役割)を超えた役割を果たしてきた。
 すなわち、全国的な学力調査は、全国及び都道府県別のデータ等を得て、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析することによって、国及び地方の教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ること、また、学校における児童生徒への教育指導や、学習状況の改善に調査結果を活かすことに貢献してきた。

(2)平成17年の中央教育審議会答申においては、義務教育のあり方を議論した成果として、「義務教育の機会均等とその水準の維持向上」という基本的な理念を実現する方策の一つとして、全国的な学力調査の必要性が提言された。文部科学省における今後の検討においても、この答申の趣旨を踏まえて検討を行う必要がある。
 その後の教育振興基本計画においても、全国的な学力調査の継続的な実施を盛り込み、閣議決定が行われている。

(3)学習指導要領においては、学校教育法に定める義務教育の目標を達成するよう、各教科の目標が明示されている。
 「義務教育の機会均等とその水準の維持向上」という観点から、これら各教科の目標の実現、子どもたちのより確実な習得に資するよう、全国的な学力調査がその役割を果たすことが期待されている。
 特に、確かな学力の育成を目指した新学習指導要領が完全実施の段階を迎えることから、全国的な学力調査には、

 【1】「確かな学力の育成」を目指した学習指導要領改訂の趣旨、とりわけ、知識を活用する能力を高めるための思考力・判断力・表現力等をはぐくむ教育の充実、個に応じた指導の充実などの普及・定着

 【2】教育委員会や学校における学力向上に向けての積極的かつ具体的な取り組み

 【3】全国の教育委員会、学校等が、全国的な状況との関係において、それぞれの児童生徒の学力等に関する状況、教育条件の整備状況、児童生徒の学習環境や家庭における生活状況等を知り、その特徴や課題などを把握し、さらに、広い視野にたって、主体的に指導改善等につなげていくこと

 【4】学習指導要領の改訂の趣旨等を踏まえた学力向上の取り組みの成果等についての、国、地方、学校の各段階における把握、検証を、それぞれ支援していく役割が期待されており、その重要性は今後ますます強くなってきている。

(4)これまで4回の学力調査においても、このような全国的な学力調査の本来の目的、ねらいとするところが継続されてきた。
 平成22年度調査においては、このような調査の本来の目的を実施要領において整理、規定した。その上で、悉皆調査ではなく、調査方式の切り替えを行っても、調査の目的は十分実現できると考え、抽出率約30%の抽出調査及び希望利用方式に、切り替えられたところである。
 3年間の悉皆調査の結果、信頼性の高いデータが蓄積され、教育に関する検証改善サイクルの構築も着実に進んできており、調査方式を切り替えた平成22年度調査においても、これを継続する趣旨で本調査が実施された。その結果、調査のねらいとしてきた政策効果が十分発揮され、積極的な取り組みが全国で展開されている。今後、当面、このような取り組みを継続することが必要であり、また、強く期待されていることを、十分考慮する必要がある。

(5)なお、先般政府が閣議決定を行った新成長戦略においても、「国際的な学習到達度調査において日本が世界トップレベルの順位となることを目指す」とされており、具体的な成果目標も示された。今後、その実現という観点からも、全国的な学力調査の果たす役割が期待されるところである。

※「新成長戦略」について(平成22年6月18日閣議決定)

  • 「国際的な学習到達度調査において日本が世界トップレベルの順位となることを目指す」
  • 「2020年までに実現すべき成果目標
    OECD生徒の学習到達度調査等で世界トップクラスの順位
    【1】最上位国の平均並みに、低学力層の子どもの割合の減少と高学力層の子どもの割合の増加
    【2】「読解力」等の各分野ごとの平均得点が、すべて現在の最上位国の平均に相当するレベルに到達
    【3】各分野への興味・関心について、各質問項目における肯定的な回答の割合が国際平均以上に上昇」

(6)以上のことから、平成22年度全国学力・学習状況調査の実施要領において定められた調査目的を構成する各要素は、今後の全国的な学力向上に必要とされる方向性を考えた場合、いずれも欠かすことのできない必要な要素であると考えられる。

(7)なお、調査目的のうち、「教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する」という点に今後は力点を置き、例えば、【1】時系列による学力水準の比較(経年変化の分析)のための調査、【2】教育格差の分析及び関連する施策の検証のための調査、【3】発達段階に応じた学力等の状況の変化を分析するための調査、といった新しい視点に立った調査が求められるという意見があった。

