「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」に関する意見(全日本教職員組合)

「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」に関する意見

2010年2月10日
全日本教職員組合

はじめに

 全日本教職員組合(以下、全教)は、学級編制の標準の見直しを含む教職員定数改善に向けた検討が始まったことを歓迎します。特に、学級編制の標準については、1980年に策定された義務制第5次(高校など第4次)定数改善計画による「40人学級」以後、切実な願いがありながら改善が見送られてきた経緯もあり、教育の充実を図る標準の策定と2011年4月からの円滑かつ計画的な実施が期待されています。今回の改善に向けた検討を実らせ、切実な国民的な願いである30人学級などゆきとどいた教育を保障する教育条件整備に向けての動きを大きく前進させることが、子どもたちの健やかな成長とよりよい教育を願う多くの父母、教職員の期待に応える道です。

 学級編制及び教職員定数の改善は、日本国憲法が保障する子どもたちの教育を受ける権利と教育の機会均等を実質的に保障し、すべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障するために欠くことのできない基礎的な条件です。にもかかわらず、現在の学級編制や教職員配置の標準などの状況は、OECDの平均的水準など国際的な到達点からみると遅れた水準にとどまっています。

 後述する6つの観点から検討が深められ、教育の充実を図る改善方向とその実現が切実に求められています。父母、教職員、圧倒的な国民の願いをふまえ、さらに子どもたちをめぐる現状を直視し、効果的に改善することが必要です。

 また、子どもたちの教育を受ける権利を保障するための基礎的な条件であるからこそ、国の責任によって教育の充実を図る立場を明確にすることが重要であり、学級編制及び教職員配置の標準を漸進的に改善する一定期間を想定した新しい改善計画が策定されることが必要です。

1.検討をすすめる6つの観点-学級編制及び教職員定数の改善は、現在の学校と子どもたちをめぐる状況をリアルにみつめ、その問題点や課題を教育的に打開する方向で検討が行われる必要があります

(1)すべての子どもたちの成長と発達を保障する教育を実現する

 教育は、すべての子どもたちの成長と発達を保障することをめざして行われる社会的な営みです。この教育を充実させることこそ、父母、国民の願いであり、教育条件整備の役割です。

 今日、「貧困と格差の広がり」など社会状況を反映して、子どもたちをめぐる困難が広がっています。「すべての子どもたちの成長・発達を保障する教育をどう充実させ、子どもたちをめぐる困難に接近し、打開するための教育活動をすすめるか」という観点は、今日の学校と教育を考えるうえで欠くことのできない、もっとも切実で緊急の課題です。今回の学級編制及び教職員定数の改善に向けた検討にあたっては、教育条件整備に託された父母、国民の願いを正面から受け止め、今日の子どもと教育をめぐる状況と課題を真摯に検討し、課題を解決する方向での新たな計画として策定されることが必要です。

(2)一つひとつの学校の教育を支え、励ます条件整備が必要

 すべての子どもたちの成長と発達を保障する教育を実現するためにも、一つひとつの学校には、子どもの実態と学校がおかれている地域の現状を出発点にしたそれぞれの学校の教育課程を編成し、計画的な教育活動をすすめることが切実に求められています。それぞれの学校の教育計画と教育活動を支え、励ます観点から学級編制及び教職員配置の標準が策定される必要があります。さらに、より子どもたちの実情に沿った教育を実現するためにも、学校の教育計画・教育活動に対応した柔軟な学級編制や教職員配置が可能となる弾力性を持つことも重要になっています。

(3)特別な教育的ニーズに対応する教育活動を充実させる

 「貧困と格差の広がり」が子どもたちに与えている深刻な状況、引き続き高い水準で推移する「登校拒否・不登校」、学習障害や発達障害を持つ子どもたち、外国文化で育つ子どもたちなど特別な教育ニーズを持つ子どもたちの問題が大きくなっています。こうした特別な教育的ニーズを持ち、それぞれに対応したケアーを必要とする子どもたちも含めて、すべての子どもたちの成長と発達を保障することが教育の責務であり、圧倒的な父母、国民の願いでもあります。今回の学級編制及び教職員定数改善が、こうした教育への願いを汲み取り、この教育活動を可能とする教育条件整備計画として策定されることが求められます。その際、教育活動を充実させる専門職の位置づけなど積極的な検討が必要です。

