幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議(第9回) 議事要旨

1.日時

平成22年10月6日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3階第2特別会議室

3.議題

  1. 幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について

4.出席者

委員

無藤座長、岩立委員、太田委員、押谷委員、神村委員、岸本委員、木下委員、河野委員、嶋田委員、奈須委員、北條委員、向山委員、山本委員、若盛委員

文部科学省

先﨑幼児教育企画官、梶山教育課程企画室長、津金幼児教育課教科調査官、湯川幼児教育調査官 他

オブザーバー

(厚生労働省)丸山保育指導専門官

5.議事要旨

  • 事務局からの配付資料の確認の後、座長から前回会議で設置が承認されたワーキンググループにおいて検討を行い、本協力者会議の報告書の素案として、本日配付の幼小接続報告書・座長試案をまとめた旨、説明があった。

報告書・座長試案の協議については、各章ごとに説明及び協議を行うこととし、座長から各章のポイントを説明の上、事務局から各章の本文を読み上げて説明した後、各委員間で協議が行われた。その概要は以下のとおり。

○「幼児期の終わり」という表現が何回も出てくるが、幼児期の終わりというと小学校がスタートなのかというようにとられないか。子どもの育ちはつながっており連続していることを踏まえて考えるべきではないか。
○「幼児期の終わりまでに育って欲しい幼児の具体的な姿」については、いわゆる年長児に対して求めているものだと思うが、幼児期と児童期の教育の連続性を考えると、例えば、「児童期のスタートにおける幼児の姿」とした方が現場の職員もイメージしやすいのではないか。
○「幼児期の終わりまで」という表現は、幼稚園や保育所の先生にとって責任をもてる時期が幼児期の終わりまでなので、ここではそれを明らかにしたいという趣旨で記述している。
○重要なキーワードについてはきちんと説明ができるようにしておく必要がある。「尊重すべき違い」という言葉については、もっと明示性をもった説明がないとなかなかきちんと理解されないのではないか。「違い」というより「特徴」ということではないか。括弧書きで「尊重すべき違い」とされると、違いがあるからそれでいいといった誤解をまねかないか。
○「尊重すべき違い」は各教育システムにおける慣習的な違いに過ぎないのではないか。「尊重すべき違い」という言葉が一人歩きしないか。もう少し具体的に記述した方がよい。
○報告書・座長試案の「幼児期の教育と児童期の教育の目標を一つのつながりとして捉える観点から、「学びの基礎力」の育成と呼ぶこととした」という記述と、資料2の図の「幼小の教育=「学びの基礎力」の育成」という記述は整合がとれていないのではないか。整合性がとれるように記述を見直すべきである。
○p11の「自然に対する畏敬の念といった抽象的で高度な概念とかかわり、獲得していくことになり、」という記述だが、「抽象的で高度な概念」と「獲得」が文章上つながっていないので記述を見直すべきである。
○p9の「適切に遊び込む環境」の「遊び込む」という表現についてだが、遊びに夢中になるとかそういう意味だと思うが、遊び込むという状況は一体どういう状況なのかなどを丁寧に説明した方がよいのではないか。
○「違い」という言葉がたくさん出てくるが、場合によっては「独自性」などの言葉に置き換えてもよいのではないか。また、「尊重すべき違い」は「学ぶべき違い」という言葉に言い換えることもできると思う。いつまでも「尊重すべき違い」だったら接続がうまくいかない。
○幼児期が「学びの芽生え」で、児童期が「自覚的な学び」と表現されているが、以前の本協力者会議で、幼児期を「無自覚的な学び」と児童期を「自覚的な学び」という御意見もあった。「学びの芽生え」という言葉は「無自覚的な学び」と置き換えてもよいのではないか。
○「無自覚的な学び」だと、幼児を幼く見過ぎであり、あらゆることに無自覚だという意味合いにとられかねないという意見もある。一方、「芽生え」という言葉は、学校教育法や幼稚園教育要領で何度も使われており、比較的定着している言葉であるため、学びにつながる芽生えがいろいろあるという意味合いで「学びの芽生え」という言葉を用いている。
○幼児期前期と後期ははっきりと分けきれないが、幼児期後期になるにしたがって自覚的な面も出てくる。幼児期と児童期もはっきりと分けきれず、幼児期の後期は児童期の要素も含むし、小学校入学直後は幼児期の要素も含む。「幼児期の終わりまでに育って欲しい幼児の具体的な姿」については、幼稚園ではできていても、小学校入学直後、生活の場や時間、人間関係の違いにより、必ずしもこれらの力が発揮できないことがあることを留意すべきである。
○幼児期の教育はこういうもので、小学校教育はこういうものだということを明らかにしないと接続の関係が分からないが、幼小ののりしろとなる部分をどうしたらよいのかというところをこの報告書で明示していくことが課題である。
○「幼児期の終わりまでに育って欲しい幼児の具体的な姿」を示すことについては、こういう子どもの姿を目指して幼児期の教育が行われているということが分かるのではないか。
○p7の「この「違い」と「連続性・一貫性」の関係などについて必ずしも十分理解されているとはいえない」の箇所については、幼小接続の教育課程編成の取組が低い状況を考えれば、もう少し強調して記述してもよいのか。
○「その後」の教育、「それまでの」教育という記述についてだが、あえて「その後」「それまでの」のところを括弧書きにする必要はないのではないか。
○「三つの自立」が生活科だけの問題だけでなく、小学校低学年教育全体を通した各教科等での指導を含むものだと思うが、「三つの自立」と「学力の三要素」との関係がどうなっているのか、今の記述のままでは分かりにくいのではないか。
○「三つの自立」については、幼児期から児童期にかけてのつながりを示すということ、幼児期と特に小学校低学年にある程度の共通性をもった特徴があることを示すことをねらいとして記述している。
○「幼児にルールやきまりを決めさせたり」という記述については、「きまりや約束事」とした方がよいのではないか。
○「馴致期間」という言葉は難しい言葉なので、もう少し分かりやすい言葉で表現した方がよいのではないか。
○「障害のある子ども」という記述については、障害児のみならず虐待児などを含め様々な支援が必要な子どもがいることを踏まえれば、「特別な支援が必要な子ども」に修正した方がよいのではないか。

  • 座長から、本日いただいた御意見や追加提出の御意見を踏まえ、報告書・座長試案を修正し、次回の会議には、本協力者会議の報告書案を提示し、それを基に協議したい旨、説明があった。
  • 事務局から次回の会議の開催日時及び報告書・座長試案に対する追加意見の提出の方法等について説明があり、閉会した。

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初等中等教育局幼児教育課