2.対象学年・実施時期

 対象とする学年については、義務教育における各学校段階の最終学年における到達度を把握するため、当面、小学校第6学年及び中学校第3学年の児童生徒とすることが適当である。
 実施時期については、児童生徒に対する学習改善に役立てるため、年度の早い時期に調査を実施し、できるだけ早い時期に学校等へ結果が返却されることが必要である。過去4回の調査で、定着してきた4月下旬の実施を基本とすることが適当と考えられる。

(1)対象とする学年については、これまで、義務教育における到達度を把握するため、小学校第6学年及び中学校第3学年の児童生徒としてきた。

(2)対象学年を追加すれば、その分、問題作成の業務量及びそのための体制を拡充する必要が出てくるだけでなく、対象となる学校数、児童生徒数も、その分、拡大する。今後、教科の追加を目指すとすれば、対象学年は、当面、現状のままとすることが適当と考えられる。

(3)義務教育段階のすべての教育内容を調査の対象とするのであれば、最終学年の年度末近くに調査を実施することが最適であるが、児童生徒に対する学習改善に役立てるため、調査の対象となった児童生徒の結果を、本人に対する教育指導等にフィードバックする必要性を考慮すれば、これまで同様、年度の早い時期に実施することが適当と考えられる。

(4)高等学校段階における学力調査を検討してはどうかという意見や、これを検討するに当たっては、様々な課題があるという意見、入学試験により形成される特殊な学力の影響を考慮する必要があるという意見もあった。

3.対象教科

 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立すること、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てることという調査の目的を踏まえれば、対象教科は、これまでの「国語」、「算数・数学」に加えて、
 ・小学校では、「社会」、「理科」、
 ・中学校では、「社会」、「理科」、「英語」
を追加することを検討していくことが適当。

 あらかじめ、文部科学省(国立教育政策研究所)において、問題作成の体制づくりを行うことが必要となること、通常、問題作成に1年以上かかること等を考慮すれば、教科の追加は早くても、平成24年度調査からということになる。

 また、問題作成の体制づくりは段階的に行うことが考えられるため、追加年度をずらして段階的に追加していくことも考慮する必要がある。

 追加教科の実施頻度は、学校の負担増を懸念する意見に配慮し、例えば、3年に一度とし、毎年度、実施教科を入れ替えて、実施することも考えられる。

(1)対象教科を追加することの意義・効果等(総論)

○平成19年度の全国学力・学習状況調査の発足時においては、対象とする実施教科について、まずは、小学校の国語・算数、中学校の国語・数学とすることが適当であり、その他の教科については、将来的な検討課題とされたところである。
 これは、本調査により、国の責務として果たすべき義務教育の機会均等その水準の維持向上という観点からの学力等の把握が必要であること、大規模な調査を確実に実施する必要があるといったことに加え、
 ・読み・書き・計算など、日常生活やあらゆる学習の基礎となる内容を教える教科であること
 ・本調査発足前の時点までの国際学力調査や教育課程実施状況調査の調査結果においてあきらかとなっていた課題(読解力の低下等)
等を考慮したものである。

○しかしながら、 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立すること、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること、という調査の目的を踏まえれば平成23年度以降の全国的な学力調査の在り方を検討するにあたって、望ましい対象教科を考えた場合、国語、算数・数学のみならず、他の教科についても、対象とすることを検討することが適当と考えられる。
 その場合、追加すべき具体の教科については、学力等の測定方法が、全国的な学力調査になじむものを対象とすべきである。

○都道府県が独自に行っている学力調査においては、社会、理科、英語といった教科について実施している例が相当数あるので、これらの教科の学力等の状況について把握したいというニーズが存在するものと考えられる。

○以上のことから、対象教科は、これまでの「国語」「算数・数学」に加えて、小学校は「社会」「理科」、中学校は「社会」「理科」「英語」を追加することを検討していくことが適当である。

○なお、対象教科の追加の検討とともに、学習状況調査についても継続的な改善を図っていく必要があるとの意見があった。また、追加する教科についても、全国的な学力調査により測定できるのは学力の一部分であることについて引き続き留意が必要であるとの意見もあった。

(2)「社会」を追加することの意義・効果等

○グローバル化や規制緩和の進展、司法の役割の増大など、社会経済システムの在り方が変化する中で、日本人としての自覚をもち、国際社会の中で主体的に生きる人材を育成するためには、自らの国や郷土の伝統や文化について理解と愛情を深めるとともに、多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力や態度など、平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な資質を養うことが必要である。