(4)教育条件、教育予算などに関わる国際的な規準や到達点をふまえる

 前述したように、日本の教育条件は、OECD各国平均と比較しても大きく遅れています。教育機関への公財政支出の対GDP比(日本の2006年度3.3%)をOECD各国平均(同年度4.9%)に引き上げることができれば、教育をめぐる遅れた条件を一気に引き上げることが可能になります。教育費、教育予算の割合を大きく引き上げ、教育条件の水準を引き上げることが、教育をよくする一歩になることは明らかであり、今回の検討がこの方向で大きく前進することが期待されます。同時に、ILO・ユネスコによる「教員の地位に関する勧告」や日本も批准している「子どもの権利条約」などの角度からも学級編制や教職員定数の検討が行われることも大切です。今回の検討にあたっても、「学級規模は、教員が児童・生徒の一人ひとりに注意を払うことができるようなものとする」(「教員の地位に関する勧告」第86項)水準が確保され、その条件のもとで「児童の人格、才能ならびに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること」(「子どもの権利条約」第29条・教育の目的)ができる教育条件への方向が示されることが期待されます。

(5)現行の義務教育費国庫負担制度や教職員定数に関する矛盾と問題を解決する

 現行の「標準法」及び教職員配置に関わる制度は、全国の学校にあらわれている「膨大な人数の定数内臨時的任用者」「病気休暇や介護休暇を取得する教職員がいても代替者さえ配置できない」など教育の充実には程遠い課題を噴出させています。私たちは、義務制第7次定数改善計画によって導入された「定数くずし」や義務教育費国庫負担制度の「改正」による総額裁量制などがこの状況の要因のひとつに位置付いていると考えています。今回の検討にあたっては、現行制度の矛盾や問題点をていねいにみつめ、分析し、その打開をめざす制度改善の方向が示される必要があります。

(6)教職員の長時間・過密労働を解消し、そのいのちや健康を守る

 2009年12月に公表された教職員の病気休職、精神疾患の状況などは、いずれも今日の学校現場における教職員の勤務の実態を映し出しています。文部科学省による勤務実態調査によっても、教職員の長時間・過密労働の実態はきわめて深刻なものになっています。全教の試算では、この調査によって明らかにされた長時間労働を解消するためには、勤務日の時間外勤務に限定しても小・中学校で17万人を超える増員が必要です。多くの教職員が週休日や休日の勤務を余儀なくされ、たくさんの持ち帰り仕事を抱えた日々を送っており、早急な打開が求められています。教職員の勤務時間が守られ、そのいのちや健康が大切に扱われることは、ゆきとどいた教育を保障する重要な条件です。

2.国の責任で「学級編制及び教職員定数の標準」を改善し、地域の実情に応じた弾力的運用も可能な新しい制度の検討を

(1)国の責任による計画的な改善が必要-義務教育費国庫負担制度を堅持し、充実を

  全教は、「学級編制及び教職員定数に関わる標準」は、ナショナルミニマムとして、国の責任による改善が行われなければならないと考えます。この標準は、固定のものではなく、子どもたちをめぐる状況、教育の充実をめざす研究や教育実践の進展、国民の教育に寄せる期待やそれを支える財政状況などをふまえて、漸進的に改善され、充実が図られる必要があります。この立場から、学級編制及び教職員定数に関する標準が定められ、しかもその標準は全国すべての学校の最低基準として位置づけられ、ここに規定される教職員定数に関わる経費は、国の責任で担保される制度的保障がなければなりません。このためには、義務教育費国庫負担制度を堅持し、国の負担割合の改善を図ることが必要です。今回の検討にあたって、当面、義務教育費国庫負担を1/2に戻すことを求めます。

特に、今回の検討にあたっては、子どもたちと教育をめぐる現状を出発点にして、学校教育を充実させ、すべての子どもの教育を受ける権利を保障する立場から、対象職種の拡充を検討する必要があると考えます。その際、「学校教育法で学校必置職員として規定されながら、現行標準法によって完全配置が担保されていない」または「置くことができる職員に対する標準法の位置づけ」など学校教育における関係諸法令と教職員配置の間で生じている矛盾を打開することも重要な課題です。

また、前述の全国的にあらわれている制度的な矛盾や問題点を打開することも必要であり、定数内臨時的任用者の計画的な解消など学校現場における非正規教職員の増加を抑制する具体的な措置を盛り込むことを求めます。さらに、「定数くずし」政策も背景として急増している非常勤講師の「多用化」は、教育活動を細切れにするとともに、計画的、集団的な教育活動を弱体化させる要因ともなっており、必要最小限の配置にとどめるよう、制度的な改善を図る必要があります。