○このため、新学習指導要領においては、社会的事象に関する基礎的・基本的な知識・概念、我が国の伝統や文化に関する内容、社会参画に関する学習などの充実を図ったところである。

○したがって、全国学力・学習状況調査においても「社会」を追加し、子どもたちがより確実に必要な資質・能力を習得できるよう、子どもたちの学力・学習状況について把握・分析等を行っていくことが必要である。

○なお、PISAの調査内容の一つである読解力は、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する力」であり、国語だけでなく、社会科なども含めた取り組みの推進が重要である。

(3)「理科」を追加することの意義・効果等

○1990年代半ば以降、ライフサイエンスやナノテクノロジー、情報科学等の分野などを中心に学術研究や科学技術をめぐる世界的な競争が激化し、このような競争を担う人材の育成が各国において国力の基盤として認識され、国際的な人材争奪競争も現実のものとなっている。

○また、少子・高齢化といった我が国の人口構造の変化のほか、環境問題やエネルギー問題といった地球規模での課題については、次世代への負の財産を残さず、人類社会の持続可能な発展のために科学技術に何ができるかが問われている。

○このような中、次代を担う科学技術人材の育成がますます重要な課題となっており、新学習指導要領においては、科学技術の土台である理数教育の授業時数及び教育内容の充実を図ったところである。

○したがって、全国学力・学習状況調査においても「理科」を追加し、子どもたちがより確実に必要な資質・能力を習得できるよう、子どもたちの学力・学習状況について把握・分析等を行っていくことが必要である。

○なお、国際的な学習到達度調査であるTIMSSは「理科」を、PISAは「科学的リテラシー」を調査内容の一つとしている。
 政府の「新成長戦略」の目標を考えれば、「理科」についても、TIMSS等でトップレベルの順位に定着するよう、今後、学力向上の取り組みを一層強化する必要がある。

○なお、実験・観察等に関し、通常と異なる方法により学力等を測定する場合には、サンプル数を限定する等、詳細な検討が必要である。

(4)「英語」を追加することの意義・効果等

○社会や経済のグローバル化の急速な進展に伴い、異なる文化の共存や国際協力が求められているとともに、人材育成面での国際競争も加速しており、子どもたちに国際的なコミュニケーションツールである外国語(英語)により聞く・話す・読む・書くなどの能力をはぐくむことが必要である。

○このため、新学習指導要領においては、外国語(英語)の授業時数や聞く・話す・読む・書くなどの学習活動の充実を図ったところである。

○したがって、全国学力・学習状況調査においても「外国語(英語)」を追加し、子どもたちがより確実に必要な資質・能力を習得できるよう、子どもたちの学力・学習状況について把握・分析等を行っていくことが必要である。

○なお、会話等英語を用いたコミュニケーション能力に関する調査も、調査内容としては大切であると考えられるが、学力等の測定方法が通常と異なるため、サンプル数を限定した調査を視野に入れる等、詳細な検討が必要である。

(5)対象教科の追加を検討するにあたっての留意点

○対象教科の追加を検討するにあたっては、その前提として、今後の調査の基本的な在り方(調査目的、調査方式等)についての議論を十分踏まえる必要がある。

○対象教科の追加を検討するにあたっては、追加の意義及び効果のみならず、実行可能性や、学校側の負担増、多くの児童生徒が時間的余裕を持って取り組むことができる問題量等の考慮、既存のTIMSS、PISA、教育課程実施状況調査、特定の課題に関する調査等との関係等、予想される課題への対応を十分考慮する必要がある。

○教科の中には、時系列的な学力水準の比較についての調査により適した教科や、教育課程の改善など教育施策に関するその時々の課題に応じた分析・検証に適した教科があるので、そうした教科の特性を踏まえた検討が求められるという意見がある。

○あらかじめ、文部科学省(国立教育政策研究所)において、問題作成の体制づくりを行うことが必要となること、通常、問題作成に1年以上かかること等を考慮すれば、教科の追加は早くても、平成24年度調査からということになる。 また、問題作成の体制づくりは段階的に行うことが考えられるため、追加年度をずらして段階的に追加していくことも考慮する必要がある。
 追加教科の実施頻度は、学校の負担増を懸念する意見に配慮し、例えば、3年に一度とし、毎年度、実施教科を入れ替えて、実施することも考えられる。

4.調査方式

(1)調査方式については、平成19~21年度において、悉皆調査で行われ、平成22年度においては、抽出調査(国全体、国公私別、公立の都道府県別が把握できる抽出率)及び希望利用方式(抽出対象外となった学校が、学校設置者の希望により抽出調査と同一の問題の提供を受け、調査を利用することができる方式)に、調査方式を切り替えて実施された。

(2)抽出率については、都道府県が教職員の給与費を負担すると共に広域での人事を行うなどの役割と責任を有していることなどにかんがみ、公立の都道府県別の結果までを統計上有意なレベルで把握できる約30%の抽出率で全国的な抽出調査を実施し、あわせて希望利用調査を実施することで、本調査の目的を実現することができると考えられる。対象学年の全児童生徒を対象とした悉皆調査でなくとも、必要なデータを得ることは可能である。

(3)抽出調査では、市町村別や全学校別の結果を統計上得ることは困難である。平成22年度調査において、調査方式を切り替えた時点では、市町村や学校によっては、過去3年間の調査に引き続き、児童生徒の学力等をより詳細に把握、検証したいとの声があった。
 この点については、過去3年間の調査結果や地方独自の調査を、抽出調査にあわせて活用していただくとともに、さらに必要があれば、学校設置者の希望に応じて本調査を活用できるようにしたところである。実際に学校設置者からの希望を受け付けたところ、抽出対象外となった学校の約6割が、希望利用方式の利用を希望したところである。このことは、市町村や学校におけるニーズを反映しており、これを踏まえれば、当面、抽出調査を調査方式とするのであれば、希望利用方式を併用することが必要であると考えられる。

(4)今後の在り方としては、平成22年度の調査方式を継続する意見、抽出調査のみとし抽出率を縮減する意見、さらには、少なくとも数年に一度は悉皆調査を実施するという意見等に、分かれているところである。また、異なる調査方式を組み合わせて全体の目的を実現する方式等も提起されている。

(5)これらの意見を踏まえ、それぞれの意見で提起された案についての制度設計の検討、これらの案のメリット、デメリットや実現可能性についての分析・検討、児童生徒、保護者の観点や学校、教育委員会、教育関係者等の意見の集約などを、引き続き重ねる必要がある。

(6)このため、当面は、平成22年度調査で用いた調査方式により、現在求められている調査目的の実現を図るとともに、毎年度の調査実施後に、事業評価に基づいた継続的な見直しを行う。
 あわせて、調査方式について提起されている様々な意見について、具体的な検討を継続し、よりよい調査方式を目指すことが必要である。

(1)調査方式については、以下の観点から、当面、対象学年の全児童生徒を対象とした調査ではなく、抽出調査とし、国全体、国公私別、公立の都道府県別の児童生徒の学力等の状況を把握・検証することが適当である。あわせて、抽出調査の対象外となった学校も、学校設置者が希望すれば、抽出調査と同一の問題の提供を受け、調査を利用することができる「希望利用方式」を併用する必要があると考えられる。

 【1】全国的な学力調査の目的・意義を踏まえれば、教育に関する検証改善サイクルの確立に向けて、全国的な学力調査を活用し、今後とも、引き続き、教育活動の結果を検証していく必要がある。
 3年間の悉皆調査の結果、児童生徒の学力等の状況について信頼性の高いデータが蓄積され、教育に関する検証改善サイクルの構築も着実に進んできていることを踏まえ、都道府県が教職員の給与費を負担すると共に広域での人事を行うなどの役割と責任を有していることなどにかんがみ、当面、平成22年度調査と同様に、公立の都道府県別の結果までを統計上有意なレベル把握できる約30%の抽出率で、全国的な抽出調査を実施し、あわせて、希望利用調査を実施することで、本調査の目的を実現することができると考えられる。対象学年の全児童生徒を対象とした悉皆調査でなくとも、必要なデータを得ることは可能である。
 なお、将来、一定期間が経過した後は、3年間の悉皆調査などこれまでの調査により蓄積されたデータの更新が必要となることも考えられるので、その際に、悉皆調査を必要とすることとなるのか、そうでないのか、あらためて検討する必要があると考えられる。

 【2】抽出調査では、市町村別や全学校別の結果を統計上得ることは困難である。平成22年度調査において、調査方式を切り替えた時点では、市町村や学校によっては、過去3年間の調査に引き続き、児童生徒の学力等をより詳細に把握、検証したいとの声があった。
 この点については、過去3年間の調査結果や地方独自の調査を、抽出調査にあわせて活用していただくとともに、さらに必要があれば、学校設置者の希望に応じて本調査を利用できるようにしたところである。実際に学校設置者からの希望を受け付けたところ、抽出対象外となった学校の約6割が、希望利用方式の利用を希望したところである。
 このことは、市町村や学校におけるニーズを反映しており、これを踏まえれば、当面、抽出調査を調査方式とするにあたっては、希望利用方式を併用することが必要であると考えられる。