(2)「教育交付金」(仮称)を創設し、学校、地方の実態に即した弾力性を担保する

 ナショナルミニマムとしての「学級編制及び教職員配置の標準」とともに、任命権者及び学校設置者の判断によっては、国の最低基準を上回る学級編制基準及び教職員配置が可能となり、その財源についても一定の範囲で国が措置する制度改善を検討する必要があります。それは、義務教育の全国水準を確保することを担保するとともに、教育が子どもたちの実態、地域の実情によって具体化されるという本質的な姿から導かれるものです。

 全教は、今回の検討にあたって、義務教育費国庫負担制度による国庫支出による全国的な教育水準の確保を前提に、地方が子どもの実態、地域の実情に応じた創意あふれる教育活動をすすめるための経費に充当できる「教育交付金」(仮称)の創設を提起します。この意見書が「学級編制及び教職員配置の標準」について記述しており、今後の教育にかかわる経費の取り扱いによっては使途の拡充もあり得るものですが、今回提起する「教育交付金」(仮称)は、地方交付税交付金などとは異なり、地方の判断による教育の充実のための人的経費にのみ使用可能とする特別財源として位置づけています。それは、国庫負担を補完する地方交付税交付金の位置づけ、現行の交付金制度で積算されている学校教育関係人件費との調整を図るとともに、地方の判断で国標準を超える教育条件を整備することを推奨する趣旨に沿った地方交付税交付金の充実及び「教育交付金」(仮称)による財政保障が必要と考えるからです。

(3)高校教育費国庫負担制度(仮称)を創設する

 日本の教育は、「子育てを社会全体で応援する」(平成22年1月30日 鳩山首相施政方針演説)立場から高校授業料の実質無償化に踏み出し、教育費をめぐる大きな転換を迎えています。全教は、長年の教育費自己負担主義を転換させるこうした政策動向を歓迎し、高校への進学率が98%という現実もふまえ、小学校、中学校に準じた「高校教育費国庫負担制度」(仮称)の創設が必要だと考えます。今回の検討にあたって、高校教育における基礎的な条件整備に国が責任を持つことを鮮明にするためにも真摯な検討を要望します。

3.新しい教職員定数改善計画の策定について-全教の学級編制及び定数改善の改善への提案

 以上の基本的な考え方に立って、全教は、今回の学級編制及び教職員定数の改善にあたって、それぞれの学校種に応じて、少なくとも次の諸事項が盛り込まれる改善計画が策定される必要があると考えます。

(1)基本的な改善方向

1)学級編制の標準は、小・中、高校を30人以下とし、特別支援学級及び学校、幼稚園はそれぞれの学校に通う子どもたちの成長・発達を最大限に保障する観点から別に標準を設定する。

2)教員の担当授業時数について、学校種に応じた上限的な規制を導入し、必要な教員数を確保するために現行標準法の方式による「学級数に対応した乗数」の改善を行う。この検討にあたっては、少なくとも、文部科学省が言及してきた「1時間の授業につきましては、1時間程度は授業の準備が必要ではないか」(たとえば、2002年3月25日参議院文部科学委員会での答弁)が教職員定数改善の方法として具体化されることを求める。

3)教職員の配置は、学級数、児童・生徒数などをもとにした客観的な基準によることを基本に、学校設置者及び学校の判断による増員(加配)を行う方式で対処することを求める。

4)子どもたちの実態、とりわけ特別なニーズに対応した専門職の位置づけを明確にして、学校に配置すべき新たな職種についての検討を行う。この際、国の責任による教職員配置の立場から、標準法対象職員として位置づけを明確にする。また、現在、学校に勤務している市町村費などによる教職員の雇用安定、身分の適正化との調整を図ることを求める。

(2)校種別の学級編制基準及び教職員定数改善計画の方向

【幼稚園】

1)学級編制の標準

 現行の「35人以下」という一般的基準を改め、3歳児-15人、4~5歳児-25人の編制を標準とする。

2)定数改善

〔1〕園長を専任配置する。
〔2〕学級数に対応して、少なくとも小学校と同程度の教員数を確保する。
〔3〕障害を持つ子どもを受け入れた際の加配を制度化する。
〔4〕養護教諭、事務職員、現業職員の配置を促進する。

【小・中学校】

1)学級編制の標準  

現行の「40人」を改め、30人に改善する。複式学級は、基本的に解消することをめざし、学級編制の標準を改善する。特別支援学級は、1人でも学級認定をすることを基本に、障害種別での教育を保障し、6人以下の学級編制とする。特別支援学級では、生活年齢による学級編制を重視する立場から、小学校では低学年・高学年、中学校では学年の区分による学級編制とする。

2)定数改善  

 〔1〕 ゆきとどいた教育を実現するために、小学校での専科教育の充実をめざすとともに、小規模中学校においても教科専門の教員免許状所有者の完全配置が可能となる教職員配置の最低保障を設定する。また、教員の担当授業時数の上限を設定し、授業準備、授業整理の時間を確保することをめざし、小学校20時間、中学校18時間を目標に計画的に改善する。この担当授業時数には、学級活動や特別活動に係る指導時間を含むものとする。

 〔2〕 〔1〕の趣旨をいかし、小学校では(一定の学級規模以上校となることはやむを得ないとしても)、学級数に対応した学級担任教員に加えて、専科教育担当教員を配置することとし、小規模校での実現をめざす定数改善を行う。この考え方を学級規模に対応して実現するために、現行標準法に規定する「学級数に応じた乗数」を抜本的に改善する。

 〔3〕 学力向上や生徒指導上の諸問題に対応するために、児童・生徒数に応じて教員を増員配置する。

 〔4〕 通級指導教室をすべての小・中学校に設置する制度として位置づけ、各学校に1人の教員を配置する。また、学級編制の標準に準じた「教室編成の標準」を設け、漸進的に配置改善を図る。

 〔5〕 現行の特別支援教育支援員の配置と別に、特別な教育的ニーズのある子どもたちに対する教育的指導に対応する教員の配置を行う。学年1名の配置をめざし漸進的に改善する。

 〔6〕 養護教諭の全校配置を実現するとともに、児童・生徒数に応じた複数配置を計画的に進捗させる。当面の複数配置基準を「子どもの顔が見えて、名前がわかる」ことを重視して、小学校、中学校ともに300名を目標とし、漸進的に改善する。夜間中学校への配置を検討する。

 〔7〕 各学校に、特別支援教育コーディネーターを配置する。

 〔8〕 学校事務職員について、子どもたち、教職員とともに「学校に勤務してこそ学校事務職員」の原則を確立し、全校配置を実現するとともに、地方交付税交付金によって単位費用が積算されている事務職員人件費も(標準法定数に)組み込み、児童数・生徒数に応じた加配を行う。就学援助認定の児童・生徒数によって加配されている学校事務職員については、就学援助認定者の急増という現状にてらして、加配基準を改善するとともに、該当校全校への配置をめざす。

 〔9〕 学校栄養職員について、本人の希望も考慮した栄養教諭への任用替えを早急にすすめる。配置については、安全でより豊かな学校給食の実施と食育の充実のため1校1名の学校栄養職員・栄養教諭の配置を行う。共同調理場に配置される学校栄養職員、栄養教諭の定数改善を図る。

 〔10〕 学校図書館機能の充実を図るために学校図書館司書・職員を専任化する。その際、学校設置者によって配置されている図書館職員の身分安定、雇用継続との調整を図る。

 〔11〕 地方交付税によって措置されている小・中学校の現業職員を標準法対象職員として位置づけ、全校配置をめざす。

 〔12〕 校長は、学校に1名配置とし、教頭の複数配置を廃止する。

 〔13〕 学校と教育、教職員に対する管理・統制施策として導入された「副校長」「主幹教諭」「指導教諭」を廃止する。

【高等学校】

1)学級編制の標準 

 〔1〕全日制普通科では30人学級を標準とする。

 〔2〕定時制では20人学級を標準とする。

 〔3〕職業専門教育をおこなう職業科については、全日制25人学級を標準とする。

2)定数改善  

 〔1〕2002年高校標準法等の一部「改正」を見直し、教職員定数については生徒の収容定員による標準から学級数による標準に戻す。この趣旨から、平成13年6月29日付「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部改正について(通知)」の第2、2(3)イ(イ)を見直す。