 【3】以上のことから、当面、平成22年度調査と同様の調査方式を継続することにより、全国的な学力調査の意義・目的は十分実現できるものと考えられる。

(2)将来的には、全国的な学力調査に期待する役割の一部を地方独自の調査等に期待できないかという意見、教員の指導力向上のためにも少なくとも数年に一回は悉皆調査で行う必要があるという意見や、異なるタイプの調査の組み合わせにより、全体として目的の実現を図ることはできないか、という意見も提起されている。
 これらの意見を踏まえて、調査方法について今後とも継続的に検討することが必要である。なお、平成23年度調査など当面の調査においては、平成22年度調査の調査方式を継承していくことが必要である。

5.実施頻度

(1)実施頻度については、毎年度実施という意見と隔年又は数年に一度実施という意見がある。
 実施頻度については、調査目的や調査方式の在り方と関連させながら、引き続き調査検討を継続する必要がある。
 当面、平成22年度調査の調査目的や調査方式を継続する限りにおいては、「国語」、「算数・数学」について、毎年度本調査の実施を続けることが適当である

(2)「国語」、「算数・数学」以外の教科を、今後本調査に追加する場合は、当該追加教科については、学校の負担増を懸念する意見に配慮し、実施頻度は、例えば、3年に一度とし、毎年度実施教科を入れ替えて実施することも考えられる。

(1)「国語」「算数・数学」について

○実施頻度については、義務教育におけるPDCAサイクルの確立に向けて、教育活動の結果検証を継続的に実施する必要があるため、毎年度実施とされてきた。

○実施頻度については、調査目的や調査方式の在り方との関係で今後とも継続的に検討する必要がある。

○当面、平成22年度の調査目的や調査方式を継続する限りにおいて、「国語」「算数・数学」は、毎年度実施することが適当である。

○なお、実施頻度についての検討にあたっては、PDCAサイクルの確立という観点から、市町村や学校のニーズも考慮する必要がある。

(2)今後追加する教科について

○「国語」、「算数・数学」以外の教科を、今後本調査に追加する場合は、当該追加教科については、学校の負担増を懸念する意見に配慮し、実施頻度は、例えば、3年に一度とし、毎年度実施教科を入れ替えて実施することも考えられる。

6.教育課程実施状況調査との関係等

 教育課程実施状況調査については、学習指導要領の目標・内容に照らした教育内容全般にわたる全国的な状況の把握を通じて、学習指導要領や指導の改善のための基礎データを得るという意義・目的を明確にすることにより、全国学力・学習状況調査との役割分担を図ることが適当と考えられる。

(1)教育課程実施状況調査については、学習指導要領の目標・内容に照らした教育内容全般にわたる全国的な状況の把握を通じて、学習指導要領や指導の改善のための基礎的なデータを得るという意義・目的を明確にすることにより、全国学力・学習状況調査との役割分担を図る。このため、その実施の方法などを今後十分に検討する必要がある。

※教育課程実施状況調査

(目的)学習指導要領に基づく教育課程の実施状況について、学習指導要領における各教科、科目の目標や内容に照らした学習の実現状況の把握を通して調査研究を行い、今後の教育課程の基準の改善等に資する

(内容)各学年の学習指導要領全体の定着状況を把握するため、複数の問題冊子により出題し、抽出率を絞って国全体の調査結果のみ集計。学習指導要領の改訂にあわせて、約10年に一度実施されている。

7.経年変化の分析等を重視した新しいタイプの調査方式の開発や、地方独自の調査との役割分担について

(1)今後、調査目的の検討と関連させながら、経年変化の分析等を重視した新しいタイプの調査方式の開発を進める必要があると考えられる。

(2)また、全国的な学力調査に求められてきた調査目的の要素の一部を、今後は、地方独自の調査が担っていくシステムを構築することができないか、今後、検討を行う必要があると考えられる。

(1)経年変化の分析や教育格差の分析を重視した調査

○全国学力・学習状況調査においては、児童生徒への指導の充実に活かすため、実施後に問題を公表しており、同じ問題を用いた調査を行うことが難しいため、各教科の平均正答数や平均正答率により経年比較を行うことが難しい。しかしながら、調査の出題の一部において、過去の調査で課題の見られた内容に関係する類似の問題を出題し、改善の状況を検証するなど、経年的な分析も配慮されている。
 また、全国学力・学習状況調査においては、児童生徒質問紙や学校質問紙による調査を併用し、その後の追加分析も含め、教育格差の分析や関連する施策の検証など、多面的な観点からの分析が行われてきた。
 児童生徒の学力等の経年比較に資するような調査や、教育格差の分析及び関連する施策の検証のための調査の持つ意義を重視する意見を踏まえ、今後、学力等の状況の経年変化の分析や教育格差の分析を重視した新しいタイプの調査について、諸外国の学力調査の状況等も踏まえつつ、研究開発を行う必要があると考えられる。

(2)地方独自の調査との役割分担

○都道府県や市区町村が独自に実施している学力調査は、対象学年、実施教科、調査内容に関し、地域の特色を生かしつつ、全国学力・学習状況調査とは異なる視点に立って実施されることが期待されている。
 また、全国学力・学習状況調査の抽出調査により集計される調査結果が、国全体、国公私別、公立の都道府県別、調査対象となった児童生徒別の結果に限定されることになったため、地方独自の調査は、市町村や学校において、より詳細なデータを得る場合の有効な手段の一つとして、期待されているところである。

○全国的な学力調査に求められてきた調査目的の中の、調査結果を「学校における児童生徒の教育指導や学習状況の改善に役立てる」という要素については、全国的な学力調査よりも、地方独自の調査の役割に期待する意見や、そうした場合に地方独自の調査の実行可能性や効果について課題があるという意見もある。
 全国的な学力調査に求められてきた調査目的の要素の一部を、今後は、地方独自の調査が担っていくシステムを構築することができないか、今後、検討を行う必要があると考えられる。

8.調査結果の取扱いに関する配慮

(1)平成22年度調査においては、調査結果を集計する場合の調査結果の取扱いについて、【1】教育委員会や学校は、保護者や地域住民に対して域内の教育及び当該学校の状況について説明責任を有していること、【2】情報公開条例等との関係、【3】序列化や過度の競争につながらないようにすること、【4】各児童生徒の個人情報との関係、について十分配慮すべきことを実施要領において求めている。
 このような調査結果の取扱いに関する配慮は今後とも必要であり、当面の調査においても引き続き求めていく必要がある。

(参考)全国的な学力調査の在り方等の検討に関する専門家会議について

1.設置の趣旨

 文部科学省における今後の全国的な学力調査の在り方等についての調査検討に資するよう、専門家による専門的な観点からの意見交換等を行うため、「全国的な学力調査の在り方等の検討に関する専門家会議(以下「専門家会議」とする。)」を設置する。

2.専門家会議において取扱う事項

(1)平成23年度以降の全国的な学力調査の目的について
(2)対象教科・学年、調査方式、実施頻度等について
(3)その他

3.実施期間

 平成22年6月4日から平成23年3月31日とする。

4.委員

 

 相川 敬

 日本PTA全国協議会長

 

 天笠 茂

 千葉大学教育学部教授

 座長代理

 荒井 克弘

 独立行政法人大学入試センター入学者選抜研究機構長

 

 有馬 守一

 千代田区立番町小学校長

 

 岩田 一彦

 兵庫教育大学大学院特任教授

 

 小川 正賢

 東京理科大学大学院科学教育研究科教授

 座長

 梶田 叡一

 環太平洋大学長

 

 小宮 賢治

 世田谷区立芦花中学校長

 

 柴山 直

 東北大学大学院教育学研究科教授

 

 志水 宏吉

 大阪大学大学院人間科学研究科教授

 

 清水 静海

 帝京大学文学部教育学科教授

 

 清水 哲雄

 鷗友学園常務理事

 

 高木 まさき

 横浜国立大学教育人間科学部教授

 

 田中 博之

 早稲田大学大学院教職研究科教授

 

 土屋 隆裕

 統計数理研究所データ科学研究系准教授

 

 根岸 均

 秋田県教育委員会教育長

 

 耳塚 寛明

 お茶の水女子大学理事・副学長

 

 渡部 良典

 上智大学外国語学部教授

(50音順)

お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

電話番号:03-5253-4111(内線3732)

(初等中等教育局参事官付学力調査室)

-- 登録:平成22年08月 --