 〔2〕小規模校においても円滑な校務運営を保障し、免許外教科担当を生じさせないための最低保障の標準を定める。

 〔3〕教員の担当授業時数について、ロングホームルームも含め15時間を上限として教職員定数を定める。実験・実習をともなう教科の担当者については、準備、後始末に必要な時間を担当授業数に考慮する。

 〔4〕学校教育法第22条「教職員定数の算定に関する特例」について、次のような課題等を持つ学校について、加算を行う。

  〈1〉学習・生活指導上の困難が集中している学校には、一定の客観的基準を定め、加算を行う。

  〈2〉特別な教育的ニーズに対応する指導のための加算ができるようにする。

  〈3〉生徒の進路及び特性その他の事情に応じた支援加算を行う。

 〔5〕通信制の教諭定数については、在籍生徒数を一定の除数で算出することとし、レポート指導やスクーリングの実態などをふまえた改善を図る。

 〔6〕養護教諭は、全校配置を基本に、通信制、分校にも配置する。複数配置基準を300人に引き下げる。

 〔7〕実習助手については、2004年4月の学校設置基準で、「高等学校には、必要に応じて相当数の実習助手を置くものとする」とした「改訂」を見直し、必置職員として位置づける。

 〔8〕学校事務職員については、現行標準法を基礎に定数の充足を図る。

 〔9〕現業職員を学校教育法、標準法など関係法規に位置づけ、職名は学校現業職員とする。定数配置にあたっては、現行の地方交付税交付金積算単価に準じて、収容定員600人の場合は4人を標準とする。

 〔10〕専任、専門、正規の学校図書館職員を学校教育法、標準法等関係法規に位置づけ、職名を学校司書とする。

【特別支援学校】

1)学級編制の標準  

学級編制は現行通り小・中学部6人、高等部8名とし、障害種別に設置する。重複学級については、「重度・重複学級」と改め、3人を標準として、辻村報告(1975年3月31日、「重度・重複障害児に対する学校教育の在り方について(報告)」)及びその後の医療的ケア必要児の位置づけなどを考慮して対象児の規定を設け、学級編制をすすめる。訪問教育については、教員の移動時間も勘案して通学生と同等の指導が可能となるものとする。また、幼稚部・専攻科を標準法に位置づけ、幼稚部に重度・重複学級を設置する。

2)定数改善

 〔1〕障害種別の専門性を重視し、複数以上の障害種別を対象とする特別支援学校における「障害部門」の制度を新たに位置づけ、それに必要な定数標準を設ける。

 〔2〕「特別支援教育」制度化にあたって新たに位置づけられたセンター的機能を担う教員定数を当面、学校あたり複数配置とする。各学校におけるセンター的機能の拡充を推進するために、漸進的な配置改善の計画を策定する。

 〔3〕多様な子どもたちの障害実態に対応する多様な教育課程・学習グループ編成、複数担任による学級指導などの実態を踏まえ、学級あたりの教員配置の乗数を改善する。

 〔4〕養護教諭について、幼稚部を含むすべての学部に配置する。

 〔5〕医療的ケアの必要な子どもたちが在籍する学校においては、看護師を配置する。常時マンツーマンによる対応が必要な重度・重複児に対して必要な教員を配置する。

 〔6〕寄宿舎指導員の配置に関して重度・重複障害児を考慮できる制度とする。複数以上の障害種別を対象とする特別支援学校の寄宿舎における寄宿舎指導員は、障害種別ごとに舎室を設ける前提で定数配置の標準を定める。最低保障数を14名とする。

 〔7〕地域的状況および交流・共同教育の促進を目的として通常学校内に分教室を設置する場合、教育課程の編成に支障をきたさない教員配置と、養護教員、事務職員、看護師をはじめとする必要な教職員の配置ができる制度とする。また分校の職員配置は本校に準じて行う。

 〔8〕理学療法士、作業療法士、言語療法士、視能訓練師、歩行訓練師など子どもたちの特別なニーズに対応する専門職員を標準法に位置づける。その際、特別支援学校に現在配置されている専門的教育指導を目的とする専門教員枠とは、別途の扱いとして制度化する。

 〔9〕就学相談、入学前からの教育相談に対応する教員をすべての特別支援学校に配置する。

 〔10〕障害のある教職員のための職務補助制度を確立し、ヒューマン・アシスタントを配置する。

【その他】

中等教育学校における教職員配置は、中学校及び高等学校に準じて改善する。

 

以上

 

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初等中等教育局財務課